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運動プログラムの実際27問・正解と解説つき

健康運動指導士 ・ 公式テキスト第11章 ・ 分量 11%

運動プログラム作成の基本、健診結果・安静時心電図の読み方(波形の成り立ち・心拍数の算出・不整脈・ST下降)、メディカルチェックの重要性とリスク層別化、服薬者の運動プログラム作成上の注意(ドーピング防止を含む)、生活習慣病に対する運動療法プログラム作成実習(糖尿病・肥満・高血圧・脂質異常症)。

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  1. 運動プログラムの構成要素として、一般に「FITT」と呼ばれるものの組み合わせはどれか。

    • 1食事・運動・休養・喫煙
    • 2目標・計画・実行・評価
    • 3頻度・強度・時間・種類正解
    • 4柔軟性・筋力・持久力・調整力

    Answer

    正解 3頻度・強度・時間・種類

    運動プログラムの基本的な構成要素は、頻度(Frequency)・強度(Intensity)・時間(Time)・種類(Type)の4つで、頭文字をとってFITTと呼ばれる。対象者の目的と状態に応じてこの4つを組み立てる。「柔軟性・筋力・持久力・調整力」は行動体力の要素であり、プログラムの構成要素ではない。「食事・運動・休養・喫煙」は生活習慣の領域を並べたもので、運動プログラムの設計軸ではない。「目標・計画・実行・評価」は業務の進め方の枠組みであり、運動の条件を表すものではない。

    HINT 強度を上げにくい対象者には、頻度と時間で量を確保する。4つのうちどれを動かすかを考える枠組み。

  2. 運動習慣のない中高年者に対する運動プログラムの立ち上げ方として最も適切なものはどれか。

    • 1本人が楽と感じる強度のまま、期間を通じて一切変更しない
    • 2低い強度と短い時間から始め、まず頻度と時間を確保してから強度を上げていく正解
    • 3早く効果を出すため、最初から高い強度で短時間の運動を行う
    • 4強度と時間と頻度を同時に大きく引き上げ、短期間で目標に到達させる

    Answer

    正解 2低い強度と短い時間から始め、まず頻度と時間を確保してから強度を上げていく

    運動習慣のない中高年者では、低い強度と短い時間から始め、まず頻度と時間を確保して運動を生活に定着させてから強度を上げていくのが安全で、継続にもつながる。「最初から高い強度で短時間の運動を行う」は、整形外科的な傷害と心血管系の事故のリスクが高く、中断の原因にもなる。「強度と時間と頻度を同時に大きく引き上げ」は漸進性の原則に反する。「本人が楽と感じる強度のまま、期間を通じて一切変更しない」は過負荷の原理を満たさなくなり、やがて適応が起こらなくなる。

    HINT 最初の関門は「続くかどうか」。強度を上げるのは習慣が定着してからでよい。

  3. 包括的な運動プログラムに含めるべき要素として最も適切なものはどれか。

    • 1有酸素性運動のみを行い、筋力と柔軟性の要素は含めない
    • 2レジスタンス運動のみを行い、持久力と柔軟性の要素は含めない
    • 3対象者が好む1種目のみを、期間を通じて変えずに行う
    • 4有酸素性運動、レジスタンス運動、柔軟性の運動を組み合わせる正解

    Answer

    正解 4有酸素性運動、レジスタンス運動、柔軟性の運動を組み合わせる

    包括的な運動プログラムでは、有酸素性運動、レジスタンス運動、柔軟性の運動を組み合わせ、高齢者など目的に応じてバランス能力の運動を加える。体力の要素はそれぞれ異なる刺激で高まるため、特異性の原理から一つの種目ではすべてを賄えない。「有酸素性運動のみを行い、筋力と柔軟性の要素は含めない」「レジスタンス運動のみを行い、持久力と柔軟性の要素は含めない」はいずれも他の要素が欠ける。「対象者が好む1種目のみを、期間を通じて変えずに行う」は継続の面では利点があるものの、体力の一部しか高まらず、同一部位への負荷が偏る点でも適切でない。

    HINT 身体活動・運動ガイド2023も有酸素性の活動と筋トレを別建てで推奨している。1種目では足りない。

  4. 運動プログラムの評価と見直しに関する考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1評価は測定値のみで行い、対象者の感じ方や生活の変化は考慮しない
    • 2一定期間ごとに体力測定や記録を確認し、達成状況と負担感に応じてプログラムを修正する正解
    • 3作成したプログラムは期間が終わるまで変更せず、結果だけを最後に評価する
    • 4評価は対象者の主観のみで行い、測定値は用いない

    Answer

    正解 2一定期間ごとに体力測定や記録を確認し、達成状況と負担感に応じてプログラムを修正する

    運動プログラムは作成して終わりではなく、一定期間ごとに体力測定や実施記録を確認し、達成状況と負担感に応じて修正していく。体調や生活の変化に合わせて調整することが継続と安全の両方につながる。「期間が終わるまで変更せず、結果だけを最後に評価する」は、途中の不適合に対応できない。「対象者の主観のみで行い、測定値は用いない」は変化を客観的に捉えられない。「測定値のみで行い、対象者の感じ方や生活の変化は考慮しない」は、続けられなくなりつつある兆候を見落とす。

    HINT 見直しの材料は「測定値」と「本人の実感」の両方。片方だけでは判断を誤る。

  5. 運動の効果が体重の減少として現れにくい場合の説明として最も適切なものはどれか。

    • 1運動では体脂肪は減らないため、体重が変わらないのは当然である
    • 2体重が減らない場合、内臓脂肪や検査値も改善していないと判断してよい
    • 3体重が減らない場合は、ただちに運動量を2倍に増やすべきである
    • 4除脂肪量が維持または増加すると、体脂肪が減っても体重の変化は小さくなることがある正解

    Answer

    正解 4除脂肪量が維持または増加すると、体脂肪が減っても体重の変化は小さくなることがある

    運動によって体脂肪が減っても、同時に除脂肪量が維持または増加すると、差し引きで体重の変化は小さくなることがある。この場合でも内臓脂肪や検査値は改善していることがあるため、体重だけで効果を判断しないよう伝えることが重要になる。「運動では体脂肪は減らない」は誤りである。「体重が減らない場合、内臓脂肪や検査値も改善していないと判断してよい」も誤りで、体重が動かなくても腹囲や血液検査が改善する例は多い。「ただちに運動量を2倍に増やすべき」も誤りで、急激な増量は傷害と中断を招く。

    HINT 体重が動かない時期に脱落が起きやすい。腹囲や検査値など別の指標を用意しておく。

  6. 安静時心電図の波形に関する説明として正しいものはどれか。

    • 1P波は心臓の収縮する強さを、QRS波は血圧の高さを表す
    • 2P波は心房の興奮(脱分極)を、QRS波は心室の興奮を、T波は心室の再分極を表す正解
    • 3P波は心室の興奮を、QRS波は心房の興奮を、T波は心房の再分極を表す
    • 4P波・QRS波・T波はいずれも心房の活動のみを表し、心室の活動は記録されない

    Answer

    正解 2P波は心房の興奮(脱分極)を、QRS波は心室の興奮を、T波は心室の再分極を表す

    安静時心電図では、P波が心房の興奮(脱分極)、QRS波が心室の興奮、T波が心室の再分極を表す。心房の再分極はQRS波に埋もれて通常は識別できない。「P波は心室の興奮を、QRS波は心房の興奮を」は両者が入れ替わっている。「いずれも心房の活動のみを表し、心室の活動は記録されない」は誤りで、QRS波とT波は心室の活動を表す。「P波は心臓の収縮する強さを、QRS波は血圧の高さを表す」は誤りで、心電図が記録しているのは心筋の電気的な活動であり、収縮の強さや血圧そのものではない。

    HINT 心電図は「電気の記録」であって「ポンプの力の記録」ではない。ここを取り違えると解釈を誤る。

  7. 標準12誘導心電図の構成として正しいものはどれか。

    • 1四肢誘導6誘導と胸部誘導6誘導の計12誘導からなる正解
    • 2四肢誘導10誘導と胸部誘導2誘導の計12誘導からなる
    • 3胸部誘導12誘導のみからなり、四肢には電極を装着しない
    • 4四肢誘導12誘導のみからなり、胸部には電極を装着しない

    Answer

    正解 1四肢誘導6誘導と胸部誘導6誘導の計12誘導からなる

    標準12誘導心電図は、四肢誘導(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・aVR・aVL・aVF)6誘導と、胸部誘導(V1〜V6)6誘導の計12誘導からなる。健康運動指導士は電極装着の補助を行うことがあるため、装着の位置と誘導の構成を理解しておく必要がある。「四肢誘導10誘導と胸部誘導2誘導」は内訳が誤りである。「胸部誘導12誘導のみからなり、四肢には電極を装着しない」「四肢誘導12誘導のみからなり、胸部には電極を装着しない」は、いずれも実際の構成と異なる。

    HINT 「12誘導」でも電極は10個。誘導の数と電極の数は一致しない。

  8. 運動負荷心電図におけるST部分の低下が注目される理由として正しいものはどれか。

    • 1心房細動が生じていることを確定的に示す所見であるため
    • 2筋力の低下の程度を定量的に表す所見であるため
    • 3最大酸素摂取量の値を直接示す所見であるため
    • 4心筋の虚血を示唆する所見であり、運動中の安全を判断する手がかりになるため正解

    Answer

    正解 4心筋の虚血を示唆する所見であり、運動中の安全を判断する手がかりになるため

    運動負荷心電図におけるST部分の低下は心筋の虚血を示唆する所見で、運動を継続してよいかを判断する重要な手がかりになる。健康運動指導士は診断を行う立場ではないが、こうした所見の意味を理解して医師と連携することが求められる。「心房細動が生じていることを確定的に示す所見」は誤りで、心房細動はP波の消失と不規則なRR間隔から判断される。「筋力の低下の程度を定量的に表す所見」は誤りで、心電図は筋力を表さない。「最大酸素摂取量の値を直接示す所見」も誤りで、最大酸素摂取量は呼気ガス分析または推定によって求める。

    HINT ST低下は「診断」ではなく「示唆」。判断は医師が行い、指導士は所見の意味を理解して連携する。

  9. 特定健康診査の基本的な項目に含まれるものとして正しいものはどれか。

    • 1頭部MRI、脳波、認知機能検査
    • 2腹囲、血圧、血中脂質、肝機能、血糖に関する検査正解
    • 3胸部エックス線、心臓超音波、運動負荷心電図
    • 4骨密度、体脂肪率、最大酸素摂取量

    Answer

    正解 2腹囲、血圧、血中脂質、肝機能、血糖に関する検査

    特定健康診査の基本的な項目には、質問票、身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、血圧、血中脂質(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、肝機能、血糖に関する検査、尿検査などが含まれる。「胸部エックス線、心臓超音波、運動負荷心電図」は基本的な項目ではない。なお安静時の心電図検査は、医師が必要と認めた場合に行う「詳細な健診の項目」(心電図・眼底・貧血・血清クレアチニン)に含まれるが、運動負荷心電図は含まれない。「骨密度、体脂肪率、最大酸素摂取量」も特定健診の項目ではない。「頭部MRI、脳波、認知機能検査」も含まれない。

    HINT 特定健診が見ているのはメタボリックシンドロームに関わる項目。そこから外れる検査は入らない。

  10. 健康運動指導士が安静時心電図の記録に関わる際の立場として正しいものはどれか。

    • 1所見に応じて服薬の内容を変更するよう対象者に助言する
    • 2心電図は医行為にあたるため、記録にも読影にも一切関わらない
    • 3電極装着の補助と記録を担い、不整脈の有無やST下降は判断するが、診断は医師が行う正解
    • 4波形から所見を読み取り、診断名を確定して対象者に伝える

    Answer

    正解 3電極装着の補助と記録を担い、不整脈の有無やST下降は判断するが、診断は医師が行う

    財団の学習目標には「安静時心電図の波形から心拍数の算出、不整脈の有無の判断、ST下降の判断ができるようになる」と明記されており、波形を読んで判断すること自体は健康運動指導士に求められている能力である。越えてはならないのは診断名を告げることと治療方針を決めることで、「波形から所見を読み取り、診断名を確定して対象者に伝える」は医行為にあたり業務範囲を超える。「所見に応じて服薬の内容を変更するよう対象者に助言する」も同様に業務範囲を超え、危険でもある。「心電図は医行為にあたるため、記録にも読影にも一切関わらない」は誤りで、学習目標には電極装着の補助と波形の判断の両方が挙げられている。

    HINT 線引きは「読影はする、診断名は告げない」。読影まで禁じていると誤解しやすいので注意。

  11. 運動開始前のメディカルチェックの目的として最も適切なものはどれか。

    • 1運動の効果を数値で予測し、達成できる体重の減少量を確定する
    • 2対象者の運動の意欲を測り、意欲の低い者を対象から外す
    • 3運動の目標を決め、達成までの期間を確定する
    • 4運動に伴う事故のリスクを評価し、運動の可否と安全に実施できる条件を明らかにする正解

    Answer

    正解 4運動に伴う事故のリスクを評価し、運動の可否と安全に実施できる条件を明らかにする

    メディカルチェックは、運動に伴う事故のリスクを評価し、運動を行ってよいかどうかと、安全に実施するための条件(強度の上限、避けるべき種目、監視の要否など)を明らかにすることを目的とする。「効果を数値で予測し、達成できる体重の減少量を確定する」は目的が異なり、そもそも確定できるものでもない。「運動の意欲を測り、意欲の低い者を対象から外す」は目的として誤りで、意欲が低い者こそ支援の対象になる。「運動の目標を決め、達成までの期間を確定する」はメディカルチェックの結果を踏まえて行うプログラム作成の話であり、メディカルチェックそのものの目的ではない。

    HINT 結論は「やってよいか/どこまでか」の2点。可否だけでなく条件を持ち帰るのが目的。

  12. 運動実施日のセルフチェックとして確認すべき内容として最も適切なものはどれか。

    • 1睡眠、食事、発熱や体調の変化、前回の疲労の残り方を確認する正解
    • 2前回の運動の内容と負荷を確認し、当日の状態は運動を始めてから判断する
    • 3前回の運動で挙上した重量のみを確認する
    • 4本人が運動を希望しているかどうかのみを確認する

    Answer

    正解 1睡眠、食事、発熱や体調の変化、前回の疲労の残り方を確認する

    運動実施日のセルフチェックでは、睡眠、食事、発熱や体調の変化、前回の運動による疲労の残り方などを本人に確認し、その日に予定どおり実施してよいかを判断する。事前のメディカルチェックで安全が確認されていても、当日の状態によって中止や軽減が必要になるためである。「前回の運動の内容と負荷を確認し、当日の状態は運動を始めてから判断する」は、実施前に把握すべき体調の変化を見落とすことになる。「前回の運動で挙上した重量のみを確認する」も当日の状態を捉えられない。「本人が運動を希望しているかどうかのみを確認する」も誤りで、本人が希望しても実施すべきでない状態はある。

    HINT 事前のメディカルチェックは「そもそもやってよいか」、当日のセルフチェックは「今日やってよいか」。

  13. 運動指導の場面で、医師への照会が必要と判断すべき場合として最も適切なものはどれか。

    • 1運動中に胸痛や強い息切れ、失神しそうな感じを訴えた場合正解
    • 2運動の翌日に軽い筋肉痛を訴えた場合
    • 3運動後に心地よい疲労感を訴えた場合
    • 4運動中に少し息が弾み、会話はできるが歌えない程度になった場合

    Answer

    正解 1運動中に胸痛や強い息切れ、失神しそうな感じを訴えた場合

    運動中の胸痛、通常では説明できない強い息切れ、失神しそうな感じ(前失神)は、心血管系の異常を示唆する症状であり、運動をただちに中止して医師へ照会する必要がある。「運動の翌日に軽い筋肉痛」は慣れない運動のあとに生じる一般的な反応である。「運動後に心地よい疲労感」も通常の反応である。「少し息が弾み、会話はできるが歌えない程度」は中等度の強度に相当し、健康づくりの範囲内にある。

    HINT 胸部症状・失神感・不釣り合いな息切れの3つは、その場で運動を止める合図として覚える。

  14. β遮断薬を服用している者の運動強度の設定に関する説明として正しいものはどれか。

    • 1服薬中は運動強度を設定できないため、運動そのものを行わない
    • 2心拍数が抑えられるため心拍数による設定が使いにくく、主観的運動強度などを併用する正解
    • 3心拍数が高く出るため、通常より低い目標心拍数を設定すればよい
    • 4心拍数への影響はないため、通常どおり心拍数だけで設定してよい

    Answer

    正解 2心拍数が抑えられるため心拍数による設定が使いにくく、主観的運動強度などを併用する

    β遮断薬は心拍数の上昇を抑えるため、同じ運動強度でも心拍数が低く出る。そのため心拍数だけで強度を設定すると実際より軽く見積もることになり、主観的運動強度(RPE)などを併用する必要がある。「心拍数が高く出るため」は薬の作用と逆である。「心拍数への影響はないため、通常どおり心拍数だけで設定してよい」は誤りで、まさに影響があるために問題になる。「服薬中は運動強度を設定できないため、運動そのものを行わない」も誤りで、指標を選び直せば安全に実施できる。

    HINT 服薬の確認が問診に必要なのは、薬が「指標そのものを壊す」ことがあるから。

  15. 血糖降下薬やインスリンを使用している者への運動指導上の注意として最も適切なものはどれか。

    • 1低血糖の症状は運動中には現れないため、運動後のみ注意すればよい
    • 2低血糖が起こりうることを踏まえ、実施の時間帯や補食について医師の指示を確認しておく正解
    • 3運動により血糖が上がるため、低血糖への備えは不要である
    • 4低血糖が起きた場合に備え、運動前に必ず薬を中止するよう本人に勧める

    Answer

    正解 2低血糖が起こりうることを踏まえ、実施の時間帯や補食について医師の指示を確認しておく

    血糖降下薬やインスリンを使用している者では、運動によって低血糖が起こりうるため、実施の時間帯や補食の要否について医師の指示をあらかじめ確認しておく必要がある。「運動により血糖が上がるため、低血糖への備えは不要」は誤りで、運動は血糖を下げる方向に働く。「運動前に必ず薬を中止するよう本人に勧める」は医師の指示を変更させることにあたり、健康運動指導士が行ってはならない。「低血糖の症状は運動中には現れない」も誤りで、運動中にも運動後にも起こりうる。

    HINT 薬の調整は医師の領域。指導士ができるのは「確認しておくこと」と「備えておくこと」。

  16. 運動指導における薬物とドーピングに関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1競技に参加する者では、市販薬やサプリメントにも禁止物質が含まれうるため注意を促す正解
    • 2医師が処方した薬であれば、競技において禁止物質にあたることはない
    • 3市販薬とサプリメントは医薬品ではないため、ドーピングの対象にならない
    • 4ドーピングは競技者だけの問題であり、指導者が知っておく必要はない

    Answer

    正解 1競技に参加する者では、市販薬やサプリメントにも禁止物質が含まれうるため注意を促す

    競技に参加する者に対しては、市販薬やサプリメントにも禁止物質が含まれうることを伝え、使用前に確認するよう促すことが指導者の役割になる。「医師が処方した薬であれば、競技において禁止物質にあたることはない」は誤りで、治療目的であっても禁止物質にあたる場合があり、必要に応じた手続きが要る。「市販薬とサプリメントは医薬品ではないため、ドーピングの対象にならない」も誤りで、市販薬は医薬品であり、サプリメントも成分表示にない物質が混入する例が知られている。「指導者が知っておく必要はない」も誤りで、注意を促すのは指導者の責任範囲にある。

    HINT 「知らずに摂った」でも責任を問われる。だから事前に確認を促すことが指導になる。

  17. 2型糖尿病の者に対する運動療法プログラムの基本として最も適切なものはどれか。

    • 1有酸素性運動のみを月1回、長時間まとめて行う
    • 2空腹時に高強度の運動を行うことを毎回の基本とする
    • 3有酸素性運動を中心にレジスタンス運動を併用し、運動しない日を2日以上続けない正解
    • 4レジスタンス運動のみを週1回まとめて行い、有酸素性運動は行わない

    Answer

    正解 3有酸素性運動を中心にレジスタンス運動を併用し、運動しない日を2日以上続けない

    糖尿病診療ガイドライン2024は、有酸素運動を中強度で週150分以上・週3回以上、運動をしない日が2日以上続かないように行い、レジスタンス運動は連続しない日程で週2〜3回行うことを示している。運動後に高まったインスリン感受性は時間とともに戻るため、間隔が空きすぎると効果が保てない。「レジスタンス運動のみを週1回まとめて行い、有酸素性運動は行わない」は量として不足するうえ、併用による効果も得られない。「有酸素性運動のみを月1回、長時間まとめて行う」は、まとめて行っても運動後の効果が続く期間の観点から適切でない。「空腹時に高強度の運動を行うことを毎回の基本とする」は、薬物療法を受けている者では低血糖の危険が高く、基本とすべき方法ではない。

    HINT 「運動しない日を2日以上続けない」が目安。レジスタンス運動のほうは逆に連続しない日程で行う。

  18. 内臓脂肪の減少を目的とした運動プログラムの考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1運動のみで対応し、食事の内容は変更しない
    • 2総エネルギー消費量を確保できるよう、続けられる強度で運動の時間と頻度を積み上げる正解
    • 3短時間の高強度運動のみを行い、総エネルギー消費量は考慮しない
    • 4腹部のレジスタンス運動のみを集中して行い、その部位の脂肪を減らす

    Answer

    正解 2総エネルギー消費量を確保できるよう、続けられる強度で運動の時間と頻度を積み上げる

    内臓脂肪の減少には総エネルギー消費量の確保が重要で、続けられる強度で運動の時間と頻度を積み上げる設計が現実的である。「短時間の高強度運動のみを行い、総エネルギー消費量は考慮しない」は、消費量が不足しやすく、運動習慣のない者には安全面でも適さない。「腹部のレジスタンス運動のみを集中して行い、その部位の脂肪を減らす」は部分痩せの考え方であり、特定の部位の運動でその部位の脂肪だけを減らすことはできない。「運動のみで対応し、食事の内容は変更しない」も誤りで、減量では食事との組み合わせが前提になる。

    HINT 部分痩せは成り立たない。腹筋運動は腹筋を鍛えるが、腹の脂肪を選んで減らすわけではない。

  19. 高血圧のある者に対する運動プログラム作成上の注意として最も適切なものはどれか。

    • 1運動中の血圧は測定せず、本人の自覚症状のみで管理する
    • 2息こらえを伴う高強度のレジスタンス運動を避け、有酸素性運動を中心に組み立てる正解
    • 3息こらえを伴う高強度のレジスタンス運動を中心に組み立てる
    • 4降圧薬を服用している場合は、運動を一切行わない

    Answer

    正解 2息こらえを伴う高強度のレジスタンス運動を避け、有酸素性運動を中心に組み立てる

    高血圧のある者では、息こらえ(バルサルバ手技)を伴う高強度のレジスタンス運動は血圧を急激に上昇させるため避け、有酸素性運動を中心に組み立てる。なお高血圧管理・治療ガイドライン2025では、低強度のレジスタンス運動が有酸素運動とほぼ同等の降圧効果をもつとして新たに推奨されている。避けるべきなのはレジスタンス運動そのものではなく、息こらえを伴う高強度である。「息こらえを伴う高強度のレジスタンス運動を中心に組み立てる」は最も避けるべき方法である。「降圧薬を服用している場合は、運動を一切行わない」は誤りで、運動療法は降圧の手段の一つである。「運動中の血圧は測定せず、本人の自覚症状のみで管理する」も誤りで、必要に応じた測定と中止基準の設定が求められる。

    HINT レジスタンス運動そのものが禁止なのではなく、息こらえと高強度が問題。ここを区別する。

  20. 脂質異常症のある者に対する運動プログラムとして最も適切なものはどれか。

    • 1中等度の有酸素性運動を継続的に行い、食事療法と組み合わせる正解
    • 2週1回の高強度の運動のみを行い、食事療法は行わない
    • 3運動によりLDLコレステロールを短期間で正常化できるため、食事療法は不要である
    • 4脂質の値が改善するまで運動は行わず、薬物療法のみで対応する

    Answer

    正解 1中等度の有酸素性運動を継続的に行い、食事療法と組み合わせる

    脂質異常症に対しては、中等度の有酸素性運動を継続的に行い、食事療法と組み合わせることが基本になる。運動はトリグリセライドの低下とHDLコレステロールの上昇に効果が期待できる。「週1回の高強度の運動のみを行い、食事療法は行わない」は、頻度が不足するうえ食事という主要な要素を欠いている。「運動によりLDLコレステロールを短期間で正常化できる」は誤りで、運動によるLDLコレステロールの低下は限定的である。「脂質の値が改善するまで運動は行わず、薬物療法のみで対応する」も誤りで、運動と食事は薬物療法と並ぶ基本の対応である。

    HINT 運動が効くのはトリグリセライドとHDL。LDLを下げたいなら食事と薬が主役になる。

  21. 1回の運動セッションの構成として一般に適切とされるものはどれか。

    • 1クールダウン、主運動、ウォームアップの順に構成する
    • 2ウォームアップ、主運動、クールダウンの順に構成する正解
    • 3主運動、ウォームアップ、クールダウンの順に構成する
    • 4ウォームアップとクールダウンは省略し、主運動のみで構成する

    Answer

    正解 2ウォームアップ、主運動、クールダウンの順に構成する

    1回の運動セッションは、ウォームアップ、主運動、クールダウンの順に構成する。ウォームアップで身体を主運動に備えさせ、クールダウンで段階的に安静状態へ戻す。「主運動、ウォームアップ、クールダウンの順」は準備なしに主運動へ入ることになり、傷害と心血管系の事故のリスクが高い。「ウォームアップとクールダウンは省略し、主運動のみで構成する」は同じ理由に加え、運動後の失神のリスクも残す。「クールダウン、主運動、ウォームアップの順」はそれぞれの目的と順序が成り立たない。

    HINT 時間が足りないときに削られやすいのがクールダウン。削ってよい部分ではない。

  22. 運動プログラムにおける目標設定の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1最終的な目標に加えて、達成を確認しやすい短期の目標を段階的に置く正解
    • 2最終的な目標のみを示し、途中の目標は置かない
    • 3目標は指導者が決め、対象者には伝えずに進める
    • 4達成がきわめて困難な目標を置くことで、意欲を最大限に引き出す

    Answer

    正解 1最終的な目標に加えて、達成を確認しやすい短期の目標を段階的に置く

    目標設定では、最終的な目標に加えて達成を確認しやすい短期の目標を段階的に置くことで、成功体験を重ねやすくなり自己効力感が高まる。「最終的な目標のみを示し、途中の目標は置かない」は、成果が見えるまでの期間が長く、脱落を招きやすい。「目標は指導者が決め、対象者には伝えずに進める」は、本人の主体性を欠き行動の変容につながらない。「達成がきわめて困難な目標を置く」は、失敗体験を重ねて自己効力感を下げる。

    HINT 短期目標は「行動」で置くと達成を確認しやすい。体重より「週3回歩く」のほうが管理できる。

  23. 特定保健指導の対象者に対して健康運動指導士が果たす役割として最も適切なものはどれか。

    • 1検査結果は参照せず、一律の運動メニューを全員に提供する
    • 2検査結果と生活の状況を踏まえ、安全に実施でき継続可能な運動の内容を具体的に提案する正解
    • 3検査結果をもとに生活習慣病の診断を行い、対象者に伝える
    • 4服薬の必要性を判断し、対象者に受診を控えるよう助言する

    Answer

    正解 2検査結果と生活の状況を踏まえ、安全に実施でき継続可能な運動の内容を具体的に提案する

    特定保健指導において健康運動指導士に求められるのは、検査結果と生活の状況を踏まえて、安全に実施でき継続可能な運動の内容を具体的に提案することである。「検査結果をもとに生活習慣病の診断を行い、対象者に伝える」は医行為にあたり業務範囲を超える。「服薬の必要性を判断し、対象者に受診を控えるよう助言する」も業務範囲を超えるうえ、受診を妨げる助言は危険である。「検査結果は参照せず、一律の運動メニューを全員に提供する」は、個別性という保健指導の前提に反する。

    HINT 「診断しない・処方しない・受診を妨げない」。この3つを守った上で運動の中身を設計するのが役割。

  24. 運動プログラムの記録に関する考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1実施した種目名のみを残し、対象者の訴えは記録しない
    • 2問題が起きたときだけ記録を作成する
    • 3記録は指導者の記憶に留め、文書としては残さない
    • 4実施した内容、対象者の反応や訴え、中止や変更の判断とその理由を残す正解

    Answer

    正解 4実施した内容、対象者の反応や訴え、中止や変更の判断とその理由を残す

    運動プログラムの記録には、実施した内容に加えて、対象者の反応や訴え、中止や変更を判断した場合はその理由まで残す。次回の判断材料になり、医師との連携や事故が起きた際の経緯の説明にも用いられる。「実施した種目名のみを残し、対象者の訴えは記録しない」は、体調の変化の兆候を追えなくなる。「問題が起きたときだけ記録を作成する」は、通常時の経過が分からず比較ができない。「記録は指導者の記憶に留め、文書としては残さない」は、担当者が替わった際に引き継げず、連携の前提も失われる。

    HINT 記録は「何をしたか」より「なぜそう判断したか」が効く。医師への照会でも役に立つ。

  25. 変形性膝関節症のある者に対する運動プログラムの組み立てとして最も適切なものはどれか。

    • 1膝への荷重を抑えた条件で大腿四頭筋を強化し、体重の管理と有酸素性運動を組み合わせる正解
    • 2膝の可動域を早く広げるため、痛みが出る角度まで深く曲げる運動を毎回行う
    • 3関節への負担を避けるため、下肢の運動は行わず上肢の運動だけで構成する
    • 4疼痛がある期間は運動を完全に休み、痛みが消えてから通常の負荷で再開する

    Answer

    正解 1膝への荷重を抑えた条件で大腿四頭筋を強化し、体重の管理と有酸素性運動を組み合わせる

    変形性膝関節症では、膝を支える大腿四頭筋の強化が疼痛の軽減と機能の改善につながるため、椅子座位での膝伸展や水中運動など荷重を抑えた条件で行う。あわせて体重の管理が膝への負担を直接減らすため、有酸素性運動を組み合わせる。「痛みが出る角度まで深く曲げる運動を毎回行う」は関節への負担が大きく症状を悪化させる。「下肢の運動は行わず上肢の運動だけで構成する」は、支持性を担う下肢の筋力低下を進めてしまい逆効果である。「疼痛がある期間は運動を完全に休み、痛みが消えてから通常の負荷で再開する」も誤りで、完全な休止は筋力低下と可動域制限を招き、再開時の負荷の跳ね上がりも傷害につながる。

    HINT 「関節は守る、筋力は落とさない、体重は減らす」の3点セット。どれか1つでも欠けると効果が出にくい。

  26. 慢性の腰痛がある者に対する運動プログラムの考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1腰部の筋力を高めるため、高負荷のデッドリフトを導入期から中心に据える
    • 2痛みの範囲内で活動を続けながら、体幹の安定性と柔軟性を高める運動を段階的に加える正解
    • 3腰への負担を避けるため、痛みが完全に消えるまで安静を保つことを最優先する
    • 4可動域を早く取り戻すため、体幹を最大可動域まで繰り返し回旋させる運動から始める

    Answer

    正解 2痛みの範囲内で活動を続けながら、体幹の安定性と柔軟性を高める運動を段階的に加える

    慢性の腰痛では、過度の安静はかえって経過を悪くすることが知られており、痛みの範囲内で活動を続けながら、体幹の安定性と柔軟性を高める運動を段階的に加えるのが基本になる。「痛みが完全に消えるまで安静を保つことを最優先する」は、現在の考え方と逆で、筋力低下と活動量の低下を招く。「体幹を最大可動域まで繰り返し回旋させる運動から始める」は、椎間板や椎間関節への負担が大きく、導入期の内容として適切でない。「高負荷のデッドリフトを導入期から中心に据える」も、フォームが安定しないうちは腰部への負担が大きく、症状を悪化させるおそれがある。

    HINT 腰痛に「絶対安静」はもう勧められていない。動ける範囲で動くほうが経過がよい。

  27. メディカルチェックの結果に基づくリスク層別化の目的として最も適切なものはどれか。

    • 1疾患の診断名を確定し、対象者に治療の要否を伝える
    • 2運動中の事故のリスクに応じて、運動の強度の上限と医学的な監視の必要性を決める正解
    • 3対象者の体力の順位づけを行い、集団の中での位置を本人に伝える
    • 4運動指導の料金区分を決めるための根拠資料を作成する

    Answer

    正解 2運動中の事故のリスクに応じて、運動の強度の上限と医学的な監視の必要性を決める

    リスク層別化は、既往歴、症状、検査結果、危険因子の数などから運動中の事故のリスクを段階に分け、運動の強度の上限、医学的な監視の必要性、運動開始前に医師の評価を要するかどうかを決めるために行う。「体力の順位づけを行い、集団の中での位置を本人に伝える」は体力測定の相対評価の話であり、リスクの評価とは目的が異なる。「運動指導の料金区分を決めるための根拠資料を作成する」は事務上の話でメディカルチェックの目的ではない。「疾患の診断名を確定し、対象者に治療の要否を伝える」は医行為にあたり、健康運動指導士の業務範囲を超える。

    HINT 層別化の出口は「どこまでの強度で、どの程度の監視のもとに運動してよいか」。診断ではない。

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