運動と栄養の板書
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第9回「競技者の栄養—試合に向けた食事と水分」
この回は、期日のある栄養を扱います。筋グリコーゲンとローディング、試合前の食事、運動中の飲料、終わったあとの補給、たんぱく質の分け方、水分の見方、そしてサプリメントとドーピング規則までを並べます。健康づくりの食事の推奨量は扱いません。
逆算で決めるのか、積み上げで決めるのか
- 期日がある→逆算で決める。残り時間で中身が変わる
- 期日がない→積み上げで決める。毎日の合計が効く
数えるのは、この3つ
逆算して決める段
3段(前日まで・数時間前・運動中)
長時間の飲料に入れる
3つ(水・塩分・糖質)
サプリより先に見る
1つ(普段の食事)
- 逆算して決める3段:前日までの過ごし方(グリコーゲンローディング)/試合の数時間前の食事/運動中の補給
- 長時間の飲料に入れる3つ:水・塩分・糖質
- サプリメントより先に見る1つ:普段の食事の中身
①蓄えの話4節
筋に溜めた分は、その筋が使う
- 筋グリコーゲン=その筋が自分で使う蓄え
- 貯められる量に限りがある。尽きると持久的な成績が落ちる
- 筋グリコーゲンはその筋の収縮に使われ、肝グリコーゲンは分解されて血糖として全身に供給される。筋の蓄えが全身の血糖を支えるわけではない
- 貯蔵量には上限があり、持久的な運動では枯渇がパフォーマンスの低下と結びつく
グリコーゲンローディングは、2つで1つ
- 運動量を落とすと糖質の比率を高めるの両方で貯まる
- 片方だけでは狙った貯まり方にならない。期日があるから組める手
試合前の食事は、残り時間で中身が変わる
- 時間がとれるとき=食べ慣れた糖質中心
- 控えるのは脂質と食物繊維。消化に時間がかかる
- 直前になるほど軽く。当日に新しいものを試さない
前と後で、ねらう上がり方が逆になる
- 前はゆるやかに上がる側/後は速く上がる側、という使い分け
- 前後でそろえる必要はない。場面で選ぶ
②運動中3節
長くなるほど、水だけでは足りなくなる
- 長時間なら水・塩分・糖質の3つを入れる
- 水だけを大量には、時間が長くなるほど危なくなる
入口を分けると、合計で多く取り込める
- ブドウ糖と果糖は、小腸で通る経路が違う
- 一方を増やすより、合計として多く取り込める
早めに、糖質とたんぱく質を一緒に
- 糖質とたんぱく質を組み合わせて、早めに
- 連日練習がある人ほど、次までの間隔が効く
③分け方2節
合計だけでなく、何回に分けたか
- 1日の必要量を数回の食事に分けて摂る
- そのうえでトレーニング後にも入れる
眠っているあいだも、材料は要る
- 就寝前のたんぱく質は無意味ではない
- ねらいは材料を切らさないこと
④測り方1節
運動の前と後で、体重を量る
- 運動の前後の体重差が、失った水分の量
- 減っていたら次までに戻す
- 摂り方は前・中・後に分けて。まとめ飲みにしない
- 目安は運動後の体重減少を2%未満に
- 目安:運動が終わった時点で、体重の減少を2%未満に抑える。多量の発汗によって脱水が体重の2%以上になると、運動能力や競技成績への影響が大きくなるとされる
- この目安が効くのは、暑熱・温暖な環境での持久的な運動。涼しい環境では影響が出にくいという報告もある
- 現場の運び方は、運動の前後の体重差を見て「減らさない」「減ったら次までに戻す」の2つ
- 渇きに任せて自由に飲ませるだけでは、発汗で失った量の3分の2ほどしか戻らないと報告されている。渇く前から、前・中・後に分けて摂る
- 体重だけで決めず、尿の色や渇きの訴えと合わせて見ることが勧められている
出典(2件)
⑤サプリメント5節
食事を確かめるのが先
- 位置づけは食事で足りない分を補うこと
- 効果は断定しない。製品ごとに根拠の強さが違う
- 競技者には表示に無い物質が混ざりうることを伝える
禁止物質ではなく、監視プログラム
- カフェインは禁止物質ではない
- 2026年監視プログラムに含まれ、禁止物質とみなされない
- 禁止表国際基準の2026年版は、S6興奮薬の脚注で「ブプロピオン、カフェイン、ニコチン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピプラドロール、シネフリン:これらの物質は2026年監視プログラムに含まれ、禁止物質とみなさない」としている
- 監視プログラムに掲載される物質は、世界アンチ・ドーピング規程にもとづき、その年の禁止物質ではなく、濫用の傾向を把握するために監視される位置づけとされている
- 禁止表は毎年改訂される。確かめるのは、その年の版であること
- 2027年禁止表国際基準と2027年監視プログラムは2026年9月28日に公表済みで、2027年監視プログラムにもカフェインは含まれている(監視は競技会時のみ)。日本語版は日本アンチ・ドーピング機構が翻訳後に公開予定
出典(2件)
ねらいは中和。ぶっつけ本番にしない
- ねらいは血液の緩衝能を高めること
- 安全ではない。お腹の不調が出ることがある
酸化ストレスは、適応の合図でもある
- 大量摂取は適応をかえって妨げる場合があるとされる
- 酸化ストレス=悪、と決めつけない
減量を続けるための、途中の一手
- 糖質を一時的に高める日を、長い減量の途中にはさむ
- ねらいは続けられること。減量を速める手ではない
この回の要点
- 期日があるかで、同じ糖質の話が入れ替わる
- 長くなるほど中身が増える。水→水・塩分・糖質
- たんぱく質は合計・回数・位置。水分は体重差
- 食べるものを、試合から逆算して置き直す
第10回「体重を動かす—減量・増量と、不足のサイン」
この回は、体重を動かすときの考え方を扱います。どこから手をつけるか、減らすときに何を削るか、階級制の減量と水抜き、増やすときの条件、エネルギー不足と鉄・カルシウム・ビタミンB群・亜鉛の見方、そして一般の対象者への伝え方までを並べます。
同じ3キロでも、中身が違う
- 体重の増減は体脂肪・除脂肪・水分のどれでも起きる
- 見るのは何が、どれくらいの速さで動いたか
数えるのは、この3つ
手をつける順
4段(量→配分→時機→補助食品)
削るならどれから
1つ(脂質)
不足を疑ったら確かめる
3つ(摂取・月経・既往)
- 手をつける4段:一日に摂るエネルギーの量→栄養素の配分→摂る時機→補助食品
- 短期間でエネルギーを大きく削るなら、まず脂質。同じ重さあたりのエネルギーが際立って高いため
- エネルギー不足を疑ったときに確かめる3つ:摂っている量・月経の状況・これまでのけがや病気
①どこから手をつけるか3節
量→配分→時機→補助食品
- 量→配分→時機→補助食品の順に手をつける
- 効き方の大きいところから。土台は一日に摂る量
材料になるもの、運ぶもの、働かせるもの
- たんぱく質=組織の材料。酵素・ホルモン・抗体の材料にもなる
- 水=栄養素と酸素を運び、汗として体温の調節にも関わる
- カルシウム=骨の材料。筋の収縮と神経の情報伝達にも関わる
糖質が足りていると、体を崩さずに済む
- 糖質が足りていれば、体のたんぱく質を崩す働きが小さくなる
- 減量中こそ効く。削る順番を間違えない
②何から削るか3節
短い期間で大きく削るなら、脂質から
- 同じ重さあたりのエネルギーは脂質だけが際立って高い
- 少ない量の変更で、大きくエネルギーを削れる
足りないときほど、必要量は増える方向
- エネルギー制限下では通常より多いたんぱく質が有効とされる
- 食事を減らしても、たんぱく質は一緒に減らさない
急ぐほど、落ちるものが変わる
- 減量のペースは急がない。速いほど除脂肪も一緒に落ちる
- 確かめ方は体重だけで見ない。中身と成績を並べて見る
- 週あたりのペースの目安は、示し方が資料によって違う。ここでは値ではなく、急ぐほど除脂肪が巻き添えになるという向きと、体重以外の確かめ方で扱う
③階級と水抜き1節
計量で落ちた体重は、水
- 急な脱水で落ちるのは一時的な体重。体脂肪ではない
- 計量のあと、速やかな再水分補給と回復が要る
- 水抜きで体脂肪が減るではない。安全な手でもない
④増やす1節
刺激と余剰の、両方がいる
- トレーニング+消費をやや上回るエネルギーの両方
- たんぱく質を足すだけでは増えない。刺激が要る
⑤エネルギー不足5節
見た目が普通でも、足りていないことがある
- 確かめるのは摂っている量・月経の状況・これまでのけがや病気
- 体重や成績が正常に見えても、足りている証明にはならない
- 指導者は判断しない。医師・管理栄養士につなぐ
運動する人は、失う側も増える
- 鉄は失う側が増え、吸収できる側も下がる
- 疲れやすさの訴えは受診につなぐ材料。診断はしない
いちばんの予防は、増やし方のほう
- 急に走行距離を増やさない。増やし方そのものが予防
- カルシウムとビタミンDの確保も、合わせて管理する
食事を減らしても、要る量は減らない
- ビタミンB群の必要量はエネルギー産生量に応じて変わる
- 亜鉛は体内で作れない。不足しやすいミネラル
心配がない、とは言えない
- 注意するのは鉄・亜鉛・ビタミンB12
- やめさせるのではなく、足りない側を一緒に設計する
⑥失われ方で変える2節
体調不良の脱水と、汗の脱水は違う
- 下痢・嘔吐を伴う脱水→濃い経口補水液
- 通常の発汗→スポーツドリンクで足りるとされる
- 失われ方が違えば補うものも変わる。下痢や嘔吐を伴う脱水では、塩分濃度の高い経口補水液が用いられる
- 下痢や嘔吐が続くときは、水分の補い方だけで対応せず、医療機関の受診につなぐ
順番と、液体のエネルギー
- 食後の上がり方を穏やかに→野菜とおかずを先に、主食を後に
- 砂糖入りの飲料は満腹感が伴わないまま積み上がる
この回の要点
- 体重ではなく何が落ちたか。速いほど中身が混ざる
- 手をつける順は量→配分→時機→補助食品
- 増やすのは刺激と余剰の両方。片方では増えない
- 不足のサインは確かめて、つなぐ。判定はしない
読んだら、解いて確かめる
聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。
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