本文へスキップ
資格のニガテ一問一答
健康運動指導士科目模擬試験復習

運動行動変容の理論と実際の板書

講義動画で板書した内容を、全文そのまま置いています。動画を見ながら書き写す必要はありません。必要なところだけ読んでください。

この板書の動画を見る

各節の時刻(00:00)を押すと、動画のその場面から再生されます。

第13章「運動行動変容の理論と実際」

この章は、行動変容の理論と、それを現場に当てはめる技法、そして行動変容を意図したプログラム開発を扱います。カウンセリングの基本姿勢(受容・共感的理解・自己一致)は第14章で扱います。章ごとの出題数も章ごとの分量も公表された数字がないので、重さの目安は示していません。

00:22この章で数えるもの

数えるのは、この3つ

  • 行動変容ステージ

    5段階

  • 自己効力感

    4つの情報源

  • 健康信念モデル

    4つの受け取り方(+2で6つ)

  • 行動変容ステージ(トランスセオレティカルモデル):前熟考期・熟考期・準備期・実行期・維持期の5段階
  • 自己効力感の情報源:遂行行動の達成・代理的経験・言語的説得・生理的/情動的状態の4つ
  • 健康信念モデルの中心となる受け取り方:自分にも起こりうると感じる度合い(罹患性)・起きたときの重大さ(重大性)・対策で得られる利益(有益性)・対策に伴う負担(障害性)の4つ
  • 間違えやすいところ: 健康信念モデルは、この4つ(4次元)で説明する資料と、ここに「きっかけ(cues to action)」と自己効力感を加えて6つの構成概念として説明する資料の両方がある。数で切ろうとすると、6つで説明された側を取りこぼす。中身で見分けること
  • 意思決定バランスは、恩恵(pros)と負担(cons)の皿が2枚
出典
  • 出典:4次元はJanz&Becker(1984)The Health Belief Model:A Decade Later/6構成概念はRosenstock,Strecher&Becker(1988)および米国国立がん研究所Theory at a Glance

①行動変容ステージモデル4節

00:42行動変容ステージモデル

並びは前熟考→熟考→準備→実行→維持

  • トランスセオレティカルモデル=行動変容ステージモデル(プロチャスカら)
  • 前熟考期(変える気がない)→熟考期(未実行)→準備期(近く始める)
  • →実行期(始めて間もない)→維持期(続いている)
  • 目安は熟考6か月以内/準備1か月以内/実行6か月未満/維持6か月以上
  • トランスセオレティカルモデル=行動変容ステージモデル(プロチャスカとディクレメンテ)
  • 前熟考期=6か月以内に行動を変える気がない/熟考期=関心はあるがまだ実行していない/準備期=近いうちに始めるつもり
  • 実行期=始めて間もない/維持期=続いている
  • 期間の目安としては、前熟考期が「6か月以内に変える気がない」、熟考期が6か月以内、準備期が1か月以内、実行期が6か月未満、維持期が6か月以上と説明される。前熟考期だけ期間の定めがない、と覚えないこと
  • 間違えやすいところ: 並びを入れ替えた選択肢は、前熟考期の位置で切れる(「熟考期→前熟考期」「準備期→前熟考期→熟考期」はいずれも誤り)
  • 「準備期→熟考期」「維持期→実行期」も順序が逆
  • 対象者がどのステージにいるかで効果的な働きかけが変わる、というところに実践上の意味がある
出典
  • 出典:ロードアイランド大学Cancer Prevention Research Center「Transtheoretical Model/Detailed Overview」。前熟考期は「今後6か月のうちに行動を起こす意図がない(not intending to take action within the next six months)」段階とされているhttps://web.uri.edu/cprc/transtheoretical-model/detailed-overview/

5段階の帯。段階が変われば、働きかけも変わる

  • 前熟考期:6か月以内に行動を変える気がない→運動をしないことの不利益と、始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供
  • 熟考期:関心はあるがまだ実行していない→意思決定バランス。恩恵を一緒に見つけ、負担を減らす工夫を考える
  • 準備期:近いうちに始めるつもり→具体的なプログラムづくり。開始日と実施日を本人と決める
  • 実行期:始めて間もない→行動変容技法で支える。継続を妨げる要因を洗い出し、逆戻りへの備えを立てる
  • 維持期:続いている→これまで続けてきたことをねぎらい、習慣の維持を支える
  • 間違えやすいところ: ステージは行き来する。逆戻りを失敗ではなく想定内として扱えるのがこのモデルの利点
動画でこの図を見る(01:21)
01:35段階ごとの働きかけ

段階を飛ばした提案は、届かない

  • 前熟考期→情報提供。やらない不利益と、始めた場合の利益に気づいてもらう
  • 開始日を決めて約束させるは準備期〜実行期/ねぎらうは維持期
  • 逆戻りは想定内。ステージは行き来するものとして扱う
  • 前熟考期への働きかけ=運動をしないことの不利益と、始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供
  • 間違えやすいところ: 「具体的な運動プログラムを作成し、開始日と実施日を決めて後戻りは認めないままただちに実行を約束させる」は準備期〜実行期に適したもの。前熟考期に行っても受け入れられない
  • 間違えやすいところ: 「継続を妨げる要因を本人と洗い出し、逆戻りを防ぐ対処法を事前に計画しておく」は実行期〜維持期の課題
  • 間違えやすいところ: 「これまで続けてきたことをねぎらい、習慣の維持を支援していく」は維持期への働きかけ。まだ始めていない段階には当てはまらない
  • まだその気がない人に計画表を渡しても動かない。ステージを飛ばした提案は届かない
02:08意思決定バランス

やる気ではなく、天びんの傾きで見る

  • 意思決定バランス=変えることの恩恵と負担を天びんにかけた釣り合い
  • 前熟考期は負担が勝つ。段階が進むほど恩恵が上回るとされる
  • 意思決定バランス=行動を変えることで得られる恩恵(pros)と、それに伴う負担(cons)を天秤にかけた釣り合い
  • 前熟考期では負担のほうが大きく感じられ、ステージが進むにつれて恩恵が上回っていくとされる
  • 面接では、恩恵を一緒に見つけ、負担を減らす工夫を考えることが有効になる
  • 間違えやすいところ: 取り違えやすい3つ:行動を変えることへの自信の強さ=自己効力感/周囲からどの程度の支援が得られるか=ソーシャルサポート(家族や友人の人数で決まるものでもない)/期限をいつに設定するか=目標設定
  • 「やる気がない」のではなく「負担のほうが大きく見えている」と捉え直せるのが、この概念の使いどころ

②自己効力感3節

02:29自己効力感

4つの情報源。いちばん効くのは「自分でできた」

  • 自己効力感(バンデューラ)=自分にはできそうだという見通し
  • 4つ=遂行行動の達成/代理的経験/言語的説得/生理的・情動的状態
  • いちばん強いのは遂行行動の達成。最初の目標は確実に達成できる大きさにする
  • 自己効力感(セルフエフィカシー・バンデューラ)=自分にはできそうだ、という見通し
  • 情報源4つ:遂行行動の達成(自分で実際にやってみて達成できた経験)/代理的経験(自分と体力の似た他者が達成する様子を見る)/言語的説得(信頼している人からの励ましの言葉)/生理的・情動的状態(運動しているときの身体の感じと、そのときの気分)
  • 間違えやすいところ: 生理的・情動的状態は、心地よさだけを指すのではない。息切れや疲労感、動悸を「自分には無理だ」という意味に受け取ってしまうと自己効力感は下がる。強度を下げる、呼吸が整うまで待つ、感じたことを言葉にしてもらうなど、きつさの受け取り方そのものを扱うのもこの情報源への働きかけ
  • 間違えやすいところ: このうち最も強い影響をもつとされるのが遂行行動の達成。だから運動指導では小さな成功体験を積ませる
  • 代理的経験・言語的説得・生理的/情動的状態も影響はあるが、遂行行動の達成ほど強くない
  • 最初の目標は「確実に達成できる大きさ」にする。達成そのものが次の燃料になる
出典
  • 出典:自己効力感と4つの情報源はBandura(1977)Self-efficacy:Toward a Unifying Theory of Behavioral Change/Bandura(1997)Self-Efficacy:The Exercise of Control
03:092つの理論の見ているところ

段階で見るか、受け取り方で見るか

  • プロチャスカ=ステージモデル/バンデューラ=自己効力感
  • ローゼンストックら=健康信念モデル
  • トランスセオレティカルモデル

    いま変える気がどこまであるかで段階に分け、段階ごとに働きかけを変える

    • 5段階+意思決定バランス
    • いまどこにいるかの見極め
  • 健康信念モデル

    起こりうる・重大だ・効きそう・負担は重くなさそう、の組み合わせで行動が決まる

    • 4つの受け取り方
    • リスクの伝え方を決める場面
  • 変容ステージは5段階(前熟考・熟考・準備・実行・維持)。意思決定バランスは、変えることの利益と負担を並べて見る道具
  • 健康信念モデル:自分にも起こりうると感じる度合い、起きたときの重大さ、対策をとることで得られる利益、対策に伴う負担という受け取り方の組み合わせで、行動が起こるかどうかが決まると考える
  • →運動指導では、リスクを伝えるだけでなく、効果が期待できることと、やってみられる程度の負担であることを同時に扱う
  • 間違えやすいところ: 「脅威の大きさを強く伝えることが中心で、本人が感じる手間や負担は扱う必要が薄い」は誤り。負担は行動を止める側に強く働く欠かせない要素
  • 間違えやすいところ: 「病気についての知識をどれだけ多く伝えられたかで行動が変わる度合いが決まる」も誤り。知識の量と行動は単純には結びつかない
  • 間違えやすいところ: 「過去に同じ行動を続けられた回数で決まり、いまの受け取り方による違いは小さい」も誤り。このモデルが扱うのは、いまの受け取り方
  • 人名との対応:プロチャスカ(とディクレメンテ)=トランスセオレティカルモデル/バンデューラ=自己効力感/健康信念モデルは1950年代のアメリカの公衆衛生の研究から生まれたとされ、ローゼンストックらの名で知られる
  • 間違えやすいところ: 4つ目の中核は「対策に伴う負担(障害性・perceived barriers)」。「やれそう」は自己効力感の訳語なので、ここに置くと別の概念と混ざる
  • 間違えやすいところ: 健康信念モデルは、この4つ(4次元)で説明する資料と、ここに「きっかけ(cues to action)」と自己効力感を加えて6つの構成概念として説明する資料の両方がある。数で切ろうとせず、中身で見分けること
出典
  • 出典:4次元はJanz&Becker(1984)The Health Belief Model:A Decade Later/6構成概念はRosenstock,Strecher&Becker(1988)および米国国立がん研究所Theory at a Glance
03:43動機づけの向き

外からのごほうびは入口。出口は「自分で選んでいる」感覚

  • 外からの動機づけ(ごほうび・評価)は入口。途切れると止まりやすい
  • 移す先は動くことそのものの心地よさ+自分で選んだという感覚
  • ごほうびや周囲の評価など外からの動機づけ(外発的動機づけ)は、始めるきっかけとしては働きやすい。ただし頼り続けると、ごほうびが途切れた時点で行動も止まりやすい
  • 動くことそのものの心地よさや、自分で選んでいるという感覚に支えられる動機づけ(内発的動機づけ)
  • 外からのきっかけで始めた運動が、続けるなかで「自分が決めてやっている」という感覚に支えられた形に移っていくことがある。その移り変わりを支えるのが指導者の役割
  • 本人が自分で選んだと感じられる形にすると、続ける力が高まりやすい
  • 間違えやすいところ: ただし、ごほうびを前面に出しすぎると、もともとあった「やりたい」気持ちを弱めることがあるとされる。ごほうびは補助にとどめ、本人が自分の価値として選べる形に寄せていく
  • 間違えやすいところ: 外からの動機づけが、そのまま内発的動機づけに変わるとは限らない。自己決定理論では、外発的動機づけのなかで自分の価値と重なるほど自律的な形(同一化・統合)に近づく、という道筋で説明される
  • 間違えやすいところ: 「外からのごほうびを用意し続ければ、本人の関心の向きは問わずに行動が続く」は適切でない
  • 体重や数値のためという理由を否定する必要はない。そこに、動くことそのものの心地よさを足していく
出典
  • 出典:自己決定理論はDeci&Ryan/有形で随伴的な報酬が内発的動機づけを下げうることはDeci,Koestner&Ryan(1999)の128実験のメタ分析(効果量d=-0.28〜-0.40)

③行動変容技法4節

04:15行動変容技法

いじるのは、きっかけか、行動そのものか、あとか

  • 刺激統制法=起こりやすいきっかけを整え、妨げになるきっかけを取り除く
  • 行動置換法=行動そのものを差し替える(間食したくなったら散歩に出る)
  • オペラント強化=行動のあとを変える(できた日にその場で印・ごほうび)
  • 刺激統制法:行動が起こりやすくなる環境のきっかけを整え(運動着を前夜に出しておく、通り道にジムを選ぶ)、妨げになるきっかけを取り除く(お菓子を目につく場所に置かない)
  • →意志を強くするのではなく、環境を変える技法
  • 行動置換法:変えたい行動が起こりそうな場面で、両立しない別の行動をあらかじめ決めておき、そちらに置き換える(間食をしたくなったら代わりに散歩に出る)。我慢の量を増やすのではない
  • オペラント強化:行動のあとに起こることを変えて、その行動を増やす(できた日にその場でカレンダーに印をつける、ひと月続いたらごほうびを用意する)
  • 間違えやすいところ: 強化は即時・随伴が原則。できた直後に置くほうが行動と結びつきやすく、ひと月後のごほうびは遅延強化で結びつきが弱まる。小さな即時の印と、先のごほうびを組み合わせる
  • 間違えやすいところ: この3つは取り違えやすい。きっかけを変える=刺激統制法/行動そのものを差し替える=行動置換法/あとを変える=オペラント強化
  • 「周囲の人に目標を宣言し、後に引けない状況をつくる」は目標宣言や行動契約にあたり、刺激統制法ではない
  • 周囲への宣言は、トランスセオレティカルモデルの変容プロセスでは「自己の解放(self-liberation)」と呼ばれる
  • 間違えやすいところ: ここで扱うのは、運動の継続に関わる行動と受け取り方の範囲。指導者は心理療法や診断は行わず、必要な場合は医療職につなぐ

6つの技法。どこをいじるかで引く

  • 刺激統制法=きっかけ(行動の前の環境)をいじる→運動着と靴を前夜に玄関へ出す/お菓子を目につく場所に置かない
  • 行動置換法=行動そのものを差し替える→間食したくなったら代わりに散歩に出る
  • オペラント強化=行動のあとに起こることをいじる→できた日にその場で印をつける/ひと月続いたらごほうび(強化は即時・随伴が原則)
  • セルフモニタリング=記録して自分で見る→間食した日数を手帳に書き出し、目標とのずれをその日のうちにつかむ
  • 行動契約=書き出して取り交わす→本人が決めた目標と達成したときの扱いを文書にし、本人と支援者で取り交わす
  • 認知再構成=考え方そのものを扱う→「1回休んだらもう台無し」という受け取り方を見直してもらう
  • 間違えやすいところ: 技法は、6語(きっかけ・行動そのもの・あと・記録・書面・考え方)で引けば取り違えない。具体例から技法名を当てる形で練習しておくとよい
動画でこの図を見る(04:56)
05:09記録と、書いて取り交わすこと

記録は本人の鏡。契約は本人が決めて書き出す

  • セルフモニタリング=本人が記録する。記録そのものが行動を変える
  • 機器の値だけ/不備を指摘する材料にすると、その働きを失う。記録は本人の鏡
  • 行動契約=①本人が決めた目標と達成したときの扱いを②書き出して取り交わす
  • セルフモニタリング:本人が自分の行動と結果を記録して客観的に把握する方法。記録するという行為そのものが行動を変える働きをもつことが知られている
  • 間違えやすいところ: 「記録の正確さを保つため、本人には書かせず測定機器が自動で取得した値だけを用いる」は、値の正確さは上がっても、自分で書き留めるという働きを失う
  • 間違えやすいところ: 「指導者が対象者の生活を管理し、記録の不備を指摘して改めさせる材料になる」は、本人の主体性を損ない記録が続かなくなる
  • 間違えやすいところ: 「記録すること自体によって運動時の消費エネルギーが直接増える」は誤り
  • 行動契約:本人が決めた具体的な目標と、達成したときの扱いを文書にして、本人と支援者で取り交わす技法。要点は「本人が決める」と「書き出して取り交わす」の2つ
  • 間違えやすいところ: 指導者が定めた目標を伝え、守れなかった場合の罰まで決めるのは、決める主体が入れ替わっており、罰は取り組みを避ける方向に働く
  • 間違えやすいところ: 達成の有無だけを書いて実行日や回数を本人の都合に任せると、達成の判断ができず契約の形だけが残る。口頭だけでは後から双方で見返せない
05:45考え方を扱う

「もう台無し」を残すと、次の中断で同じことが起きる

  • 「もう台無しだから意味がない」=全か無かの受け取り方。再開を妨げる
  • →積み上げは残っていると確かめ、受け取り方を見直す(認知再構成)
  • 一度の中断で全部が無駄になったと受け取る考え方(全か無かの受け取り方)は、行動の再開を妨げる代表的な受け取り方
  • 実際には積み上げてきた効果や習慣は残っているので、その事実を一緒に確かめて受け取り方を見直してもらう=認知再構成
  • 間違えやすいところ: 「台無しになってしまったことを一緒に振り返り、次からは休まないと約束してもらう」は、台無しという受け取り方をそのまま認めたうえで意志の強さに委ねる形になり、次に休んだときに同じ考え方が戻ってくる
  • 間違えやすいところ: 「中断した日の出来事を書き出してもらい、面談のための記録に残す」は、記録は残っても考え方はそのままで、再開のきっかけになりにくい
  • 間違えやすいところ: 「受け取り方には触れずに、運動の種目を変えて気分を切り替えてもらう」は、その場はしのげても考え方が手つかずで残る
  • 扱うのは運動の内容ではなく、全か無かの考え方そのもの
  • 間違えやすいところ: ここで扱うのは、運動の継続に関わる受け取り方の範囲。指導者は心理療法や診断は行わず、気分の落ち込みが続くなど治療が必要と思われる場合は医療職につなぐ

④中断したとき4節

06:08中断したとき

責めない。取り戻させない。再開の計画に使う

  • 中断は起こりうるもの。きっかけを振り返って再開の計画に反映する
  • 意志が弱いと伝える/負荷を上げて取り戻させる→自己効力感の低下と再中断
  • 申し出があるまで関わらない→再開の機会を失わせる
  • 行動変容では一時的な逆戻りが起こりうるものとして想定されている。中断を失敗として責めるのではなく、そのきっかけを一緒に振り返って再開の計画に反映する
  • 間違えやすいところ: 「中断の原因は本人の意志が弱いと伝え、中断しないよう約束させて再開する」は自己効力感を下げ、再開をかえって難しくする
  • 間違えやすいところ: 「中断前より負荷の高い計画を立て、遅れを取り戻させる」は傷害のリスクを高め、再び中断する原因になる
  • 間違えやすいところ: 「中断した時点で指導を終了し、本人から申し出があるまで関わらない」は再開の機会を失わせる
  • なぜ止まったかを次の設計に使えるかどうかで差がつく
06:43周りの人

支援は、もらうだけでなく「引き出す」もの

  • ソーシャルサポート=家族や仲間の励まし・協力・一緒に運動する人
  • 効くのは日常を共にする人の関わり。競わせるのが唯一の支援は誤り
  • 家族の予定で削られる→伝える言い方を本人と一緒に考えて練習する
  • ソーシャルサポート:家族や仲間からの励まし、時間の都合をつける協力、一緒に運動する仲間の存在などを通じて、運動を妨げる要因を減らし継続を支える
  • 間違えやすいところ: 「周囲の人に運動を任せることで本人の負担を減らす」は誤り。運動は本人が行うもの
  • 間違えやすいところ: 「成果を競わせて順位をつけることが継続を支える唯一の支援である」は誤り。競争は一部の人には有効でも、意欲を損なう人もいる
  • 間違えやすいところ: 「支援は専門知識をもつ指導者のものだけが有効で、家族や仲間の関与は効果が限られる」も誤り。日常生活を共にする人の関与は継続に強く影響する
  • 家族の予定で運動が削られる場合:運動の時間を確保したい理由を家族に伝える言い方を、本人と一緒に考えて練習する。場面が変わっても使える
  • 間違えやすいところ: 指導者が文面にして渡し本人が読み上げる形は、その場は収まっても伝える力が本人に残らない。目標そのものを下げる/睡眠を削って時間をつくるのも勧められない
  • 聴き方そのもの(傾聴・受容・自己一致といったカウンセリングの基本姿勢)は第14章の範囲。ロジャーズの3条件(受容=無条件の肯定的関心/共感的理解/自己一致)は第14章「まず聴く。範囲を超えたら、つなぐ」に出てくる。この章は、行動をどう変えるかの側
07:22最初の一歩

身体活動=生活活動+運動

  • ガイド2023:身体活動=生活活動+運動。時間がなくても取りかかれる
  • →生活活動を数分ずつ積み上げる形から始める
  • ガイド2023では、身体活動は生活活動と運動の両方を含むとされる。まとまった運動の時間が取れない段階では、通勤や家事などの生活活動を数分ずつ積み上げる形から入る
  • 「今より少しでも多く動かす」という方向に沿って始められる(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023・厚生労働省)
  • 間違えやすいところ: 「週末にまとめて長時間の運動を行い、平日は身体を動かさない日としてよい」は、運動習慣のない段階では一度の負担が大きく傷害のリスクが上がること、座りっぱなしの日が増えることから、最初の提案としては適さない。ガイド2023は「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する」「今よりも少しでも多く身体を動かす」としている
  • 間違えやすいところ: ただし「量が同じでも健康効果が落ちる」とまでは言えない。総量が同じであれば、週1〜2回にまとめた形(weekend warrior型)でも全死亡や心血管疾患のリスク低減は分散型とほぼ同等だったとする大規模な研究がある。勧めない理由は、効果の大小ではなく、始めたばかりの人には一度の負担と座りっぱなしの日が重いこと
  • 間違えやすいところ: 「はじめから高い強度の運動を短時間」は、運動習慣のない段階では傷害や事故のリスクが高く、最初の提案には適さない
  • 間違えやすいところ: 「時間が取れるようになるまで待ち、生活の見直しは次の機会に回す」は先送りで、関心が薄れてしまう
  • 運動の時間が取れないことと、身体活動を増やせないことは別の話
出典

同じ「続かない」に見えて、手が違う

  • 「まとまった時間が取れない」→扱うのは身体活動の中身。生活活動を数分ずつ積み上げる形から始める
  • 「家族の予定が入ると削ってしまう」→扱うのは伝え方。確保したい理由を家族に伝える言い方を本人と一緒に考えて練習する
  • 「一度休んだらもう台無し」→扱うのは受け取り方。積み上げは残っていることを一緒に確かめ、考え方を見直してもらう(認知再構成)
  • 間違えやすいところ: どれも訴えは「続かない」だが、手を入れる場所が違う。運動の内容を変える/目標を下げる/意志の強さに委ねるでは、どの場面も解けない
動画でこの図を見る(07:55)
08:10覚えて帰る4つ

この章の要点

  • 前熟考→熟考→準備→実行→維持。段階ごとに働きかけを変える
  • 意思決定バランス=恩恵と負担の天びん。自己効力感の最強は遂行行動の達成
  • 技法はきっかけ・行動そのもの・あと・記録・書面・考え方の6語で引く
  • 逆戻りは想定内。中断は責めずに再開の計画へ。支援は引き出す

読んだら、解いて確かめる

聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。

運動行動変容の理論と実際を15問で解く

Other subjects

健康運動指導士の板書(公式テキストの章立て順)。

公式テキストの本文は使っていません。章題とページ数は目次から転記した事実、内容は公的機関の公開資料と教科書水準の一般知識にもとづいています。章ごとの出題数は公表されていません。