機能解剖とバイオメカニクス全16問・正解と解説つき
健康運動指導士・ 公式テキスト第5章・ 分量 6%
力学の基礎、エネルギー論(筋におけるエネルギー変換)、機能解剖学概論(骨格・関節・筋)、陸上での運動・動作各論(歩・走・跳・投の動作局面と地面反力)、水泳・水中運動(水の物理的性質・浮力・抵抗力)。
Drill
このページは全16問を通して読むためのものです。
1問ずつ解いて力をつけるなら、ドリルへ。
出題順と選択肢の並びはシャッフルされ、間違えた問題は復習リストに入ります。登録不要・無料。
機能解剖とバイオメカニクスを1問ずつ解く →All questions
- Q01#ks-an-001
ヒトの四肢の関節運動に最も多くみられるてこの種類と、その力学的な特徴の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1第3のてこであり、荷重点が支点と力点の間にあるため運動の範囲を稼げる
- 2第3のてこであり、大きな力を要するかわりに運動の速度と範囲を稼げる正解
- 3第1のてこであり、支点が中間にあるため力の向きを変えて重さを動かせる
- 4第2のてこであり、荷重点が中間にあるため力の点で有利になる
Answer
正解 2:第3のてこであり、大きな力を要するかわりに運動の速度と範囲を稼げる
ヒトの四肢では、支点(関節)と荷重点(手や足)の間に力点(筋の停止部)がある第3のてこが最も多くみられる。この配置では筋が発揮すべき力は荷重より大きくなるが、そのかわり末端の運動の速度と可動範囲を大きく稼げる。肘関節での上腕二頭筋による前腕の屈曲が代表例である。「第3のてこであり、荷重点が支点と力点の間にあるため運動の範囲を稼げる」は、てこの種類は合っているが配置の説明が誤りで、荷重点が中間にあるのは第2のてこである。第3のてこでは力点が支点と荷重点の間にある。「第1のてこであり、支点が中間にあるため力の向きを変えて重さを動かせる」は、支点が中間にあるてこの説明としては妥当だが、第1のてこの例は頭部の前後傾など限られており、四肢で最も多い形ではない。「第2のてこであり、荷重点が中間にあるため力の点で有利になる」は、第2のてこの力学的な特徴の記述としては妥当だが、足関節の底屈など一部に限られ、四肢で最も多い形ではないため設問には合致しない。
HINT 人体は「力で損をして、速さと可動範囲で得をする」つくり。だから筋は重さ以上の力を出している。
- Q02#ks-an-002
関節に働くトルク(力のモーメント)の説明として正しいものはどれか。
- 1加わる力の大きさだけで決まり、力が加わる位置には影響されない
- 2関節の回転中心から力の作用点までの距離だけで決まり、力の大きさには影響されない
- 3加わる力の大きさと、関節の可動域の広さの積で決まる
- 4加わる力の大きさと、関節の回転中心から力の作用線までの垂直距離の積で決まる正解
Answer
正解 4:加わる力の大きさと、関節の回転中心から力の作用線までの垂直距離の積で決まる
トルク(力のモーメント)は、加わる力の大きさと、関節の回転中心から力の作用線までの垂直距離(モーメントアーム)の積で決まる。同じ重さのダンベルでも、肘を伸ばして体から遠ざけるほどモーメントアームが長くなり、必要な筋力が大きくなるのはこのためである。「加わる力の大きさだけで決まり、力が加わる位置には影響されない」は、モーメントアームを無視しており誤り。「距離だけで決まり、力の大きさには影響されない」も片方だけを見ており誤り。「関節の可動域の広さの積で決まる」は、可動域はトルクの大きさを決める要素ではない。
HINT 同じ重量でも「体から遠いほどきつい」。この現象を式にしたのがモーメント。
- Q03#ks-an-003
歩行や走行における地面反力の説明として正しいものはどれか。
- 1地面が身体を押し返す力であり、地面に沈み込む分だけ身体が地面を押す力よりつねに小さくなる
- 2身体の重さだけで決まる力であり、歩行でも走行でも動作の速さによっては変化しない
- 3地面の材質と硬さにより決まる力であり、身体側の動作とは無関係である
- 4身体が地面を押す力と大きさが等しく向きが反対の力で、身体はこの力によって加速される正解
Answer
正解 4:身体が地面を押す力と大きさが等しく向きが反対の力で、身体はこの力によって加速される
地面反力は作用・反作用の法則に従い、身体が地面を押す力と大きさが等しく向きが反対の力である。身体はこの力を受けて加速したり減速したりする。「地面が身体を押し返す力であり、地面に沈み込む分だけ身体が地面を押す力よりつねに小さくなる」は誤りで、沈み込みの有無にかかわらず作用と反作用は必ず同じ大きさである。「身体の重さだけで決まる力であり、歩行でも走行でも動作の速さによっては変化しない」は誤りで、走行では着地時の地面反力が体重の数倍に達するなど、動作によって大きく変わる。「地面の材質と硬さにより決まる力であり、身体側の動作とは無関係である」も誤りで、材質や硬さは衝撃の受け方に影響するが、力そのものは身体の動作によって生じる。
HINT 着地衝撃の緩和とは「地面反力のピークを低く・なだらかにする」こと。膝と足関節の使い方が効く。
- Q04#ks-an-004
力学における仕事とパワー(仕事率)の関係として正しいものはどれか。
- 1パワーは単位時間あたりの仕事であり、同じ仕事量でも短い時間ほど大きくなる正解
- 2パワーは仕事の総量そのものであり、力と距離の積で決まるため時間の長さは無視できる要素である
- 3仕事は単位時間あたりのパワーであり、同じパワーでも時間が長いほど小さくなる
- 4仕事とパワーは同じ量を別の単位で表したものであり、大きさは常に比例する
Answer
正解 1:パワーは単位時間あたりの仕事であり、同じ仕事量でも短い時間ほど大きくなる
仕事は力と、その力の向きに動いた距離の積で表され、パワー(仕事率)は単位時間あたりの仕事である。同じ重量を同じ高さまで挙げれば仕事量は等しいが、短い時間で挙げるほどパワーは大きくなる。「パワーは仕事の総量そのものであり、力と距離の積で決まるため時間の長さは無視できる要素である」は仕事の説明であり、時間の要素を落としている。「仕事は単位時間あたりのパワーであり、同じパワーでも時間が長いほど小さくなる」は両者の関係が逆である。「仕事とパワーは同じ量を別の単位で表したものであり、大きさは常に比例する」も誤りで、時間という別の要素が入るため常に比例するわけではない。
HINT 高齢者では最大筋力より「素早く力を出す能力(パワー)」のほうが転倒予防と結びつきやすい。
- Q05#ks-an-005
筋におけるエネルギー変換の効率に関する説明として正しいものはどれか。
- 1変換の効率は運動の様式や収縮の速度にかかわらず一定であり、条件によって変わりにくい
- 2化学エネルギーのうち仕事に変換される割合は限られ、多くは熱にかわる正解
- 3化学エネルギーのほぼすべてが機械的な仕事に変換されるため、熱として放出される分はごくわずかである
- 4筋は運動によって生じた熱エネルギーを直接、機械的な仕事に変換している
Answer
正解 2:化学エネルギーのうち仕事に変換される割合は限られ、多くは熱にかわる
筋がATPの化学エネルギーから取り出して機械的な仕事に変換できる割合は限られており、残りの多くは熱として放出される。運動によって体温が上がるのはこのためで、ウォームアップの生理学的な意味もここにある。「化学エネルギーのほぼすべてが機械的な仕事に変換されるため、熱として放出される分はごくわずかである」は誤りで、実際には熱になる割合のほうが大きい。「筋は運動によって生じた熱エネルギーを直接、機械的な仕事に変換している」は誤りで、筋は熱機関ではなく化学エネルギーを直接的に力学的な仕事へ変換する。「変換の効率は運動の様式や収縮の速度にかかわらず一定であり、条件によって変わりにくい」も誤りで、収縮の様式や速度によって効率は変わる。
HINT 運動で体が熱くなるのは副産物ではなく必然。発生した熱をどう捨てるかが暑熱対策の課題になる。
- Q06#ks-an-006
関節の形状と、その関節が許す運動の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1球関節は原則として1つの運動面で動き、蝶番関節は3つの運動面すべてで動く
- 2車軸関節は3つの運動面すべてで動き、鞍関節は動かない
- 3蝶番関節と車軸関節はいずれも3つの運動面すべてで動く
- 4球関節は3つの運動面すべてで動き、蝶番関節は原則として1つの運動面で動く正解
Answer
正解 4:球関節は3つの運動面すべてで動き、蝶番関節は原則として1つの運動面で動く
球関節は肩関節や股関節のように骨頭が受け皿にはまる形で、屈曲伸展・外転内転・回旋と3つの運動面すべてで動ける。蝶番関節は腕尺関節や指節間関節のように、原則として1つの運動面での屈曲伸展に限られる。「球関節は原則として1つの運動面で動き、蝶番関節は3つの運動面すべてで動く」は両者が入れ替わっている。「車軸関節は3つの運動面すべてで動き、鞍関節は動かない」は誤りで、車軸関節は回旋という1方向の運動を担い、鞍関節(母指の手根中手関節など)は2つの運動面で動く。「蝶番関節と車軸関節はいずれも3つの運動面すべてで動く」も誤りで、どちらも動きの方向は限られている。
HINT 自由度が大きい関節ほど安定性は筋と靱帯に頼る。肩関節が傷めやすいのはこのため。
- Q07#ks-an-007
骨の構造と機能に関する説明として正しいものはどれか。
- 1骨は力学的な支持だけを担う組織であり、血球の産生やミネラルの貯蔵には関与しない
- 2骨は骨芽細胞による形成と破骨細胞による吸収が生涯にわたり繰り返される動的な組織である正解
- 3骨は成長が止まると代謝をしなくなり、力学的な刺激を受けても構造は変化しない
- 4骨の内部はすべて緻密質で占められ、密度は均一なままである
Answer
正解 2:骨は骨芽細胞による形成と破骨細胞による吸収が生涯にわたり繰り返される動的な組織である
骨は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収が生涯にわたり繰り返される動的な組織で、加わる力学的な刺激に応じて形成が促される。骨粗鬆症の予防に荷重のかかる運動が有効なのはこのためである。「骨は成長が止まると代謝をしなくなり、力学的な刺激を受けても構造は変化しない」は誤りで、成人でも骨のリモデリングは続き、刺激に応じて適応する。「骨の内部はすべて緻密質で占められ、密度は均一なままである」は誤りで、骨は外側の緻密質と内側の海綿質からなり、海綿質は軽量さと衝撃吸収に寄与する。「骨は力学的な支持だけを担う組織であり、血球の産生やミネラルの貯蔵には関与しない」も誤りで、骨髄での造血とカルシウムの貯蔵は骨の重要な機能である。
HINT 骨が「刺激に応じて変わる」からこそ、運動指導で骨密度に働きかけられる。
- Q08#ks-an-008
二関節筋の特徴として正しいものはどれか。
- 12つの関節をまたいで走行し、どちらの関節でも常に同じ向きの運動だけを起こす
- 22つの関節をまたいで走行し、一方の関節の肢位によってもう一方の関節での発揮張力が変わる正解
- 32つの関節をまたいで走行するが、それぞれの関節の肢位は互いに影響し合わない
- 41つの関節だけをまたぎ、その関節の肢位にかかわらず一定の張力を発揮する
Answer
正解 2:2つの関節をまたいで走行し、一方の関節の肢位によってもう一方の関節での発揮張力が変わる
二関節筋は2つの関節をまたいで走行するため、一方の関節の肢位が変わると筋全体の長さが変わり、もう一方の関節で発揮できる張力も変わる。ハムストリングスのストレッチングで股関節と膝関節の角度を組み合わせるのはこの性質を利用している。「2つの関節をまたいで走行するが、それぞれの関節の肢位は互いに影響し合わない」は誤りで、二関節筋の最大の特徴である相互の影響を否定している。「1つの関節だけをまたぎ、その関節の肢位にかかわらず一定の張力を発揮する」は、単関節筋に見せかけた記述だが前半だけが正しい。単関節筋は1つの関節だけをまたぐので「ほかの関節の角度には影響されない」が、またいでいるその関節の角度が変われば、長さ−張力関係とモーメントアームの変化によって発揮できる張力は変わる(膝伸展トルクが膝の角度で山なりに変わるのがこれ)。「肢位にかかわらず一定の張力」という部分が誤りである。「2つの関節をまたいで走行し、どちらの関節でも常に同じ向きの運動だけを起こす」も誤りで、大腿直筋が股関節の屈曲と膝関節の伸展を担うように、二関節筋は関節ごとに逆向きの運動を起こすことがある。
HINT 大腿直筋は股関節屈曲+膝関節伸展の二関節筋。股関節を伸ばすと膝伸展の力が出しやすくなる。
- Q09#ks-an-009
肩関節の回旋筋腱板(ローテーターカフ)を構成する筋の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1棘上筋・大円筋・菱形筋・前鋸筋
- 2三角筋・棘下筋・上腕二頭筋・烏口腕筋
- 3棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋正解
- 4三角筋・大胸筋・広背筋・僧帽筋など
Answer
正解 3:棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋
回旋筋腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つからなり、上腕骨頭を関節窩に引きつけて肩関節を安定させる役割を担う。可動域が大きく不安定な肩関節では、この深層の安定化が重要になる。「三角筋・大胸筋・広背筋・僧帽筋」はいずれも表層の大きな筋で、腱板には含まれない。「大円筋・菱形筋・前鋸筋」も腱板の構成筋ではなく、菱形筋と前鋸筋は肩甲骨を動かす筋である。「三角筋・上腕二頭筋・烏口腕筋」も腱板には含まれない。
HINT 腱板は「動かす筋」ではなく「関節を収める筋」。だから小さくても傷めると影響が大きい。
- Q10#ks-an-010
股関節の運動と主働筋の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1股関節の屈曲と伸展は、いずれも大腿四頭筋が単独で担う
- 2股関節の屈曲では腸腰筋、伸展では大殿筋が主働筋として働く正解
- 3股関節の屈曲では大殿筋が、伸展では腸腰筋が主働筋として働く
- 4股関節の外転では大腿四頭筋が、内転では中殿筋が主働筋として働く
Answer
正解 2:股関節の屈曲では腸腰筋、伸展では大殿筋が主働筋として働く
股関節の屈曲は腸骨筋と大腰筋からなる腸腰筋が、伸展は大殿筋とハムストリングスが主働筋として働く。「屈曲では大殿筋が、伸展では腸腰筋が」は両者が入れ替わっている。「外転では大腿四頭筋が、内転では中殿筋が」も入れ替わりを含み、外転の主働筋は中殿筋、内転の主働筋は内転筋群であり、大腿四頭筋は膝関節の伸展を担う筋である。「屈曲と伸展は、いずれも大腿四頭筋が単独で担う」も誤りで、大腿四頭筋のうち股関節の屈曲に関わるのは大腿直筋のみであり、伸展には関与しない。
HINT 腸腰筋は加齢で弱りやすく、つまずきの原因になる。歩幅の低下と結びつけて指導する。
- Q11#ks-an-011
体幹の深層にある筋群(腹横筋・多裂筋など)の主な役割として正しいものはどれか。
- 1四肢の動作に先立ち、腹腔内圧を高めて脊柱を安定させる正解
- 2四肢の動作が終わったあとに働き、脊柱を大きく屈曲させる
- 3脊柱を大きく回旋させることを主な役割とし、安定化には関与しない
- 4呼吸にのみ関与し、姿勢の保持や脊柱の安定には関与しない
Answer
正解 1:四肢の動作に先立ち、腹腔内圧を高めて脊柱を安定させる
腹横筋や多裂筋などの体幹深層の筋群は、四肢の動作に先立って働き(先行的な収縮)、腹腔内圧を高めて脊柱を安定させる役割を担う。腰痛の予防や改善を目的とした運動でこれらの筋が重視されるのはこのためである。「四肢の動作が終わったあとに働き」は順序が逆で、安定化は動作に先立って起こる。「脊柱を大きく回旋させることを主な役割とし」は誤りで、大きな運動を生むのは表層の筋であり、深層の筋群は安定化を担う。「呼吸にのみ関与し」も誤りで、腹横筋や横隔膜は呼吸と体幹の安定の両方に関わる。
HINT 深層は「動かす」より「固める」。表層の大きな筋が力を出すための土台をつくる。
- Q12#ks-an-012
歩行と走行の力学的な違いとして正しいものはどれか。
- 1走行には両脚が同時に接地する時期があるが、歩行では両脚とも接地しない滞空期がある
- 2歩行と走行はいずれも、つねにどちらか一方の脚だけが接地している
- 3歩行と走行はいずれも、両脚が同時に接地する時期をもつ
- 4歩行には両脚が同時に接地する時期があるが、走行では両脚とも接地しない滞空期がある正解
Answer
正解 4:歩行には両脚が同時に接地する時期があるが、走行では両脚とも接地しない滞空期がある
歩行では一方の脚が接地している間にもう一方の脚が接地する両脚支持期があり、どの瞬間も必ずどちらかの脚が地面に接している。走行ではこの両脚支持期が消え、かわりに両脚とも地面から離れる滞空期が現れる。この違いにより走行では着地時の地面反力が大きくなる。「走行には両脚が同時に接地する時期があるが、歩行では滞空期がある」は両者が入れ替わっている。「いずれも、つねにどちらか一方の脚だけが接地している」は歩行の両脚支持期と走行の滞空期の双方を否定しており誤り。「いずれも、両脚が同時に接地する時期をもつ」は走行の特徴を取り違えている。
HINT 歩行から走行に変わる境目は「両脚支持期が消える瞬間」。速さではなく接地の仕方で定義される。
- Q13#ks-an-013
加齢にともなう歩行の変化として一般にみられるものはどれか。
- 1つま先が上がりやすくなるため、段差につまずく危険はむしろ減る
- 2歩幅が狭くなり、両脚支持期の割合が長くなる正解
- 3歩隔が狭まって左右の足が一直線に近づき、歩行は安定する
- 4歩行速度は保たれるが、歩行率(ピッチ)だけが著しく低下する
Answer
正解 2:歩幅が狭くなり、両脚支持期の割合が長くなる
加齢にともなう歩行では、歩幅が狭くなり、安定を確保するために両脚支持期の割合が長くなる。歩行速度は主に歩幅の減少によって低下する。「歩隔が狭まって左右の足が一直線に近づき、歩行は安定する」は誤りで、加齢ではむしろ歩隔が広がる。それでも支持面が広がったぶん安定するわけではなく、歩行の安定性は低下する。「歩行速度は保たれるが、歩行率だけが著しく低下する」は誤りで、歩行速度そのものが低下し、その主因は歩幅の減少である。「つま先が上がりやすくなるため、段差につまずく危険はむしろ減る」も誤りで、加齢では遊脚期につま先が上がりにくくなり、わずかな段差でもつまずきやすくなる。あわせて足関節の底屈による蹴り出しが弱まり、その分を股関節の屈曲で補う方向へ変化する。
HINT 「歩幅が狭い」は転倒リスクの手がかり。2ステップテストが歩幅を測る理由もここにある。
- Q14#ks-an-014
水中運動において、陸上と比べて生じる身体への影響として正しいものはどれか。
- 1浮力により関節への荷重が増え、水圧により下肢から心臓へ戻る静脈還流はかえって減る
- 2水の熱伝導率は空気より低いため、長時間の入水でも体熱は奪われにくい
- 3水中では動作に対する抵抗が生じないため、速度を上げても負荷は変わらない
- 4浮力で関節への荷重が減り、水圧で下肢からの静脈還流が増える正解
Answer
正解 4:浮力で関節への荷重が減り、水圧で下肢からの静脈還流が増える
水中では浮力によって身体が支えられ、関節にかかる荷重が減るため、肥満者や変形性関節症のある者でも運動しやすい。同時に水圧が下肢を圧迫することで静脈還流が増え、心臓への前負荷が高まる。「浮力により関節への荷重が増え、水圧により下肢から心臓へ戻る静脈還流はかえって減る」は浮力と水圧の働きのいずれも逆である。「水の熱伝導率は空気より低いため、長時間の入水でも体熱は奪われにくい」も誤りで、水の熱伝導率は空気よりはるかに高く、体熱は奪われやすい。「水中では動作に対する抵抗が生じないため、速度を上げても負荷は変わらない」も誤りで、水の抵抗は動作の速度が増すほど大きくなり、これが負荷の調整に使える。
HINT 水中は「関節に優しく、心臓には負荷がかかる」。心疾患のある人では逆に注意が要る。
- Q15#ks-an-015
水中での運動負荷を調整する方法として、水の性質を利用したものはどれか。
- 1水深を浅くすることで浮力を大きくし、身体が受ける抵抗を増やす
- 2動作の速度を下げて水を受ける時間を長くすることで、身体が受ける抵抗を大きくする
- 3水温を上げて水の粘性を高めることで、身体が受ける抵抗を大きくする
- 4動作の速度を上げる、または受ける面積を広げて抵抗を増やす正解
Answer
正解 4:動作の速度を上げる、または受ける面積を広げて抵抗を増やす
水の抵抗は動作の速度が増すほど、また水を受ける面積が大きいほど大きくなる。したがって、速く動く、手のひらを進行方向に向ける、専用の用具で面積を広げるといった方法で負荷を高められる。用具を使わずに強度を変えられる点が水中運動の利点である。「水深を浅くすることで浮力を大きくし、身体が受ける抵抗を増やす」は誤りで、水深が浅くなるほど浮力は小さくなり、関節への荷重は増える。「動作の速度を下げて水を受ける時間を長くすることで、身体が受ける抵抗を大きくする」は関係が逆で、抵抗は速度が増すほど大きくなる。「水温を上げて水の粘性を高めることで、身体が受ける抵抗を大きくする」も誤りで、水温は抵抗を決める主な要素ではなく、体温調節の面から管理すべき条件である。
HINT 陸上は重量で負荷を変えるが、水中は速度と面積で変える。道具がなくても強度を上げ下げできる。
- Q16#ks-an-016
立位、歩行の着地、走行の着地で身体が受ける鉛直方向の地面反力の大きさについて、報告されている目安の組み合わせはどれか。
- 1立位で約1.0倍、歩行の着地で約1.0〜1.5倍、走行の着地で約2〜3倍正解
- 2立位で約1.0倍、歩行の着地で約2〜3倍、走行の着地で約5〜6倍
- 3立位で約0.5倍、歩行の着地で約1.0倍、走行の着地で約1.5倍
- 4立位でも歩行でも走行でも、体重とほぼ同じ約1.0倍にとどまる
Answer
正解 1:立位で約1.0倍、歩行の着地で約1.0〜1.5倍、走行の着地で約2〜3倍
静かに立っているときに床から受ける力は体重とほぼ等しく、体重の約1.0倍にあたる。歩行の着地では鉛直方向のピークが体重の約1.0〜1.5倍、走行の着地では約2〜3倍に達すると報告されており、速度が上がるほど大きくなる。倍率は速度によって変わるので、幅のある値として押さえる。「立位で約1.0倍、歩行の着地で約2〜3倍、走行の着地で約5〜6倍」は歩行と走行の値がそれぞれ1段ずつ上にずれている。「立位で約0.5倍、歩行の着地で約1.0倍、走行の着地で約1.5倍」は立位の値が誤りで、静止して立っているときに体重の半分しか受けないということはない。「立位でも歩行でも走行でも、体重とほぼ同じ約1.0倍にとどまる」も誤りで、地面反力は動作の速さによって変わる。
HINT 立位1.0 → 歩行1.0〜1.5 → 走行2〜3。段で上がっていく。着地衝撃の緩和とはこのピークを低くすること。
Other subjects
健康運動指導士の全問一覧(公式テキストの章立て順)。