運動負荷試験全10問・正解と解説つき
健康運動指導士 ・ 公式テキスト第12章 ・ 分量 3%
運動負荷試験の実際、トレッドミルによる運動負荷試験実習、自転車エルゴメータによる運動負荷試験実習。
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- Q01#ks-et-001
運動負荷試験の目的として最も適切なものはどれか。
- 1運動耐容能を評価し、症状や心電図・血圧の変化から安全性を確認する正解
- 2対象者の筋力と柔軟性を同時に測定して評価する
- 3対象者の体脂肪率と骨密度を測定して評価する
- 4安静時の心電図と血圧から、運動を行ってよいかどうかだけを判定する
Answer
正解 1:運動耐容能を評価し、症状や心電図・血圧の変化から安全性を確認する
運動負荷試験は、運動耐容能(どこまでの運動に耐えられるか)を評価するとともに、負荷をかけたときの症状、心電図の変化、血圧の反応から安全性を確認することを目的とする。この結果が運動処方の強度の設定根拠になる。「対象者の筋力と柔軟性を同時に測定して評価する」は運動負荷試験の目的ではなく、別の測定で行う。「対象者の体脂肪率と骨密度を測定して評価する」も身体組成の測定にあたり、目的が異なる。「安静時の心電図と血圧から、運動を行ってよいかどうかだけを判定する」はメディカルチェックの一部であり、実際に負荷をかけて耐容能と反応をみる運動負荷試験とは目的が異なる。
HINT 測っているのは「どこまでできるか」と「そこまでの間に何が起きるか」の2つ。
- Q02#ks-et-002
トレッドミルと自転車エルゴメータを用いた運動負荷試験の違いとして正しいものはどれか。
- 1トレッドミルはより高い最大酸素摂取量が得られやすく、自転車エルゴメータは体重の支持が不要で心電図の記録が安定しやすい正解
- 2トレッドミルは体重の支持が不要で心電図の記録が安定しやすく、自転車エルゴメータはより高い最大酸素摂取量が得られやすい
- 3いずれも同じ動作を用いるため、得られる値に違いはない
- 4自転車エルゴメータでは負荷量を数値で設定できないため、定量的な評価には使えない
Answer
正解 1:トレッドミルはより高い最大酸素摂取量が得られやすく、自転車エルゴメータは体重の支持が不要で心電図の記録が安定しやすい
トレッドミルは歩行や走行という全身の大きな筋群を使う動作のため、より高い最大酸素摂取量が得られやすい。一方、自転車エルゴメータは座位で体重を支える必要がなく上半身の動揺が小さいため、心電図や血圧の記録が安定しやすく、下肢に不安のある者にも実施しやすい。「トレッドミルは体重の支持が不要で」は両者の特徴が入れ替わっている。「いずれも同じ動作を用いるため、得られる値に違いはない」は誤りで、動作様式が違えば動員される筋量も異なる。「自転車エルゴメータでは負荷量を数値で設定できない」も誤りで、むしろワット数で明確に設定できる点が利点である。
HINT 「値の大きさならトレッドミル、記録の安定なら自転車」。対象者の状態で選び分ける。
- Q03#ks-et-003
多段階漸増負荷法による運動負荷試験の説明として正しいものはどれか。
- 1負荷を一定に保ったまま、疲労困憊に至るまでの時間のみを測定する
- 2負荷を段階的に下げていき、症状が消える負荷量を求める
- 3一定の時間ごとに負荷を段階的に高めていき、各段階での生体の反応を観察する正解
- 4最初から最大の負荷をかけ、耐えられた時間の長さを測定する
Answer
正解 3:一定の時間ごとに負荷を段階的に高めていき、各段階での生体の反応を観察する
多段階漸増負荷法は、一定の時間ごとに負荷を段階的に高めていき、各段階での心拍数・血圧・心電図・自覚症状などの反応を観察する方法である。段階を追うことで、どの負荷量で異常が現れるかを把握できる。「最初から最大の負荷をかけ、耐えられた時間の長さを測定する」は危険であり、段階ごとの反応も観察できない。「負荷を一定に保ったまま、疲労困憊に至るまでの時間のみを測定する」は一定負荷法であり、多段階漸増負荷法ではない。「負荷を段階的に下げていき」は方向が逆である。
HINT 段階的に上げるのは「どこで異常が出るか」を見たいから。いきなり最大では観察にならない。
- Q04#ks-et-004
運動負荷試験を中止すべき徴候として最も適切なものはどれか。
- 1負荷を上げるにつれて呼吸数が増加する
- 2負荷を上げても収縮期血圧が低下する、胸痛や強いふらつきが現れる正解
- 3負荷を上げるにつれて心拍数が段階的に上昇する
- 4負荷を上げるにつれて収縮期血圧が段階的に上昇する
Answer
正解 2:負荷を上げても収縮期血圧が低下する、胸痛や強いふらつきが現れる
負荷を上げているにもかかわらず収縮期血圧が低下することは、心拍出量を保てなくなっている可能性を示す危険な徴候であり、胸痛や強いふらつきとともに試験の中止を要する。「負荷を上げるにつれて心拍数が段階的に上昇する」「収縮期血圧が段階的に上昇する」「呼吸数が増加する」は、いずれも運動負荷に対する正常な反応であり、中止の理由にはならない。正常な反応と異常な反応を区別できることが、測定を補助するうえでの前提になる。
HINT 「上がるはずのものが下がる」が危険信号。正常反応を知らないと異常も見抜けない。
- Q05#ks-et-005
心肺運動負荷試験(CPX)によって得られる指標として正しいものはどれか。
- 1最大酸素摂取量と嫌気性代謝閾値(AT)正解
- 2最大心拍数と心拍予備能
- 3換気当量と主観的運動強度
- 4肺活量と1秒率
Answer
正解 1:最大酸素摂取量と嫌気性代謝閾値(AT)
心肺運動負荷試験(CPX)は運動中の呼気ガスを分析しながら漸増負荷を行う検査で、最大酸素摂取量と嫌気性代謝閾値(AT)が得られる。ATは心疾患患者の運動処方において強度設定の基準として重視される。「最大心拍数と心拍予備能」は運動負荷試験の途中でも得られる値だが、CPXの中心的な指標ではなく、呼気ガス分析を要しない。「換気当量と主観的運動強度」のうち換気当量は呼気ガス分析から得られるものの、この2つでは有酸素性能力の水準を表せない。「肺活量と1秒率」は安静時の呼吸機能検査で求める値で、運動負荷とは別の検査である。
HINT 呼気ガスを測るからこそATが分かる。心拍数だけでは代謝の切り替わり点は見えない。
- Q06#ks-et-006
運動負荷試験における健康運動指導士の役割として最も適切なものはどれか。
- 1試験には関与せず、結果の数値だけを受け取る
- 2測定の補助と観察を担い、危険な波形かは判断するが、診断は医師が行う正解
- 3試験の実施の可否を自ら判断し、結果から診断を下して対象者に伝える
- 4結果に応じて薬物療法の内容を決定する
Answer
正解 2:測定の補助と観察を担い、危険な波形かは判断するが、診断は医師が行う
財団の学習目標は「心電図波形をみて、危険な心電図波形か否かを判断できる(心電図診断ではなく)」と、判断と診断を明確に書き分けている。健康運動指導士は機器の準備、電極装着の補助、被検者の観察、救急対応の備えを担い、危険な波形かどうかの判断もできるようになることが求められるが、心電図診断と結果の最終判定は医師が行う。「試験の実施の可否を自ら判断し、結果から診断を下して対象者に伝える」は医行為にあたり業務範囲を超える。「結果に応じて薬物療法の内容を決定する」も同様である。「試験には関与せず、結果の数値だけを受け取る」は誤りで、学習目標には運動負荷試験の中止基準を列挙できることも挙げられている。
HINT 財団は「判断できる(診断ではなく)」と括弧書きで線を引いている。判断まで禁じていると誤解しやすい。
- Q07#ks-et-007
最大下負荷試験を用いる利点として最も適切なものはどれか。
- 1最大努力を求めるため、最大酸素摂取量を誤差なく実測できる
- 2負荷をかけないため、安静時の測定だけで運動耐容能が分かる
- 3対象者の年齢にかかわらず、同じ負荷量で実施できる
- 4最大努力を求めないため安全性が高く、心拍数と負荷の関係から最大酸素摂取量を推定できる正解
Answer
正解 4:最大努力を求めないため安全性が高く、心拍数と負荷の関係から最大酸素摂取量を推定できる
最大下負荷試験は最大努力に至らない範囲で負荷をかけ、心拍数と負荷の関係から最大酸素摂取量を推定する方法である。最大努力を求めないため安全性が高く、高齢者や有疾患者にも実施しやすい。そのかわり推定値には誤差が含まれる。「最大努力を求めるため、最大酸素摂取量を誤差なく実測できる」は最大負荷試験の説明であり、しかも「誤差なく」という表現も適切でない。「負荷をかけないため、安静時の測定だけで運動耐容能が分かる」は誤りで、負荷はかける。「年齢にかかわらず、同じ負荷量で実施できる」も誤りで、負荷量は対象者の状態に応じて設定する。
HINT 安全性と精度は引き換え。対象者が誰かによってどちらを取るかが決まる。
- Q08#ks-et-008
運動負荷試験の絶対禁忌にあたるものはどれか。
- 1内服治療によって安定している高血圧
- 2運動習慣のない高齢者であること
- 3体重が標準体重を上回っていること
- 4内科的治療によって安定していない不安定狭心症正解
Answer
正解 4:内科的治療によって安定していない不安定狭心症
運動負荷試験の絶対禁忌には、2日以内の急性心筋梗塞、内科的治療によって安定していない不安定狭心症、自覚症状や血行動態の異常を起こすコントロール不良の不整脈、症候性の高度大動脈弁狭窄症、コントロール不良の症候性心不全、急性の肺塞栓、急性の心筋炎・心膜炎、急性大動脈解離などが挙げられる。「内服治療によって安定している高血圧」は、安定していれば禁忌にあたらない。「運動習慣のない高齢者であること」も禁忌ではなく、むしろ運動耐容能を評価する意義がある。「体重が標準体重を上回っていること」も禁忌ではない。
HINT 禁忌に並ぶのは「急性」か「コントロールできていない」もの。安定している慢性疾患は禁忌ではない。
- Q09#ks-et-009
運動負荷試験を実施する施設の安全管理として最も適切なものはどれか。
- 1機器の点検は導入時に一度行えば足り、その後の定期的な確認は要しない
- 2救急対応は医師のみの役割であるため、他の職員には機器の場所を知らせない
- 3救急蘇生に必要な機器と医薬品をただちに使える場所に備え、定期的に点検と動作確認を行う正解
- 4救急機器は使用する機会が少ないため、必要が生じた時点で他部門から借り受ける
Answer
正解 3:救急蘇生に必要な機器と医薬品をただちに使える場所に備え、定期的に点検と動作確認を行う
運動負荷試験では対象者に最大に近い負荷をかけるため、事故が起きた場合にただちに対応できる体制が前提になる。救急蘇生に必要な機器と医薬品をすぐ使える場所に備え、定期的な点検と動作確認を行っておく必要がある。「必要が生じた時点で他部門から借り受ける」は、数分を争う場面で間に合わない。「点検は導入時に一度行えば足り」も誤りで、電池切れや消耗品の期限切れは点検でしか気づけない。「救急対応は医師のみの役割であるため、他の職員には機器の場所を知らせない」は、医師が離れている場面に対応できず、役割分担の考え方とも反する。
HINT 第12章の学習目標には救急機器・救急医薬品の備えと機器の点検が明記されている。安全管理は測定の一部。
- Q10#ks-et-010
運動負荷試験を終了した直後の対応として最も適切なものはどれか。
- 1ただちに解散させず、心拍数・血圧・心電図と自覚症状を一定時間観察する正解
- 2負荷を終えた時点で測定は完了するため、ただちに着替えて退室してもらう
- 3回復を早めるため、終了直後に座位で完全に静止させ、動きを一切止める
- 4終了後は自覚症状のみを確認し、心拍数と血圧の測定は省略する
Answer
正解 1:ただちに解散させず、心拍数・血圧・心電図と自覚症状を一定時間観察する
運動負荷試験では、負荷を終えた直後から回復期にかけて不整脈や血圧の低下、虚血性の変化が現れることがあるため、ただちに解散させず、心拍数・血圧・心電図と自覚症状を一定時間観察する。「負荷を終えた時点で測定は完了するため、ただちに着替えて退室してもらう」は、この回復期の観察を飛ばすことになり危険である。「終了直後に座位で完全に静止させ、動きを一切止める」も誤りで、急に止めると下肢に血液がたまり静脈還流が減るため、軽い運動を続けながら段階的に戻す。「自覚症状のみを確認し、心拍数と血圧の測定は省略する」も誤りで、自覚症状を伴わない変化を捉えられない。
HINT 事故は負荷の最中だけでなく、終わった直後にも起こる。「終わってからが観察」と覚える。
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