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機能解剖とバイオメカニクス15問・正解と解説つき

健康運動実践指導者 ・ 公式テキスト第3章 ・ 分量 6%

骨・関節・骨格筋の解剖と機能解剖、仕事とエネルギー、筋腱複合体の弾性要素と弾性エネルギーが利用できる運動様式、運動量と力積・着地衝撃の緩和法、水中運動と陸上運動の比較(浮力・浮心と重心・抗力・水中歩行と陸上歩行の違い)。

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  1. 大腿四頭筋のうち、膝関節の伸展に加えて股関節の屈曲にも作用する筋はどれか。

    • 1外側広筋
    • 2内側広筋
    • 3中間広筋
    • 4大腿直筋正解
    • 5縫工筋

    Answer

    正解 4大腿直筋

    大腿直筋は骨盤の下前腸骨棘から起こり、膝蓋骨を介して脛骨粗面に停止する二関節筋であり、膝関節の伸展に加えて股関節の屈曲にも作用する。「外側広筋」「内側広筋」「中間広筋」はいずれも大腿骨から起こる単関節筋で、膝関節の伸展のみに働くため股関節はまたがない。「縫工筋」は股関節の屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲に働く二関節筋だが、そもそも大腿四頭筋の構成筋ではないため、設問の条件を満たさない。

    HINT 大腿四頭筋のうち「直」だけが骨盤をまたぐ二関節筋。

  2. 肩関節の水平内転の主動筋はどれか。

    • 1広背筋
    • 2大胸筋正解
    • 3三角筋後部
    • 4棘下筋
    • 5小円筋

    Answer

    正解 2大胸筋

    大胸筋は上腕を体の前方へ引き寄せる働き、すなわち肩関節の水平内転の主動筋である。「広背筋」は肩関節の内転・伸展・内旋に働き、水平面では上腕を後方へ引く方向に作用するため、水平内転とは逆向きになる。「三角筋後部」も上腕を後方へ引く水平外転の主動筋であり逆方向。「棘下筋」「小円筋」はいずれも回旋筋腱板(ローテーターカフ)を構成し、肩関節の外旋を主な作用とするため、水平内転の主動筋ではない。

    HINT 腕を前で閉じる動き。胸の前で手を合わせるときに働く筋。

  3. 筋が張力を発揮しながら、外力によって引き伸ばされる収縮様式はどれか。

    • 1コンセントリック(短縮性)収縮
    • 2エキセントリック(伸張性)収縮正解
    • 3アイソメトリック(等尺性)収縮
    • 4アイソキネティック(等速性)収縮
    • 5プライオメトリック

    Answer

    正解 2エキセントリック(伸張性)収縮

    エキセントリック収縮は、筋が張力を出しながら外力によって引き伸ばされる収縮様式で、ダンベルをゆっくり下ろす局面などが該当する。同一の筋で比較すると、発揮できる最大張力が3つの収縮様式のうち最も大きい一方、筋損傷や遅発性筋痛(DOMS)を起こしやすい。「コンセントリック(短縮性)収縮」は筋が短縮しながら力を出す様式、「アイソメトリック(等尺性)収縮」は関節角度が変わらず筋の長さも変わらない様式で、いずれも引き伸ばされない。「アイソキネティック(等速性)収縮」は専用の機器で関節の角速度を一定に保った条件を指す用語、「プライオメトリック」は伸張-短縮サイクルを利用したトレーニング法の名称であり、どちらも「筋が伸ばされる収縮様式」そのものを指す語ではない。

    HINT 下ろす局面=エキセントリック=筋痛が出やすい、で結びつける。

  4. スクワットの立ち上がり(求心性)局面で、主動筋として働く筋はどれか。

    • 1前脛骨筋
    • 2大腿四頭筋正解
    • 3上腕三頭筋
    • 4腹直筋
    • 5三角筋

    Answer

    正解 2大腿四頭筋

    スクワットの立ち上がり局面は膝関節の伸展と股関節の伸展で構成される。膝関節の伸展を担う大腿四頭筋が主動筋であり、股関節の伸展を担う大殿筋・ハムストリングスも主動筋として働く。「前脛骨筋」は足関節の背屈筋で、この局面では下腿の安定に関与する程度であり主動筋ではない。「腹直筋」は体幹を支えるスタビライザー(姿勢保持筋)として働くが、立ち上がりの動作そのものを生み出す筋ではない。「上腕三頭筋」「三角筋」はいずれも上肢の筋であり、スクワットの動作生成には関与しない。

    HINT 主動筋(動きを生む)と安定筋(姿勢を保つ)を分けて考える。

  5. 人体における第1のてこの例として、最も適切なものはどれか。

    • 1肘関節を屈曲させるときの上腕二頭筋
    • 2つま先立ちをするときの足部
    • 3環椎後頭関節における頭部の支持正解
    • 4膝関節を伸展させるときの大腿四頭筋
    • 5股関節を屈曲させるときの腸腰筋

    Answer

    正解 3環椎後頭関節における頭部の支持

    第1のてこは支点が力点と作用点の間にある形式で、人体では環椎後頭関節を支点とした頭部の支持が代表例である。「つま先立ちをするときの足部」は作用点が中央にある第2のてこ。「肘関節を屈曲させるときの上腕二頭筋」「膝関節を伸展させるときの大腿四頭筋」「股関節を屈曲させるときの腸腰筋」はいずれも力点が中央にある第3のてこにあたる。人体の関節の多くは第3のてこであり、力の面では不利だが、可動域とスピードの面で有利になる。

    HINT 支点が真ん中=第1、作用点が真ん中=第2、力点が真ん中=第3。

  6. 水中運動が関節への負担を軽くできる主な理由はどれか。

    • 1水の浮力によって、体重を支える負荷が軽くなるため正解
    • 2水の抵抗によって、動きが速くなるため
    • 3水温が体温より低く、筋が冷えるため
    • 4水圧によって、関節が外から固定されるため
    • 5水中では重力が働かないため

    Answer

    正解 1水の浮力によって、体重を支える負荷が軽くなるため

    水中では浮力が働き、体重を支える負荷が軽くなる。この負担の軽減によって、関節に痛みがある人でも運動しやすくなる。水の抵抗は動きを速くするのではなく、むしろ遅くし、その分だけ筋への負荷を高めるものである。水温が体温より低いことは体温保持という別の課題を生むだけで、関節の負担軽減の理由にはならない。水圧は呼吸や循環に影響するが、関節を外から固定するものではない。また水中でも重力は働いており、浮力がその一部を打ち消しているにすぎない。

    HINT 浮くということは、体重を支えなくてよいということ。

  7. 立った姿勢で胸(みぞおち)の高さまで水に浸かったとき、体重を支える負荷はおよそどれくらいになるか。

    • 1約10分の1
    • 2約3分の1正解
    • 3約2分の1
    • 4約5分の4
    • 5ほぼ陸上と変わらない

    Answer

    正解 2約3分の1

    浮力は水に浸かっている身体の体積が大きいほど強く働くため、水深が深いほど体重を支える負荷は小さくなる。目安は、首の高さまでで体重の約10分の1、胸(みぞおち)の高さで約3分の1、へその高さで約2分の1である。したがって「約10分の1」は首まで浸かった場合の値、「約2分の1」はへその高さまでの値であり、いずれも胸の高さには当たらない。「約5分の4」「ほぼ陸上と変わらない」は、胸まで浸かれば体重の大半が支えられるという浮力の働きを反映しておらず、負荷を大きく見積もりすぎている。関節に痛みがある人でも運動しやすいのはこの免荷によるものだが、深いほど足が床につきにくく転倒や溺水のリスクは上がるため、水深は目的と対象者に応じて選ぶ。

    HINT 首で10分の1、胸で3分の1、へそで2分の1。

  8. 水中歩行と陸上歩行の違いについて、正しい説明はどれか。

    • 1水中では水の抵抗を受けるため、同じ努力で歩いても前へ進む速度は遅くなる正解
    • 2水中では浮力によって歩幅が自然に広がり、前へ進む速度は速くなる
    • 3水中では下肢の筋の活動が、陸上に比べてほとんど起こらない
    • 4水中では水温が体温より低いため、同じ動作でもエネルギー消費量は陸上より少なくなる
    • 5水中では姿勢を保つための筋の活動が不要になる

    Answer

    正解 1水中では水の抵抗を受けるため、同じ努力で歩いても前へ進む速度は遅くなる

    水中では進行方向に水の抵抗がかかるため、同じ努力で歩いても前へ進む速度は陸上より遅くなる。この抵抗こそが水中歩行の負荷であり、浮力によって関節への衝撃を抑えながら筋を使えることが利点である。浮力で歩幅が広がって速度が上がることはない。下肢の筋は抵抗に打ち勝つために活動しているので、ほとんど起こらないということもない。水温が体温より低いことは体温の保持に負担をかける要因であって、エネルギー消費量を減らす方向には働かない。また浮力で身体が不安定になるぶん、姿勢を保つための筋の活動が不要になることはなく、体幹の筋はむしろよく働く。

    HINT 水は浮かせてくれるが、同時に進むのを邪魔する。

  9. 関節の形状による分類と、そこで可能な運動の組み合わせとして正しいものはどれか。

    • 1球関節 — 3つの運動軸をもち、屈曲・伸展、外転・内転、回旋を行える正解
    • 2蝶番関節 — 2つの運動軸をもち、屈曲・伸展と外転・内転を行える
    • 3車軸関節 — 骨の長軸まわりの回旋は行えず、屈曲・伸展のみを行える
    • 4鞍関節 — 運動軸をもたず、向かい合う面がわずかにすべる運動だけを行える
    • 5平面関節 — 球状の骨頭が深いくぼみにはまり込む形をとり、あらゆる方向へ大きく動かせる

    Answer

    正解 1球関節 — 3つの運動軸をもち、屈曲・伸展、外転・内転、回旋を行える

    球関節は球状の骨頭が相手の骨のくぼみにはまる形をとり、3つの運動軸をもつ多軸関節である。肩関節(肩甲上腕関節)や股関節が代表で、屈曲・伸展、外転・内転、回旋のいずれも行えるため自由度が大きく、そのぶん安定性は周囲の筋や関節包に依存する。「蝶番関節」は手指の指節間関節のように運動軸が1つだけの一軸関節で、屈曲・伸展しか行えず外転・内転はできない(肘の腕尺関節も一軸性だが、分類上はらせん関節に入れられることが多い)。「車軸関節」は上橈尺関節のように骨の長軸まわりの回旋を担う一軸関節で、回旋こそが本来の運動である。「鞍関節」は母指の手根中手関節が代表で、向かい合う面が鞍状にかみ合う2軸関節であり、すべるだけの関節ではない。「平面関節」は椎間関節や足根間関節のように関節面がほぼ平らな関節で、運動軸による分類では多軸関節に入れられるが、骨頭がくぼみにはまり込む形をとるわけではなく、面同士がわずかにすべる程度の運動にとどまるため、球関節のように大きく動かすことはできない。運動の自由度が大きい関節ほど動きの選択肢は増えるが、指導では脱臼や障害のリスクにも配慮する必要がある。

    HINT 関節面の形が、動かせる方向の数をそのまま決めている。

  10. 同じ重さのダンベルを手に持って腕を体の前へ上げるとき、肘を伸ばしたまま上げるほうが、肘を曲げて上げるよりも肩がきつく感じる。この理由を説明するものはどれか。

    • 1肘を伸ばすことでダンベルに働く重力そのものが大きくなり、支える力も増えるため
    • 2肘を伸ばすことで手の移動距離が短くなり、単位時間あたりの仕事量が増えるため
    • 3肩関節の回転中心からダンベルまでの距離が長くなり、肩に生じる負荷のモーメントが大きくなるため正解
    • 4肘を伸ばすことで肩関節のてこが第3のてこから第1のてこへ変わるため
    • 5肘を伸ばすことで三角筋が短縮した状態になり、発揮できる張力が下がるため

    Answer

    正解 3肩関節の回転中心からダンベルまでの距離が長くなり、肩に生じる負荷のモーメントが大きくなるため

    関節にかかる負担は力の大きさだけで決まるのではなく、関節の回転中心から力の作用線までの距離(モーメントアーム)との積、すなわちモーメント(トルク)で決まる。肘を伸ばすとダンベルの位置が肩から遠くなってモーメントアームが長くなるため、重さが同じでも肩に生じる負荷のモーメントは大きくなり、それに釣り合うために必要な筋力も増える。「ダンベルに働く重力そのものが大きくなる」は誤りで、重力の大きさは質量で決まり、姿勢によって変わらない。「手の移動距離が短くなり、単位時間あたりの仕事量が増える」も誤りで、肘を伸ばすほど手が描く弧は長くなり、またきつさの主因は仕事率ではなくモーメントである。「てこが第3のてこから第1のてこへ変わる」も誤りで、支点(肩関節)・力点(筋の付着部)・作用点(ダンベル)の並び順は肘の角度では変わらず、第3のてこのままである。「三角筋が短縮した状態になり張力が下がる」も誤りで、肘の角度によって長さが変わるのは肘を動かす筋であり、肩を動かす三角筋の長さは肘の角度に左右されない。この性質は、負荷の位置を体に近づけて関節の負担を下げるという指導上の工夫の根拠にもなる。

    HINT 重さが同じでも、遠くで持つほど関節への負担は増える。

  11. 力学的な仕事と仕事率(パワー)について、正しい説明はどれか。

    • 1同じ重さを同じ高さまで持ち上げるとき、速く上げたほうが力学的な仕事は大きくなる
    • 2等尺性収縮で強い力を出し続けても、身体が動かなければ力学的な仕事はゼロである正解
    • 3仕事率(パワー)は、発揮した力と移動した距離の積として表される
    • 4力の向きと移動の向きが直交している場合でも、力の大きさに応じた仕事が生じる
    • 5階段を下りる動作では下肢の筋が力を発揮しないため、仕事率はゼロになる

    Answer

    正解 2等尺性収縮で強い力を出し続けても、身体が動かなければ力学的な仕事はゼロである

    力学的な仕事は「力×力の向きに移動した距離」で定義される。したがって等尺性収縮のように強い力を発揮していても身体が移動しなければ、力学的な仕事はゼロになる(生理的にはエネルギーを消費しているが、力学的な仕事としては計上されない)。「速く上げたほうが力学的な仕事は大きくなる」は誤りで、同じ重さを同じ高さまで上げれば仕事は等しく、速さによって変わるのは単位時間あたりの仕事である仕事率(パワー)のほうである。「仕事率は、発揮した力と移動した距離の積」も誤りで、それは仕事の定義であり、仕事率は仕事を時間で割った量(=力×速度)である。「力の向きと移動の向きが直交している場合でも仕事が生じる」も誤りで、直交していれば移動方向の力の成分がないため仕事はゼロになる。「階段を下りる動作では下肢の筋が力を発揮しない」も誤りで、下肢の筋は体重を支えながら伸張性収縮で力を発揮しており、負の仕事をしている。

    HINT 仕事は「力×距離」、仕事率は「仕事÷時間」。動かなければ距離はゼロ。

  12. 垂直跳びで、同じ深さまで素早くしゃがんでから間をおかずに跳び上がると、しゃがんだ姿勢でいったん静止してから跳ぶよりも高く跳べる。この主な理由はどれか。

    • 1しゃがむ動作によって下肢の筋のグリコーゲン分解が進み、ATPの供給量が増えるため
    • 2しゃがむ動作によって股関節と膝関節の可動域が広がり、地面を押せる距離が伸びるため
    • 3静止した姿勢からでは、下肢の筋は等尺性収縮しか行えなくなるため
    • 4伸張された筋と腱に弾性エネルギーが蓄えられ、続く短縮局面でそれが解放されるため正解
    • 5静止している間に下肢の筋温が下がり、筋の収縮速度が低下するため

    Answer

    正解 4伸張された筋と腱に弾性エネルギーが蓄えられ、続く短縮局面でそれが解放されるため

    素早い伸張(しゃがむ局面)に続けて短縮(跳び上がる局面)を行う動作は伸張-短縮サイクル(SSC)と呼ばれる。伸張局面で筋腱複合体の弾性要素、とくに腱にばねのように弾性エネルギーが蓄えられ、切り返しが速いうちに短縮局面へ移ればそれが力として解放される。加えて筋が急に伸ばされることで生じる伸張反射が筋の活動を高めることも上乗せになる。いったん静止すると、蓄えられた弾性エネルギーは熱として失われるためこの上乗せが得られない。「グリコーゲン分解が進み、ATPの供給量が増える」は誤りで、1回の跳躍のような1秒以内の動作では跳躍高をエネルギー供給量が決めているわけではない。「可動域が広がり、地面を押せる距離が伸びる」は誤りで、同じ深さまでしゃがむ条件では地面を押す距離は変わらない。「静止した姿勢からでは下肢の筋は等尺性収縮しか行えなくなる」は誤りで、静止した状態からでも筋は短縮しながら力を発揮でき、実際に跳ぶことはできる。「静止している間に下肢の筋温が下がる」も誤りで、わずかな静止で筋温が跳躍高を左右するほど下がることはない。この性質を利用したトレーニングがプライオメトリクスであり、着地衝撃が大きいため対象者の選択には注意を要する。

    HINT ゴムは伸ばしてすぐ離すと勢いよく戻るが、伸ばしたまま持っていると勢いが失われる。

  13. ジャンプの着地で、膝と股関節を曲げて時間をかけて受け止めると衝撃が小さくなる。この理由を力学的に説明するものはどれか。

    • 1着地で必要な運動量の変化は同じでも、受け止める時間が長いほど働く力は小さくなるため正解
    • 2膝を曲げることで着地の瞬間の運動量が小さくなり、受け止める力も小さくなるため
    • 3膝を曲げることで重心が下がり、床反力の向きが鉛直方向から水平方向へ変わるため
    • 4膝を曲げることで接地面積が広がり、着地がもっていた運動エネルギーがなくなるため
    • 5膝を曲げると下肢の筋が等尺性収縮に切り替わり、衝撃の吸収に関与しなくなるため

    Answer

    正解 1着地で必要な運動量の変化は同じでも、受け止める時間が長いほど働く力は小さくなるため

    物体の運動量の変化は、加わった力とその作用時間の積である力積に等しい(力積=力×時間=運動量の変化)。着地の瞬間にもっていた運動量(質量×速度)をゼロにするために必要な力積は決まっているため、膝や股関節を曲げて受け止める時間を長くとれば、そのぶん身体に働く力(衝撃力)のピークは小さくなる。「着地の瞬間の運動量が小さくなる」は誤りで、落下してきた速度と質量が同じなら着地時の運動量は膝の角度によって変わらない。「床反力の向きが鉛直方向から水平方向へ変わる」も誤りで、鉛直に落下して着地すれば床反力も主に鉛直方向に働き、向きが水平になることはない。「接地面積が広がり、運動エネルギーがなくなる」も誤りで、エネルギーは消えるのではなく、筋の伸張性収縮による負の仕事や組織の変形として吸収・散逸する。「等尺性収縮に切り替わり、衝撃の吸収に関与しなくなる」も誤りで、着地でブレーキをかける筋は伸張性収縮で働いており、衝撃の吸収に積極的に関与している。同じ原理から、衝撃を和らげる方法としてはやわらかい着地動作に加え、衝撃吸収性のある靴や床面を用いて接触時間を稼ぐことが挙げられる。

    HINT 同じ勢いを止めるなら、短い時間で止めるほど強い力が要る。

  14. 人が水面に仰向けで浮こうとすると下肢が沈みやすい。その主な理由はどれか。

    • 1下肢は上肢よりも体表面積が大きく、水の抵抗を強く受けるため
    • 2肺に空気を入れて胸を膨らませると、胸部に働く浮力が小さくなるため
    • 3浮力が働く浮心が胸部にあり、重力が働く重心(骨盤付近)よりも頭側にあるため正解
    • 4水圧は深いほど強く働き、下肢を下方へ押し下げる向きに作用するため
    • 5人体の密度は水とほぼ等しく、浮力と重力がどの姿勢でも釣り合うため

    Answer

    正解 3浮力が働く浮心が胸部にあり、重力が働く重心(骨盤付近)よりも頭側にあるため

    浮力は水に浸かっている体積の中心(浮心)に上向きに働き、重力は質量の中心(重心)に下向きに働く。人体では空気を含む肺があるため浮心は胸部付近に位置し、重心はおよそ骨盤付近にあるので、浮心のほうが頭側にずれている。仰向けに浮くと頭側に上向きの浮力、足側に下向きの重力がかかる形になり、身体を回転させるモーメントが生じるため下肢が沈む。両腕を頭のほうへ伸ばして重心を頭側へ移すと、このずれが小さくなって水平な姿勢を保ちやすくなる。「下肢は上肢よりも体表面積が大きく、水の抵抗を強く受ける」は誤りで、水の抵抗は動いているときに運動を妨げる力であって、静止して浮く姿勢の崩れを生むものではない。「肺に空気を入れて胸を膨らませると胸部に働く浮力が小さくなる」は誤りで、空気を含めば押しのける水の体積が増えるため胸部の浮力はむしろ大きくなる。「水圧は深いほど強く働き、下肢を下方へ押し下げる」も誤りで、深さによる水圧の差こそが上向きの浮力を生むのであり、押し下げる力にはならない。「人体の密度は水とほぼ等しく、浮力と重力がどの姿勢でも釣り合う」も誤りで、全身として大きさが釣り合っていても浮心と重心の位置がずれていれば回転モーメントが生じ、姿勢は崩れる。

    HINT 浮く力は空気のある胸に、重さは骨盤あたりに。位置がずれるとシーソーになる。

  15. 水中で身体を動かすときに受ける抗力(水の抵抗)について、正しい説明はどれか。

    • 1抗力は速度に単純に比例するため、動作の速さを2倍にすると抗力も2倍になる
    • 2抗力はおおよそ速度の2乗に比例するため、動作を速くすると急激に大きくなる正解
    • 3抗力は浮力と同じ原理で生じる力であり、水に浸かっている体積の大きさで決まる
    • 4抗力は進行方向に向いた投影面積には影響されず、動作の速さだけで決まる
    • 5抗力は流体の密度には影響されないため、空気中と水中で大きさは変わらない

    Answer

    正解 2抗力はおおよそ速度の2乗に比例するため、動作を速くすると急激に大きくなる

    流体中を動く物体が受ける抗力は、流体の密度・抗力係数・進行方向に向いた投影面積と、相対速度の2乗との積に比例する。したがって水中で動作の速さを2倍にすれば抗力は約4倍になり、速く動かすほど負荷は急激に高まる。「抗力は速度に単純に比例するため、動作の速さを2倍にすると抗力も2倍になる」は誤りで、比例するのは速度の2乗であるため、速さの影響は直線的ではなく、少し速くするだけでも負荷は大きく変わる。「抗力は浮力と同じ原理で生じる力であり、水に浸かっている体積の大きさで決まる」も誤りで、浮力は押しのけた水の重さに等しい静的な力で体積によって決まるのに対し、抗力は水と身体の相対運動によって生じる力であり、両者は別の力である。「抗力は進行方向に向いた投影面積には影響されず…」も誤りで、抗力は投影面積にも比例するため、手のひらの向きを変えて水を受ける面を広げるだけでも抗力は大きくなる。「抗力は流体の密度には影響されない」も誤りで、抗力は流体の密度に比例するため、水は空気の約800倍の密度をもつぶん、同じ速さでも水中の抗力は桁違いに大きくなる。

    HINT 速さが2倍で抵抗は4倍。少し速くするだけで負荷はぐっと増える。

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