健康管理概論の板書
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第1章「健康管理概論」
この章は、健康の概念とヘルスプロモーション、保健統計と疫学の見方、健診と保健指導、地域保健と介護の仕組み、個人情報の扱いを扱います。章ごとの出題数も章ごとの分量も公表された数字がないので、重さの目安は示していません。
数えるのは、この3つ
成人病から生活習慣病へ
平成8年(1996年)
特定健康診査の対象
40〜74歳
特定保健指導の階層化
4ステップ
- 成人病から生活習慣病への言い換えは平成8年(1996年)。「加齢によるもの」ではなく「生活習慣で予防できるもの」と示すための変更
- 特定健康診査の対象は40歳以上75歳未満(40〜74歳)。高齢者の医療の確保に関する法律にもとづく医療保険者の事業
- 階層化はステップ1からステップ4まで。65歳以上75歳未満は、積極的支援の基準に当たっても動機付け支援になる
出典
- 出典:公式テキストおよび高齢者の医療の確保に関する法律・特定健康診査等実施計画
①健康のとらえ方4節
オタワとバンコク。違いは、ひとことだけ
- オタワ憲章(1986)=自らの健康をコントロールし改善する過程
- バンコク憲章(2005)=健康とその決定要因をコントロールし改善する過程
- 混ざりやすいのは「その決定要因」。オタワの定義には無い
- オタワ憲章(1986):ヘルスプロモーション=人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにする過程。健康を「目的」ではなく「日々の暮らしの資源」と位置づけた
- バンコク憲章(2005):「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにする過程」。「その決定要因」が加わっている
出典
- 出典:WHOオタワ憲章(1986)/WHOバンコク憲章(2005)
オタワとバンコク。足されたのは一語
- 1986オタワ憲章:人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにする過程
- 2005バンコク憲章:人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにする過程
- ▲間違えやすいところ: 違いは「その決定要因」の一語だけ。年と一語の組で押さえる
動画でこの図を見る(01:16)言い換えたのは、予防できると示すため
- 平成8年に成人病→生活習慣病。加齢ではなく習慣に着目
- 習慣は食・運動・休養・喫煙・飲酒。ただし遺伝も環境も関与
- 本人の責任と伝えるのは誤り。受診も相談も遠ざける
- 生活習慣病:食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が発症や進行に関与する疾患群
- 平成8年の公衆衛生審議会の意見具申で「成人病」に代えて導入された呼称
- 発症には遺伝的な要因や、住まい・職場などの外部環境の要因も関与する。生活習慣だけで決まるわけではない
出典
ICFは「できないこと」の一覧ではない
- ICF=心身機能・身体構造/活動/参加+環境因子・個人因子
- 前身のICIDHは、機能障害→能力障害→社会的不利と失われた面を並べた
- ヘルスリテラシー=入手・理解・評価・活用の4つでひとつの力
- ICF(国際生活機能分類・2001年WHO総会で採択):心身機能・身体構造/活動/参加の3水準でとらえ、環境因子と個人因子の影響を加えて記述する
- 前身のICIDH(国際障害分類):機能障害→能力障害→社会的不利の順に、失われた面を記述した
- ヘルスリテラシー:情報を入手し、理解し、信頼できるかを評価し、生活で活用する力。4つそろってひとつの力
出典
- 出典:WHO国際生活機能分類(ICF・2001年のWHO総会で採択。日本語版は厚生労働省が公表)/ヘルスリテラシーの4要素(入手・理解・評価・活用)はSørensen Kらの定義(BMC Public Health,2012)
②統計の見方1節
健康寿命は、本人の申告から出している
- 健康寿命=国民生活基礎調査の「日常生活に制限のない期間の平均」
- もとは本人の自覚。受療や介護認定のデータではない
- 年齢調整死亡率=基準人口の年齢構成にそろえ直した死亡率
- 健康寿命(健康日本21(第三次)の主指標):国民生活基礎調査の設問をもとに算定した「日常生活に制限のない期間の平均」。本人の申告にもとづく主観的な指標で、平均寿命との差が「不健康な期間」
- 別の算定法:介護保険の認定データによる「日常生活動作が自立している期間の平均」(市町村単位でも算定できる)
- 年齢調整死亡率:基準人口の年齢構成にそろえ直した死亡率。わが国では令和2年の算定から「平成27年モデル人口」を基準人口としている
出典
- 出典:厚生労働省人口動態統計/国民生活基礎調査/健康日本21(第三次)(令和6年度〜令和17年度)
③健診と保健指導5節
健診と検診。分かれ目は、リスクか疾患そのものか
- 検診=主に現在の疾患自体を確認する検査群(がん検診・結核検診)
- 健診=主に将来の疾患のリスクを確認する検査群
- 値の推移を追い行動変容につなげることまで含む
- 実施主体・検査方法・症状の有無では分かれない
- 検診:主に現在の疾患自体を確認する検査群。特定の疾患そのものを発見して、必要な治療につなげることを主な目的とする(がん検診・結核検診など)
- 健診:主に将来の疾患のリスクを確認する検査群。疾病を発見して治療や保健指導につなげるだけでなく、値の推移を経時的に把握して行動変容につなげることまでを目的に含む
- 実施主体・検査方法・症状の有無では分かれない。どちらも症状が出る前の段階で拾い上げるスクリーニングの性格をもつ
出典
感度と特異度は、分母で見分ける
- 感度=疾患がある人のうち、陽性と判定される割合
- 特異度=疾患がない人のうち、陰性と判定される割合
- 陽性反応適中度=陽性と出た人のうち、実際に疾患がある割合
- 感度:疾患がある人のうち、検査で陽性と判定される人の割合(見落としの少なさ)
- 特異度:疾患がない人のうち、検査で陰性と正しく判定される人の割合
- 陽性反応適中度:検査で陽性と判定された人のうち、実際に疾患がある人の割合。対象集団の有病率で値が動く
- 陽性率(集団全体のうち陽性と判定された人の割合)は検査の精度ではない
出典
分母がどこか。それだけで見分けられる
- 縦に見る:感度=疾患がある人が分母/特異度=疾患がない人が分母
- 横に見る:陽性反応適中度=陽性と判定された人が分母
- ▲間違えやすいところ: 感度を上げると見落としは減るが、疾患のない人を陽性と判定する数が増える。基準は特異度との兼ね合いで決める
動画でこの図を見る(04:18)分布をずらすか、裾を摘むか
- ポピュレーション=集団全体に働きかけ、危険因子の分布をずらす
- ハイリスク=基準を超えた人を抽出し重点的に介入。両方組み合わせる
- ポピュレーションアプローチ:集団全体に働きかけ、危険因子の分布そのものを望ましい方向へずらす。一人あたりの効果は小さくても対象が大きいので、集団全体の発症数の減少は大きくなりうる(予防のパラドックス)
- ハイリスクアプローチ:基準を超えた者を抽出して重点的に介入する。対象は絞られるが一人あたりの効果は大きい。遺伝的素因の強い家系に絞るのもこちら
- 両者は対立ではなく組み合わせて使う。国の健康づくり施策では、健康日本21(第三次)の環境整備がポピュレーション側、特定保健指導がハイリスク側にあたる
- 特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律にもとづく医療保険者の事業であり、健康日本21(第三次)の事業ではない。健康日本21が特定保健指導を実施している、という説明は主体を取り違えている
出典
- 出典:健康日本21(第三次)(令和6年度〜令和17年度・厚生労働省)/高齢者の医療の確保に関する法律/Rose G「Sick Individuals and Sick Populations」(1985・予防のパラドックス)
4つのステップで決まる
- 特定健康診査は40〜74歳。階層化は4ステップ
- ①腹囲/BMI→②追加リスク→③支援レベル
- ④65歳以上75歳未満は、積極的支援でも動機付け支援へ
- 血圧・血糖・脂質の服薬中は対象外。かかりつけ医のもとにいる
- ステップ1:腹囲(男性85cm以上・女性90cm以上)またはBMI25以上で内臓脂肪蓄積のリスクを判定
- ステップ2:血糖・脂質・血圧の検査結果と、質問票の喫煙歴から追加リスクを数える(喫煙歴は他の追加リスクが1つ以上あるときに数える)
- ステップ3(階層化):(1)腹囲が基準以上なら、追加リスク2つ以上=積極的支援/1つ=動機付け支援/0=情報提供レベル。(2)腹囲は基準未満でBMI25以上なら、3つ以上=積極的支援/1〜2つ=動機付け支援/0=情報提供レベル
- ステップ4(例外的対応):65歳以上75歳未満の者は、積極的支援の対象となった場合でも動機付け支援とする
- 血圧・血糖・脂質の薬を服用している者は、特定保健指導の対象にならない(継続的に医療機関を受診しているため)
出典
- 出典:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版・厚生労働省)p.57-58
④制度と現場4節
分かれ目は年齢ではなく、担う機能
- 保健所=広域的・専門的・技術的な拠点(基本指針)。食品衛生・人口動態統計も
- 市町村保健センター=住民に身近な保健サービス(健康相談・健康診査)
- 地域包括支援センター=市町村が設置。基本の4業務
- いまは在宅医療・介護連携/生活支援/認知症支援も。判定は担わない
- 保健所:地域保健法第6条は、食品衛生・環境衛生の監視、人口動態統計その他地域保健に関する統計など、保健所が企画・調整・指導と事業を行う事項を列挙している
- 「広域的、専門的かつ技術的拠点」という位置づけは、地域保健法第4条にもとづく厚生労働大臣告示「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の表現。地域保健法の条文にこの言い回しはない
- 市町村保健センター:住民に身近で利用頻度の高い保健サービス(健康相談・健康診査・保健指導)を提供する施設
- 地域包括支援センター:市町村が設置主体の地域包括ケアの中核機関。総合相談支援/権利擁護/包括的・継続的ケアマネジメント支援/介護予防ケアマネジメントが従来からの基本4業務。現在はこれに在宅医療・介護連携の推進、生活支援体制の整備、認知症の総合支援も加わっている。保健師・主任介護支援専門員・社会福祉士などを配置
- 要介護認定の判定は担わないが、認定の申請手続は代行できる(介護保険法第27条第1項)
- いずれも対象年齢で分かれているのではなく、担う機能で分かれている
出典
- 出典:地域保健法(第4条・第6条・第18条)/「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(厚生労働大臣告示)/介護保険法第27条第1項・第115条の45第2項・第115条の46
どこが何をするか。3つの機関の分担
- 保健所:広域と専門。食品衛生・環境衛生の監視、人口動態統計、市町村への支援
- 市町村保健センター:身近な対人サービス。健康相談・健康診査・保健指導
- 地域包括支援センター:高齢者の相談と調整。基本の4業務に、在宅医療・介護連携/生活支援体制整備/認知症総合支援が加わる。要介護認定の判定や診療内容の指示は担わない(認定申請の手続は代行できる)
動画でこの図を見る(06:42)一次はコンピュータ、二次は審査会
- 申請→認定調査+主治医意見書→一次=コンピュータ→二次=審査会
- 認定して通知するのは市町村。主治医は意見を出す側で、決める側ではない
- 一般介護予防事業は65歳以上の全員。認定の有無を問わない
- 要介護認定:市町村への申請→認定調査員の調査と主治医意見書→コンピュータによる一次判定→介護認定審査会の二次判定→市町村が認定して通知
- 主治医意見書は一次判定と審査会の資料として、認定の前に用いる。主治医が要介護度を決めるのではない
- 介護予防・日常生活支援総合事業は2階建て。介護予防・生活支援サービス事業(要支援者等が対象)と、一般介護予防事業(第1号被保険者=65歳以上の全員とその支援に関わる者が対象・認定の有無を問わない)
- 要介護認定の申請は、本人・家族のほか、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者などが代行できる(介護保険法第27条第1項)
出典
- 出典:介護保険法第27条(要介護認定の申請と手続)/第115条の45(介護予防・日常生活支援総合事業)/第115条の46(地域包括支援センター)
健診の結果は、ふつうの個人情報より重い
- 健診結果・診療情報・病歴は要配慮個人情報。取得も提供も原則本人の同意
- 目的の変更は通知または公表。発表は特定されない形+事前の同意
- 健診結果・診療情報・病歴は「要配慮個人情報」。取得も第三者提供も原則として本人の同意が必要
- 利用目的はあらかじめ特定して本人に通知または公表し、その範囲で利用する。目的を変更した場合は改めて通知または公表が必要
- 退会しても本人を識別できる限り個人情報であり続ける。利用しなくなった情報は遅滞なく消去するよう努める
- 測定結果の発表は、個人が特定されない形への加工と、事前の説明・同意の両方が必要
出典
- 出典:個人情報の保護に関する法律/医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(個人情報保護委員会・厚生労働省)
この章の要点
- 「その決定要因」はバンコク(2005)。オタワ(1986)には無い
- 分母を見る:感度=疾患がある人/特異度=疾患がない人/適中度=陽性と出た人
- 健康寿命は本人の申告(国民生活基礎調査)。受療のデータではない
- 決めて通知するのは市町村。主治医は意見を出す側
読んだら、解いて確かめる
聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。
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