運動生理学全26問・正解と解説つき
健康運動実践指導者 ・ 公式テキスト第2章 ・ 分量 11%
運動の発現と運動単位、骨格筋の収縮機構とエネルギー供給、筋線維タイプ(SO・FOG・FG)、呼吸循環系の構造と調節、無酸素性閾値と最大酸素摂取量、酸素借と酸素負債、トレーニングによる適応。
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- Q01#kj-ph-001
持久的トレーニングを継続した際に生じる慢性的な適応として、正しいものはどれか。
- 1安静時心拍数が低下する正解
- 21回拍出量が減少する
- 3最大酸素摂取量が低下する
- 4骨格筋の毛細血管密度が減少する
- 5同一の最大下強度で運動したときの心拍数が上昇する
Answer
正解 1:安静時心拍数が低下する
持久的トレーニングによって心室の容積が増え、1回の拍動で送り出せる血液量(1回拍出量)が増加する。同じ量の血液を送るのに必要な拍動回数が減るため、安静時心拍数は低下する(徐脈化)。したがって「1回拍出量が減少する」は逆。「最大酸素摂取量が低下する」「骨格筋の毛細血管密度が減少する」もいずれも逆で、持久的トレーニングでは両方とも増加する。「同一の最大下強度で運動したときの心拍数が上昇する」も誤りで、1回拍出量が増えた分、同じ強度なら心拍数はむしろ低下する。
HINT 1回で多く送れる → 必要な回数は減る。この因果で全部つながる。
- Q02#kj-ph-002
最も短時間・高強度の運動で主に使われるエネルギー供給機構はどれか。
- 1有酸素性機構
- 2解糖系(乳酸性機構)
- 3ATP-CP系(非乳酸性機構)正解
- 4β酸化
- 5クエン酸回路
Answer
正解 3:ATP-CP系(非乳酸性機構)
ATP-CP系は、筋内に貯蔵されたクレアチンリン酸(PCr)を使い、クレアチンキナーゼによる1段階の反応でATPを再合成する。酸素を必要とせず、反応の段階数も少ないため、3つの機構のうち最も速くATPを供給できる。ただしPCrの貯蔵量は少なく、全力運動ではおおむね10秒程度で枯渇する。「解糖系(乳酸性機構)」も酸素を使わないが、複数段階の反応を経るためATP-CP系より供給は遅く、数十秒〜約2分の運動を支える。「有酸素性機構」は酸素を使ってさらに長時間の運動を支える。「β酸化」「クエン酸回路」は、その有酸素性機構を構成する代謝経路そのものであり、並列に並ぶ独立した供給機構の区分ではない。
HINT 速さの順=反応の段階数の少なさの順。ATP-CP系 → 解糖系 → 有酸素性。
- Q03#kj-ph-003
最大心拍数の簡易推定式として、最も広く用いられているものはどれか。
- 1220 − 年齢正解
- 2220 + 年齢
- 3208 − 年齢
- 4180 − 年齢
- 5200 − 年齢 × 0.5
Answer
正解 1:220 − 年齢
最大心拍数の簡易推定式として最も広く用いられているのは「220 − 年齢」である。加齢とともに最大心拍数が低下することを反映した式で、「220 + 年齢」は加齢で上昇することになり方向が逆。「208 − 年齢」は、より誤差が小さいとされるTanakaの式「208 − 0.7 × 年齢」に似ているが、年齢に0.7を掛けていない点で異なる式になっている。「180 − 年齢」は一部のトレーニング強度設定の目安として使われることはあるが最大心拍数の推定式ではなく、「200 − 年齢 × 0.5」も一般に用いられている式ではない。いずれの推定式も個人差が大きいため、実際の運動処方では自覚的運動強度(RPE)や運動負荷試験の実測値と併用する。
HINT 古くからの目安は「220−年齢」。覚えやすさゆえに広く使われている。
- Q04#kj-ph-004
運動強度を高めていく過程で、エネルギー供給が有酸素性だけでは追いつかなくなる境界の強度を表す指標はどれか。
- 1最大酸素摂取量(VO2max)
- 2無酸素性作業閾値(AT)正解
- 3呼吸交換比(RER)
- 4基礎代謝量(BMR)
- 5代謝当量(METs)
Answer
正解 2:無酸素性作業閾値(AT)
無酸素性作業閾値(AT)は、運動強度を高めていく過程で、エネルギー供給が有酸素性だけでは追いつかなくなる境界の強度を指す上位概念である。判定法は2つあり、血中乳酸濃度の急増点から求めたものを乳酸性作業閾値(LT)、呼気ガスの変化から求めたものを換気性作業閾値(VT)と呼ぶ。実務では近い強度として扱われるが、測定法が異なるため両者は必ずしも一致しない。「最大酸素摂取量(VO2max)」は有酸素能力の最大値、「呼吸交換比(RER)」は糖と脂質の利用割合を示す指標、「基礎代謝量(BMR)」は生命維持に必要な最小限のエネルギー量、「代謝当量(METs)」は安静時代謝量を1とした強度の単位であり、いずれも「有酸素性だけでは追いつかなくなる境界」を表す指標ではない。
HINT AT が上位概念で、その測り方が LT(乳酸)と VT(呼気ガス)。同義ではない。
- Q05#kj-ph-005
遅筋線維(Type I)の特徴として正しいものはどれか。
- 1収縮速度が速く、疲労しやすい
- 2ミトコンドリアが少なく、毛細血管も乏しい
- 3酸化能力が高く、疲労しにくい正解
- 4無酸素性のエネルギー供給に強く依存する
- 5短距離走などの瞬発的な動作で優先的に動員される
Answer
正解 3:酸化能力が高く、疲労しにくい
遅筋線維(Type I、赤筋)はミトコンドリアと毛細血管が豊富で酸化能力が高く、持久的な活動で優先的に動員されて疲労しにくい。「収縮速度が速く、疲労しやすい」「ミトコンドリアが少なく、毛細血管も乏しい」「無酸素性のエネルギー供給に強く依存する」「短距離走などの瞬発的な動作で優先的に動員される」は、いずれも速筋線維(Type II)の特徴であり、遅筋線維とは逆になる。
HINT 赤い=ミオグロビンと毛細血管が多い=酸素をよく使える=持久的。
- Q06#kj-ph-006
1メッツ(MET)が示す強度として正しいものはどれか。
- 1最大酸素摂取量の50%に相当する強度
- 2座位安静時のエネルギー消費量に相当する強度正解
- 3最大心拍数の60%に相当する強度
- 41分間に1kcalを消費する強度
- 5歩行速度4km/hに相当する強度
Answer
正解 2:座位安静時のエネルギー消費量に相当する強度
メッツ(METs)は座位安静時のエネルギー消費量を1とし、その何倍に相当するかで身体活動の強度を表す単位である。1メッツは成人の座位安静時代謝量にあたり、酸素摂取量で約3.5mL/kg/分に相当する(代表値であり個人差がある)。強度と時間の積は「メッツ・時」と呼ばれ、身体活動量の指標として施策の目標値にも用いられる。「最大酸素摂取量の50%」「最大心拍数の60%」はいずれも相対的な運動強度の表し方だが、メッツの定義ではない。「1分間に1kcalを消費する強度」は消費エネルギーの絶対量であり、体重によって変わるためメッツの定義と合わない。「歩行速度4km/h」はおよそ3メッツに相当する活動であって、1メッツではない。
HINT 基準は「座って安静にしている状態」。寝ている状態ではない。
- Q07#kj-ph-007
随意運動が起こるしくみの説明として、正しいものはどれか。
- 1大脳皮質の運動野から出た指令が脊髄の運動ニューロンに伝えられて筋が収縮する正解
- 2感覚刺激に対して脊髄のレベルで起こり、意思では止められない
- 3自律神経を介して心筋や内臓の平滑筋を収縮させる
- 4筋が急に引き伸ばされたときに、反射的に収縮する反応である
- 5小脳が運動の指令そのものを発し、大脳皮質は関与しない
Answer
正解 1:大脳皮質の運動野から出た指令が脊髄の運動ニューロンに伝えられて筋が収縮する
随意運動は、大脳皮質の運動野で組み立てられた指令が下行路を通って脊髄前角の運動ニューロン(α運動ニューロン)に伝えられ、そこから末梢神経を経て骨格筋に届くことで起こる。自分の意思で始めたり止めたりできるのが特徴である。「感覚刺激に対して脊髄のレベルで起こり、意思では止められない」は脊髄反射の説明であり、不随意運動にあたる。「自律神経を介して心筋や内臓の平滑筋を収縮させる」も不随意の働きで、骨格筋の随意運動とは経路が異なる。「筋が急に引き伸ばされたときに、反射的に収縮する反応である」は伸張反射の説明で、これも不随意運動である。「小脳が運動の指令そのものを発し、大脳皮質は関与しない」も誤りで、小脳は運動の円滑化・タイミングや姿勢の調節に関わるが、随意運動の指令の出どころは大脳皮質の運動野である。
HINT 自分の意思で止められるかどうかが、随意と不随意の分かれ目。
- Q08#kj-ph-008
発揮する筋力を徐々に強めていくときの運動単位の動員について、正しいものはどれか。
- 1小さい運動単位から先に動員され、必要な力が増すにつれて大きい運動単位が加わる正解
- 2最大努力で力を発揮するときには、動員の順序が大きい運動単位から小さい運動単位へ逆転する
- 31つの運動単位に含まれる筋線維は、必要な力に応じてその一部だけが収縮する
- 4筋力は運動単位の発火頻度のみで調節され、動員される運動単位の数は変わらない
- 5疲労しにくい運動単位は、最大努力で力を発揮するときにだけ動員される
Answer
正解 1:小さい運動単位から先に動員され、必要な力が増すにつれて大きい運動単位が加わる
運動単位とは、1個の運動ニューロンとそれが支配するすべての筋線維をまとめた、筋力発揮の最小単位である。運動単位の動員には「サイズの原理」と呼ばれる順序性があり、細胞体の小さい運動ニューロン(遅筋線維を支配し、張力は小さいが疲労しにくい運動単位)が先に動員され、必要な力が大きくなるにつれて細胞体の大きい運動ニューロン(速筋線維を支配し、張力は大きいが疲労しやすい運動単位)が加わっていく。「最大努力で力を発揮するときには、動員の順序が大きい運動単位から小さい運動単位へ逆転する」は誤りで、最大努力時は小さいものから大きいものまですべてが動員されるだけで、順序が逆転するわけではない。「1つの運動単位に含まれる筋線維は、必要な力に応じてその一部だけが収縮する」も誤りで、運動単位の中の筋線維は同じ神経の興奮によって全部が同時に収縮する(全か無かの反応)。「筋力は運動単位の発火頻度のみで調節され、動員される運動単位の数は変わらない」も誤りで、筋力は動員する運動単位の数と発火頻度の両方によって調節される。「疲労しにくい運動単位は、最大努力で力を発揮するときにだけ動員される」も逆で、疲労しにくい小さい運動単位は弱い力の発揮でも最初から動員されている。
HINT 弱い力から順に足していく。小さいもの(疲労しにくい)が先、大きいもの(疲労しやすい)が後。
- Q09#kj-ph-009
筋が短縮するときのサルコメア(筋収縮の最小単位)の変化について、正しいものはどれか。
- 1アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑り込み、Z膜の間隔が狭くなる正解
- 2ミオシンフィラメント自体が短く縮むことでサルコメアが短くなる
- 3アクチンフィラメント自体が伸び縮みしてZ膜を引き寄せる
- 4筋原線維の中でサルコメアの数が一時的に増え、筋全体が短くなる
- 5フィラメントの位置関係は変わらず、筋細胞全体が丸く膨らんで短縮する
Answer
正解 1:アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑り込み、Z膜の間隔が狭くなる
サルコメアはZ膜(Z帯)とZ膜の間の区画で、アクチンフィラメント(細いフィラメント)とミオシンフィラメント(太いフィラメント)が規則的に並んでいる。筋が収縮するとき、ミオシン頭部がアクチンをたぐり寄せることでアクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑り込み、Z膜同士の間隔が狭くなってサルコメアが短縮する。これを滑走説(滑り説)という。このとき両フィラメント自体の長さは変わらないため、「ミオシンフィラメント自体が短く縮む」「アクチンフィラメント自体が伸び縮みして」はいずれも誤りである。「筋原線維の中でサルコメアの数が一時的に増え」も誤りで、サルコメアの数は1回の収縮で増減しない(数の変化は長期的な適応として生じる)。「フィラメントの位置関係は変わらず、筋細胞全体が丸く膨らんで短縮する」も誤りで、収縮した筋が太く見えるのは短縮に伴う形の変化であって、フィラメントの重なりが増えることこそが短縮の本体である。
HINT フィラメントは縮まない。重なりが増えてZ膜同士が近づく。
- Q10#kj-ph-010
骨格筋の興奮収縮連関において、筋小胞体から放出されたカルシウムイオンが結合する相手はどれか。
- 1トロポミオシン
- 2トロポニン正解
- 3ミオシン頭部
- 4アクチン
- 5クレアチンキナーゼ
Answer
正解 2:トロポニン
運動ニューロンの興奮が筋線維の膜を伝わると、筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。このカルシウムイオンはアクチンフィラメント上のトロポニンに結合し、その結果トロポニンと結びついているトロポミオシンの位置がずれて、アクチン上のミオシン結合部位が現れる。「トロポミオシン」はカルシウムイオンの結合相手ではなく、トロポニンの変化を受けて動かされる側である。「ミオシン頭部」はATPを分解しながらアクチンをたぐり寄せる側であり、カルシウムイオンが結合する部位ではない。「アクチン」はミオシン頭部と結合してフィラメント滑走を起こす側で、やはりカルシウムイオンの直接の受け手ではない。「クレアチンキナーゼ」はクレアチンリン酸からATPを再合成する酵素で、ATP-CP系の反応に関わるがカルシウムイオンの結合相手ではない。
HINT カルシウムが「鍵」を掛け替える相手はどれか。動かされる側と、動かす側を区別する。
- Q11#kj-ph-011
解糖系(乳酸性機構)によるエネルギー供給の特徴として、正しいものはどれか。
- 1クレアチンリン酸を分解し、1段階の反応でATPを再合成する
- 2脂質を主な材料とし、酸素を使って長時間のエネルギー供給を担う
- 3糖質を分解してATPをつくり、酸素を使わないため供給が速いが、乳酸が生じる正解
- 4糖質を二酸化炭素と水にまで完全に分解し、多量のATPを得る
- 5タンパク質を主な材料とし、安静時のエネルギー供給の大半を担う
Answer
正解 3:糖質を分解してATPをつくり、酸素を使わないため供給が速いが、乳酸が生じる
解糖系(乳酸性機構)は、筋グリコーゲンやグルコースといった糖質を酸素を使わずに分解してATPを再合成する経路である。酸素の供給を待たずに働けるため供給速度が速く、有酸素性機構だけでは間に合わない強度の運動を支えるが、最終的に乳酸が生じるため長く続けることはできない。「クレアチンリン酸を分解し、1段階の反応でATPを再合成する」はATP-CP系(非乳酸性機構)の説明である。「脂質を主な材料とし、酸素を使って長時間のエネルギー供給を担う」「糖質を二酸化炭素と水にまで完全に分解し、多量のATPを得る」はいずれも有酸素性機構の説明で、解糖系は酸素を使わず、糖質を乳酸までしか分解しない。「タンパク質を主な材料とし、安静時のエネルギー供給の大半を担う」も誤りで、安静時のエネルギー源は主に糖質と脂質であり、タンパク質の貢献は小さい。なお、かつて乳酸は疲労の原因物質と考えられていたが、現在では有酸素性機構のエネルギー源としても利用されることが知られている。
HINT 「乳酸性」と呼ばれる理由そのものが答えの手がかり。材料は糖質、酸素は使わない。
- Q12#kj-ph-012
エネルギー供給機構と運動の持続時間の関係について、正しいものはどれか。
- 1ATP-CP系が完全に枯渇してから解糖系が働き始め、解糖系が止まってから有酸素性機構が働き始める
- 23つの機構は同時に働いており、運動が長く続くほど有酸素性機構の貢献が大きくなる正解
- 3有酸素性機構は運動開始と同時に最大の供給速度に達し、無酸素性の機構は使われない
- 4運動が長く続くほど糖質の利用割合が高まり、脂質の利用割合は下がっていく
- 5安静時のATP再合成は、供給速度が最も速いATP-CP系が中心となって担っている
Answer
正解 2:3つの機構は同時に働いており、運動が長く続くほど有酸素性機構の貢献が大きくなる
ATP-CP系・解糖系・有酸素性機構の3つは、どれか1つだけが働くのではなく常に同時に働いており、運動の強度と持続時間に応じて主役の座が移っていく。短時間で高い出力が要るほど無酸素性の機構(ATP-CP系・解糖系)の貢献が大きく、運動が長く続くほど供給速度は遅いが供給量に限りの少ない有酸素性機構の貢献が大きくなる。「ATP-CP系が完全に枯渇してから解糖系が働き始め…」は、機構が順番にバトンを渡すという誤解で、実際には重なり合って働いている。「有酸素性機構は運動開始と同時に最大の供給速度に達し、無酸素性の機構は使われない」も誤りで、酸素摂取量が必要量に追いつくまでには数分を要し、その間の不足分は無酸素性の機構が埋めている。「運動が長く続くほど糖質の利用割合が高まり、脂質の利用割合は下がっていく」も向きが逆で、運動が長引くほど脂質の利用割合が高まり、蓄えの限られる糖質は節約されていく。「安静時のATP再合成は、供給速度が最も速いATP-CP系が中心となって担っている」も誤りで、安静時は酸素の供給が足りているため有酸素性機構が中心であり、ATP-CP系が主役になるのは急に強い力を出す場面である。
HINT スイッチの切り替えではなく、3つの音量バランスが変わっていくイメージ。
- Q13#kj-ph-013
代謝特性にもとづく筋線維の分類(SO線維・FOG線維・FG線維)について、正しい説明はどれか。
- 1SO線維は収縮速度が速く、解糖系のエネルギー供給に強く依存する
- 2FG線維は酸化能力が高く、長時間の持久的な活動でも疲労しにくい
- 3FOG線維は速い収縮速度をもちながら酸化能力も備え、中間的な特性を示す正解
- 4この3分類は収縮速度の違いだけにもとづくもので、代謝の特性は考慮していない
- 5SO線維は3分類のうち最も発揮張力が大きく、瞬発的な動作で最初に動員される
Answer
正解 3:FOG線維は速い収縮速度をもちながら酸化能力も備え、中間的な特性を示す
SO・FOG・FGという分類は、収縮速度(Slow/Fast)と代謝の特性(Oxidative=酸化的/Glycolytic=解糖的)を組み合わせた呼び方である。SO線維は遅く酸化的(遅筋・タイプIに相当)、FG線維は速く解糖的(速筋に相当)、FOG線維はその中間で、速い収縮速度をもちながら酸化能力も備え(タイプIIaに相当)、中距離的な運動で力を発揮する。したがって「SO線維は収縮速度が速く、解糖系のエネルギー供給に強く依存する」はFG線維の説明であり、「FG線維は酸化能力が高く、長時間の持久的な活動でも疲労しにくい」はSO線維の説明で、両者は入れ替わっている。「この3分類は収縮速度の違いだけにもとづくもので、代謝の特性は考慮していない」も誤りで、名称のO・Gがまさに代謝特性を表している。「SO線維は3分類のうち最も発揮張力が大きく…」も誤りで、発揮張力が最も大きいのはFG線維であり、SO線維は張力が小さいかわりに疲労しにくく、弱い力の発揮から先に動員される。なお、ミオシンの型による分類ではヒトの筋線維はタイプI・タイプIIa・タイプIIxに分けられ、分類の切り口が違うため両者の対応はおおまかなものとして扱う。
HINT 名前が特性をそのまま表している。S/F=速さ、O/G=どの代謝を使うか。
- Q14#kj-ph-014
筋線維タイプの構成とその変化について、正しい説明はどれか。
- 1筋線維タイプの構成はトレーニング内容で決まり、遺伝的な要因はほとんど関与しない
- 2トレーニングによって筋線維の総数が大きく増えることで、タイプの割合が変わる
- 3持久的なトレーニングによって、速筋線維の中でタイプIIxからタイプIIaへの移行が起こる正解
- 4一般に短距離選手では遅筋線維、マラソン選手では速筋線維の割合が高い
- 5筋線維タイプの構成は加齢によっては変化せず、生涯を通じて一定である
Answer
正解 3:持久的なトレーニングによって、速筋線維の中でタイプIIxからタイプIIaへの移行が起こる
筋線維タイプの構成には遺伝的な要因が大きく関与するとされる一方で、トレーニングによる変化も生じる。よく知られているのは速筋線維の中での移行で、持久的なトレーニングを積むと、疲労しやすいタイプIIxから酸化能力の高いタイプIIaへと性質が寄っていく。「筋線維タイプの構成はトレーニング内容で決まり、遺伝的な要因はほとんど関与しない」は誤りで、遺伝的な影響は無視できない。「トレーニングによって筋線維の総数が大きく増えることで…」も誤りで、トレーニングによる筋の変化は主に1本ごとが太くなる筋肥大であり、本数の大幅な増加によるものではない。「一般に短距離選手では遅筋線維、マラソン選手では速筋線維の割合が高い」は逆で、短距離選手は速筋線維の割合が高く、マラソン選手は遅筋線維の割合が高い傾向がある。「筋線維タイプの構成は加齢によっては変化せず、生涯を通じて一定である」も誤りで、加齢に伴って速筋線維が選択的に萎縮しやすいことが知られており、これが高齢期の素早い動作やとっさの踏みとどまりの低下につながる。
HINT 「速筋と遅筋を入れ替える」のは難しいが、「速筋の中での模様替え」は起こる。
- Q15#kj-ph-015
筋が発揮できる最大筋力を決める要因について、正しいものはどれか。
- 1筋の生理学的横断面積が大きいほど、発揮できる最大筋力は大きくなる正解
- 2最大筋力は筋の長さに比例し、筋の断面積は短縮する速度のほうを決める
- 3羽状筋は筋線維が長軸に平行に並ぶため、同じ体積の紡錘状筋より発揮筋力が小さい
- 4横断面積が同じであれば、動員できる運動単位の数に差があっても発揮筋力は等しくなる
- 5発揮筋力は筋線維の本数だけで決まり、1本ごとの太さは影響しない
Answer
正解 1:筋の生理学的横断面積が大きいほど、発揮できる最大筋力は大きくなる
筋が発揮できる力は、筋線維の並びに直交する断面の面積(生理学的横断面積)にほぼ比例する。単位面積あたりに発揮できる張力(筋力)はおおよそ一定とされるため、太い筋ほど大きな力を出せる。「最大筋力は筋の長さに比例し、筋の断面積は短縮する速度のほうを決める」は役割が入れ替わっており、力の大きさを決めるのが断面積、短縮できる距離や速度に関わるのが長さである。「羽状筋は筋線維が長軸に平行に並ぶため…」は二重に誤りで、筋線維が長軸に平行に並ぶのは紡錘状筋であり、羽状筋は筋線維が斜めに並ぶことで同じ体積でも生理学的横断面積を大きく取れるため、大きな力の発揮に適している。「横断面積が同じであれば、動員できる運動単位の数に差があっても発揮筋力は等しくなる」も誤りで、実際に発揮される力は神経系の要因(動員する運動単位の数と発火頻度)にも左右される。「発揮筋力は筋線維の本数だけで決まり、1本ごとの太さは影響しない」も誤りで、断面積は本数と1本ごとの太さの両方で決まる。
HINT 力は「太さ」、速さと可動範囲は「長さ」。並び方は太さの稼ぎ方に関わる。
- Q16#kj-ph-016
レジスタンストレーニングを始めた初期の段階で筋力が向上する、主な理由はどれか。
- 1筋線維の本数が増えることで筋全体が太くなるため
- 2動員できる運動単位の数が増えるなど、神経系の適応が起こるため正解
- 3筋線維1本あたりの断面積がすでに大きく増しているため
- 4速筋線維が遅筋線維へ置き換わり、疲労しにくくなるため
- 5腱と骨の結合が強くなり、関節可動域が広がるため
Answer
正解 2:動員できる運動単位の数が増えるなど、神経系の適応が起こるため
レジスタンストレーニングの効果は、まず神経系の適応として現れる。動員できる運動単位の数が増え、発火頻度が高まり、主動筋と拮抗筋の協調が改善することで、筋の太さがほとんど変わらないうちから筋力が向上する。「筋線維1本あたりの断面積がすでに大きく増しているため」は誤りで、筋肥大は神経系の適応より遅れて現れるため、初期の筋力向上の主たる理由にはならない。「筋線維の本数が増えることで…」も誤りで、トレーニングによる筋の増大は主に1本ごとの断面積が増える筋肥大によるものである。「速筋線維が遅筋線維へ置き換わり、疲労しにくくなるため」も誤りで、そのような置き換わりは確認されておらず、また疲労しにくくなることは最大筋力の向上とは別の話である。「腱と骨の結合が強くなり、関節可動域が広がるため」も誤りで、腱や結合組織の強化は起こりうるが時間がかかり、可動域の拡大も最大筋力の向上を説明する要因ではない。
HINT 太くなる前から重さが上がる。何が先に変わっているかを考える。
- Q17#kj-ph-017
安静時の呼吸運動とガス交換について、正しいものはどれか。
- 1安静時の呼息は、腹筋群と内肋間筋が強く収縮することで行われる
- 2吸息では横隔膜が収縮して下がり、胸腔が広がることで空気が流れ込む正解
- 3ガス交換は気管支の壁で行われ、肺胞は空気の通り道にすぎない
- 4吸息では外肋間筋がゆるみ、胸郭が下がることで空気が流れ込む
- 5肺に出入りする空気の量は、気管の太さの変化によって主に調節される
Answer
正解 2:吸息では横隔膜が収縮して下がり、胸腔が広がることで空気が流れ込む
安静時の吸息は、横隔膜と外肋間筋の収縮によって行われる。横隔膜が収縮して下がり、胸郭が広がることで胸腔の容積が増え、肺が受動的に膨らんで空気が流れ込む。「安静時の呼息は、腹筋群と内肋間筋が強く収縮することで行われる」は誤りで、安静時の呼息は吸息筋が緩み、広がった胸郭と肺が弾性によって元に戻る受動的な過程である(腹筋群や内肋間筋が働くのは、運動時などの努力呼息のとき)。「ガス交換は気管支の壁で行われ、肺胞は空気の通り道にすぎない」は逆で、気管・気管支は空気の通り道であり、ガス交換は肺胞とそれを取り巻く毛細血管との間で拡散によって行われる。「吸息では外肋間筋がゆるみ、胸郭が下がることで…」も誤りで、胸郭が下がれば胸腔は狭くなるため、空気は流れ込むのではなく押し出される方向に動く。「肺に出入りする空気の量は、気管の太さの変化によって主に調節される」も誤りで、換気量を決めるのは主に呼吸筋による胸腔容積の変化である。
HINT 胸腔が広がるか狭まるかで、空気の出入りの向きが決まる。
- Q18#kj-ph-018
肺循環の経路として、正しいものはどれか。
- 1左心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 右心房
- 2右心房 → 肺静脈 → 肺 → 肺動脈 → 左心室
- 3右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房正解
- 4左心室 → 大動脈 → 全身 → 大静脈 → 右心房
- 5右心室 → 肺静脈 → 肺 → 肺動脈 → 左心房
Answer
正解 3:右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房
肺循環(小循環)は、右心室から肺動脈を通って肺に送られ、肺胞でガス交換を受けたのち肺静脈を通って左心房に戻る経路である。血管の名称は「心臓から出る血管が動脈、心臓に入る血管が静脈」と定められているため、肺動脈には酸素の少ない血液(静脈血)が流れ、肺静脈には酸素の多い血液(動脈血)が流れる点に注意が必要である。「左心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 右心房」は出入りする心室・心房が逆で、「右心房 → 肺静脈 → 肺 → 肺動脈 → 左心室」は血管の名称と流れの向きが逆になっている。「右心室 → 肺静脈 → 肺 → 肺動脈 → 左心房」も、行きと帰りの血管名が入れ替わっている。「左心室 → 大動脈 → 全身 → 大静脈 → 右心房」は経路としては正しいが、これは肺循環ではなく体循環(大循環)である。
HINT 右心室から出て左心房に帰る。名前は「出る=動脈」で決まっており、血液の質では決まらない。
- Q19#kj-ph-019
安静時の心拍数が60拍/分、1回拍出量が70mLの人の心拍出量はおよそいくらか。
- 1約2.1L/分
- 2約4.2L/分正解
- 3約7.0L/分
- 4約8.4L/分
- 5約12.0L/分
Answer
正解 2:約4.2L/分
心拍出量は「1回拍出量 × 心拍数」で求められる。70mL × 60拍/分 = 4,200mL/分 = 約4.2L/分となる。「約2.1L/分」は求めた値の半分で、心拍数を30拍/分として計算した場合の値にあたる。「約7.0L/分」は1回拍出量の70という数字をそのままL/分に読み替えたもので、心拍数を掛けていない。「約8.4L/分」は心拍数を120拍/分としたときの値で、安静時という条件と合わない。「約12.0L/分」は中等度の運動時に相当する水準で、安静時の心拍出量としては大きすぎる。健康な成人の安静時心拍出量は4〜5L/分程度が目安であり、最大運動時にはその数倍に達する。
HINT 1回で送り出す量に、1分間の回数を掛ける。単位をmLからLに直すのを忘れない。
- Q20#kj-ph-020
動的な有酸素性運動で運動強度を段階的に高めていったときの反応として、正しいものはどれか。
- 11回拍出量は運動強度の上昇に伴って最大強度まで直線的に増え続ける
- 2収縮期血圧は強度を上げてもほとんど変わらず、拡張期血圧が大きく上昇する
- 3心拍数は運動強度の上昇にほぼ比例して直線的に増加する正解
- 4換気量は強度が上がるにつれて減少し、呼吸は浅くゆっくりになる
- 5心拍出量は強度が上がるほど減少し、酸素の供給は動静脈酸素較差だけで補われる
Answer
正解 3:心拍数は運動強度の上昇にほぼ比例して直線的に増加する
運動強度を段階的に高めていくと、心拍数は最大強度に近づくまでほぼ直線的に増加する。この関係があるため、心拍数は現場で運動強度を推定する指標として使える。「1回拍出量は運動強度の上昇に伴って最大強度まで直線的に増え続ける」は誤りで、1回拍出量は中等度の強度までは増えるがその後は頭打ちになりやすく、それ以上の心拍出量の増加は主に心拍数の増加によってもたらされる。「収縮期血圧は強度を上げてもほとんど変わらず、拡張期血圧が大きく上昇する」も誤りで、動的な運動では収縮期血圧が強度に応じて上昇し、拡張期血圧はほぼ変わらないかやや低下する。「換気量は強度が上がるにつれて減少し…」も逆で、換気量は1回換気量と呼吸数の増加により大きく増える。「心拍出量は強度が上がるほど減少し…」も誤りで、心拍出量は強度とともに増加する(酸素摂取量は心拍出量と動静脈酸素較差の両方が増えることで高まる)。
HINT 運動強度の目安に心拍数を使えるのは、そこに直線的な関係があるから。
- Q21#kj-ph-021
運動時の血流配分について、適切でないものはどれか。
- 1安静時には、心拍出量の多くが腹部内臓や腎に配分されている
- 2活動している骨格筋への血流配分は、運動によって大きく増える
- 3腹部内臓や腎への血流配分は、運動中も安静時と同じ割合に保たれる正解
- 4皮膚への血流は、体温の調節のために運動中に増えることがある
- 5心筋(冠循環)への血流は、運動時に増加する
Answer
正解 3:腹部内臓や腎への血流配分は、運動中も安静時と同じ割合に保たれる
運動時には、活動している骨格筋の血管が拡張して抵抗が下がる一方、活動していない臓器では血管が収縮して抵抗が上がる。その結果、心拍出量の増加分以上に骨格筋へ血液が振り向けられ、腹部内臓や腎への配分は、中等度以上の強度では割合としても量としても減る。したがって「腹部内臓や腎への血流配分は、運動中も安静時と同じ割合に保たれる」が適切でない。「安静時には、心拍出量の多くが腹部内臓や腎に配分されている」は正しく、だからこそ運動時に大きく振り替える余地がある。「活動している骨格筋への血流配分は、運動によって大きく増える」も正しい。「皮膚への血流は、体温の調節のために運動中に増えることがある」も正しく、運動で上がった体温を逃がすために皮膚血流が増える(このため暑熱下の運動では、筋と皮膚が血流を取り合う形になる)。「心筋(冠循環)への血流は、運動時に増加する」も正しく、心臓自身の仕事量が増えるぶん冠血流も増える。
HINT 運動中に「消化より筋」へ振り替わる。食後すぐの運動が勧められない理由でもある。
- Q22#kj-ph-022
運動開始直後にみられる「酸素借」の説明として、正しいものはどれか。
- 1酸素摂取量が必要量に追いつくまでの間に生じた、酸素の不足分のこと正解
- 2運動が終わったあとに、安静時より多く消費される酸素量のこと
- 3最大運動時に体内へ取り込める酸素量の最大値のこと
- 4呼気に含まれる二酸化炭素量と酸素摂取量の比のこと
- 5安静時代謝量を1として、運動強度が何倍にあたるかを表した値のこと
Answer
正解 1:酸素摂取量が必要量に追いつくまでの間に生じた、酸素の不足分のこと
運動を始めても酸素摂取量はすぐには必要量まで上がらず、追いつくまでに時間がかかる。この立ち上がりの遅れによって生じた酸素の不足分を酸素借(酸素不足)といい、その間のエネルギーは無酸素性の機構(ATP-CP系・解糖系)が埋めている。一方「運動が終わったあとに、安静時より多く消費される酸素量のこと」は酸素負債、現在では運動後過剰酸素消費(EPOC)と呼ばれるものの説明で、酸素借とは別の概念である(かつて両者は等しいと考えられていたが、量は必ずしも一致しないことがわかっている)。「最大運動時に体内へ取り込める酸素量の最大値のこと」は最大酸素摂取量の説明、「呼気に含まれる二酸化炭素量と酸素摂取量の比のこと」は呼吸交換比(RER)の説明で、いずれも酸素借とは異なる。「安静時代謝量を1として、運動強度が何倍にあたるかを表した値のこと」はメッツ(代謝当量)の説明であり、酸素借とは別の概念である。
HINT 「借りる」のが運動の入口、「返す」のが運動の出口。どちらの話かを見分ける。
- Q23#kj-ph-023
最大酸素借が指標として表しているものはどれか。
- 1有酸素性のエネルギー供給能力の最大値
- 2体内に貯蔵しておける酸素の総量
- 3無酸素性のエネルギー供給能力(無酸素性作業能)正解
- 4筋や腱に蓄えられる弾性エネルギーの量
- 51回の呼吸で肺に出入りする空気の量
Answer
正解 3:無酸素性のエネルギー供給能力(無酸素性作業能)
最大酸素借は、最大酸素摂取量を上回る強度(超最大強度)の運動を疲労困憊まで行わせ、その運動に必要と見積もられる酸素需要量から実際に摂取された酸素量を差し引いて累積した値である。差の分だけ無酸素性の機構がエネルギーを供給したことになるため、無酸素性のエネルギー供給能力(無酸素性作業能)の代表的な評価指標として用いられる。「有酸素性のエネルギー供給能力の最大値」は最大酸素摂取量が表すものであり、最大酸素借とは対になる別の指標である。「体内に貯蔵しておける酸素の総量」も誤りで、酸素借は不足分を表す量であって貯蔵量ではない。「筋や腱に蓄えられる弾性エネルギーの量」は伸張‐短縮サイクルに関わる別の話で、酸素の出入りとは関係がない。「1回の呼吸で肺に出入りする空気の量」は1回換気量の説明で、最大酸素借は時間でも換気量でもなく酸素量として表される。
HINT 酸素で説明できない分がどれだけあるか、を測っている。だから測れるのは無酸素性の能力。
- Q24#kj-ph-024
運動強度が無酸素性作業閾値(AT)を超えたときに身体に起こる変化として、正しいものはどれか。
- 1血中乳酸濃度が安静時の水準まで低下し、換気量の増加もゆるやかになる
- 2血中に蓄積した乳酸が緩衝される過程で二酸化炭素が生じ、換気量が不釣り合いに増える正解
- 3酸素摂取量が強度の上昇にかかわらず低下しはじめ、心拍数も下がる
- 4呼吸交換比が低下し、エネルギー源としての脂質の利用割合が高まる
- 5換気量の増加が酸素摂取量の増加に対して遅れ、呼気中の二酸化炭素濃度が下がり続ける
Answer
正解 2:血中に蓄積した乳酸が緩衝される過程で二酸化炭素が生じ、換気量が不釣り合いに増える
無酸素性作業閾値を超える強度では、解糖系の貢献が大きくなって血中乳酸が蓄積しはじめる。この酸を重炭酸イオンが緩衝する過程で二酸化炭素が余分に生じ、その二酸化炭素が呼吸を刺激するため、換気量が酸素摂取量の増加に対して不釣り合いに大きく増える。この換気量の変化を呼気ガス分析でとらえて求めたものが換気性作業閾値(VT)である。「血中乳酸濃度が安静時の水準まで低下し…」は逆で、閾値を超えると乳酸は蓄積する方向に向かう。「酸素摂取量が強度の上昇にかかわらず低下しはじめ、心拍数も下がる」も誤りで、酸素摂取量も心拍数も強度とともに増加を続ける。「呼吸交換比が低下し、エネルギー源としての脂質の利用割合が高まる」も逆で、糖質の利用が進むため呼吸交換比は上昇する。「換気量の増加が酸素摂取量の増加に対して遅れ…」も誤りで、遅れるのではなく先に立って急増するのが閾値を超えたときの特徴である。
HINT 息が急に上がるのはなぜか。増えた酸(乳酸)を処理する過程で出てくる気体を考える。
- Q25#kj-ph-025
最大酸素摂取量を規定する要因について、正しい説明はどれか。
- 1肺容量の大きさが最大の規定要因であり、心臓や骨格筋の要因は二次的である
- 2骨格筋のミトコンドリアの量は関与せず、心臓のポンプ能力によって決まる
- 3安静時心拍数が高いほど、最大酸素摂取量も大きくなる
- 4最大酸素摂取量は、最大心拍出量と最大時の動静脈酸素較差の積として表される正解
- 5体重が重いほど、体重当たりの最大酸素摂取量は大きくなる
Answer
正解 4:最大酸素摂取量は、最大心拍出量と最大時の動静脈酸素較差の積として表される
酸素摂取量は「心拍出量 × 動静脈酸素較差」で表される(フィックの原理)。したがって最大酸素摂取量は、酸素を運ぶ側の能力(最大心拍出量=最大1回拍出量 × 最大心拍数)と、運ばれた酸素を筋が取り出して使う能力(動静脈酸素較差)の両方によって決まる。持久的トレーニングでは、心室容積の拡大による1回拍出量の増加に加えて、骨格筋のミトコンドリアの増加と酸化酵素活性の上昇によって酸素の取り出しが進み、両方の側から最大酸素摂取量が高まる。したがって「骨格筋のミトコンドリアの量は関与せず、心臓のポンプ能力によって決まる」は誤りである。「肺容量の大きさが最大の規定要因であり…」も誤りで、健康な人では肺での酸素の取り込みが制限要因になることは少なく、主な制限要因は心拍出量と筋の酸素利用能力である。「安静時心拍数が高いほど、最大酸素摂取量も大きくなる」は逆の関係で、持久力の高い人は1回拍出量が大きいため安静時心拍数は低い傾向がある。「体重が重いほど、体重当たりの最大酸素摂取量は大きくなる」も誤りで、体重当たりの値は体重で割って求めるため、脂肪などの増加による体重増加では小さくなる。
HINT 「運ぶ力」と「使う力」の掛け算。片方だけでは決まらない。
- Q26#kj-ph-026
持久的なトレーニングを続けている人の血液・体液の変化について、正しい説明はどれか。
- 1赤血球の産生が血漿量の増加を上回るため、ヘマトクリットは検査値として高く出る
- 2循環血漿量が増えるため、ヘモグロビン濃度やヘマトクリットが見かけ上低く出ることがある正解
- 3赤血球の数そのものが減ることで、酸素を運ぶ能力が実際に低下する
- 4血液量は変化せず、赤血球が小さくなることでヘマトクリットが上昇する
- 5発汗で失われる水分は血液からは補われないため、運動中の血漿量は一定に保たれる
Answer
正解 2:循環血漿量が増えるため、ヘモグロビン濃度やヘマトクリットが見かけ上低く出ることがある
持久的なトレーニングを続けると循環血漿量が増加する。この適応は血液量を増やして1回拍出量と体温調節を助ける一方、赤血球やヘモグロビンの増加が追いつかないぶん血液が薄まるため、ヘモグロビン濃度やヘマトクリットが検査値として低く出ることがある。実際の酸素運搬能力が落ちているわけではないため、希釈による見かけの貧血(偽性貧血)と呼ばれ、鉄欠乏による本当の貧血とは区別して考える必要がある。したがって「赤血球の産生が血漿量の増加を上回るため…」は増え方の順序が逆で、先に増えるのは血漿量であり、ヘマトクリットは上昇ではなく低下方向に動く。「赤血球の数そのものが減ることで、酸素を運ぶ能力が実際に低下する」も誤りで、希釈による見かけの低下と実際の減少は別である。「血液量は変化せず、赤血球が小さくなることでヘマトクリットが上昇する」も誤りで、変化するのは主に血漿量であり、赤血球が小さくなるわけではない。「発汗で失われる水分は血液からは補われないため、運動中の血漿量は一定に保たれる」も誤りで、汗のもとは体液であり、発汗が続けば血漿量は減少する。これが運動中の水分補給が必要とされる生理学的な理由である。
HINT 水を足せば濃さは下がる。量が増えたのに「薄い」と出る検査値の読み方。
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