機能解剖全13問・正解と解説つき
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目 ・ 公式テキスト第2章 ・ 分量 14%
上肢、脊柱と胸郭、骨盤と下肢の機能解剖。骨・関節・筋の構造と、トレーニング動作で働く筋の理解。
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- Q01#jg-an-001
肩甲上腕リズムの説明として正しいものはどれか。
- 1肩関節の外転では、上腕骨の動きと肩甲骨の上方回旋がおおむね2対1の割合で協調して起こる正解
- 2肩関節の外転では、上腕骨のみが動き、肩甲骨は最後まで固定されている
- 3肩関節の外転では、肩甲骨の動きが上腕骨の2倍になる割合で協調して起こる
- 4肩関節の外転では、鎖骨のみが回旋し、肩甲骨と上腕骨は動かない
Answer
正解 1:肩関節の外転では、上腕骨の動きと肩甲骨の上方回旋がおおむね2対1の割合で協調して起こる
肩甲上腕リズムは、肩関節の外転において上腕骨の動きと肩甲骨の上方回旋がおおむね2対1の割合で協調して起こる関係を指す。上腕を真上まで挙げる動作は、肩甲上腕関節だけでなく肩甲骨の動きを伴って初めて成立する。「上腕骨のみが動き、肩甲骨は最後まで固定されている」は誤りで、それでは可動域が足りない。「肩甲骨の動きが上腕骨の2倍になる」は割合が逆である。「鎖骨のみが回旋し、肩甲骨と上腕骨は動かない」も誤りで、鎖骨の動きは伴うが主体ではない。
HINT オーバーヘッド動作で肩甲骨が動かないと、肩甲上腕関節だけで無理をして障害につながる。
- Q02#jg-an-002
肩甲骨の運動の名称として正しい組み合わせはどれか。
- 1背骨へ近づく動きが外転、背骨から遠ざかる動きが内転
- 2上へ動くのが上方回旋、下へ動くのが下方回旋
- 3前へ傾くのが挙上、後ろへ傾くのが下制
- 4背骨へ近づく動きが内転、背骨から遠ざかる動きが外転正解
Answer
正解 4:背骨へ近づく動きが内転、背骨から遠ざかる動きが外転
肩甲骨の運動は、背骨へ近づく内転(後退)、背骨から遠ざかる外転(前突)、上へ動く挙上、下へ動く下制、関節窩が上を向く上方回旋、下を向く下方回旋で表す。「背骨へ近づく動きが外転」は内転と外転が入れ替わっている。「上へ動くのが上方回旋、下へ動くのが下方回旋」は誤りで、上下への平行移動は挙上・下制であり、上方回旋・下方回旋は関節窩の向きが変わる回転を指す。「前へ傾くのが挙上、後ろへ傾くのが下制」も名称が対応していない。
HINT 肩甲骨は「寄せる/開く/上げる/下げる/回す」の5方向。ローイングは内転、プッシュは外転。
- Q03#jg-an-003
回旋筋腱板(ローテーターカフ)がトレーニング指導上で重視される理由として最も適切なものはどれか。
- 1肩関節の外転において、三角筋より大きな力を発揮して主働筋となるため
- 2肩甲骨を胸郭に固定し、体幹の回旋を制御する主たる筋群であるため
- 3肘関節の屈曲と前腕の回外を担い、プル系種目の主働筋となるため
- 4上腕骨頭を関節窩に引きつけて肩関節を安定させ、大きな筋が力を発揮する土台をつくるため正解
Answer
正解 4:上腕骨頭を関節窩に引きつけて肩関節を安定させ、大きな筋が力を発揮する土台をつくるため
回旋筋腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋からなり、上腕骨頭を関節窩に引きつけて肩関節を安定させる。可動域が大きく骨性の安定に乏しい肩関節では、この安定があって初めて三角筋などの大きな筋が力を発揮できるため、指導上も重視される。「三角筋より大きな力を発揮して主働筋となる」は誤りで、腱板は小さく、役割は安定化にある。「肩甲骨を胸郭に固定し、体幹の回旋を制御する主たる筋群」は前鋸筋や僧帽筋などの働きで、腱板の役割ではない。「肘関節の屈曲と前腕の回外を担い」は上腕二頭筋の説明である。
HINT 腱板は「動かす筋」ではなく「関節を収める筋」。小さくても傷めると大きな筋が使えなくなる。
- Q04#jg-an-004
前腕の回内・回外に関する説明として正しいものはどれか。
- 1手のひらを上に向ける動きが回外で、上腕二頭筋は肘の屈曲とともに回外にも働く正解
- 2手のひらを上に向ける動きが回内で、上腕二頭筋は回内に働く
- 3回内・回外は手関節で起こる運動であり、前腕の骨は関与しない
- 4回内・回外の可動域は肘の角度によらず一定である
Answer
正解 1:手のひらを上に向ける動きが回外で、上腕二頭筋は肘の屈曲とともに回外にも働く
手のひらを上に向ける動きが回外、下に向ける動きが回内で、橈骨が尺骨に対して回旋することで起こる。上腕二頭筋は肘関節の屈曲に加えて前腕の回外にも働くため、回外位で行うカールでは動員されやすい。「手のひらを上に向ける動きが回内」は名称が逆である。「回内・回外は手関節で起こる運動であり、前腕の骨は関与しない」は誤りで、橈尺関節における橈骨の回旋によって生じる。「可動域は肘の角度によらず一定」も誤りで、肘の角度によって二関節筋の張力などが変わり可動域は影響を受ける。
HINT 上腕二頭筋は「曲げる+手のひらを返す」の二役。種目で握りを変える意味はここにある。
- Q05#jg-an-005
脊柱の構成と生理的弯曲の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1頸椎5個・胸椎12個・腰椎7個で、頸椎と腰椎が後弯、胸椎が前弯している
- 2頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個で、脊柱全体が一様に後弯している
- 3頸椎12個・胸椎7個・腰椎5個で、胸椎のみが前弯している
- 4頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個で、頸椎と腰椎が前弯、胸椎が後弯している正解
Answer
正解 4:頸椎7個・胸椎12個・腰椎5個で、頸椎と腰椎が前弯、胸椎が後弯している
脊柱は頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個と仙骨・尾骨からなり、頸椎と腰椎が前弯、胸椎と仙骨部が後弯するS字状の生理的弯曲をもつ。この弯曲が衝撃を吸収する働きをもつため、トレーニング中の姿勢の指導では弯曲を保つことが基本になる。「頸椎5個・腰椎7個」は数が入れ替わっている。「脊柱全体が一様に後弯している」は生理的弯曲を否定しており、この状態は姿勢の崩れにあたる。「頸椎12個・胸椎7個」も数が入れ替わっている。
HINT 7・12・5は覚えるしかない。弯曲が「ばね」として働くから、潰すと腰へ負担が集中する。
- Q06#jg-an-006
腹筋群の構成と主な作用の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1腹直筋は体幹の屈曲、外腹斜筋と内腹斜筋は体幹の回旋と側屈、腹横筋は腹腔内圧の調節に働く正解
- 2腹直筋は体幹の回旋、外腹斜筋は体幹の屈曲、腹横筋は体幹の伸展に働く
- 3腹横筋は体幹の屈曲の主働筋であり、腹直筋は腹腔内圧の調節に働く
- 4腹筋群はいずれも体幹の屈曲のみに働き、回旋には関与しない
Answer
正解 1:腹直筋は体幹の屈曲、外腹斜筋と内腹斜筋は体幹の回旋と側屈、腹横筋は腹腔内圧の調節に働く
腹直筋は体幹の屈曲、外腹斜筋と内腹斜筋は体幹の回旋と側屈、最も深層にある腹横筋は腹腔内圧を高めて体幹を安定させる働きをもつ。回旋では一方の外腹斜筋と反対側の内腹斜筋が共同して働く。「腹直筋は体幹の回旋、外腹斜筋は体幹の屈曲」は作用が入れ替わっている。「腹横筋は体幹の屈曲の主働筋」も誤りで、腹横筋は大きな運動を起こす筋ではない。「腹筋群はいずれも体幹の屈曲のみに働き、回旋には関与しない」は斜筋群の作用を落としている。
HINT 「屈曲=腹直筋、回旋=斜筋、安定=腹横筋」。種目を選ぶときの基準になる。
- Q07#jg-an-007
高重量のスクワットやデッドリフトで腹腔内圧を高めることの意義として最も適切なものはどれか。
- 1呼吸を長く止めることで、筋への酸素供給を増やす
- 2腹筋群の断面積を直接的に増やし、筋肥大を促す
- 3股関節の可動域を広げ、しゃがむ深さを増やす
- 4体幹の剛性を高めて脊柱を安定させ、腰部への負担を分散する正解
Answer
正解 4:体幹の剛性を高めて脊柱を安定させ、腰部への負担を分散する
腹腔内圧を高めると体幹の剛性が増し、脊柱が安定して腰部への負担が分散される。高重量を扱う種目で腹圧を意識させるのはこのためである。ただし息をこらえること自体は血圧を急激に上昇させるため、高血圧のある者などでは注意が要る。「呼吸を長く止めることで、筋への酸素供給を増やす」は誤りで、息を止めれば酸素供給はむしろ滞る。「腹筋群の断面積を直接的に増やし、筋肥大を促す」も誤りで、腹圧は安定化の働きであって肥大の刺激ではない。「股関節の可動域を広げ、しゃがむ深さを増やす」も腹腔内圧の働きとは関係がない。
HINT 腹圧は「効かせる」ためではなく「守る」ため。血圧上昇という副作用とセットで覚える。
- Q08#jg-an-008
中殿筋の主な働きと、その機能が低下したときにみられる現象の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1股関節の屈曲と骨盤の後傾。低下すると立位で膝が伸びなくなる
- 2膝関節の伸展と下腿の外旋。低下すると歩行時に足が上がらなくなる
- 3股関節の外転と骨盤の安定。低下すると片脚支持で反対側の骨盤が下がる正解
- 4股関節の内転と骨盤の前傾。低下すると片脚支持で支持側の骨盤が下がる
Answer
正解 3:股関節の外転と骨盤の安定。低下すると片脚支持で反対側の骨盤が下がる
中殿筋は股関節の外転を担うとともに、片脚支持のときに骨盤が反対側へ傾かないよう支える働きをもつ。この機能が低下すると、片脚で立ったときに支持していない側の骨盤が下がる(トレンデレンブルグ徴候)。「股関節の内転と骨盤の前傾」は作用が誤りで、内転は内転筋群が担う。「股関節の屈曲と骨盤の後傾」は腸腰筋などの働きにあたる。「膝関節の伸展と下腿の外旋」は大腿四頭筋などの働きで、中殿筋の作用ではない。
HINT 片脚スクワットやランジで骨盤が落ちるなら、中殿筋の支えを疑う。左右差の確認に使える。
- Q09#jg-an-009
大腿四頭筋を構成する筋の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋正解
- 2大腿直筋・大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋
- 3大腿直筋・縫工筋・薄筋・恥骨筋
- 4内側広筋・外側広筋・大殿筋・中殿筋
Answer
正解 1:大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋
大腿四頭筋は大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋の4つからなり、いずれも膝関節の伸展に働く。このうち大腿直筋のみが骨盤から起こる二関節筋で、股関節の屈曲にも関与する。「大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋」はハムストリングスを構成する筋である。「縫工筋・薄筋・恥骨筋」は股関節周囲の筋で、大腿四頭筋には含まれない。「大殿筋・中殿筋」は殿筋群であり膝関節の伸展を担わない。
HINT 4つのうち二関節筋は大腿直筋だけ。股関節の角度でレッグエクステンションの効き方が変わる理由。
- Q10#jg-an-010
ハムストリングスを構成する筋と、その働きの組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、股関節の屈曲と膝関節の伸展に働く
- 2大腿直筋・内側広筋・外側広筋からなり、股関節の伸展と膝関節の屈曲に働く
- 3大殿筋・中殿筋・小殿筋からなり、股関節の伸展のみに働く
- 4大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、股関節の伸展と膝関節の屈曲に働く正解
Answer
正解 4:大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、股関節の伸展と膝関節の屈曲に働く
ハムストリングスは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなり、股関節の伸展と膝関節の屈曲に働く二関節筋である(大腿二頭筋短頭を除く)。股関節と膝関節の角度によって発揮できる張力が変わるため、ストレッチングやトレーニングでは両関節の角度を組み合わせて扱う。「股関節の屈曲と膝関節の伸展に働く」は作用が逆で、これは大腿直筋の働きにあたる。「大腿直筋・内側広筋・外側広筋」は大腿四頭筋の構成筋である。「大殿筋・中殿筋・小殿筋」は殿筋群であり、膝関節の屈曲を担わない。
HINT 股関節と膝の両方をまたぐので、スティフレッグデッドリフトとレッグカールでは効く条件が違う。
- Q11#jg-an-011
膝関節の構造に関する説明として正しいものはどれか。
- 1前十字靱帯は脛骨が前方へずれるのを制動し、半月板は荷重の分散と適合性の向上に働く正解
- 2前十字靱帯は脛骨が後方へずれるのを制動し、半月板は膝関節を動かす筋として働く
- 3内側側副靱帯は前後方向のずれを制動し、半月板は関節を動かす主たる構造である
- 4膝関節は球関節であり、屈曲伸展のほか外転内転も大きな範囲で行える
Answer
正解 1:前十字靱帯は脛骨が前方へずれるのを制動し、半月板は荷重の分散と適合性の向上に働く
前十字靱帯は脛骨が大腿骨に対して前方へずれるのを制動し、半月板は大腿骨と脛骨の間で荷重を分散させるとともに関節面の適合性を高める。「前十字靱帯は脛骨が後方へずれるのを制動し」は後十字靱帯の働きにあたる。また「半月板は膝関節を動かす筋として働く」も誤りで、半月板は線維軟骨であり筋ではない。「内側側副靱帯は前後方向のずれを制動し」も誤りで、側副靱帯は主に内外反を制動する。「膝関節は球関節であり」も誤りで、膝関節は主に屈曲伸展を行う関節であり、外転内転の可動域はごくわずかである。
HINT 着地で膝が内へ入ると前十字靱帯に負担がかかる。構造を知っていると動作指導の理由が説明できる。
- Q12#jg-an-012
下腿三頭筋に関する説明として正しいものはどれか。
- 1腓腹筋のみからなり、足関節の内反を主な働きとする
- 2腓腹筋とヒラメ筋からなり、腓腹筋は膝関節をまたぐため膝の角度で働き方が変わる正解
- 3腓腹筋とヒラメ筋からなり、いずれも膝関節をまたがないため膝の角度の影響を受けない
- 4前脛骨筋とヒラメ筋からなり、足関節の背屈に働く
Answer
正解 2:腓腹筋とヒラメ筋からなり、腓腹筋は膝関節をまたぐため膝の角度で働き方が変わる
下腿三頭筋は腓腹筋(内側頭・外側頭)とヒラメ筋からなり、いずれもアキレス腱を介して踵骨に付着して足関節の底屈に働く。このうち腓腹筋は大腿骨から起こって膝関節をまたぐ二関節筋のため、膝を曲げると張力を発揮しにくくなる。座位で行うカーフレイズがヒラメ筋に効きやすいのはこのためである。「いずれも膝関節をまたがない」は腓腹筋の起始を取り違えている。「前脛骨筋とヒラメ筋からなり、足関節の背屈に働く」は構成も作用も誤りで、背屈は前脛骨筋などが担う。「腓腹筋のみからなり、足関節の内反を主な働きとする」も構成と作用が誤りである。
HINT 立位カーフレイズと座位カーフレイズを使い分ける根拠。膝の角度で腓腹筋の関与が変わる。
- Q13#jg-an-013
主働筋・拮抗筋・協働筋の関係として正しいものはどれか。
- 1主働筋は反対の運動を起こす筋、拮抗筋は目的の運動を起こす筋、協働筋は運動に関与しない筋である
- 2主働筋と拮抗筋は同時に収縮することがないため、両者が同時に働く場面は存在しない
- 3協働筋は主働筋と同じ関節をまたぐ筋に限られ、関節を安定させる筋は含まれない
- 4主働筋は目的の運動を起こす筋、拮抗筋は反対の運動を起こす筋、協働筋は主働筋を助ける筋である正解
Answer
正解 4:主働筋は目的の運動を起こす筋、拮抗筋は反対の運動を起こす筋、協働筋は主働筋を助ける筋である
主働筋は目的とする運動を直接起こす筋、拮抗筋はその反対の運動を起こす筋、協働筋は主働筋の働きを助けたり不要な動きを抑えたりする筋である。「主働筋は反対の運動を起こす筋」は主働筋と拮抗筋が入れ替わっている。「同時に収縮することがない」も誤りで、関節を安定させる必要がある場面では主働筋と拮抗筋が同時に収縮する(共収縮)。「協働筋は主働筋と同じ関節をまたぐ筋に限られ、関節を安定させる筋は含まれない」も誤りで、関節を固定して運動を成立させる筋も協働筋として働く。
HINT 初心者が力むと共収縮が強く出て、かえって力が伝わらない。神経系の適応で減っていく現象。
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