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資格のニガテ一問一答
JATI-ATI 一般科目科目模擬試験復習

運動と医学の板書

講義動画で板書した内容を、全文そのまま置いています。動画を見ながら書き写す必要はありません。必要なところだけ読んでください。

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各節の時刻(00:00)を押すと、動画のその場面から再生されます。

第11回「外傷と障害—現場で起きることと、復帰の段取り」

この回は、整形外科的な外傷と障害を扱います。外傷と障害の違い、肉離れ・足関節捻挫・前十字靱帯の術後・脳振盪の復帰の進め方、腱の慢性障害と負荷の調整、急性と慢性の負荷の比、成長期に多い障害、そして動かすのを止めて医療につなぐ場面までを並べます。診断は扱いません。

00:18この回で数えるもの

数えるのは、この3つ

  • 復帰を進める物差し

    1つ(満たした条件)

  • 肉離れの戻し方

    4段(等尺→短縮→伸張→競技)

  • 腱の痛みを見る時点

    2つ(運動中・翌朝)

  • 復帰を進める物差し:経過した日数を数えることではなく、その段階で満たすべき条件を満たしたかどうか
  • 肉離れの戻し方4段(よく使われる組み方):等尺性→短縮性→伸張性→競技動作
  • 腱の慢性障害で見る2つの時点:運動中の痛みと、翌朝の痛み

①2つの起こり方2節

00:282つの起こり方

一発で起きるか、積み重なって起きるか

  • 外傷=一回の大きな外力で生じる
  • 障害=繰り返しの負荷が蓄積して生じる
00:50障害の代表

疲労骨折は、初期は運動のときだけ痛む

  • 繰り返しの負荷が骨に蓄積して生じる
  • 初期は運動のときだけ痛む。休むと引くので見逃しやすい

②復帰の考え方6節

01:11復帰の考え方

動かしてよいかは医療、どう動かすかが指導者

  • 動かしてよいかは医療が決める
  • どう動かすかを指導者が組む。段は条件で上がる
  • 入口の線:動かしてよいかどうかは医療が決める。どう動かすかを指導者が組む
  • 段を上がる条件は、日数を数えることではなく、その段階でやるべきことが痛みなくできるかどうか
  • ただし靱帯や腱をつないだ後は別で、経過時間そのものも条件のひとつになる。「条件で進める」は「時間を無視してよい」ではない
01:31肉離れ

起きるのは、伸ばされながら強く働く局面

  • 起こりやすいのは伸張性収縮で大きな張力がかかる局面
  • 典型は全力疾走の、脚を前に振り出す終わりのあたり
01:53肉離れの戻し方

等尺性→短縮性→伸張性→競技動作

  • 等尺性→短縮性→伸張性→競技動作の順に上げる
  • 受傷した局面を、最後に戻す
  • 痛みが戻ったらひとつ前の段へ。日数で押し上げない
02:26足関節捻挫

落ち着いたら、動きと力を戻してからバランスへ

  • 落ち着いたら可動域→筋力→バランスの順に戻す
  • 次に方向転換の負荷を段階的に増やして競技へ
  • 段階は3つ。第一段階=患部の保護と安静・冷却・圧迫・挙上、第二段階=固くなった足首を柔らかくして動きを良くし、足首周囲の筋力を取り戻す、第三段階=バランス訓練と、ジョギング・ダッシュ・ストップ・方向転換
  • まっすぐ走れたから復帰、とはしない。捻挫が起きるのは切り返す場面のほう
出典
02:52前十字靱帯の術後

見るのは、左右をそろえた数字

  • けがをしていない側と、した側を比べる
  • 比べるのは筋力と片脚で跳んだ距離
  • 復帰の可否は医療の判断。こちらは数字をそろえて渡す
  • つないだ腱は時間そのものが条件。年単位で強くなる
  • 比べるのは左右差(筋力と片脚で跳んだ距離)。数字を同じ条件でそろえて渡すところまでが指導者側で、復帰の可否そのものは医療の判断
  • ただし靱帯や腱をつないだ後は、経過時間そのものも条件になる。再建した腱の強度は手術後初期に低下し、1〜2年の歳月をかけて正常と同等に戻ると考えられているため、スポーツ復帰には手術からおおよそ6〜9か月以上かかるとされる
出典(2件)
  • 出典:日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ6.膝前十字靱帯損傷」https://jsoa.or.jp/content/images/2025/12/S-06.pdf
  • 出典:Grindem et al.,British Journal of Sports Medicine 2016;50:804(術後9か月以降の復帰と、復帰前の左右差が小さいことが、どちらも独立に再受傷率を下げた)
03:34脳振盪

症状を悪化させない範囲から、すぐ始める

  • 完全な休みは取らない。悪化させない範囲から
  • 各段階に最低24時間。段階の中身は団体ごと
  • 症状が戻ったら24時間休み、前の段へ
  • 開始条件は「無症状」ではなく「症状を悪化させない範囲」。フェーズ1は10分間の歩行などの日常活動から始める。完全な休息(コクーニング)は取らない
  • 次の段階へ進む条件は「活動前の症状の悪化や追加的な症状の発現がなく、活動に耐えられる」こと。全段階を無症状で終えた時点で、試合への復帰が医学的に許可される
  • 各段階に最低24時間という間隔は国際的に共通。段階の数と中身は競技団体ごとに違う
  • ここで例に挙げた手順では、各段階は少なくとも1回のトレーニングを含み、最低でも24時間かけて行うこと、練習中や練習後に症状が悪化または再発した場合は少なくとも24時間休息し、症状のなかった段階に戻ってプログラムを続けることが示されている
出典(2件)

③腱の慢性障害2節

04:17腱の慢性障害

完全に休むことだけが答えではない

  • 見るのは運動中の痛みと翌朝の痛みの2つ
  • 2つを見て維持するか、軽くするかを決める
04:41増やし方を数える

最近の負荷を、それ以前の平均と比べる

  • 直近の負荷÷それ以前の一定期間の平均的な負荷
  • ねらいは急な増加をつかまえること
  • 急な増加を見る指標。ただし予測できるかは議論中
  • ACWR(急性:慢性ワークロード比)=直近の負荷÷それ以前の一定期間の平均的な負荷。ねらいは総量ではなく、急な増加をつかまえること
  • この比で障害を予測できるかは議論が続いている。無作為に作った慢性負荷で割っても同様の関連が出るという批判があり、枠組みとしての妥当性が問われている。閾値をそのまま使わず、総量と合わせて見る
出典
  • 出典:Impellizzeri et al.,Sports Medicine 2021「What Role Do Chronic Workloads Play in the Acute to Chronic Workload Ratio?」

④腰4節

成長期の腰痛には、腰椎の疲労骨折がある

  • 腰椎分離症=腰椎の一部に生じる疲労骨折
  • 誘因は腰を反らす・ひねる動作の繰り返し

オスグッドは、膝の「下」が腫れて痛む

  • 痛むのは膝のすぐ下の骨の出っ張り。腫れを伴う
  • 活動量の多い子どもに多い
06:00肘と投球数

目安は、年代が下がるほど低い

  • 投球数の目安は年代ごとに違う。一律ではない
  • 年代が下がるほど、1日の上限は低く設定されている
06:26導入の順番

動作を仕上げてから、負荷を上げる

  • まず自体重や軽い負荷で動作を覚えさせる
  • 習熟に応じて負荷を高める。禁止でも、いきなり高負荷でもない

⑤股関節の前3節

06:47股関節の前

深くしゃがむ競技の、股関節前面の痛み

  • 深い屈曲を繰り返す競技で、股関節の前が痛む
  • 骨どうしのぶつかり合いが関わる障害が知られている
07:09ふくらはぎ

蹴られた感じのあと、つま先で立てない

  • 踏み切りで蹴られたような衝撃→つま先立ちができない
  • うつ伏せでふくらはぎを握る。固定して受診につなぐ
  • 手がかりは、踏み切りやジャンプで蹴られたような衝撃→その後つま先で立てない。歩けることは、切れていないことの証明にならない
  • 確かめ方は荷重させない。うつ伏せで膝を直角に曲げてふくらはぎを握ると、正常では足関節が底屈するが、断裂しているとこの底屈がみられない(Thompsonテスト陽性)。断裂部に陥凹を触れることもある
  • 手術をした場合でも、スポーツ復帰には少なくとも5〜6か月程度を必要とするとされる
出典

けがの覚えがなく、広く動かず、夜に痛む

  • けがの覚えがない/広い範囲で動かない/夜間に痛む
  • 痛みを押して広げない。動かし方は受診のうえで
  • 手がかりは3つ。けがの覚えがない/肩を上げる動きが広い範囲で制限される/夜間に痛む。中高年に多い
  • 同じ3つは腱板の損傷など他の原因でも出るため、ここで原因を決めない
  • 痛みの強い時期は三角巾などで肩を安静に保つことが勧められる場合がある。温熱や運動を始める時期も含め、動かし方は受診したうえで決める
出典
08:09覚えて帰る4つ

この回の要点

  • 一発か、積み重ねか。積み重ねは設計で減らせる
  • 復帰の段は満たした条件で上がる。戻ったら下げる
  • 増やし方そのものも見る。跳ね上がりに注意
  • 動かしてよいかは医療、どう動かすかが指導者

第12回「止める判断と、薬・環境・持病」

この回は、運動を止める判断と、薬・環境・持病のある人への関わり方を扱います。一次救命処置の順番と胸骨圧迫の質、AED、熱中症の現場対応、突然死への備え、質問票で引っかかったときの動き、薬で変わる体の反応、そして持病のある人に対してこちらが動かせるものと、決めるのは誰かまでを見ます。

00:20この回で数えるもの

数えるのは、この3つ

  • 一次救命処置は

    4段

  • こちらが動かせるのは

    6語

  • やってよいかを決めるのは

    1人

  • 4段:周囲の安全と反応の確認→応援を呼び119番通報とAEDを依頼→呼吸の確認→胸骨圧迫
  • 6語:強度・様式・環境・頻度・姿勢・見守り。トレーニング指導者の側で調整できるもの
  • 運動を本格的に始めてよいか、どこまでやってよいかの判断は医師が行う。こちらは材料をそろえて渡す側

①一次救命処置4節

00:30順番

反応がなければ、まず人を呼ぶ

  • 安全と反応→応援と通報→呼吸→胸骨圧迫の4段
  • 依頼は名指し。「誰か」では人は動かない
  • 呼吸は10秒以内で見る。迷うときも心停止として始める
  • 心停止でない人への圧迫で重大な障害が生じたという報告はない
  • 手順は、周囲の安全を確かめる→反応を確認する→応援を呼んで119番通報とAEDを依頼する→普段どおりの呼吸を確認する→普段どおりでなければ胸骨圧迫を始める
  • 反応の見方は、肩を軽くたたきながら大きな声で呼びかける。あるかないかで迷うときも、心停止の可能性を考えて、通報とAEDの手配へ進む
  • 大声で呼んでも誰も来ない場合は、まず自分で119番通報をし、すぐ近くにAEDがあることが分かっていれば取りに行く
  • 心停止の直後には、あえぐような、途切れがちの呼吸が出ることがある(死戦期呼吸)。これを普段どおりの呼吸と取り違えない
  • 反応はないが普段どおりの呼吸をしている場合は、様子を見ながら救急隊の到着を待つ。呼吸がなくなったり普段どおりでなくなったら、ただちに胸骨圧迫を始める
  • 人工呼吸の技術があり、行う意思がある場合は、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返す。できない場合やためらわれる場合は、胸骨圧迫だけを続ける
  • 続ける終点は、救急隊に引き継ぐまで、または普段どおりの呼吸や目的のある仕草が認められるまで。効果がなさそうに思えても、あきらめずに続ける
出典
01:20胸骨圧迫の質

深さとテンポは、感覚に任せない

  • 胸が約5cm沈むまで。テンポは1分間に100〜120回
  • 押すたびに胸を完全に戻す。中断は最小限、交代は素早く
  • 感覚任せだと浅く・遅くなる。機器で外から確かめる
  • 深さは胸が約5cm沈むまで。テンポは1分間に100〜120回。強く、速く、絶え間なく。小児では胸の厚さの約3分の1を目安にする
  • 深さは「約5cm」で押さえる。医療者向けの蘇生ガイドラインでは上限の目安も示されているが、市民向けの手順として確かめられるのは「約5cm・強く速く絶え間なく」のほう
  • 圧迫のたびに胸を完全に元の高さまで戻す。ただし手は胸から離さない
  • 疲労すると圧迫が浅く遅くなるため、複数人いるときは役割を交代しながら行う。交代に手間取って圧迫を止めないことが要点
  • メトロノームや音声ガイドで深さと速さを客観的に確かめる工夫は、施設側で用意しておける備えにあたる
出典

来るまで続ける。来たら、ためらわない

  • 到着まで胸骨圧迫を続ける。引き継ぐまでやめない
  • 電極パッドはパッドや袋のイラストどおりに貼る
  • 未就学児には未就学児用のパッドかモード。無ければ大人用
  • AEDが無い場所は始める前に最寄りと住所を確かめる
  • AEDは到着したら速やかに使い、到着するまでは胸骨圧迫を続ける。本体は傷病者の頭の近くに置いて操作し、そのあいだもできるだけ圧迫を中断しない
  • AEDが来たら終わりではない。心肺蘇生は、救急隊に引き継ぐまで、または普段どおりの呼吸や目的のある仕草が認められるまで続ける
  • 電極パッドは、本体や袋のイラストが示す位置に貼る。胸を出すのをためらいやすい場面だが、イラストどおりに貼ることを優先する
  • 未就学(小学校入学前)の子どもには、未就学児用モードに切り替えるか未就学児用パッドを用いる。どちらも無ければ小学生〜大人用のパッド・モードを使用する。小学生〜大人の傷病者に未就学児用パッドを使ってはいけない(流れる電気が不足するため)
  • 「小児用パッド」「小児用モード」「成人用パッド」は旧称で、古い表記の製品も残っている
  • AEDが常設されていない場所で指導する場合、開始前に最寄りのAED設置場所と、119番通報の際に伝える正確な住所や目印を確認しておく。AEDが近くにないことは、胸骨圧迫を始めない理由にならない
出典
02:49熱中症の現場対応

症状の重さで、やることが変わる

  • 立ちくらみ・こむらがえり・大量の汗→涼しい場所で冷やし、塩分と糖分
  • 頭痛・吐き気・倦怠感→体を冷やして受診させる
  • 意識がもうろう・体温が極端に高い→119番。冷やしつづける
  • 熱中症は重症化すると命に関わる。軽い段階と、その場で119番を呼ぶ段階を、現場で見分けられるようにしておく
  • 軽い段階(立ちくらみ、こむらがえり、大量の汗)は、まず風通しのよい日陰や冷房のある部屋へ移して休ませる。そのうえで塩分と糖分の入った飲み物を渡し、自分で摂れているかを見る
  • 頭痛・吐き気・だるさが出たら、冷やしながら医療機関へ。冷やし方は、衣服を緩めて肌を濡らし、風を送る。氷のうを使うなら脇の下・太ももの付け根・首
  • 意識がはっきりしない/体温が非常に高い。このどちらかが出たら、その場で119番。救急隊が来るまで、冷やす手を止めない
  • 涼しい場所で休ませるだけでは足りない。病院に着く前の段階から冷やし始めることが重要とされている
  • 意識が怪しいときは、飲み物を口に入れない。むせたり喉に詰まらせたりする危険がある。口から入れないという線は、血糖が下がりすぎたときの対応でも同じ
出典(2件)

②止める判断2節

03:30突然死に備える

備えになるのは、強度の上げ方と止める線

  • 慣れない強度は段階的に上げる。急に高い強度を課さない
  • 体力が高くても起こる。冬だから簡略化もしない
  • 胸の症状は既往歴の有無によらず中止し、受診を勧める
  • 運動中の突然死に対して指導者の側で決められるのは、強度の上げ方と、止める線をどこに引くか。慣れない高い強度を急に課さず、段階的に上げていく
  • 体力が高い人でも起こりうる。心臓にもとから問題が潜んでいることがあるため、体力の高さを理由に体調確認を省かない。寒い時期も手順は同じにする
  • 運動中に胸の痛みや圧迫感が出たときは、既往歴の有無にかかわらずその場で中止し、医療機関の受診を勧める。原因を見分けるのは指導者の役目ではない
04:07質問票で引っかかったとき

即禁止でも、即許可でもない

  • 質問票はふるい分け。診断はしない
  • 引っかかった項目は確認を後回しにしない
  • 確認が済むまで活動量を増やさない
  • 自己記入式の質問票は、症状や既往歴から医師への相談が必要かどうかを見分けるための、運動開始前のふるい分けの道具
  • 質問票そのものは、リスクを示す回答があった場合「活動量を増やす前に、医師または有資格の運動専門職に確認する」としている。相談先は医師に限られていない
  • 即座に運動を永続的に禁止するのも、本人の希望に従ってただちに高強度の運動を始めるのも適切でない。確認が済むまでは活動量を増やさず、すでに動いている人は強度を上げずに様子を見る
出典
  • 出典:PAR-Q+(Physical Activity Readiness Questionnaire for Everyone)の公開元https://eparmedx.com/

③暑さは気温だけでは測れない2節

04:45暑さは気温だけでは測れない

湿度と輻射熱を入れて、はじめて指標になる

  • 暑さ指数WBGTは湿度・輻射熱・気温の3つから出す
  • 湿度が高いと汗が蒸発せず、体温が下がらない
  • 区分ごとに運動を控える目安がある。原則中止の段もある
  • 暑さ指数(WBGT)は、①湿度②日射・輻射など周辺の熱環境③気温の3つを取り入れた指標。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なる
  • 湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、蒸発による放熱が働かないため、気温だけでは危険度を判断できない。風速や標高は、単独では熱中症の指標にならない
  • 暑さ指数の区分ごとに運動の目安を示した熱中症予防運動指針があり、最も高い区分は「運動は原則中止」とされている。区分の境目の数値は、依拠する資料の版によって扱いが変わりうるので、現場ではその日の指数と指針の表を直接見て判断する
出典
05:23体が出すサインと、高さ

汗で出るものと、高さで出るもの

  • コリン性蕁麻疹は発汗や発汗を促す刺激で生じる
  • 食べていなくても起こる。食物が要るのは別の病型
  • 急性高山病は体力と無関係。悪化したら高度を下げる
  • コリン性蕁麻疹は、入浴・運動・精神的緊張など、発汗ないし発汗を促す刺激が加わったときに生じるとされる。皮疹は出現後数分から2時間以内に消退することが多い
  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)は、特定の食物を摂ったあと、食後2〜3時間ほどのあいだに運動負荷が加わることで生じる別の病型。コリン性蕁麻疹は食物の摂取を伴わなくても生じる点が分かれ目になる
  • いずれも皮膚の症状が出た時点で運動を中止し、症状が強いときや繰り返すときは医療機関につなぐ。病名をつけるのは指導者の仕事ではない
  • 急性高山病は体力の高さで防げるものではなく、悪化した場合は高度を下げることが基本の対応になる。症状があるまま標高を上げ続けると悪化しうる
  • 発症しやすさには個人差があるが、前もって見分ける簡単な検査はないとされる。子どもも大人と同じように起こりうる
出典(2件)

④薬2節

06:04痛み止めと、花粉症の薬

薬は、体が出すサインのほうを変える

  • 痛み止めは痛みという警告を薄くする。負荷を上げる理由にしない
  • 組織の修復が速まる薬ではない。胃腸や腎臓への負担もある
  • 眠気の出るタイプの抗ヒスタミン薬は発汗が抑えられることがある
  • 痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)を常用している人では痛みの感覚が薄れている可能性があるため、症状が出ていないことを根拠に負荷を急に高めない
  • 常用すれば組織の修復が速まる、という薬ではない。消化管や腎臓への負担とも無関係ではない
  • 眠気の出るタイプの抗ヒスタミン薬では、発汗が抑えられて熱がこもりやすくなることがある。集中力にも影響しうる
  • 熱中症の発症リスクとなりうる薬剤を調べた研究では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服が熱中症もしくは脱水症による入院の増加と関連したと報告されている。抗ヒスタミン薬も熱中症の発症リスクとなりうる可能性があるとされる
  • 薬を飲んでいるかどうかで暑い環境での見守り方と水分の配り方を変えるところまでが指導者の範囲で、薬の量や内容の調整は医療の行為にあたるとされる
出典
06:43水分と、筋の痛み

同じ向きの負荷が重なっていないか

  • 利尿薬は水分を出す薬。発汗と向きが重なる
  • コレステロールの薬を飲む人の筋の痛みと力の入りにくさ
  • トレーニングの筋肉痛と切り分けて、医師に確かめる
  • 利尿薬を使っている人では、薬の作用で脱水や電解質の異常が起こりやすくなっているため、汗の量が多くなる運動では水分と電解質の管理をいっそう慎重にする
  • 熱中症の発症リスクとして、降圧薬と利尿薬が因子に挙げられている。薬剤を調べた研究では、利尿薬やβ遮断薬の内服が熱中症もしくは脱水症による入院の増加と関連したと報告されている
  • コレステロールを下げる薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬など)では、筋肉痛・脱力・こわばりといった症状が副作用の初期症状として現れることがあるとされる。運動開始期の筋肉痛と紛れやすいので、切り分けを医師に委ねる
  • 薬の量や内容の調整は医療の行為にあたるとされており、トレーニング指導者が本人に助言することはしない
出典(2件)

⑤持病3節

07:21決める人と、動かせるもの

動かせるのは6語。決めるのは医師

  • 動かせるのは強度・様式・環境・頻度・姿勢・見守りの6語
  • まず医学的な管理の状況を確認する。診断・服薬・合併症
  • 持病が複数あるときはいちばん慎重な条件に合わせる
  • トレーニング指導者の側で調整できるのは、強度・様式・環境・頻度・姿勢・見守りの6つ。診断する、薬を調整する、医師の代わりに実施の可否を決めることは含まれない
  • 慢性疾患のある人では、身体活動によって悪化する可能性のある合併症や、運動器の痛み・変形がある場合があるため、事前に医師等の専門家に相談するとされている
  • 複数の疾患があるときは、それぞれの注意点を並べたうえで、最も慎重に扱うべき条件に合わせて内容を決める
出典
08:00血糖・肝臓・尿酸

運動で動くものと、重なる負荷

  • インスリンを使う人は低血糖に備える。補食を計画しておく
  • 脂肪肝は体重が落ちる前から運動で改善する方向に働く
  • 尿酸が高い人は中強度の有酸素運動と水分。息を詰める種目は逆
  • 運動はインスリンの効きを強める方向に働くため、インスリンを使用している人では低血糖への備えが要る。補食の量とタイミングは、運動の強度と時間に合わせて計画しておく
  • 血糖が下がりすぎたときの対応は、意識がはっきりしていれば中止して糖分を取ってもらう。本人が医師から指導されているものを補助する形にし、こちらで選ばない。意識がもうろうとしているときは口から入れず119番通報する
  • 脂肪肝は、体重の大きな減少を伴わなくても運動によって改善する方向に働くことが報告されている
  • 脂肪性肝疾患に対する運動の効果としては、筋肉量の維持、ヘパトカインの産生亢進、酸化ストレスの軽減など、体重減量に限らない多彩な機序が報告されている
  • 尿酸値が高く痛風発作の既往がある人では、中強度の有酸素運動と水分補給を軸に置く。息を詰めて力を出し切る高強度の種目や、水分を控えた長時間の運動は向かない。関節の痛みが激しい時期に動かし続けることもしない
出典
08:40気づいて渡す2つ

運動で片づけずに、医療へ渡す

  • 大きないびき+日中の強い眠気→医療機関への相談を促す
  • 歩くと脚が痛み、前かがみで休むと歩ける→自転車こぎが向く
  • 大きないびきと日中の強い眠気が重なる場合は、睡眠中の呼吸の問題が隠れている可能性を伝えて医療機関への相談を促す。運動の不足と決めて強度で立て直そうとしない
  • ひどいいびきや睡眠中の呼吸停止がある場合には、速やかに専門の医療機関で検査・治療を受けることが大切とされている
  • 歩き続けると脚に痛みやしびれが出て、前かがみで休むとまた歩けるようになる形では、腰を反らす姿勢で症状が出やすい。前傾姿勢になる自転車こぎは続けやすい
  • 同じ「歩くと脚が痛む」には血管側の原因もあり、そちらは前かがみでは軽くならず対応も違う。切り分けは指導者の仕事ではないので、運動の様式を選ぶところまでにして、受診を促す
出典
09:10覚えて帰る4つ

この回の要点

  • 倒れた人は4段。迷ったら始め、引き継ぐまで止めない
  • 暑さは気温だけで測らない。意識が怪しければ口から入れない
  • 薬は体が出すサインを変える。薄れた痛みで負荷を上げない
  • 動かせるのは6語、決めるのは医師

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