運動指導の心理学的基礎の板書
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第5章「運動指導の心理学的基礎」
この章は本文222ページのうち10ページ=分量で5%。9章のなかでいちばん軽い章です。章ごとの出題数は公表されていないので、分量からの目安です。出典:公式テキストの目次(本文222ページ)。
数えるのは、この3つ
行動変容ステージ
5段階
自己効力感
4つの情報源
OARSオールズ
4つの技術
- 行動変容ステージモデル:無関心期・関心期・準備期・実行期・維持期の5段階
- 自己効力感の情報源:遂行行動の達成・代理的経験・言語的説得・生理的情動的状態の4つ
- 動機づけ面接の基本技術OARS:開かれた質問・是認・聞き返し・要約の4つ
①行動変容ステージモデル3節
分かれ目は「期間」。6か月と1か月で区切る
- 無関心期=6か月以内に変えるつもりがない/関心期=6か月以内に始めるつもりがある
- 準備期=1か月以内に始めるつもり、または少しずつ始めている
- 実行期=始めて6か月未満/維持期=6か月以上続いている
- 無関心期(前熟考期)=6か月以内に行動を変えるつもりがない
- 関心期(熟考期)=6か月以内に始めるつもりがある
- 準備期=1か月以内に始めるつもりがある、または少しずつ始めている
- 実行期=始めてから6か月未満/維持期=6か月以上継続している
- 別名はトランスセオレティカルモデル(いくつもの理論を統合したモデル)
5段階の帯。6か月→1か月→6か月で区切る
- 無関心期(前熟考期):6か月以内に変えるつもりがない/働きかけは情報提供と、やらない損の意識づけ
- 関心期(熟考期):6か月以内に始めるつもりがある/働きかけは意思決定バランス。やる得を数え上げる
- 準備期:1か月以内に始めるつもり、または少しずつ始めている/働きかけは具体的な計画づくりと目標設定
- 実行期:始めてから6か月未満/働きかけは行動の技法。逆戻りへの備え
- 維持期:6か月以上続いている/働きかけはソーシャルサポートと逆戻りの予防
動画でこの図を見る(01:12)同じ説明を全員にしない。段階で変える
- 前半(無関心期〜準備期)は考え方に働きかける/後半(実行期・維持期)は行動に働きかける
- 意思決定バランス=やる得と、やる負担の天びん。無関心期は負担が勝っている
- 前半(無関心期〜準備期)は考え方に働きかける/後半(実行期・維持期)は行動に働きかける
- 意思決定バランス=行動のメリット(やる得)とデメリット(やる負担)の比較。無関心期はデメリットが勝っている
- 相手が今どの段階にいるかを見極めることが、指導の出発点になる
②自己効力感2節
いちばん効くのは「自分でできた」経験
- 自己効力感(セルフエフィカシー)=できそうだという見通し(バンデューラ)
- 情報源は4つ=遂行行動の達成/代理的経験/言語的説得/生理的・情動的状態
- いちばん影響が大きいのは遂行行動の達成。だから目標は低めから刻む
- 自己効力感の情報源4つ:遂行行動の達成(最も影響が大きい)/代理的経験/言語的説得/生理的・情動的状態
- 「専門家の資格を確認すること」は4つのいずれにも含まれない
- だから運動指導では、確実に達成できる小さな目標から始めて成功体験を積ませる
目標は「何を・どのくらい・いつ」。達成できる高さで
- 良い例は「週2回、20分の速歩」。具体的で、本人が達成できる
- 毎日1時間走る(高すぎる)/健康になる(曖昧)/他の人より多く(比較)は不適切
- KR=結果の知識「10回中7回成功」/KP=パフォーマンスの知識「ひじが開く」
- 良い目標:何を・どのくらい・いつ行うかが具体的で、本人が達成できる水準(例=週2回、20分の速歩)
- 不適切な目標:高すぎる(毎日必ず1時間走る)/曖昧(健康になる)/期限がない(いつか始める)/他者との比較(他の参加者より多く運動する)
- KR=結果の知識(課題の達成結果。10回中7回成功)/KP=パフォーマンスの知識(どう動いたか。ひじが開いている・腰が反っている)
- 実施前の手順の教示や、ねぎらいの言葉は、KR・KPのどちらにも当たらない
③行動変容技法4節
やる気ではなく、環境と記録と考え方をいじる
- 刺激統制法=きっかけを環境の側で操作する(運動着と靴を前夜に玄関へ出す)
- セルフモニタリング=自分で記録して振り返る/オペラント強化=できたらご褒美
- 認知再構成=浮かんだ考えを言い換える。「1回行けなかったらもうだめだ」→通えた回数で振り返る
- 刺激統制法:行動のきっかけとなる刺激を環境の側で操作する(運動着と靴を前夜に玄関へ出す)
- セルフモニタリング:自分で記録して振り返る(運動した日にカレンダーへ印をつける)
- オペラント強化:行動の直後の結果でその行動を増やす(1週間続けられたら好きな映画を観る)
- 認知再構成:浮かんだ考えを言い換える。「1回行けなかったらもうだめだ」という白か黒かの見方を、通えた回数で振り返る見方に置き換える
- 休んだ日を空欄のままにする記録は、欠けた部分に目が向くので、白か黒かの見方をかえって強める
場面から技法を引く。5つを取り違えない
- 刺激統制法:運動着と靴を前夜に玄関へ出す→きっかけを環境の側で操作する
- セルフモニタリング:運動した日をカレンダーに印をつけて週末に振り返る→自分で記録する
- オペラント強化:1週間続けられたら好きな映画を観ることにする→結果でその行動を増やす
- 認知再構成:「1回行けなかったらもうだめだ」という極端な受け取り方を言い換える→考え方そのものを扱う
- ソーシャルサポート:一緒に歩く仲間を誘い、励まし合える関係をつくる→周りの人からの支援
動画でこの図を見る(03:16)支えになるのは「他者が関わっている」という事実
- ソーシャルサポート=一緒に歩く・励ます・送り迎えをする、周りの人からの支援
- ウェアの購入・会費の前払い・本を読む・歩数の記録は他者からの支援ではない
- グループダイナミクス(集団力学)=参加者が影響し合い、継続が支えられる
- ソーシャルサポート:一緒に歩く・励ます・送り迎えをする=周りの人から得られる支援
- 他者からの支援ではないもの:ウェアの購入/会費の前払い(環境づくり・心理的なコミットメント)/書籍を読む(知識)/歩数の記録(セルフモニタリング)
- グループダイナミクスで期待できるのは、参加者同士が互いに影響し合い、参加の継続が支えられること
- ▲間違えやすいところ: 体力を比べ合わせるのは逆効果。比較が前に出ると、体力の低い人は参加をやめる方向に働きやすい
- 強度の細かい調整や、一人に向き合う時間は個別指導の利点。集団ではむしろ取りにくい
意図をつくるまでと、意図を行動に変えるまで
- HAPA(健康行動プロセスアプローチ・シュワルツァー)=動機づけ相と意志相
- 橋渡しは計画。行動計画(いつ・どこで・どう行うか)+対処計画(妨げが出たときの手)
- HAPA(健康行動プロセスアプローチ・R.Schwarzer):動機づけ相(危険性の認知・結果への期待・自己効力感)→意図→意志相(行動計画・対処計画)
- 行動計画=いつ・どこで・どのように行うか/対処計画=妨げが生じたときの対処をあらかじめ決めておく
- ▲間違えやすいところ: 期間を基準に5つの段階を設けるのは行動変容ステージモデル。HAPAの枠組みではない
- 態度・周囲の期待の受け取り方・実行できそうかの感覚の3つから意図を予測するのは計画的行動理論。HAPAは主観的規範を構成要素に含めない
④動機づけ面接4節
指導者が押さない。本人の言葉を引き出す
- 基本技術OARS=開かれた質問・是認・聞き返し・要約
- 助言・説得・指示は入らない。はい・いいえで答える質問も入らない
- チェンジトーク=変わる方向に向かう、本人自身の言葉(願望・能力・理由・必要性)
- 維持トーク=現状にとどまる方向(困っていない/私には無理)。一般論・環境の説明はどちらでもない
- OARS:Open question(開かれた質問)/Affirming(是認)/Reflective listening(聞き返し)/Summarizing(要約)
- ▲間違えやすいところ: 助言・説得・指示はOARSに入らない。はい・いいえで答える閉じた質問も入らない
- チェンジトークの準備段階:願望・能力・理由・必要性/実行段階:宣言・その気になっている・すでに踏み出した行動
- 指導者の役割は、チェンジトークが出たところを是認し、聞き返して広げていくこと
チェンジトークか、維持トークか、どちらでもないか
- チェンジトーク(本人が変わる方向を自分の言葉で述べている):「階段を使うくらいなら、今日からでもできそうです」=能力
- 維持トーク(現状にとどまる方向):「今のままの生活でも、特に困っていることはありません」=必要を感じていない/「前にもジム通いを試しましたが、私には無理だと思います」=できないという見通し
- どちらでもない:「ジムは家から歩いて5分のところにあります」=環境の説明(※「会員証をもう作った」は踏み出した行動=チェンジトーク)/「運動が健康にいいことは、よく耳にしますね」=一般論
動画でこの図を見る(05:06)共感は「あたかも相手のように」理解すること
- 共感的理解+無条件の肯定的関心+自己一致(ロジャーズの3条件)
- 同情(同じ気持ちになる)/同意(希望どおりに変える)/解釈(専門知識に置き換える)/助言とは別
- ロジャーズの3条件:共感的理解/無条件の肯定的関心(善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴く)/自己一致(聴き手が相手にも自分にも真摯であること)
- 共感と区別するもの:同情(自分も同じ気持ちになる)/同意(希望どおりに指導内容を変える)/解釈(専門知識に置き換えて説明する)/助言(すばやく答えを返す)
- ▲間違えやすいところ: 指導者は心理療法を行わない。聴き方は運動指導の範囲で使う道具として押さえる
まず確かめる。計画を動かすのは、そのあと
- 休むと落ち着かない・痛くても毎日・約束を断る→休む日を計画に組み込む
- 「また転ぶのが怖い」→恐れの強さと、動作・外出がどこまで狭まったかを把握する
- 「体を見られるのが嫌」→どの場面で感じるかを尋ね、立つ位置・服装・器具を一緒に決める
- 運動が目的に入れ替わる:休む日をつくると落ち着かない/痛みが出ても毎日続ける/人との約束を運動のために断る
- →生活のどこが押しのけられているかを本人と確かめ、休む日を組み込んだ計画に見直す。頻度を上げる・今の取り組み方をほめて強めるのは逆向き
- 転倒への恐れ:恐れそのものが体力とは別に活動量を下げる→恐れの強さと、動作・外出が狭まっている程度を把握する。測定値が年齢の基準の範囲にあっても動かなくなる人がいる
- 体型を見られることへの抵抗:気になる場面(鏡・更衣室・特定の種目)は人によって違う→尋ねて、立つ位置・服装・使う器具を一緒に決める
- →測定値を毎回示す/鏡の前に慣れさせる/自宅に切り替えるのは、抵抗を強めるか参加を遠ざける
この章の要点
- ステージは6か月→1か月→6か月で区切る5段階
- 自己効力感の情報源は4つ。いちばん効くのは遂行行動の達成
- 技法は環境・記録・ご褒美・考え方・人の5語で引く
- OARSに助言・説得・指示は入らない。共感は同情・同意・解釈・助言とは別
読んだら、解いて確かめる
聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。
運動指導の心理学的基礎を15問で解くOther subjects
健康運動実践指導者の板書(公式テキストの章立て順)。
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