運動障害と予防・救急処置全28問・正解と解説つき
健康運動実践指導者 ・ 公式テキスト第9章 ・ 分量 12%
メディカルチェックと運動中止の判定、内科的急性障害(突然死・熱中症・過換気症候群・運動誘発性喘息・運動誘発アナフィラキシー)、貧血とオーバートレーニング症候群、一次救命処置とAED、RICE処置、テーピング。
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- Q01#kj-sa-001
急性の外傷に対する応急処置「RICE」の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1安静・冷却・圧迫・挙上正解
- 2安静・加温・圧迫・挙上
- 3運動・冷却・圧迫・固定
- 4安静・冷却・伸張・挙上
- 5安静・冷却・マッサージ・挙上
Answer
正解 1:安静・冷却・圧迫・挙上
RICEはRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字で、捻挫や打撲などの急性外傷に対する応急処置の基本である。目的は内出血と腫脹を抑えること。受傷直後の加温、マッサージ、ストレッチ(伸張)はいずれも血流を増やして内出血や腫脹を悪化させるおそれがあるため、急性期には行わない。受傷直後に運動を続けることも損傷を広げるため避ける。
HINT 急性期は「冷やす・動かさない」。温めるのとほぐすのは後の段階。
- Q02#kj-sa-002
成人に対する胸骨圧迫の方法として正しいものはどれか。
- 1深さ 約2cm、テンポ 60〜80回/分
- 2深さ 約5cm、テンポ 100〜120回/分正解
- 3深さ 約5cm、テンポ 60〜80回/分
- 4深さ 約10cm、テンポ 100〜120回/分
- 5深さ 約2cm、テンポ 140〜160回/分
Answer
正解 2:深さ 約5cm、テンポ 100〜120回/分
成人に対する胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む深さで(6cmを超えない)、1分間に100〜120回のテンポで行う。圧迫のたびに胸を完全に元の高さまで戻し、中断は最小限にする。「約2cm」では心臓を十分に圧迫できず血液を送り出せない。「約10cm」は深すぎて臓器を損傷するおそれがある。「60〜80回/分」では回数が不足し、「140〜160回/分」では速すぎて胸が戻りきらず、かえって血流が確保できない。
HINT 5cm・100〜120回。テンポは1秒間に約2回。1分間に100〜120拍の曲に合わせるとよい。
- Q03#kj-sa-003
運動中に人が倒れた。周囲の安全を確認したうえで声をかけたが、反応がない。このとき次に行うべきことはどれか。
- 1胸と腹の動きを見て、呼吸の有無を10秒以内で確認する
- 2大声で助けを求め、119番通報とAEDの手配を依頼する正解
- 3ただちに胸骨圧迫を開始し、絶え間なく続ける
- 4水を飲ませて、意識が戻るかどうか様子をみる
- 5肩を強く揺さぶって、意識を回復させようとする
Answer
正解 2:大声で助けを求め、119番通報とAEDの手配を依頼する
反応がないことを確認したら、まず大声で助けを求め、周囲の人に119番通報とAEDの手配を具体的に依頼する。人手と資器材の確保が最優先であり、一人で抱え込まないことが救命率を左右する。胸と腹の動きを見て呼吸を確認すること、胸骨圧迫を開始することは、いずれも正しい手順ではあるが、順序としては応援要請のあとになる。反応がない人に水を飲ませることは誤嚥の危険があり行ってはならない。肩を強く揺さぶることも、頸椎損傷があった場合に悪化させるおそれがあるため避ける。
HINT 反応なし → まず人を呼ぶ(119+AED)。次に呼吸確認、胸骨圧迫。
- Q04#kj-sa-004
熱中症が疑われる人への現場での対応として、適切でないものはどれか。
- 1涼しい場所へ移動させる
- 2衣服をゆるめ、身体を冷やす
- 3意識がはっきりしていれば、経口補水液などを飲ませる
- 4意識がもうろうとしていても、無理に水分を飲ませる正解
- 5自力で水分を摂れない場合は、ただちに救急要請する
Answer
正解 4:意識がもうろうとしていても、無理に水分を飲ませる
意識がもうろうとしている人に無理に水分を飲ませると、誤嚥して気道を塞ぐおそれがあるため行ってはならない。この場合は自力で水分を摂れない状態であり、ただちに救急要請して医療機関につなぐ必要がある。涼しい場所への移動、衣服をゆるめての冷却、意識がはっきりしている人への経口補水液の摂取は、いずれも現場で行うべき適切な対応である。首・脇の下・脚のつけ根を冷やすと効率よく体温を下げられる。
HINT 「自分で水が飲めるか」が、現場対応か救急要請かの分かれ目。
- Q05#kj-sa-005
同じ動作の繰り返しによって起こるオーバーユース(使いすぎ)障害にあたるものはどれか。
- 1足関節捻挫
- 2疲労骨折正解
- 3肉離れ
- 4打撲
- 5脱臼
Answer
正解 2:疲労骨折
疲労骨折は、1回の大きな外力ではなく、骨に繰り返し加わる小さな負荷が蓄積して生じるオーバーユース障害の代表例である。ランニング量の急増などが誘因となる。足関節捻挫、肉離れ、打撲、脱臼はいずれも1回の外力によって急激に生じる外傷(スポーツ外傷)であり、繰り返しの負荷によるものではない。予防には、負荷の急な増加を避けることと、十分な回復期間を確保することが重要になる。
HINT 外傷=1回の大きな力/障害=小さな力の繰り返し。
- Q06#kj-sa-006
運動指導の現場における安全管理として、適切でないものはどれか。
- 1運動開始前に健康状態と既往歴を確認する
- 2運動中は参加者の顔色・呼吸・動作を観察する
- 3AEDの設置場所と緊急連絡の手順をあらかじめ確認しておく
- 4胸痛や強い息切れを訴えた参加者には、休憩後に運動を再開させる正解
- 5気温・湿度に応じて運動内容や休憩の取り方を調整する
Answer
正解 4:胸痛や強い息切れを訴えた参加者には、休憩後に運動を再開させる
胸痛や強い息切れは心疾患の徴候である可能性があり、休憩しただけで運動を再開させてはならない。運動を中止し、症状が改善しない場合は救急要請を含めて医療機関につなぐ必要がある。運動前の健康状態と既往歴の確認、運動中の観察、AEDの位置と緊急時手順の事前確認、気温・湿度に応じた調整は、いずれも現場の安全管理として適切な対応である。
HINT 胸痛・強い息切れ・冷汗は、休ませて様子を見る症状ではない。
- Q07#kj-sa-007
運動を始める前に行う内科的メディカルチェックの目的として、最も適切なものはどれか。
- 1治療を必要とする病気や、運動時に注意すべき点を見つけ出す正解
- 2対象者の体力水準を評価し、運動処方の強度を数値で決める
- 3運動の効果を数値で示し、対象者の動機づけを高める
- 4起こった障害の程度を判定し、運動への復帰の時期を決める
- 5対象者の運動歴と好みを聞き取り、種目を選ぶ資料とする
Answer
正解 1:治療を必要とする病気や、運動時に注意すべき点を見つけ出す
メディカルチェックは、診察・血圧測定・血液検査・尿検査・身体計測・心電図・運動負荷心電図・レントゲン撮影などからなる医学的検査で、治療すべき病気や注意すべき生活習慣を見つけることを目的とする。診察では今までにかかった病気や現在治療している病気を確認し、日常生活や運動時に注意すべき点を明確にするほか、関節の痛みの有無も確かめる。「体力水準を評価し、運動処方の強度を数値で決める」のは体力測定の役割であり、医学的検査の目的ではない。「運動の効果を数値で示して動機づけを高める」ことや「運動歴と好みを聞き取って種目を選ぶ」ことは指導上の工夫であって、隠れた疾患を見つける検査ではない。「起こった障害の程度を判定して復帰の時期を決める」のは受傷後の医学的判断であり、運動開始前のチェックとは目的が異なる。
HINT 目的は「安全に運動できる状態か」を医学的に確かめること。体力を測ることではない。
- Q08#kj-sa-008
運動指導を始める前の問診で得られた次の情報のうち、その日の運動を見合わせる理由にならないものはどれか。
- 1朝から37.8度の発熱があり、体が重いと訴えている
- 2前夜の飲酒が残っており、安静時の脈が普段より速い
- 3昨日から下痢が続き、水分がとれていない
- 4睡眠が2時間しかとれず、強い疲労感が残っている
- 53日前の運動による軽い筋肉痛があったが、今日は痛みがない正解
Answer
正解 5:3日前の運動による軽い筋肉痛があったが、今日は痛みがない
「3日前の運動による軽い筋肉痛があったが、今日は痛みがない」状態はすでに回復しており、その日の運動を見合わせる理由にはならない。一方、発熱があるときは体温調節と循環に余分な負担がかかっており、暑い環境では熱中症の危険も高まる。下痢が続いて水分がとれていない場合は脱水が進んでおり、運動によってさらに悪化する。飲酒が残って安静時の脈が速い状態も、脱水と循環への負担が重なっており運動には適さない。睡眠が不足して強い疲労感が残っている状態は、注意力の低下による事故につながるほか、疲労の蓄積はオーバートレーニング症候群の素地にもなる。これら4つはいずれも、その日は運動を見合わせる判断が妥当である。
HINT すでに治まった軽い筋肉痛と、いま進行している体調不良を分けて考える。
- Q09#kj-sa-009
運動中の対象者に現れた次の様子のうち、ただちに運動を中止して医療機関につなぐ必要があるものはどれか。
- 1額に汗をかき、頬がやや赤みを帯びている
- 2顔色が急に青白くなり、冷汗をかいてふらついている正解
- 3会話は続けられるが、呼吸が普段より速くなっている
- 4運動を終えたあと、使った筋に軽い張りが残っている
- 5心拍数が目標範囲の上限近くまで上がっている
Answer
正解 2:顔色が急に青白くなり、冷汗をかいてふらついている
顔色が急に青白くなる(顔面蒼白)、冷汗、ふらつきは、循環が保てなくなっているときに現れる他覚徴候であり、心疾患や重い脱水・熱中症の可能性がある。ただちに運動を中止して涼しい場所で休ませ、改善しなければ救急要請を含めて医療機関につなぐ。「額に汗をかき、頬がやや赤みを帯びている」のは皮膚の血流が増えて熱を逃がしている正常な反応である。「会話は続けられるが呼吸が普段より速くなっている」のは、会話ができる程度の強度にとどまっており、許容できる範囲にある。「運動後に使った筋に軽い張りが残る」ことも通常みられる反応である。「心拍数が目標範囲の上限近くまで上がっている」場合は強度を下げる調整をすればよく、それ自体が医療機関につなぐべき徴候ではない。
HINT 「赤くなる」は熱を逃がす正常な反応。「青白くなって冷汗」は異常。
- Q10#kj-sa-010
運動に関連して起こる突然死について、正しい説明はどれか。
- 1若年者では、動脈硬化による虚血性心疾患が原因の大半を占める
- 2安静時の心電図に異常がなければ、運動中の危険はないと判断できる
- 3中高年者では、虚血性心疾患が原因となることが多い正解
- 4激しい運動を急にやめても、心臓への負担が生じることはない
- 5予防のためには、ウォームアップよりクールダウンを重視するとよい
Answer
正解 3:中高年者では、虚血性心疾患が原因となることが多い
中高年者の運動に関連した突然死は、心筋梗塞など虚血性心疾患が原因となることが多い。メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病がある人では運動中の血圧の過度な上昇や心電図異常の危険が高いとされる。「若年者では動脈硬化による虚血性心疾患が原因の大半を占める」は誤りで、若年者では動脈硬化ではなく心筋症や不整脈など心臓そのものの異常が背景になることが多い。「安静時の心電図に異常がなければ運動中の危険はない」ともいえず、安静時には現れない変化を調べるために運動負荷心電図が用いられる。激しい運動を急にやめると下肢に血液がたまって心臓に戻る血液が減り、心筋の虚血や不整脈を招くことがあるため、負担が生じないという説明も誤りである。ウォームアップとクールダウンはどちらも突然死の予防に関わるもので、一方を軽くみてよいものではない。
HINT 中高年は動脈硬化を背景とした心臓の病気、若年は心臓そのものの異常。
- Q11#kj-sa-011
環境省「熱中症環境保健マニュアル」が示す熱中症の重症度分類(Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度)の考え方として、正しいものはどれか。
- 1Ⅰ度(軽症)でも現場の応急処置では対応できず、入院を要する
- 2Ⅱ度(中等症)は、現場で休ませれば医療機関の受診は不要である
- 3重症度は体温の高さによって判定し、意識の状態は目安にしない
- 4意識がない場合は、すべてⅢ度(重症)として扱う正解
- 5Ⅲ度(重症)と判断するには、直腸温の測定が欠かせない
Answer
正解 4:意識がない場合は、すべてⅢ度(重症)として扱う
熱中症の重症度は「具体的な治療の必要性」の観点から、Ⅰ度(現場での応急処置で対応できる軽症)、Ⅱ度(病院への搬送を必要とする中等症)、Ⅲ度(入院して集中治療の必要性のある重症)に分けられている。判定で重要なのは意識がしっかりしているかどうかであり、「意識がない場合は、すべてⅢ度(重症)として扱う」とされ、絶対に見逃さないことが求められる。したがって「Ⅰ度(軽症)でも現場の応急処置では対応できず、入院を要する」は誤りで、Ⅰ度は現場での応急処置で対応できる段階である。「Ⅱ度(中等症)は、現場で休ませれば医療機関の受診は不要である」も誤りで、Ⅱ度は病院への搬送を必要とする段階にあたる。「重症度は体温の高さによって判定し、意識の状態は目安にしない」も誤りで、少しでも意識がおかしい場合はⅡ度以上と判断する。「Ⅲ度(重症)と判断するには、直腸温の測定が欠かせない」も誤りで、直腸温の測定は体制の整った場で行うものであり、現場の重症度判定に欠かせない条件ではない。この分類は日本救急医学会の熱中症重症度分類(2015)に基づくもので、環境省のマニュアルに採用されている。なお医療機関向けには2024年に最重症群としてⅣ度が追加されたが、現場で応急処置と搬送を判断する際の考え方は上記のとおりである。
HINT 分かれ目は「意識がしっかりしているか」「自分で水が飲めるか」。体温計の数字ではない。
- Q12#kj-sa-012
「熱中症予防運動指針」で、暑さ指数(WBGT)28度から31度にあたる区分の対応として示されているものはどれか。
- 1激しい運動や持久走を避け、10分から20分おきに休憩をとる正解
- 2特別の場合以外は運動を中止し、子どもの場合は中止すべきである
- 3積極的に休憩をとり、激しい運動では30分おきぐらいに休憩をとる
- 4熱中症の兆候に注意し、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する
- 5通常は熱中症の危険は小さいが、適宜、水分・塩分を補給する
Answer
正解 1:激しい運動や持久走を避け、10分から20分おきに休憩をとる
暑さ指数(WBGT)28度から31度は「厳重警戒(激しい運動は中止)」の区分にあたり、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動を避け、10分から20分おきに休憩をとって水分・塩分を補給し、暑さに弱い人は運動を軽減または中止するとされている。「特別の場合以外は運動を中止し、子どもの場合は中止すべき」は31度以上の「運動は原則中止」の内容である。「積極的に休憩をとり、激しい運動では30分おきぐらいに休憩をとる」は25度から28度の「警戒」、「熱中症の兆候に注意し、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する」は21度から25度の「注意」、「通常は熱中症の危険は小さいが、適宜、水分・塩分を補給する」は21度未満の「ほぼ安全」の内容であり、いずれもこの区分の対応ではない。なお乾球温度(気温)で判断するときは、湿度が高い場合に1ランク厳しい区分を適用する。
HINT 31以上が「原則中止」。そのすぐ下の区分が「厳重警戒=激しい運動は中止」。
- Q13#kj-sa-013
運動中に倒れ、意識がもうろうとしている人に熱射病が疑われる。現場での対応として最も適切なものはどれか。
- 1救急車が到着するまで動かさずに寝かせ、冷却は救急隊に任せる
- 2氷枕を頭に当て、体幹は冷やさないようにして搬送を待つ
- 3冷却は衣服の上から軽く行うにとどめ、皮膚は濡らさない
- 4意識が戻るかどうかを涼しい場所で観察し、そのうえで搬送を判断する
- 5救急車を要請したうえで、到着を待たずにその場で全身を冷やし始める正解
Answer
正解 5:救急車を要請したうえで、到着を待たずにその場で全身を冷やし始める
熱射病(Ⅲ度)は放置すれば死に直結する緊急事態であり、救命できるかどうかはいかに早く体温を下げられるかにかかっている。救急車を要請した場合も、到着前から冷却を開始することが必要である。スポーツや労働の場での労作性熱射病では、全身を氷水(冷水)に浸ける方法が最も体温低下率が高いとされるが、直腸温を継続的に監視できる人的・物的体制が前提となる。そうした準備がない場合は、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける方法が推奨される。「冷却は救急隊に任せる」「観察してから搬送を判断する」では冷却と搬送がともに遅れるため誤り。「氷枕を頭に当て体幹は冷やさない」「衣服の上から軽く行うにとどめ皮膚は濡らさない」のいずれも、必要な体温低下が得られず不十分である。
HINT 熱射病の勝負は「どれだけ早く体温を下げるか」。救急車を待たずに冷やし始める。
- Q14#kj-sa-014
運動中に過換気症候群を起こした人にみられる状態として、正しいものはどれか。
- 1気管支が狭くなって息を吐き出しにくくなり、ゼーゼーという音が聞かれる
- 2速く深い呼吸が続いて二酸化炭素が過剰に排出され、手足や口の周りにしびれが出る正解
- 3血液中の塩分濃度が低下し、ふくらはぎに痛みを伴うけいれんが起こる
- 4立った姿勢が続いて皮膚の血管が広がり、めまいや立ちくらみが起こる
- 5全身の皮膚に赤い発疹が広がり、血圧が低下して意識がもうろうとなる
Answer
正解 2:速く深い呼吸が続いて二酸化炭素が過剰に排出され、手足や口の周りにしびれが出る
過換気症候群では、不安や緊張などをきっかけに速く深い呼吸が続き、二酸化炭素が過剰に排出されて動脈血の二酸化炭素分圧が低下する。その結果、血液がアルカリ性に傾く呼吸性アルカローシスとなり、手足や口の周りのしびれ、手指のつっぱり(テタニー)、めまい、胸の苦しさなどが現れる。落ち着かせて呼吸をゆっくりにするよう促すのが基本の対応である。「気管支が狭くなって息を吐き出しにくくなり、ゼーゼーという音が聞かれる」のは運動誘発ぜん息の状態。「血液中の塩分濃度が低下し、ふくらはぎに痛みを伴うけいれんが起こる」のは熱けいれん。「立った姿勢が続いて皮膚の血管が広がり、めまいや立ちくらみが起こる」のは熱失神(マニュアルでは一瞬の「立ちくらみ」と説明される)。「全身の皮膚に赤い発疹が広がり、血圧が低下して意識がもうろうとなる」のはアナフィラキシーの状態であり、いずれも過換気症候群とは異なる。
HINT 息を吐きすぎて二酸化炭素が足りなくなる状態。酸素不足ではない。
- Q15#kj-sa-015
運動誘発ぜん息について、正しい説明はどれか。
- 1湿度の高い屋内プールでの水泳でもっとも起こりやすい
- 2歩行程度の軽い運動でも、ランニングと同じくらい起こりやすい
- 3空気が冷たく乾燥した環境でのランニングで起こりやすい正解
- 4予防としては、ウォーミングアップを短く済ませるほうがよい
- 5症状が出たときは、運動を続けながら呼吸を整えるのが基本である
Answer
正解 3:空気が冷たく乾燥した環境でのランニングで起こりやすい
運動誘発ぜん息は運動をしたときに起こるぜん息発作で、激しい運動や長時間の運動、空気が冷たく乾燥した環境(とくに冬)で起こりやすく、運動種目ではランニングでもっとも起こりやすい。「湿度の高い屋内プールでの水泳でもっとも起こりやすい」は誤りで、水泳は歩行と同じく起こりにくい種目にあたる。「歩行程度の軽い運動でもランニングと同じくらい起こりやすい」も誤りで、起こりやすさは運動の種類や強度によって異なる。予防には入念なウォーミングアップが有効とされており、短く済ませるほうがよいというのは逆である。症状が出たときは運動を中止して水分をとり、楽な姿勢で休むのが基本で、必要なら処方されている気管支拡張薬を吸入する。運動を続けながら呼吸を整える対応は適切でない。
HINT 冷たく乾いた空気と走る運動で出やすい。水泳では出にくい。
- Q16#kj-sa-016
運動時側腹部痛について、正しい説明はどれか。
- 1腹筋の部分的な断裂であり、受傷後はRICE処置と医療機関の受診が必要になる
- 2痛みが出てもそのまま強度を上げて運動を続けると、早く消えることが多い
- 3予防のためには、食事の直後に運動を始めるほうが望ましい
- 4持久的な運動の最中に起こりやすく、強度を落として呼吸を整えると多くは軽くなる正解
- 5下肢の使いすぎが原因で、運動をやめてからも数日は痛みが続く
Answer
正解 4:持久的な運動の最中に起こりやすく、強度を落として呼吸を整えると多くは軽くなる
運動時側腹部痛は、走行など持久的な運動の最中に脇腹に生じる一時的な痛みで、運動の強度を落とすか中止して呼吸を整えることで多くは軽くなり、重い障害を残すことは少ない。食後間もない時期の運動や、ウォームアップが不十分なまま急に強度を上げたときに起こりやすいため、「食事の直後に運動を始めるほうが望ましい」は予防として逆である。「腹筋の部分的な断裂」であればそれは急性の筋損傷(肉離れ)であり、側腹部痛はそうした組織の損傷とは区別される。「強度を上げて運動を続けると早く消える」という対応は痛みを強めるおそれがあり適切でない。「下肢の使いすぎが原因で数日痛みが続く」のはオーバーユース障害の説明であり、側腹部痛の特徴とは異なる。
HINT 走っている途中に出る脇腹の痛み。強度を落として呼吸を整える。
- Q17#kj-sa-017
食物依存性運動誘発アナフィラキシーへの対応として、正しいものはどれか。
- 1原因となる食物をとったあと2時間、可能なら4時間は運動を控える正解
- 2原因となる食物をとらない場合も、運動そのものを全面的に禁止する
- 3原因となる食物をとったときは、すぐに運動して代謝を促す
- 4症状は皮膚に現れるものにとどまるため、発疹が出ても運動は続けてよい
- 5原因となる食物を運動前に少量ずつとり、自分で体を慣らしていく
Answer
正解 1:原因となる食物をとったあと2時間、可能なら4時間は運動を控える
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因となる食物をとったうえで運動をしたときにアナフィラキシーが誘発されるもので、原因食物は小麦や甲殻類が多く、食後2時間以内の運動での発症が大部分とされる。したがって対応の基本は、原因となる食物をとってから2時間、可能なら4時間は運動を控えることである。原因食物をとらなければ運動はできるため、運動そのものを全面的に禁止する必要はない。「とったときはすぐに運動して代謝を促す」のは発症の条件をそろえる行為であり危険である。症状は皮膚の発疹や腫れにとどまらず、気道が狭くなって息苦しくなったり、血圧が低下して意識がもうろうとなることもあるため、発疹が出ても運動を続けてよいというのは誤り。原因食物を少量ずつとって慣らす方法は確立しておらず、自己判断で行えば発症の条件をつくることになり危険である。症状が出た場合はただちに119番通報し、処方されたアドレナリンの自己注射薬があれば使用を助ける。
HINT 食べてから2時間(できれば4時間)は運動しない。食べなければ運動できる。
- Q18#kj-sa-018
運動を続けている人にみられる貧血について、正しい説明はどれか。
- 1持久的トレーニングでは血液中の血漿量が減るため、見かけ上の濃度が下がる
- 2鉄は汗や便からは失われないため、摂取量を整えれば貧血は防げる
- 3貧血があっても酸素を運ぶ能力は変わらないため、持久力は低下しない
- 4女性より男性に起こりやすく、月経のある女性では起こりにくい
- 5長距離走などで足の裏に繰り返し衝撃が加わり、赤血球が壊れて起こるものがある正解
Answer
正解 5:長距離走などで足の裏に繰り返し衝撃が加わり、赤血球が壊れて起こるものがある
長距離走などで足の裏に繰り返し強い衝撃が加わると赤血球が壊れることがあり、これによる貧血を運動性溶血性貧血という。持久的トレーニングでは血漿量が増えるため、赤血球の量が変わらなくてもヘモグロビン濃度が見かけ上低く出ることがあり、「血漿量が減るため見かけ上の濃度が下がる」という説明は向きが逆である。鉄は汗や消化管からも失われるため、摂取量を整えれば防げるとはいえない。鉄はヘモグロビンの材料であり、貧血になれば酸素を運ぶ能力が下がって持久的なパフォーマンスは低下する。月経による血液の損失がある女性のほうが鉄は不足しやすく、男性に起こりやすいという説明も誤りである。
HINT 走る衝撃で赤血球が壊れる「溶血」。血が薄まって見える「希釈」もある。
- Q19#kj-sa-019
オーバートレーニング症候群について、正しい説明はどれか。
- 1原因は筋や腱の使いすぎであり、ホルモンのはたらきは関与しない
- 2疲労が高まるにつれて起床時の心拍数が増え、早期発見の目安になる正解
- 3筋や関節の痛みが中心の状態で、睡眠や食欲は保たれる
- 4安静時の心拍数と血圧は、いずれも低下するのが特徴である
- 5重症になっても、数日の休養をとれば競技に復帰できる
Answer
正解 2:疲労が高まるにつれて起床時の心拍数が増え、早期発見の目安になる
オーバートレーニング症候群は、スポーツによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって起こる慢性疲労状態である。とくに疲労症状が高まるにつれて起床時の心拍数が増加するといわれ、早期発見の目安となる。原因は肉体的・精神的なストレスにより視床下部や脳下垂体から分泌されるホルモンのバランスが崩れるためと考えられており、筋や腱の使いすぎだけで説明されるものではない。症状は競技成績の低下だけでなく、疲れやすさ、全身の倦怠感、睡眠障害、食欲不振、体重の減少、集中力の欠如などにも及ぶため、睡眠や食欲が保たれるという説明は誤り。安静時の心拍数や血圧は上昇し、運動後に安静時の血圧へ戻る時間も遅くなるので、いずれも低下するという説明も誤りである。重症になるほどトレーニングの減量・中止期間は延び、競技復帰までに数か月以上を要することもあるため、数日の休養で復帰できるとはいえない。
HINT 毎朝の起床時心拍数を記録しておくと早く気づける。
- Q20#kj-sa-020
反応はないが、普段どおりの呼吸をしている人への対応として最も適切なものはどれか。
- 1ただちに胸骨圧迫を開始し、救急隊の到着まで続ける
- 2仰向けに寝かせ、両脚を心臓より高く上げた状態で保つ
- 3横向きに寝た姿勢(回復体位)にして、呼吸の観察を続ける正解
- 4座らせて前かがみの姿勢をとらせ、背中をさする
- 5上体を起こして水分を飲ませ、意識の回復を待つ
Answer
正解 3:横向きに寝た姿勢(回復体位)にして、呼吸の観察を続ける
反応がなくても普段どおりの呼吸がある場合は胸骨圧迫を行わず、横向きに寝た姿勢(回復体位)にして、喉の奥の空気の通り道が狭まったり吐いた物で詰まったりすることを防ぐ。回復体位では下になる腕を前に伸ばし、上になる腕を曲げてその手の甲に顔を乗せ、姿勢を安定させるために上になる膝を約90度曲げて前に出す。呼吸の変化に気づくのが遅れないよう、救急隊が到着するまで観察を続ける。「ただちに胸骨圧迫を開始する」のは普段どおりの呼吸がない場合の対応である。「両脚を心臓より高く上げる」のは別の目的でとられる姿勢で、気道を保つことにはつながらない。「座らせて前かがみにする」「上体を起こして水分を飲ませる」のは反応がある人への対応であり、反応がない人に水分を飲ませると誤嚥する危険がある。
HINT 反応なし、かつ普段どおりの呼吸あり。この組み合わせなら横向きにして観察。
- Q21#kj-sa-021
倒れた人の呼吸を確認する場面について、正しいものはどれか。
- 1呼吸があるかどうかは、30秒以上かけて慎重に確かめる
- 2普段どおりの呼吸かどうか判断に迷う場合は、判断がつくまで待つ
- 3心停止でない人に胸骨圧迫を行うと、重い障害が生じるとされている
- 4しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸は、普段どおりの呼吸ではない正解
- 5胸と腹の動きではなく、口元に耳を近づけて聞こえる音で判断する
Answer
正解 4:しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸は、普段どおりの呼吸ではない
突然の心停止直後には、しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸がみられることが少なくない。これは死戦期呼吸と呼ばれるもので「普段どおりの呼吸」ではないため、ただちに胸骨圧迫を開始する。呼吸の確認は胸と腹の動きを10秒以内で観察して行うので、30秒以上かけるのは誤り。約10秒かけても判断に迷う場合やわからない場合も心停止とみなしてただちに胸骨圧迫を開始し、判断がつくまで待つことはしない。心停止でない人に胸骨圧迫を行った場合でも、傷害が生じる危険は低いとされており、ためらわずに開始してよい。確認は胸と腹が上下する動きを見て行うもので、聞こえる音で判断するものではない。
HINT 途切れ途切れのあえぎは心停止のサイン。迷ったら胸骨圧迫を始める。
- Q22#kj-sa-022
胸骨圧迫を質の高い状態で続けるための方法として、正しいものはどれか。
- 1圧迫と圧迫の間は、胸が元の高さに戻るように十分に力を抜く正解
- 2圧迫する場所は、胸骨の上端に近い部分を目安にする
- 3手のひら全体に力を広げ、肋骨も含めて押すようにする
- 4両肘を軽く曲げ、腕の力で押し込むようにする
- 5交代できる人がいる場合も、5分以上続けてから交代する
Answer
正解 1:圧迫と圧迫の間は、胸が元の高さに戻るように十分に力を抜く
圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めている間)は、胸が元の高さに戻るように十分に圧迫を解除することが大切である。このとき自分の手が傷病者の胸から離れて宙に浮かないよう注意する。圧迫する場所は胸骨の上端ではなく下半分であり、胸の左右・上下の真ん中を目安に探す。力は手のひら全体ではなく手のひらの付け根だけに加わるようにし、指や手のひら全体で肋骨を圧迫するのは好ましくない。両肘はまっすぐに伸ばし、圧迫部位の真上に肩がくる姿勢で垂直に体重を加えるため、肘を曲げて腕の力で押すのも誤り。疲れると気づかないうちに圧迫が弱くなりテンポも遅くなるので、手伝ってくれる人がいる場合は1分から2分を目安に交代し、交代による中断時間をできるだけ短くする。5分以上続けてから交代するのでは、その間に圧迫の質が落ちてしまう。
HINT 押す深さと同じくらい「戻すこと」が大事。交代は1分から2分が目安。
- Q23#kj-sa-023
心肺蘇生における人工呼吸について、正しいものはどれか。
- 1胸骨圧迫と人工呼吸の回数は、15回に対して2回の組み合わせとする
- 21回の吹き込みは、胸が大きく持ち上がるまで5秒ほどかけて行う
- 32回吹き込んでも胸が上がらないときは、上がるまで吹き込みを繰り返す
- 4あごの下の軟らかい部分を指で押し上げて、気道を確保する
- 5やり方に自信がない場合やためらいがある場合は、胸骨圧迫だけを続ける正解
Answer
正解 5:やり方に自信がない場合やためらいがある場合は、胸骨圧迫だけを続ける
人工呼吸のやり方に自信がない場合や、人工呼吸を行うことにためらいがある場合は、胸骨圧迫だけを続けてよい。胸骨圧迫と人工呼吸の回数は30対2であり、15回に対して2回ではない。1回の吹き込みは傷病者の胸が上がるのが見てわかる程度の量を約1秒間かけて行うもので、5秒ほどかけるのは長すぎる。吹き込みは2回までとし、2回試みても胸が1回も上がらない状況が続くときは胸骨圧迫のみの心肺蘇生に切り替える。なお2回の吹き込みの間に生じる胸骨圧迫の中断は、10秒以上にならないようにする。気道確保は額を押さえ、あごの先端の骨のある硬い部分に指先を当てて押し上げる頭部後屈あご先挙上法で行い、あごの下の軟らかい部分を押すと気道が狭くなるため避ける。
HINT 迷ったら胸骨圧迫だけでよい。比は30対2、1回の吹き込みは約1秒。
- Q24#kj-sa-024
AEDを使用する際の手順として、正しいものはどれか。
- 1「ショックは不要です」と示された場合は、心肺蘇生も終了してよい
- 2電気ショックのあとは、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開する正解
- 3電極パッドを貼り付けている間は、胸骨圧迫をいったんやめる
- 4電気ショックを行ったら、電極パッドを外して電源を切る
- 5心電図の解析中は、胸骨圧迫を続けたまま待つ
Answer
正解 2:電気ショックのあとは、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開する
電気ショックのあとは、音声メッセージに従ってただちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開する。「ショックは不要です」という表示は心肺蘇生が不要という意味ではなく、この場合もただちに胸骨圧迫から再開する。電極パッドを貼り付けている間も胸骨圧迫は続ける。普段どおりの呼吸が戻った場合でも、再び心臓が停止してAEDが必要になることがあるため、救急隊員と交代するまで電極パッドは胸から剥がさず、電源も入れたままにしておく。心電図の解析中は「体から離れてください」などの音声メッセージが流れ、誰も傷病者に触れていない状態にする必要があるので、圧迫を続けたまま待つのは誤りである。AEDは2分おきに自動的に解析を始めるため、このメッセージを聞きのがさないようにする。
HINT ショックのあとも、不要と言われたあとも、次にやることは同じ。
- Q25#kj-sa-025
食事中にのどを詰まらせ、声が出せず強い咳もできない成人への対応として、正しいものはどれか。
- 1まず腹部突き上げを行い、効果がなければ背部叩打を試みる
- 2口の中に指を入れ、指先で異物を探して取り出す
- 3まず背部叩打を試み、効果がなければ腹部突き上げを行う正解
- 4反応があるうちは何もせず、救急隊の到着を待つ
- 5水を飲ませ、異物を胃に流し込むように促す
Answer
正解 3:まず背部叩打を試み、効果がなければ腹部突き上げを行う
声が出せず強い咳もできないときは窒息と判断し、大声で助けを呼んで119番通報を依頼したうえで、まず背部叩打法(左右の肩甲骨の中間あたりを手のひらの付け根で力強くたたく)を試み、効果がなければ腹部突き上げ法を行う。したがって順序を逆にするのは誤りである。「口の中に指を入れて異物を探す」のは、異物が見えない場合にやみくもに行ってはならない行為である。救助者が1人で傷病者に反応がある間は119番通報よりも異物除去を優先するので、「反応があるうちは何もせず待つ」のも誤り。水を飲ませても気道に詰まった異物は流れず、かえって危険である。なお、明らかに妊娠していると思われる女性や高度な肥満者、乳児には腹部突き上げを行わず背部叩打を行う。腹部突き上げを実施した場合は腹部の内臓をいためる可能性があるため、異物が取れても医師の診察を受けさせる。
HINT 背中をたたく、それでだめなら腹部を突き上げる。この順番。
- Q26#kj-sa-026
捻挫や打撲に対する急性期の応急処置の実施方法として、適切でないものはどれか。
- 1受傷した直後は、患部を温めたりもみほぐしたりしない
- 2損傷した部位を、心臓より高い位置に保つ
- 3弾性包帯などで圧迫し、指先の血色や感覚を確認する
- 4冷却パックを皮膚に直接当て、長時間そのまま固定する正解
- 5受傷した部位を動かさず、体重をかけないようにする
Answer
正解 4:冷却パックを皮膚に直接当て、長時間そのまま固定する
冷却パックを皮膚に直接当てたまま長時間固定すると凍傷を起こすおそれがあるため、皮膚との間に薄い布などをはさんで直接当たらないようにする。したがって直接当てて長時間固定するのは適切でない。「受傷した直後は、患部を温めたりもみほぐしたりしない」は適切な対応で、受傷直後に温めたりもみほぐしたりすると血流が増えて内出血や腫れを強めるため、急性期には行わない。「損傷した部位を、心臓より高い位置に保つ」挙上も、腫れを抑えるのに役立つ。「弾性包帯などで圧迫し、指先の血色や感覚を確認する」ことも適切で、圧迫は内出血と腫れを抑えるが、強すぎると血流を妨げるため確認しながら行う。「受傷した部位を動かさず、体重をかけないようにする」安静も、損傷を広げないために必要である。これらは急性外傷に対するRICE処置の4要素にあたる。
HINT 冷やすときは布を1枚はさむ。圧迫は締めすぎに注意。
- Q27#kj-sa-027
転倒して手足が変形しており、骨折が疑われる人への応急処置として正しいものはどれか。
- 1変形した状態のまま、添え木や三角巾などで固定する正解
- 2変形を元の形に戻したうえで、添え木で固定する
- 3固定はせず、痛みが引くまでその場で安静にする
- 4変形した部分を温めてから、ゆっくり動かして確かめる
- 5患部をもみほぐしてから、包帯を巻いて固定する
Answer
正解 1:変形した状態のまま、添え木や三角巾などで固定する
けがで手足が変形している場合は骨折が強く疑われる。変形した状態を元に戻す必要はなく、そのままの形で添え木や三角巾などを用いて固定する。固定することで移動するさいの痛みを和らげ、さらなる損傷を防ぐことができる。無理に元の形に戻そうとすると周囲の血管や神経を傷めるおそれがあり誤りである。固定せずに安静にするだけでは、動かしたときに損傷が広がる危険が残る。急性期に温めたり、動かして確かめたりすることは内出血や腫れを強めて損傷を広げるため行わない。もみほぐすことも同様に損傷を悪化させる。脱臼が疑われる場合も、自分で関節を戻そうとせず、変形したまま固定して医療機関につなぐ。
HINT 変形は戻さず、そのままの形で固定する。
- Q28#kj-sa-028
テーピングについて、正しい説明はどれか。
- 1伸縮性のあるテープは、関節を完全に動かないように固定する目的で用いる
- 2アンダーラップは粘着力が強く、固定力を高めるために最後に巻く
- 3テーピングを行えば、ウォームアップや筋力の強化は不要になる
- 4テーピングは急性期には用いず、競技に復帰してから初めて使う
- 5伸縮性のないテープは固定力が強く、関節の動きを制限する目的で用いる正解
Answer
正解 5:伸縮性のないテープは固定力が強く、関節の動きを制限する目的で用いる
テーピングは、関節の動きを制限して外傷の発生や再発を防ぐこと、患部を圧迫・固定して悪化を防ぎ痛みを和らげることを目的とする。伸縮性のないテープ(ホワイトテープ)は固定力が強く、捻挫の予防や関節の固定に用いる。「伸縮性のあるテープは、関節を完全に動かないように固定する目的で用いる」は誤りで、伸縮性のあるテープは皮膚や筋の動きに合わせて伸び、動きを残しながら補助するものなので、関節を完全に固定する目的には向かない。アンダーラップは粘着性がなく、皮膚を保護するためにテープの下に最初に巻くもので、最後に巻いて固定力を高めるものではない。テーピングはあくまで補助であり、ウォームアップや筋力の強化に代わるものではない。急性期の圧迫・固定にも用いられるため、競技復帰後に初めて使うものでもない。
HINT 伸びないテープはがっちり固定。アンダーラップは一番下(最初)に巻く。
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