健康づくりと運動プログラム全24問・正解と解説つき
健康運動実践指導者 ・ 公式テキスト第7章 ・ 分量 10%
トレーニングの原理・原則、運動プログラム作成のポイントと構成要素、加齢変化と身体活動の必要性、目的・ニーズ別の設計、ウォームアップとクールダウン、有酸素性運動と無酸素性運動の効果。
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- Q01#kj-pr-001
運動処方の基本要素を表す「FITT」に含まれないものはどれか。
- 1頻度(Frequency)
- 2強度(Intensity)
- 3時間(Time)
- 4種類(Type)
- 5休息(Rest)正解
Answer
正解 5:休息(Rest)
FITTは運動処方の基本要素の頭文字で、Frequency(頻度)・Intensity(強度)・Time(時間)・Type(種類)の4つを指す。「どのくらいの頻度で、どのくらいの強さで、どのくらいの時間、何を行うか」を決めることが運動処方の骨格になる。休息(Rest)はトレーニングを計画するうえで重要な要素だが、FITTの4文字には含まれない。なお、これに Volume(量)と Progression(漸進性)を加えた FITT-VP という枠組みも用いられるが、ここにも休息は含まれず、別途配慮する事項として扱われる。
HINT 頻度・強度・時間・種類。この4つで処方が決まる。
- Q02#kj-pr-002
トレーニングの3原理のうち、「トレーニングを中止すると、得られた効果が徐々に失われる」ことを指すものはどれか。
- 1過負荷の原理
- 2特異性の原理
- 3可逆性の原理正解
- 4漸進性の原則
- 5個別性の原則
Answer
正解 3:可逆性の原理
トレーニングの3原理は過負荷・可逆性・特異性を指し、5原則は全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性を指す。このうち可逆性の原理は、トレーニングを中止すると得られた効果が時間とともに失われていくことをいい、獲得に要した期間が短いほど失われるのも早いとされる。「過負荷の原理」は日常より強い刺激を与えないと効果が得られないこと、「特異性の原理」は行ったトレーニングの内容に応じた効果しか得られないことを指し、いずれも中止したあとの変化を説明するものではない。「漸進性の原則」は負荷を段階的に高めていくこと、「個別性の原則」は対象者の体力や目的に応じて内容を変えることで、どちらも3原理ではなく5原則に属する。
HINT 可逆=元に戻る。やめれば戻ってしまう。3原理は過負荷・可逆性・特異性。
- Q03#kj-pr-003
カルボーネン法を用いて、安静時心拍数60拍/分、最大心拍数180拍/分の人に運動強度50%を処方した場合、目標心拍数はいくらか。
- 190拍/分
- 2110拍/分
- 3120拍/分正解
- 4130拍/分
- 5150拍/分
Answer
正解 3:120拍/分
カルボーネン法の式は「目標心拍数 =(最大心拍数 − 安静時心拍数)× 運動強度 + 安静時心拍数」である。この例では(180 − 60)× 0.5 + 60 = 60 + 60 = 120拍/分となる。「90拍/分」は最大心拍数に0.5を掛けただけで安静時心拍数を足し忘れたもの(180 × 0.5)、「150拍/分」は安静時心拍数を引かずに最大心拍数へそのまま0.5を掛け、最後に安静時心拍数を足してしまったもの(180 × 0.5 + 60)にあたる。「110拍/分」「130拍/分」はいずれの手順からも導かれない値である。安静時心拍数を式に組み込むことで、同じ強度でも個人差を反映できるのがこの方法の利点である。
HINT 予備心拍数(最大−安静時)に強度を掛け、最後に安静時を足し戻す。
- Q04#kj-pr-004
ウォームアップの目的として、適切でないものはどれか。
- 1筋温・体温を高めて筋の柔軟性を高める
- 2関節可動域を広げて外傷を予防する
- 3心拍数を段階的に上げて循環系を運動に備えさせる
- 4神経系を賦活して動作の準備状態をつくる
- 5運動後の疲労物質を除去して回復を促す正解
Answer
正解 5:運動後の疲労物質を除去して回復を促す
運動後の回復を促すのはクールダウンの目的であり、ウォームアップの目的ではない。ウォームアップは、筋温・体温を高めて筋の柔軟性を上げること、関節可動域を広げて外傷を予防すること、心拍数と血流を段階的に高めて循環系を運動に備えさせること、神経系を賦活して動作の準備状態をつくることを目的として行う。いずれも「これから運動する身体を整える」方向の働きである。
HINT ウォームアップ=運動に備える/クールダウン=運動から戻す。
- Q05#kj-pr-005
レジスタンストレーニングにおける「1RM」の説明として正しいものはどれか。
- 11分間に反復できる最大回数
- 21回だけ挙上できる最大の重量正解
- 31セットあたりの推奨反復回数
- 41週間あたりの推奨実施回数
- 51種目あたりの推奨セット数
Answer
正解 2:1回だけ挙上できる最大の重量
1RM(1 Repetition Maximum)は、正しいフォームで1回だけ挙上できる最大の重量を指し、筋力の指標および負荷設定の基準として用いられる。実際のプログラムでは「1RMの70%で10回」のように、1RMに対する割合で負荷を決めることが多い。「nRM」は「n回だけ挙上できる最大重量」を表す表記であり、指しているのは回数ではなく重量である。したがって、反復回数そのもの・実施頻度・セット数を表す指標ではない。なお、初心者や高齢者では1RMの直接測定が危険な場合があり、複数回挙上できる重量から推定する方法がとられる。
HINT RMが表しているのは重量。数字のほうが「何回挙がるか」。
- Q06#kj-pr-006
高齢者を対象とした運動プログラムを立案する際の配慮として、最も適切なものはどれか。
- 1短期間で効果を出すため、開始時から高強度で実施する
- 2転倒予防の観点から、バランス能力を高める運動を取り入れる正解
- 3関節への負担を避けるため、筋力トレーニングは一切行わない
- 4個人差を考慮せず、集団で同一のメニューを実施する
- 5水分補給は口渇を感じてから行うよう指導する
Answer
正解 2:転倒予防の観点から、バランス能力を高める運動を取り入れる
高齢者では転倒が骨折や寝たきりの引き金になりやすいため、バランス能力を高める運動をプログラムに取り入れることが重要である。「開始時から高強度」は心血管系の事故や整形外科的な障害の危険が高く、低強度から段階的に進めるのが原則。筋力トレーニングはサルコペニアの予防に有効で、「一切行わない」のは誤り。体力差が大きい年代であるため、個別性への配慮はむしろ強く求められる。高齢者は口渇を感じにくくなるため、渇きを感じる前の計画的な水分補給を勧める。
HINT 加齢で先に落ちるのは持久力より筋力・バランス。転倒予防が要。
- Q07#kj-pr-007
有酸素性運動を継続したときに得られる効果として、適切でないものはどれか。
- 1最大酸素摂取量が高まる
- 21回拍出量が増え、安静時心拍数が低下する
- 3毛細血管が発達し、筋への酸素の受け渡しがよくなる
- 4HDLコレステロールが増え、中性脂肪が減りやすくなる
- 5最大挙上重量(1RM)が大きく向上する正解
Answer
正解 5:最大挙上重量(1RM)が大きく向上する
最大挙上重量の向上は、高い負荷をかけるレジスタンストレーニングによって得られるもので、有酸素性運動を続けても大きくは向上しない。特異性の原則のとおり、行ったトレーニングの内容に応じた効果が現れる。有酸素性運動の継続によって得られるのは、最大酸素摂取量の増加、1回拍出量の増加とそれに伴う安静時心拍数の低下(徐脈)、毛細血管の発達による筋への酸素の受け渡しの改善、HDLコレステロールの増加と中性脂肪の低下といった変化である。
HINT 持久力の運動を続けても、挙げられる重さは変わらない。
- Q08#kj-pr-008
運動習慣のない中高年者にウォーキングのプログラムを始めるとき、進め方として最も適切なものはどれか。
- 1短い時間とゆっくりした速度から始め、まず頻度と時間を増やしてから速度を上げる正解
- 2最初から速歩で、目標とする時間を通して行わせる
- 3週に1回、長い時間をまとめて行わせる
- 4開始した直後から、毎日1時間の実施を目標にする
- 5速度を最優先で上げ、時間は身体が慣れてから延ばす
Answer
正解 1:短い時間とゆっくりした速度から始め、まず頻度と時間を増やしてから速度を上げる
運動習慣のない人には、まず続けられることを優先し、短い時間とゆっくりした速度から入る。次に頻度と時間を増やして運動量を確保し、身体が慣れてから速度(強度)を上げるのが安全な順序である。最初から速歩で目標時間を通すこと、開始直後から毎日1時間を目標にすること、速度を最優先で上げることは、いずれも強度や量の増やし方として急すぎ、傷害や脱落を招く。週に1回長い時間をまとめる方法も、1回あたりの負担が大きいうえ、効果の面でも複数回に分けたほうが望ましい。
HINT 順番は「時間・頻度」が先、「強度」が後。
- Q09#kj-pr-009
健康づくりのためのトレーニングにおける「過負荷(オーバーロード)の原理」の説明として、正しいものはどれか。
- 1日常生活で受けている以上の負荷を与えないと、体力は向上しない正解
- 2負荷の大きさに比例して効果が高まるため、強度を最優先に高める
- 3同じ負荷を続けていれば、体力は伸び続ける
- 4行ったトレーニングの内容に応じた効果しか得られない
- 5対象者の体力や目的に応じて負荷を変える必要がある
Answer
正解 1:日常生活で受けている以上の負荷を与えないと、体力は向上しない
過負荷の原理は、日常生活で受けている以上の負荷(刺激)を与えなければ身体は適応せず、体力は向上しないという考え方で、トレーニングが成り立つ前提になっている。「負荷の大きさに比例して効果が高まるため、強度を最優先に高める」は誤りで、負荷が過大になれば傷害や過度の疲労を招き、効果はかえって頭打ちになる。「同じ負荷を続けていれば、体力は伸び続ける」も誤りで、身体がその負荷に適応した時点で刺激は相対的に弱くなり、負荷を高めなければ向上は止まる。「行ったトレーニングの内容に応じた効果しか得られない」は特異性の原理、「対象者の体力や目的に応じて負荷を変える必要がある」は個別性の原則の説明であり、過負荷の原理とは別のものである。
HINT 「いつもどおり」では身体は変わらない。
- Q10#kj-pr-010
トレーニングの5原則の一つと、その内容の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1全面性の原則 ― 特定の部位や体力要素に偏らず、全身をバランスよく高める正解
- 2意識性の原則 ― 負荷を一定に保ち、同じ内容を長く続ける
- 3反復性の原則 ― 体力や目的の個人差に応じて内容を変える
- 4漸進性の原則 ― 運動の目的や意義を理解したうえで取り組む
- 5個別性の原則 ― 中止すると得られた効果が失われていく
Answer
正解 1:全面性の原則 ― 特定の部位や体力要素に偏らず、全身をバランスよく高める
トレーニングの5原則は、全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性を指す(過負荷・可逆性・特異性は原則ではなく3原理に分類される)。全面性の原則は、特定の部位や特定の体力要素だけに偏らず、全身をバランスよく高めることを求めるもので、健康づくりのプログラムで有酸素性運動・レジスタンス運動・柔軟性の運動を組み合わせる根拠になる。「意識性の原則 ― 負荷を一定に保ち、同じ内容を長く続ける」は誤りで、意識性の原則とは対象者が運動の目的や意義を理解したうえで取り組むことを指す。「反復性の原則 ― 体力や目的の個人差に応じて内容を変える」の内容は個別性の原則にあたり、反復性の原則は一定期間にわたって繰り返し継続して行うことを指す。「漸進性の原則 ― 運動の目的や意義を理解したうえで取り組む」の内容は意識性の原則にあたり、漸進性の原則は負荷を段階的に高めていくことを指す。「個別性の原則 ― 中止すると得られた効果が失われていく」の内容は、原則ではなく可逆性の原理にあたる。
HINT 5原則は「全面・個別・意識・漸進・反復」。過負荷・可逆性・特異性は原理のほう。
- Q11#kj-pr-011
運動プログラムの構成要素を表す「FITT-VP」のうち、「V(Volume)」が指す内容として最も適切なものはどれか。
- 1頻度・強度・時間を掛け合わせた運動の総量正解
- 2運動中に体内へ取り込まれる酸素の量
- 31回のセッションで行う種目の数
- 4運動を継続してきた期間の長さ
- 51セットあたりの反復回数
Answer
正解 1:頻度・強度・時間を掛け合わせた運動の総量
FITT-VPは、頻度(Frequency)・強度(Intensity)・時間(Time)・種類(Type)の4要素に、Volume(量)とProgression(漸進)を加えた枠組みである。このうちVolumeは、頻度・強度・時間を掛け合わせた運動の総量を指し、メッツ・時などの単位で表される。「運動中に体内へ取り込まれる酸素の量」は酸素摂取量のことで、強度の指標にはなるが運動量そのものではない。「1回のセッションで行う種目の数」はプログラムの構成を示す数値にすぎず、総量とは対応しない。「運動を継続してきた期間の長さ」は実施期間であり、Volumeとは別の概念である。「1セットあたりの反復回数」はレジスタンストレーニングの条件の一つで、総量の一部ではあるが、Volumeが指す内容そのものではない。
HINT 「量」は、どれだけの強さで・どれだけの時間・何回行ったかの積で表す。
- Q12#kj-pr-012
4メッツの運動を1回30分、週に3回行った場合、1週間の身体活動量はいくらになるか。
- 12メッツ・時
- 26メッツ・時正解
- 312メッツ・時
- 490メッツ・時
- 5360メッツ・時
Answer
正解 2:6メッツ・時
身体活動量は「メッツ × 実施時間(時)」で表す。30分は0.5時間なので、1回あたり 4 × 0.5 = 2メッツ・時。これを週3回行うので 2 × 3 = 6メッツ・時となる。「2メッツ・時」は1回分だけを答えたもので、週の回数を掛けていない。「12メッツ・時」は実施時間を30分ではなく1時間として計算したもの(4 × 1 × 3)にあたる。「90メッツ・時」は実施時間の合計(30分 × 3回 = 90分)をそのままメッツ・時として読んでしまったもので、メッツを掛けていない。「360メッツ・時」は時間を「分」のまま計算したもの(4 × 30 × 3)で、単位を時に直していない。この計算ができると、ガイドが示す「成人は週23メッツ・時以上」「高齢者は週15メッツ・時以上」という推奨に、目の前のプログラムが届いているかをその場で確かめられる。
HINT メッツ・時 = メッツ × 時間(時)。分のままで計算しない。
- Q13#kj-pr-013
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が、こどもについて参考として示している内容はどれか。
- 1中強度以上の身体活動を1日60分以上行う正解
- 2高強度の身体活動は、こどもには勧められていない
- 3座りっぱなしの時間については、こどもには示されていない
- 41日約4,000歩以上を歩数の目安とする
- 5筋肉や骨を強化する身体活動は、成長を終えてから始める
Answer
正解 1:中強度以上の身体活動を1日60分以上行う
本ガイドはこども(身体を動かす時間が少ないこどもが対象)について、中強度以上(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上行うことを参考として示している。加えて、高強度の有酸素性身体活動や、筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行うことも示されているため、「高強度の身体活動は勧められていない」「筋肉や骨を強化する身体活動は成長を終えてから始める」はいずれも誤りである。座りっぱなしについても「身体を動かす時間の長短にかかわらず、座りっぱなしの時間を減らす。特に余暇のスクリーンタイムを減らす」と示されており、「こどもには示されていない」は誤り。「1日約4,000歩以上を歩数の目安とする」も誤りで、本ガイドが歩数の目安を示しているのは成人(1日約8,000歩以上)と高齢者(1日約6,000歩以上)で、こどもに対して歩数の目安は示されていない。
HINT こどもは時間(1日60分)で示され、歩数では示されていない。
- Q14#kj-pr-014
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」における座位行動の説明として、適切でないものはどれか。
- 1座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することが、推奨事項に含まれている
- 2座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費の少ない覚醒中の行動を指す
- 3デスクワークや、座ったままテレビやスマートフォンを見ることが含まれる
- 4立位が困難な人については、座位行動に関する考え方は示されていない正解
- 5身体活動の推奨量を満たしている人でも、座りっぱなしの時間には注意が必要である
Answer
正解 4:立位が困難な人については、座位行動に関する考え方は示されていない
本ガイドは、立位が困難な人についても「じっとしている時間が長くなりすぎないように少しでも身体を動かす」と明記しており、「考え方は示されていない」は誤りである。座位行動は、座位や臥位の状態で行われるエネルギー消費が1.5メッツ以下のすべての覚醒中の行動と定義され、デスクワークや、座ったり寝ころんだ状態でテレビやスマートフォンを見ることが例として挙げられている。睡眠中は覚醒中ではないため含まれない。「座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する」ことは高齢者・成人に共通の推奨事項として示されており、身体活動の推奨量を満たしているかどうかにかかわらず注意すべき項目として、身体活動量とは別の欄に掲げられている。
HINT 立っているのが難しい人にも、ガイドは声をかけている。
- Q15#kj-pr-015
主観的運動強度(ボルグスケール)で、「ややきつい」に相当する数値はどれか。
- 19
- 211
- 313正解
- 415
- 517
Answer
正解 3:13
ボルグスケールは、運動時に本人が感じる「きつさ」を6から20までの数値で表す尺度で、数値が大きいほどきついことを示す。このうち9が「かなり楽である」、11が「楽である」、13が「ややきつい」、15が「きつい」、17が「かなりきつい」に対応する。したがって「9」「11」は「ややきつい」より楽な側、「15」「17」はより強い側にあたり、いずれも「ややきつい」には相当しない。厚生労働省の資料では、生活習慣病を有する人などに対しては「楽である」または「ややきつい」と感じる程度の強さが適切で、「きつい」と感じるような強度は避けた方がよいとされている。心拍数と違って器具がなくてもその場で確認でき、薬剤の影響で心拍数が強度を反映しない場合にも使える点が実用上の利点である。
HINT 6〜20の尺度。「楽である」の2つ上。
- Q16#kj-pr-016
β遮断薬などの降圧薬を服用している人の運動強度を設定するとき、指標の用い方として最も適切なものはどれか。
- 1心拍数が強度を反映しにくいため、主観的運動強度を併せて用いる正解
- 2心拍数の目標値を通常より高めに設定して補正する
- 3運動中の血圧を、心拍数に代わる強度の指標として用いる
- 4服薬前の安静時心拍数を用いてカルボーネン法で設定する
- 5薬の影響は運動中には及ばないため、通常どおり心拍数で設定する
Answer
正解 1:心拍数が強度を反映しにくいため、主観的運動強度を併せて用いる
一部のカルシウム拮抗薬・α遮断薬・β遮断薬などは心拍数に影響を与えるため、心拍数が運動強度の指標にならない。この場合は、本人が感じるきつさを表す主観的運動強度を併せて用いることが厚生労働省の資料でも示されている。「心拍数の目標値を通常より高めに設定して補正する」は、薬による心拍数の抑えられ方に個人差が大きく、補正の根拠がないため危険である。「運動中の血圧を指標として用いる」のは、運動中に継続して正確に測ることが難しく、現場の強度管理には向かない。「服薬前の安静時心拍数を用いてカルボーネン法で設定する」も、服薬中は最大心拍数も抑えられるため、算出される目標心拍数が実態と合わない。「薬の影響は運動中には及ばない」は事実と異なり、影響は運動中にこそ現れる。
HINT 心拍数が当てにならないなら、本人の感覚に頼る。
- Q17#kj-pr-017
1時間の運動プログラムを組むとき、ウォームアップとクールダウンに充てる時間の目安として、最も適切なものはどれか。
- 1ウォームアップは10分程度、クールダウンは5分程度正解
- 2ウォームアップは1分程度、クールダウンは1分程度
- 3ウォームアップは20分程度、クールダウンは20分程度
- 4ウォームアップは30分程度、クールダウンは20分程度
- 5ウォームアップは5分程度、クールダウンは30分程度
Answer
正解 1:ウォームアップは10分程度、クールダウンは5分程度
厚生労働省の資料では、準備運動(ウォームアップ)は運動時間全体の10〜15%、整理運動(クールダウン)は5〜10%をかけて実施するとされており、1時間の運動ならウォームアップ10分程度、クールダウン5分程度が目安となる。「1分程度」ずつでは体温や心拍数を段階的に上げ下げするには短すぎ、傷害や運動後の血圧低下の予防にならない。「20分ずつ」「ウォームアップ30分・クールダウン20分」では、前後で全体の3分の2以上を占めてしまい、主運動の時間が確保できず、目的とする効果が得られない。「クールダウンに30分」もウォームアップより長く配分している点で目安から外れており、配分の考え方が逆になっている。
HINT 主運動が主役。前後は合わせて全体の2割程度にとどめる。
- Q18#kj-pr-018
加齢に伴う身体の変化をふまえた運動プログラムの考え方として、最も適切なものはどれか。
- 1骨格筋量は成人期のうちから減り始めるため、高齢期を待たずにレジスタンス運動を組み込む正解
- 2骨格筋量が減り始めるのは65歳以降なので、それまではレジスタンス運動を入れなくてよい
- 3最大酸素摂取量は加齢によってほとんど変わらないため、有酸素性運動の量は年代を問わず同じにする
- 4基礎代謝量の低下は体脂肪量の増加によるものなので、対策は食事の管理に限られる
- 5加齢による筋量の減少は運動では遅らせられないため、プログラムは柔軟性の維持に絞る
Answer
正解 1:骨格筋量は成人期のうちから減り始めるため、高齢期を待たずにレジスタンス運動を組み込む
骨格筋量の減少は25〜30歳頃から始まり、その後も生涯を通じて進行するとされるため、高齢期を待たずに成人期のうちからレジスタンス運動をプログラムに組み込んでおく必要がある。高齢期に骨格筋量と筋力・身体機能が低下した状態がサルコペニアであり、早い年代から続けることがその予防につながる。「骨格筋量が減り始めるのは65歳以降なので、それまではレジスタンス運動を入れなくてよい」は誤りで、低下の始まりを実際より数十年遅く見積もっている。「最大酸素摂取量は加齢によってほとんど変わらないため、有酸素性運動の量は年代を問わず同じにする」も誤りで、最大酸素摂取量は20歳代以降は加齢に伴って低下するため、同じ相対強度でも絶対的な負荷は年代によって変わり、量の設定も見直す必要がある。「基礎代謝量の低下は体脂肪量の増加によるものなので、対策は食事の管理に限られる」も誤りで、基礎代謝量の低下は主に筋肉などの除脂肪量が減ることによるので、除脂肪量を保つレジスタンス運動が対策の柱になる。「加齢による筋量の減少は運動では遅らせられないため、プログラムは柔軟性の維持に絞る」も誤りで、身体活動を活発に行うこと、とくにレジスタンス運動は筋量の減少を遅らせることにつながる。
HINT 筋肉が減り始めるのは、高齢期よりずっと前。
- Q19#kj-pr-019
体脂肪の減少(減量)を主な目的とする人の運動プログラムの考え方として、最も適切なものはどれか。
- 1続けられる中等度の強度で、頻度と時間を確保して総消費量を増やす正解
- 2脂肪が使われる強度は限られるため、その強度だけを厳密に守る
- 3運動は高強度で短時間に絞り、食事の見直しは後回しにする
- 4レジスタンス運動は体重が落ちにくくなるため、取り入れない
- 5毎回できるだけ高い強度まで追い込み、頻度は週1回にとどめる
Answer
正解 1:続けられる中等度の強度で、頻度と時間を確保して総消費量を増やす
減量では消費エネルギーの総量が鍵になるため、続けられる中等度の強度で頻度と時間を確保し、総消費量を積み上げる進め方が基本になる。「脂肪が使われる強度だけを厳密に守る」必要はなく、強度が上がれば脂肪の利用割合は下がるものの総消費量は増えるため、割合よりも総量で考える。「運動は高強度で短時間に絞り、食事の見直しは後回しにする」のは、運動だけで生み出せる収支の差が小さいため効率が悪く、食事との組み合わせが欠かせない。レジスタンス運動は除脂肪量の減少を抑えて減量後の体重を戻りにくくするので、「取り入れない」は誤り。「毎回高い強度まで追い込み、頻度は週1回」では、1回あたりの負担が大きいわりに総消費量が確保できず、傷害や脱落も招きやすい。
HINT 割合ではなく総量。続けられる強さで回数と時間を積む。
- Q20#kj-pr-020
骨量の維持・増加をねらう運動として、最も適切なものはどれか。
- 1ウォーキングやジョギングなど、骨に体重や衝撃が加わる運動正解
- 2水泳や水中歩行など、浮力によって荷重が軽くなる運動
- 3座位で行うストレッチングなど、可動域を広げる運動
- 4自転車エルゴメータなど、体重を支えずに続けられる運動
- 5立位でゆっくり重心を移動させる、太極拳のような低強度の運動
Answer
正解 1:ウォーキングやジョギングなど、骨に体重や衝撃が加わる運動
骨はその長軸方向に物理的な刺激が加わることで強さを増すとされ、ウォーキングやジョギングのように重力・体重がかかる運動や、筋力トレーニングが骨量の維持・増加に有効である。水泳や水中歩行は浮力で荷重が軽くなるため骨への刺激が小さく、水泳選手の骨密度は陸上で行う競技の選手より低いことが知られている。座位でのストレッチングは柔軟性を高める運動で、骨に荷重をかける刺激にはならない。自転車エルゴメータはサドルが体重を支えるため、有酸素性運動としては有効でも骨への荷重刺激は乏しい。立位でゆっくり重心を移動させる運動は、荷重はかかるものの骨に加わる力が小さく衝撃もないため、骨量を増やす刺激としては弱い。骨の維持・増加をねらうなら、歩行・ジョギングのように衝撃を伴う運動や、筋力トレーニングのように強い張力が骨にかかる運動が必要である。
HINT 骨は「体重をかけて使う」ことで強くなる。浮力や座位では刺激が足りない。
- Q21#kj-pr-021
膝や腰に負担を感じている人が運動を続けられるようにするときの、種目の選び方として最も適切なものはどれか。
- 1水中運動や自転車エルゴメータなど、関節にかかる体重の影響が小さい種目から入る正解
- 2痛みが完全になくなるまで運動を休み、なくなってから元の種目に戻す
- 3膝のまわりの筋力トレーニングは関節の負担になるため、種目から外す
- 4段差の昇降や跳躍を繰り返し、荷重に慣れさせることを優先する
- 5関節の動きを取り戻すため、痛みが出る範囲まで曲げ伸ばしを行う
Answer
正解 1:水中運動や自転車エルゴメータなど、関節にかかる体重の影響が小さい種目から入る
膝や腰に負担を感じている人では、まず水中運動や自転車エルゴメータのように関節にかかる体重の影響が小さい種目から入り、様子を見ながら荷重のかかる種目へ広げていく。水中では浮力が体重を支え、自転車ではサドルが体重を支えるため、同じ有酸素性運動でも関節にかかる力を抑えられる。「痛みが完全になくなるまで運動を休み、なくなってから元の種目に戻す」のは適切でなく、休んでいる間に筋力と柔軟性が落ち、体重も増えやすくなって関節への負担はかえって増す。「膝のまわりの筋力トレーニングは関節の負担になるため、種目から外す」も誤りで、大腿四頭筋など膝を支える筋を鍛えることは関節にかかる衝撃を受け止める助けになり、変形性膝関節症の運動療法でも中心に置かれている。「段差の昇降や跳躍を繰り返し、荷重に慣れさせることを優先する」は、関節にかかる力がもっとも大きい動作を初めから選ぶことになり、痛みを強めてしまう。「関節の動きを取り戻すため、痛みが出る範囲まで曲げ伸ばしを行う」も誤りで、痛みは組織に無理がかかっている合図であり、痛みの出ない範囲で動かすのが原則である。
HINT まずは体重が関節にかかりにくい種目から。休んで待つのでも、いきなり衝撃をかけるのでもない。
- Q22#kj-pr-022
保健指導の一環として、生活習慣病を有する人の身体活動を支援するときの強度について、厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」が示している考え方はどれか。
- 13メッツ程度で開始し、支援の期間中は3メッツ以上6メッツ未満を維持する正解
- 26メッツ以上の強度で開始し、慣れてきたら徐々に強度を下げていく
- 3強度は問わず、本人が行いたい種目を自由に選ばせる
- 4開始から2週間で6メッツ以上に到達させることを目標とする
- 52メッツ程度の活動にとどめ、3メッツ以上には上げない
Answer
正解 1:3メッツ程度で開始し、支援の期間中は3メッツ以上6メッツ未満を維持する
「健康づくりのための身体活動基準2013」では、生活習慣病を有する人などに保健指導の一環として支援する場合、散歩程度にあたる3メッツ程度で開始し、本人が慣れたとしても安全性を重視して、支援の期間中は3メッツ以上6メッツ未満の強度を維持することが望ましいとされている。「6メッツ以上で開始する」のは、心血管系の事故の危険が高く開始時の強度として過大である。「強度は問わず自由に選ばせる」のでは安全域の上限を管理できない。「2週間で6メッツ以上に到達」も進め方が急すぎる。「2メッツ程度にとどめる」は逆に強度が不足し、3メッツ以上という推奨の下限に届かない。なお、本人が6メッツ以上の運動を希望する場合は、健康スポーツ医等の医師の助言を受けたうえで取り組むことが望ましいとされている。
HINT 下限は3メッツ、上限は6メッツ未満。散歩から始めて、その幅で保つ。
- Q23#kj-pr-023
レジスタンストレーニングを継続したときに得られる効果として、最も適切なものはどれか。
- 1除脂肪量が保たれ、安静時のエネルギー消費量の低下を防ぎやすくなる正解
- 2開始後2〜3週間の筋力の伸びは、その大半が筋の断面積の増加によるものである
- 3骨への荷重刺激が加わらないため、骨量の維持には寄与しない
- 4腱や結合組織は適応しないため、扱う重量を増やしても強くならない
- 5高齢者では筋量が増えないため、効果は筋力の向上にとどまる
Answer
正解 1:除脂肪量が保たれ、安静時のエネルギー消費量の低下を防ぎやすくなる
レジスタンストレーニングは筋量すなわち除脂肪量を保つ働きがあり、基礎代謝量の低下の主な原因が除脂肪量の減少であることから、安静時のエネルギー消費量の低下を防ぎやすくなる。サルコペニアの予防にレジスタンス運動が有用とされるのも同じ理由による。「開始後2〜3週間の筋力の伸びは、その大半が筋の断面積の増加によるものである」は誤りで、開始からしばらくの筋力向上は動員される運動単位が増えるといった神経系の適応が主で、筋の断面積の増加が目に見えて現れるのはそれより後である。「骨への荷重刺激が加わらないため、骨量の維持には寄与しない」も誤りで、筋が骨を強く引く張力と扱う重量による荷重がそのまま骨への刺激になるため、骨量の維持・増加に有効な運動に数えられる。「腱や結合組織は適応しないため、扱う重量を増やしても強くならない」も誤りで、腱・靱帯・筋膜などの結合組織も、筋より緩やかではあるが力学的な刺激に適応して強くなる。「高齢者では筋量が増えないため、効果は筋力の向上にとどまる」も誤りで、高齢者でも適切な負荷をかければ筋量は増加し、サルコペニアやフレイルの対策として推奨されている。
HINT 重さを扱う運動が守るのは、持久力ではなく筋肉の量。
- Q24#kj-pr-024
運動プログラムを作成し、実施していく手順として、最も適切なものはどれか。
- 1健康状態とリスクを確認し、現状を評価してから内容を決め、実施後に再評価して見直す正解
- 2標準的なメニューをまず実施し、問題が起きた時点で内容を見直す
- 3問診で得た情報は個人差が大きいため、メニューの決定には用いない
- 4目標は高めに設定し、達成状況にかかわらず期間内は内容を変えない
- 5実施中は記録を取らず、期間の終わりにまとめて評価する
Answer
正解 1:健康状態とリスクを確認し、現状を評価してから内容を決め、実施後に再評価して見直す
運動プログラムは、問診やメディカルチェックで健康状態とリスクを確認し、体力測定などで現状を評価したうえで内容を決め、実施後に再評価して見直すという流れで進める。「標準的なメニューをまず実施し、問題が起きた時点で見直す」進め方は、事故が起きてからの対応になり順序が逆である。問診で得た情報は、既往歴・服薬・生活状況を含み、種目や強度を決めるうえで欠かせない材料であるため、「メニューの決定には用いない」は誤り。「達成状況にかかわらず期間内は内容を変えない」のでは、身体の適応に合わせて負荷を高める漸進性の原則が働かず、逆に負担が大きすぎる場合の修正もできない。実施中の記録は、体調や負荷の変化に気づく手がかりであり、期間の終わりにまとめて評価するのでは遅い。
HINT 測って決める、やって見直す。この往復がプログラム。
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