運動と医学全34問・正解と解説つき
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目・ 公式テキスト第6章・ 分量 14%
救急処置法、スポーツ選手の整形外科的傷害と予防、生活習慣病とその予防。
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- Q01#jg-md-001
スポーツ外傷とスポーツ障害の違いとして正しいものはどれか。
- 1外傷は競技者にのみ生じ、障害は一般の運動実施者にのみ生じる
- 2外傷は一回の大きな外力によって生じ、障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じる正解
- 3外傷と障害は同じ意味であり、医療機関を受診したかどうかで呼び分ける
- 4外傷は繰り返しの負荷が蓄積して生じ、障害は一回の大きな外力によって生じる
Answer
正解 2:外傷は一回の大きな外力によって生じ、障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じる
スポーツ外傷は転倒や衝突など一回の大きな外力によって生じるもの(骨折、捻挫、肉離れなど)、スポーツ障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じるもの(疲労骨折、腱の障害、野球肘など)を指す。原因が違うため予防の方法も異なり、障害では総負荷量と休養の管理が中心になる。「外傷は繰り返しの負荷が蓄積して生じ」は両者が入れ替わっている。「外傷は競技者にのみ生じ、障害は一般の運動実施者にのみ」は誤りで、どちらもどちらにも起こる。「同じ意味であり、受診したかどうかで呼び分ける」も誤りで、発生の仕方による区別である。
HINT 「一発か、積み重ねか」。障害は練習量の設計で減らせる、というのが指導者の関わりどころ。
- Q02#jg-md-002
ハムストリングスの肉離れを受傷した競技者が、競技復帰に向けてトレーニングを再開する進め方として最も適切なものはどれか。
- 1あらかじめ組んだ日程に沿って等尺性・短縮性・伸張性を1日ずつこなし、痛みの出方は判断に入れない
- 2再受傷を避けるため、固定期間をできるだけ延ばしてから運動の再開を遅らせる
- 3痛みを許す範囲で軽い負荷から始め、等尺性から短縮性そして伸張性へと順に高めて競技動作へ戻す正解
- 4伸張性収縮は再受傷の危険が高いため、復帰の最後まで一切含めずに進める
Answer
正解 3:痛みを許す範囲で軽い負荷から始め、等尺性から短縮性そして伸張性へと順に高めて競技動作へ戻す
肉離れからの競技復帰では、痛みのない範囲で軽い負荷から始め、等尺性・短縮性・伸張性の順で負荷を段階的に高めながら、最終的に競技動作まで戻していくことが基本になる。伸張性収縮は再受傷のリスクが高い局面だが、球技や陸上競技の多くは伸張性収縮を伴う動作を含むため、復帰の最終段階では取り入れて耐性を高める必要がある。「伸張性収縮は再受傷の危険が高いため、復帰の最後まで一切含めずに進める」は、この段階を欠いたまま競技へ戻すことになり、かえって再受傷を招きやすい。「あらかじめ組んだ日程に沿って等尺性・短縮性・伸張性を1日ずつこなし、痛みの出方は判断に入れない」は、段階を進める速さを日程の側で決めてしまっており、痛みの推移を見ないまま負荷が先に進むため危険である。「再受傷を避けるため、固定期間をできるだけ延ばしてから運動の再開を遅らせる」も誤りで、必要以上の安静は筋力や柔軟性の低下を招き、かえって再受傷のリスクを高める。
HINT 収縮の様式を、筋への負担が小さい順に並べてから段階を組む。再受傷が怖い様式も、競技に含まれるなら最後には入れておく。
- Q03#jg-md-003
ハムストリングスの肉離れが起こりやすい局面として最も適切なものはどれか。
- 1座位で膝を屈曲させる、低負荷の短縮性収縮の局面
- 2ウォームアップ中の、静的ストレッチングを保持している局面
- 3静止した姿勢から、ゆっくり股関節を屈曲させる局面
- 4全力疾走の遊脚期後半など、伸張性収縮で大きな張力が加わる局面正解
Answer
正解 4:全力疾走の遊脚期後半など、伸張性収縮で大きな張力が加わる局面
ハムストリングスの肉離れは、全力疾走の遊脚期後半のように、筋が引き伸ばされながら大きな張力を発揮する伸張性収縮の局面で起こりやすい。脚が前へ振り出され、着地に向けて減速する場面が該当する。「静止した姿勢から、ゆっくり股関節を屈曲させる局面」は張力も速度も小さく、受傷の典型ではない。「座位で膝を屈曲させる、低負荷の短縮性収縮の局面」も同様である。「静的ストレッチングを保持している局面」は、痛みのない範囲で行えば大きな張力は加わらない。
HINT 「伸ばされながら強く働く」場面が危ない。スプリントの減速局面が典型。
- Q04#jg-md-004
足関節捻挫からの競技復帰に向けたトレーニング指導として最も適切なものはどれか。
- 1受傷した直後からジャンプ着地と方向転換の負荷を加え、腫れが引いた段階でバランス訓練に移る
- 2再受傷が心配なので、テーピングや装具には頼らず、自己の感覚だけを頼りに競技へ復帰させる
- 3腫れが引いたあとは筋力訓練を重ね、筋力が戻った段階で競技へ復帰させる
- 4痛みと腫れが落ち着いたら、バランス訓練と方向転換の負荷を段階的に増やして復帰させる正解
Answer
正解 4:痛みと腫れが落ち着いたら、バランス訓練と方向転換の負荷を段階的に増やして復帰させる
足関節捻挫からの競技復帰では、痛みと腫れが落ち着いた段階で、関節の位置感覚(固有受容感覚)を高めるバランス訓練を行い、方向転換やジャンプ着地といった負荷を段階的に増やしながら復帰させる。この過程を省くと再受傷を繰り返しやすい。「腫れが引いたあとは筋力訓練を重ね、筋力が戻った段階で競技へ復帰させる」は、鍛え直す中身が足りない。筋力が戻っても関節の位置感覚や方向転換への備えが抜けたままで、再受傷を繰り返しやすい。「受傷した直後からジャンプ着地と方向転換の負荷を加え、腫れが引いた段階でバランス訓練に移る」も誤りで、炎症の強い時期に関節へ大きな負荷をかけることになるうえ、鍛え直す順序も逆である。「再受傷が心配なので、テーピングや装具には頼らず、自己の感覚だけを頼りに競技へ復帰させる」も誤りで、復帰期にはテーピングや装具による補助を組み合わせることが再受傷予防に有効である。
HINT 捻挫を繰り返す人が失っているのは筋力より関節の位置感覚。痛みと腫れが引いたあと何を鍛え直すかで選ぶ。
- Q05#jg-md-005
膝前十字靱帯再建術後の競技復帰の判断において、トレーニング指導者が重視すべき指標として最も適切なものはどれか。
- 1健側と患側の筋力やホップ距離を比較した左右差の程度が、一定の水準に達しているかを確認する正解
- 2手術からの経過月数だけを基準とし、筋力や動作の左右差といった機能の検査は行わずに復帰させる
- 3それだけを根拠に、患側の可動域が健側を上回っていれば復帰を許可する
- 4患側を測って目安の値に届いていれば、健側との比較は省いてよい
Answer
正解 1:健側と患側の筋力やホップ距離を比較した左右差の程度が、一定の水準に達しているかを確認する
膝前十字靱帯再建術後の競技復帰では、経過月数だけでなく、健側と患側の筋力やホップ距離を比較した左右差の程度(Limb Symmetry Index)が一定の水準に達しているかを確認し、機能面から復帰の可否を判断する。「手術からの経過月数だけを基準とし、筋力や動作の左右差といった機能の検査は行わずに復帰させる」は、時間の経過だけで機能の回復を保証できないため誤りである。「それだけを根拠に、患側の可動域が健側を上回っていれば復帰を許可する」も誤りで、可動域が確保されても筋力やジャンプ能力の左右差が残っていれば再受傷のリスクは高いままである。「患側を測って目安の値に届いていれば、健側との比較は省いてよい」も誤りで、患側の値そのものだけでは受傷前の水準に戻ったかが分からず、健側と並べて左右差を見ることに意味がある。
HINT 経過した月数も、痛みがないという申告も、機能が戻った証拠にはならない。健側と比べて測れるものを探す。
- Q06#jg-md-006
ジュニア期(思春期前後)の競技者にレジスタンストレーニングを導入する際の指導方針として最も適切なものはどれか。
- 1骨端線を痛める危険があるため、思春期の間は一切行わせない
- 2身長の伸びが著しい時期ほど、筋力向上を急いで大きな負荷を優先して与える
- 3動作の習熟を待たず重い重量を扱わせ、実戦で使える筋力を早く獲得させる
- 4自体重や軽い負荷で動作を覚えさせ、習熟に応じて負荷を高める正解
Answer
正解 4:自体重や軽い負荷で動作を覚えさせ、習熟に応じて負荷を高める
ジュニア期にレジスタンストレーニングを導入する際は、まず自体重や軽い負荷で正しい動作(フォーム)を習得させ、習熟の程度に応じて段階的に負荷を高めていくのが基本になる。技術が伴わないまま負荷を上げると、傷害のリスクが高まるだけでなく効果的な刺激にもなりにくい。「動作の習熟を待たず重い重量を扱わせ、実戦で使える筋力を早く獲得させる」は、この順序を無視しており危険である。「身長の伸びが著しい時期ほど、筋力向上を急いで大きな負荷を優先して与える」も誤りで、身長が急激に伸びる時期は身体のバランスが変化し傷害のリスクが高まりやすいため、むしろ慎重な負荷設定が必要になる。「骨端線を痛める危険があるため、思春期の間は一切行わせない」も誤りで、適切に指導されたレジスタンストレーニングは思春期前後の競技者にも安全に行え、一律に禁止する根拠はない。
HINT 一律に禁止もしない、急いで重くもしない。負荷を上げる前に仕上げておくものがある、という順序で考える。
- Q07#jg-md-007
疲労骨折に関する説明として正しいものはどれか。
- 1一回の大きな外力によって生じ、受傷直後から歩行が不能になる
- 2骨に異常はなく筋の痛みであるため、練習を続けても問題はない
- 3繰り返しの負荷が骨に蓄積して生じ、初期は運動時のみ痛む正解
- 4成人にのみ生じ、成長期には起こらない
Answer
正解 3:繰り返しの負荷が骨に蓄積して生じ、初期は運動時のみ痛む
疲労骨折は、一回では骨折に至らない程度の負荷が繰り返し加わって蓄積することで生じる。初期には運動時のみの痛みとして現れ、休むと軽快するため見過ごされやすいが、続けると悪化する。「一回の大きな外力によって生じ、受傷直後から歩行が不能になる」は通常の骨折の説明である。「骨に異常はなく筋の痛みであるため、練習を続けても問題はない」は誤りで、骨の障害であり継続は悪化を招く。「成人にのみ生じ、成長期には起こらない」も誤りで、成長期にも起こる。
HINT 「運動すると痛いが休むと治る」が続くなら疑う。続けさせないのが指導者の判断。
- Q08#jg-md-008
脳振盪からの競技復帰プロトコル(段階的競技復帰)の進め方として最も適切なものはどれか。
- 1医療機関の許可を待たず、本人の体調の自己申告だけで各段階を進める
- 2症状が完全に消えるまでは歩行も含めて絶対安静とし、消えた日に実戦形式の練習へ戻す
- 3段階の途中で症状が再発しても、予定どおり次の段階へ先に進める
- 4症状を悪化させない範囲の活動から始め、各段階を24時間以上あけて強度を上げる正解
Answer
正解 4:症状を悪化させない範囲の活動から始め、各段階を24時間以上あけて強度を上げる
段階的競技復帰プロトコルでは、症状を悪化させない範囲の活動から始め、各段階をおおむね24時間以上あけながら、軽い有酸素運動から実戦形式の練習へと強度を上げていく。受傷直後に歩行も含めて絶対安静にすることは現在は勧められておらず、日常生活の範囲の活動は早い段階から許される。一方で、チーム環境での非接触のドリルから上の段階(頭部に接触する恐れのある種目別練習も含む)へ進む前には、脳振盪に関連する症状が完全に消えていることと医療者の許可が必要になる。「医療機関の許可を待たず、本人の体調の自己申告だけで各段階を進める」は誤りで、本人は症状を過小に申告しがちであり、医療者の評価を踏まえて進める必要がある。「症状が完全に消えるまでは歩行も含めて絶対安静とし、消えた日に実戦形式の練習へ戻す」も誤りで、絶対安静は回復を早めるものではなく、症状が消えた日にいきなり実戦形式へ戻すのは段階を大きく飛ばしている。「段階の途中で症状が再発しても、予定どおり次の段階へ先に進める」も誤りで、症状が出た場合は進めるのではなく前の段階に戻すのが原則である。
HINT 受傷直後から絶対安静にするのではない。始め方・段を上げる間隔・症状が出たときに向かう方向、の3点で絞る。
- Q09#jg-md-009
運動時の熱中症を予防するための環境の指標として用いられるものはどれか。
- 1気温のみ。体温調節は外気温だけで決まるとされる
- 2風速の値。気温や湿度よりも風の強さが体温を左右するとされる
- 3暑さ指数WBGT。気温に加え、湿度と輻射熱で評価する正解
- 4標高のみ。気圧が体温調節を決めるため、他の要素は考慮しない
Answer
正解 3:暑さ指数WBGT。気温に加え、湿度と輻射熱で評価する
熱中症の予防では暑さ指数(WBGT)が用いられ、気温だけでなく湿度と輻射熱を組み合わせて評価する。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、蒸発による放熱が働かなくなるため、気温だけでは危険度を判断できない。「気温のみ。体温調節は外気温だけで決まるとされる」は誤りで、同じ気温でも湿度が高ければ危険度は大きく変わる。「風速の値」も誤りで、風は対流と蒸発に影響するが単独の指標にはならない。「標高のみ」も熱中症の指標として用いられない。
HINT 湿度が高いと汗が蒸発できず体温が下がらない。だから気温だけでは判断できない。
- Q10#jg-md-010
運動施設でトレーニング指導者が質の高い胸骨圧迫を維持するための工夫として最も適切なものはどれか。
- 1疲労のために圧迫が浅くなってきても、担当はそのまま同じ人が最後まで続ける
- 2圧迫のリズムはそのつど指導者本人の感覚に任せる
- 3深さと速さがガイドラインの範囲を保てているか、メトロノームで確認する正解
- 4呼吸の確認をていねいに行い、圧迫の開始を急がないようにする
Answer
正解 3:深さと速さがガイドラインの範囲を保てているか、メトロノームで確認する
運動施設で質の高い胸骨圧迫を維持するには、圧迫の深さと速さがガイドラインの示す範囲(深さ約5cm・速さ毎分100〜120回)を保てているかを、メトロノームや音声ガイドを使って客観的に確認する工夫が有効である。感覚だけに頼ると、疲労とともに圧迫が浅く遅くなりやすい。「疲労のために圧迫が浅くなってきても、担当はそのまま同じ人が最後まで続ける」は誤りで、疲労により圧迫の質が落ちるため、複数人で役割を交代しながら行うのが基本になる。「圧迫のリズムはそのつど指導者本人の感覚に任せる」も誤りで、感覚だけでは速さと深さを一定に保つのは難しい。「呼吸の確認をていねいに行い、圧迫の開始を急がないようにする」も誤りで、心停止が疑われる場面では呼吸の確認を簡潔に済ませ、胸骨圧迫を速やかに開始することが優先される。
HINT 感覚だけに頼ると、疲れるほど浅く遅くなる。ガイドラインどおりかを自分の外で確かめる手だてを選ぶ。
- Q11#jg-md-011
AEDが設置されていない場所(公園や利用者の自宅など)でパーソナルトレーニングを行う際の心停止への備えとして最も適切なものはどれか。
- 1AEDが近くにないため、心停止が疑われても心肺蘇生は行わずに救急隊の到着を待つ
- 2指導開始前に最寄りのAED設置場所と、119番の際に伝える住所を確認しておく正解
- 3屋外や自宅では心停止は起こりにくいため、事前の確認は特に必要ない
- 4AEDが届くまでの2分間は圧迫を中断し、体力を温存しておくよう努める
Answer
正解 2:指導開始前に最寄りのAED設置場所と、119番の際に伝える住所を確認しておく
AEDが常設されていない場所でパーソナルトレーニングを行う場合、指導開始前に最寄りのAED設置場所を把握し、119番通報の際に伝える正確な住所や目印を確認しておくことが備えになる。心停止は場所を選ばずに起こりうるため、屋外や自宅であっても事前の準備が必要である。「屋外や自宅では心停止は起こりにくいため、事前の確認は特に必要ない」は誤りで、発生する場所を選ばない。「AEDが近くにないため、心停止が疑われても心肺蘇生は行わずに救急隊の到着を待つ」も誤りで、AEDの有無にかかわらず胸骨圧迫を直ちに開始すべきである。「AEDが届くまでの2分間は圧迫を中断し、体力を温存しておくよう努める」も誤りで、圧迫の中断は血流を止め、生存率を大きく下げる。
HINT 心停止は場所を選ばない。AEDが手元に無い現場で、指導を始める前に調べておけることは何かで選ぶ。
- Q12#jg-md-012
トレーニング指導者が競技者の突然死リスクを管理するうえで注意すべき点として最も適切なものはどれか。
- 1体力の高い競技者では発症しないため、メディカルチェックを省略してよい
- 2冬季は発症しにくいため、寒い時期は問診や体調確認を簡略化してよい
- 3既往歴がなければ運動中に胸部症状が出ても様子を見て練習を続けさせる
- 4慣れない高強度の運動を急に課すと危険なため、強度は徐々に上げる正解
Answer
正解 4:慣れない高強度の運動を急に課すと危険なため、強度は徐々に上げる
運動中の突然死は、慣れない高強度の運動を急に負荷として課した際にリスクが高まることが知られており、トレーニング指導者は強度を段階的に、徐々に上げていくことでリスクを管理する。「体力の高い競技者では発症しないため、メディカルチェックを省略してよい」は誤りで、基礎心疾患は体力の高い競技者にも潜んでいることがあり、体力とは無関係に起こりうる。「冬季は発症しにくいため、寒い時期は問診や体調確認を簡略化してよい」も誤りで、急激な温度変化はむしろ心血管系への負担を高める要因になる。「既往歴がなければ運動中に胸部症状が出ても様子を見て練習を続けさせる」も誤りで、胸部症状は突然死の前兆でありうるため、既往歴の有無にかかわらず運動を中止して医療機関の受診を促すべきである。
HINT 体力の高さや季節で免れるものではない。指導者が手を入れられるのは、負荷の上げ方そのもの。
- Q13#jg-md-013
生活習慣病のある対象者にトレーニングを指導する際の基本的な姿勢として最も適切なものはどれか。
- 1生活習慣病のある者には運動を勧めず、薬物療法のみを支持する
- 2服薬の内容に応じて、本人に服薬量の調整を助言する
- 3診断名と検査値から自ら運動の可否を判断し、医師への確認は行わない
- 4医学的な管理の状況を確認し、医師と連携する正解
Answer
正解 4:医学的な管理の状況を確認し、医師と連携する
生活習慣病のある対象者では、医学的な管理の状況(診断、服薬、合併症の有無)を確認し、必要に応じて医師の指示を踏まえたうえで運動の内容を組み立てる。「診断名と検査値から自ら運動の可否を判断し、医師への確認は行わない」は、トレーニング指導者の役割を超える。「生活習慣病のある者には運動を勧めず、薬物療法のみを支持する」も誤りで、運動療法は生活習慣病の改善において基本的な位置を占める。「服薬の内容に応じて、本人に服薬量の調整を助言する」は医行為にあたり、行ってはならない。
HINT 「確認する・連携する・踏み越えない」。有疾患者を扱うときの線引きは指導者共通。
- Q14#jg-md-014
成長期の競技者に多い『腰椎分離症』についての説明として最も適切なものはどれか。
- 1一回の転倒や衝突で腰椎そのものが折れる急性外傷であり、安静にすれば数日で痛みが消えるとされる
- 2腰椎の一部に生じる疲労骨折であり、腰を反らす、あるいはひねる動作の繰り返しが誘因になる正解
- 3成長期を過ぎた選手に特有の障害であり、成長期の選手にはほとんどみられない
- 4痛みが軽ければ競技を継続してよく、画像による確認は回復後に行えば足りる
Answer
正解 2:腰椎の一部に生じる疲労骨折であり、腰を反らす、あるいはひねる動作の繰り返しが誘因になる
腰椎分離症は、腰椎の関節突起間部と呼ばれる部分に生じる疲労骨折で、腰を反らす動作やひねる動作を繰り返す競技(体操競技、野球の投球動作、槍投げなど)を行う成長期の競技者に多くみられる。「一回の転倒や衝突で腰椎そのものが折れる急性外傷であり、安静にすれば数日で痛みが消えるとされる」は誤りで、一度の外力ではなく繰り返しの負荷によって生じる疲労骨折であり、骨癒合には数か月の単位で時間がかかるとされる。「成長期を過ぎた選手に特有の障害であり、成長期の選手にはほとんどみられない」も誤りで、骨の未成熟な成長期の選手に多い。「痛みが軽ければ競技を継続してよく、画像による確認は回復後に行えば足りる」も誤りで、早期に画像検査で確認し、骨癒合が期待できる時期であれば動作の制限を含めた対応をとることが望ましいとされる。
HINT 腰を反らす・ひねる動作の繰り返しが誘因。腰痛の中でも成長期に特有の一つ。
- Q15#jg-md-015
成長期にみられる『オスグッド・シュラッター病』の特徴として最も適切なものはどれか。
- 1膝のすぐ下の骨の出っ張りに痛みと腫れが生じ、活動量の多い子どもに多い正解
- 2痛みが出ている間は大腿四頭筋を使わせないことが要点で、活動量の調整は要らない
- 3一度発症すると、骨の成長がすっかり終わったあとも痛みがずっと続くことが大半であるとされる
- 4膝の内側にある靱帯が完全に断裂する外傷であり、成長期以外の年代にも同じ頻度で生じるとされる
Answer
正解 1:膝のすぐ下の骨の出っ張りに痛みと腫れが生じ、活動量の多い子どもに多い
オスグッド・シュラッター病は、膝のすぐ下にある脛骨粗面という骨の出っ張りに、大腿四頭筋の牽引による負荷が繰り返し加わって生じる成長期特有の障害で、痛みと腫れが特徴となる。ジャンプや走行の多いスポーツを行う成長期の子どもに多くみられ、活動量の調整と大腿四頭筋のストレッチングが対応に含まれる。「痛みが出ている間は大腿四頭筋を使わせないことが要点で、活動量の調整は要らない」は対応の中身が片寄っており、ジャンプや走行の量そのものを調整することと、大腿四頭筋のストレッチングの両方が対応に含まれる。「一度発症すると、骨の成長がすっかり終わったあとも痛みがずっと続くことが大半であるとされる」も誤りで、多くは成長が終わる時期にあわせて症状が落ち着くとされる。「膝の内側にある靱帯が完全に断裂する外傷であり、成長期以外の年代にも同じ頻度で生じるとされる」も誤りで、靱帯の断裂ではなく、成長期に特有の障害である。
HINT 膝の『下』の骨の出っ張りが腫れて痛む。ジャンプ・ダッシュの多い成長期の子どもに多い。
- Q16#jg-md-016
成長期の投手にみられる『野球肘(内側型)』の予防として、投球数の管理に関する説明はどれか。
- 1球数の目安は年代によって異なり、小学生では日々の上限が高校生より低く設定される正解
- 2痛みが出ていなければ、投球数をどれだけ増やしても肘への負担は変わらない
- 3投球数の管理は肩の障害の予防に限って意味をもち、肘の障害は投球動作の形だけで決まる
- 4投球数の上限は年代にかかわらず一律の基準で管理すればよいとされる
Answer
正解 1:球数の目安は年代によって異なり、小学生では日々の上限が高校生より低く設定される
野球肘(内側型)は投球動作の繰り返しによって肘の内側に負荷が蓄積して生じるオーバーユース障害で、投球数を制限することが予防につながる。国内の提言では、骨の未成熟な小学生ほど1日あたりの投球数の上限を低く設定し、中学生・高校生と年代が上がるにつれて上限を高くする目安が示されている。「痛みが出ていなければ、投球数をどれだけ増やしても肘への負担は変わらない」は誤りで、自覚症状が出る前から負担は蓄積している。「投球数の管理は肩の障害の予防に限って意味をもち、肘の障害は投球動作の形だけで決まる」も誤りで、動作の形だけでなく投球数そのものが、野球肘(内側型)と関連が明らかにされている代表的な危険因子である。「投球数の上限は年代にかかわらず一律の基準で管理すればよいとされる」も誤りで、年代によって目安は異なる。
HINT 投球数の目安は『年代が下がるほど厳しく』設定される。一律ではない。
- Q17#jg-md-017
アキレス腱症など腱の慢性障害を抱えたまま運動を継続する場合の、負荷の調整方法として最も適切なものはどれか。
- 1運動を完全に休むことだけが答えではなく、運動中と翌朝の痛みを見ながら維持と軽減を判断する正解
- 2痛みの程度にかかわらず、あらかじめ決めておいた負荷を毎回そのまま機械的にこなす
- 3運動中の痛みだけを基準にし、翌日以降に痛みが残っているかは特に考えに入れないでよい
- 4痛みが少しでもあれば、他の対応をとらずに競技を完全に中止する
Answer
正解 1:運動を完全に休むことだけが答えではなく、運動中と翌朝の痛みを見ながら維持と軽減を判断する
腱の慢性障害を抱えながら運動を続ける場合、運動中の痛みの程度に加えて翌朝まで痛みが持ち越されていないかを確認し、痛みの悪化がなければ負荷を維持し、強まっていれば負荷を下げるというように、痛みの推移を手がかりに負荷を調整する考え方が用いられる。「痛みの程度にかかわらず、あらかじめ決めておいた負荷を毎回そのまま機械的にこなす」は誤りで、痛みの状態を見ずに負荷を固定すると悪化を招きかねない。「運動中の痛みだけを基準にし、翌日以降に痛みが残っているかは特に考えに入れないでよい」も誤りで、翌日への持ち越しも重要な手がかりである。「痛みが少しでもあれば、他の対応をとらずに競技を完全に中止する」も誤りで、腱の慢性障害では痛みの範囲内で運動を継続しながら段階的に負荷を調整することが多い。
HINT 手がかりは『運動中』と『翌朝』の2つの痛み。両方を見て負荷を上げ下げする。
- Q18#jg-md-018
股関節の深い屈曲を繰り返す競技(ウエイトリフティング、格闘技など)でみられる、股関節前面の痛みを特徴とする障害について、最も適切な説明はどれか。
- 1股関節ではなく膝関節にだけ生じる障害であり、股関節前面には症状が現れない
- 2股関節の障害は皮下組織だけではなく、骨のぶつかり合いに関わる障害である正解
- 3深い屈曲の繰り返しで股関節まわりの筋が硬くなり、腱が骨をこすって生じるため、筋を緩めれば痛みは消える
- 4股関節の外側の皮下組織だけに生じる障害で、深くしゃがむほど痛みは和らいでいく
Answer
正解 2:股関節の障害は皮下組織だけではなく、骨のぶつかり合いに関わる障害である
股関節の骨の形状に個人差があり、大腿骨と寛骨臼が深い屈曲やひねりの動作の際にぶつかり合うことで股関節前面に痛みが生じる障害が知られており、深い屈曲を繰り返すウエイトリフティングや格闘技などの競技でみられることがある。「股関節ではなく膝関節にだけ生じる障害であり、股関節前面には症状が現れない」は誤りで、股関節前面に症状が現れる障害である。「深い屈曲の繰り返しで股関節まわりの筋が硬くなり、腱が骨をこすって生じるため、筋を緩めれば痛みは消える」も誤りで、繰り返しが誘因である点は合っているが、骨どうしのぶつかり合いが痛みの出どころである以上、筋を緩めるだけで消えるものではない。「股関節の外側の皮下組織だけに生じる障害で、深くしゃがむほど痛みは和らいでいく」も誤りで、関節の内部の構造に関わる障害であり、深い屈曲でこそ痛みが強まる。
HINT 『骨どうしのぶつかり合い』が鍵。深くしゃがむ・ひねる動作の多い競技で疑う。
- Q19#jg-md-019
急性:慢性ワークロード比(ACWR)という考え方をトレーニング負荷の管理に用いる目的として最も適切なものはどれか。
- 1数値が高いほど望ましいとされ、上限を超えて高めることを目指す
- 2その日1回のトレーニングだけを対象とし、過去の負荷とは比べずに強度を決める
- 3直近の負荷と、それ以前の一定期間の平均的な負荷とを比べ、急激な増加を把握する正解
- 4心拍数のみから算出される値で、走行距離や挙上重量などの負荷は考えに入れない
Answer
正解 3:直近の負荷と、それ以前の一定期間の平均的な負荷とを比べ、急激な増加を把握する
急性:慢性ワークロード比は、直近(多くは1週間程度)の急性の負荷と、それ以前の一定期間(多くは4週間程度)の慢性的な平均負荷とを比較し、負荷が急激に増加していないかを把握する考え方で、負荷の管理を通じたオーバーユース障害の予防に用いられる。「数値が高いほど望ましいとされ、上限を超えて高めることを目指す」は誤りで、急激な増加はむしろ傷害のリスクを高めるとされる。「その日1回のトレーニングだけを対象とし、過去の負荷とは比べずに強度を決める」も誤りで、直近の負荷とそれ以前の負荷を比較する点が要である。「心拍数のみから算出される値で、走行距離や挙上重量などの負荷は考えに入れない」も誤りで、走行距離や挙上重量、主観的運動強度など、さまざまな指標をもとに負荷を数値化して用いる。
HINT 比べているのは『最近の負荷』と『それ以前の平均的な負荷』。急な増え方に注目する。
- Q20#jg-md-020
痛み止めとして非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を常用する競技者に対して、トレーニング指導者が留意すべき点として最も適切なものはどれか。
- 1脱水のときは腎臓へ流れる血液がかえって増えるので、水分が不足しているときこそ服用を勧める
- 2常用によって組織の修復が速まるとされるため、負荷を積極的に高めるべきである
- 3痛みの感覚を薄れさせている可能性があるため、無症状に見えても負荷を急に高めない正解
- 4消化管や腎臓への負担は長期の服用でのみ生じるので、大会期間中の連用なら量は気にしなくてよい
Answer
正解 3:痛みの感覚を薄れさせている可能性があるため、無症状に見えても負荷を急に高めない
非ステロイド性抗炎症薬は痛みや炎症を抑える一方で、痛みという身体からの警告信号そのものを薄れさせるため、常用している競技者では無症状に見えても実際の組織の状態を見誤りやすく、負荷を急に高めることは避けるべきである。「脱水のときは腎臓へ流れる血液がかえって増えるので、水分が不足しているときこそ服用を勧める」は誤りで、この薬は腎臓の血流を保つ働きを妨げる方向に作用するため、脱水状態では腎臓への負担がさらに大きくなるとされる。「常用によって組織の修復が速まるとされるため、負荷を積極的に高めるべきである」も誤りで、組織の修復を積極的に速める薬ではない。「消化管や腎臓への負担は長期の服用でのみ生じるので、大会期間中の連用なら量は気にしなくてよい」も誤りで、消化管や腎臓への負担は服用の期間が短くても起こりうる注意点である。
HINT 痛み止めは『痛みという警告灯』を弱める薬でもある。負荷を上げる根拠にはならない。
- Q21#jg-md-021
花粉症治療などで抗ヒスタミン薬を服用中の競技者に対する、暑熱環境でのトレーニング指導上の注意として最も適切なものはどれか。
- 1体温調節と無関係な薬ではなく、発汗が抑えられて熱がこもりやすくなることに注意する正解
- 2服用中は発汗量がかえって著しく増えるため、水分摂取量を通常よりも減らす必要があるとされる
- 3眠気を生じる種類の薬でも、体を動かしていれば覚醒が保たれるので反応の遅れは出ない
- 4熱がこもりやすくなるのは服用した直後だけなので、数時間おいてから動けば配慮は要らない
Answer
正解 1:体温調節と無関係な薬ではなく、発汗が抑えられて熱がこもりやすくなることに注意する
一部の抗ヒスタミン薬には汗腺の働きを抑える作用があり、服用中は発汗による体温調節が働きにくくなることがあるため、暑熱環境でのトレーニングでは熱がこもりやすくなる点に注意が必要である。加えて眠気を生じやすい種類では、集中力や反応の低下にも留意する。「服用中は発汗量がかえって著しく増えるため、水分摂取量を通常よりも減らす必要があるとされる」は誤りで、発汗が増えるのではなく抑えられる方向であり、水分摂取を減らす理由にもならない。「眠気を生じる種類の薬でも、体を動かしていれば覚醒が保たれるので反応の遅れは出ない」も誤りで、運動している最中であっても眠気や反応の遅れとして現れうる。「熱がこもりやすくなるのは服用した直後だけなので、数時間おいてから動けば配慮は要らない」も誤りで、作用の続く時間は薬の種類や個人によって幅があり、服用からの時間だけを根拠に配慮を省くことはできない。
HINT 発汗を抑える作用がある薬もある。汗が出にくい=体温が下がりにくい、とつながる。
- Q22#jg-md-022
利尿薬を服用中の競技者が高強度・長時間のトレーニングを行う際に、トレーニング指導者が留意すべき点として最も適切なものはどれか。
- 1服用していても、涼しい環境での運動であれば脱水は進みにくいので、水分の計画は立てなくてよい
- 2服用中はかえって体内に水分がたまりやすくなるため、水分摂取を控えるよう強く促す
- 3薬の作用によって脱水や電解質の異常が起こりやすくなっており、通常より慎重な水分管理が必要になる正解
- 4利尿薬で失われるのは水分だけであり、電解質は通常どおりの食事で自然に補えるとされる
Answer
正解 3:薬の作用によって脱水や電解質の異常が起こりやすくなっており、通常より慎重な水分管理が必要になる
利尿薬は体内の水分やナトリウムなどの電解質の排出を促す薬であり、服用中に高強度・長時間の運動で発汗が加わると、脱水や電解質の異常がより起こりやすくなる。トレーニング指導者は通常より慎重な水分管理と体調の観察を行う必要がある。「服用していても、涼しい環境での運動であれば脱水は進みにくいので、水分の計画は立てなくてよい」は誤りで、薬による排出は環境の涼しさでは止まらず、長時間の運動であれば涼しい環境でも脱水は進みうる。「服用中はかえって体内に水分がたまりやすくなるため、水分摂取を控えるよう強く促す」も誤りで、体内の水分は失われやすい方向に働く。「利尿薬で失われるのは水分だけであり、電解質は通常どおりの食事で自然に補えるとされる」も誤りで、失われるのは水分だけではなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質もあわせて排出される。
HINT 利尿薬は『水分を出す』薬。発汗という同じ方向の負荷が重なる点に注意する。
- Q23#jg-md-023
運動を始めて体温が上昇するにつれて、かゆみを伴う小さな発疹が全身に現れる『コリン性蕁麻疹』についての説明として最も適切なものはどれか。
- 1汗そのものに触れた皮膚が荒れて生じるもので、汗を拭き取れば防げる
- 2運動を継続すればするほど発疹は必ず重症化し、軽快することはない
- 3体温の上昇や発汗そのものが誘因となり、食物の摂取を伴わなくても生じうる正解
- 4特定の食物を摂ったあとに運動をした場合に限って生じ、食物を伴わなければ起こらない
Answer
正解 3:体温の上昇や発汗そのものが誘因となり、食物の摂取を伴わなくても生じうる
コリン性蕁麻疹は、運動による体温の上昇や発汗そのものが刺激となって生じる蕁麻疹で、入浴や精神的な緊張による体温上昇でも起こりうる。特定の食物の摂取を伴わなくても発症する点で、食物の摂取と運動の組み合わせが条件となる食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは区別される。「汗そのものに触れた皮膚が荒れて生じるもので、汗を拭き取れば防げる」は誘因を皮膚への接触に取り違えており、発汗をうながす体温の上昇そのものが引き金になるため、拭き取るだけでは防げない。「運動を継続すればするほど発疹は必ず重症化し、軽快することはない」も誤りで、運動を中止して体温が下がれば軽快することが多い。「特定の食物を摂ったあとに運動をした場合に限って生じ、食物を伴わなければ起こらない」も誤りで、この説明はコリン性蕁麻疹ではなく食物依存性運動誘発アナフィラキシーの特徴に近い。
HINT 『食べたかどうか』を問わず、体温が上がれば出る。ここが食物依存性のタイプとの分かれ目。
- Q24#jg-md-024
運動開始前に用いる質問票(PAR-Q+など)でリスクを示す回答があった場合の、トレーニング指導者の対応として最も適切なものはどれか。
- 1質問票の回答はあくまで参考情報にとどまり、その後の対応を変える必要は生じない
- 2陽性の回答があった時点で、以後いかなる運動も永続的に禁止する
- 3本人が運動したいと希望すれば、陽性の回答があっても直ちに高強度の運動を許可する
- 4陽性の回答があった項目は確認を後回しにせず、医師への確認を経るまで強度を抑えて様子を見る正解
Answer
正解 4:陽性の回答があった項目は確認を後回しにせず、医師への確認を経るまで強度を抑えて様子を見る
運動開始前に用いる質問票でリスクを示す回答があった場合、トレーニング指導者はその項目について医師への確認を経るまで、運動の強度を抑えるなど慎重な対応をとることが求められる。医学的な許可の判断そのものは指導者の役割を超える。「質問票の回答はあくまで参考情報にとどまり、その後の対応を変える必要は生じない」は誤りで、陽性の回答は対応を変えるべき手がかりである。「陽性の回答があった時点で、以後いかなる運動も永続的に禁止する」も誤りで、医師の確認を経て問題がなければ運動を継続できる場合が多く、永続的な禁止とは限らない。「本人が運動したいと希望すれば、陽性の回答があっても直ちに高強度の運動を許可する」も誤りで、本人の希望だけで医学的なリスクの確認を省略してはならない。
HINT 陽性の回答=即禁止でも即許可でもない。『確認するまでは慎重に』が指導者の立ち位置。
- Q25#jg-md-025
インスリンを使用している1型糖尿病のある競技者が、長時間・高強度のトレーニングを行う際の対応として最も適切なものはどれか。
- 1運動の強度や時間にかかわらず、補食の内容とタイミングはつねに一定でよい
- 2インスリンを使用している者は血糖値が下がる心配がないため、補食の計画は不要である
- 3運動による血糖値の低下を軽視せず、補食の量とタイミングを計画しておく正解
- 4運動中に低血糖の徴候が現れても、練習の区切りがつくまでは対応を待つ
Answer
正解 3:運動による血糖値の低下を軽視せず、補食の量とタイミングを計画しておく
運動はインスリンの働きを高める方向に作用し、長時間・高強度のトレーニングでは低血糖が起こりやすくなるため、運動前後や運動中の補食のタイミングと量をあらかじめ計画しておくことが対応の基本になる。「運動の強度や時間にかかわらず、補食の内容とタイミングはつねに一定でよい」は誤りで、運動の強度や時間に応じて必要な補食は変わる。「インスリンを使用している者は血糖値が下がる心配がないため、補食の計画は不要である」も誤りで、インスリンを使用している場合はむしろ低血糖のリスクが高い。「運動中に低血糖の徴候が現れても、練習の区切りがつくまでは対応を待つ」も誤りで、低血糖の徴候が現れたら速やかに補食するなどの対応をとる必要がある。
HINT 運動はインスリンの効きを強める方向に働く。だから低血糖への備えが要る。
- Q26#jg-md-026
標高の高い場所でトレーニングを行う際に起こりうる急性高山病についての説明として最も適切なものはどれか。
- 1若い競技者ほど発症しにくいとされ、年齢が低ければ事前の対策は要らない
- 2頭痛を中心とする症状はいっさい現れることがなく、もっぱら関節の痛みとしてのみ自覚されるとされる
- 3体力があっても軽視はできず、悪化すれば標高を下げる対応が基本になる正解
- 4症状が現れても、そのまま標高を上げて活動を続けることが回復への近道になる
Answer
正解 3:体力があっても軽視はできず、悪化すれば標高を下げる対応が基本になる
急性高山病は標高の高い場所への到達にともなって起こりやすく、頭痛を中心に消化器症状や倦怠感、めまいなどをともなうことがある。症状が悪化する場合は、それ以上標高を上げず、必要に応じて標高を下げることが対応の基本になる。「若い競技者ほど発症しにくいとされ、年齢が低ければ事前の対策は要らない」は誤りで、若年者でむしろ発症しやすいという報告があり、体力の高さも予防にはならない。発症を左右する主な要因は登る速さ、到達する標高、過去の発症歴である。「頭痛を中心とする症状はいっさい現れることがなく、もっぱら関節の痛みとしてのみ自覚されるとされる」も誤りで、頭痛が中心的な症状である。「症状が現れても、そのまま標高を上げて活動を続けることが回復への近道になる」も誤りで、症状がある間はそれ以上標高を上げてはならないとされる。
HINT 分かれ目は『それ以上、標高を上げるかどうか』。上げ続けると悪化しうる。
- Q27#jg-md-027
脂質異常症の治療でコレステロールを下げる薬を服用している対象者が、トレーニングを始めてから筋の痛みと力の入りにくさを訴えた場合、トレーニング指導者の対応として最も適切なものはどれか。
- 1トレーニングによる筋肉痛と切り分けて、服薬との関わりを医師に確かめる正解
- 2トレーニングの負荷に慣れきる前の段階と捉え、同じ内容を続けて変わり方をみる
- 3服薬の量を減らしてもらうよう本人に提案し、痛みの引き方を確かめる
- 4痛む部位を強く揉みほぐして血流を促し、その日の内容を進める
Answer
正解 1:トレーニングによる筋肉痛と切り分けて、服薬との関わりを医師に確かめる
コレステロールを下げる薬には、筋の痛みや力の入りにくさが現れることがある。運動を始めた時期と重なると判別がつきにくいため、トレーニングによる筋肉痛と切り分けて、服薬との関わりを医師に確かめてもらうのが指導者の立ち位置になる。「同じ内容を続けて変わり方をみる」は、確かめる機会を先送りする対応で適切ではない。「服薬の量を減らしてもらうよう本人に提案し」は、薬の調整という指導者の立場を超えた判断にあたる。「痛む部位を強く揉みほぐして血流を促し」も、原因が確かめられていない段階の手当てとして適切ではない。
HINT 運動を始めた時期と重なると見分けがつかない。薬の側の可能性を残して医療につなぐ。
- Q28#jg-md-028
健診で尿酸値の高さを指摘され、以前に足の親指の付け根が激しく痛んだ経験のある対象者への運動の勧め方として最も適切なものはどれか。
- 1息を詰めて力を出し切る高重量の種目を軸に置き、短い時間で終わる内容にまとめる
- 2歩行や自転車こぎなどの中程度の有酸素運動を軸に、水分を摂りながら続ける正解
- 3関節の痛みが激しい時期にも、こわばりを防ぐために関節を動かし続けてもらう
- 4汗から尿酸を押し出す狙いで、水分を控えたまま長い時間走ってもらう
Answer
正解 2:歩行や自転車こぎなどの中程度の有酸素運動を軸に、水分を摂りながら続ける
尿酸値が高い者への運動は、歩行や自転車こぎのような中程度の有酸素運動を軸に置き、脱水を避けるため水分を摂りながら続けるのが基本とされる。「息を詰めて力を出し切る高重量の種目」は、無酸素的な代謝が進んで血中の乳酸が増え、尿酸の排出が妨げられる方向に働くため軸には置けない。「関節の痛みが激しい時期にも、こわばりを防ぐために関節を動かし続けてもらう」は、炎症が強い時期の対応として適切ではない。「汗から尿酸を押し出す狙いで、水分を控えたまま」は誤りで、脱水は尿酸値を上げる方向に働く。
HINT 軸は中程度の有酸素運動と水分。息を詰めて出し切る運動は逆に働く。
- Q29#jg-md-029
健診で脂肪肝を指摘された対象者に、運動の意義を説明する内容として最も適切なものはどれか。
- 1体重が目標まで落ちた時点で肝臓の脂肪も戻るので、運動は体重が動き始めてから加える
- 2肝臓の脂肪は食事の中身で決まるため、運動は体力づくりとして別に考える
- 3体重が大きく落ちる前の段階でも、運動を続けることで肝臓の脂肪が減る方向に働くと報告されている正解
- 4肝臓の脂肪は運動の強度が高いほど落ちやすいので、初回から息が上がる強度で始める
Answer
正解 3:体重が大きく落ちる前の段階でも、運動を続けることで肝臓の脂肪が減る方向に働くと報告されている
脂肪肝に対する運動は、体重の減りがまだ小さい段階でも肝臓にたまった脂肪や肝機能の指標が改善する方向に働くことが報告されている。だからこそ体重が動く前から続ける意味がある。「体重が目標まで落ちた時点で肝臓の脂肪も戻るので」は、順序を取り違えている。「肝臓の脂肪は食事の中身で決まるため」も誤りで、運動そのものが肝臓の脂肪を減らす側に働く。「運動の強度が高いほど落ちやすいので、初回から息が上がる強度で始める」も誤りで、続けられる強度から始めることが前提になる。
HINT 体重計の数字が動く前から、肝臓の側では変化が起きている。
- Q30#jg-md-030
肥満のある対象者が、大きないびきと日中の強い眠気を訴えている場合のトレーニング指導者の対応として最も適切なものはどれか。
- 1眠気は運動の不足から来ると判断し、高い強度の運動で生活のリズムを立て直す
- 2睡眠の質を上げる狙いで、就寝の直前に強い運動を入れる習慣をつけてもらう
- 3いびきは体格による個人差と捉え、減量が進むまで今の内容を続ける
- 4睡眠中の呼吸の問題が隠れている可能性を伝え、医療機関への相談を促す正解
Answer
正解 4:睡眠中の呼吸の問題が隠れている可能性を伝え、医療機関への相談を促す
大きないびきと日中の強い眠気が重なる場合は、睡眠中に呼吸が止まる状態が隠れていることがあり、運動で解決を図る前に医療機関への相談を促すのが指導者の立ち位置になる。「眠気は運動の不足から来ると判断し、高い強度の運動で」は、原因を確かめないまま負荷を上げる対応で危うい。「就寝の直前に強い運動を入れる習慣をつけてもらう」も誤りで、就寝直前の強い運動は入眠を妨げる方向に働く。「体格による個人差と捉え、減量が進むまで今の内容を続ける」は、確かめる機会を見送ることになる。
HINT いびきと日中の眠気が重なったら、運動で片づける前に医療へつなぐ。
- Q31#jg-md-031
歩き続けると下肢に痛みやしびれが出て、前かがみで少し休むとまた歩けるようになる中高年の対象者について、最も適切な説明はどれか。
- 1腰を反らす姿勢で症状が出やすく、前傾になる自転車こぎが向く正解
- 2腰を丸める姿勢で症状が強まるため、背すじを反らしたまま歩く練習を重ねる
- 3下肢の血管の流れが悪くて生じるので、下肢の血流を促す運動を中心にする
- 4痛みが出た時点で運動を取りやめ、以後は歩く機会を減らしていく
Answer
正解 1:腰を反らす姿勢で症状が出やすく、前傾になる自転車こぎが向く
歩行で下肢の痛みやしびれが出て、前かがみで休むとまた歩けるようになる症状は、腰部で神経の通る空間が狭くなる状態でみられる。腰を反らす姿勢で症状が出やすく、前傾姿勢になる自転車こぎは続けやすい運動として向く。「腰を丸める姿勢で症状が強まるため、背すじを反らしたまま」は逆で、丸める姿勢のほうが楽になりやすい。「下肢の血管の流れが悪くて生じるので」も誤りで、血管の流れによる症状では前かがみで休むと楽になるという特徴が説明できない。「痛みが出た時点で運動を取りやめ」も適切ではなく、症状の出ない範囲の運動は続ける余地がある。
HINT 前かがみで楽になるかどうかが分かれ目。だから自転車は続けやすい。
- Q32#jg-md-032
けがの覚えがないまま肩を上げる動きが広い範囲で制限され、夜間の痛みで目が覚めると訴える中高年の対象者について、考えられる状態と指導者の対応として最も適切なものはどれか。
- 1腱が切れている状態と判断し、肩を動かす運動を取りやめて安静を保ってもらう
- 2肩を包む組織の炎症と硬さが疑われ、痛みの手前までの範囲で動きを保ちながら受診を促す正解
- 3可動域を早く取り戻すため、痛みを我慢させて関節を強く押し広げる
- 4首から来る神経の症状と見立て、首を伸ばす運動に切り替える
Answer
正解 2:肩を包む組織の炎症と硬さが疑われ、痛みの手前までの範囲で動きを保ちながら受診を促す
けがの覚えがないまま肩の動きが広い範囲で制限され、夜間の痛みを伴う訴えは、肩の関節を包む組織に炎症と硬さが生じた状態でみられる。痛みの手前までの範囲で動きを保ちながら受診を促すのが指導者の対応になる。「腱が切れている状態と判断し」は、指導者が状態を決めてしまう点で適切ではない。「痛みを我慢させて関節を強く押し広げる」は炎症を強める方向に働く。「首から来る神経の症状と見立て、首を伸ばす運動に切り替える」も、肩の動きが広い範囲で制限されている事実と合わない。
HINT けがの覚えがなく、広い範囲が動かず、夜に痛む。この三つが重なるのが手がかり。
- Q33#jg-md-033
ジャンプの踏み切りの瞬間にふくらはぎの下部へ蹴られたような衝撃を感じ、その後つま先で立てなくなった対象者について、最も適切な説明はどれか。
- 1ふくらはぎの筋が縮んだままになっている状態なので、よく伸ばせば元に戻る
- 2腱の使いすぎによる痛みなので、翌朝の痛みをみながら負荷を調整する
- 3アキレス腱が切れた可能性が高く、固定して受診につなげる正解
- 4足首の捻挫なので、腫れが引いた段階からバランスの練習に入る
Answer
正解 3:アキレス腱が切れた可能性が高く、固定して受診につなげる
踏み切りの瞬間に蹴られたような衝撃を感じ、その後つま先立ちができなくなった訴えは、アキレス腱が切れたときの特徴として知られる。切れていても歩行がある程度できる場合があるため、歩けていることを理由にせず、固定したうえで受診につなげる。「筋が縮んだままになっている状態なので、よく伸ばせば元に戻る」は誤りで、伸ばす手当ては状態を悪くしうる。「翌朝の痛みをみながら負荷を調整する」も誤りで、急に生じた衝撃と機能の喪失は使いすぎの痛みとは経過が異なる。「足首の捻挫なので、腫れが引いた段階から」も誤りで、つま先立ちができない点が説明できない。
HINT 歩けることは「切れていないこと」の証明にならない。つま先立ちができるかをみる。
- Q34#jg-md-034
高血圧と糖尿病の両方で治療を受けている対象者のトレーニング内容を決めるときの考え方として最も適切なものはどれか。
- 1主に治療を受けている病気を一つ選び、その病気の注意点だけに沿って決める
- 2二つの注意点のうち緩いほうに合わせ、運動の量の確保を優先する
- 3病気が複数あるときは運動を見送り、生活の工夫に絞って関わる
- 4それぞれの注意点を並べ、最も慎重に扱うべき条件に合わせて内容を決める正解
Answer
正解 4:それぞれの注意点を並べ、最も慎重に扱うべき条件に合わせて内容を決める
疾患が複数ある対象者では、それぞれの注意点を並べたうえで、最も慎重に扱うべき条件に合わせて内容を決める。合わせる先を取り違えると、片方の疾患にとっては安全でも他方にとって危うい内容になる。「病気を一つ選び、その病気の注意点だけに沿って決める」は、残る疾患の注意点が抜け落ちる。「緩いほうに合わせ、運動の量の確保を優先する」は、安全の側を切り下げる判断で逆である。「運動を見送り、生活の工夫に絞って関わる」も適切ではなく、医師の管理のもとで運動を行う道筋は残されている。
HINT 複数あるときに合わせる先は、緩いほうではなく厳しいほう。
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