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資格のニガテ一問一答
JATI-ATI 一般科目科目模擬試験復習

体力トレーニング総論全35問・正解と解説つき

JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目・ 公式テキスト第1章・ 分量 14%

体力の概念と構成要素、トレーニングの基本原理・原則、トレーニング指導者に求められる科学的な考え方。

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  1. 次のうち、トレーニングの三原理(過負荷・可逆性・特異性)のいずれにも当てはまらない記述はどれか。

    • 1対象者の年齢や経験、目的に応じて、同じ種目でもメニューの内容を調整した正解
    • 2伸び悩んだスクワットの重量を、扱える範囲で段階的に引き上げた
    • 3スプリント選手に、走る動きに近い条件でのトレーニングを組み込んだ
    • 4故障で1か月休んだ選手の筋力が、休む前より明らかに低下していた

    Answer

    正解 1:対象者の年齢や経験、目的に応じて、同じ種目でもメニューの内容を調整した

    「伸び悩んだスクワットの重量を、扱える範囲で段階的に引き上げた」は、日常を上回る負荷を与えなければ適応が起こらないという過負荷の原理にあたる。「スプリント選手に、走る動きに近い条件でのトレーニングを組み込んだ」は、用いた動作に対応した適応が起こるという特異性の原理にあたる。「故障で1か月休んだ選手の筋力が、休む前より明らかに低下していた」は、やめれば効果が失われるという可逆性の原理が表れた例である。これに対して「対象者の年齢や経験、目的に応じて、同じ種目でもメニューの内容を調整した」は個別性にあたり、これはトレーニングの五原則の一つであって、過負荷・可逆性・特異性の三原理には含まれない。三原理は「体に起こる適応の仕組み」を述べたもので、個別性のように対象に合わせて内容を工夫することは、指導上の心得である原則の領域にあたる。

    HINT 3つは体に起こる「仕組み」の話。残る1つだけ、対象に合わせて“工夫する”話になっていないか探す。

  2. 過負荷(オーバーロード)の原理の説明として正しいものはどれか。

    • 1負荷は常に最大限まで高めなければ、いかなる適応も起こらない
    • 2日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えなければ、体力は向上しない正解
    • 3同じ負荷を長く続けるほど、効果は比例して大きくなり続ける
    • 4負荷の大きさよりも実施した回数の総和が、適応の大きさを決める

    Answer

    正解 2:日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えなければ、体力は向上しない

    過負荷の原理は、日常的に受けている刺激を上回る負荷を与えて初めて体力が向上するという考え方である。裏を返せば、体力が高まれば同じ負荷は「日常の刺激」になり、そのままでは向上が止まる。「負荷は常に最大限まで高めなければ、いかなる適応も起こらない」は誤りで、適応に必要なのは日常を上回ることであって最大である必要はなく、常時最大では傷害を招く。「同じ負荷を長く続けるほど、効果は比例して大きくなり続ける」も誤りで、適応が進めばその負荷は過負荷でなくなる。「負荷の大きさよりも実施した回数の総和が、適応の大きさを決める」は、強度という要素を落としている。

    HINT 同じメニューで伸びが止まるのは根性の問題ではなく、その負荷が「日常」になったから。原理から説明できる。

  3. 特異性の原理に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1用いた動作に近い条件ほど適応は小さくなるので、あえて違う動作で鍛える
    • 2適応は用いた動作の形にだけ対応するので、速度や供給系の条件はそろえなくてよい
    • 3用いた動作・速度・エネルギー供給系に対応した適応が起こるため、目的に近い条件で行う正解
    • 4競技に近い動作を選べば、負荷の大きさは日常の水準でも適応が進む

    Answer

    正解 3:用いた動作・速度・エネルギー供給系に対応した適応が起こるため、目的に近い条件で行う

    特異性の原理は、トレーニングで用いた動作、収縮の速度、動員されるエネルギー供給系に対応した適応が起こるという考え方である。したがって目的とする場面に近い条件でトレーニングを組むほど、その場面での改善が得られやすい。「適応は用いた動作の形にだけ対応するので、速度や供給系の条件はそろえなくてよい」は、動作の形だけを挙げて収縮の速度とエネルギー供給系を落としており、特異性の及ぶ範囲を狭めている。「競技に近い動作を選べば、負荷の大きさは日常の水準でも適応が進む」も誤りで、動作をそろえても日常を上回る負荷がなければ適応は起こらない。「用いた動作に近い条件ほど適応は小さくなるので、あえて違う動作で鍛える」も誤りで、向きが逆であり、目的とする場面に近い条件ほど改善が得られやすい。

    HINT 「速い動きに強くなりたいなら速く動かす」。速度特異性は指導現場でいちばん見落とされやすい。

  4. 試合に向けて負荷を計画的に落とす期間(テーパリング)と、故障による長期の完全休止が、体力の維持に及ぼす影響の違いとして正しいものはどれか。

    • 1テーパリングでは練習の強度を落として量を保つので刺激が残る
    • 2テーパリングは量と強度をともに落とすため、試合までの期間が長いほど効果が大きい
    • 3完全休止でも、獲得にかけた期間と同じかそれ以上の期間は効果が保たれるとされる
    • 4刺激を保つテーパリングとは異なり、完全休止では可逆性により効果が保たれない正解

    Answer

    正解 4:刺激を保つテーパリングとは異なり、完全休止では可逆性により効果が保たれない

    テーパリングは試合に向けて負荷(主に量)を落としつつ、強度や頻度は保つ調整であり、刺激そのものは保たれるため体力は維持されやすい。一方、故障などによる完全休止では刺激そのものが途絶え、可逆性の原理により獲得した効果は保たれず徐々に失われていき、その低下は獲得に要した期間より短い期間で進むことがある。「テーパリングでは練習の強度を落として量を保つので刺激が残る」は落とす側が逆で、テーパリングでは量を落としつつ強度と頻度を保つ。「テーパリングは量と強度をともに落とすため、試合までの期間が長いほど効果が大きい」も誤りで、強度まで落とすと刺激が途絶えて完全休止に近づくため、落とすのは量にとどめる。「完全休止でも、獲得にかけた期間と同じかそれ以上の期間は効果が保たれるとされる」も誤りで、可逆性による低下は獲得に要した期間より短い期間で進みうる。

    HINT 「負荷を計画的に落とす」のと「刺激が途絶える」のは別物。テーパー期の選手が試合で好調なのはこのため。

  5. トレーニングの五原則の組み合わせとして正しいものはどれか。

    • 1日常を上回る負荷を与える過負荷・対象に合わせる個別性・目的を理解して行う意識性・継続して取り組む反復性・用いた動作に応じた適応が起こる特異性
    • 2偏りなく鍛える全面性・対象に合わせる個別性・目的を理解して行う意識性・段階的に負荷を高める漸進性・継続して取り組む反復性正解
    • 3偏りなく鍛える全面性・対象に合わせる個別性・中止すれば効果が失われる可逆性・段階的に負荷を高める漸進性・継続して取り組む反復性
    • 4偏りなく鍛える全面性・用いた動作に応じた適応が起こる特異性・目的を理解して行う意識性・段階的に負荷を高める漸進性・中止すれば効果が失われる可逆性

    Answer

    正解 2:偏りなく鍛える全面性・対象に合わせる個別性・目的を理解して行う意識性・段階的に負荷を高める漸進性・継続して取り組む反復性

    全面性・個別性・意識性・漸進性・反復性の五つがトレーニングの五原則である。「日常を上回る負荷を与える過負荷」「中止すれば効果が失われる可逆性」「用いた動作に応じた適応が起こる特異性」は、いずれも五原則ではなく三原理に含まれる項目であり、原則と原理が混ざっている選択肢はこの時点で外れる。原理と原則を取り違えないためには、まず三原理(過負荷・可逆性・特異性)を先に覚え、そこに含まれない残り五つを原則とみなすと整理しやすい。

    HINT 四つの選択肢はどれも五語の説明が並ぶ。「過負荷」「可逆性」「特異性」という原理の説明が混ざっていない一つを探す。

  6. 漸進性の原則にしたがった負荷の上げ方として最も適切なものはどれか。

    • 1重量・回数・セット数・頻度を同時に大きく引き上げ、短期間で目標に到達させる
    • 2扱う重量、回数、セット数、頻度のうち、まず一つを少しずつ高めていく正解
    • 3まず頻度を毎日まで引き上げ、慣れてから重量を動かす
    • 4毎回の負荷を大きく上下させ、身体を慣れさせないようにする

    Answer

    正解 2:扱う重量、回数、セット数、頻度のうち、まず一つを少しずつ高めていく

    漸進性の原則は、適応に応じて負荷を段階的に高めていくという考え方である。実務では、扱う重量・回数・セット数・頻度のうちまず一つを少しずつ動かし、身体の反応を見ながら進めるのが安全である。「同時に大きく引き上げ、短期間で目標に到達させる」は、傷害とオーバートレーニングを招きやすい。「まず頻度を毎日まで引き上げ、慣れてから重量を動かす」は、少しずつという段階を踏まずに一つの条件だけを限界まで動かしており、回復の時間が足りなくなる。「毎回の負荷を大きく上下させ、身体を慣れさせない」は、計画的な負荷の変動(ピリオダイゼーション)とは異なり、適応の方向が定まらない。

    HINT 一度に複数の条件を動かすと、効いた要因も傷めた要因も分からなくなる。変えるのは1つずつ。

  7. 個別性の原則にしたがった対応として最も適切なものはどれか。

    • 1同じ競技の選手であれば、ポジションや役割を問わず同じ内容を用いる
    • 2集団で行う場合は全員に同一の重量と回数を課し、条件をそろえる
    • 3対象者の希望よりも、指導者が最も効果的と考える内容を優先して統一する
    • 4一律にせず、年齢や体力、トレーニング歴、目的に合わせて調整する正解

    Answer

    正解 4:一律にせず、年齢や体力、トレーニング歴、目的に合わせて調整する

    個別性の原則は、年齢、性、体力水準、トレーニング歴、目的、傷害の既往といった条件が一人ひとり異なるため、それを無視せず一人ひとりに応じて内容を調整するという考え方である。「集団で行う場合は全員に同一の重量と回数を課し、条件をそろえる」は、体力差のある者に過大または過小な負荷を与えることになる。「対象者の希望よりも、指導者が最も効果的と考える内容を優先して統一する」は、目的や動機づけを無視することになり継続にも響く。「同じ競技の選手であれば、ポジションや役割を問わず同じ内容を用いる」も誤りで、求められる体力要素は役割によって異なる。

    HINT 集団指導でも「同じ種目・違う負荷」は成立する。そろえるのはメニューではなく相対的な強度。

  8. 計画的なオーバーリーチング(意図的な高負荷期)とオーバートレーニング症候群の違いとして正しいものはどれか。

    • 1オーバーリーチングは高負荷後に回復を置いて力を高める手法で、伴わなければ症候群になる正解
    • 2オーバーリーチングは回復を必要としないため、高負荷を休みなく継続するほど効果が高まる
    • 3オーバートレーニング症候群になれば、休養によって数日でスーパーコンペンセーションが得られる
    • 4オーバーリーチングは症候群の初期の段階を指す呼び方であり、回復を置くかどうかは関わらない

    Answer

    正解 1:オーバーリーチングは高負荷後に回復を置いて力を高める手法で、伴わなければ症候群になる

    計画的なオーバーリーチングは、短期間の高負荷のあとに十分な回復を置くことで、通常より高い水準まで能力を引き上げる(スーパーコンペンセーション)ことをねらった意図的な手法である。回復が計画どおりに伴わず高負荷が慢性化すると、パフォーマンスの低下が長期化するオーバートレーニング症候群に至る。「オーバーリーチングは回復を必要としないため、高負荷を休みなく継続するほど効果が高まる」は誤りで、回復を置かなければ狙った適応は得られず、症候群のリスクが高まる。「オーバートレーニング症候群になれば、休養によって数日でスーパーコンペンセーションが得られる」も誤りで、症候群からの回復には数週間から数か月を要するとされる。「オーバーリーチングは症候群の初期の段階を指す呼び方であり、回復を置くかどうかは関わらない」も誤りで、回復を置いて能力を引き上げる手法と、回復が伴わないまま高負荷が慢性化して生じる症候群は別のものである。

    HINT 「高負荷のあと、回復を置いたか」が分かれ目。計画通りの一時的な落ち込みと、回復が追いつかない慢性化を区別する。

  9. 筋力・筋パワー・筋持久力の区別として正しいものはどれか。

    • 1筋力は力の発揮を続ける能力、筋パワーは発揮できる最大の力、筋持久力は力と速度の積
    • 2筋パワーは発揮できる最大の力を速度で割った値であり、速いほど小さくなる
    • 3筋力は力と速度の積、筋パワーは発揮できる最大の力、筋持久力は関節の動く範囲
    • 4筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは力と速度の積、筋持久力は力の発揮を保つ能力正解

    Answer

    正解 4:筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは力と速度の積、筋持久力は力の発揮を保つ能力

    筋力は発揮できる最大の力、筋パワーは発揮した力と動作の速度の積、筋持久力は一定の力の発揮を繰り返しまたは持続する能力である。最大筋力が同じでも速く力を出せるかどうかでパワーは変わる。「筋力は力と速度の積、筋パワーは発揮できる最大の力」は両者が入れ替わっている。「筋持久力は関節の動く範囲」は柔軟性の説明である。「筋パワーは発揮できる最大の力を速度で割った値であり、速いほど小さくなる」は誤りで、パワーは力と速度の積であり、速く力を出せるほど大きくなる。

    HINT 同じ1RMでも、素早く挙げられるかは別の能力。競技ではパワーのほうが直結することが多い。

  10. 静的柔軟性と動的柔軟性の違いとして正しいものはどれか。

    • 1静的柔軟性は筋力の指標、動的柔軟性は持久力の指標
    • 2静的柔軟性は関節が動きうる範囲、動的柔軟性は動作の中で使える範囲正解
    • 3静的柔軟性は動作の中で使える範囲、動的柔軟性は関節が動きうる範囲を指す
    • 4静的柔軟性は反動をつけて測り、動的柔軟性は静止して測る範囲を指す

    Answer

    正解 2:静的柔軟性は関節が動きうる範囲、動的柔軟性は動作の中で使える範囲

    静的柔軟性は関節が動きうる範囲そのもの(可動域)を指し、長座体前屈のように静止した姿勢で測る。動的柔軟性は動作の中で実際に使える範囲を指し、速度や筋の働きを伴う。可動域は広いのに動作では使えていない、という状態が起こりうるため、両者を分けて捉える意味がある。「静的柔軟性は動作の中で使える範囲」とする記述は両者が入れ替わっている。「静的柔軟性は反動をつけて測り、動的柔軟性は静止して測る範囲を指す」は測り方が入れ替わっており、静的柔軟性は静止した姿勢で測り、動的柔軟性は動作の中で使える範囲を指す。「筋力の指標」「持久力の指標」はいずれも柔軟性とは別の体力要素である。

    HINT 「開脚はできるのにフォームでは使えない」が起こる理由。可動域があることと使えることは別。

  11. 敏捷性(アジリティ)の説明として最も適切なものはどれか。

    • 1複数の動作をなめらかにつなぎ、力の入れ方を調節する能力
    • 2同じ動作を長時間にわたり繰り返し続ける能力
    • 3刺激に反応して身体の位置を素早く変える能力正解
    • 4一定の姿勢を保ち、重心の動揺を小さく抑える能力

    Answer

    正解 3:刺激に反応して身体の位置を素早く変える能力

    敏捷性は、刺激に反応して身体や身体の一部の位置を素早く正確に変える能力を指し、方向転換や切り返しの速さとして現れる。「一定の姿勢を保ち、重心の動揺を小さく抑える能力」は平衡性の説明である。「複数の動作をなめらかにつなぎ、力の入れ方を調節する能力」は協応性(調整力)の説明にあたる。「同じ動作を長時間にわたり繰り返し続ける能力」は持久力の説明である。これらはいずれも行動体力の要素だが、測る内容が異なる。

    HINT 敏捷性・平衡性・協応性は混同しやすい。「速く変える」「保つ」「つなぐ」で分けると整理できる。

  12. 一般的体力と専門的体力の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1専門的体力を先に高めてから、余力があれば一般的体力を補う
    • 2一般的体力なしに専門的体力は積み上げられない正解
    • 3専門的体力が高まれば一般的体力も自然に引き上げられる
    • 4競技者には専門的体力のみが必要で、一般的体力より重点的に高めるべきである

    Answer

    正解 2:一般的体力なしに専門的体力は積み上げられない

    一般的体力は競技や種目を問わず必要となる基礎的な体力、専門的体力はその競技や場面に固有の体力を指す。一般的体力という土台なしに専門的体力を積み上げることはできない関係にあるため、トレーニング歴の浅い者や導入期ほど一般的体力の比重を大きくする。「専門的体力を先に高めてから、余力があれば一般的体力を補う」は順序が逆で、土台が弱いまま専門性を高めると傷害のリスクが上がる。「専門的体力が高まれば一般的体力も自然に引き上げられる」は向きが逆で、一般的体力という土台の上に専門的体力が積み上がる。「競技者には専門的体力のみが必要で、一般的体力より重点的に高めるべきである」も、両者の積み上げの関係を否定している。

    HINT 土台が狭いほど積み上げられる高さは低い。オフシーズンに一般的体力へ戻す設計はここから来る。

  13. トレーニング指導者が科学的根拠を扱う姿勢として最も適切なものはどれか。

    • 1商品の広告に引用された研究結果は、出典をたどらなくても根拠として使える
    • 2自身の指導経験と一致しない研究結果は、採用せずに退ける
    • 3研究の結果を、対象者に適用できるか検討して用いる正解
    • 4研究で示された平均の値を、対象者一人ひとりの到達目標として当てる

    Answer

    正解 3:研究の結果を、対象者に適用できるか検討して用いる

    研究は特定の対象・条件のもとで得られた結果であり、目の前の対象者に当てはまるかは別に検討する必要がある。科学的根拠を、対象者の条件・目的・実行可能性に照らして適用できるかを判断したうえで用いるのが指導者の姿勢である。「商品の広告に引用された研究結果は、出典をたどらなくても根拠として使える」は、誰を対象にどんな条件で行われた研究かを確かめる手だてを手放しており、都合のよい部分だけが切り取られていても気づけない。「自身の指導経験と一致しない研究結果は、採用せずに退ける」は、経験を検証する機会を失わせる。「研究で示された平均の値を、対象者一人ひとりの到達目標として当てる」は、集団の平均をそのまま個人の目標に置き換えており、当てはまるかどうかの検討を飛ばしている。

    HINT 「その研究は誰を対象に、どんな条件で行われたか」を確認する習慣が、根拠の使い方を分ける。

  14. トレーニングを中断した場合の体力低下(可逆性)に関する説明として正しいものはどれか。

    • 1低下の速さは体力要素よりも年齢で決まり、若い者ほど早く失われる傾向がある
    • 2筋力はトレーニングを中断した数日のうちに、獲得前の水準まで一気に戻ってしまう
    • 3中断しても日常生活で身体を動かしていれば、どの体力要素も獲得したときの状態から落ちることはない
    • 4全身持久力は比較的早い段階から低下し始めるが、筋力は同じ期間ではより緩やかにしか低下しない傾向がある正解

    Answer

    正解 4:全身持久力は比較的早い段階から低下し始めるが、筋力は同じ期間ではより緩やかにしか低下しない傾向がある

    可逆性の原理による体力の低下は、体力要素によって速さが異なる。全身持久力は毎日の生活の中で使われる場面が少なくなるとすぐに影響が出やすく、比較的早い時期から低下が始まる。一方、筋力は神経系の適応や筋の構造的な変化が関わるため、同じ中断期間でも全身持久力ほど急には失われにくい。「低下の速さは体力要素よりも年齢で決まり、若い者ほど早く失われる傾向がある」は誤りで、低下の速さを分けるのは主に体力要素の違いである。「数日のうちに、獲得前の水準まで一気に戻ってしまう」も誤りで、筋力の低下はそれほど急激には進まない。「中断しても日常生活で身体を動かしていれば、どの体力要素も獲得したときの状態から落ちることはない」も誤りで、日常の活動はトレーニングで得たところを保つだけの刺激には届かず、可逆性の原理はどの体力要素にも働く。

    HINT 止めたら「みんな同じ速さで落ちる」わけではない。持久力と筋力、どちらが早く鈍るかを考える。

  15. トレーニングの五原則のうち、全面性の原則の説明として最も適切なものはどれか。

    • 1目的や意味を理解したうえで、意識を集中させてトレーニングに取り組む
    • 2対象者の年齢や体力、トレーニング歴に応じて内容を調整する
    • 3扱う重量や回数を、身体の適応に合わせて少しずつ段階的に高めていく
    • 4身体のあらゆる部位を、バランスよく鍛える正解

    Answer

    正解 4:身体のあらゆる部位を、バランスよく鍛える

    全面性の原則は、特定の体力要素や筋群だけに偏らず、身体全体をバランスよく鍛えるという考え方である。一部だけを強化すると、鍛えていない部位が弱点として残り、動作のバランスが崩れて傷害につながりやすくなる。「対象者の年齢や体力、トレーニング歴に応じて内容を調整する」は個別性の原則の説明である。「重量や回数を、身体の適応に合わせて少しずつ段階的に高めていく」は漸進性の原則の説明である。「目的や意味を理解したうえで、意識を集中させてトレーニングに取り組む」は意識性の原則の説明である。

    HINT 「バランスよく」がキーワード。他の3つはそれぞれ別の原則の説明になっている。

  16. 意識性の原則にしたがった指導として最も適切なものはどれか。

    • 1対象者には細かい説明をせず、指示された動作をそのまま繰り返させる
    • 2扱う重量を対象者の適応段階に合わせて少しずつ引き上げていく
    • 3対象者に種目の目的や効果を説明し、狙っている部位を意識させて行わせる正解
    • 4身体の一部だけでなく、全身の体力要素を偏りなく鍛える種目を組み合わせる

    Answer

    正解 3:対象者に種目の目的や効果を説明し、狙っている部位を意識させて行わせる

    意識性の原則は、対象者がトレーニングの目的や効果を理解し、狙っている部位や動きを意識して取り組むことで効果が高まるという考え方である。同じ動作でも、何のために行っているかを理解しているかどうかで、動員される筋や動作の質が変わりうる。「細かい説明をせず、指示された動作をそのまま繰り返させる」は意識性の原則に反する対応である。「扱う重量を対象者の適応段階に合わせて少しずつ引き上げていく」は漸進性の原則の説明である。「全身の体力要素を偏りなく鍛える種目を組み合わせる」は全面性の原則の説明である。

    HINT 「分かって行うか、言われるままに行うか」の違い。同じ種目でも効き方が変わるとされる理由。

  17. 反復性(継続性)の原則に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1対象者の体力に応じて、種目や負荷の内容を細かく調整する
    • 2一度の高強度なセッションで、複数回に分けて行うのと同等の効果が得られる
    • 3日常生活で受けている刺激を上回る負荷を与えて、体力の向上を促す
    • 4トレーニングの効果は継続して取り組むことで少しずつ積み上がる正解

    Answer

    正解 4:トレーニングの効果は継続して取り組むことで少しずつ積み上がる

    反復性(継続性)の原則は、トレーニングの効果は一度きりではなく繰り返し継続することで積み上がっていくものであり、間隔を空けすぎた断続的な実施では十分な効果が得られにくいという考え方である。「一度の高強度なセッションで、複数回に分けて行うのと同等の効果が得られる」は誤りで、継続して積み重ねる過程を否定している。「対象者の体力に応じて、種目や負荷の内容を細かく調整する」は個別性の原則の説明である。「日常生活で受けている刺激を上回る負荷を与えて、体力の向上を促す」は過負荷の原理の説明であり、原則ではなく原理に含まれる項目である。

    HINT 週1回を数か月続けるのと、月1回を数年続けるのとでは積み上がり方が違う。

  18. 体力の分類における行動体力と防衛体力の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1防衛体力は加齢とともに高まり、行動体力は加齢とともに低下するとされる
    • 2防衛体力は病気や環境から身体を守り、行動体力は動作を生み出す働きを指す正解
    • 3行動体力は身体を病気や環境から守る働きを、防衛体力は筋力や持久力など動作を生み出す働きを指す
    • 4防衛体力は暑さや寒さへの抵抗を指し、病気への抵抗は行動体力に含まれる

    Answer

    正解 2:防衛体力は病気や環境から身体を守り、行動体力は動作を生み出す働きを指す

    体力は大きく、身体を病気や環境の変化から守る防衛体力と、筋力・持久力・柔軟性など実際の動作を生み出す行動体力に分けて捉えられる。競技者の指導では行動体力が主な対象になるが、防衛体力(免疫力や体温調節など)が低下していれば十分なトレーニングの継続自体が難しくなるため、両者は無関係ではない。「行動体力は身体を病気や環境から守る働き」は両者の説明が入れ替わっている。「防衛体力は暑さや寒さへの抵抗を指し、病気への抵抗は行動体力に含まれる」は区分が誤りで、病気への抵抗も環境の変化への抵抗とともに防衛体力に含まれる。「防衛体力は加齢とともに高まり、行動体力は加齢とともに低下するとされる」も誤りで、防衛体力も加齢とともに低下しやすく、加齢によって高まる方向には向かわない。

    HINT 「守る力」と「動く力」。両方そろって初めて継続的なトレーニングが成り立つ。

  19. レジスタンストレーニングを開始してからの効果の現れ方に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1開始初期の筋力向上は筋肥大による寄与が大きく、神経系の適応は数か月遅れて始まる
    • 2筋力の向上はすべての期間を通じて筋肥大のみによって生じ、神経系の関与はほとんどない
    • 3開始初期に見られる筋力の向上は、筋の断面積が数日で増えることで説明される
    • 4開始初期の筋力向上は神経系の適応による寄与が大きく、筋肥大による寄与は後の期間で大きくなっていく正解

    Answer

    正解 4:開始初期の筋力向上は神経系の適応による寄与が大きく、筋肥大による寄与は後の期間で大きくなっていく

    レジスタンストレーニングを開始した初期の筋力向上は、運動単位の動員数や発火頻度の変化といった神経系の適応による寄与が大きく、目に見える筋肥大はまだ十分に進んでいない段階が多い。継続するにつれて筋の断面積そのものが増える筋肥大の寄与が大きくなっていく。「開始初期の筋力向上は筋肥大による寄与が大きく、神経系の適応は数か月遅れて始まる」は順序が逆である。「筋力の向上はすべての期間を通じて筋肥大のみによって生じ、神経系の関与はほとんどない」も誤りで、特に開始直後は神経系の寄与が大きい。「開始初期に見られる筋力の向上は、筋の断面積が数日で増えることで説明される」も誤りで、断面積が目に見えて増えるには数週間以上を要し、開始初期の向上は神経系の適応による。

    HINT 始めたばかりで急に力が強くなるのは、筋肉が大きくなったからとは限らない。神経の使い方が先に変わる。

  20. 最大筋力とパワー発揮の関係に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1パワーの大きさは、筋力だけでは決まらない正解
    • 2パワーは最大筋力の測定値を動作時間で割って求めるので、筋力から直接決まる
    • 3パワーは力と速度の積なので、最大筋力が同じ2人のパワーは等しくなる
    • 4最大筋力が低い者ほど、パワー発揮においては有利になる

    Answer

    正解 1:パワーの大きさは、筋力だけでは決まらない

    パワーは発揮した力と動作の速度の積で表されるため、最大筋力が高いことはパワー発揮の土台になるが、同じ力を出すのにどれだけ速く動けるかという要素も関わり、筋力の大きさだけでパワーが決まるわけではない。「パワーは最大筋力の測定値を動作時間で割って求めるので、筋力から直接決まる」は誤りで、パワーは発揮した力と動作の速度の積であり、最大筋力の値から割り出せるものではない。「パワーは力と速度の積なので、最大筋力が同じ2人のパワーは等しくなる」も誤りで、同じ力を出すのにどれだけ速く動けるかは人によって違うため、最大筋力が同じでもパワーには差が出る。「最大筋力が低い者ほど、パワー発揮においては有利になる」も誤りで、筋力の乏しさがパワーを高めることはない。

    HINT 同じ重さを持ち上げても、速く挙げられる人と挙げられない人がいる。力だけでは説明できない差。

  21. 発育発達期にある競技者へのトレーニング指導における原則の適用として最も適切なものはどれか。

    • 1神経系の発達が著しい時期であることを踏まえ、この時期には多様な動きの経験や技術の習得を重視する正解
    • 2身体が未成熟な時期ほど高強度の負荷を優先して与え、早期から専門的な種目に絞り込む
    • 3体力要素の伸びやすい時期は要素ごとに違うため、神経系よりも筋力の向上を先に置く
    • 4この時期は暦の年齢をそろえれば成熟の度合いもそろうので、学年ごとに同じ内容を与える

    Answer

    正解 1:神経系の発達が著しい時期であることを踏まえ、この時期には多様な動きの経験や技術の習得を重視する

    発育発達期は体力要素ごとに伸びやすい時期(トレーナビリティが高い時期)が異なり、特に神経系の発達が著しい時期には、多様な動きの経験や技術の習得を重視した内容が効果的とされる。「体力要素の伸びやすい時期は要素ごとに違うため、神経系よりも筋力の向上を先に置く」は、伸びやすい時期が要素ごとに違うという前半は正しいが、神経系の発達が著しい時期に筋力の向上を先に置く点で順序を取り違えている。「身体が未成熟な時期ほど高強度の負荷を優先して与え、早期から専門的な種目に絞り込む」も誤りで、未成熟な段階での過度な専門化や高強度の負荷は傷害や燃え尽きのリスクを高める。「この時期は暦の年齢をそろえれば成熟の度合いもそろうので、学年ごとに同じ内容を与える」も誤りで、同じ年齢でも成熟の度合いの差は大きく、個別性の重要性が高い。

    HINT 「何を鍛えても伸びやすい時期」は年齢とともに移り変わる。専門特化を急がない理由がここにある。

  22. トレーニング計画を立てるうえでの期間区分の基本的な考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1計画は年間の長期と週単位の短期で足り、数週間単位の中期は長期に含める
    • 2年間計画を一度立てたら、期間の途中も当初の内容のまま貫き通す
    • 3週単位の短期計画を先に固め、それを積み上げた結果として年間の計画が定まるとする
    • 4年間の長期計画の中に、数週間単位の中期計画と週単位の短期計画を組み込んで考える正解

    Answer

    正解 4:年間の長期計画の中に、数週間単位の中期計画と週単位の短期計画を組み込んで考える

    トレーニング計画は、年間などの長期的な見通しであるマクロサイクルの中に、数週間単位のまとまりであるメゾサイクル、さらに週単位の具体的な内容であるミクロサイクルを段階的に組み込んで考えるのが基本である。長期の目標から逆算して中期・短期の内容を組み立てることで、試合期や重要な時期に向けて計画的に体力を仕上げやすくなる。「計画は年間の長期と週単位の短期で足り、数週間単位の中期は長期に含める」は誤りで、数週間単位のまとまりを独立に置くからこそ、試合期へ向けた仕上げを段階的に組める。「期間の途中も当初の内容のまま貫き通す」も誤りで、経過や反応を見ながら修正することが前提になる。「週単位の短期計画を先に固め、それを積み上げた結果として年間の計画が定まるとする」も誤りで、順序が逆であり、長期の目標から逆算して中期・短期の内容を組み立てる。

    HINT 1年の計画がまずあり、そこから数週間、さらに1週間へと絞り込んでいく順番で考える。

  23. トレーニング経験の浅い者と経験を積んだ者とで、漸進性の原則の現れ方に見られる違いとして最も適切なものはどれか。

    • 1経験が浅いほど早く伸び、経験を積むほど伸びは緩やかになる正解
    • 2経験を積むほど負荷を上げる幅を大きくとる必要があるため、伸びは加速する
    • 3経験の浅い者は伸びが速いので、負荷を上げる間隔を経験者より長く取る
    • 4経験を積んだ者ほど、経験の浅い者より短期間で大きな体力の向上を得やすい

    Answer

    正解 1:経験が浅いほど早く伸び、経験を積むほど伸びは緩やかになる

    トレーニング経験の浅い者は、体力の水準に対して負荷が相対的に大きい状態から始まるため、比較的短期間でも体力の向上がみられやすい。一方、経験を積んで体力が高い水準に達した者は、それ以上の向上を得るために必要な期間が長くなりやすく、同じ漸進のペースを当てはめると停滞や傷害を招きやすい。「経験の浅い者は伸びが速いので、負荷を上げる間隔を経験者より長く取る」は誤りで、伸びが速い段階ではむしろ短い間隔で負荷を見直すことになる。「経験を積んだ者ほど、経験の浅い者より短期間で大きな体力の向上を得やすい」は関係が逆である。「経験を積むほど負荷を上げる幅を大きくとる必要があるため、伸びは加速する」も誤りで、経験を積むほど同じ向上に要する期間は長くなり、伸びはむしろ緩やかになる。

    HINT 初心者ほど伸びやすく、上級者ほど伸びにくくなる。同じペースの負荷設定では通用しない理由。

  24. ATP-CP系・解糖系・有酸素系というエネルギー供給機構とトレーニングの特異性の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1有酸素系は瞬発的な高強度の運動でのみ働き、持久的な運動では働かない
    • 2短時間高強度ではATP-CP系や解糖系が、長時間低強度では有酸素系が主に働く正解
    • 33つの供給機構は運動の開始から順に切り替わり、前の機構が止まってから次の機構が働き始める
    • 4ATP-CP系は数十分にわたる持久的な運動を通じて主に働くエネルギー供給機構である

    Answer

    正解 2:短時間高強度ではATP-CP系や解糖系が、長時間低強度では有酸素系が主に働く

    運動の強度と継続時間によって主に働くエネルギー供給機構は異なり、短時間高強度の種目ではATP-CP系や解糖系の寄与が大きく、長時間低強度の種目では有酸素系の寄与が大きくなる。特異性の原理にしたがえば、鍛えたいエネルギー供給機構に対応した強度と継続時間で負荷を設定する必要がある。「3つの供給機構は運動の開始から順に切り替わり、前の機構が止まってから次の機構が働き始める」は誤りで、3つの機構は同時に働きながら寄与の割合が移っていく。「有酸素系は瞬発的な高強度の運動でのみ働き、持久的な運動では働かない」は逆の内容である。「ATP-CP系は数十分にわたる持久的な運動を通じて主に働く」も誤りで、ATP-CP系は数秒程度の非常に短い高強度の運動で主に使われる。

    HINT 100m走とマラソンでは、体の中で主に使われているエネルギーの経路が違う。目的の種目に合わせて負荷を組む。

  25. トレーニングの目的に応じた強度設定の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1どのような目的であっても、常に最大挙上重量に近い高強度・低回数で行うことが最も効果的である
    • 2最大筋力には中強度・中回数、筋肥大には低強度・高回数、筋持久力には高強度を用いる
    • 3筋持久力を高めるためには、最大挙上重量に近い高強度・低回数を用いるのが最も適している
    • 4最大筋力には高強度・低回数、筋肥大には中強度・中回数、筋持久力には低強度・高回数を用いる正解

    Answer

    正解 4:最大筋力には高強度・低回数、筋肥大には中強度・中回数、筋持久力には低強度・高回数を用いる

    トレーニングの目的に応じて、強度(何RM相当か)と回数の組み合わせを変えるのが基本の考え方である。最大筋力の向上には高強度・低回数、筋肥大には中強度・中回数、筋持久力には低強度・高回数という組み合わせがおおまかな目安として用いられる。「常に最大挙上重量に近い高強度・低回数で行うことが最も効果的」は誤りで、目的によって適した設定は異なる。「最大筋力には中強度・中回数、筋肥大には低強度・高回数、筋持久力には高強度を用いる」も誤りで、目的と組み合わせの対応が一つずつずれている。「筋持久力を高めるためには、最大挙上重量に近い高強度・低回数を用いるのが最も適している」も誤りで、筋持久力には低強度・高回数のほうが適している。

    HINT 「何のために鍛えるか」で、扱う重さと回数の組み合わせを変える。1RMに対する割合で考える。

  26. トレーニング指導者が対象者にプログラムを提供するまでの基本的な手順として最も適切なものはどれか。

    • 1計画を立てて実施したところで一区切りとし、見直しは不調が出てから行う
    • 2先に目標を決めて計画を立て、目標に届いた時点でアセスメントを行う
    • 3対象者の体力を評価して目標を決め、計画を立てて実施したあとに見直す正解
    • 4目標の設定は指導者が独断で決め、対象者の体力や希望を無視して進める

    Answer

    正解 3:対象者の体力を評価して目標を決め、計画を立てて実施したあとに見直す

    トレーニング指導では、まず対象者の体力水準や目的をアセスメントし、それに基づいて達成すべき目標を設定したうえで具体的な計画を立てる。実施後には効果を評価し、その結果を踏まえて計画を見直すという一連の流れが基本になる。「計画を立てて実施したところで一区切りとし、見直しは不調が出てから行う」は、実施したあとに効果を評価して計画へ戻すという最後の段階を欠いており、狙った変化が出ているかを確かめないまま続けることになる。「先に目標を決めて計画を立て、目標に届いた時点でアセスメントを行う」も手順が前後しており、いまの体力水準を知らないまま決めた目標は、高すぎたり低すぎたりしても気づけない。「目標の設定は指導者が独断で決め、対象者の体力や希望を無視して進める」も誤りで、意識性の原則にも反する。

    HINT 「知る→決める→組む→やる→見直す」の順番。どこか一つを抜かすと個別性や意識性が崩れる。

  27. 関節を動かさずに力を発揮する等尺性(アイソメトリック)トレーニングによる筋力向上の現れ方として、最も適切なものはどれか。

    • 1等尺性で得た向上は動きを伴う動作へそのまま置き換わるため、角度の設定は任意でよい
    • 2自体重の種目で動作を固めてから行えば、一つの角度からでも可動域の全体へ行き渡る
    • 3実施した関節角度の付近で向上が大きく現れるため、必要な角度ごとに分けて行う正解
    • 4可動域の端の角度で行うほど、可動域の全体に均等な向上が得られる

    Answer

    正解 3:実施した関節角度の付近で向上が大きく現れるため、必要な角度ごとに分けて行う

    等尺性トレーニングによる筋力の向上は、実施した関節角度とその近くの範囲に大きく現れやすく、これを角度特異性という。したがって必要な角度が複数あるなら角度を分けて行うか、動きを伴う種目と組み合わせて補う。「可動域の端の角度で行うほど、可動域の全体に均等な向上が得られる」は誤りで、端の角度で行っても向上はその角度の付近に偏る。「自体重の種目で動作を固めてから行えば、一つの角度からでも可動域の全体へ行き渡る」も誤りで、動作を習得しても等尺性で得た向上の及ぶ範囲は広がらない。「等尺性で得た向上は動きを伴う動作へそのまま置き換わるため、角度の設定は任意でよい」も誤りで、収縮の様式や速度が違えば転移の程度は限られる。

    HINT 一つの角度で押し続けて得た強さは、その角度の近くでいちばん使える。

  28. 体力要素としての全身持久力と筋持久力の捉え方として、最も適切なものはどれか。

    • 1全身持久力は呼吸循環系が支える全身の能力で、筋持久力は特定の筋群が力の発揮を保つ能力である正解
    • 2全身持久力は呼吸循環系の能力であり、筋持久力はそれを筋群ごとに分けた指標である
    • 3全身持久力が高ければ、筋持久力も備わっていると見なして計画を組む
    • 4筋持久力は最大筋力が高いほど高くなるため、最大筋力の測定値から読み取れる

    Answer

    正解 1:全身持久力は呼吸循環系が支える全身の能力で、筋持久力は特定の筋群が力の発揮を保つ能力である

    全身持久力は酸素を取り込んで運ぶ呼吸循環系の働きに支えられた全身の能力で、最大酸素摂取量などで表される。これに対し筋持久力は、特定の筋群が一定の力の発揮を繰り返しまたは持続する局所の能力で、反復回数などで表される。「全身持久力は呼吸循環系の能力であり、筋持久力はそれを筋群ごとに分けた指標である」は誤りで、筋持久力は全身持久力の内訳ではなく、別に測る独立した要素である。「全身持久力が高ければ、筋持久力も備わっていると見なして計画を組む」も誤りで、長距離を走れても特定の筋群の筋持久力が低い例はありうる。「筋持久力は最大筋力が高いほど高くなるため、最大筋力の測定値から読み取れる」も誤りで、最大筋力に対する割合をそろえて比べると両者の関係は弱くなる。

    HINT 息が上がって続かないのか、その筋が先に参ってしまうのか。止まる理由が違う。

  29. 成人女性を対象としたレジスタンストレーニングの効果について、最も適切なものはどれか。

    • 1高い重量を扱うと筋量が大きく増えて体重も増すため、高重量を使う種目は計画から外しておく
    • 2筋力の相対的な向上率は男性と大きく変わらないとされ、原則は同じように適用できる正解
    • 3向上は神経系の変化にとどまるため、負荷は軽い重量と多い回数の組み合わせに絞る
    • 4筋力の向上は体重の増加を伴うため、増量を先に進めてから負荷を上げる

    Answer

    正解 2:筋力の相対的な向上率は男性と大きく変わらないとされ、原則は同じように適用できる

    レジスタンストレーニングによる筋力の向上を開始時の水準に対する割合で見ると、男性と女性で大きな差はないと報告されている。したがって過負荷・漸進性・個別性といった原理原則は同じように適用し、負荷の絶対値だけを対象者に合わせて決めればよい。「高い重量を扱うと筋量が大きく増えて体重も増すため、高重量を使う種目は計画から外しておく」は誤りで、短期間で筋量が大きく増えることは起こりにくく、高重量の種目を外す理由にはならない。「向上は神経系の変化にとどまるため、負荷は軽い重量と多い回数の組み合わせに絞る」も誤りで、継続すれば筋の断面積も増える。「筋力の向上は体重の増加を伴うため、増量を先に進めてから負荷を上げる」も誤りで、筋力の向上は体重の増加を前提とせず、増量を先に置く理由にはならない。

    HINT 伸び方そのものは変わらない。変えるのは原則ではなく、負荷の絶対値のほう。

  30. 体力要素どうしの関係に関する説明として、最も適切なものはどれか。

    • 1弱い要素は強い要素が伸びたあとで自然に追いついてくるため、強い要素から順に伸ばしていく
    • 2弱い要素は他の要素の伸びを妨げるので、強い要素の側を落として水準をそろえる
    • 3測れる体力要素を毎回すべて測り、弱い順に並べ替えて計画を組む
    • 4ある要素の不足が他の要素の発揮を妨げるため、弱い要素の把握が必要になる正解

    Answer

    正解 4:ある要素の不足が他の要素の発揮を妨げるため、弱い要素の把握が必要になる

    体力の各要素は切り離されて働くわけではなく、ある要素の不足が他の要素の発揮を妨げることがある。たとえば可動域が足りなければ本来の筋力を使える範囲で発揮できず、体幹を支える力が足りなければ下肢で生んだ力を伝えきれない。したがって伸ばしたい要素だけでなく、弱い要素を把握することが計画の前提になる。「弱い要素は他の要素の伸びを妨げるので、強い要素の側を落として水準をそろえる」は、相互の関係を踏まえている点は正しいが、手だてが逆で、強い側を落とすのではなく弱い要素を引き上げる。「弱い要素は強い要素が伸びたあとで自然に追いついてくるため、強い要素から順に伸ばしていく」も誤りで、強い要素を伸ばしても弱い要素は手を入れないかぎりそのまま残り、順番を待てば追いつくというものではない。「測れる体力要素を毎回すべて測り、弱い順に並べ替えて計画を組む」も誤りで、測る項目を増やすだけでは、競技や目的に照らしてどの要素の不足が効いているのかという判断が抜け落ちる。

    HINT 伸ばしたいところを鍛える前に、足を引っ張っているところを探す。

  31. トレーニングによる適応が成立する条件に関する説明として、最も適切なものはどれか。

    • 1刺激を与えたあとの栄養の摂取と休養が伴って、はじめて適応が進む正解
    • 2適応の大きさは与えた刺激の大きさで決まり、栄養と休養は回復の速さを左右する役目にとどまる
    • 3栄養を十分に摂れば刺激が小さくても同じ適応が得られるので、刺激の大きさは二の次になる
    • 4休養の期間を長く置くほど適応は大きくなるため、刺激を与える間隔は広く取るとよい

    Answer

    正解 1:刺激を与えたあとの栄養の摂取と休養が伴って、はじめて適応が進む

    トレーニングで与えた刺激は適応のきっかけであり、適応そのものは刺激のあとの回復の過程で進む。したがって材料となる栄養の摂取と、回復のための休養がそろって初めて適応が形になる。「適応の大きさは与えた刺激の大きさで決まり、栄養と休養は回復の速さを左右する役目にとどまる」は、栄養と休養を回復の速さの問題に限ってしまっている。「栄養を十分に摂れば刺激が小さくても同じ適応が得られるので、刺激の大きさは二の次になる」も誤りで、日常を上回る刺激がなければ適応は起こらない。「休養の期間を長く置くほど適応は大きくなるため、刺激を与える間隔は広く取るとよい」も誤りで、間隔を広げすぎると前の刺激による適応が薄れていく。

    HINT 鍛えている最中に強くなるわけではない。強くなるのはそのあとの時間。

  32. 強度を%1RMで指定したプログラムを数か月続ける場合の、負荷の扱いとして最も適切なものはどれか。

    • 1指定した割合そのものは一定なので、開始時に求めた重量を期の終わりまで使う
    • 2測り直しの負担が大きいため、割合での指定はやめてその日の感覚で重量を決めていく
    • 3筋力が向上すれば同じ割合に当たる重量も変わるため、最大挙上重量を測り直して設定を更新する正解
    • 4向上した分は反復回数を足して受け止め、重量の設定は次の期に入るまで保つ

    Answer

    正解 3:筋力が向上すれば同じ割合に当たる重量も変わるため、最大挙上重量を測り直して設定を更新する

    %1RMは最大挙上重量に対する割合なので、筋力が向上すれば同じ割合に当たる実際の重量も上がる。測り直しや反復回数からの推定で最大挙上重量を更新しなければ、指定した割合より軽い負荷を扱い続けることになり、過負荷の条件を満たさなくなっていく。「指定した割合そのものは一定なので、開始時に求めた重量を期の終わりまで使う」は、この点を見落としている。「測り直しの負担が大きいため、割合での指定はやめてその日の感覚で重量を決めていく」は、割合で指定する利点である客観性を手放すことになる。「向上した分は反復回数を足して受け止め、重量の設定は次の期に入るまで保つ」も誤りで、回数を足すと狙った強度の領域から外れていく。

    HINT 割合は変わらないのに、同じ割合が指す重さは勝手に変わっていく。

  33. レジスタンストレーニングの負荷を「10RM」のように表すときの意味として、最も適切なものはどれか。

    • 110セットを続けられる重量を指し、セット数の側から負荷を表す方法である
    • 210回を目標に、限界より余裕のある重量を選ぶという指定を指す
    • 3最大挙上重量の10%に当たる重量を指し、割合で負荷を表す
    • 4その重量で反復できる限界が10回である負荷を指す正解

    Answer

    正解 4:その重量で反復できる限界が10回である負荷を指す

    RMは反復できる限界の回数を単位にして負荷の大きさを表す方法で、10RMはその重量で10回がぎりぎり反復できる負荷を指す。実際に挙げられる回数そのものが基準なので、最大挙上重量を測らなくても目的に応じた負荷を決められる。「最大挙上重量の10%に当たる重量を指し、割合で負荷を表す」は%1RMという別の表し方と取り違えている。「10回を目標に、限界より余裕のある重量を選ぶという指定を指す」は誤りで、RMは限界の回数を指すので余裕を残す指定とは意味が違う。「10セットを続けられる重量を指し、セット数の側から負荷を表す方法である」も誤りで、RMが数えているのはセット数ではなく1セット内の反復回数である。

    HINT 数えているのは「やる回数」ではなく「それ以上できない回数」。

  34. 数か月のトレーニング計画を終えて効果を振り返るときの進め方として、最も適切なものはどれか。

    • 1伸びが小さい場合は負荷の不足と見て、次の期は負荷を一段上げて組み直していく
    • 2体力の測定値の変化とあわせて、計画のどこまでを実施できたのかを確かめる正解
    • 3対象者が満足できたかを聞き取って確かめ、測定値の変化は参考として扱う
    • 4伸びが大きかった項目に絞って次の期の計画を組み、伸びなかった項目は外していく

    Answer

    正解 2:体力の測定値の変化とあわせて、計画のどこまでを実施できたのかを確かめる

    計画どおりの効果が出なかったとき、原因は計画の内容そのものにある場合と、計画が実施されていなかった場合の両方がありうる。したがって振り返りでは体力の測定値の変化だけでなく、予定した回数や内容をどこまで実施できたかを合わせて確かめ、どちらに手を入れるべきかを見分ける。「伸びが小さい場合は負荷の不足と見て、次の期は負荷を一段上げて組み直していく」は、実施できていなかった可能性を確かめずに負荷のせいにしている。「伸びが大きかった項目に絞って次の期の計画を組み、伸びなかった項目は外していく」も誤りで、伸びなかった項目こそ実施できていたかを確かめるべきところであり、外してしまえば原因は分からないままになる。「対象者が満足できたかを聞き取って確かめ、測定値の変化は参考として扱う」も誤りで、主観の手応えだけでは体力の変化を判断できない。

    HINT 効かなかったのか、そもそもやれていなかったのか。先に分けないと直す場所を間違える。

  35. 一定の重量を用いた反復回数で2名の筋持久力を比べるときの注意点として、最も適切なものはどれか。

    • 1反復回数は体重あたりの筋力に強く左右されるため、体重をそろえた2名のあいだで比べていく
    • 2最大筋力に対する割合をそろえると体重の差が反復回数に表れるので、重量をそろえる
    • 3同じ重量で比べると最大筋力が高い者が有利になるため、最大筋力に対する割合をそろえる正解
    • 4体重あたりの最大筋力をそろえれば、同じ重量での反復回数の差は消える

    Answer

    正解 3:同じ重量で比べると最大筋力が高い者が有利になるため、最大筋力に対する割合をそろえる

    同じ絶対的な重量で反復回数を数えると、その重量が最大筋力に占める割合は人によって違うため、最大筋力が高い者のほうが多く反復できる。筋持久力そのものを比べたい場合は、最大挙上重量に対する割合をそろえた重量を用いる。「体重あたりの最大筋力をそろえれば、同じ重量での反復回数の差は消える」は、体重との比をそろえても絶対的な最大筋力に差が残れば反復回数の差も残る点を見落としている。「最大筋力に対する割合をそろえると体重の差が反復回数に表れるので、重量をそろえる」も誤りで、割合をそろえる操作は体重ではなく最大筋力の差を取り除くためのものである。「反復回数は体重あたりの筋力に強く左右されるため、体重をそろえた2名のあいだで比べていく」も誤りで、反復回数を左右するのは体重との比ではなく、用いた重量が最大筋力に占める割合である。

    HINT 同じ40kgでも、それがその人の何割に当たるかは人によって違う。

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