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運動行動変容の理論と実際8問・正解と解説つき

健康運動指導士 ・ 公式テキスト第13章 ・ 分量 3%

行動変容の理論、行動変容理論の実践的適用、行動変容を意図したプログラム開発およびカウンセリングの実習。

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  1. トランスセオレティカルモデル(行動変容ステージモデル)のステージの並びとして正しいものはどれか。

    • 1前熟考期 → 準備期 → 熟考期 → 維持期 → 実行期
    • 2前熟考期 → 熟考期 → 準備期 → 実行期 → 維持期正解
    • 3熟考期 → 前熟考期 → 準備期 → 実行期 → 維持期
    • 4準備期 → 前熟考期 → 熟考期 → 実行期 → 維持期

    Answer

    正解 2前熟考期 → 熟考期 → 準備期 → 実行期 → 維持期

    トランスセオレティカルモデルでは、行動を変える気がない前熟考期、関心はあるがまだ実行していない熟考期、近いうちに始めるつもりの準備期、始めて間もない実行期、続いている維持期という順でステージが進むと考える。対象者がどのステージにいるかによって効果的な働きかけが変わる点に実践上の意味がある。「熟考期 → 前熟考期」「準備期 → 前熟考期 → 熟考期」はいずれも前熟考期の位置が誤っている。「準備期 → 熟考期」「維持期 → 実行期」の並びも順序が逆である。

    HINT ステージは行き来する。逆戻りを失敗ではなく想定内として扱えるのがこのモデルの利点。

  2. 前熟考期にある対象者への働きかけとして最も適切なものはどれか。

    • 1運動をしないことの不利益と、始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供を行う正解
    • 2具体的な運動プログラムを作成し、ただちに実行を約束させる
    • 3継続を妨げる要因を洗い出し、再発を防ぐ計画を立てる
    • 4これまで続けてきたことをねぎらい、習慣の維持を支援する

    Answer

    正解 1運動をしないことの不利益と、始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供を行う

    前熟考期は行動を変える気がない段階なので、運動をしないことの不利益と始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供が中心になる。「具体的な運動プログラムを作成し、ただちに実行を約束させる」は準備期から実行期に適した働きかけで、前熟考期に行っても受け入れられない。「継続を妨げる要因を洗い出し、再発を防ぐ計画を立てる」は実行期から維持期の課題である。「これまで続けてきたことをねぎらい、習慣の維持を支援する」は維持期への働きかけであり、まだ始めていない段階には当てはまらない。

    HINT ステージを飛ばした提案は届かない。「まだその気がない人」に計画表を渡しても動かない。

  3. 自己効力感(セルフエフィカシー)を高める情報源として、一般に最も強い影響をもつとされるものはどれか。

    • 1自分と似た他者が達成する様子を見ること
    • 2周囲から励ましの言葉をかけられること
    • 3運動中の心地よい身体感覚を味わうこと
    • 4自分で実際にやってみて達成できたという経験正解

    Answer

    正解 4自分で実際にやってみて達成できたという経験

    自己効力感の情報源には、遂行行動の達成(自分で実際にやってみて達成できた経験)、代理的経験(似た他者が達成する様子を見ること)、言語的説得(励ましの言葉)、生理的・情動的状態(身体感覚)の4つがあり、このうち最も強い影響をもつとされるのが遂行行動の達成である。運動指導で小さな成功体験を積ませるのはこのためである。「自分と似た他者が達成する様子を見ること」は代理的経験、「周囲から励ましの言葉をかけられること」は言語的説得、「運動中の心地よい身体感覚を味わうこと」は生理的・情動的状態にあたり、いずれも影響はあるが遂行行動の達成ほど強くない。

    HINT だから最初の目標は「確実に達成できる大きさ」にする。達成そのものが次の燃料になる。

  4. 行動変容技法のうち「刺激統制法」の説明として正しいものはどれか。

    • 1行動を実行できたときに自分にごほうびを与える
    • 2自分の行動や体重を記録して、経過を自分で確認する
    • 3周囲の人に宣言することで、実行せざるをえない状況をつくる
    • 4行動が起こりやすくなる環境のきっかけを整え、妨げになるきっかけを取り除く正解

    Answer

    正解 4行動が起こりやすくなる環境のきっかけを整え、妨げになるきっかけを取り除く

    刺激統制法は、行動が起こりやすくなる環境のきっかけを整え(運動着を前夜に出しておく、通り道にジムを選ぶ)、妨げになるきっかけを取り除く(お菓子を目につく場所に置かない)技法である。「行動を実行できたときに自分にごほうびを与える」はオペラント強化にあたる。「自分の行動や体重を記録して、経過を自分で確認する」はセルフモニタリングである。「周囲の人に宣言することで、実行せざるをえない状況をつくる」は目標宣言や行動契約にあたる。

    HINT 意志を強くするのではなく、環境を変える技法。意志に頼らない設計は健康日本21第三次の発想とも重なる。

  5. セルフモニタリングを運動指導に取り入れる意義として最も適切なものはどれか。

    • 1記録の正確さを保つため、測定機器が自動で取得した値だけを用いる
    • 2本人が自分の行動と結果を客観的に把握でき、それ自体が行動を変える働きをもつ正解
    • 3指導者が対象者を管理し、記録の不備を指摘するための材料になる
    • 4記録することで運動の消費エネルギーが増える

    Answer

    正解 2本人が自分の行動と結果を客観的に把握でき、それ自体が行動を変える働きをもつ

    セルフモニタリングは、本人が自分の行動と結果を記録して客観的に把握する方法で、記録するという行為そのものが行動を変える働きをもつことが知られている。「指導者が対象者を管理し、記録の不備を指摘するための材料になる」は、本人の主体性を損ない記録が続かなくなる。「記録することで運動の消費エネルギーが増える」は誤りで、記録自体に消費エネルギーを増やす作用はない。「記録の正確さを保つため、測定機器が自動で取得した値だけを用いる」は、値の正確さは上がっても、自分で書き留めるという行為そのものがもつ行動を変える働きを失ってしまう。

    HINT 記録は「提出物」ではなく「本人の鏡」。管理の道具にした瞬間に続かなくなる。

  6. 運動の継続におけるソーシャルサポートの働きとして最も適切なものはどれか。

    • 1家族や仲間からの励ましや協力が、運動を妨げる要因を減らし継続を支える正解
    • 2周囲の人に運動を任せることで、本人の負担を減らす
    • 3周囲の人と成果を競わせることが、唯一の有効な支援である
    • 4支援は指導者からのものだけが有効で、家族や仲間の関与は効果がない

    Answer

    正解 1家族や仲間からの励ましや協力が、運動を妨げる要因を減らし継続を支える

    ソーシャルサポートは、家族や仲間からの励まし、時間の都合をつける協力、一緒に運動する仲間の存在などを通じて、運動を妨げる要因を減らし継続を支える。「周囲の人に運動を任せることで、本人の負担を減らす」は誤りで、運動は本人が行うものである。「周囲の人と成果を競わせることが、唯一の有効な支援である」は誤りで、競争は一部の人には有効でも、意欲を損なう人もいるため唯一の方法ではない。「支援は指導者からのものだけが有効で、家族や仲間の関与は効果がない」も誤りで、日常生活を共にする人の関与は継続に強く影響する。

    HINT 通いの場のような集団の取り組みが効くのも、このつながりの働きによる部分が大きい。

  7. 運動を中断してしまった対象者への対応として最も適切なものはどれか。

    • 1中断した時点で指導を終了し、本人から申し出があるまで関わらない
    • 2中断前より負荷の高い計画を立て、遅れを取り戻させる
    • 3中断は起こりうるものとして受け止め、きっかけを一緒に振り返って再開の計画を立てる正解
    • 4意志が弱いことが原因であると伝え、次は中断しないよう強く約束させる

    Answer

    正解 3中断は起こりうるものとして受け止め、きっかけを一緒に振り返って再開の計画を立てる

    行動変容では一時的な逆戻りが起こりうるものとして想定されており、中断を失敗として責めるのではなく、そのきっかけを一緒に振り返って再開の計画に反映することが有効である。「意志が弱いことが原因であると伝え」は自己効力感を下げ、再開をかえって難しくする。「中断した時点で指導を終了し、本人から申し出があるまで関わらない」は再開の機会を失わせる。「中断前より負荷の高い計画を立て、遅れを取り戻させる」は傷害のリスクを高め、再び中断する原因になる。

    HINT 逆戻りは織り込み済み。「なぜ止まったか」を次の設計に使えるかどうかで差がつく。

  8. 行動変容における「意思決定バランス」の説明として正しいものはどれか。

    • 1行動を変える自信の強さを表す指標で、過去の成功体験の数で決まる
    • 2周囲からどの程度の支援が得られるかを表す指標で、家族の人数で決まる
    • 3行動を変える期限をいつに設定するかという、計画上の時間配分を指す
    • 4行動を変えることの恩恵と負担を天秤にかけた釣り合いで、ステージが進むほど恩恵が上回る正解

    Answer

    正解 4行動を変えることの恩恵と負担を天秤にかけた釣り合いで、ステージが進むほど恩恵が上回る

    意思決定バランスは、行動を変えることで得られる恩恵(pros)と、それに伴う負担(cons)を天秤にかけた釣り合いを指す。前熟考期では負担のほうが大きく感じられ、ステージが進むにつれて恩恵が上回っていくとされるため、面接では恩恵を一緒に見つけ、負担を減らす工夫を考えることが有効になる。「行動を変える自信の強さを表す指標」は自己効力感の説明である。「周囲からどの程度の支援が得られるか」はソーシャルサポートの説明で、家族の人数で決まるものでもない。「行動を変える期限をいつに設定するか」は目標設定の話であり、意思決定バランスとは別である。

    HINT 「やる気がない」のではなく「負担のほうが大きく見えている」と捉え直せるのがこの概念の使いどころ。

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