体力トレーニング総論の板書
講義動画で板書した内容を、全文そのまま置いています。動画を見ながら書き写す必要はありません。必要なところだけ読んでください。
この板書の動画を見る
各節の時刻(00:00)を押すと、動画のその場面から再生されます。
第1回「原理と原則—体に起こることと、指導者がやること」
この回は、トレーニングの原理と原則を扱います。過負荷・可逆性・特異性の三原理、全面性から反復性までの五原則、原理と原則の切り分け、テーパリングと長期休止の違い、計画的なオーバーリーチングとオーバートレーニング症候群の境目、適応が成立する条件までを見ます。
数えるのは、この3つ
トレーニングの原理
3つ
トレーニングの原則
5つ
負荷を落とす形
2とおり
- 三原理:過負荷・可逆性・特異性
- 五原則:全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性
- 負荷を落とす2とおり:刺激を残したまま落とすテーパリングと、刺激そのものが切れる完全休止
- 原理と原則の呼び分け、それぞれの数は文献によって異なる。過負荷を原理ではなく原則に置く整理もある。ここでは広く使われている三原理・五原則で扱う
出典
①三原理3節
体に起こることが、3つある
- 過負荷=日常を上回る刺激でなければ適応しない
- 可逆性=刺激をやめれば、得たものは失われていく
- 特異性=使った動作・速度・供給系に対応して適応する
伸びが止まるのは、負荷が日常になったから
- 伸びが止まった=その負荷が本人の日常になった
- 最大でなくてよい。日常を上回っていれば足りる
- 回数の合計だけでは決まらない。強度という軸がある
近い条件でやると、近い形で返る
- 適応は使った動作・速度・供給系の形で返ってくる
- 同じ重さでも、速く挙げる練習とゆっくり挙げる練習は別
- 競技に近ければ負荷は軽くてよいは過負荷を落としている
②五原則2節
指導者がやることが、5つある
- 全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性の5つ
- 全面性=体のあらゆる部位を、偏りなく鍛える
- 意識性=目的と効果を伝えて、狙う部位を意識させる
1つずつ上げる・相手に合わせる・続ける
- 漸進性=重量・回数・セット・頻度のうち、まず1つ上げる
- いちどに2つ以上動かすと、効いた理由が消える
- 個別性=年齢・体力・トレーニング歴・目的に合わせる
- 反復性=効果は続けることで少しずつ積み上がる
③切り分け2節
主語が体なら原理、人なら原則
原理
体に起こること。条件がそろえば誰にでも起こる
原則
指導者がやること。相手を見て選ぶ
三原理に入らないものを、1つ選べるか
- 個別性は原則。三原理には入らない
- 重量を上げた=過負荷/近い条件=特異性/休んで落ちた=可逆性
④落とすか、切るか2節
刺激を残して落とすか、切るか
- テーパリング=負荷を計画的に落とす。刺激は残す
- 完全休止=刺激が切れる。可逆性で戻っていく
- 同じ「量が減る」でも、残すか切るかで結果が逆になる
失われる速さは、要素ごとに違う
- 全身持久力は比較的早い段階から落ち始めるとされる
- 筋力は、同じ期間ではより緩やかにしか落ちない傾向
- 再開はいま出せる力から。前の重量に戻すのではない
- 低下の速さは、休止の長さ・それまでのトレーニング歴・対象によって幅がある。どちらが先に落ちるかを一律に決められるものではない
- 再開時に合わせるのは、休止前の負荷ではなく、いま測れる水準。段階的に戻す
⑤伸ばす山と、壊れる山1節
高負荷のあとに、回復があるか
- オーバーリーチング=高負荷のあとに回復を置く手法
- 回復を置かずに続けるとオーバートレーニング症候群へ
- 境目は負荷の大きさではなく、そのあとに回復があるか
- 不調が長く続く、安静時の心拍・睡眠・食欲・体重の変化が戻らないといったときは、計画の問題として扱うだけでなく、医療職につなぐ
- どのくらいの期間で切り替えるかは、対象と競技によって変わる。期間の数字ではなく、回復を置いたかどうかで見る
- 計画的なオーバーリーチング(機能的オーバーリーチング)とオーバートレーニング症候群のあいだに、非機能的オーバーリーチングを置く整理もある。成績の落ち込みが長引くが、十分な休息をとれば回復する状態を指す
出典
⑥適応の条件2節
刺激・栄養・休養の3つがそろって進む
- 適応は刺激+栄養+休養ではじめて進む
- 寝ていない・食べていない時期の停滞は計画の失敗に見える
- 計画に書くのは練習だけではない。休む日も計画の一部
原則は同じ、当てはめる強さが変わる
- 発育発達期は神経系が伸びる時期。多様な動きと技術を先に
- 経験が浅いほど早く伸び、積むほど伸びは緩やかになる
- 原則は変わらない。当てはめる強さが相手で変わる
この回の要点
- 原理は3つ・原則は5つ。原理=体、原則=指導
- 負荷は1つずつ動かす。2つ動かすと原因が消える
- 量が減っても、刺激が残っていれば保たれる
- 刺激だけでは適応しない。栄養と休養までが計画
第2回「体力の地図と、効果が出る順番」
この回は、体力の分け方と、効果の現れ方の順番を扱います。行動体力と防衛体力、一般的体力と専門的体力、筋力・筋パワー・筋持久力の区別、静的柔軟性と動的柔軟性、敏捷性、全身持久力と筋持久力、%1RMと10RMの意味、等尺性の特徴、神経系から筋肥大へという順序、計画の手順と振り返り方までを見ます。
数えるのは、この3つ
筋力と呼ばれるもの
3つ
体力の大きな分かれ
2とおり
柔軟性
2とおり
- 筋力と呼ばれるもの3つ:筋力(最大の力)・筋パワー(力と速度の積)・筋持久力(発揮を保つ能力)
- 体力の大きな分かれ2とおり:行動体力と防衛体力/一般的体力と専門的体力
- 柔軟性2とおり:静的柔軟性(関節が動きうる範囲)と動的柔軟性(動作の中で使える範囲)
①体力の地図2節
動かす体力と、守る体力
- 行動体力=動作を生み出す働き。測って伸ばせる
- 防衛体力=病気や暑さ寒さから身体を守る働き
- 行動体力は筋力・持久力・柔軟性・敏捷性など、動作を生み出す能力。防衛体力は環境の変化や病原体に対する抵抗力
- 「体力がある」という言葉が、どちらを指しているのかで話が食い違うことがある
一般的体力の上に、専門的体力が乗る
- 一般的体力=どの競技にも要る土台
- 専門的体力=その競技の動きで要る形
- 土台が無いところに専門は積めない。順番がある
②3つに分かれる2節
力の最大・力×速さ・保ち続ける力
- 筋力=発揮できる力の最大
- 筋パワー=力×速度。速く挙げるほど大きくなる
- 筋持久力=力の発揮を保ち続ける能力
重い物を挙げられる人が、速いとは限らない
- パワーは筋力だけで決まらない。速度の側も要る
- 「筋力が上がった」だけでは、どれが上がったか分からない
③柔軟性と敏捷性3節
動く範囲と、使える範囲
- 静的柔軟性=関節が動きうる範囲
- 動的柔軟性=動作の中で実際に使える範囲
- 敏捷性=刺激に反応して身体の位置を素早く変える
全身で続けるか、その筋で続けるか
- 全身持久力=呼吸循環系が支える全身の能力
- 筋持久力=特定の筋群が発揮を保つ能力
- 短く強い動きはATP-CP系・解糖系、長く続く動きは有酸素系が主
- どの供給機構が主に働くかは運動の強度と時間で変わる。機構ごとの詳しい働きと、休息の取り方は運動生理学の領域で扱う
弱い要素が、他の発揮を止めている
- ある要素の不足が、他の要素の発揮を妨げる
- だから先に、どこが弱いかを掴む
④負荷の言葉3節
10RMと%1RMは、別のことを言っている
- 10RM=その重量で反復できる限界が10回である負荷
- %1RM=1回だけ挙げられる最大重量に対する割合
- 筋力が伸びれば同じ割合の重量も変わる。測り直して更新
やった角度の近くで、効きが出る
- 等尺性=関節を動かさずに力を発揮する
- 向上は実施した関節角度の付近に大きく現れる
- 必要な角度が複数あるなら、角度を分けて行う
高強度・低回数の側か、その反対か
- 最大筋力は高強度・低回数の側
- 筋持久力は低強度・高回数の側。筋肥大はその間
- 覚えるのは両端と向き。境目の数値は条件で動く
- 強度と回数の具体的な数値は、対象者・種目・トレーニング歴によって変わる。ここでは目的ごとの向き(高強度・低回数の側か、低強度・高回数の側か)だけを扱っている
⑤効果が出る順番2節
はじめは神経系、あとから筋肥大
- 開始初期の筋力向上は神経系の適応の寄与が大きい
- 筋肥大の寄与が大きくなるのは、あとの期間
- 「太くなっていないのに挙がる」は、おかしくない
原則の当てはめ方は変えない
- 女性の筋力の相対的な向上率は男性と大きく変わらないとされる
- 原則は同じように当てはめ、中身は個別性で調整する
- 向上率は「もとの水準に対する伸び」を指す。絶対値そのものの比較は体格や除脂肪量の差に左右されるため、伸び方を見るときは相対的な向上率で比べる
⑥組み立て2節
測って、決めて、組んで、やって、見直す
- 手順は評価→目標→計画→実施→見直しの5段
- 種目から決めない。何を測ったかから決まる
- 年単位の長期の中に、数週間の中期と、週単位の短期を入れる
測定値と、実施できた量の両方を見る
- 振り返りは測定値の変化と実施できた量の両方
- 同じ重量での反復回数は、最大筋力が高い人が有利
- 筋持久力を比べるなら最大筋力に対する割合をそろえる
- 研究の結果は、目の前の相手に当てはまるかを確かめて使う
この回の要点
- 筋力は力・速さ・保ちの3つに分かれる
- 10RMは重さの言い方、%1RMは最大に対する割合
- はじめの伸びは神経系。太さは、そのあと
- 何を上げたいかが決まらないと、負荷も測り方も決まらない
読んだら、解いて確かめる
聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。
体力トレーニング総論を35問で解くOther subjects
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目の板書(公式テキストの章立て順)。
公式テキストの本文は使っていません。章題とページ数は目次から転記した事実、内容は公的機関の公開資料と教科書水準の一般知識にもとづいています。章ごとの出題数は公表されていません。