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資格のニガテ一問一答

安全性、緊急時の手順、および法的諸問題の板書

講義動画で板書した内容を、全文そのまま置いています。動画を見ながら書き写す必要はありません。必要なところだけ読んでください。

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各節の時刻(00:00)を押すと、動画のその場面から再生されます。

第12回「施設と用具の安全」

この回は、施設と用具の安全管理を扱います。種目ごとに要る広さと人の動線、床材と天井、換気と室温と湿度、照明、用具の点検と記録、清掃と消毒、掲示とスタッフの立ち位置までを見ます。

00:17この回の地図

施設は6語で引く。用具は紙で回す

  • 施設は広さ・床・天井・空気・光・掲示の6語で引く
  • 用具は点検と記録が回っているかで決まる。新しさではない
  • 扱うのは数値ではなく理由。何のためにその条件が要るか
  • 施設を見る6語:広さ・床・天井・空気・光・掲示
  • 用具を見る軸:点検と記録が回っているか。装備の新しさではない
  • 具体的な数値基準(天井高・器具の間隔・一人あたりの床面積・室温や湿度の目安など)は、資格・団体・法令ごとに別の値が示される。この回は値を覚えるのではなく、基準の考え方を扱う
00:48この回で数えるもの

数えるのは、この3つ

  • 施設を見る

    6か所(広さ・床・天井・空気・光・掲示)

  • 不具合の器具

    3手(止める・表示する・記録する)

  • 掲示と配置

    4つ(ルール・使い方・待ち方・立ち位置)

  • 施設を見る6か所:広さ・床・天井・空気・光・掲示
  • 不具合が見つかった器具への3手:使用を止める・故障中と表示する・記録に残す
  • 掲示と配置の4つ:利用ルール・器具の使い方・混雑時の待ち方・スタッフの立ち位置

①広さ2節

01:002つの範囲

空けるのは、動く範囲と、落ちる範囲

  • 空けるのは動作の可動範囲と落下の範囲の2つ
  • 可動範囲は種目で決まる。しゃがむ・振る・頭上に上げる
  • 落下の範囲はいちばん悪い場面で取る。転がって届くところまで
  • 壁からの距離だけでは足りない。一人あたりの床面積も別の物差し
  • 動作の可動範囲

    しゃがむ・振る・頭上に上げる。体とバーが通っていく空間

    • 前後左右と頭上
    • 種目を見て決める
  • 落下の範囲

    手から離れたバーやプレートが落ち、転がって届くところ

    • 床の上に広がる
    • いちばん悪い場面で決める
  • フリーウエイト種目の間隔は、動作の可動範囲と落下の範囲の両方を満たす形で取る
  • 間違えやすいところ: 「利用者一人あたりの床面積の目安」は、ピーク使用時に専門職を何名配置するかを考えるための物差し(NSCAジャパンp.6)。種目ごとの可動域や落下範囲を反映していない
  • 間違えやすいところ: 「壁からの距離」だけでは、前後左右への振りや頭上への持ち上げをカバーできない
出典
01:37動線

重いものを運ぶ人の道を、分ける

  • 重量物を運ぶ人と他の利用者の経路を分ける
  • 出入口を1か所にまとめると、その1点で交差が起きる
  • 非常口への経路は1本にまとめない。塞がれると逃げ道が消える
  • 動線計画の目的は、重量物を運ぶ利用者と他の利用者が同じ通路で交差する事故を防ぐこと
  • 間違えやすいところ: 出入口を一箇所にまとめる案は「人の出入りを把握できる」という利点を挙げるが、その一点で交差が起きるので、経路を分けるという目的を自ら崩す
  • 間違えやすいところ: 避難経路を一本にまとめる案は、混雑時や塞がれた場合に逃げ道がなくなる。複数の経路を確保するという考え方と逆になる

②床と天井2節

床に求めるのは、受け止める力

  • フリーウエイトの床は衝撃を吸収する素材
  • 硬い床は跳ね返りと階下への音を大きくする
  • なめらかで拭きやすい床は、汗で滑る。踏み込みが不安定になる
  • フリーウエイトエリアの床材に求めるのは衝撃の吸収。床面と器具の損傷、階下への音の伝わりを抑える
  • 間違えやすいところ: 「水拭きで汚れを落としやすい素材」は衛生の理由では筋が通るが、なめらかな表面は汗で滑りやすくなる
  • 間違えやすいところ: 「器具の傷みに強い硬い素材」は落下の衝撃を受け止められず、プレートの跳ね返りと階下への伝わりを大きくする
02:35天井

高さの基準は、器具ではなく人の動き

  • 天井高は頭上に上げる動作と跳躍に足りる高さ
  • 基準を器具の設置側に置かない。測るのは人の動き
  • 空調のために天井を下げるのは、危険の取り違え
  • 天井高の安全上の基準は、頭上に器具を持ち上げる動作や跳躍動作に十分な高さ。体や器具が天井・照明設備に達しないこと
  • 間違えやすいところ: 「吊り下げて使う器具を増やせる高さ」は確保の基準を器具の設置側に置いており、利用者の動作に必要な頭上の空間という基準が抜けている
  • 間違えやすいところ: 「空調が効きやすいよう天井を低く抑える」は、頭上の接触という先に起きる危険を見落としている

③空気と温度2節

03:08換気

悪くなってから動かすのでは、遅い

  • 換気は継続的に外気を取り入れる。熱と湿気は発生し続ける
  • 濃度が基準を超えてから動かす運用は、悪化を必ず一度通る
  • 外気温が近い時間帯を待つと、空白の時間ができる
  • 多くの利用者が運動する施設では熱と湿気がたえず発生するので、常時あるいは定期的に外気を取り入れる継続的な換気が基本になる
  • 間違えやすいところ: 二酸化炭素濃度を指標にすること自体は的を射ているが、「基準を超えた時点で稼働させる」運用は悪化した状態を必ず一度通る
  • 間違えやすいところ: 「外気の温度が室温に近い時間帯を選ぶ」と、換気できる時間帯が限られ、熱と湿気が発生し続ける時間を空気の入れ替えなしで過ごすことになる
03:36室温と湿度

運動で体温は上がる。それを前提に決める

  • 室温は運動で体温が上がる前提の温度帯に保つ
  • 発汗を促すために室温を上げるのは熱がこもる向き
  • 湿度が高いと汗が蒸発しにくい。手も床も滑る
  • 滑るのは湿った手。乾いた手のほうがバーは保てる
  • 室温は、運動による体温上昇を踏まえて、快適に運動を継続できる範囲に保つ
  • 間違えやすいところ: 「夏場は室温を高めに保って発汗を促す」は、もともと上がっている体温に熱を足す向きで、熱がこもる
  • 間違えやすいところ: 「湿度が低ければ熱はこもりにくいので室温より湿度を優先する」も、湿度が低くても室温が高ければ体温は上がり続けるので、室温の管理を後ろに置く根拠にならない
  • 間違えやすいところ: 湿度が高いと汗は蒸発しにくい。「汗が蒸発しやすく体温が下がりすぎる」は向きが逆
  • 間違えやすいところ: 乾いた手のほうがバーは保持しやすい。「湿度が低いと手が乾いてバーが滑る」も向きが逆

④明るさ1節

04:11明るさ

明かりは、見落としを減らすためにある

  • 照明は姿勢の崩れと床の障害物が見える明るさ
  • 通路の明るさを落とさない。つまずきは通路で起きる
  • 鏡の正面からの強い光はまぶしさになり、足元が見えにくい
  • 適切な照明は、フォームの崩れ・器具の破損・床に置かれた障害物を目視で確認できるようにする
  • 間違えやすいところ: 「集中を高めるため通路の照度を落とす」と、床の障害物の見落としが増えて転倒の危険が高まる
  • 間違えやすいところ: 「鏡の正面から強い光を当てる」は、眩しさを生んで姿勢や足元の確認をかえって妨げる

⑤用具4節

04:37点検

決めた間隔で回す。使った量では回さない

  • 点検は決められた間隔で定期的に
  • 使用回数で回すと、使われない器具が取り残される
  • 保証の期間を区切りにすると、点検が何年も空く
  • 器具は使用を重ねるうちにボルトの緩みやケーブル・ワイヤーの劣化など目に見えにくい変化が進む。あらかじめ決めた間隔で定期的に点検する
  • 間違えやすいところ: 「使用回数が一定に達した器具から」は、使用の少ない器具ほど順番が来ず、時間の経過だけでも進む劣化を取りこぼす
  • 間違えやすいところ: 「導入直後と保証期間の切れる時期」は、保証という契約上の区切りが基準なので、保証の長さによって点検の間隔が何年も空く
05:11記録

記録は、前回と比べるために残す

  • 点検記録は日時と状態。前回と比べられる形で残す
  • 比べられるから劣化の速さが見え、交換時期が決まる
  • 担当者名も保管も要る。ただし記録の役目はそこではない
  • 点検記録の役割は、点検日時と状態を記録して比較し、劣化の進み方や交換時期を把握すること
  • 間違えやすいところ: 「保険や許認可の審査に備えて保管する」「担当者名を記録して責任者を明確にする」は、どちらも行う価値はあるが、劣化を把握して交換時期を判断するという記録本来の役割の説明にはならない
05:38不具合が見つかったら

止める・表示する・記録する

  • 不具合が見つかったら故障中の表示をして使用を止める
  • 範囲を限って使わせない。壊れ方が変わる
  • 倉庫へ移すだけでは、直らないまま戻ってくる
  • 直したら、戻す前にもう一度点検する
  • その器具でけががあったら、直す前・捨てる前に相談する
  • 止める・表示する・記録する。直るまで列に戻さない
  • 点検で不具合が見つかった器具は、故障中であることが一目で分かる表示をして、修理が完了するまで使用を見合わせてもらう
  • 間違えやすいところ: 「異音が出る動作を掲示で示し、それ以外の範囲に収めて使えるようにする」は、不具合のある器具は負荷のかかり方が変わって想定外の壊れ方をしうるので、範囲を限っても危険が残る
  • 間違えやすいところ: 「予備と入れ替えて不具合のある器具はそのまま倉庫へ移す」は、利用者の手から離すところまでは正しいが、表示を付けずに保管すると修理の済んでいない器具が後から戻される余地が残る
  • NSCAジャパンの基準4.4(p.12)は、修理が必要と判断された機器は直ちに提供を中止して使用を禁止し、使用者に再び提供する前に、適切な作動と十分な性能を保証するために再度の点検とテストを行わなければならない、としている
  • 同基準4.4:その機器に関連して傷害が発生した場合は、機器を点検・修理または破砕する前に、顧問弁護士または危機管理者に相談しなければならない、とされている。直したり捨てたりすると、何が起きていたのかを確かめられなくなる
出典
06:37清掃と消毒

毎日拭くのは、人が触るところ

  • 清掃は利用者が触れる部分を毎日。握り手・ベンチの表面
  • 握り手を週1回に回すと、いちばん滑る場所が残る
  • 分解して内部まで、は間隔も対象も噛み合わない
  • 消毒用品は次に使う人のため。利用者が自分で拭ける場所に
  • 握り手やベンチ表面など多くの利用者が直接触れる部分は、汗や皮脂が付着しやすく、滑りや細菌の蓄積につながる。日常的な清掃が衛生と安全の両面で重要になる
  • 間違えやすいところ: 「床とマットは毎日、握り手は週に一度」は、汗や皮脂がもっとも集まる場所を後ろに回している
  • 間違えやすいところ: 「月に一度、分解して内部まで」は、手をかける対象と間隔の両方が噛み合っていない
  • 間違えやすいところ: 消毒用品の設置目的は、利用者が汗や皮脂を拭き取り、次の人が清潔に使えるようにすること。器具のさび防止でも、負傷時の傷口の消毒でもない

⑥掲示と配置2節

07:16掲示

掲示は、約束事と使い方の2枚

  • 利用ルールは事故を防ぐ約束事。戻す・通路に置かない
  • 禁止を並べ切る形にしない。書き漏らしがそのまま許される
  • 使い方の掲示は器具のそばに。狙う筋の名前とは別の役目
  • 迷ったらスタッフへ。他の利用者に尋ねさせない
  • 利用ルールの掲示は、器具を元の場所に戻す・通路にプレートを置かないなど、利用者どうしの衝突や転倒を防ぐ共通の約束事を全員に伝える
  • 間違えやすいところ: 「避けるべき行為をすべて並べ、それ以外は認められていると伝える」は、危険な行為を列挙し切れないので、抜け落ちた危険をそのまま許すことになる
  • 間違えやすいところ: 「迷ったら近くの利用者に尋ねてよい」は、誤った使い方がそのまま伝わりうる。スタッフへつなぐ一手が抜けている
  • 器具のそばの使用方法の掲示は、誤った持ち方や設定による怪我と器具の破損を防ぐためのもの。狙える筋の名称を示すこととは役目が違う
07:59待ち方と立ち位置

待つ人は離して、スタッフは見渡せる場所へ

  • 順番を待つ人は動作中の人から離れた場所で待たせる
  • すぐ横に並ばせると可動範囲と落下の範囲に入る
  • 混雑時に一部のエリアを閉じると、残りの密度が上がる
  • スタッフは施設全体を見渡せる位置。死角を減らす
  • 混雑時は、順番を待つ利用者が動作中の利用者の近くに立ちやすい。待つ人が離れた場所にとどまれるようにしておくことが基本
  • 間違えやすいところ: 「待っている人を使用中の器具のすぐ横に並ばせる」は、器具の可動範囲や落下の範囲に人が入り込む
  • 間違えやすいところ: 「混雑時はフリーウエイトのエリアを閉じてマシンへ集める」は、残したエリアの人の密度が上がり、器具の間隔が詰まって衝突の危険をかえって高める
  • スタッフの立ち位置は、施設全体に目が届き死角が少なくなる位置。フリーウエイトに留まる案も出入口に立つ案も、一か所に固定するぶん死角が残る
08:42覚えて帰る4つ

この回の要点

  • 6語で引く。決め方の基準は人の動きに置く
  • 環境は悪くなる前に回す。待つほど空白、後回しほど汚れが残る
  • 不具合は止める・表示する・記録する。直るまで列に戻さない
  • 安全は装備ではなく、点検と記録が回っているか

第13回「緊急時対応と法的責任」

この回は、緊急時の備えと法的な線引きを扱います。緊急時対応計画に何を決めておくか、倒れた人への対応とAED、やめる徴候、熱中症や低血糖やねんざのその場の手当て、事故の記録と守秘義務、そして診断しない・治療を目的とした食事指導をしないという線、注意義務と免責同意書、賠償責任保険と契約の書面までを見ます。

00:16この回の約束

手順は、無料で読める指針に合わせます

  • 手順の拠り所は救急蘇生法の指針2025(市民用)
  • 診断はしない。見える事実で動き、実施の可否を決めるのは医師
  • 有効なCPR/AEDの認定は、受けるときも持ちつづけるときも要る
  • この回の救急の手順は、改訂7版救急蘇生法の指針2025市民用(無償で全文公開。PDFは69ページで、本文の印刷ページは59まで)に合わせている。版が変わると節番号もページも変わるので、出典は版とページまで合わせて確かめる
  • 指導者は診断をしない。判断は「反応がない」「普段どおりの呼吸がない」という目に見える事実で組み立て、運動実施の可否の判断は医師に委ねる
  • NSCA-CPTの受験資格には、出願時に有効なCPR/AEDの認定を保持していることが含まれる(ハンドブックp.22)。有効なCPR/AEDの認定は、講習会の中に実技評価が含まれることが条件で、成人を対象とする講習会に限る(同p.18)
  • NSCA認定資格を維持するためにも、有効なCPR/AED認定の保持、継続教育活動単位(CEUs)の取得、資格更新料の支払いが必要とされている(ハンドブックp.37)
出典(2件)
00:48この回で数えるもの

数えるのは、この3つ

  • EAPに書く

    6つ(誰が・どこへ・何を・連絡・記録・訓練)

  • 倒れた人は

    3段(安全と反応→応援と通報→呼吸)

  • 記録に書くのは

    1つだけ(事実)

  • 緊急時対応計画(EAP)の6つ:誰が・どこへ・何を・連絡・記録・訓練
  • 倒れた人への3段:周囲の安全を確かめて反応を確認→応援を呼び119番通報とAEDを依頼→普段どおりの呼吸があるかの確認
  • 記録に書くのは事実だけ。過失の決めつけも、推測でまとめた要約も事実ではない

①緊急時対応計画(EAP)3節

00:58何を決めておくか

EAPは誰が・どこへ・何を・連絡・記録・訓練

  • EAPは誰が・どこへ・何を・連絡・記録・訓練の6語
  • 誰が=通報・応急対応・誘導を、名前で決めておく
  • どこへ=AEDの位置・救急車を着ける場所・運び出す経路
  • 何を・連絡・記録・訓練。手順と連絡先と様式を、先に決める
  • EAP(緊急時対応計画)は、緊急事態が起きた瞬間にスタッフが迷わず動けるようにするための取り決め。誰が救急要請をし、誰が応急対応に当たるかという役割分担と連絡の手順を明文化しておくことが中心になる
  • 間違えやすいところ: 会員の既往歴やアレルギーを初回面談で確認して記録に残すことは、参加前の健康状態を把握する大切な取り組みだが、緊急時にスタッフがどう動くかを定めるEAPの中身そのものではない
  • 間違えやすいところ: 「けがや発病時の対応は資格を持つ医療従事者に一任する」と定めるのは、通報や初期対応などその場にいるスタッフが担うべき役割まで手放すことになる
  • 指針2025 p.32は、緊急事態に備えて、自分の職場や通勤経路などのどこにAEDがあるかを普段から把握しておくように、としている
  • 指針2025 p.17:「運動施設の管理者や大会の運営者などには、運動する場所へのAEDの配備と、教職員やスタッフを対象とした一次救命処置のトレーニングを実施しておくことが求められます」
出典
01:41人が少なくても

人数が少ないことは、省く理由にならない

  • 少人数でも誰が通報し、誰が応急対応をするかを先に決める
  • 役割は知識と技能で割り当てる。勤務年数ではない
  • 資格者だけの役割にすると、その人がいない日に止まる
  • スタッフの人数が少ないことはEAPを整備しない理由にならない。少人数でも、誰が通報し誰が応急対応に当たるかを事前に取り決めておく
  • 間違えやすいところ: 「その都度その場で判断する」運用では、緊急時にスタッフ同士の動きが重なったり抜け落ちたりする
  • 間違えやすいところ: 勤務年数だけで役割を割り当てる基準は、応急対応に必要な知識や技能を持っているかどうかを反映していない
02:12訓練と置き場

紙は、訓練していないと動かない

  • EAPは少なくとも年4回の訓練と予行演習。書いただけでは動かない
  • 計画は最も効果的な場所に掲示。すぐ近くに通話できる電話
  • 施錠した棚のAEDは置いてあるだけ。使えることとは別
  • EAPを機能させる鍵は、関わる全員が繰り返し内容を確認しておくこと。スタッフ全員での定期的な訓練を行う
  • NSCAジャパンの基準5.2(p.12):緊急時対応計画は文書として作成し、「各施設内の最も効果的な場所に掲示し、少なくとも年4回の訓練と予行演習を実施しなければならない」
  • 同基準5.2:施設内および施設外の緊急時対応スタッフを召集するために、すぐ近くに、常に通話可能な電話を設置しておかなければならない、とされている
  • 間違えやすいところ: 「まず施設の管理者だけが把握していればよい」という持ち方では、その管理者が不在の時間に動けなくなる
  • 間違えやすいところ: 「新人スタッフに初回の勤務日から全役割を割り当てて現場で覚えさせる」のは、訓練の場と本番を取り違えている
  • 指針2025 p.32によると、AEDは人の目につきやすい場所に設置されていて、多くの場合AEDのマークやロゴが書かれた専用のボックスの中にある。ボックスを開けると警告ブザーが鳴るが、鳴りっぱなしにしたままでよいので、すぐに傷病者のもとに持参する
出典(2件)

②倒れた人2節

02:44最初の3段

反応がなければ、まず人を呼ぶ

  • 反応の確認→応援と119番・AEDの依頼→呼吸の確認
  • 依頼は名指し。「誰か」では動かない
  • 呼吸は10秒以内で見る。迷うときも心停止として始める
  • 心停止でない人への圧迫で重大な障害が生じたという報告はない
  • 順番は、周囲の安全を確かめる→反応を確認する→応援を呼んで119番通報とAEDを依頼する→普段どおりの呼吸を確認する(指針2025 p.20-24)
  • 指針2025 p.20:傷病者の「肩をやさしくたたきながら大声で呼びかける」などして反応を確認する。「目を開けるなどの応答や目的のある仕草があれば、反応があると判断します」
  • 反応がないと判断した場合はもちろん、あるかないかの判断に迷う場合やわからない場合も、心停止の可能性を考えて119番通報とAEDの手配へ進む(p.22)
  • 応援と依頼は名指しで行う。「あなた、119番通報をお願いします」「あなた、AEDを持ってきてください」のように具体的に依頼するのがよいとされている。大声で叫んでも誰も来ない場合は、まず自分で119番通報をし、すぐ近くにAEDがあることがわかっていればAEDを取りに行く(p.22)
  • 呼吸の確認は、上半身を見て10秒以内で胸と腹の動きを観察する。していない、普段どおりでない、判断に迷う、のいずれでも心停止と考えてただちに胸骨圧迫を始める(p.24)
  • 指針2025 p.24:「心停止でない傷病者に胸骨圧迫を行ったことで重大な障害が生じたという報告はありません」
  • 突然の心停止の直後には、しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸(死戦期呼吸)がみられることも少なくない。これは普段どおりの呼吸ではない(p.25)
  • 反応はないが普段どおりの呼吸をしている場合は、様子をみながら応援や救急隊の到着を待つ。とくに呼吸に注意し、呼吸をしなくなったり普段どおりではなくなった場合はただちに胸骨圧迫を始める(p.25)
出典

AEDが来るまで、胸骨圧迫は止めない

  • AED到着まで胸骨圧迫を続ける。来てから始めるのではない
  • AEDは頭の近くに置く。パッドはイラストどおりに貼る
  • 市民のAED使用は医師法違反にあたらないとの見解が示されている
  • AEDは到着したら速やかに使い、到着するまでは胸骨圧迫を続ける。持ってきたAEDは傷病者の頭の近くに置いて手順に従って操作し、その間もできるだけ胸骨圧迫を中断しない(指針2025 p.32)
  • 電極パッドは、パッドや袋に描かれているイラストに従って貼り付ける。胸を露出させることはためらいがちだが、イラストどおりに貼り付けることを優先する。できるかぎり人目にさらさない配慮も大事だが、命を助けることを優先する(p.33)
  • 指針2025 p.58:医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めているが、救命の現場にたまたま居合わせた市民が救命処置を行うことは医業にはあたらない。厚生労働省は、「市民によるAEDの使用は反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならない」との見解を示している
出典

③止める徴候1節

04:03止める徴候

胸の痛みは、治まっても止める

  • 胸の痛みは、治まってもただちに中止して安静に
  • 強度を下げて続ける・休んで再開は、見ているあいだに進む
  • 強い息切れ・めまい・顔色の変化が同時→水分不足で片づけない
  • 胸の痛みは「治まったから大丈夫」ではない。ただちに中止して安静にさせ、必要に応じて救急要請をする
  • 間違えやすいところ: 強度だけ下げて継続する、水分補給と休息のあと再開を確かめる、はいずれも様子を見ているあいだに進行しうる
  • 間違えやすいところ: 普段と異なる強い息切れ・めまい・顔色の変化が同時に現れた場合、水分不足と決めて処理しない。重大な急変の可能性として扱う
  • 急性心筋梗塞の典型的な症状は胸の痛みだが、「重苦しい」「締めつけられる」などとも表現され、背中・左の肩や腕・みぞおちに出ることもある。冷や汗・吐き気・息苦しさを伴うこともある。心筋を救う効果が大きいのは発症から2時間以内とされている(指針2025 p.9-10)
  • 指針2025 p.10:「上記の症状が長く(20分以上)続く場合には、一刻も早く119番通報する必要があります」
  • めまいから失神に至った場合も、意識が戻っても病院を受診するようにする(p.50「6失神」)
出典

④その場の手当て3節

04:36熱中症

症状の重さで、やることが変わる

  • 軽い症状=涼しい場所へ移す・体を涼ませる・塩分と糖分を含む飲み物
  • 頭痛・吐き気・倦怠感→体を冷やして受診
  • 意識がもうろう・体温が極端に高い→119番。冷やしつづける
  • 意識が怪しいときは口から入れない。肺に吸い込む危険がある
  • 熱中症は重症化すると死に至る緊急事態(指針2025 p.50「7熱中症」)
  • 立ちくらみ、こむらがえり、大量の汗といった症状だけなら、風通しのよい日陰やクーラーの効いた部屋などに移して安静にさせ、体を涼ませながら、塩分と糖分を含んだ飲み物(スポーツドリンクなど)を与える。それらがなければ水やお茶などでもよい(p.50)
  • 頭痛や吐き気、倦怠感などの症状があるときは体を冷やし、病院を受診させる。冷やすには衣服を脱がせて体を濡らし、うちわや扇風機で風を当てるのが効果的。氷のうや冷却パックを使うときは脇の下、太ももの付け根、首などに当てるが、頬、手のひら、足の裏などでもよい(p.50)
  • 意識がもうろうとしている、体温が極端に高いなどの症状がある場合は、ただちに119番通報し、救急隊が到着するまで体を冷やしつづける(p.50)
  • 指針2025 p.50:「このような場合、無理に飲み物を与えると肺に吸い込んでしまうことがあるので危険です」
出典
05:21低血糖

本人の薬を手伝う。意識が怪しければ入れない

  • 生あくび・冷や汗・指先のふるえ・めまい→中止して糖分
  • 補助するのは本人が医師から指導されたもの。こちらが選ばない
  • 意識がもうろう→摂らせず119番。喉に詰まる危険がある
  • 糖尿病の人は血糖を下げる薬を使用していることがある。血糖が下がりすぎると、生あくび、冷や汗、指先のふるえ、めまい、脱力、眠気などの症状が現れる(指針2025 p.49「4低血糖」)
  • ブドウ糖タブレットをかみ砕いて摂取するように医師から指導されていることがあるので、それを補助する。タブレットがないときは角砂糖や糖の入った甘いジュースを持ってきてあげる(p.49)
  • 指針2025 p.49:低血糖が進行すると意識がもうろうとして反応がなくなる。「そのような場合にタブレットなどを摂取させると喉に詰まる危険があるので無理はせず、119番通報してください」
  • 間違えやすいところ: 熱中症でも低血糖でも、意識がはっきりしないときに口から飲食物を入れないという線は同じ
出典
05:56ねんざ・打撲・骨折

冷やす。変形は戻さない。確かめに動かさない

  • ねんざ・打ち身は冷やす。冷却パックは薄い布を挟む
  • 立ち上がれないほどの痛み→その場で安静、受診を勧める
  • 変形は戻さない。添え木や三角巾で、そのままの形で固定
  • 捻挫や打ち身(打撲)は、冷却パックや氷水などで冷やす。けがをした部位の冷却は内出血や腫れを軽くする。冷却パックを使うときは、皮膚との間に薄い布などを挟んで直接当たらないようにする(指針2025 p.53「14捻挫、打ち身(打撲)、骨折」)
  • けがで手足が変形している場合は骨折が強く疑われる。固定することで、移動する際の痛みを和らげたり、さらなる損傷を防ぐことができる。固定には添え木や三角巾などを使用する(p.53)
  • 指針2025 p.53:「変形した状態を元に戻す必要はありません」
  • 間違えやすいところ: 強い痛みで立ち上がれない場合は動かさず、その場で安静を保たせて医療機関の受診を勧める。テーピングを巻いてメニューを続けさせない
  • 間違えやすいところ: 痛みの程度や可動域を確かめるために患部を動かすのは、損傷を広げる
出典

⑤記録1節

06:34記録

書くのは事実だけ。置き場は施設

  • 記録に書くのは日時・状況・対応の経過。事実に基づいて
  • 過失の決めつけも推測も事実ではない。あとから確かめられなくなる
  • 保管は施設として・決められた期間。鍵かパスワードをかける
  • 聴き取った健康の情報は同意を得た範囲で共有。外は秘密として扱う
  • 事故の記録に残すのは、発生した日時・状況・対応の経過を事実に基づいて記したもの
  • 間違えやすいところ: その場で誰の過失かを決めつけて記した資料も、推測に基づいてまとめた要約も、事実の記録ではない
  • 間違えやすいところ: 記録は担当したトレーナー個人の手元ではなく、施設として、決められた期間保管する。重大だと感じたものだけを選んで記録し残りを口頭共有で済ませるのは、後から状況を確認できなくする
  • クライアントから聴取した健康に関する情報は、本人の同意を得た範囲で必要な相手と共有し、それ以外は業務上知った秘密として扱う
  • 間違えやすいところ: 「事故の防止に役立つから同意を得ずに施設の全員へ共有しておく」は、目的が正当であることを理由に同意を省いていて、共有の範囲も必要を超えて広い
  • 間違えやすいところ: 紹介元や家族であっても、本人の同意の範囲の外にあることは変わらない
  • NSCAジャパンのガイドライン6.1(p.12-13):「すべての記録はスタッフ以外のアクセスを制限し、できる限り安全確実に保管する必要がある」。具体策として、ファイルキャビネットに鍵をかけること、コンピュータやコンピュータファイルをパスワードで保護することが挙げられている
  • 同基準4.4(p.12)は、器具に関連して傷害が発生した場合、機器を点検・修理または破砕する前に顧問弁護士または危機管理者に相談しなければならない、としている。直したり捨てたりすると何が起きていたのかを確かめられなくなる、という点で記録と同じ理由
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⑥線を引く3節

07:21診断と食事

原因を決めるのも、治療の食事も、持ち場の外

  • 原因の特定は医療専門職へ。こちらは負荷の調整まで
  • 経験から原因を言い当てる・よくあることだと決めて続ける、は持ち場の外
  • 治療目的の食事は専門職へ。こちらは一般的な助言に留める
  • 痛みの原因を特定することは医師など医療専門職の領域。トレーナーは受診を勧めたうえで、運動内容を軽めの範囲に調整するところまでにとどめる
  • 間違えやすいところ: 自分の経験や知識に基づいて原因を診断し治療の方向性まで伝えること、「よくあるもの」と決めつけて普段と同じ強度で続けさせることは、どちらも持ち場の外
  • 間違えやすいところ: 持病の治療を目的とした食事制限は専門職の領域。管理栄養士などへの相談を勧め、一般的な食生活の助言に留める。治療目的の献立作成や、医師の代わりに食事内容を継続管理することはしない
  • 栄養士法第1条第2項は、管理栄養士を「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導」などを行うことを業とする者と定めている。「登録栄養士」は米国のRegistered Dietitianの訳語で、日本の資格の名前ではない
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07:58注意義務と同意書

基準は「一般的なトレーナーなら当然する配慮」

  • 注意義務=一般的なトレーナーなら当然行うと考えられる配慮
  • 資格を持っていることは責任を軽くする根拠にならない
  • 同意書はリスクを説明して同意を得た証。過失の責任は残る
  • 注意義務は「一般的なトレーナーであれば当然行うと考えられる配慮」を基準に考える。それを怠った結果として損害が生じた場合に、過失があったと判断されうる
  • 間違えやすいところ: 資格を保有していること自体が、事故の際の責任を軽くする根拠にはならないとされる。NSCAジャパンの基準とガイドラインp.2は、専門職は訓練および認定資格に従って行動することを期待されている、としており、付録8(p.21)は過失を「当該状況下で、合理的で注意深い専門職であれば当然行なったであろう行動を行なわないこと」と説明している
  • リスクを事前に説明して同意を得る書面は、起こりうるリスクを伝えて同意を得た証になる。設備の不備による事故が同意の範囲に含まれると考えることもできない
  • 「事故が起きても責任を負わない」と書いた書面があっても、過失があった場合の責任は残るとされる。消費者契約法第8条第1項は、事業者の債務不履行や不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項を(過失の軽重を問わず)無効とし、第2号・第4号は故意または重大な過失による場合の一部免除の条項も無効としている。重大な過失ならなおさら残る
  • NSCAジャパンの付録8(p.21-22)は、ヘルス/フィットネス分野で使う書面を、インフォームドコンセント・参加同意書・権利放棄書の3種類に分けている。前の2つは固有の危険性による傷害への防御、権利放棄書(将来の免責)は過失による傷害への防御とされ、「権利放棄書の免責条項をインフォームドコンセントまたは参加同意書に含めることはできない」。ただし免責条項の効力は州法によるとされているので、日本の消費者契約にそのまま当てはめることはできない
  • 同付録8(p.22):「一般に、重大な過失や無謀な行為に対しては、いかなる書類も法的防御を提供することはできない」
  • 指針2025 p.58は、わが国においては民法第698条の「緊急事務管理」の解釈により、悪意または重大な過失がない限り、善意の救助者が傷病者などから損害賠償の責任を問われることはないと考えられている、としている。また刑法第37条の「緊急避難」の規定にも触れている。いずれも「〜と考えられています」という書き方で、法令の解釈が確定しているわけではない
  • ※指針2025 p.58は居合わせた市民の救命処置についての記述で、指導契約の責任とは別の論点
出典(3件)
08:34賠償責任保険

保険は、起きたあとを引き受ける道具

  • 賠償責任保険=指導中の事故で賠償を求められたときに備える
  • 保険は起きたあとを引き受ける。起こさない工夫の代わりにならない
  • 契約は先に書面で。料金・回数・予約の変更・解約・途中の精算
  • 賠償責任保険は、指導中の事故でクライアントに損害が生じ、賠償を求められた場合に備えるもの。個人として加入する形も、施設として加入する形もある。補償の範囲や条件は契約ごとに異なるので、加入先の約款で確かめる
  • 間違えやすいところ: 保険は、起きたあとの金銭的な負担を引き受けるもので、事故を起こさないための備え(点検・記録・掲示・EAP)の代わりにはならない
  • この試験の分野「安全性、緊急時の手順、および法的諸問題」は、問題配分13%・20問とされている(ハンドブックp.10)
  • この回で扱うのは、緊急時対応計画、倒れた人への対応とAED、運動を止める徴候、その場の手当て、事故の記録と守秘義務、業務範囲の線引きと注意義務、そして賠償責任保険と契約の書面
  • 指導の契約であらかじめ書面で示しておくのは、料金と回数、予約の変更や解約の扱い、途中でやめる場合の精算。あとで争いになりやすいところを先に文字にする
  • 間違えやすいところ: 到達を約束する体重や体脂肪率の値と達成の期限を契約に書くのは適切でない。身体の変化は本人の生活にも左右される
  • 間違えやすいところ: 「事故が起きた場合に責任を負わない」という一文を入れても、過失があった場合の責任を免れるわけではないとされる
出典
09:10覚えて帰る4つ

この回の要点

  • EAPは6語。少人数でも紙にして、全員で繰り返す
  • 順は反応→応援と通報→呼吸。迷ったら始め、止めない
  • 意識が怪しければ口から入れない。変形は戻さず、確かめに動かさない
  • 境目に置く紙=計画・記録・同意書・契約・保険

読んだら、解いて確かめる

聞いて分かったつもりのところは、解くとはっきりします。間違えた問題だけが自動で復習に戻り、2回連続で正解すると外れます。

安全性、緊急時の手順、および法的諸問題を37問で解く

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NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)の板書(公式テキストの章立て順)。

公式テキストの本文は使っていません。章題とページ数は目次から転記した事実、内容は公的機関の公開資料と教科書水準の一般知識にもとづいています。章ごとの出題数は公表されていません。