エクササイズテクニックの板書
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第10回「補助(スポッティング)と用具」
この回は、補助のしかたと用具を扱います。補助が要る種目の条件、立つ位置、握り方と人数、あらかじめ決めておく合図、補助できない種目での逃がし方、グローブやリストラップ、マシン種目での補助までを見ます。
数えるのは、この3つ
- 補助が要る条件は3つ。挙げられなくなったときに重さが身体の上や頭上を通る/バーを背負う・肩の前で担ぐ(潰れる経路がある)/限界に近い重量で自分では逃がせない
- どれも「自分では逃げられない」が共通している。重さが落ちる先が自分の体である場合と、そのまま潰れる場合の両方が入る
- 構える高さは2通り。身体の上をバーが通る種目では胸や肩の高さ、頭上で保持する種目では手首のすぐ下あたり
- 補助の要点は6語で引く:位置・人数・握り・合図・声・逃げ道
①補助が要る条件2節
決めるのは重さではなく、逃げ場のない経路
- ○要るのは、重さが身体の上・頭上を通る種目。落ちてくる経路があるから
- ○バーを背負う・肩の前で担ぐ種目も同じ。潰れる経路がある
- 判断の軸は逃げ場のない経路。重さや疲れの程度そのものではない
- ピン式マシンは手を離すだけで済む→補助者は基本的に不要
- 補助者を配置する必要性が高い種目に共通するのは、挙上できなくなった際に、挙上者が自分では重量から逃げられないこと
- 重量が身体の上や頭上を通ってそのまま落下する種目(ベンチプレス、頭上で保持する種目)が1つめ
- バーを背負うバックスクワット、肩の前で担ぐフロントスクワットが2つめ。重量は身体の上を通らないが、挙げられなくなればそのまま潰れる経路がある
- 重さや疲労の程度そのものではなく、逃げ場のない経路があるかどうかで決まる
- セレクトライズド(ピン式)マシンは、挙げられなくなれば手を離すだけで済むため、補助者は基本的に不要
見積もりは外れる。だから最後のセットだけに絞らない
- ○限界に近い重量のセットは、常に配置しておく
- 理由は見積もりが外れること。最後のセットだけに絞らない
- 置けないなら重さを下げるか、自分で逃がせる種目に替える
- 限界に近い重量で反復を行うセットでは、見積もりが外れる可能性を踏まえて、常に補助者を配置しておく
- 何回挙がるかの見積もりは外れる。外れたときに逃げ場がないなら、配置しておく側に倒す
- 最後のセットだけに絞る扱いにはしない
②立つ場所3節
頭側に立ち、軌道の下で待つ
- ○バーベルは頭側に立ち、バーの軌道の下で両手を構える
- ○入るのは動作が止まった瞬間だけ。常に添えて一緒に挙げるのではない
- ○ダンベルは手首(ダンベルのすぐ近く)に添える。肘では止められない
- バーベルを用いたベンチプレスでは、挙上者の頭側に立ち、バーの軌道の下で両手を構えて待機する
- 介入は、動作が止まった瞬間だけ。常に手を添えて一緒に挙げるものではない
- ダンベルを用いたベンチプレスでは、ダンベルを一本のバーとして支えられないので、挙上者の手首(前腕の遠位)=ダンベルのすぐ近くに手を添えて待機する
- 肘ではなく手首に添える理由:ダンベルの重心は手首より遠位にあるので、肘を支えてもダンベルが前後に倒れるのを止められない
後方に立ち、手首のすぐ下に添える
- ○頭上の種目は後方に立ち、手首のすぐ下あたりに手を添える
- ×腰を支える/前方に立つ→頭上のバーには手が届かない
- 補助者自身も背中を中間位に保って支える
- 補助者が手首に届かないなら、座って行う種目に替える
- 立って行うショルダープレスでは、挙上者の後方に立ち、バーの下で両手首のすぐ下あたりに手を添えて構える
- 身体の上をバーが通る種目では胸や肩の高さで構え、頭上で保持する種目では手首のすぐ下あたりで構える
- 腰を支える位置や、挙上者の前方に立つ位置では、頭上にあるバーを守れない
- 立位の頭上種目は、補助者が挙上者より背が高いことが前提になる。手首に手が届かないなら、座って行う種目に替える
構える高さは、バーがどこを通るかで決まる
- 身体の上をバーが通る種目(ベンチプレスなど):挙上者の頭側に立ち、胸や肩の高さでバーの軌道の下に構える
- 頭上で保持する種目(ショルダープレスなど):挙上者の後方に立ち、手首のすぐ下あたりに構える
- ダンベル種目:一本のバーとして支えられないので、手首のすぐ下、ダンベルのすぐ近くに構える。ダンベルの重心は手首より遠位にあるので、肘を支えても倒れを止められない
- 1人では支えられない重量のスクワット:挙上者の後方に1人、そのうえでバーベルの両端にも配置する
動画でこの図を見る(03:00)③握り方と人数2節
補助者の握りは、オルタネイト
- ○オルタネイト(片手ずつ向きを変える)で、挙上者の手より内側を握る
- ×両手とも順手→急に受けたときバーが手の中で転がる
- ○ダンベルで限界に達したら胸や脇へ安全に降ろす方向へ導く
- 補助者はバーをオルタネイト(片手ずつ向きを変える)で握り、挙上者の手より内側を、バーの軌道の下から軽く添えるように構える
- 両手とも順手だと、急に受けたときにバーが手の中で転がって抜ける。片手ずつ向きを変えることが、その回転止めになる
- 挙上者が高重量のデッドリフトで用いるオルタネイトグリップと目的は同じ。どちらもバーが手の中で回転するのを止めるためのもの
- ダンベル種目で挙上者が限界に達した場合は、手首のすぐ下から支えて動作を止め、ダンベルを胸や身体の脇へ安全に降ろす方向へ導く。ラックへ戻させるものではない
人数は重さで決める
- ○1人では支えられない重さかどうかで増やす
- ○1人で支えられない重量は、後方1人+両端にも配置。前方は邪魔
- 人数が増えたら、合図は全員で1つに合わせる
- 補助者の人数は、扱う重量が重く1人では支えられないと判断される場合に増やす
- 反復の回数や、挙上者の経験の有無だけでは決まらない
- 1人では支えられない重量のスクワットでは、挙上者の後方に1人が立ったうえで、バーベルの両端にも配置する。人数が増えるほど判断をそろえる必要も増えるので、増やすのは支えきれないときだけ
- 前方に立つと、バーの軌道の邪魔になる
④合図と声かけ2節
合図は、声が出せない前提で決めておく
- ○合図は事前に1つ決める。声が出せない状況でも合わせられる
- ×毎回変える/その場で決める→いちばん必要なときに合わない
- 合図は2人で1つに決まっていることが要点。相手が変わればそろえ直す
- 挙上できなくなった場合の合図は、事前に決めておく。決めておけば、声を出せない状況でも介入のタイミングを合わせられる
- 毎回変える、その場で決めるという扱いにはしない
- 合図は補助者と挙上者の取り決めなので、組む相手が変わったら、その都度そろえ直す
挙上中の声は、短く
- ○挙上中は短く簡潔な指示だけ
- 褒め続けるのも直し続けるのも、長さそのものが集中を乱す
- 説明は挙上の前に済ませる(何回めで入るか・どこで支えるか)
- 挙上中の声かけは、短く簡潔な指示に留め、集中の妨げにならないようにする
- 褒め続ける、直し続けるといった声かけは、長さそのものが集中を乱す
- フォームの修正は、セットが終わってから伝える
- 挙上の前に、何回めで入るか、どこで支えるかを先に伝えておくと、挙上中に説明する必要がなくなる
⑤補助できない種目2節
支えるのではなく、自分で離せるようにしておく
- ○パワークリーンの失敗は、バーを前方へ離して距離をとる
- 離す動作そのものを先に練習しておく(失敗してから考えない)
- だから練習の順番が逆になる。重さを上げる前に失敗のしかたを覚える
- パワークリーンでキャッチの局面に失敗した場合は、バーを身体から前方へ離し、安全な方向へ落として距離をとる
- この動作は、失敗してから考えるものではなく、あらかじめ練習して身につけておくもの
- 支えてもらう前提で組まない。補助できない種目がある、という前提から組む
補助できないなら、落としてよい場所を先に作る
- スナッチは速く・軌道が広い→支える形の補助が働かない
- ○対策は空間の確保と手放す動作の習得。声かけでは解決しない
- スナッチのように頭上へバーベルを一気に投げ上げる種目は、動作が速く軌道も広いため、従来の補助が機能しない
- 対策は、周囲のスペースを確保することと、バーを手放す動作を習得しておくこと
- クリーンやスナッチを行う際は、頭上や周囲にできるだけ空間をとり、他の利用者や器具から離れた専用のスペースで行う
- 声かけで注意を促すことでは解決しない。距離そのものを確保する
⑥用具2節
グローブとラップ。目的が違うものを混ぜない
- 握力も鍛える種目では、グローブで滑り止めを足す意味は薄い
- リストラップ=手首を安定させる/リストストラップ=握力を補う
- 用具は何を補うために使うのかを決めてから渡す
- リフティンググローブは滑り止めになる。ただしデッドリフトや懸垂のように握力を鍛えることも狙いに含む種目では、滑り止めを足す意味は薄くなる
- リストラップは、ベンチプレスなど手首に負担がかかる種目で、手首関節を安定させる目的で使う
- リストストラップは、バーと手首を結んで握力を補うもの。リストラップとは目的が別で、名前が似ているので混ざりやすい
- 用具は、何を補うために使うのかを決めてから渡す
軌道が決まっていると、止める場所が作れる
- ○スミスマシンは固定軌道+好きな高さに近いところでフックに掛けられる
- 安全の理由は止める場所があること(可動域や重量設定の話ではない)
- この回は人と用具まで。施設の広さ・床・掲示は第12回
- スミスマシンのベンチプレスは、バーが固定軌道上にあり、好きな高さに近いところでフックに掛けて止められるため、補助者なしでも行いやすい(掛けられる間隔は機種による)
- 安全性の理由は軌道の固定とフックの存在。可動域や重量設定の話ではない
- 施設の広さ・床・掲示といった施設側の安全は第12回で扱う
この回の要点
- 要るのは逃げ場のない経路がある種目。重さや疲れそのものではない
- 位置・人数・握り・合図・声・逃げ道の6語で引く
- 待つのが仕事。入るのは止まった瞬間、声は短く、合図は先に決める
- 支えられない種目がある→落としてよい場所と離す動作を先に用意する
読んだら、解いて確かめる
聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。
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公式テキストの本文は使っていません。章題とページ数は目次から転記した事実、内容は公的機関の公開資料と教科書水準の一般知識にもとづいています。章ごとの出題数は公表されていません。