運動と医学全13問・正解と解説つき
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目 ・ 公式テキスト第6章 ・ 分量 14%
救急処置法、スポーツ選手の整形外科的傷害と予防、生活習慣病とその予防。
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- Q01#jg-md-001
スポーツ外傷とスポーツ障害の違いとして正しいものはどれか。
- 1外傷は競技者にのみ生じ、障害は一般の運動実施者にのみ生じる
- 2外傷と障害は同じ意味であり、医療機関を受診したかどうかで呼び分ける
- 3外傷は一回の大きな外力によって生じ、障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じる正解
- 4外傷は繰り返しの負荷が蓄積して生じ、障害は一回の大きな外力によって生じる
Answer
正解 3:外傷は一回の大きな外力によって生じ、障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じる
スポーツ外傷は転倒や衝突など一回の大きな外力によって生じるもの(骨折、捻挫、肉離れなど)、スポーツ障害は繰り返しの負荷が蓄積して生じるもの(疲労骨折、腱の障害、野球肘など)を指す。原因が違うため予防の方法も異なり、障害では総負荷量と休養の管理が中心になる。「外傷は繰り返しの負荷が蓄積して生じ」は両者が入れ替わっている。「外傷は競技者にのみ生じ、障害は一般の運動実施者にのみ」は誤りで、どちらもどちらにも起こる。「同じ意味であり、受診したかどうかで呼び分ける」も誤りで、発生の仕方による区別である。
HINT 「一発か、積み重ねか」。障害は練習量の設計で減らせる、というのが指導者の関わりどころ。
- Q02#jg-md-002
急性の外傷に対するRICE処置の4つの要素の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1運動・冷却・圧迫・下垂
- 2安静・冷却・牽引・下垂
- 3安静・冷却・圧迫・挙上正解
- 4安静・加温・圧迫・挙上
Answer
正解 3:安静・冷却・圧迫・挙上
RICE処置はRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、急性期の外傷における出血と腫脹を抑えることを目的とする。「安静・加温・圧迫・挙上」は冷却が加温に置き換わっており、急性期に温めると出血と腫脹を助長するため誤り。「運動・冷却・圧迫・下垂」は安静が運動に、挙上が下垂に置き換わっており、いずれも腫脹を悪化させる。「安静・冷却・牽引・下垂」も圧迫が牽引に、挙上が下垂に置き換わっている。
HINT 挙上は「心臓より高く」が目安。下げると血液が集まって腫れが増す。
- Q03#jg-md-003
ハムストリングスの肉離れが起こりやすい局面として最も適切なものはどれか。
- 1座位で膝を屈曲させる、低負荷の短縮性収縮の局面
- 2ウォームアップ中の、静的ストレッチングを保持している局面
- 3全力疾走の遊脚期後半など、伸張性収縮で大きな張力が加わる局面正解
- 4静止した姿勢から、ゆっくり股関節を屈曲させる局面
Answer
正解 3:全力疾走の遊脚期後半など、伸張性収縮で大きな張力が加わる局面
ハムストリングスの肉離れは、全力疾走の遊脚期後半のように、筋が引き伸ばされながら大きな張力を発揮する伸張性収縮の局面で起こりやすい。脚が前へ振り出され、着地に向けて減速する場面が該当する。「静止した姿勢から、ゆっくり股関節を屈曲させる局面」は張力も速度も小さく、受傷の典型ではない。「座位で膝を屈曲させる、低負荷の短縮性収縮の局面」も同様である。「静的ストレッチングを保持している局面」は、痛みのない範囲で行えば大きな張力は加わらない。
HINT 「伸ばされながら強く働く」場面が危ない。スプリントの減速局面が典型。
- Q04#jg-md-004
足関節捻挫に関する説明として正しいものはどれか。
- 1腫れが引けば靱帯は完全に治っているため、機能訓練は不要である
- 2内反を強制されて外側の靱帯を損傷する型が多く、再発の予防にはバランス能力の回復が重要である正解
- 3外反を強制されて内側の靱帯を損傷する型が大半を占める
- 4一度受傷すれば靱帯が硬く強くなるため、再発することはない
Answer
正解 2:内反を強制されて外側の靱帯を損傷する型が多く、再発の予防にはバランス能力の回復が重要である
足関節捻挫は、足部が内側へひねられる内反を強制されて外側の靱帯(前距腓靱帯など)を損傷する型が多い。受傷後は関節の位置感覚とバランス能力が低下して再発しやすくなるため、これらの回復を含めた機能訓練が予防上重要になる。「外反を強制されて内側の靱帯を損傷する型が大半」は頻度が逆である。「一度受傷すれば靱帯が硬く強くなるため、再発することはない」も誤りで、捻挫は再発しやすい傷害の代表である。「腫れが引けば靱帯は完全に治っている」も誤りで、腫れの消失と機能の回復は一致しない。
HINT 「捻挫だから軽い」は誤解。再発を繰り返すと不安定性が残り、将来の変形性関節症につながる。
- Q05#jg-md-005
膝前十字靱帯損傷の予防に向けた動作指導として最も適切なものはどれか。
- 1着地では膝を伸ばしきり、衝撃を骨で受けるよう指導する
- 2方向転換の速度を上げるほど損傷は減るため、常に全力で行わせる
- 3接触のある場面でのみ生じる損傷なので、非接触の動作は指導の対象としない
- 4着地や方向転換で膝が内側へ入らないよう、股関節と体幹の使い方を含めて指導する正解
Answer
正解 4:着地や方向転換で膝が内側へ入らないよう、股関節と体幹の使い方を含めて指導する
膝前十字靱帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換といった非接触の場面でも多く生じ、着地時に膝が内側へ入る動作が危険因子とされる。股関節と体幹の使い方を含めて動作を修正することが予防につながる。「膝を伸ばしきり、衝撃を骨で受ける」は、膝を曲げて衝撃を吸収するという原則に反し、かえって負担を増やす。「速度を上げるほど損傷は減る」は根拠がなく、制御できない速度はリスクを高める。「接触のある場面でのみ生じる損傷なので、非接触の動作は指導の対象としない」は誤りで、非接触による受傷が相当の割合を占める。
HINT 予防できる余地が大きいのは非接触型。着地とカッティングの動作を直せば減らせる。
- Q06#jg-md-006
成長期のスポーツ障害に関する説明として正しいものはどれか。
- 1骨が柔らかく衝撃を吸収するため、成長期には障害はほとんど生じない
- 2成長期の障害はすべて一回の外力による外傷であり、使いすぎによるものはない
- 3成長期は回復が速いため、痛みがあっても練習量を落とす必要はない
- 4骨端線(成長軟骨)が閉じていないため、同一部位への繰り返しの負荷が障害につながりやすい正解
Answer
正解 4:骨端線(成長軟骨)が閉じていないため、同一部位への繰り返しの負荷が障害につながりやすい
成長期は骨端線(成長軟骨)が閉じておらず、同一部位への繰り返しの負荷が骨端症などの障害につながりやすい。野球肘、オスグッド病、腰椎分離症などが代表例で、総負荷量と休養の管理が予防の中心になる。「骨が柔らかく衝撃を吸収するため、障害はほとんど生じない」は誤りで、成長期には特有の障害が起こりやすい。「すべて一回の外力による外傷であり、使いすぎによるものはない」も誤りで、むしろ使いすぎによる障害が多い。「痛みがあっても練習量を落とす必要はない」は誤りで、痛みは負荷を見直す信号である。
HINT 成長期の障害は「使いすぎ」が中心。強度より総量と休養で管理する。
- Q07#jg-md-007
疲労骨折に関する説明として正しいものはどれか。
- 1一回の大きな外力によって生じ、受傷直後から歩行が不能になる
- 2骨に異常はなく筋の痛みであるため、練習を続けても問題はない
- 3成人にのみ生じ、成長期には起こらない
- 4繰り返しの負荷が骨に蓄積して生じ、初期には運動時のみの痛みとして現れることが多い正解
Answer
正解 4:繰り返しの負荷が骨に蓄積して生じ、初期には運動時のみの痛みとして現れることが多い
疲労骨折は、一回では骨折に至らない程度の負荷が繰り返し加わって蓄積することで生じる。初期には運動時のみの痛みとして現れ、休むと軽快するため見過ごされやすいが、続けると悪化する。「一回の大きな外力によって生じ、受傷直後から歩行が不能になる」は通常の骨折の説明である。「骨に異常はなく筋の痛みであるため、練習を続けても問題はない」は誤りで、骨の障害であり継続は悪化を招く。「成人にのみ生じ、成長期には起こらない」も誤りで、成長期にも起こる。
HINT 「運動すると痛いが休むと治る」が続くなら疑う。続けさせないのが指導者の判断。
- Q08#jg-md-008
スポーツ活動中に頭部を強打し、脳振盪が疑われる場合の対応として最も適切なものはどれか。
- 1意識がすぐに戻り歩けるようであれば、同日中に活動へ復帰させてよい
- 2頭痛が続いている場合に限って活動を中止し、頭痛がなければ継続させる
- 3本人が復帰を希望する場合は、本人の判断を優先して復帰させる
- 4意識が戻っていても、その日は活動に復帰させず医療機関の評価を受けさせる正解
Answer
正解 4:意識が戻っていても、その日は活動に復帰させず医療機関の評価を受けさせる
脳振盪が疑われる場合は、意識が戻っていてもその日は活動に復帰させず、医療機関の評価を受けさせるのが原則である。回復しきらないうちに再び頭部へ衝撃を受けると重篤な状態に至るおそれがあり、復帰は段階的な手順を踏む必要がある。「意識がすぐに戻り歩けるようであれば、同日中に復帰させてよい」はこの原則に反する。「頭痛が続いている場合に限って中止し」も誤りで、症状が遅れて現れることがある。「本人の判断を優先して復帰させる」も誤りで、本人は症状を過小に申告しがちである。
HINT 合言葉は「疑わしきは退場させる」。その日のうちに戻さないことが最大の予防になる。
- Q09#jg-md-009
運動時の熱中症を予防するための環境の指標として用いられるものはどれか。
- 1暑さ指数(WBGT)。気温だけでなく湿度と輻射熱を組み合わせて評価する正解
- 2気温のみ。湿度や日射は体温調節に影響しないため考慮しない
- 3風速のみ。気温と湿度は運動中の体温には影響しない
- 4標高のみ。気圧が体温調節を決めるため、他の要素は考慮しない
Answer
正解 1:暑さ指数(WBGT)。気温だけでなく湿度と輻射熱を組み合わせて評価する
熱中症の予防では暑さ指数(WBGT)が用いられ、気温だけでなく湿度と輻射熱を組み合わせて評価する。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、蒸発による放熱が働かなくなるため、気温だけでは危険度を判断できない。「気温のみ。湿度や日射は体温調節に影響しない」は、蒸発による放熱の仕組みを無視している。「風速のみ」も誤りで、風は対流と蒸発に影響するが単独の指標にはならない。「標高のみ」も熱中症の指標として用いられない。
HINT 湿度が高いと汗が蒸発できず体温が下がらない。だから気温だけでは判断できない。
- Q10#jg-md-010
成人に対する胸骨圧迫の深さと速さの組み合わせとして正しいものはどれか。
- 1深さは約3cm(4cmを超えない)、速さは1分間に60〜80回
- 2深さは約8cm(10cmを超えない)、速さは1分間に140〜160回
- 3深さは胸が沈めばよく数値の目安はなく、速さは1分間に100〜120回
- 4深さは約5cm(6cmを超えない)、速さは1分間に100〜120回正解
Answer
正解 4:深さは約5cm(6cmを超えない)、速さは1分間に100〜120回
成人に対する胸骨圧迫は、深さ約5cm(6cmを超えない)、速さ1分間に100〜120回で行う。浅すぎると十分な血流が得られず、深すぎると胸部の損傷を招くため上限も定められている。「深さは約3cm(4cmを超えない)、速さは1分間に60〜80回」はいずれも不足で、有効な血流を生めない。「深さは約8cm(10cmを超えない)、速さは1分間に140〜160回」は深さ・速さとも過大で、損傷のリスクが高く圧迫の解除も不十分になりやすい。「深さは胸が沈めばよく数値の目安はなく」も誤りで、深さには明確な目安と上限が示されている。
HINT 上限(6cmを超えない・120回を超えない)まで含めて覚える。上限側を問われることがある。
- Q11#jg-md-011
運動施設におけるAEDの扱いとして最も適切なものはどれか。
- 1電気ショックが不要と判定されたら、心肺蘇生を終了してよい
- 2設置場所と搬送の動線を定め、職員が役割を分担した訓練を定期的に行う正解
- 3管理者だけが使えるよう事務所内に施錠して保管する
- 4医療資格をもつ職員が不在のときは使用しない
Answer
正解 2:設置場所と搬送の動線を定め、職員が役割を分担した訓練を定期的に行う
心停止では電気ショックまでの時間が救命の可能性を大きく左右するため、AEDの設置場所と搬送の動線を定め、通報・搬送・胸骨圧迫・誘導といった役割を分担した訓練を定期的に行っておくことが基本になる。「管理者だけが使えるよう事務所内に施錠して保管する」は、必要なときに取り出せず設置の意味を失う。「医療資格をもつ職員が不在のときは使用しない」も誤りで、一般市民による使用が認められている。「電気ショックが不要と判定されたら、心肺蘇生を終了してよい」も誤りで、判定は電気ショックの適応の有無を示すにすぎず、ただちに胸骨圧迫を再開する。
HINT 「置いてある」だけでは足りない。取り出せて、使えて、役割が決まっていて初めて機能する。
- Q12#jg-md-012
運動中の突然死に関する説明として正しいものはどれか。
- 1運動強度とは無関係に起こるため、強度の管理では予防できない
- 2自覚症状のない者には起こらないため、問診による把握は不要である
- 3中高年では虚血性心疾患が主な原因となり、若年者では心筋症など基礎心疾患によるものが多い正解
- 4中高年・若年者を問わず、脳血管疾患が最も多い原因である
Answer
正解 3:中高年では虚血性心疾患が主な原因となり、若年者では心筋症など基礎心疾患によるものが多い
運動中の突然死は、中高年では虚血性心疾患が主な原因となり、若年者では肥大型心筋症などの基礎心疾患によるものが多いとされる。年代によって背景が異なるため、問診で注目すべき点も変わる。「脳血管疾患が最も多い原因」は誤りで、最も多いのは心臓に由来するものである。「運動強度とは無関係に起こるため、強度の管理では予防できない」は誤りで、慣れない高強度の運動でリスクが高まることが知られている。「自覚症状のない者には起こらない」も誤りで、無症状で経過する例があるため、家族歴や失神の既往を含めた問診が重要になる。
HINT 若年者では「無症状の心筋症」が背景にありうる。家族歴と失神の既往を問診で押さえる。
- Q13#jg-md-013
生活習慣病のある対象者にトレーニングを指導する際の基本的な姿勢として最も適切なものはどれか。
- 1生活習慣病のある者には運動を勧めず、薬物療法のみを支持する
- 2服薬の内容に応じて、本人に服薬量の調整を助言する
- 3医学的な管理の状況を確認し、必要に応じて医師の指示を踏まえたうえで内容を組み立てる正解
- 4診断名と検査値から自ら運動の可否を判断し、医師への確認は行わない
Answer
正解 3:医学的な管理の状況を確認し、必要に応じて医師の指示を踏まえたうえで内容を組み立てる
生活習慣病のある対象者では、医学的な管理の状況(診断、服薬、合併症の有無)を確認し、必要に応じて医師の指示を踏まえたうえで運動の内容を組み立てる。「診断名と検査値から自ら運動の可否を判断し、医師への確認は行わない」は、トレーニング指導者の役割を超える。「運動を勧めず、薬物療法のみを支持する」も誤りで、運動療法は生活習慣病の改善において基本的な位置を占める。「服薬の内容に応じて、本人に服薬量の調整を助言する」は医行為にあたり、行ってはならない。
HINT 「確認する・連携する・踏み越えない」。有疾患者を扱うときの線引きは指導者共通。
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