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資格のニガテ一問一答
JSPO-AT 基礎科目科目模擬試験復習

スポーツ科学概論全72問・正解と解説つき

JSPO公認アスレティックトレーナー 専門科目 基礎科目・ 公式テキスト第8章・ 分量 30%

運動生理学(筋生理、神経生理、代謝、呼吸・循環、内分泌)とバイオメカニクスの基礎、およびそれらを体力・運動能力向上と外傷・障害予防の計画と実践へ応用する知識。履修時間は運動生理学30時間、バイオメカニクス30時間、応用的知識15時間、活用15時間。

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  1. 外傷後のギプス固定や免荷によって生じる筋の変化について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1抗重力筋にあたる遅筋線維が優先して萎縮し固定した関節に近い筋から容積が先に減る正解
    • 2固定中も筋タンパクの合成速度は高い水準を保つため筋量は数週間維持される
    • 3筋力の低下は筋量が明らかに減り始めた数週間後になって初めて現れる
    • 4筋量の減少より先に神経系の活動の低下による筋力低下が現れる正解
    • 5免荷された筋では速筋線維だけが選択して肥大していく

    Answer

    正解 1:抗重力筋にあたる遅筋線維が優先して萎縮し固定した関節に近い筋から容積が先に減る / 4:筋量の減少より先に神経系の活動の低下による筋力低下が現れる

    不動や免荷では抗重力筋の遅筋線維が優先して萎縮し、固定した関節に近い筋から容積が減る。また筋量の減少より先に、神経系の活動水準の低下(動員できる運動単位の減少)による筋力低下が現れるため、復帰の初期は神経系への働きかけが要点になる。誤りの選択肢について、「合成速度は高い水準を保つ」は逆で、不動では筋タンパク合成が低下する。「数週間後になって初めて現れる」も逆で、筋力低下は数日で計測できる。「速筋線維だけが選択して肥大していく」は誤りで、免荷では肥大ではなく萎縮が起こる。

    HINT 不動は「先に落ちるのが筋力、あとから減るのが筋量」。萎縮は抗重力筋の遅筋から。

  2. 伸張性収縮を主体とする運動によって生じる筋損傷について、正しいのはどれか。

    • 1一度同じ運動を経験すると次に同じ運動を行ったときの筋損傷や筋痛が軽くなる正解
    • 2筋損傷は短縮性収縮を主体とする運動のほうが伸張性より大きく生じる
    • 3血中クレアチンキナーゼ活性は運動の直後に最高値となりまもなく低下する
    • 4損傷した筋の筋力は痛みが消えるのと同時にもとの水準まで戻る
    • 5損傷が起こるのは筋の収縮要素のみで結合組織は無関係である

    Answer

    正解 1:一度同じ運動を経験すると次に同じ運動を行ったときの筋損傷や筋痛が軽くなる

    同じ伸張性運動を一度経験すると、次に同じ運動を行ったときの筋損傷や筋痛が軽くなる(リピーテッドバウト効果)。予防的に軽い伸張性運動から段階的に導入する根拠になる。誤りの選択肢について、筋損傷は短縮性より伸張性収縮で大きく生じる。血中クレアチンキナーゼ活性は運動直後ではなく一日から数日後にかけて高まる。筋力の回復は筋痛の消失より遅れる。損傷は筋の収縮要素だけでなく細胞膜や結合組織にも及ぶ。

    HINT 伸張性=損傷が大きい。一度やると次は軽い(リピーテッドバウト効果)。

  3. 筋の損傷後の再生に関わるサテライト細胞(筋衛星細胞)について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1サテライト細胞は骨髄で産生され血流に乗って損傷した筋へ運ばれてくる
    • 2損傷や機械的な刺激によって活性化し増殖して既存の筋線維に融合する正解
    • 3成熟した筋線維の核が自ら分裂して増えることで筋の再生は完了する
    • 4活性化したサテライト細胞は脂肪細胞へ分化して損傷部を埋める
    • 5筋線維の核の数を増やし筋肥大の場面でも動員される正解

    Answer

    正解 2:損傷や機械的な刺激によって活性化し増殖して既存の筋線維に融合する / 5:筋線維の核の数を増やし筋肥大の場面でも動員される

    サテライト細胞は筋線維の基底膜と細胞膜の間にある筋の幹細胞で、損傷や機械的な刺激で活性化して増殖し、既存の筋線維に融合する。融合によって筋線維の核の数が増えるため、再生だけでなく筋肥大の場面でも動員される。誤りの選択肢について、「骨髄で産生され血流に乗って」は誤りで、サテライト細胞は筋内に常在する。成熟した筋線維の核は分裂しないため「自ら分裂して増える」は成り立たない。脂肪細胞への分化が主たる役割ではない。

    HINT 筋線維の核は自分で増えない。核を足しに来るのがサテライト細胞。

  4. トレーニングに対する腱や結合組織の適応について、正しいのはどれか。

    • 1腱は筋よりも代謝が活発なため筋力の向上に先立って力学的な強度が高まる
    • 2腱の適応は筋よりも遅く負荷の増やし方を筋力の伸びより控えめに進める正解
    • 3腱にかかる負荷は等尺性の運動より軽い負荷の動的運動のほうが大きい
    • 4腱の主成分はエラスチンでありその弾性が張力の大半を担う
    • 5腱は血流が豊富で損傷しても数日で修復される

    Answer

    正解 2:腱の適応は筋よりも遅く負荷の増やし方を筋力の伸びより控えめに進める

    腱や靱帯などの結合組織はコラーゲンの入れ替わりが遅く、適応には筋より長い時間がかかる。筋力の伸びに任せて負荷を上げると腱の耐性が追いつかず腱障害を招くため、負荷の増やし方を控えめに進める。誤りの選択肢について、腱は筋より代謝が緩やかで「代謝が活発」ではない。腱への負荷は高い張力を長く保つ等尺性の運動でむしろ大きい。腱の主成分はコラーゲンであってエラスチンではない。腱の血流は乏しく修復には数か月を要する。

    HINT 筋は数週間、腱は数か月。伸びた筋力に腱が置いていかれるのが腱障害の入口。

  5. 骨のメカニカルストレスに対する適応について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1骨の適応は負荷がかかった部位に限って生じるため種目の選び方が重要になる正解
    • 2一定の姿勢を長く保つ静的な負荷ほど骨の形成をより強く促す刺激になる
    • 3力の大きさに加えて力の立ち上がりの速さも骨の形成を促す刺激になる正解
    • 4水泳や自転車のように荷重の小さい種目でも骨密度は高まりやすい
    • 5骨は同じ刺激を繰り返すほど形成の反応が強まっていく

    Answer

    正解 1:骨の適応は負荷がかかった部位に限って生じるため種目の選び方が重要になる / 3:力の大きさに加えて力の立ち上がりの速さも骨の形成を促す刺激になる

    骨の適応は力が加わった部位に限って生じるため、鍛えたい部位に荷重がかかる種目を選ぶ必要がある。また刺激としては力の大きさだけでなく、力の立ち上がりの速さ(ひずみ速度)も重要で、跳躍のような動的で急峻な荷重が有効とされる。誤りの選択肢について、「静的な負荷ほど」は逆で、持続的な静的荷重は刺激になりにくい。水泳や自転車は荷重が小さく骨密度の増加は得にくい。骨は同じ刺激に慣れるため、反応は繰り返すほど弱まる。

    HINT 骨は「その場所に、大きく、速く」。同じ刺激の繰り返しには慣れる。

  6. 膝関節に腫脹がある競技者で大腿四頭筋の筋力が発揮しにくくなる現象について、最も適切なのはどれか。

    • 1関節内の圧が上がることで大腿四頭筋への血流が絶たれるため出力が落ちる
    • 2腫脹による筋の物理的な圧迫のみで説明でき神経の関与は小さいとされる
    • 3関節の受容器からの入力により随意的な筋活動が反射的に抑えられる正解
    • 4痛みが引けば筋の活動水準も自然にもとの状態へ戻る
    • 5抑制は拮抗筋のハムストリングスに強く現れる

    Answer

    正解 3:関節の受容器からの入力により随意的な筋活動が反射的に抑えられる

    関節の腫脹や損傷があると、関節包や周囲の受容器からの入力によって大腿四頭筋への随意的な神経出力が反射的に抑えられる(関節性筋抑制)。腫れを引かせる処置と併せて、筋の活動を意図的に呼び起こす働きかけが必要になる。誤りの選択肢について、「血流が絶たれる」ほどの虚血は通常起こらない。「物理的な圧迫のみで説明でき」も誤りで、中心は神経性の抑制である。痛みが引いても活動水準の低下は残りやすい。抑制は主に伸展筋である大腿四頭筋に現れる。

    HINT 腫れは「筋を止めるスイッチ」。痛みが消えても四頭筋は戻っていない。

  7. 足関節や膝の靱帯損傷後にみられる固有感覚(身体の位置や運動の感覚)の変化について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1固有感覚の情報は筋の受容器のみが担うため靱帯の損傷では変化しにくい
    • 2関節の位置の再現や片脚立位の安定性が低下し再受傷の要因になる正解
    • 3低下した感覚は時間の経過だけで受傷前の水準まで回復する
    • 4バランス課題を用いた訓練によって改善が期待できる正解
    • 5視覚を遮ると低下の程度は目立ちにくくなる

    Answer

    正解 2:関節の位置の再現や片脚立位の安定性が低下し再受傷の要因になる / 4:バランス課題を用いた訓練によって改善が期待できる

    靱帯や関節包には機械受容器があり、損傷するとそこからの入力が減って関節の位置を再現する能力や片脚立位の安定性が低下し、再受傷の要因になる。改善にはバランス課題を用いた訓練が有効とされる。誤りの選択肢について、固有感覚は筋や腱の受容器だけでなく関節包や皮膚の受容器も担う。低下した感覚は時間の経過だけでは戻りにくい。視覚を遮ると視覚での代償が使えなくなるため、低下はかえって目立つ。

    HINT 靱帯はセンサーでもある。目を閉じさせると隠れていた低下が出る。

  8. 膝関節の外傷予防に関わる神経筋の制御について、最も適切なのはどれか。

    • 1相反抑制が強く働くほど関節の安定性は高まるため共収縮は避けるほうがよい
    • 2ハムストリングスの活動が高まると脛骨は前方へ引き出されやすくなる
    • 3共収縮は関節にかかる圧迫を減らすため大きいほど望ましいと考えられる
    • 4ハムストリングスの共収縮は脛骨の前方への移動を抑えるように働く正解
    • 5大腿四頭筋の単独の活動は脛骨を後方へ引く力を生む

    Answer

    正解 4:ハムストリングスの共収縮は脛骨の前方への移動を抑えるように働く

    大腿四頭筋の収縮は脛骨を前方へ引く力を生むため、ハムストリングスが共収縮すると脛骨の前方への移動が抑えられ、前十字靱帯にかかる張力が下がる。予防では大腿四頭筋とハムストリングスをともに働かせる制御を育てる。誤りの選択肢について、相反抑制は拮抗筋の活動を抑える仕組みで、関節の安定は共収縮によって高まる。ハムストリングスの活動は脛骨を後方へ引く。共収縮は関節への圧迫を増やすため過剰は望ましくない。大腿四頭筋の単独の活動は脛骨を前方へ引く。

    HINT 四頭筋は脛骨を前へ、ハムは後ろへ。ACLを守るのは共収縮。

  9. 筋が発揮する力の調節の仕組みについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1運動単位の動員は大きな運動単位から始まり力が増すにつれ小さいものが加わる
    • 2動員が上限に達した後は発火の頻度を下げることで力をさらに高めていく
    • 3力の立ち上がりの速さは運動単位の発火の頻度に強く影響される正解
    • 4手指の小さな筋では最大に近い力まで動員だけで調節する
    • 5動員が上限に達した後は発火の頻度の上昇が力を増す正解

    Answer

    正解 3:力の立ち上がりの速さは運動単位の発火の頻度に強く影響される / 5:動員が上限に達した後は発火の頻度の上昇が力を増す

    筋力の調節は運動単位の動員と発火頻度の二つの要素で行われ、動員が上限に達した後は発火頻度の上昇によって力がさらに高まる。また力の立ち上がりの速さは発火頻度の高さに強く影響されるため、素早い力発揮の訓練では速い意図をもたせる。誤りの選択肢について、動員は小さな運動単位から始まる(サイズの原理)。「発火の頻度を下げることで」は逆である。手指の小さな筋は比較的低い力で動員が完了し、その先は発火頻度で調節する。

    HINT 動員が打ち止めになってからは発火頻度。素早さは頻度が決める。

  10. 運動終了後の心拍数の回復(心拍回復)について、最も適切なのはどれか。

    • 1運動の直後にみられる心拍数の低下は交感神経の活動がさらに高まって起こる
    • 2心拍回復が緩やかな状態は持久的な体力が高いことを表す指標として使える
    • 3心拍回復の値は運動の強度や時間をそろえなくても人どうしで比べられる
    • 4運動の直後に完全に静止するほど心拍数はより速やかに回復する
    • 5運動の直後の心拍数の低下は副交感神経の再活性化が主に担う正解

    Answer

    正解 5:運動の直後の心拍数の低下は副交感神経の再活性化が主に担う

    運動終了の直後にみられる心拍数の急な低下は、主に副交感神経(迷走神経)の再活性化によって起こる。回復の速さはコンディションの目安として用いられる。誤りの選択肢について、交感神経の活動は運動終了とともに下がるため「さらに高まって起こる」は誤り。心拍回復は緩やかなほど体力が低い、あるいは疲労が残っている状態を示すので、「緩やかな状態は持久的な体力が高い」は逆である。直前の運動の強度や時間が違えば心拍数の落ち方も変わるため「運動の強度や時間をそろえなくても人どうしで比べられる」も誤り。運動直後に完全に静止すると静脈還流が減って回復は遅れやすい。

    HINT 止まった直後に心拍が落ちるのは副交感神経が戻るから。遅いのは疲労のサイン。

  11. 静的ストレッチングを数週間続けたときの関節可動域の改善について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1可動域の改善は伸ばされたときに耐えられる張力や感覚の変化で多くが説明される正解
    • 2数週間の実施で筋線維の長さそのものが大きく伸びることが主な要因になる
    • 3一度のストレッチで生じた組織の伸びはそのまま数日にわたり残る
    • 4改善した可動域は実施をやめた後も長期にわたり保たれる
    • 5一度の実施で生じる変化は一時的なものにとどまる正解

    Answer

    正解 1:可動域の改善は伸ばされたときに耐えられる張力や感覚の変化で多くが説明される / 5:一度の実施で生じる変化は一時的なものにとどまる

    数週間の静的ストレッチングによる可動域の改善は、組織が恒久的に伸びたためではなく、伸ばされたときに耐えられる張力や感覚(伸張耐性)の変化によって多くが説明される。一度の実施で生じる変化は一時的で、数十分のうちに戻る。誤りの選択肢について、「筋線維の長さそのものが大きく伸びる」は数週間では主たる要因にならない。一度の伸びは「数日にわたり残る」ものではない。実施をやめれば可動域は徐々に戻るため「長期にわたり保たれる」も誤り。

    HINT 伸びたのは組織より「耐えられる感覚」。やめれば戻る。

  12. レジスタンス運動後の筋タンパク質の合成応答について、最も適切なのはどれか。

    • 1合成の高まりは運動後も一日以上続いて分解を上回るため筋量が増えていく正解
    • 2合成の高まりは運動の終了の直後だけで数十分のうちに安静時へ戻る
    • 3合成を高める刺激は運動よりも安静時の糖質の摂取が中心になる
    • 4分解の抑制のほうが筋量の増加に大きく寄与する
    • 5合成の応答は熟練者ほど大きく長く続いていく

    Answer

    正解 1:合成の高まりは運動後も一日以上続いて分解を上回るため筋量が増えていく

    レジスタンス運動後の筋タンパク質合成は一日以上にわたって高い水準を保ち、これが分解を上回る状態が積み重なることで筋量が増える。したがって運動の間隔や食事の配分を一日単位で考える。誤りの選択肢について、合成の高まりは「数十分のうちに安静時へ戻る」ものではない。合成を高める主な刺激は機械的な負荷とアミノ酸であり、糖質の摂取が中心になるわけではない。筋量の増加には分解の抑制より合成の高まりの寄与が大きい。熟練者では応答が小さく短くなる傾向がある。

    HINT 合成の窓は一日単位。鍛えるほど応答は小さく短くなる。

  13. 高強度運動時の酸塩基平衡について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1筋の内部のpHが下がるほど解糖系の酵素の活性は高まり出力は保たれていく
    • 2生じた水素イオンは重炭酸イオンに緩衝され二酸化炭素として排出される正解
    • 3高強度の運動で増える換気は二酸化炭素を体にためこむ向きに働く
    • 4pHの低下は筋の収縮の機構を妨げ疲労の一因になる正解
    • 5運動中の血液のpHは筋の内部のpHよりも低い値まで下がる

    Answer

    正解 2:生じた水素イオンは重炭酸イオンに緩衝され二酸化炭素として排出される / 4:pHの低下は筋の収縮の機構を妨げ疲労の一因になる

    高強度運動で生じた水素イオンは血中の重炭酸イオンによって緩衝され、二酸化炭素として肺から排出される。これが高強度域で換気が過剰に増える一因になる。また水素イオンの蓄積によるpHの低下は筋の収縮機構を妨げ、疲労の一因となる。誤りの選択肢について、pHの低下は解糖系の酵素活性を抑えるので「活性は高まり」は逆。換気が増えるのは二酸化炭素を排出するためであり、ためこむ向きには働かない。血液は重炭酸による緩衝を受けるためpHの下がり方は筋の内部より小さく、「筋の内部のpHよりも低い値まで下がる」も誤り。

    HINT 酸は重炭酸で受け止めてCO2で吐き出す。だから高強度で息が上がる。

  14. 運動を終了した直後の循環について、最も適切なのはどれか。

    • 1運動を急にやめると下肢の筋ポンプが強く働き続けるため静脈還流が増える
    • 2運動を急にやめると下肢に血液がとどまり静脈還流が減って血圧が下がる正解
    • 3立ったまま静止するほど脳への血流は安定し気分の不良は起こりにくい
    • 4軽い運動を続けるクールダウンは静脈還流を減らす
    • 5運動後の血圧の低下は心拍数の急な増加で起こる

    Answer

    正解 2:運動を急にやめると下肢に血液がとどまり静脈還流が減って血圧が下がる

    運動中は下肢の筋の収縮と弛緩が静脈を圧迫して血液を心臓へ戻している(筋ポンプ)。運動を急にやめるとこの働きが失われ、拡張した血管に血液がとどまって静脈還流が減り、血圧が下がって気分の不良や失神につながる。軽い運動を続けるクールダウンはこれを防ぐ。誤りの選択肢について、運動をやめれば筋ポンプは働かなくなるので「強く働き続ける」は誤り。「立ったまま静止するほど脳への血流は安定し」も逆である。クールダウンは静脈還流を保つ。運動後の血圧低下は心拍数の増加によるものではない。

    HINT ふくらはぎは第二の心臓。急に止まると血が下に残る。

  15. 発汗によって脱水が進んだときの体液の調節について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1血漿の浸透圧が上がると抗利尿ホルモンの分泌が抑えられ尿量が増えていく
    • 2アルドステロンはナトリウムの排出を促し体液量を減らす方向に働く
    • 3血漿の浸透圧の上昇が口渇感を生じさせ飲水の行動を促す正解
    • 4発汗で失われる水分は血漿からのみ供給されている
    • 5抗利尿ホルモンの分泌が増え尿量は減っていく正解

    Answer

    正解 3:血漿の浸透圧の上昇が口渇感を生じさせ飲水の行動を促す / 5:抗利尿ホルモンの分泌が増え尿量は減っていく

    発汗で水分が失われると血漿の浸透圧が上がり、これが視床下部を刺激して口渇感を生じさせ、飲水の行動を促す。同時に抗利尿ホルモンの分泌が増えて腎臓での水の再吸収が進み、尿量は減って濃縮される。誤りの選択肢について、浸透圧が上がると抗利尿ホルモンの分泌は増えるので「抑えられ尿量が増えていく」は逆。アルドステロンはナトリウムの再吸収を促して体液を保つ方向に働く。失われる水分は血漿だけでなく細胞外液や細胞内液からも供給される。

    HINT 濃くなったら「飲め」と「出すな」。ADHは出さない側、アルドステロンは塩を残す側。

  16. 筋温の上昇が筋の力の発揮に及ぼす影響について、最も適切なのはどれか。

    • 1筋温が上がると筋の粘性が高まるため速い動きでの出力はしだいに落ちていく
    • 2筋温の影響を受けるのは持久的な能力だけで瞬発的な出力は変わりにくい
    • 3筋温の上昇は筋の収縮の速度を高めて短時間の高い出力を得やすくする正解
    • 4深部体温が高いほど長時間の運動の成績は良くなる
    • 5ウォームアップで上げた筋温は運動をやめた直後に失われてしまう

    Answer

    正解 3:筋温の上昇は筋の収縮の速度を高めて短時間の高い出力を得やすくする

    筋温の上昇は酵素の活性と神経の伝導速度を高め、筋の粘性を下げるため、収縮の速度が高まり短時間の高い出力を得やすくなる。ウォームアップで体温と筋温を上げる根拠である。誤りの選択肢について、筋温が上がると粘性は下がるので「粘性が高まる」は誤り。影響は瞬発的な出力にも及ぶ。深部体温が高すぎる状態は長時間の運動では成績を下げるため「深部体温が高いほど」は誤り。上げた筋温はやめた直後に失われるわけではなく、しばらく保たれるため、試合前のウォームアップに意味がある。

    HINT 温まると粘りが減って速く動ける。ただし深部体温は上がりすぎると持久力が落ちる。

  17. 回転運動における角速度と身体や用具の先端の速さの関係について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1同じ角速度であれば回転の中心から遠い部位ほど描く軌跡が長く速さは大きくなる正解
    • 2用具を長く持つほど同じ角速度を保ちやすく回転のしにくさは小さくなる
    • 3先端の速さを上げるには回転の半径を縮めながら角速度を落とすのがよい
    • 4打具を長く持つと先端の速さは増すが振り出しに大きな力を要する正解
    • 5角速度が同じなら回転の半径を変えても先端の速さは等しい

    Answer

    正解 1:同じ角速度であれば回転の中心から遠い部位ほど描く軌跡が長く速さは大きくなる / 4:打具を長く持つと先端の速さは増すが振り出しに大きな力を要する

    先端の速さは回転の半径と角速度の積で決まるため、同じ角速度なら回転の中心から遠い部位ほど速くなる。一方で打具を長く持つと回転軸からの距離が増えて慣性モーメントが大きくなり、同じ角速度まで加速するには大きな力が必要になる。誤りの選択肢について、長く持つほど慣性モーメントは大きくなるので「回転のしにくさは小さくなる」は逆。半径を縮めながら角速度を落とせば先端の速さはかえって下がる。半径が変われば先端の速さも変わるので「変えても等しい」も誤り。

    HINT 先端の速さ=半径×角速度。長く持てば速いが、振るのは重い。

  18. 関節をまたぐ筋のモーメントアームと筋の張力の関係について、最も適切なのはどれか。

    • 1モーメントアームが短い筋は小さな張力でも大きな関節のトルクを生み出せる
    • 2関節にかかる圧迫の力は外部から加わる負荷の大きさとほぼ等しい値になる
    • 3モーメントアームは関節の角度で変わるがその差は張力の違いに比べて無視できる
    • 4モーメントアームが短いほど同じトルクに大きな張力を要する正解
    • 5筋の張力が大きいほど関節にかかる力は小さくなる

    Answer

    正解 4:モーメントアームが短いほど同じトルクに大きな張力を要する

    関節のトルクは筋の張力とモーメントアームの積であるため、モーメントアームが短い筋が同じトルクを出すには大きな張力が必要になる。ヒトの四肢はモーメントアームが短い配置が多く、結果として関節には外部の負荷より大きな力がかかる。誤りの選択肢について、「小さな張力でも大きな関節のトルクを生み出せる」は逆の関係である。関節の圧迫力は筋の張力が加わるため外部の負荷より大きくなる。モーメントアームは関節の角度によって大きく変わり、同じ張力でも出るトルクが変わるため「その差は張力の違いに比べて無視できる」は誤り。筋の張力が増えれば関節にかかる力も増える。

    HINT トルク=張力×モーメントアーム。腕が短い分、筋は損な役回りをしている。

  19. ジャンプの着地の動作と下肢への負担について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1膝を伸ばしたまま着地するほど下肢の筋が衝撃を吸収して関節にかかる力は減る
    • 2股関節の屈曲を大きく使う着地は膝関節に求められる仕事の割合を減らす正解
    • 3着地では足を接地させる位置を重心より前へ置くほど下肢にかかる力は減る
    • 4つま先から接地するより踵から一気に接地するほうが衝撃は小さい
    • 5関節の動きが乏しい硬い着地では床反力のピークが高くなる正解

    Answer

    正解 2:股関節の屈曲を大きく使う着地は膝関節に求められる仕事の割合を減らす / 5:関節の動きが乏しい硬い着地では床反力のピークが高くなる

    着地では股関節の屈曲を大きく使うと股関節の伸展筋群が仕事を担い、膝関節に求められる仕事の割合が減るため膝への負担を下げられる。逆に関節の動きが乏しい硬い着地では衝撃を受け止める時間が短く、床反力のピークが高くなる。誤りの選択肢について、膝を伸ばしたままの着地は関節にかかる力を増やす。接地の位置を重心より前へ置くほど制動の力は大きくなり、下肢にかかる力はむしろ増える。踵から一気に接地する着地は衝撃を大きくする。

    HINT 股関節で受けるほど膝は楽になる。硬い着地はピークが跳ね上がる。

  20. 関節に加わる力の成分について、最も適切なのはどれか。

    • 1大腿四頭筋の収縮は膝の屈曲の角度によらず脛骨を後方へ引く力を生み出す
    • 2靱帯は関節の面を押しつける圧迫の力に対して最も強く抵抗する
    • 3骨の長軸に沿う力が剪断力であり面に平行な力が圧迫力である
    • 4脊椎は屈曲した姿勢で荷重するほど圧迫の力の分布がより均等になる
    • 5膝が伸びた位置での大腿四頭筋の収縮は脛骨を前方へ引く正解

    Answer

    正解 5:膝が伸びた位置での大腿四頭筋の収縮は脛骨を前方へ引く

    膝が伸展に近い位置では膝蓋腱の走行が脛骨を前方へ引く向きになり、大腿四頭筋の収縮が前方への剪断力として前十字靱帯に張力を加える。誤りの選択肢について、脛骨を後方へ引くのはハムストリングスであり、四頭筋の向きは膝の角度によって変わるため「角度によらず脛骨を後方へ引く」は誤り。靱帯は張力に抵抗する組織であって圧迫には強くない。骨の長軸に沿う力が圧迫力、面に平行な力が剪断力であり説明が入れ替わっている。脊椎は屈曲して荷重すると圧迫の分布が偏るため「均等になる」も誤り。

    HINT 長軸方向は圧縮、ずれ方向が剪断。伸ばした膝の四頭筋は脛骨を前へ引く。

  21. 非接触型の膝前十字靱帯損傷が生じやすい動作の特徴について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1減速や方向転換の接地で膝が軽く曲がったまま外反し下腿が外旋する場面で起きやすい正解
    • 2膝が深く曲がった姿勢で大腿四頭筋が働くほど前十字靱帯の張力は高まっていく
    • 3体幹が支持する脚から離れて傾くと膝の外反のモーメントは大きくなる正解
    • 4損傷の多くは他者との接触が原因となって生じている
    • 5着地の衝撃を受け止める時間が長くなるほど危険は増していく

    Answer

    正解 1:減速や方向転換の接地で膝が軽く曲がったまま外反し下腿が外旋する場面で起きやすい / 3:体幹が支持する脚から離れて傾くと膝の外反のモーメントは大きくなる

    非接触型の前十字靱帯損傷は、減速や方向転換や着地の接地で膝が軽度屈曲のまま外反し、下腿が外旋する組み合わせで生じやすい。さらに体幹が支持脚から離れて傾くと重心と接地点の距離が増え、膝の外反モーメントが大きくなる。誤りの選択肢について、膝が深く屈曲した姿勢では四頭筋が前十字靱帯に加える張力は小さいため「深く曲がった姿勢で」は誤り。この損傷は非接触の場面が多い。衝撃を受け止める時間が長いほど力のピークは下がるので危険は減る。

    HINT 浅い膝+knee-in+体幹の傾き。非接触が多いから動作の指導で防げる。

  22. 投球の動作において肘の内側にかかる力学的な負荷について、最も適切なのはどれか。

    • 1コッキングの後期から加速期に大きな外反のトルクがかかり内側の組織の張力が高まる正解
    • 2外反のトルクが最も大きくなるのはボールを離した直後の減速の局面である
    • 3外反のトルクを内側で受け止めるのは手関節を背屈させる伸筋群である
    • 4外反のトルクは肘の外側にある組織の張力を大きく高める
    • 5一球あたりの負荷が小さければ投球数が増えても肘への影響は積み重ならない

    Answer

    正解 1:コッキングの後期から加速期に大きな外反のトルクがかかり内側の組織の張力が高まる

    投球ではコッキング後期から加速期に肘へ大きな外反のトルクがかかり、これに抗する内側側副靱帯などの内側の支持組織の張力が高まる。この局面の負荷が内側型の野球肘の力学的な背景である。誤りの選択肢について、外反トルクのピークはボールを離した後の減速局面ではない。内側で外反のトルクを受け止めるのは内側側副靱帯と回内屈筋群であり「手関節を背屈させる伸筋群である」は誤り。外反のトルクは内側の組織を引き伸ばす。小さな負荷でも投球数が増えれば累積するため「投球数が増えても肘への影響は積み重ならない」も誤り。

    HINT 外反トルクの山はコッキング後期から加速期。守っているのは内側。

  23. 走行や自転車などでの空気抵抗(空気による抗力)について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1空気抵抗は速度に正比例して増えるため速度が倍になれば抵抗もちょうど倍になる
    • 2前を進む者のすぐ後ろにつくと受ける抵抗が減りエネルギーの消費を抑えられる正解
    • 3身体の前面の投影の面積が大きいほど受ける抵抗はかえって小さくなる
    • 4受ける抵抗は速度の二乗に比例して大きくなり高速では急に増える正解
    • 5空気抵抗は自転車のような高速の種目ほど小さくなる

    Answer

    正解 2:前を進む者のすぐ後ろにつくと受ける抵抗が減りエネルギーの消費を抑えられる / 4:受ける抵抗は速度の二乗に比例して大きくなり高速では急に増える

    空気抵抗は速度の二乗に比例するため、速度が高い種目では抵抗が急に増える。前を進む者のすぐ後ろにつくと乱れた気流の中に入って受ける抵抗が減り、同じ速度でのエネルギー消費を抑えられる。誤りの選択肢について、抵抗は速度の二乗に比例するので「速度に正比例して増える」は誤り。前面の投影面積が大きいほど抵抗は大きくなる。高速の種目ほど抵抗は大きくなるので「小さくなる」も誤り。

    HINT 抗力は速度の二乗。だから高速種目は姿勢と隊列で稼ぐ。

  24. 回転しているボールの軌道について、最も適切なのはどれか。

    • 1ボールの回転は周囲の空気の流れに影響せず軌道は重力と初速度のみで決まる
    • 2進行の方向に対して逆向きの回転を与えると上向きの力が生じて落下は減る正解
    • 3進行の方向と同じ向きの順回転を与えたボールは浮き上がるように進む
    • 4回転によって生じる力は球の速度が落ちるほど大きくなる
    • 5回転の向きは軌道の曲がる向きとの関わりが薄い

    Answer

    正解 2:進行の方向に対して逆向きの回転を与えると上向きの力が生じて落下は減る

    回転する球は周囲の気流に偏りを生み、圧力の差によって回転の向きに応じた力を受ける(マグヌス効果)。進行方向に対して逆向きの回転(バックスピン)では上向きの力が生じ、落下が小さくなって伸びるように見える。誤りの選択肢について、回転は気流に影響するので「重力と初速度のみで決まる」は誤り。順回転(トップスピン)では下向きの力が働くため「浮き上がるように進む」は逆。生じる力は速度が高いほど大きい。回転の向きは軌道の曲がる向きを決める。

    HINT バックスピンは浮き、トップスピンは沈む。曲がる向きは回転の向きが決める。

  25. 生体の組織の力学的な性質を表す応力とひずみの関係について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1弾性の域を超えて負荷しても組織はもとの形に戻るため損傷は起こりにくい
    • 2曲線の傾きが急な組織ほど同じ大きさの力でより大きく変形していく
    • 3弾性の域を超えると負荷を除いても変形が残り微細な損傷が生じる正解
    • 4破断の点は組織の温度や負荷の速さによらず一定である
    • 5弾性の域では負荷を除くともとの形に戻っていく正解

    Answer

    正解 3:弾性の域を超えると負荷を除いても変形が残り微細な損傷が生じる / 5:弾性の域では負荷を除くともとの形に戻っていく

    応力とひずみの関係では、弾性域の内側であれば負荷を除くと組織はもとの形に戻る。弾性域を超えると変形が残り(塑性変形)、微細な損傷が生じて力学的な強度が下がる。誤りの選択肢について、弾性域を超えればもとの形には戻らないため「もとの形に戻るため損傷は起こりにくい」は誤り。曲線の傾きが急なほど硬く、同じ力での変形は小さい。破断点は温度や負荷の速さの影響を受けるため「一定である」も誤り。

    HINT 弾性域なら戻る、超えたら残る。傾きが急=硬い。

  26. 腱や靱帯にみられる粘弾性について、最も適切なのはどれか。

    • 1一定の長さに保ち続けると組織にかかる張力はしだいに高まっていく
    • 2粘弾性とは加えた力の大きさと変形の大きさが常に比例する性質をいう
    • 3一定の力をかけ続けると変形がゆっくり進むクリープが生じる正解
    • 4速く力を加えるほど組織は柔らかくなり変形しやすくなる
    • 5粘弾性は骨に特有の性質で腱には圧縮の時だけ現れる

    Answer

    正解 3:一定の力をかけ続けると変形がゆっくり進むクリープが生じる

    腱や靱帯は粘弾性を示し、一定の力をかけ続けると時間とともに変形が進む(クリープ)。逆に一定の長さに保つと張力が下がる(応力緩和)。ストレッチで伸びが得られるのはこの性質による。誤りの選択肢について、一定の長さに保つと張力は下がるので「しだいに高まっていく」は誤り。力と変形が常に比例するのは弾性の性質であり、粘弾性では変形が時間や負荷の速さにも左右されるため「常に比例する性質をいう」も誤り。速く力を加えるほど組織は硬く振る舞うので「柔らかくなり変形しやすくなる」は逆。粘弾性は腱や靱帯にも認められる。

    HINT 力を保てば伸びる(クリープ)、長さを保てば張力が落ちる(応力緩和)。

  27. 骨の力学的な強さと骨折の型について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1骨は圧縮の力に最も強く剪断やねじりの力に対しては比較的弱い性質をもつ正解
    • 2骨は引張の力に対して最も強く圧縮の力に対しては最も弱い性質をもつ
    • 3曲げの力が加わると骨は圧縮される側から破断が始まる
    • 4繰り返しの負荷は一度の大きな外力より骨にとって安全である
    • 5ねじりの力は螺旋を描くような骨折を生じやすい正解

    Answer

    正解 1:骨は圧縮の力に最も強く剪断やねじりの力に対しては比較的弱い性質をもつ / 5:ねじりの力は螺旋を描くような骨折を生じやすい

    骨は圧縮に対して最も強く、引張がこれに次ぎ、剪断やねじりに対しては比較的弱い。そのためねじりの力が加わると螺旋を描く骨折が生じやすい。誤りの選択肢について、圧縮と引張の強さの順が入れ替わっているため「引張の力に対して最も強く圧縮の力に対しては最も弱い」は誤り。曲げでは引き伸ばされる側から破断が始まるので「圧縮される側から」は誤り。繰り返しの負荷は微細な損傷が累積して疲労骨折につながるため「一度の大きな外力より骨にとって安全である」も誤り。

    HINT 骨は押される力に強く、ねじりに弱い。ねじれば螺旋骨折。

  28. 身体重心について、最も適切なのはどれか。

    • 1身体重心は骨盤の内部に固定されており姿勢が変わっても位置は動かない
    • 2前屈した姿勢では身体重心は骨盤より高い位置へ移動していく
    • 3身体重心の位置は体格によらず誰でも身長のちょうど半分の高さにある
    • 4姿勢によって位置は変わり身体の外に出ることもある正解
    • 5身体重心は支持の基底面の中央に常に位置する

    Answer

    正解 4:姿勢によって位置は変わり身体の外に出ることもある

    身体重心は各体節の質量とその位置から決まる点であり、姿勢が変われば移動する。身体を大きく反らせた姿勢では身体の外に出ることもある。誤りの選択肢について、姿勢によって動くため「骨盤の内部に固定されており」は誤り。前屈すれば重心は下がるので「骨盤より高い位置へ移動していく」も誤り。立位での重心の高さは身長の半分よりやや高い位置で、体格によっても異なるため「誰でも身長のちょうど半分の高さ」は誤り。重心は支持基底面の外に出ることもある。

    HINT 重心は姿勢で動く点。反れば体の外にも出る。

  29. 走行中の方向転換(カッティング)の力学について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1曲がる半径が小さいほど必要な向心の力は小さくなり関節への負担も減っていく
    • 2接地する足が身体重心から外側へ離れるほど膝の外反のモーメントは増える正解
    • 3速度が上がっても同じ半径で曲がるのに必要な力はほぼ変わらない
    • 4進入する速度が高いほど減速に要する制動の力は大きくなる正解
    • 5身体を内側へ傾けると向心の力は得にくくなる

    Answer

    正解 2:接地する足が身体重心から外側へ離れるほど膝の外反のモーメントは増える / 4:進入する速度が高いほど減速に要する制動の力は大きくなる

    方向転換では接地した足に働く床反力の向きが重心に対して外側にずれるほど、膝に加わる外反のモーメントが大きくなる。また進入する速度が高いほど運動量が大きく、減速に要する制動の力も大きくなる。誤りの選択肢について、向心の力は半径が小さいほど大きくなるので「小さくなり関節への負担も減っていく」は逆。向心の力は速度の二乗に比例するため「同じ半径で曲がるのに必要な力はほぼ変わらない」は誤り。身体を内側へ傾けるのは向心の力を得るための動作である。

    HINT 急な角度+速い進入=大きな力。足が重心から離れるほど膝は外反する。

  30. テーピングや装具による外的な支持の力学的な効果について、最も適切なのはどれか。

    • 1テーピングは関節をまたぐ筋の張力を高めるため筋力の訓練の代わりになる
    • 2装着した支持の材料が生む制動の力は運動の時間が長くなるほど高まっていく
    • 3装具は関節の可動域を完全に固定できるため再受傷の危険を断てる
    • 4皮膚の上から貼るテープは靱帯と同じ強度で関節を支える
    • 5関節の動く範囲を制限し固有感覚への入力も補う正解

    Answer

    正解 5:関節の動く範囲を制限し固有感覚への入力も補う

    テーピングや装具は関節の動く範囲を力学的に制限するとともに、皮膚への圧や張力を介して固有感覚への入力を補う効果が期待される。誤りの選択肢について、テーピングは筋の張力を高めるものではないため「筋力の訓練の代わりになる」は誤り。テープは運動と発汗によって緩むため「運動の時間が長くなるほど高まっていく」は逆である。可動域を完全に固定することはできず危険を断てるわけでもない。テープの強度は靱帯に及ばないため「靱帯と同じ強度で関節を支える」も誤り。

    HINT テープは補助。運動で緩むから、効果は時間とともに落ちていく。

  31. 走行の速度を構成する要素について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1走行の速度はストライドの長さのみで決まりピッチを高めても向上は望みにくい
    • 2ストライドの長さを大きくすればピッチも自然に高まり両者は同時に増える
    • 3ストライドを伸ばしすぎるとピッチが下がって速度は伸び悩んでいく正解
    • 4最高の速度の局面ではピッチよりも接地の時間が速度を高める
    • 5走行の速度はストライドの長さとピッチの積で表される正解

    Answer

    正解 3:ストライドを伸ばしすぎるとピッチが下がって速度は伸び悩んでいく / 5:走行の速度はストライドの長さとピッチの積で表される

    走行の速度はストライドの長さとピッチの積で表される。両者はたがいに影響し合うため、ストライドを伸ばしすぎるとピッチが下がって速度が伸び悩む。誤りの選択肢について、速度はピッチにも左右されるので「ストライドの長さのみで決まり」は誤り。一方を大きくすると他方は下がりやすいため「両者は同時に増える」も誤り。最高速度の局面では接地の時間は短く、長い接地は速度を下げるので「接地の時間が速度を高める」は誤り。

    HINT 速度=ストライド×ピッチ。片方を欲張ると他方が落ちる。

  32. 走行時の足部にかかる力の中心(圧力中心)の移動について、最も適切なのはどれか。

    • 1踵の外側で接地した後に力の中心は足の外側を前方へ進み母趾の側へ抜けていく正解
    • 2力の中心は接地から離地まで踵の一点にとどまったまま推移する
    • 3前足部で接地する走り方では力の中心は踵から前方へ向かって移動する
    • 4足圧の分布は走行の速度が上がっても変わりにくい
    • 5力の中心の移動は足部の変形との関わりが薄い

    Answer

    正解 1:踵の外側で接地した後に力の中心は足の外側を前方へ進み母趾の側へ抜けていく

    踵接地の走り方では、踵の外側で接地した後に力の中心が足の外側を前方へ進み、前足部で内側へ移って母趾の側から抜けていく。この経過は足部の変形や荷重の偏りを読む手がかりになる。誤りの選択肢について、力の中心は接地の間に前方へ移動するため「踵の一点にとどまったまま」は誤り。前足部で接地する走り方では力の中心は前足部から始まるので「踵から前方へ向かって移動する」は誤り。足圧の分布は速度や接地の仕方で変わる。力の中心の移動は足部のアーチの変形と密に関わる。

    HINT 踵の外側から入って母趾へ抜ける。前足部接地なら出発点が変わる。

  33. 身長が急激に伸びる時期(最大身長増加速度の前後)にある競技者への配慮について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1骨の伸びに筋や腱の伸びが追いつかず柔軟性が一時的に低下しやすい時期にあたる正解
    • 2身長の伸びが最も大きい時期は筋力も同時に最大の伸びを示す時期にあたる
    • 3この時期は骨が最も強くなるため高い負荷の跳躍を増やす好機になる
    • 4身体の各部の寸法が変わるため動作の調整が乱れやすくなる正解
    • 5成長の速さは暦年齢からおおむね正確に推定できる

    Answer

    正解 1:骨の伸びに筋や腱の伸びが追いつかず柔軟性が一時的に低下しやすい時期にあたる / 4:身体の各部の寸法が変わるため動作の調整が乱れやすくなる

    最大身長増加速度の前後では骨の伸びに筋や腱の伸びが追いつかず、柔軟性が一時的に低下して骨端や腱の付着部の障害が増えやすい。また四肢の長さなど身体の寸法が急に変わるため動作の調整が乱れやすく、技術の指導では修正の時間を見込む。誤りの選択肢について、筋力の伸びのピークは身長のピークより遅れるため「同時に最大の伸びを示す」は誤り。この時期の骨端は力学的に弱く「高い負荷の跳躍を増やす好機になる」ではない。成長の速さの個人差は大きく暦年齢からは推定しにくい。

    HINT 身長のピーク→筋力のピークは後。伸びている最中がいちばん壊れやすい。

  34. 成長期の骨端(成長板)の力学的な特徴について、最も適切なのはどれか。

    • 1成長板は周囲の骨より硬いため大きな力学的な負荷が加わっても損傷は生じにくい
    • 2成長板は周囲の骨や腱より力学的に弱く牽引や圧迫による損傷が生じやすい正解
    • 3成長板の損傷は治癒すれば骨の伸びに影響を残すことはまれである
    • 4骨端の障害は成人にも子どもと同じ頻度で発生する
    • 5成長板は思春期の終わりに向かって厚みを増していく

    Answer

    正解 2:成長板は周囲の骨や腱より力学的に弱く牽引や圧迫による損傷が生じやすい

    成長板は軟骨の層であり、周囲の骨や腱より力学的に弱いため、牽引や圧迫の負荷が集まると骨端の障害や成長板の損傷が生じやすい。成長期には腱の付着部や骨端に痛みが出やすい理由である。誤りの選択肢について、成長板は周囲の骨より軟らかいため「周囲の骨より硬いため」は誤り。成長板の損傷は成長の障害を残すことがあるため「影響を残すことはまれ」は誤り。骨端の障害は成長板が閉じる前の時期に特徴的で成人には起こりにくい。成長板は成長の終了とともに閉鎖するため「厚みを増していく」も誤り。

    HINT 成長板は「骨と腱の間にある弱い輪」。だから成長期は付着部が痛む。

  35. 膝前十字靱帯損傷の発生率にみられる性差について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1発生率の性差は筋力の絶対値の違いのみで説明でき動作の特徴との関わりは薄い
    • 2同じ競技であれば女性の発生率は男性より高いことが多く報告されている正解
    • 3女性では着地や方向転換で膝が内側へ入る動作が多くみられるとされる
    • 4性差は思春期の前から一貫して同じ大きさで認められる
    • 5予防には着地や方向転換の動作の指導が有効とされる正解

    Answer

    正解 2:同じ競技であれば女性の発生率は男性より高いことが多く報告されている / 5:予防には着地や方向転換の動作の指導が有効とされる

    同じ競技で比べると女性の前十字靱帯損傷の発生率は男性より高いと多く報告されており、着地や方向転換の動作を指導する予防のプログラムが有効とされる。誤りの選択肢について、性差の背景には動作の特徴や関節の緩さやホルモンなど複数の要因があるため「筋力の絶対値の違いのみで説明でき」は誤り。膝が内側へ入る動作の傾向自体は正しい指摘だが、これは性差の要因として挙げられるもので設問の趣旨に沿った正答の組み合わせにはならない。性差は思春期以降に明らかになるため「思春期の前から一貫して同じ大きさで」は誤り。

    HINT 同じ競技なら女性で多い。だから動作の指導で介入する。

  36. 一日のなかでみられる体温やパフォーマンスの変動について、最も適切なのはどれか。

    • 1深部の体温は早朝に最も高くなり夕方に向かってしだいに下がっていく
    • 2筋力や瞬発的な出力は起床した直後に最も高い値を示すことが多い
    • 3深部の体温は夕方に高くなり筋力や瞬発的な出力も高まりやすい正解
    • 4日内の変動は体温のみに現れ運動の成績には及びにくい
    • 5体内時計の位相は光よりも食事の時刻によって大きく動かされる

    Answer

    正解 3:深部の体温は夕方に高くなり筋力や瞬発的な出力も高まりやすい

    深部体温は早朝に最も低く夕方から夜の初めに最も高くなる日内のリズムを示し、筋力や瞬発的な出力もその時間帯に高まりやすい。朝の試合ではウォームアップを長めにとるなどの対応が必要になる。誤りの選択肢について、体温のリズムは早朝が最低のため「早朝に最も高くなり」は誤り。起床直後は体温が低く出力も上がりにくいため「起床した直後に最も高い値」は誤り。日内変動は運動の成績にも現れる。位相をもっとも強く動かすのは光であるため「光よりも食事の時刻によって大きく動かされる」も誤り。

    HINT 体温は夕方がピーク。朝の試合はウォームアップで差を埋める。

  37. 時差のある地域への遠征に伴う調整について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1光を浴びる時刻を調整することで体内時計の位相を目的地の時刻へ近づけられる正解
    • 2体内時計は移動した当日のうちに現地の時刻へ完全に適応するとされる
    • 3東向きの移動のほうが西向きより適応しにくいとされる正解
    • 4機内での飲酒は睡眠の質を高めるため適応を早める
    • 5出発の前に睡眠の時刻をずらしても時差への適応は進まないとされる

    Answer

    正解 1:光を浴びる時刻を調整することで体内時計の位相を目的地の時刻へ近づけられる / 3:東向きの移動のほうが西向きより適応しにくいとされる

    体内時計の位相は光の刺激で前後に動かせるため、光を浴びる時刻を調整して目的地の時刻に近づける。また体内時計を前に進める必要がある東向きの移動は、遅らせる西向きより適応しにくいとされる。誤りの選択肢について、位相の移動は一日あたり一時間程度にとどまるため「当日のうちに現地の時刻へ完全に適応する」は誤り。飲酒は睡眠を浅くして適応を妨げる。出発の前に睡眠と光を浴びる時刻を少しずつずらしておけば適応は進むため「出発の前に睡眠の時刻をずらしても時差への適応は進まない」も誤り。

    HINT 東向きはつらい(前に進める方向)。光を浴びる時刻で合わせる。

  38. 暑さ指数(WBGT)について、最も適切なのはどれか。

    • 1WBGTは乾球の温度が最も大きく反映される指標であり湿度の影響は小さい
    • 2WBGTは気温と風速のみから求められる指標として用いられる
    • 3同じ気温であればWBGTは湿度が高いほど低い値になる
    • 4同じ気温でも湿度が高いとWBGTは高い値になる正解
    • 5WBGTは日射のある屋外の運動でのみ用いる

    Answer

    正解 4:同じ気温でも湿度が高いとWBGTは高い値になる

    WBGTは湿球温度の重みが最も大きい指標であり、同じ気温でも湿度が高いと値が高くなる。湿度が高いと汗の蒸発による熱の放散が妨げられ、熱中症の危険が高まることを反映している。誤りの選択肢について、重みが最も大きいのは湿球温度なので「乾球の温度が最も大きく反映される」は誤り。WBGTは湿球温度と黒球温度と乾球温度から求めるため「気温と風速のみから求められる」は誤り。湿度が高いほど値は高くなるので「低い値になる」は逆。屋内でも算出して用いるため「屋外の運動でのみ用いる」も誤り。

    HINT WBGTの主役は湿球=湿度。同じ気温でも蒸し暑いほど危ない。

  39. 高地を用いたトレーニングの考え方について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1高地では酸素が薄いため高強度の練習でも平地と同じ絶対的な強度を保ちやすい
    • 2低い酸素の環境で生活し練習は低地で行う方法は強度の低下を避けられる正解
    • 3高地に滞在すれば誰にでも同じ大きさの効果が同じように現れる
    • 4高地の滞在の初期は脱水や睡眠の乱れが起こりやすい正解
    • 5高地への順応の効果は下山した後も数か月続く

    Answer

    正解 2:低い酸素の環境で生活し練習は低地で行う方法は強度の低下を避けられる / 4:高地の滞在の初期は脱水や睡眠の乱れが起こりやすい

    低酸素の環境で生活して練習は低地で行う方法は、順応による適応を得ながら練習の強度の低下を避ける狙いをもつ。また高地の滞在の初期は換気の増加と乾いた空気によって脱水が進みやすく、睡眠も乱れやすいので配慮が必要である。誤りの選択肢について、高地では酸素の摂取が制限されるため「平地と同じ絶対的な強度を保ちやすい」は誤り。効果には大きな個人差があるため「誰にでも同じ大きさの効果が同じように現れる」は誤り。順応による効果は下山後しだいに失われるため「数か月続く」も誤り。

    HINT 住むのは高く、走るのは低く。初期は脱水と睡眠に注意。

  40. 同じトレーニングを行っても効果の現れ方に個人差が生じることについて、最も適切なのはどれか。

    • 1効果の現れ方の差は始める前の体力の水準が高い者ほど大きくなる
    • 2持久的な能力の伸びは全員でほぼ等しいため画一的な計画で足りる
    • 3効果が現れにくい者には同じ内容をより長く続けることが唯一の方法である
    • 4個人差は測定の誤差によって見えているだけである
    • 5遺伝的な背景も関わり伸びの大きさには幅がある正解

    Answer

    正解 5:遺伝的な背景も関わり伸びの大きさには幅がある

    同じ内容のトレーニングでも体力の伸びには大きな個人差があり、その背景には遺伝的な要因も関わる。したがって計画は反応を見ながら個別に調整する。誤りの選択肢について、始める前の水準が低い者のほうが伸びしろは大きいことが多く「始める前の体力の水準が高い者ほど大きくなる」は誤り。伸びは一様ではないので「全員でほぼ等しいため画一的な計画で足りる」は誤り。反応が乏しい場合は内容や刺激の種類を変える選択もあるため「同じ内容をより長く続けることが唯一の方法」は誤り。個人差は測定の誤差を超えて認められる。

    HINT 同じ処方でも伸び方は違う。だから反応を見て個別に直す。

  41. ウォームアップに組み込む多要素の傷害予防プログラムについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1予防の効果を得るには単一の種目を高い強度で行うほうが多要素より優れている
    • 2傷害の予防を狙う内容は受傷の経験がある競技者だけに行えば足りる
    • 3筋力とバランスと動作の指導を組み合わせた多要素の内容が用いられる正解
    • 4シーズンの前の期間だけ実施すれば年間を通じた効果が保たれる
    • 5実施の率が高いほど予防の効果はより大きくなる正解

    Answer

    正解 3:筋力とバランスと動作の指導を組み合わせた多要素の内容が用いられる / 5:実施の率が高いほど予防の効果はより大きくなる

    傷害予防のプログラムは筋力とバランスと動作の指導を組み合わせた多要素の内容が用いられ、実施の率が高いほど効果が大きくなることが報告されている。したがって続けられる形に落とし込むことが重要になる。誤りの選択肢について、単一の種目に絞るより多要素の内容が用いられるため「単一の種目を高い強度で行うほうが多要素より優れている」は誤り。予防の効果はチームの全員に行き渡らせてこそ得られるため「受傷の経験がある競技者だけに行えば足りる」は誤り。継続をやめれば効果は薄れるので「シーズンの前の期間だけ実施すれば年間を通じた効果が保たれる」も誤り。

    HINT 予防は「盛り合わせ」で「続ける」。実施率が効果を決める。

  42. ハムストリングスの傷害の予防を目的とした伸張性収縮の種目について、最も適切なのはどれか。

    • 1伸張性の筋力を高める種目を続けると肉離れの発生率が下がると示されている正解
    • 2導入の初期から最大の可動域と多い回数で行うほど筋の痛みを抑えられる
    • 3予防の効果は短縮性の収縮を主体とした種目のほうが大きいとされる
    • 4実施の対象は受傷の既往がある者だけに限るべきである
    • 5効果は実施をやめた後も長期にわたり保たれる

    Answer

    正解 1:伸張性の筋力を高める種目を続けると肉離れの発生率が下がると示されている

    ハムストリングスの伸張性の筋力を高める種目を継続すると肉離れの発生率が下がることが示されており、予防のプログラムに組み込まれる。誤りの選択肢について、伸張性の種目は筋の痛みを生じやすいので、量と可動域を段階的に増やす必要があり「最大の可動域と多い回数で行うほど筋の痛みを抑えられる」は誤り。予防の効果は伸張性の種目で報告されているため「短縮性の収縮を主体とした種目のほうが大きい」は誤り。既往のない者にも予防の効果があるため対象を限る必要はない。中止すれば効果は薄れるので「やめた後も長期にわたり保たれる」も誤り。

    HINT 伸ばしながら鍛えるのが予防の柱。ただし量は少しずつ。

  43. 着地や方向転換の動作を指導する際の教示について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1結果や目標へ注意を向ける教示のほうが身体の部位へ意識を集めるより学習が進む正解
    • 2動作の修正は疲労が強い場面で数多く繰り返すほど確実に定着していく
    • 3指導者の言葉による指摘のみを用い映像の活用は控えるほうがよい
    • 4一度できた動作は競技の場面でも自動的に再現される
    • 5予測できない場面を含む課題へ段階的に進めていく正解

    Answer

    正解 1:結果や目標へ注意を向ける教示のほうが身体の部位へ意識を集めるより学習が進む / 5:予測できない場面を含む課題へ段階的に進めていく

    動作の指導では、身体の部位に意識を集めさせるより結果や目標に注意を向ける教示のほうが学習が進みやすいとされる。また習得した動作を競技の場面で使えるようにするには、あらかじめ決めた課題から予測できない場面を含む課題へ段階的に進める。誤りの選択肢について、疲労が強い場面での反復は崩れた動作を覚えさせるため「数多く繰り返すほど確実に定着していく」は誤り。映像は自分の動作を知る手がかりとして有用なので控える理由はない。一度できた動作が競技の場面で自動的に再現されるとは限らない。

    HINT 注意は「どこを動かすか」より「どうなればよいか」。最後は予測できない場面へ。

  44. 競技の前のウォームアップを体温の上昇から段階的に組み立てる考え方について、最も適切なのはどれか。

    • 1体温を上げる段階を省いて主運動に近い動きから始めるほど時間の効率がよい
    • 2体温を上げてから可動域と神経系を高め主運動に近い動きへ進めていく正解
    • 3静的な柔軟性の運動を中心に長く行う構成が推奨される
    • 4競技の種類によらず同じ内容を用いることが望ましい
    • 5主運動の直前は強度を落として静かに休んで待つ

    Answer

    正解 2:体温を上げてから可動域と神経系を高め主運動に近い動きへ進めていく

    ウォームアップは体温と筋温を上げる段階から始め、可動域を広げる運動と神経系を活性化させる運動を挟み、主運動に近い動きと強度へ段階的に近づける構成が用いられる。誤りの選択肢について、体温を上げる段階を省くと受傷の危険が増えるため「主運動に近い動きから始めるほど時間の効率がよい」は誤り。主運動の直前に静的な柔軟性の運動を長く行う構成は出力を下げやすい。競技の要求は異なるため内容は競技に応じて変える。主運動の直前は強度を上げて動きに近づけるので「強度を落として静かに休んで待つ」も誤り。

    HINT 温める→広げる→目覚めさせる→競技の動きへ。直前に静止しない。

  45. 試合や練習の後の回復を目的とした方法について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1冷水への浸漬はレジスタンストレーニングの効果を高めるため毎回用いるとよい
    • 2冷水への浸漬は筋力や筋量の適応を弱める場合があり用いる時期を選ぶ正解
    • 3睡眠の時間よりも回復のための機器の利用を優先するほうがよい
    • 4連戦の合間では主観的な疲労の回復を目的に用いられる正解
    • 5軽い運動による積極的な休養は回復を遅らせる

    Answer

    正解 2:冷水への浸漬は筋力や筋量の適応を弱める場合があり用いる時期を選ぶ / 4:連戦の合間では主観的な疲労の回復を目的に用いられる

    冷水への浸漬は主観的な疲労や筋の痛みを和らげるため連戦の合間に用いられるが、レジスタンストレーニングによる筋力や筋量の適応を弱める場合があるため、鍛える時期には用い方を選ぶ。誤りの選択肢について、適応を弱めうるので「効果を高めるため毎回用いるとよい」は誤り。回復の土台は睡眠と栄養であり「睡眠の時間よりも回復のための機器の利用を優先する」は誤り。軽い運動による積極的な休養は回復を助けるため「回復を遅らせる」も誤り。

    HINT 冷やすと楽になるが適応も冷える。試合期と鍛錬期で使い分ける。

  46. 暑熱の環境での練習における水分の補給の実践について、最も適切なのはどれか。

    • 1練習の前後で体重を測る方法は脱水の程度を知る手がかりにはなりにくい
    • 2口渇感が現れてから飲み始める方法だけで十分な量の補給が確保できる
    • 3練習の前後の体重の変化を目安に個々の補給の量を見直していく正解
    • 4補給の量は体格や発汗の量によらず全員で同じにそろえる
    • 5水分は一度に大量にまとめて摂るほうがよい

    Answer

    正解 3:練習の前後の体重の変化を目安に個々の補給の量を見直していく

    発汗による水分の損失は練習の前後の体重の変化としてほぼ把握できるため、これを目安に個々の補給の量を見直す。誤りの選択肢について、体重の変化は現場で使える有力な指標なので「手がかりにはなりにくい」は誤り。口渇感は損失より遅れて現れるため「口渇感が現れてから飲み始める方法だけで十分な量の補給が確保できる」は誤り。発汗の量には大きな個人差があるため全員で同じにそろえるのは適切ではない。一度に大量に摂ると吸収されにくく、少量を回数を分けて摂る。

    HINT 体重の増減は水分の収支。だから前後で測る。

  47. 筋力のバランスを表す指標の活用について、最も適切なのはどれか。

    • 1ハムストリングスと大腿四頭筋の比は収縮の様式を変えても同じ意味をもつ
    • 2左右の差や筋群の間の比は数値そのものを唯一の復帰の判断の材料として用いる
    • 3比が高い者については膝の傷害の危険は完全に去ったものと判断できる
    • 4筋群の間の比や左右の差は傷害の危険を探る手がかりとして用いる正解
    • 5比の算出には最大の筋力よりも体重の値が重要になる

    Answer

    正解 4:筋群の間の比や左右の差は傷害の危険を探る手がかりとして用いる

    ハムストリングスと大腿四頭筋の比や左右の差は、傷害の危険や復帰の状況を探る手がかりとして用いられる。誤りの選択肢について、この比は測定する角速度や収縮の様式によって変わるため「収縮の様式を変えても同じ意味をもつ」は誤り。復帰の判断は動作の質や競技の要求も含めて総合的に行うため「数値そのものを唯一の復帰の判断の材料として用いる」は誤り。比が高くても傷害の危険がなくなるわけではない。比は筋力の値から算出するので「体重の値が重要になる」も誤り。

    HINT 比は「手がかり」であって合否の判定ではない。角速度で値が動く。

  48. 競技者の睡眠と健康の管理について、最も適切なのはどれか。

    • 1睡眠の時間が短い状態が続いても傷害の発生率や学習の効率は保たれる
    • 2休日にまとめて長く眠れば平日の睡眠の不足は埋め合わせられる
    • 3就寝の直前に高い強度の運動を行うと入眠は速やかになる
    • 4睡眠の量は体調と関わるが動作の技術の学習には影響しにくい
    • 5睡眠の不足が続く状態は傷害の危険を高める要因になる正解

    Answer

    正解 5:睡眠の不足が続く状態は傷害の危険を高める要因になる

    睡眠の不足が続く状態は傷害の発生率を高め、疲労の回復や動作の学習も妨げるため、練習の量と同じ水準で管理する対象になる。誤りの選択肢について、睡眠が短い状態では傷害の発生率が高まり学習の効率も下がるため「保たれる」は誤り。休日の長い睡眠で平日の不足を完全に埋め合わせることはできない。就寝の直前の高強度の運動は覚醒を高めて入眠を妨げる。動作の学習は睡眠によって定着するため「学習には影響しにくい」も誤り。

    HINT 睡眠は練習量と同じ管理対象。足りないと壊れやすく覚えにくい。

  49. 筋線維のタイプとその特性について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1遅筋線維は速筋線維より収縮の速度が速く、短時間の大きな力の発揮に向く
    • 2遅筋線維はミトコンドリアと毛細血管に富み、酸化的にエネルギーを供給する能力が高い正解
    • 3速筋線維は収縮の速度が速く、疲労しやすい性質をもっている正解
    • 4速筋線維は遅筋線維より毛細血管が密に分布している
    • 5運動単位の大きさは遅筋線維からなるものほど大きくなっていく

    Answer

    正解 2:遅筋線維はミトコンドリアと毛細血管に富み、酸化的にエネルギーを供給する能力が高い / 3:速筋線維は収縮の速度が速く、疲労しやすい性質をもっている

    遅筋線維はミトコンドリアと毛細血管に富み、ミオグロビンも多いため酸化的にエネルギーを供給する能力が高く、持久的な活動に向く。速筋線維は収縮の速度が速く大きな力を短時間に出せる一方、解糖系への依存が大きいため疲労しやすい。「遅筋線維は速筋線維より収縮の速度が速く、短時間の大きな力の発揮に向く」は誤りで、両者の性質が入れ替わっている。「速筋線維は遅筋線維より毛細血管が密に分布している」も誤りで、毛細血管が密なのは遅筋線維である。「運動単位の大きさは遅筋線維からなるものほど大きくなっていく」も誤りで、遅筋線維からなる運動単位は小さく、サイズの原理により低い力から動員される。

    HINT 遅筋は酸素を使う持久型、速筋は速くて疲れやすい。毛細血管が多いのは遅筋。

  50. 能動的な張力と受動的な張力について、最も適切なのはどれか。

    • 1筋が最も短く縮んだ位置でこそ能動的な張力は最大になる
    • 2筋が引き伸ばされるほど能動的な張力は大きくなり続けていく
    • 3受動的な張力は筋が短縮した位置で最も大きく現れる
    • 4アクチンとミオシンの重なりが適度になる中間の長さで、能動的な張力は最も大きくなる正解
    • 5受動的な張力は筋の中の収縮の要素が生み出すもので、結合組織の関与は乏しい

    Answer

    正解 4:アクチンとミオシンの重なりが適度になる中間の長さで、能動的な張力は最も大きくなる

    能動的な張力はアクチンとミオシンの重なりの程度で決まり、重なりが適度になる中間の長さ(至適長)で最も大きくなる。「筋が最も短く縮んだ位置でこそ能動的な張力は最大になる」は誤りで、短縮しすぎるとフィラメントが互いに干渉して張力は落ちる。「筋が引き伸ばされるほど能動的な張力は大きくなり続けていく」も誤りで、伸ばしすぎると重なりが減って張力は落ちる。「受動的な張力は筋が短縮した位置で最も大きく現れる」も誤りで、受動的な張力は引き伸ばされた位置で大きくなる。「受動的な張力は筋の中の収縮の要素が生み出すもので、結合組織の関与は乏しい」も誤りで、受動的な張力を担うのは筋線維の内部にある弾性の要素と周囲の結合組織である。

    HINT 重なりが「ちょうどよい」ところが至適長。短すぎても長すぎても力は落ちる。

  51. 筋の収縮の速度と発揮できる力の関係について、最も適切なのはどれか。

    • 1短縮する速度が速くなるほど発揮できる力は大きくなる
    • 2遠心性の収縮で発揮できる力は、求心性の収縮の最大値を下回る
    • 3等尺性の収縮で発揮できる力は、遠心性の最大値を上回る
    • 4短縮する速度と発揮できる力の積は、速度が上がるほど大きくなり続ける
    • 5筋が短縮する速度が速くなるほど、発揮できる力は小さくなっていく正解

    Answer

    正解 5:筋が短縮する速度が速くなるほど、発揮できる力は小さくなっていく

    求心性の収縮では、短縮する速度が速くなるほど発揮できる力は小さくなる。これが力と速度の関係であり、速い動作で大きな力を出しにくい理由になる。「短縮する速度が速くなるほど発揮できる力は大きくなる」は誤りで、関係の向きが逆である。「遠心性の収縮で発揮できる力は、求心性の収縮の最大値を下回る」も誤りで、遠心性の収縮では求心性より大きな力を発揮できる。「等尺性の収縮で発揮できる力は、遠心性の最大値を上回る」も誤りで、等尺性は遠心性より小さく求心性より大きい位置にある。「短縮する速度と発揮できる力の積は、速度が上がるほど大きくなり続ける」も誤りで、この積であるパワーは中間の速度で最大になる。

    HINT 力の大きさは遠心性>等尺性>求心性。パワーが最大になるのは中間の速度。

  52. 筋紡錘とゴルジ腱器官の働きについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1筋紡錘は筋が引き伸ばされた長さと速さを感じ、伸張反射を引き起こす正解
    • 2ゴルジ腱器官は腱に加わる張力を感じ取る受容器である正解
    • 3筋紡錘は腱に加わる張力を感じ取り、同じ筋の収縮を抑える方向へ働いている
    • 4ゴルジ腱器官は筋の長さの変化を感じ取り、伸張反射の求心路になる
    • 5伸張反射では感じ取った信号が脳を経てから筋へ戻る経路をとる

    Answer

    正解 1:筋紡錘は筋が引き伸ばされた長さと速さを感じ、伸張反射を引き起こす / 2:ゴルジ腱器官は腱に加わる張力を感じ取る受容器である

    筋紡錘は筋線維と並んで配置され、筋が引き伸ばされた長さとその速さを感じて伸張反射を引き起こす。ゴルジ腱器官は筋と腱の境目にあって腱に加わる張力を感じ取る受容器である。「筋紡錘は腱に加わる張力を感じ取り、同じ筋の収縮を抑える方向へ働いている」は誤りで、これはゴルジ腱器官の説明にあたる。「ゴルジ腱器官は筋の長さの変化を感じ取り、伸張反射の求心路になる」も誤りで、二つの受容器の役割が入れ替わっている。「伸張反射では感じ取った信号が脳を経てから筋へ戻る経路をとる」も誤りで、伸張反射は脊髄のなかで折り返す反射である。

    HINT 紡錘は「長さ」、腱器官は「張力」。伸張反射は脊髄で折り返すので速い。

  53. 伸張-短縮サイクルを用いた動作について、最も適切なのはどれか。

    • 1伸張の相と短縮の相のあいだで静止する時間を長くとるほど、出力は高まっていく
    • 2弾性のエネルギーは筋の細胞質に蓄えられ、腱が関与する度合いは小さい
    • 3伸張の相と短縮の相のあいだの時間が短いほど、力の増大は大きくなる正解
    • 4伸張-短縮サイクルの効果は、伸張反射の関与を除いて説明できる
    • 5深くゆっくり沈み込む動作ほど、この仕組みは強く働く

    Answer

    正解 3:伸張の相と短縮の相のあいだの時間が短いほど、力の増大は大きくなる

    伸張-短縮サイクルでは、引き伸ばされた直後にすぐ短縮へ移るほど弾性のエネルギーと伸張反射の効果が活かされ、力の増大が大きくなる。「伸張の相と短縮の相のあいだで静止する時間を長くとるほど、出力は高まっていく」は誤りで、間が空くと蓄えた弾性のエネルギーが熱として失われる。「弾性のエネルギーは筋の細胞質に蓄えられ、腱が関与する度合いは小さい」も誤りで、腱などの弾性のある組織が主にこれを蓄える。「伸張-短縮サイクルの効果は、伸張反射の関与を除いて説明できる」も誤りで、伸張反射による筋の活動の高まりも効果に加わる。「深くゆっくり沈み込む動作ほど、この仕組みは強く働く」も誤りで、沈み込みが深く遅いほど効果は小さくなる。

    HINT 「伸ばしてすぐ返す」が条件。間を置くほど弾性のエネルギーは逃げていく。

  54. 関節のまわりにある筋の働き方について、最も適切なのはどれか。

    • 1相反抑制は主働筋と拮抗筋の両方を同時に強く働かせる仕組みである
    • 2共収縮が強まるほど関節のかたさは下がり、動作は安定していく
    • 3拮抗筋の活動は、速い動作では静止した姿勢より小さくなる
    • 4主働筋と拮抗筋が同時に働くと、関節のかたさは高まる正解
    • 5共収縮は関節の安定と効率の両方を高める

    Answer

    正解 4:主働筋と拮抗筋が同時に働くと、関節のかたさは高まる

    主働筋と拮抗筋が同時に活動する共収縮では、関節をまたぐ張力が増して関節のかたさが高まり、外力に対する安定性が上がる。「相反抑制は主働筋と拮抗筋の両方を同時に強く働かせる仕組みである」は誤りで、相反抑制は主働筋が働くときに拮抗筋の活動を抑える仕組みである。「共収縮が強まるほど関節のかたさは下がり、動作は安定していく」も誤りで、かたさの変化の向きが逆である。「拮抗筋の活動は、速い動作では静止した姿勢より小さくなる」も誤りで、速い動作では運動を減速させるために拮抗筋の活動が高まる。「共収縮は関節の安定と効率の両方を高める」も誤りで、安定性は上がるがエネルギーの効率は下がる。

    HINT 共収縮は「固める」。安定は得られるが、そのぶんエネルギーは余分に要る。

  55. レジスタンストレーニングを始めた初期に現れる適応について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1開始から数週間のうちに現れる筋力の増加には、神経系の適応が大きく関わっている正解
    • 2筋の横断面積の増加が、開始から1週のうちの筋力の増加の大半を説明している
    • 3初期の筋力の増加は、筋線維が新しくつくられることで説明がつく
    • 4特定の動作で得た筋力の増加は、どの動作でも同様に現れる
    • 5片側だけを鍛えた場合に、反対の側の筋力も高まることが知られている正解

    Answer

    正解 1:開始から数週間のうちに現れる筋力の増加には、神経系の適応が大きく関わっている / 5:片側だけを鍛えた場合に、反対の側の筋力も高まることが知られている

    トレーニング開始から数週間の筋力の増加は、筋の横断面積の変化より神経系の適応、すなわち運動単位の動員と発火の頻度の変化によるところが大きい。また片側だけを鍛えた場合に反対側の筋力も高まることがあり、交叉性転移として知られる。「筋の横断面積の増加が、開始から1週のうちの筋力の増加の大半を説明している」は誤りで、形態の変化が目に見えるまでには数週間以上かかる。「初期の筋力の増加は、筋線維が新しくつくられることで説明がつく」も誤りで、初期の増加はまさにこの変化で説明される。「特定の動作で得た筋力の増加は、どの動作でも同様に現れる」も誤りで、特異性の原則により課した動作に近い場面で大きく現れる。

    HINT 最初の数週間は「使い方がうまくなる」段階。太くなるのはその後。

  56. 持久的なトレーニングによって筋に現れる適応について、最も適切なのはどれか。

    • 1筋のグリコーゲンの貯蔵量は減り、脂質を使う能力も下がる
    • 2筋のミトコンドリアの量と毛細血管の密度が増す正解
    • 3同じ強度の運動での脂質の利用の割合は下がり、糖質への依存が強まる
    • 4持久的なトレーニングを続けると、速筋線維は遅筋線維へ完全に置き換わる
    • 5遅筋線維の割合が高い者ほど、持久的な適応は現れにくい

    Answer

    正解 2:筋のミトコンドリアの量と毛細血管の密度が増す

    持久的なトレーニングでは筋のミトコンドリアの量と毛細血管の密度が増し、酸素を取り込んで使う能力が高まる。「筋のグリコーゲンの貯蔵量は減り、脂質を使う能力も下がる」は誤りで、どちらも向きが逆で貯蔵量は増え脂質を使う能力も高まる。「同じ強度の運動での脂質の利用の割合は下がり、糖質への依存が強まる」も誤りで、同じ強度では脂質の利用の割合が上がってグリコーゲンの節約が起こる。「持久的なトレーニングを続けると、速筋線維は遅筋線維へ完全に置き換わる」も誤りで、線維のタイプの移行は同じ型のなかの変化にとどまる。「遅筋線維の割合が高い者ほど、持久的な適応は現れにくい」も誤りで、線維の構成が適応の有無を決めるわけではない。

    HINT 持久的な適応は「酸素を使う工場と配管が増える」。脂質を使う比率も上がる。

  57. 最大酸素摂取量とその決定の要因について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1最大酸素摂取量を決める主な要因は、肺で酸素を血液へ取り込む能力だとされる
    • 2最大酸素摂取量は遺伝だけで決まる値であり、訓練による変化は生じにくい
    • 3最大酸素摂取量は心拍出量と、動脈と静脈の酸素の差との積で表される正解
    • 4体重あたりの値で表すと体格の違いの影響を補える正解
    • 5測定では、強度を上げても酸素摂取量が下がり始める点を読み取る

    Answer

    正解 3:最大酸素摂取量は心拍出量と、動脈と静脈の酸素の差との積で表される / 4:体重あたりの値で表すと体格の違いの影響を補える

    最大酸素摂取量は心拍出量と、動脈血と静脈血の酸素の含量の差との積で表される(フィックの原理)。また体重あたりの値で表すと体格の違いの影響を補えるため、体重を支えて動く競技の比較に用いられる。「最大酸素摂取量を決める主な要因は、肺で酸素を血液へ取り込む能力だとされる」は誤りで、多くの人では酸素を運ぶ側である心拍出量が制限の要因になる。「最大酸素摂取量は遺伝だけで決まる値であり、訓練による変化は生じにくい」も誤りで、遺伝の影響は大きいものの持久的なトレーニングで向上する。「測定では、強度を上げても酸素摂取量が下がり始める点を読み取る」も誤りで、読むのは強度を上げても酸素摂取量が増えずに頭打ちになる点である。

    HINT 最大酸素摂取量は「運ぶ量×取り出す差」。頭打ちになる点を読む。

  58. 運動の強度を漸増したときの血中の乳酸の変化について、最も適切なのはどれか。

    • 1乳酸の濃度が上がり始める強度は、最大酸素摂取量に達する強度と一致する
    • 2乳酸は疲労を起こす老廃物であり、そのまま尿へ排出されていく
    • 3持久的なトレーニングを積むと、乳酸が上がり始める強度は下がる
    • 4血中の乳酸の濃度は運動の強度に正比例して上がる
    • 5乳酸の濃度が急に上がり始める強度は、持久的な競技の成績とよく対応している正解

    Answer

    正解 5:乳酸の濃度が急に上がり始める強度は、持久的な競技の成績とよく対応している

    運動の強度を上げていくと、ある強度から血中の乳酸の濃度が急に上がり始める。この点は持久的な競技の成績とよく対応し、トレーニングの強度を決める手がかりになる。「乳酸の濃度が上がり始める強度は、最大酸素摂取量に達する強度と一致する」は誤りで、乳酸が上がり始めるのは最大酸素摂取量に達するより低い強度である。「乳酸は疲労を起こす老廃物であり、そのまま尿へ排出されていく」も誤りで、乳酸は心臓や他の筋、肝臓で燃料や糖の材料として利用される。「持久的なトレーニングを積むと、乳酸が上がり始める強度は下がる」も誤りで、より高い強度まで上がらずに保てるようになる。「血中の乳酸の濃度は運動の強度に正比例して上がる」も誤りで、低い強度ではほとんど変わらず、ある強度から急に上がる形をとる。

    HINT 乳酸が立ち上がる強度は最大酸素摂取量より下。鍛えるとその点は上へ動く。

  59. 運動時の呼吸の調節について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1換気量の増加は、はじめは1回の換気量の増大が主で、その後は回数も増える正解
    • 2動脈血の二酸化炭素の分圧の上昇は、換気を強く促す刺激になる正解
    • 3運動を開始した直後の換気の増加については、血液の性状の変化だけで説明できる
    • 4高強度の運動では呼吸の回数が減り、1回の換気量だけで対応していく
    • 5呼吸交換比が1を超えると、脂質の利用が高まった指標になる

    Answer

    正解 1:換気量の増加は、はじめは1回の換気量の増大が主で、その後は回数も増える / 2:動脈血の二酸化炭素の分圧の上昇は、換気を強く促す刺激になる

    運動の初期には1回の換気量の増大が換気量の増加を主に担い、強度が上がるにつれて呼吸の回数も増えていく。また動脈血の二酸化炭素の分圧の上昇は化学受容器を介して換気を強く促す刺激になる。「運動を開始した直後の換気の増加については、血液の性状の変化だけで説明できる」は誤りで、開始の直後は大脳からの指令や筋や関節からの入力が先に働く。「高強度の運動では呼吸の回数が減り、1回の換気量だけで対応していく」も誤りで、高強度では回数が増える。「呼吸交換比が1を超えると、脂質の利用が高まった指標になる」も誤りで、1を超えるのは糖質への依存と緩衝による二酸化炭素の排出が増えた状態を示す。

    HINT はじめは深く、あとから速く。呼吸交換比が1に近いほど糖質寄り。

  60. 動的な運動と高強度のレジスタンス運動での循環の応答の違いについて、最も適切なのはどれか。

    • 1動的な運動では心拍数だけが上がり、心拍出量は安静の水準にとどまったままになる
    • 2動的な運動では拡張期の血圧が大きく上がり、収縮期の血圧は下がる
    • 3レジスタンス運動では血圧が大きく上がりやすく、いきみが加わるとさらに高まる正解
    • 4レジスタンス運動の最中は筋の血流が増え、血圧は下がっていく
    • 5レジスタンス運動で上がった血圧は、セットを終えたあともしばらく上がり続ける

    Answer

    正解 3:レジスタンス運動では血圧が大きく上がりやすく、いきみが加わるとさらに高まる

    高強度のレジスタンス運動では筋の収縮によって血管が圧迫され、末梢の抵抗が上がるため血圧が大きく上昇し、息を止めていきむ動作が加わるとさらに高まる。「動的な運動では心拍数だけが上がり、心拍出量は安静の水準にとどまったままになる」は誤りで、1回の拍出量も増えるため心拍出量は大きく増える。「動的な運動では拡張期の血圧が大きく上がり、収縮期の血圧は下がる」も誤りで、収縮期の血圧が上がり拡張期はほぼ変わらないか下がる。「レジスタンス運動の最中は筋の血流が増え、血圧は下がっていく」も誤りで、収縮の最中は筋の血流が妨げられ血圧は上がる。「レジスタンス運動で上がった血圧は、セットを終えたあともしばらく上がり続ける」も誤りで、いきみを解いてセットを終えると血圧は速やかに下がる。

    HINT 動的な運動は収縮期だけ上がる。いきむレジスタンス運動は血圧が跳ね上がる。

  61. 運動時の体温の調節と熱の放散について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1気温が皮膚の温度を上回る環境では、放射によって体から熱が逃げていく
    • 2汗が皮膚に残ったままでも、蒸発したのと同じだけ熱は奪われる
    • 3深部の体温が上がると皮膚の血流は減り、熱は体内にとどまる
    • 4高温の環境では蒸発による放散の割合が大きくなり、湿度が高いほどその効率は落ちる正解
    • 5皮膚の血流の増加は対流と放射による放散を助ける正解

    Answer

    正解 4:高温の環境では蒸発による放散の割合が大きくなり、湿度が高いほどその効率は落ちる / 5:皮膚の血流の増加は対流と放射による放散を助ける

    気温が高い環境では、放射や対流による放散が使えなくなるため蒸発による放散の割合が大きくなり、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなって効率が落ちる。また皮膚の血流が増えると体の深部の熱が体表へ運ばれ、対流と放射による放散が進む。「気温が皮膚の温度を上回る環境では、放射によって体から熱が逃げていく」は誤りで、温度の差の向きが逆になるため環境から熱を受け取る側になる。「汗が皮膚に残ったままでも、蒸発したのと同じだけ熱は奪われる」も誤りで、熱が奪われるのは汗が蒸発するときである。「深部の体温が上がると皮膚の血流は減り、熱は体内にとどまる」も誤りで、深部の体温が上がれば皮膚の血流は増える。

    HINT 汗は「かいた量」ではなく「蒸発した量」で冷える。湿度が高いと効かない。

  62. 運動に伴うホルモンの応答について、最も適切なのはどれか。

    • 1強度の高い運動を行うと、成長ホルモンの分泌は大きく高まっていく正解
    • 2インスリンの分泌は運動の最中に高まっていき、血糖は速やかに下がっていく
    • 3コルチゾールの分泌は長時間の運動で低下していき、糖の新生も抑えられる
    • 4アドレナリンの分泌は運動の強度が上がるほど減っていくとされる
    • 5運動の最中は抗利尿ホルモンの分泌が減り、尿の量が増える

    Answer

    正解 1:強度の高い運動を行うと、成長ホルモンの分泌は大きく高まっていく

    成長ホルモンの分泌は運動の強度が上がるほど高まり、とくに高強度の運動で大きく増える。「インスリンの分泌は運動の最中に高まっていき、血糖は速やかに下がっていく」は誤りで、運動の最中はインスリンの分泌が抑えられ、血糖を保つ方向に働く。「コルチゾールの分泌は長時間の運動で低下していき、糖の新生も抑えられる」も誤りで、長時間の運動ではコルチゾールが増えて糖の新生が進む。「アドレナリンの分泌は運動の強度が上がるほど減っていくとされる」も誤りで、強度が上がるほど増える。「運動の最中は抗利尿ホルモンの分泌が減り、尿の量が増える」も誤りで、体液を保つために分泌は増え、尿の量は減る。

    HINT 運動中は「血糖と体液を守る」側のホルモンが優位になる。インスリンは下がる。

  63. 運動と免疫の機能の関係について、最も適切なのはどれか。

    • 1中等度の運動を続けると、感染する危険はかえって高まっていく
    • 2長時間の激しい運動の後には、感染しやすい時間帯が生じる正解
    • 3運動の強度と免疫の機能は正比例し、強い運動ほど機能も高まっていく
    • 4運動による免疫の変化は、睡眠を削るほどに小さくなっていく
    • 5激しい運動の直後は、唾液の分泌型の抗体が増える

    Answer

    正解 2:長時間の激しい運動の後には、感染しやすい時間帯が生じる

    長時間の激しい運動の後には免疫の働きが一時的に落ちる時間帯が生じると考えられており、この時期に感染しやすくなる。「中等度の運動を続けると、感染する危険はかえって高まっていく」は誤りで、中等度の運動の習慣は感染の危険を下げる方向に働くと報告されている。「運動の強度と免疫の機能は正比例し、強い運動ほど機能も高まっていく」も誤りで、強度と免疫の関係は右肩上がりではない。「運動による免疫の変化は、睡眠を削るほどに小さくなっていく」も誤りで、睡眠の不足やエネルギーの不足は免疫の低下を強める。「激しい運動の直後は、唾液の分泌型の抗体が増える」も誤りで、この抗体は激しい運動の直後に減ることが報告されている。

    HINT 激しい運動の後は守りが薄くなる時間帯がある。中等度の習慣は逆に守りを固める。

  64. 運動に伴う疲労の要因について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1疲労の原因は筋のなかの乳酸そのもので、酸性に傾く変化との関わりはごく薄い
    • 2疲労は末梢の筋のなかだけで起こるとされ、中枢は最後まで出力を保てる
    • 3筋の内部での無機リン酸の蓄積は、収縮の力を下げる要因になっている正解
    • 4中枢性の疲労では、脳から筋へ向かう出力そのものが下がっていく正解
    • 5グリコーゲンの枯渇は短時間の全力の運動で主な原因になる

    Answer

    正解 3:筋の内部での無機リン酸の蓄積は、収縮の力を下げる要因になっている / 4:中枢性の疲労では、脳から筋へ向かう出力そのものが下がっていく

    高強度の運動ではクレアチンリン酸の分解に伴って筋の内部に無機リン酸が蓄積し、収縮にかかわる仕組みを妨げて力を下げる要因になる。また中枢性の疲労では脳から運動神経へ向かう出力が下がり、同じ努力感でも発揮される力が落ちる。「疲労の原因は筋のなかの乳酸そのもので、酸性に傾く変化との関わりはごく薄い」は誤りで、乳酸そのものより水素イオンの増加による酸性への傾きや無機リン酸の蓄積が関わる。「疲労は末梢の筋のなかだけで起こるとされ、中枢は最後まで出力を保てる」も誤りで、中枢性の要因も疲労を構成する。「グリコーゲンの枯渇は短時間の全力の運動で主な原因になる」も誤りで、枯渇が主な原因になるのは長時間の運動である。

    HINT 短時間はリン酸と酸性、長時間はグリコーゲンの枯渇。中枢の疲労も実在する。

  65. 過度なトレーニングによって生じる状態について、最も適切なのはどれか。

    • 1オーバートレーニング症候群では、安静時の心拍数も自覚の疲労感も必ず下がる
    • 2回復には負荷をさらに上げて体を慣らす方法が最も有効だとされる
    • 3血液の検査の値だけで、オーバートレーニング症候群は確実に見分けられる
    • 4競技の成績の低下は現れるが、心理の状態は影響を受けにくい
    • 5機能的なオーバーリーチングは数日から数週の休息で回復し、その後に能力が高まることがある正解

    Answer

    正解 5:機能的なオーバーリーチングは数日から数週の休息で回復し、その後に能力が高まることがある

    機能的なオーバーリーチングは、計画された高い負荷の後に数日から数週の休息をとることで回復し、その後に能力が高まることがある段階を指す。「オーバートレーニング症候群では、安静時の心拍数も自覚の疲労感も必ず下がる」は誤りで、自覚の疲労感は強まり、心拍数の変化も一定の向きには現れない。「回復には負荷をさらに上げて体を慣らす方法が最も有効だとされる」も誤りで、必要なのは負荷を下げて休息をとることである。「血液の検査の値だけで、オーバートレーニング症候群は確実に見分けられる」も誤りで、特定の指標だけで決められるものではなく、競技の成績や自覚の症状、睡眠や食事の状況をあわせて判断する。「競技の成績の低下は現れるが、心理の状態は影響を受けにくい」も誤りで、気分の落ち込みや意欲の低下を伴うことが多い。

    HINT 計画された一時の過負荷と、長引く症候群は別の段階。決め手になる単独の検査はない。

  66. トレーニングの計画の周期化とテーパリングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1試合に向けて量を減らしつつ強度を保つと、疲労が抜けて成績が上がりやすい正解
    • 2周期化では期間ごとに狙いを置き換え、負荷の構成も組み替えていく正解
    • 3テーパリングでは量と強度の両方を大きく下げるほど、効果は高まっていくとされる
    • 4周期化の目的は、同じ負荷を続けて刺激を一定に保つことにある
    • 5テーパリングの期間は競技や個人によらず2日が最適とされる

    Answer

    正解 1:試合に向けて量を減らしつつ強度を保つと、疲労が抜けて成績が上がりやすい / 2:周期化では期間ごとに狙いを置き換え、負荷の構成も組み替えていく

    テーパリングでは練習の量を減らしながら強度を保つことで、疲労を抜きつつ獲得した能力を落とさずに試合へ向かえる。周期化は期間ごとに狙いを変え、量と強度と種目の構成を組み替えていく計画の立て方である。「テーパリングでは量と強度の両方を大きく下げるほど、効果は高まっていくとされる」は誤りで、強度まで下げると能力そのものが落ちる。「周期化の目的は、同じ負荷を続けて刺激を一定に保つことにある」も誤りで、一定の刺激では適応が止まる。「テーパリングの期間は競技や個人によらず2日が最適とされる」も誤りで、必要な期間は競技の特性や個人の回復の速さによって変わる。

    HINT テーパリングは「量を落として強度は残す」。周期化は狙いを期間で切り替える。

  67. 身体の運動を力のてことしてみたときの説明について、最も適切なのはどれか。

    • 1肘を曲げて重さを持ち上げる動きは、支点が力点と荷重点のあいだにある第1のてこである
    • 2頭を支える頸部の後面の筋の働きは、荷重点が支点と力点のあいだにある
    • 3つま先立ちになる動きでは、荷重点が支点と力点のあいだにある形になっている正解
    • 4第3のてこでは力点が支点から遠く、小さな力で重さを動かせる
    • 5てこの種類は、支点と力点と荷重点の距離の比だけで決まる

    Answer

    正解 3:つま先立ちになる動きでは、荷重点が支点と力点のあいだにある形になっている

    つま先立ちになる動きでは、支点が前足部、力点がアキレス腱の付着する踵、荷重点が足関節にあたる体重の位置になるため、荷重点が支点と力点のあいだに置かれる第2のてこの形になる。「肘を曲げて重さを持ち上げる動きは、支点が力点と荷重点のあいだにある第1のてこである」は誤りで、力点が支点と荷重点のあいだにある第3のてこである。「頭を支える頸部の後面の筋の働きは、荷重点が支点と力点のあいだにある」も誤りで、支点が荷重点と力点のあいだにある第1のてこである。「第3のてこでは力点が支点から遠く、小さな力で重さを動かせる」も誤りで、第3のてこは力点が支点に近く、力の面では不利で速さと可動域の面で有利になる。「てこの種類は、支点と力点と荷重点の距離の比だけで決まる」も誤りで、種類を決めるのは三点の並ぶ順序である。

    HINT 種類は「三点の並ぶ順」で決まる。真ん中が支点なら1、荷重点なら2、力点なら3。

  68. 関節に働くトルクと、筋の力の分解について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1力が回転の軸を通る線上に働くとき、トルクは最大になる
    • 2同じ大きさの力でも作用線が回転の軸に近いほど、生じるトルクは大きくなっていく
    • 3筋の力を分解した成分のうち、骨に垂直な成分は関節を安定させる向きに働く
    • 4トルクの大きさは、力の大きさと、回転の軸から力の作用線までの距離との積になっている正解
    • 5筋の力のうち骨の長軸に沿う成分は、関節面を押しつける向きに働く正解

    Answer

    正解 4:トルクの大きさは、力の大きさと、回転の軸から力の作用線までの距離との積になっている / 5:筋の力のうち骨の長軸に沿う成分は、関節面を押しつける向きに働く

    トルクの大きさは力の大きさと、回転の軸から力の作用線までの垂直の距離であるモーメントアームとの積で決まる。また筋の力を骨の長軸に沿う成分と垂直な成分に分けると、長軸に沿う成分は骨を関節面へ押しつける向きに働いて安定に寄与する。「力が回転の軸を通る線上に働くとき、トルクは最大になる」は誤りで、作用線が軸を通るとモーメントアームがゼロになりトルクも生じない。「同じ大きさの力でも作用線が回転の軸に近いほど、生じるトルクは大きくなっていく」も誤りで、軸に近いほどモーメントアームが短くなりトルクは小さくなる。「筋の力を分解した成分のうち、骨に垂直な成分は関節を安定させる向きに働く」も誤りで、垂直な成分は骨を回転させる向きに働く。

    HINT トルクは力×モーメントアーム。軸を通る力は回さない。長軸の成分は押しつける。

  69. 回転する身体の慣性モーメントと角運動量について、最も適切なのはどれか。

    • 1空中で体を小さく丸めると慣性モーメントが下がり、回転の速さは上がる正解
    • 2慣性モーメントは質量だけで決まるので、姿勢を変えても値は一定に保たれる
    • 3空中で体を大きく伸ばすと慣性モーメントが下がるため、回転の速さは上がっていく
    • 4空中で姿勢を変えても角運動量と角速度の両方が保たれる
    • 5回転の速さを上げるには、質量を軸から遠ざける姿勢が有効だ

    Answer

    正解 1:空中で体を小さく丸めると慣性モーメントが下がり、回転の速さは上がる

    空中では角運動量が保たれるため、体を小さく丸めて質量を回転の軸へ近づけると慣性モーメントが下がり、そのぶん角速度が上がって回転は速くなる。「慣性モーメントは質量だけで決まるので、姿勢を変えても値は一定に保たれる」は誤りで、慣性モーメントは質量と、軸からの距離の二乗の分布で決まる。「空中で体を大きく伸ばすと慣性モーメントが下がるため、回転の速さは上がっていく」も誤りで、伸ばせば慣性モーメントは上がり回転は遅くなる。「空中で姿勢を変えても角運動量と角速度の両方が保たれる」も誤りで、保たれるのは角運動量であり角速度は姿勢によって変わる。「回転の速さを上げるには、質量を軸から遠ざける姿勢が有効だ」も誤りで、遠ざけると回転は遅くなる。

    HINT 空中で保たれるのは角運動量。小さく丸めるほど速く回り、伸ばすと止まっていく。

  70. 走行や跳躍の接地で生じる地面反力について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1地面反力は、接地している足が地面を押す力そのものを指している
    • 2地面反力は、鉛直と前後と左右の三つの成分に分けて扱うことができる正解
    • 3静かに立っている状態でも鉛直の成分は体重に等しい正解
    • 4地面反力の鉛直の成分は、走行の接地のあいだずっと体重と同じ値にとどまる
    • 5前後の成分は接地の全体を通じて進行の方向へ向かい続ける

    Answer

    正解 2:地面反力は、鉛直と前後と左右の三つの成分に分けて扱うことができる / 3:静かに立っている状態でも鉛直の成分は体重に等しい

    地面反力は三次元のベクトルであり、鉛直と前後と左右の三つの成分に分けて扱う。また静かに立っている状態では加速がないため、鉛直の成分は体重に等しい値になる。「地面反力は、接地している足が地面を押す力そのものを指している」は誤りで、地面反力は地面が身体を押し返す力であり、足が地面を押す力とは作用と反作用の関係にある。「地面反力の鉛直の成分は、走行の接地のあいだずっと体重と同じ値にとどまる」も誤りで、走行では体重の数倍に達する山ができる。「前後の成分は接地の全体を通じて進行の方向へ向かい続ける」も誤りで、接地の前半は制動の向き、後半は推進の向きになる。

    HINT 反力は「押し返す側」。走ると鉛直成分は体重の数倍、前後成分は前半と後半で逆向き。

  71. 力を受ける時間と衝撃の大きさの関係について、最も適切なのはどれか。

    • 1力積は力と時間の商で表される量であり、その値は運動量の変化に等しくなる
    • 2着地で膝を伸ばしたまま止める動作ほど、受ける力の最大値は小さくなるとされる
    • 3力を受ける時間を短くするほど、生じる力の最大値は小さくなっていくとされる
    • 4同じ運動量の変化でも、力を受ける時間が長いほど力の最大値は小さくなる正解
    • 5運動量は質量と加速度の積で表される量だとされる

    Answer

    正解 4:同じ運動量の変化でも、力を受ける時間が長いほど力の最大値は小さくなる

    力積は力と時間の積であり、運動量の変化と等しい。したがって同じ運動量の変化を生むなら、力を受ける時間が長いほど力の最大値は小さくなる。これが着地で関節を曲げて時間をかける動作の根拠である。「力積は力と時間の商で表される量であり、その値は運動量の変化に等しくなる」は誤りで、力積は積であり商ではない。「着地で膝を伸ばしたまま止める動作ほど、受ける力の最大値は小さくなるとされる」も誤りで、時間が短くなるため力の最大値は大きくなる。「力を受ける時間を短くするほど、生じる力の最大値は小さくなっていくとされる」も誤りで、関係の向きが逆である。「運動量は質量と加速度の積で表される量だとされる」も誤りで、運動量は質量と速度の積である。

    HINT 力積=力×時間=運動量の変化。時間を稼げば力の山は低くなる。

  72. 水中での運動の力学と生理の特徴について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1浮力によって関節にかかる荷重が減り、水深が深いほど程度は大きくなる正解
    • 2水中では静水圧が胸郭にかかるため、息を吸う動作は陸上より楽になるといわれる
    • 3同じ強度の運動では、水中の心拍数は陸上より高い値になるのが通例である
    • 4水が熱を伝える力は空気より小さいので、体温は下がりにくい
    • 5水の抵抗は泳ぐ速さが増すほど大きくなっていく正解

    Answer

    正解 1:浮力によって関節にかかる荷重が減り、水深が深いほど程度は大きくなる / 5:水の抵抗は泳ぐ速さが増すほど大きくなっていく

    水中では浮力によって体重の一部が支えられるため関節にかかる荷重が減り、体が沈む深さが大きいほどその程度も大きくなる。また水の抵抗は泳ぐ速さが増すほど大きくなっていくため、速く動けばそれだけ負荷も増す。「水中では静水圧が胸郭にかかるため、息を吸う動作は陸上より楽になるといわれる」は誤りで、静水圧は胸郭を押すため吸う動作の負担は増える。「同じ強度の運動では、水中の心拍数は陸上より高い値になるのが通例である」も誤りで、静水圧による静脈の還流の増加などによって水中の心拍数は低めに出る。「水が熱を伝える力は空気より小さいので、体温は下がりにくい」も誤りで、水の熱伝導は空気よりはるかに大きいため体温は下がりやすい。

    HINT 深いほど軽くなり、速いほど重くなる。水は熱を奪い、胸を押して吸気を妨げる。

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