体力トレーニング総論全13問・正解と解説つき
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目 ・ 公式テキスト第1章 ・ 分量 14%
体力の概念と構成要素、トレーニングの基本原理・原則、トレーニング指導者に求められる科学的な考え方。
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- Q01#jg-tg-001
トレーニングの三原理の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1全面性・個別性・意識性
- 2漸進性・反復性・意識性
- 3過負荷(オーバーロード)・漸進性・全面性
- 4過負荷(オーバーロード)・可逆性・特異性正解
Answer
正解 4:過負荷(オーバーロード)・可逆性・特異性
トレーニングの三原理は、日常より大きな刺激を与えなければ適応が起こらない過負荷(オーバーロード)の原理、トレーニングをやめれば得られた効果が失われる可逆性の原理、与えた刺激に応じた適応しか起こらない特異性の原理である。「全面性・個別性・意識性」および「漸進性・反復性・意識性」は、いずれもトレーニングの五原則に含まれる項目であり原理ではない。「過負荷・漸進性・全面性」は原理と原則が混ざっている。五原則は全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性(継続性)である。
HINT 原理は3つ、原則は5つ。原理は「そうならざるをえない仕組み」、原則は「指導するうえでの心得」と捉えると区別しやすい。
- Q02#jg-tg-002
過負荷(オーバーロード)の原理の説明として正しいものはどれか。
- 1負荷は常に最大限まで高めなければ、いかなる適応も起こらない
- 2同じ負荷を長く続けるほど、効果は比例して大きくなり続ける
- 3負荷の大きさよりも実施した回数の総和が、適応の大きさを決める
- 4日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えなければ、体力は向上しない正解
Answer
正解 4:日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えなければ、体力は向上しない
過負荷の原理は、日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えて初めて体力が向上するという考え方である。裏を返せば、体力が高まれば同じ負荷は「日常の刺激」になり、そのままでは向上が止まる。「負荷は常に最大限まで高めなければ、いかなる適応も起こらない」は誤りで、適応に必要なのは日常を上回ることであって最大である必要はなく、常時最大では傷害を招く。「同じ負荷を長く続けるほど、効果は比例して大きくなり続ける」も誤りで、適応が進めばその負荷は過負荷でなくなる。「負荷の大きさよりも実施した回数の総和が、適応の大きさを決める」は、強度という要素を落としている。
HINT 同じメニューで伸びが止まるのは根性の問題ではなく、その負荷が「日常」になったから。原理から説明できる。
- Q03#jg-tg-003
特異性の原理に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1一つの体力要素を高めると、他の体力要素も同じ割合で高まる
- 2用いた動作・速度・エネルギー供給系に対応した適応が起こるため、目的に近い条件で行う正解
- 3どの種目で鍛えても体力は全身に等しく波及するため、種目の選択は問わない
- 4適応は負荷の大きさだけで決まるため、動作の様式は効果に影響しない
Answer
正解 2:用いた動作・速度・エネルギー供給系に対応した適応が起こるため、目的に近い条件で行う
特異性の原理は、トレーニングで用いた動作、収縮の速度、動員されるエネルギー供給系に対応した適応が起こるという考え方である。したがって目的とする場面に近い条件でトレーニングを組むほど、その場面での改善が得られやすい。「どの種目で鍛えても体力は全身に等しく波及する」は特異性の原理を否定している。「適応は負荷の大きさだけで決まるため、動作の様式は効果に影響しない」も同様に誤り。「一つの体力要素を高めると、他の体力要素も同じ割合で高まる」も誤りで、要素ごとに必要な刺激が異なる。
HINT 「速い動きに強くなりたいなら速く動かす」。速度特異性は指導現場でいちばん見落とされやすい。
- Q04#jg-tg-004
可逆性の原理に関する説明として正しいものはどれか。
- 1効果が失われる速さは体力要素によらず一定で、筋力も持久力も同じ経過をたどる
- 2効果が失われるのは中止して1年を過ぎてからであり、数週間では変化しない
- 3トレーニングを中止すると得られた効果は失われ、獲得に要した期間より短い期間で低下しうる正解
- 4トレーニングを中止しても、一度獲得した効果は長期にわたり維持される
Answer
正解 3:トレーニングを中止すると得られた効果は失われ、獲得に要した期間より短い期間で低下しうる
可逆性の原理により、トレーニングを中止すると得られた効果は徐々に失われ、その低下は獲得に要した期間より短い期間で進むことがある。「一度獲得した効果は長期にわたり維持される」は可逆性の原理を否定している。「効果が失われる速さは体力要素によらず一定」も誤りで、一般に全身持久力は筋力より早く低下するなど、要素によって経過が異なる。「効果が失われるのは中止して1年を過ぎてから」も誤りで、数週間の中止でも測定できる低下が生じる。
HINT 「続けられる計画かどうか」が指導の質を決める理由。強度より継続が効く場面は多い。
- Q05#jg-tg-005
トレーニングの五原則の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1過負荷・個別性・意識性・反復性・特異性
- 2全面性・個別性・可逆性・漸進性・反復性
- 3全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性正解
- 4全面性・特異性・意識性・漸進性・可逆性
Answer
正解 3:全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性
トレーニングの五原則は、偏りなく体力を高める全面性、対象者の条件に合わせる個別性、目的を理解して取り組む意識性、負荷を段階的に高める漸進性、継続して繰り返す反復性(継続性)である。他の選択肢はいずれも三原理(過負荷・可逆性・特異性)の項目が混ざっている。原理と原則は取り違えやすいので、原理3つを先に覚えて残りを原則とみなすと整理しやすい。
HINT 原則に「特異性」「可逆性」「過負荷」が混ざっている選択肢は落とせる。まず原理3つを確実に覚える。
- Q06#jg-tg-006
漸進性の原則にしたがった負荷の上げ方として最も適切なものはどれか。
- 1扱う重量、回数、セット数、頻度のうち、まず一つを少しずつ高めていく正解
- 2重量・回数・セット数・頻度を同時に大きく引き上げ、短期間で目標に到達させる
- 3体力が向上しても負荷は変えず、同じ内容を維持する
- 4毎回の負荷を大きく上下させ、身体を慣れさせないようにする
Answer
正解 1:扱う重量、回数、セット数、頻度のうち、まず一つを少しずつ高めていく
漸進性の原則は、適応に応じて負荷を段階的に高めていくという考え方である。実務では、扱う重量・回数・セット数・頻度のうちまず一つを少しずつ動かし、身体の反応を見ながら進めるのが安全である。「同時に大きく引き上げ、短期間で目標に到達させる」は、傷害とオーバートレーニングを招きやすい。「体力が向上しても負荷は変えず、同じ内容を維持する」は過負荷の原理を満たさなくなり、向上が止まる。「毎回の負荷を大きく上下させ、身体を慣れさせない」は、計画的な負荷の変動(ピリオダイゼーション)とは異なり、適応の方向が定まらない。
HINT 一度に複数の条件を動かすと、効いた要因も傷めた要因も分からなくなる。変えるのは1つずつ。
- Q07#jg-tg-007
個別性の原則にしたがった対応として最も適切なものはどれか。
- 1同じ競技の選手であれば、ポジションや役割を問わず同じ内容を用いる
- 2年齢、体力水準、トレーニング歴、目的、傷害の既往を踏まえて内容を調整する正解
- 3集団で行う場合は全員に同一の重量と回数を課し、条件をそろえる
- 4対象者の希望は考慮せず、指導者が最も効果的と考える内容に統一する
Answer
正解 2:年齢、体力水準、トレーニング歴、目的、傷害の既往を踏まえて内容を調整する
個別性の原則は、年齢、性、体力水準、トレーニング歴、目的、傷害の既往といった条件が一人ひとり異なるため、それに合わせて内容を調整するという考え方である。「集団で行う場合は全員に同一の重量と回数を課し、条件をそろえる」は、体力差のある者に過大または過小な負荷を与えることになる。「対象者の希望は考慮せず」は、目的や動機づけを無視することになり継続にも響く。「同じ競技の選手であれば、ポジションや役割を問わず同じ内容を用いる」も誤りで、求められる体力要素は役割によって異なる。
HINT 集団指導でも「同じ種目・違う負荷」は成立する。そろえるのはメニューではなく相対的な強度。
- Q08#jg-tg-008
レジスタンストレーニングの効果が現れる時間的な経過として正しいものはどれか。
- 1開始直後から筋の断面積が増加し、神経系の適応はその後に起こる
- 2神経系の適応と筋の肥大は同時に始まり、同じ速さで進む
- 3筋力の向上はすべて筋の断面積の増加によって説明でき、神経系は関与しない
- 4開始からしばらくは神経系の適応によって筋力が高まり、筋の断面積の増加は遅れて現れる正解
Answer
正解 4:開始からしばらくは神経系の適応によって筋力が高まり、筋の断面積の増加は遅れて現れる
レジスタンストレーニングを始めてからしばらくの筋力向上は、運動単位の動員数の増加、発火頻度の上昇、拮抗筋の不要な共収縮の減少といった神経系の適応が主体で、筋の断面積の増加(筋肥大)は遅れて現れる。「開始直後から筋の断面積が増加し」は順序が逆である。「同時に始まり、同じ速さで進む」も実際の経過と異なる。「筋力の向上はすべて筋の断面積の増加によって説明でき、神経系は関与しない」は、初期の急な筋力向上を説明できない。
HINT 初心者が最初の数週間で急に挙がるのは「筋肉がついた」からではなく「使えるようになった」から。
- Q09#jg-tg-009
筋力・筋パワー・筋持久力の区別として正しいものはどれか。
- 1筋力は力の発揮を続ける能力、筋パワーは発揮できる最大の力、筋持久力は力と速度の積
- 2三つはいずれも最大挙上重量で表され、測定方法が違うだけである
- 3筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは力と速度の積、筋持久力は力の発揮を続ける能力正解
- 4筋力は力と速度の積、筋パワーは発揮できる最大の力、筋持久力は関節の動く範囲
Answer
正解 3:筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは力と速度の積、筋持久力は力の発揮を続ける能力
筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは発揮した力と動作の速度の積、筋持久力は一定の力の発揮を繰り返しまたは持続する能力である。最大筋力が同じでも速く力を出せるかどうかでパワーは変わる。「筋力は力と速度の積、筋パワーは発揮できる最大の力」は両者が入れ替わっている。「筋持久力は関節の動く範囲」は柔軟性の説明である。「三つはいずれも最大挙上重量で表され、測定方法が違うだけ」は誤りで、それぞれ別の測定と指標を要する。
HINT 同じ1RMでも、素早く挙げられるかは別の能力。競技ではパワーのほうが直結することが多い。
- Q10#jg-tg-010
静的柔軟性と動的柔軟性の違いとして正しいものはどれか。
- 1静的柔軟性は筋力の指標であり、動的柔軟性は持久力の指標である
- 2静的柔軟性は関節が動きうる範囲、動的柔軟性は動作の中で実際に使える範囲を指す正解
- 3静的柔軟性は動作の中で使える範囲、動的柔軟性は関節が動きうる範囲を指す
- 4いずれも関節が動きうる範囲を指し、測定する時間帯が違うだけである
Answer
正解 2:静的柔軟性は関節が動きうる範囲、動的柔軟性は動作の中で実際に使える範囲を指す
静的柔軟性は関節が動きうる範囲そのもの(可動域)を指し、長座体前屈のように静止した姿勢で測る。動的柔軟性は動作の中で実際に使える範囲を指し、速度や筋の働きを伴う。可動域は広いのに動作では使えていない、という状態が起こりうるため、両者を分けて捉える意味がある。「静的柔軟性は動作の中で使える範囲」とする記述は両者が入れ替わっている。「測定する時間帯が違うだけ」は、測っている内容の違いを落としている。「筋力の指標」「持久力の指標」はいずれも柔軟性とは別の体力要素である。
HINT 「開脚はできるのにフォームでは使えない」が起こる理由。可動域があることと使えることは別。
- Q11#jg-tg-011
敏捷性(アジリティ)の説明として最も適切なものはどれか。
- 1複数の動作をなめらかにつなぎ、力の入れ方を調節する能力
- 2同じ動作を長時間にわたり繰り返し続ける能力
- 3刺激に反応して身体や身体の一部の位置を素早く正確に変える能力正解
- 4一定の姿勢を保ち、重心の動揺を小さく抑える能力
Answer
正解 3:刺激に反応して身体や身体の一部の位置を素早く正確に変える能力
敏捷性は、刺激に反応して身体や身体の一部の位置を素早く正確に変える能力を指し、方向転換や切り返しの速さとして現れる。「一定の姿勢を保ち、重心の動揺を小さく抑える能力」は平衡性の説明である。「複数の動作をなめらかにつなぎ、力の入れ方を調節する能力」は協応性(調整力)の説明にあたる。「同じ動作を長時間にわたり繰り返し続ける能力」は持久力の説明である。これらはいずれも行動体力の要素だが、測る内容が異なる。
HINT 敏捷性・平衡性・協応性は混同しやすい。「速く変える」「保つ」「つなぐ」で分けると整理できる。
- Q12#jg-tg-012
一般的体力と専門的体力の関係として最も適切なものはどれか。
- 1一般的体力を土台として専門的体力を積み上げるため、導入期ほど一般的体力の比重を大きくする正解
- 2専門的体力を先に高めてから、余力があれば一般的体力を補う
- 3一般的体力と専門的体力は無関係なので、どちらか一方だけを高めればよい
- 4競技者には専門的体力のみが必要で、一般的体力は考慮しなくてよい
Answer
正解 1:一般的体力を土台として専門的体力を積み上げるため、導入期ほど一般的体力の比重を大きくする
一般的体力は競技や種目を問わず必要となる基礎的な体力、専門的体力はその競技や場面に固有の体力を指す。一般的体力を土台として専門的体力を積み上げる関係にあるため、トレーニング歴の浅い者や導入期ほど一般的体力の比重を大きくする。「専門的体力を先に高めてから、余力があれば一般的体力を補う」は順序が逆で、土台が弱いまま専門性を高めると傷害のリスクが上がる。「無関係なので、どちらか一方だけを高めればよい」「競技者には専門的体力のみが必要」も、両者の積み上げの関係を否定している。
HINT 土台が狭いほど積み上げられる高さは低い。オフシーズンに一般的体力へ戻す設計はここから来る。
- Q13#jg-tg-013
トレーニング指導者が科学的根拠を扱う姿勢として最も適切なものはどれか。
- 1研究で示された結果を、対象者の条件や目的に照らして適用できるかを検討したうえで用いる正解
- 2研究で示された結果は条件を問わず当てはまるため、そのまま全員に適用する
- 3自身の指導経験と一致しない研究結果は、採用せずに退ける
- 4研究結果は現場では役に立たないため、経験のみを判断の根拠とする
Answer
正解 1:研究で示された結果を、対象者の条件や目的に照らして適用できるかを検討したうえで用いる
研究は特定の対象・条件のもとで得られた結果であり、目の前の対象者に当てはまるかは別に検討する必要がある。科学的根拠を、対象者の条件・目的・実行可能性に照らして適用できるかを判断したうえで用いるのが指導者の姿勢である。「条件を問わず当てはまるため、そのまま全員に適用する」は、研究の適用範囲を無視している。「自身の指導経験と一致しない研究結果は、採用せずに退ける」は、経験を検証する機会を失わせる。「研究結果は現場では役に立たないため、経験のみを判断の根拠とする」は、根拠に基づく指導という資格の前提を否定している。
HINT 「その研究は誰を対象に、どんな条件で行われたか」を確認する習慣が、根拠の使い方を分ける。
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