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運動と心理12問・正解と解説つき

JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)一般科目 ・ 公式テキスト第7章 ・ 分量 14%

心理学の基礎理論、競技力向上への活用、一般人の健康増進への活用。動機づけ、目標設定、メンタルトレーニング。

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  1. 内発的動機づけにあたるものはどれか。

    • 1大会で優勝して賞金を得たいから続けている
    • 2周囲から評価されたいから続けている
    • 3その活動自体が面白く、上達していく実感が得られるから続けている正解
    • 4続けないと指導者に叱られるから続けている

    Answer

    正解 3その活動自体が面白く、上達していく実感が得られるから続けている

    内発的動機づけは、その活動そのものへの興味や、有能感・自律性が得られることを理由に行動が続く状態を指す。「その活動自体が面白く、上達していく実感が得られるから」がこれにあたる。「叱られるから」「賞金を得たいから」「周囲から評価されたいから」はいずれも活動の外にある理由によるもので、外発的動機づけにあたる。外発的動機づけが悪いわけではないが、内発的動機づけのほうが長期の継続と結びつきやすいとされる。

    HINT 「やめても損しないのに続けるか」で見分ける。長く続く人は内発に寄っていることが多い。

  2. トレーニングの目標設定として最も適切なものはどれか。

    • 1達成がきわめて困難な目標を置くことで、意欲を最大限に引き出す
    • 2目標は指導者が決め、対象者には伝えずに進める
    • 3達成したかどうかを本人が確認できる具体的な形にし、短期の目標を段階的に置く正解
    • 4最終的な目標だけを高く掲げ、途中の目標は置かない

    Answer

    正解 3達成したかどうかを本人が確認できる具体的な形にし、短期の目標を段階的に置く

    目標は達成したかどうかを本人が確認できる具体的な形にし、最終的な目標に加えて短期の目標を段階的に置くことで、成功体験を重ねやすくなり自己効力感が高まる。「最終的な目標だけを高く掲げ、途中の目標は置かない」は、成果が見えるまでの期間が長く脱落を招きやすい。「達成がきわめて困難な目標を置く」は失敗体験を重ねて自己効力感を下げる。「目標は指導者が決め、対象者には伝えずに進める」は、本人の主体性を欠き行動の変容につながらない。

    HINT 短期目標は「結果」より「行動」で置くと管理しやすい。挙上重量より練習回数から始める。

  3. 自己効力感を高める情報源として、一般に最も強い影響をもつとされるものはどれか。

    • 1自分で実際にやってみて達成できたという経験正解
    • 2自分と似た他者が達成する様子を見ること
    • 3周囲から励ましの言葉をかけられること
    • 4運動中の心地よい身体感覚を味わうこと

    Answer

    正解 1自分で実際にやってみて達成できたという経験

    自己効力感の情報源には、遂行行動の達成(自分で実際にやってみて達成できた経験)、代理的経験(似た他者が達成する様子を見ること)、言語的説得(励ましの言葉)、生理的・情動的状態(身体感覚)の4つがあり、このうち最も強い影響をもつとされるのが遂行行動の達成である。運動指導で小さな成功体験を積ませるのはこのためである。「自分と似た他者が達成する様子を見ること」は代理的経験、「周囲から励ましの言葉をかけられること」は言語的説得、「運動中の心地よい身体感覚を味わうこと」は生理的・情動的状態にあたり、いずれも影響はあるが遂行行動の達成ほど強くない。

    HINT 最初の目標を「確実に達成できる大きさ」にする理由。達成そのものが次の燃料になる。

  4. 覚醒水準とパフォーマンスの関係に関する説明として正しいものはどれか。

    • 1覚醒水準が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは低下し、中程度で最も高くなる正解
    • 2覚醒水準が高いほどパフォーマンスは一貫して高くなる
    • 3覚醒水準が低いほどパフォーマンスは一貫して高くなる
    • 4覚醒水準とパフォーマンスの間に関係はない

    Answer

    正解 1覚醒水準が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは低下し、中程度で最も高くなる

    覚醒水準とパフォーマンスの関係は逆U字を描くとされ、覚醒が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは低下し、中程度で最も高くなる。最適な覚醒水準は課題の性質や個人によって異なり、細かな技術を要する課題ほど低めになるとされる。「覚醒水準が高いほど一貫して高くなる」「低いほど一貫して高くなる」はいずれも片側だけを見ており、逆U字の関係を表していない。「関係はない」も、繰り返し確認されている関係を否定している。

    HINT 「気合を入れる」と「落ち着かせる」を、対象者と場面で使い分ける根拠になる。

  5. 試合前などに過度の緊張がみられる対象者への対応として最も適切なものはどれか。

    • 1緊張を取り除くため、試合前の練習量を大幅に増やす
    • 2呼吸法や漸進的筋弛緩法など、覚醒水準を下げる方法をあらかじめ練習しておく正解
    • 3緊張は気の持ちようなので、意識しないよう伝えるだけにとどめる
    • 4本番の直前に初めてリラクセーションの方法を教える

    Answer

    正解 2呼吸法や漸進的筋弛緩法など、覚醒水準を下げる方法をあらかじめ練習しておく

    過度の緊張に対しては、呼吸法や漸進的筋弛緩法といった覚醒水準を下げる方法をあらかじめ練習しておき、本番で使える状態にしておくことが有効である。「意識しないよう伝えるだけ」は、対処の手段を与えていない。「本番の直前に初めて教える」は、慣れていない方法を高い緊張下で使うことになり効果が出にくい。「試合前の練習量を大幅に増やす」は疲労を残すうえ、緊張の軽減にもつながらない。

    HINT 技術と同じで、リラクセーションも練習しておかないと本番では使えない。

  6. イメージトレーニングに関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1実際の練習を完全に置き換えられるため、身体を動かす練習は不要になる
    • 2イメージは視覚のみで行うべきで、身体の感覚を伴わせてはならない
    • 3成功する動作を鮮明に思い描くことで、技術の習得や本番での遂行を助ける正解
    • 4失敗した場面を繰り返し思い描くことで、同じ失敗を避けられるようになる

    Answer

    正解 3成功する動作を鮮明に思い描くことで、技術の習得や本番での遂行を助ける

    イメージトレーニングは、成功する動作を鮮明に思い描くことで技術の習得や本番での遂行を助ける方法である。視覚だけでなく、筋の感覚や動作のリズムといった身体の感覚を伴わせるほど効果が高いとされる。「失敗した場面を繰り返し思い描く」は、望ましくない動作の再現を強める方向に働きうる。「実際の練習を完全に置き換えられる」は誤りで、あくまで実際の練習を補うものである。「視覚のみで行うべきで、身体の感覚を伴わせてはならない」も誤りで、感覚を伴わせるほうが効果的とされる。

    HINT 「うまくいく映像」を、身体の感覚つきで。失敗イメージの反芻は逆効果になりうる。

  7. 技術の習得段階に応じた指導として最も適切なものはどれか。

    • 1習得の段階にかかわらず、常に同じ量と内容の指示を与える
    • 2習得の初期は動作の要点を絞って伝え、習熟に従って自ら修正できるよう促す正解
    • 3習得の初期ほど多くの要点を同時に伝え、情報量を増やす
    • 4習熟の段階に達しても、指導者が毎回すべての動作を細かく指示し続ける

    Answer

    正解 2習得の初期は動作の要点を絞って伝え、習熟に従って自ら修正できるよう促す

    技術の習得の初期は、一度に多くの情報を処理できないため動作の要点を絞って伝え、習熟に従って本人が自分の動きを感じ取り修正できるよう促していくのが基本になる。「初期ほど多くの要点を同時に伝え、情報量を増やす」は、処理しきれず動作が崩れる。「習熟の段階に達しても、毎回すべての動作を細かく指示し続ける」は、自ら修正する力を育てず指導者への依存を強める。「段階にかかわらず、常に同じ量と内容の指示を与える」も、段階に応じた調整という観点を欠いている。

    HINT 初心者に3つも4つも同時に言わない。1つ直ったら次、が結果的に速い。

  8. トレーニング中のフィードバックの与え方として最も適切なものはどれか。

    • 1本人が気づくまで何も伝えず、質問されたときだけ答える
    • 2できている点を具体的に伝えたうえで、直す点を絞って示す正解
    • 3直す点のみを毎回すべて挙げ、できている点には触れない
    • 4抽象的に「良い」「悪い」とだけ伝え、具体的な内容には触れない

    Answer

    正解 2できている点を具体的に伝えたうえで、直す点を絞って示す

    フィードバックは、できている点を具体的に伝えて何が正しいかを認識させたうえで、直す点を絞って示すのが効果的とされる。何が良かったかが分かると、その感覚を再現しやすくなる。「直す点のみを毎回すべて挙げ、できている点には触れない」は、何を再現すべきかが伝わらず意欲も下がる。「抽象的に良い・悪いとだけ伝え」は、次にどうすればよいかの情報を含まない。「本人が気づくまで何も伝えず」は、誤った動作が定着するおそれがある。

    HINT 「何が良かったか」を言えると、本人はその感覚を再現できる。直す点だけでは再現先がない。

  9. バーンアウト(燃え尽き)の説明として最も適切なものはどれか。

    • 11回の激しい練習の後に生じる一時的な疲労感で、休養すれば翌日には回復する
    • 2筋の損傷によって生じる痛みであり、心理的な要因は関与しない
    • 3競技を始めた直後にみられる一時的な戸惑いを指す
    • 4意欲の低下、情緒的な消耗、達成感の低下が続く状態で、過度の負担や成果への圧力が背景にある正解

    Answer

    正解 4意欲の低下、情緒的な消耗、達成感の低下が続く状態で、過度の負担や成果への圧力が背景にある

    バーンアウトは、意欲の低下、情緒的な消耗、達成感の低下が続く状態を指し、過度の練習負担、成果への圧力、休養や人間関係の不足などが背景にあるとされる。回復には時間を要するため、予防として負担の管理と休養の確保が重要になる。「1回の激しい練習の後に生じる一時的な疲労感」は通常の疲労であり、バーンアウトではない。「筋の損傷によって生じる痛みであり、心理的な要因は関与しない」も誤りで、心理的な側面が中心にある。「競技を始めた直後にみられる一時的な戸惑い」も別の現象である。

    HINT オーバートレーニング症候群と並ぶ「続けすぎ」の帰結。身体と心の両方を見る必要がある。

  10. 運動習慣のない一般の人に運動を始めてもらう際の働きかけとして最も適切なものはどれか。

    • 1関心の段階にかかわらず、具体的な運動プログラムを示して実行を約束させる
    • 2運動を始めない理由を本人に説明させ、意志の弱さを自覚してもらう
    • 3他の参加者の成果と比較し、遅れていることを伝えて危機感をもってもらう
    • 4本人の関心の段階に合わせ、まずは運動しないことの不利益と始める利益に気づいてもらう正解

    Answer

    正解 4本人の関心の段階に合わせ、まずは運動しないことの不利益と始める利益に気づいてもらう

    行動変容の段階(ステージ)によって効果的な働きかけは変わり、まだ行動を変える気がない段階では、運動しないことの不利益と始めた場合の利益に気づいてもらう情報提供が中心になる。「関心の段階にかかわらず、具体的なプログラムを示して実行を約束させる」は、準備が整った段階に適した働きかけで、前の段階では受け入れられない。「意志の弱さを自覚してもらう」は自己効力感を下げ、かえって行動を妨げる。「他の参加者の成果と比較し、遅れていることを伝えて危機感をもってもらう」も、意欲を損なう者を生みやすい。

    HINT ステージを飛ばした提案は届かない。「まだその気がない人」に計画表を渡しても動かない。

  11. 運動の継続を支える工夫として最も適切なものはどれか。

    • 1実施の記録を本人が付け、環境のきっかけを整えて始めやすくする正解
    • 2記録は指導者が管理し、達成できなかった日を指摘して奮起を促す
    • 3毎回の内容を大きく変え、慣れが生じないようにする
    • 4他者と一緒に行うと気が散るため、必ず一人で行わせる

    Answer

    正解 1実施の記録を本人が付け、環境のきっかけを整えて始めやすくする

    運動の継続には、本人が実施を記録して経過を把握すること(セルフモニタリング)と、運動着を前夜に用意する、通り道の施設を選ぶといった環境のきっかけを整えること(刺激統制)が有効とされる。「記録は指導者が管理し、達成できなかった日を指摘して奮起を促す」は、本人の主体性を損ない記録が続かなくなる。「毎回の内容を大きく変え、慣れが生じないようにする」は、習慣として定着しにくくなる。「必ず一人で行わせる」も誤りで、仲間の存在は継続を支える要因になりうる。

    HINT 意志を強くするより環境を変えるほうが確実。記録も「管理の道具」にした瞬間に続かなくなる。

  12. 運動が心理面に及ぼす効果として、一般に報告されているものはどれか。

    • 1心理的な効果は競技経験のある者にのみ認められる
    • 2中等度の運動の習慣が、不安や抑うつの軽減と気分の改善に関連することが示されている正解
    • 3運動の強度が高いほど、心理的な効果は一貫して大きくなる
    • 4運動は心理面とは無関係であり、身体面にのみ効果がある

    Answer

    正解 2中等度の運動の習慣が、不安や抑うつの軽減と気分の改善に関連することが示されている

    中等度の運動を習慣的に行うことが、不安や抑うつの軽減、気分の改善と関連することが多くの研究で報告されている。「運動の強度が高いほど、心理的な効果は一貫して大きくなる」は誤りで、過度な高強度の運動はかえって負担となり気分を悪化させることもある。「運動は心理面とは無関係であり、身体面にのみ効果がある」も誤りである。「競技経験のある者にのみ認められる」も誤りで、運動習慣のなかった者でも効果が報告されている。

    HINT 「きつければ効く」ではない。心理面でも中等度が中心という点は身体面と同じ。

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