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資格のニガテ一問一答
JSPO-AT 応用科目科目模擬試験復習

リコンディショニング全80問・正解と解説つき

JSPO公認アスレティックトレーナー 専門科目 応用科目・ 公式テキスト第4章・ 分量 25%

リコンディショニング総論、代表的な手法、プログラミング、各種の機能的・身体的な問題に対する実際、部位別の状態・問題に応じたリコンディショニング、スポーツ動作の問題に対するリコンディショニング。

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All questions

  1. JSPO-AT の役割としてのリコンディショニングについて、最も適切なものはどれか。

    • 1患部の症状が引いたことを確かめてから着手する、競技復帰の直前の時期の調整をさす
    • 2受傷の前の競技者の体力と技術を高め、外傷の発生そのものを減らす取り組みをさす
    • 3外傷や障害からの組織の修復に合わせて機能を取り戻し、競技復帰までを支える一連の過程をさす正解
    • 4急な外傷からの回復だけを扱い、使いすぎによる障害からの回復は対象に含めない
    • 5毎回の実施ごとに検査の項目を増やし、評価の記録を積み上げていくことを中心に置く過程をさす

    Answer

    正解 3:外傷や障害からの組織の修復に合わせて機能を取り戻し、競技復帰までを支える一連の過程をさす

    リコンディショニングは「外傷や障害からの組織の修復に合わせて機能を取り戻し、競技復帰までを支える一連の過程をさす」もので、受傷直後から復帰後の再発予防までの連続した流れとして位置づけられる。「患部の症状が引いたことを確かめてから着手する、競技復帰の直前の時期の調整をさす」は誤りで、安静や固定の時期から患部外のトレーニングや可動域の確保を並行して始める。「受傷の前の競技者の体力と技術を高め、外傷の発生そのものを減らす取り組みをさす」は一次予防の説明であり、受傷した後の機能の回復と競技復帰を担うリコンディショニングとは別の段階にあたる。「急な外傷からの回復だけを扱い、使いすぎによる障害からの回復は対象に含めない」は誤りで、急性の外傷だけでなく、使いすぎによる障害からの機能の回復も同じ枠組みのなかで扱う。「毎回の実施ごとに検査の項目を増やし、評価の記録を積み上げていくことを中心に置く過程をさす」も誤りで、評価は計画を組み立てて見直すための手段であり、項目を増やすこと自体を中心に置けば競技者の負担が増えるだけで復帰は近づかない。

    HINT リコンディショニングは「復帰前の仕上げ」ではなく、受傷直後から復帰後までつながる過程。

  2. リコンディショニングを進めるうえでの JSPO-AT と医療資格者との関わりについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1医師の診断の内容と運動に関する指示を確認したうえで、その範囲のなかでプログラムを進める正解
    • 2画像の所見から組織の損傷の程度を自ら判断し、固定を続ける期間を決めて競技者へ伝える
    • 3経過のなかで症状の悪化を捉えたときは、医師や理学療法士へ情報を戻して判断を仰ぐ正解
    • 4医療機関での治療が続いている間は、現場での運動の指導をすべて見合わせる
    • 5競技者の希望を最優先し、医師の許可より先に全体練習への合流を認める

    Answer

    正解 1:医師の診断の内容と運動に関する指示を確認したうえで、その範囲のなかでプログラムを進める / 3:経過のなかで症状の悪化を捉えたときは、医師や理学療法士へ情報を戻して判断を仰ぐ

    「医師の診断の内容と運動に関する指示を確認したうえで、その範囲のなかでプログラムを進める」と「経過のなかで症状の悪化を捉えたときは、医師や理学療法士へ情報を戻して判断を仰ぐ」が正しい。JSPO-AT は診断や治療を担う立場ではなく、医師の指示のもとで運動の計画と実施を受け持ち、経過の変化を医療側へ返す役割をもつ。「画像の所見から組織の損傷の程度を自ら判断し、固定を続ける期間を決めて競技者へ伝える」は診断にあたる行為で業務範囲を超える。「医療機関での治療が続いている間は、現場での運動の指導をすべて見合わせる」も誤りで、治療と並行して患部外のトレーニングなど許可された範囲の運動を進める。「競技者の希望を最優先し、医師の許可より先に全体練習への合流を認める」は安全の管理を欠く判断で、復帰の可否は医学的な許可を前提に検討する。

    HINT AT は「診断しない・治療方針を決めない」。代わりに指示の確認と経過の報告を担う。

  3. 外傷を受けた組織の修復の過程について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1修復の時期には毛細血管の新生と線維の産生が止まり、組織の置き換えが完了する
    • 2炎症の時期には血管の透過性が高まり、腫脹や熱感といった局所の反応が前面に出る正解
    • 3炎症の反応は回復を遅らせる現象であり、発生した当初から完全に抑え込む
    • 4再形成の時期には線維の配列が張力の方向へ整い、強度が徐々に高まる正解
    • 5瘢痕の組織はもとの組織と同じ配列と強度を備えて再生する

    Answer

    正解 2:炎症の時期には血管の透過性が高まり、腫脹や熱感といった局所の反応が前面に出る / 4:再形成の時期には線維の配列が張力の方向へ整い、強度が徐々に高まる

    「炎症の時期には血管の透過性が高まり、腫脹や熱感といった局所の反応が前面に出る」と「再形成の時期には線維の配列が張力の方向へ整い、強度が徐々に高まる」が正しい。修復の過程は炎症・修復(増殖)・再形成(成熟)の三つの時期として説明され、再形成の時期に加わる適度な張力が線維の配列を整える。「修復の時期には毛細血管の新生と線維の産生が止まり、組織の置き換えが完了する」は逆で、修復の時期はまさに毛細血管の新生と線維の産生が盛んになる段階である。「炎症の反応は回復を遅らせる現象であり、発生した当初から完全に抑え込む」も誤りで、炎症は修復の出発点となる生体の反応であり、過剰な反応を抑えることと反応そのものを消すことは別である。「瘢痕の組織はもとの組織と同じ配列と強度を備えて再生する」も誤りで、瘢痕の組織の強度と配列はもとの組織に及ばない。

    HINT 炎症→修復→再形成。再形成期の「適度な張力」が線維の向きを整える。

  4. 各種の組織の治癒の特性について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1骨は仮骨の形成を経たのち、もとの骨の組織へ置き換わる形で修復が進む正解
    • 2靱帯は血流に富んだ組織であり、筋よりも短い期間で修復が完了する
    • 3末梢の神経の軸索は切断された当日のうちにもとの長さまで届く
    • 4筋の損傷はどの程度であっても筋線維の再生のみで元に戻る
    • 5関節軟骨は血管の分布が乏しく、自然の修復が限られる正解

    Answer

    正解 1:骨は仮骨の形成を経たのち、もとの骨の組織へ置き換わる形で修復が進む / 5:関節軟骨は血管の分布が乏しく、自然の修復が限られる

    「骨は仮骨の形成を経たのち、もとの骨の組織へ置き換わる形で修復が進む」と「関節軟骨は血管の分布が乏しく、自然の修復が限られる」が正しい。骨は瘢痕ではなく骨組織として再生する点で他の組織と異なり、関節軟骨は血管の分布に乏しいため自然の修復が期待しにくい組織として扱われる。「靱帯は血流に富んだ組織であり、筋よりも短い期間で修復が完了する」は誤りで、靱帯や腱は血流が乏しく、筋よりも修復に時間を要する。「末梢の神経の軸索は切断された当日のうちにもとの長さまで届く」も誤りで、軸索の再生は日単位で少しずつ進むため、距離に応じて長い期間を要する。「筋の損傷はどの程度であっても筋線維の再生のみで元に戻る」も誤りで、損傷が大きい場合は結合組織による瘢痕を伴って治癒する。

    HINT 骨だけは瘢痕を作らず骨として再生。逆に血流の乏しい軟骨・靱帯・腱は時間がかかる。

  5. 固定や安静が続いた場合に生じる二次的な機能の低下について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1筋力の低下は固定の期間の後半にはじめて現れ、初期は元の水準を保つ
    • 2荷重の刺激が減った状態でも骨の密度は増え続け、長期の固定で強度が高くなる
    • 3筋の萎縮は固定の早い時期から進み、姿勢を保つはたらきをもつ筋でとくに目立つ正解
    • 4全身の持久力は固定の影響を受けにくく、復帰の直前まで維持される
    • 5関節の周囲にある軟部の組織が短縮し、関節の可動域の制限が生じやすくなる正解

    Answer

    正解 3:筋の萎縮は固定の早い時期から進み、姿勢を保つはたらきをもつ筋でとくに目立つ / 5:関節の周囲にある軟部の組織が短縮し、関節の可動域の制限が生じやすくなる

    「筋の萎縮は固定の早い時期から進み、姿勢を保つはたらきをもつ筋でとくに目立つ」と「関節の周囲にある軟部の組織が短縮し、関節の可動域の制限が生じやすくなる」が正しい。固定や不活動による変化は早期から始まり、抗重力筋の萎縮と関節周囲の軟部組織の短縮による拘縮が代表的である。「筋力の低下は固定の期間の後半にはじめて現れ、初期は元の水準を保つ」は誤りで、筋力の低下はむしろ固定の初期に急速に進む。「荷重の刺激が減った状態でも骨の密度は増え続け、長期の固定で強度が高くなる」も誤りで、荷重の刺激が減ると骨の密度は低下する。「全身の持久力は固定の影響を受けにくく、復帰の直前まで維持される」も誤りで、活動量の低下により全身の持久力も落ちるため、患部外のトレーニングで維持を図る。

    HINT 固定の害は「早く出る」。だから患部外トレーニングと可動域の確保を初期から始める。

  6. リコンディショニングの期間中に行う患部外のトレーニングについて、最も適切なものはどれか。

    • 1患部の症状が完全に落ち着いてから、はじめて全身の体力を保つ運動として取り入れる
    • 2患部の安静を保ちながら、全身の持久力や患部以外の筋力の維持を図る目的で行う正解
    • 3患部への負担を避けるため、競技復帰の直前の時期にまとめて集中して行う
    • 4患部外の運動は非受傷側だけに限り、体幹や上肢の課題は復帰の時期まで加えない
    • 5全身の持久力を受傷の前より高めることを狙い、患部外の運動の量を毎週大きく増やしていく

    Answer

    正解 2:患部の安静を保ちながら、全身の持久力や患部以外の筋力の維持を図る目的で行う

    「患部の安静を保ちながら、全身の持久力や患部以外の筋力の維持を図る目的で行う」が正しい。患部を保護しつつ、上肢のエルゴメーターや非受傷側の運動、体幹のトレーニングなどで全身の体力を保つことが、復帰までの期間を短くする。「患部の症状が完全に落ち着いてから、はじめて全身の体力を保つ運動として取り入れる」は誤りで、患部外のトレーニングは受傷した直後の時期から並行して始められる。「患部への負担を避けるため、競技復帰の直前の時期にまとめて集中して行う」も誤りで、失われた体力を短期間で取り戻そうとすると負荷が過大になりやすい。「患部外の運動は非受傷側だけに限り、体幹や上肢の課題は復帰の時期まで加えない」は誤りで、体幹や上肢も活動量の低下とともに機能が落ちるため、初期から対象に含める。「全身の持久力を受傷の前より高めることを狙い、患部外の運動の量を毎週大きく増やしていく」も誤りで、この期間の狙いは低下を抑えることであり、量を大きく増やし続ければ疲労が患部の回復を妨げる。

    HINT 患部を休ませることと、身体全体を休ませることは別。患部外は受傷直後から動かす。

  7. リコンディショニングの段階を先へ進める判断について、最も適切なものはどれか。

    • 1各段階で定めた基準に達していても、腫脹や痛みの反応は次の段階へ進んだ後に確かめる
    • 2競技者が痛みの訴えを止めた時点で、残りの段階を一度に飛ばす
    • 3他の競技者が同種の外傷で要した週数に合わせて、各段階の長さをそろえる
    • 4段階ごとに確かめる検査の項目を増やし、測った値が健側に並んだ段階ではじめて次へ移る
    • 5各段階で定めた機能の到達の程度と、症状の反応を確かめてから次へ移る正解

    Answer

    正解 5:各段階で定めた機能の到達の程度と、症状の反応を確かめてから次へ移る

    「各段階で定めた機能の到達の程度と、症状の反応を確かめてから次へ移る」が正しい。段階を進める判断は、可動域・筋力・動作の質といった到達の基準と、負荷を加えた後の痛みや腫脹の反応の両方を見て行う。「各段階で定めた基準に達していても、腫脹や痛みの反応は次の段階へ進んだ後に確かめる」は順序が逆で、負荷への反応は次へ進む前の判断の材料として用いる。「競技者が痛みの訴えを止めた時点で、残りの段階を一度に飛ばす」も誤りで、痛みが引いても筋力や動作の制御は遅れて回復する。「他の競技者が同種の外傷で要した週数に合わせて、各段階の長さをそろえる」も誤りで、回復の進み方は個人差が大きく、週数をそろえれば到達していない段階へ進めてしまう。「段階ごとに確かめる検査の項目を増やし、測った値が健側に並んだ段階ではじめて次へ移る」も誤りで、基準を厳しくしすぎると不活動の期間が延びて機能の低下を招くため、段階ごとに必要な項目を選んで判断する。

    HINT 段階を進める鍵は「日数」ではなく「達成した基準」と「負荷への反応」。

  8. リコンディショニングで用いる関節可動域の運動について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1他動での可動域の運動は、競技者自身の筋の収縮だけを用いて関節を動かす
    • 2他動での可動域の運動は、外から加える力で関節を動かして可動性の確保を図る正解
    • 3自動介助の運動は、自力の収縮に外からの補助を加えて可動域を広げる正解
    • 4可動域の運動は固定が完全に解かれた段階になってはじめて始める
    • 5痛みの限界を超えた範囲まで一気に動かすほど、関節の可動域の回復は確実に早まる

    Answer

    正解 2:他動での可動域の運動は、外から加える力で関節を動かして可動性の確保を図る / 3:自動介助の運動は、自力の収縮に外からの補助を加えて可動域を広げる

    「他動での可動域の運動は、外から加える力で関節を動かして可動性の確保を図る」と「自動介助の運動は、自力の収縮に外からの補助を加えて可動域を広げる」が正しい。可動域の運動は他動・自動介助・自動の順に、競技者自身の筋の働きの割合を増やしていく形で進められる。「他動での可動域の運動は、競技者自身の筋の収縮だけを用いて関節を動かす」は自動運動の説明であり、他動とは逆の内容である。「可動域の運動は固定が完全に解かれた段階になってはじめて始める」は誤りで、固定した関節の隣接する関節や、許可された範囲の運動は固定の期間中から行う。「痛みの限界を超えた範囲まで一気に動かすほど、関節の可動域の回復は確実に早まる」も誤りで、強い痛みを伴う伸張は炎症や防御的な筋の収縮を招き、回復を妨げる。

    HINT 他動→自動介助→自動。自分の筋がどれだけ働くかで名前が変わる。

  9. 外傷からの回復の過程でストレッチングを用いる際の注意について、最も適切なものはどれか。

    • 1術後の創部の周囲では、瘢痕が成熟しきるまで伸張を一切加えず、可動域の運動は後の時期へまとめて回す
    • 2骨折の後の固定が続いている時期に、固定した関節を越えて強く伸張を加える
    • 3痛みが強く出るところまで伸ばすほど、可動域の改善は確実に進む
    • 4関節の不安定性がある方向への伸張は避け、制限のある方向だけを選ぶ正解
    • 5腫脹や熱感が続く時期は、反動をつけた伸張に切り替えると循環が促されて早く引く

    Answer

    正解 4:関節の不安定性がある方向への伸張は避け、制限のある方向だけを選ぶ

    「関節の不安定性がある方向への伸張は避け、制限のある方向だけを選ぶ」が正しい。外傷からの回復の過程では、損傷した支持組織に緩みを残す方向へ伸張を加えると不安定性を助長するため、可動域の制限が生じている方向を選んで行う。「術後の創部の周囲では、瘢痕が成熟しきるまで伸張を一切加えず、可動域の運動は後の時期へまとめて回す」は誤りで、医師の許す範囲で早い時期から愛護的に動かさないと瘢痕と周囲の組織が癒着し、可動域の制限が残りやすくなる。「骨折の後の固定が続いている時期に、固定した関節を越えて強く伸張を加える」も誤りで、固定の目的である骨の癒合を妨げる。「痛みが強く出るところまで伸ばすほど、可動域の改善は確実に進む」は誤りで、強い痛みは防御的な筋の収縮を引き起こし、かえって伸張を妨げる。「腫脹や熱感が続く時期は、反動をつけた伸張に切り替える」のも誤りで、炎症の徴候がある時期に反動をつけた伸張を加えれば症状を悪化させる。

    HINT 伸ばすのは「硬くなった方向」。緩んでいる方向へ伸ばすと不安定性が増す。

  10. リコンディショニングにおける筋力の回復のためのエクササイズについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1痛みや関節の動きに制限がある時期には、等尺性の収縮による運動から導入を図る正解
    • 2等速性の運動は自体重だけで実施でき、現場でもっとも手軽に導入できる
    • 3筋力の回復をねらう運動は、健側だけに行えば患側にも等しい効果が及ぶため患側には行わない
    • 4等尺性の収縮による効果は、実施した関節の角度の周辺に強く現れる正解
    • 5等尺性の収縮は関節への負担が小さいため、一日に行う回数を増やすほど筋力の回復が直線的に速まる

    Answer

    正解 1:痛みや関節の動きに制限がある時期には、等尺性の収縮による運動から導入を図る / 4:等尺性の収縮による効果は、実施した関節の角度の周辺に強く現れる

    「痛みや関節の動きに制限がある時期には、等尺性の収縮による運動から導入を図る」と「等尺性の収縮による効果は、実施した関節の角度の周辺に強く現れる」が正しい。関節を動かさずに筋を働かせられる等尺性の運動は回復の初期に用いやすく、その一方で効果が実施した角度の周辺に限られるため、複数の角度で行うか、可動域を使う運動へ移行する必要がある。「等速性の運動は自体重だけで実施でき、現場でもっとも手軽に導入できる」は誤りで、等速性の運動には専用の測定・訓練機器が必要である。「健側だけに行えば患側にも等しい効果が及ぶため患側には行わない」も誤りで、健側の練習が患側へ及ぼす効果は限られており、患側への働きかけの代わりにはならない。「等尺性の収縮は関節への負担が小さいため、一日に行う回数を増やすほど筋力の回復が直線的に速まる」も誤りで、回数を増やし続けても効果は比例して伸びず、休息を挟まなければ疲労が残る。

    HINT 等尺性は「初期に使いやすいが角度特異性がある」。だから角度を変えて複数回行う。

  11. リコンディショニングで用いる寒冷と温熱の使い分けについて、最も適切なものはどれか。

    • 1寒冷は痛みの抑制に、温熱は組織の伸張性の改善に用いる正解
    • 2温熱は受傷した直後の腫脹が広がっていく時期に加えることで、炎症の収束を早める
    • 3寒冷は局所の血流を増やす作用をもつため、腫脹を早く引かせる目的でも用いる
    • 4寒冷を加えた直後は筋の出力が高まるため、そのまま全力の動作へと移れる
    • 5温熱は感覚の鈍っている部位にこそ、高い温度で長い時間かけて加える

    Answer

    正解 1:寒冷は痛みの抑制に、温熱は組織の伸張性の改善に用いる

    「寒冷は痛みの抑制に、温熱は組織の伸張性の改善に用いる」が正しい。寒冷は組織の温度と代謝を下げて痛みを抑え、温熱は血流を増やして軟部組織の伸張性を高めるため、可動域の運動の前処置として用いられる。「温熱は受傷した直後の腫脹が広がっていく時期に加えることで、炎症の収束を早める」は誤りで、受傷した直後の温熱は腫脹と出血を増やす。「寒冷は局所の血流を増やす作用をもつため、腫脹を早く引かせる目的でも用いる」も誤りで、寒冷の作用は血管の収縮による血流の減少である。「寒冷を加えた直後は筋の出力が高まるため、そのまま全力の動作へと移れる」も誤りで、冷却の直後は筋の出力や巧緻性が一時的に低下するため、全力の動作の前には再度の準備運動が必要になる。「温熱は感覚の鈍っている部位にこそ、高い温度で長い時間かけて加える」も誤りで、感覚が鈍っている部位は熱傷の危険が高く、温熱を用いる際の注意すべき状態にあたる。

    HINT 冷やすのは「痛みと代謝を下げる」、温めるのは「伸びやすくする」。順序を取り違えない。

  12. リコンディショニングで用いる各種の物理的刺激および徒手的アプローチについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1超音波は組織に熱を生じる作用だけをもつ手段であり、出力の設定とは無関係に一律に働く
    • 2痛みの抑制をねらう電気の刺激は、強い筋の収縮が繰り返し起こる強度で用いる
    • 3徒手の手技は術者の感覚を頼りに進めるため、関節を他動で最終の域まで動かしてから加える強さを決める
    • 4電気の刺激による筋の収縮の誘発は、固定の期間中の筋の萎縮を抑える目的で用いる正解
    • 5関節モビライゼーションなどの徒手の手技は、医療資格者と連携して用いる正解

    Answer

    正解 4:電気の刺激による筋の収縮の誘発は、固定の期間中の筋の萎縮を抑える目的で用いる / 5:関節モビライゼーションなどの徒手の手技は、医療資格者と連携して用いる

    「電気の刺激による筋の収縮の誘発は、固定の期間中の筋の萎縮を抑える目的で用いる」と「関節モビライゼーションなどの徒手の手技は、医療資格者と連携して用いる」が正しい。自動運動が制限される時期には電気の刺激による筋の収縮が萎縮の予防に用いられ、関節への徒手の手技は医療資格者の判断のもとで連携して行う。「超音波は組織に熱を生じる作用だけをもつ手段であり、出力の設定とは無関係に一律に働く」は誤りで、超音波には熱による作用と熱によらない作用があり、連続とパルスの設定で使い分ける。「痛みの抑制をねらう電気の刺激は、強い筋の収縮が繰り返し起こる強度で用いる」も誤りで、鎮痛をねらう刺激は感覚に届く程度の強度で用いる。「徒手の手技は術者の感覚を頼りに進めるため、関節を他動で最終の域まで動かしてから加える強さを決める」も誤りで、最終の域まで他動で動かすこと自体が組織への負担になるため、抵抗感の変化を手前の範囲で確かめながら強さを決める。

    HINT 電気刺激は「鎮痛なら感覚レベル、萎縮予防なら収縮レベル」と強度で役割が変わる。

  13. リコンディショニングにおける荷重の練習の進め方について、最も適切なものはどれか。

    • 1免荷の期間が終わった段階で全荷重へ移し、歩行の速さも一度に戻す
    • 2荷重の量は毎回の練習で段階的に前回の値を上回るよう求め、体重計の数値が伸びることを目安にする
    • 3痛みが軽いうちは指示された荷重の量を超えてよいと伝え、量の上限は競技者の判断にゆだねる
    • 4荷重をかけた側の歩き方が整わないうちから、杖を外して歩行の距離を伸ばす
    • 5体重計などを用いて指示された荷重の量を実感させながら、段階的に荷重を増やしていく正解

    Answer

    正解 5:体重計などを用いて指示された荷重の量を実感させながら、段階的に荷重を増やしていく

    「体重計などを用いて指示された荷重の量を実感させながら、段階的に荷重を増やしていく」が正しい。部分荷重の指示は感覚だけでは守りにくいため、体重計やばねばかりで荷重の量を目で確かめさせ、許可された範囲のなかで少しずつ増やしていく。「免荷の期間が終わった段階で全荷重へ移し、歩行の速さも一度に戻す」は誤りで、急な全荷重への移行は疼痛や腫脹の再燃と異常な歩行のくせを招く。「荷重の量は毎回の練習で段階的に前回の値を上回るよう求め、体重計の数値が伸びることを目安にする」も誤りで、荷重の量は医師が示した範囲のなかで増やすものであり、前回を超えること自体を目標にすると指示の範囲を外れる。「痛みが軽いうちは指示された荷重の量を超えてよいと伝え、量の上限は競技者の判断にゆだねる」も誤りで、痛みの軽さは骨や軟部組織が荷重に耐えている証しにはならない。「荷重をかけた側の歩き方が整わないうちから、杖を外して歩行の距離を伸ばす」も誤りで、歩き方のくせを残したまま距離を伸ばせば、そのくせが固まって患部にも他の部位にも負担が残る。

    HINT 部分荷重は「体重計で見せて覚えさせる」。感覚任せだと指示の量から外れる。

  14. リコンディショニングの過程で用いる補装具について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1松葉杖の脇当ては腋窩へ強く押し当てたうえで、体重のすべてをそこで支える形で合わせる
    • 2松葉杖で階段を上がるときは必ず健側の下肢を先に出し、降りるときは杖と患側を先に出す正解
    • 3装具は装着した期間が長いほど、復帰した後の再発の危険が確実に下がる
    • 4免荷の指示がある時期でも、痛みの程度に応じて競技者の判断で荷重する
    • 5装具は保護の必要性の変化に応じて、段階的に外していく正解

    Answer

    正解 2:松葉杖で階段を上がるときは必ず健側の下肢を先に出し、降りるときは杖と患側を先に出す / 5:装具は保護の必要性の変化に応じて、段階的に外していく

    「松葉杖で階段を上がるときは必ず健側の下肢を先に出し、降りるときは杖と患側を先に出す」と「装具は保護の必要性の変化に応じて、段階的に外していく」が正しい。階段では強い側から高いほうへ向かうのが原則であり、装具は機能の回復に合わせて使用を減らしていく。「松葉杖の脇当ては腋窩へ強く押し当てたうえで、体重のすべてをそこで支える形で合わせる」は誤りで、腋窩には隙間を残し、体重は手で支える。「装具は装着した期間が長いほど、復帰した後の再発の危険が確実に下がる」も誤りで、長期の装着は筋力や固有の感覚の回復を妨げる面がある。「免荷の指示がある時期でも、痛みの程度に応じて競技者の判断で荷重する」も誤りで、荷重の量と時期は医師の指示に従って進める。

    HINT 階段は「上りは良い足から、下りは杖と悪い足から」。松葉杖の体重は脇ではなく手で支える。

  15. リコンディショニングのプログラムを立てるための検査・測定の進め方について、最も適切なものはどれか。

    • 1機器を用いる測定をまず網羅的に実施し、問診は測定の結果が出そろった後に行う
    • 2隣接する関節から全身の連鎖までの検査を一度に実施し、痛みの訴えがある部位は最後に確かめる
    • 3問診で受傷の機転と経過を把握したうえで、視診と触診を経て検査の項目を絞る正解
    • 4痛みのない側の所見は参考にならないため、患側だけを検査の対象とする
    • 5医師による診断の内容は参考にとどめ、自らの検査の結果だけで判断する

    Answer

    正解 3:問診で受傷の機転と経過を把握したうえで、視診と触診を経て検査の項目を絞る

    「問診で受傷の機転と経過を把握したうえで、視診と触診を経て検査の項目を絞る」が正しい。特徴の分析は問診・視診・触診で仮説を立て、そのうえで必要な測定や特殊検査を選ぶという順序で進めると、負担が少なく効率がよい。「機器を用いる測定をまず網羅的に実施し、問診は測定の結果が出そろった後に行う」は誤りで、問診は検査の項目を選ぶための出発点にあたる。「隣接する関節から全身の連鎖までの検査を一度に実施し、痛みの訴えがある部位は最後に確かめる」も誤りで、項目を並べるほど患部への負担と所要の時間が増えるうえ、主症状の確認が後になって仮説を立てる順序が崩れる。「痛みのない側の所見は参考にならないため、患側だけを検査の対象とする」も誤りで、健側の値は患側がどこまで戻ったかを測るための基準になる。「医師による診断の内容は参考にとどめ、自らの検査の結果だけで判断する」も誤りで、診断の内容と運動に関する指示は分析の前提になる。

    HINT 検査は「問診→視診→触診→必要な測定」の順。問診は項目を絞るための道具。

  16. リコンディショニングのプログラムを組み立てる際の構成について、最も適切なものはどれか。

    • 1炎症の管理と可動域の確保を先に置き、筋力や動作の課題を順に重ねていく正解
    • 2筋力のトレーニングを最初に据え、可動域の課題は復帰の直前にまとめて扱う
    • 3競技に特異的な動作の練習から始め、基礎的な機能の課題は後半に回して進める
    • 4一日のなかで可動域・筋力・持久力・競技の動作の課題をそろえて毎回実施する
    • 5患部の課題が終わるまで患部外のトレーニングは加えず、復帰の段階で取り戻す

    Answer

    正解 1:炎症の管理と可動域の確保を先に置き、筋力や動作の課題を順に重ねていく

    「炎症の管理と可動域の確保を先に置き、筋力や動作の課題を順に重ねていく」が正しい。プログラムは症状の管理と可動域という土台を整えたうえで、筋力、動作の制御、競技に特異的な動作へと段階的に積み上げる構成をとる。「筋力のトレーニングを最初に据え、可動域の課題は復帰の直前にまとめて扱う」は誤りで、可動域の制限を残したまま筋力の負荷を上げると代償の動作を固定してしまう。「競技に特異的な動作の練習から始め、基礎的な機能の課題は後半に回して進める」も順序が逆であり、基礎的な機能が整う前の競技動作は再受傷を招く。「一日のなかで可動域・筋力・持久力・競技の動作の課題をそろえて毎回実施する」も誤りで、要素を毎回詰め込めば一つあたりの質が落ち、疲労が患部の回復を妨げる。「患部の課題が終わるまで患部外のトレーニングは加えず、復帰の段階で取り戻す」も誤りで、患部外の体力は初期の段階から並行して保ち、区切りは組織の修復の段階と機能の到達の程度に合わせて置く。

    HINT 土台(症状の管理と可動域)→筋力→動作の制御→競技動作。順序を飛ばさない。

  17. リコンディショニングのプログラムにおける目標の設定について、最も適切なものはどれか。

    • 1目標は毎回の実施ごとに立て直し、達成した記録を数多く積み上げられる形にしておく
    • 2目標は競技者には伝えず、指導者が記録として持っておき、その日の内容だけを伝える
    • 3短期の目標を一日ごとに細かく刻んで置き、復帰の期限を見据えた長期の目標は経過が固まってから定める
    • 4復帰の期限を見据えた長期の目標と、達成を確かめられる短期の目標を置く正解
    • 5経過を確かめた結果が計画と異なっても、目標は最初に決めた内容のまま維持する

    Answer

    正解 4:復帰の期限を見据えた長期の目標と、達成を確かめられる短期の目標を置く

    「復帰の期限を見据えた長期の目標と、達成を確かめられる短期の目標を置く」が正しい。長期の目標から逆算して短期の目標を段階的に置き、達成できたかを確かめられる形にしておくことで、進み方の遅れを早く把握できる。「目標は毎回の実施ごとに立て直し、達成した記録を数多く積み上げられる形にしておく」は誤りで、目標を毎回入れ替えると段階の到達を比べる基準が残らず、経過の管理に使えない。「目標は競技者には伝えず、指導者が記録として持っておき、その日の内容だけを伝える」も誤りで、目標は競技者と共有することで取り組みの主体性が保たれる。「短期の目標を一日ごとに細かく刻んで置き、復帰の期限を見据えた長期の目標は経過が固まってから定める」も順序が逆で、短期の目標は長期の目標から逆算して置くものである。「経過を確かめた結果が計画と異なっても、目標は最初に決めた内容のまま維持する」も誤りで、回復の進み方に応じて目標は見直す。

    HINT 長期目標から逆算して短期目標を置く。短期目標は「達成したかを判定できる形」で書く。

  18. リコンディショニングにおける負荷の進め方と、症状が再び現れたときの対応について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1負荷は量と強度のうち一方のみを変え、変えた後の反応を確かめてから次へ進める正解
    • 2実施の後に腫脹や痛みが増したときは、前の段階の負荷まで戻す正解
    • 3負荷は毎回の実施ごとに量と強度をともに大きく引き上げ、より短い期間で仕上げる
    • 4痛みが増したときは患部の運動を完全に休み、症状が消えるまで患部外の運動も止める
    • 5翌日まで残る痛みは回復が進んだ証しとして、負荷を加える目安にする

    Answer

    正解 1:負荷は量と強度のうち一方のみを変え、変えた後の反応を確かめてから次へ進める / 2:実施の後に腫脹や痛みが増したときは、前の段階の負荷まで戻す

    「負荷は量と強度のうち一方のみを変え、変えた後の反応を確かめてから次へ進める」と「実施の後に腫脹や痛みが増したときは、前の段階の負荷まで戻す」が正しい。変える要素を一つに絞れば、症状が出たときにどの要素が過大だったかを切り分けられる。また症状の再燃は負荷が過大であった徴候なので、耐えられていた段階まで戻してから進め直す。「負荷は毎回の実施ごとに量と強度をともに大きく引き上げ、より短い期間で仕上げる」は誤りで、複数の要素を同時に大きく上げると症状の再燃を招きやすい。「痛みが増したときは患部の運動を完全に休み、症状が消えるまで患部外の運動も止める」も誤りで、戻すのは患部に課す負荷の段階であり、患部外の運動は続けて体力を保つ。「翌日まで残る痛みは回復が進んだ証しとして、負荷を加える目安にする」も誤りで、翌日まで残る痛みや腫脹は負荷が過大であった徴候として扱う。

    HINT 変えるのは一度に一つ。翌日まで残る痛みは「効いた証し」ではなく「やり過ぎの合図」。

  19. 競技への復帰の可否を判断するための評価について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1患側の筋力が健側を上回るまで復帰を見合わせ、上回った時点で試合への復帰を認める
    • 2安静時に痛みが消えた時点をもって、試合への復帰に必要な基準はすべて満たされる
    • 3患側と健側の筋力の比や跳躍の距離の左右の差を、復帰の判断の材料に用いる正解
    • 4競技に特異的な動作を全力で行えるかどうかを、段階を追って確かめる正解
    • 5安静時と運動時の痛みの程度を毎日記録し、記録した日数がそろった段階で復帰を認める

    Answer

    正解 3:患側と健側の筋力の比や跳躍の距離の左右の差を、復帰の判断の材料に用いる / 4:競技に特異的な動作を全力で行えるかどうかを、段階を追って確かめる

    「患側と健側の筋力の比や跳躍の距離の左右の差を、復帰の判断の材料に用いる」と「競技に特異的な動作を全力で行えるかどうかを、段階を追って確かめる」が正しい。復帰の判断は、左右の差を数値で確かめる測定と、競技の動作を段階的に全力で行えるかの確認を組み合わせて行う。「患側の筋力が健側を上回るまで復帰を見合わせ、上回った時点で試合への復帰を認める」は誤りで、健側も不活動で低下しているため上回ることを条件にすると復帰が不必要に遅れ、しかも筋力の値だけでは動作の制御を確かめられない。「安静時に痛みが消えた時点をもって、試合への復帰に必要な基準はすべて満たされる」も誤りで、安静時の痛みが消えても筋力や動作の制御は遅れて回復する。「安静時と運動時の痛みの程度を毎日記録し、記録した日数がそろった段階で復帰を認める」も誤りで、記録を集めることは経過の把握に役立つが、記録の量そのものが復帰の基準になるわけではない。

    HINT 復帰の可否は「日数」ではなく「左右差の数値」と「競技動作を全力でこなせるか」。

  20. リコンディショニングの経過の記録と再評価について、最も適切なものはどれか。

    • 1計画は最初に立てた内容を基準とし、記録と再評価は計画どおりに進んだことを確かめるために用いる
    • 2実施した内容と反応を記録し、定期的な再評価で計画を見直す正解
    • 3再評価は復帰の直前に一度行い、途中の段階では経過の観察にとどめる
    • 4記録の内容はチームの全員が閲覧できる場所に置き、関係する者の理解を広く得られる形にする
    • 5再評価の項目は毎回変えることで、幅広い情報を集める形に整えておく

    Answer

    正解 2:実施した内容と反応を記録し、定期的な再評価で計画を見直す

    「実施した内容と反応を記録し、定期的な再評価で計画を見直す」が正しい。実施した内容と症状や機能の反応を記録して定期的に再評価することで、計画が対象者の回復の進み方に合っているかを確かめられる。「計画は最初に立てた内容を基準とし、記録と再評価は計画どおりに進んだことを確かめるために用いる」は目的を取り違えており、再評価は計画そのものを書き換えるために行う。「再評価は復帰の直前に一度行い、途中の段階では経過の観察にとどめる」も誤りで、段階を進める判断のたびに再評価が必要になる。「記録の内容はチームの全員が閲覧できる場所に置き、関係する者の理解を広く得られる形にする」も誤りで、健康に関する情報の共有は目的に応じた必要な範囲にとどめる。「再評価の項目は毎回変えることで、幅広い情報を集める形に整えておく」も誤りで、経過を比べるには同じ条件と同じ項目で測ることが前提になる。

    HINT 再評価は「同じ項目・同じ条件」で繰り返すから比べられる。記録は共有のための道具。

  21. 筋の柔軟性の低下によって動作に支障が出ている競技者へのリコンディショニングとして、適切なものはどれか。2つ選べ。

    • 1伸張の強さを痛みが強く出る手前まで高め、一回の実施で可動域を大きく広げることを目標とする。
    • 2軽い運動で筋温を上げてから伸張を行い、得られた可動域をその範囲での筋力の発揮と動作の練習に結びつける。正解
    • 3柔軟性の改善は伸張した時間の長さで決まるため、実施の姿勢や関節の角度は問わずに進める。
    • 4二関節筋のタイトネスでは、隣接する関節の位置を変えることで狙う筋を選んで伸張する。正解
    • 5得られた可動域を保つため、練習のない時間は関節を固定する装具を着けて過ごさせる。

    Answer

    正解 2:軽い運動で筋温を上げてから伸張を行い、得られた可動域をその範囲での筋力の発揮と動作の練習に結びつける。 / 4:二関節筋のタイトネスでは、隣接する関節の位置を変えることで狙う筋を選んで伸張する。

    「軽い運動で筋温を上げてから伸張を行い」は正しい。筋温が上がると組織の伸展性が高まり、伸張が効きやすく安全になる。さらに広がった可動域をその範囲での筋力発揮や動作の練習に結びつけないと、可動域は動作で使える形に定着しない。「二関節筋のタイトネスでは、隣接する関節の位置を変える」も正しく、大腿直筋やハムストリングスのように二つの関節をまたぐ筋は、隣接する関節の角度を変えることで狙う筋を選んで伸張できる。「痛みが強く出る手前まで高め、一回の実施で可動域を大きく広げる」は誤りで、強い痛みを伴う伸張は組織を傷めるうえ、可動域の改善は反復と期間によって得られる。「伸張した時間の長さで決まる」も誤りで、実施する姿勢と関節の角度が狙う筋に伸張を届けるかどうかを決める。「練習のない時間は関節を固定する装具を着けて過ごさせる」も誤りで、動かさない時間を増やせば、得られた可動域はむしろ失われていく。

    HINT 可動域は「広げる」だけでは終わらない。広げた範囲で力が出せて初めて動作に使える。

  22. 下肢の外傷の後に残る左右の非対称を是正していく進め方として、最も適切なものはどれか。

    • 1健側と患側の値を比べながら、患側に課す運動の量と強さを高めることで差を埋めていく。正解
    • 2患側の値が健側に並んだ時点で回復は完成とみなし、受傷の前の記録との比較は復帰の後に行う。
    • 3患側に課す運動の量を健側の二倍に設定し、左右の差が消えるまでその量を保つ。
    • 4健側に課す運動の量を減らして値を近づける方法を、差を埋める手段とする。
    • 5左右の差は毎回の実施ごとに測り直し、値が前回より改善していなければその日の課題を中止する。

    Answer

    正解 1:健側と患側の値を比べながら、患側に課す運動の量と強さを高めることで差を埋めていく。

    「患側に課す運動の量と強さを高めることで差を埋めていく」が正しい。非対称の是正は、低いほうを引き上げる方向で行う。「患側の値が健側に並んだ時点で回復は完成とみなし」は誤りで、健側も不活動によって低下しているため、健側との比較だけでは回復の程度を読み誤る。受傷前の記録があればそれと照らす。「患側に課す運動の量を健側の二倍に設定し」も誤りで、量を一律に倍にすれば修復の途上にある組織への負担が過大になり、症状の再燃を招く。「健側に課す運動の量を減らして値を近づける」は、見かけの差だけを縮める手段で、パフォーマンスを下げる。「毎回の実施ごとに測り直し、値が前回より改善していなければその日の課題を中止する」も誤りで、測定の値は日ごとに揺れるため、短い間隔の増減に合わせて課題を止めると計画が進まない。

    HINT そろえ方は「下を上げる」。上を下げてそろえるのは是正ではない。

  23. 外傷の後に生じる固有受容感覚の低下と、その回復への取り組みについて正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1関節の位置や動きを感じ取る力が低下し、指示された角度を再現する課題で誤差が大きくなる。正解
    • 2低下の程度は靱帯の緩みの大きさに比例するため、画像で緩みが残っていなければ回復したとみなす。
    • 3回復には予期できない外力が欠かせないため、導入の当初から不安定な面での全力の着地を反復させる。
    • 4感覚の低下は視覚によって補えるため、目で見て確かめる課題を重ねることで回復が得られる。
    • 5疲労した状態や、予期できない外力が加わる場面を課題に組み込んでいく。正解

    Answer

    正解 1:関節の位置や動きを感じ取る力が低下し、指示された角度を再現する課題で誤差が大きくなる。 / 5:疲労した状態や、予期できない外力が加わる場面を課題に組み込んでいく。

    「関節の位置や動きを感じ取る力が低下し」が正しい。靱帯や関節包にある受容器が損傷を受けると位置覚と運動覚が低下し、角度の再現課題で誤差が大きくなる。「疲労した状態や、予期できない外力が加わる場面を課題に組み込んでいく」も正しく、競技中の受傷は疲労時や不意の接触で起こるため、そこに近づけた条件で行う必要がある。「靱帯の緩みの大きさに比例するため、画像で緩みが残っていなければ回復したとみなす」は誤りで、構造上の緩みと感覚の低下は一致せず、緩みが軽くても誤差が残ることがある。「導入の当初から不安定な面での全力の着地を反復させる」も誤りで、難度は安定した面での課題から段階を追って上げるものであり、はじめから全力の着地を課せば代償の動作が定着する。「目で見て確かめる課題を重ねることで回復が得られる」も誤りで、視覚に頼る段階から視覚の情報を減らす段階へ進めることが求められる。

    HINT 感覚は「使って戻す」。筋力と可動域が戻っても感覚の遅れは残る。

  24. リコンディショニングの過程で残る疼痛を手がかりに負荷を調整する際の考え方として、最も適切なものはどれか。

    • 1疼痛は運動を続けるほど閾値が上がるため、痛みが強まっても同じ負荷を保って続ける。
    • 2運動の最中に痛みが軽い強度を探し、翌日に痛みが増していればその強度をさらに上げて慣らしていく。
    • 3運動の最中と翌日の疼痛の程度を確かめ、翌日に増していれば負荷を下げて進める。正解
    • 4疼痛の程度は運動の最中の訴えで判断し、翌朝の腫脹や熱感は前日の負荷とは切り離して扱う。
    • 5鎮痛の薬で痛みを抑えた状態で動きを確かめ、その結果に合わせてその日の負荷を増やす。

    Answer

    正解 3:運動の最中と翌日の疼痛の程度を確かめ、翌日に増していれば負荷を下げて進める。

    「運動の最中と翌日の疼痛の程度を確かめ、翌日に増していれば負荷を下げて進める」が正しい。運動そのものの痛みに加え、翌日の状態が負荷が適切だったかを示す手がかりになる。「痛みが強まっても同じ負荷を保って続ける」は誤りで、痛みの増大は組織への負担が過大な徴候であり、続ければ回復が遅れる。「翌日に痛みが増していればその強度をさらに上げて慣らしていく」も誤りで、翌日の痛みの増大は負荷が過大であった徴候であり、上げる方向へ進めれば症状が長引く。「翌朝の腫脹や熱感は前日の負荷とは切り離して扱う」も誤りで、翌朝の腫脹や熱感は前日の負荷が適切だったかを映す所見として読む。「鎮痛の薬で痛みを抑えた状態で動きを確かめ」も誤りで、痛みを隠した状態では負荷の適否を読めない。

    HINT 見るのは「その場」だけでなく「翌日」。翌日に増えていたら昨日の負荷が多すぎた。

  25. 不良な姿勢やアライメントを背景に症状が繰り返す競技者へのリコンディショニングについて、適切なものはどれか。2つ選べ。

    • 1姿勢の崩れは意識の持ち方で決まるため、鏡の前で正しい姿勢を一日の大半のあいだ保たせることを課題の中心に置く。
    • 2静止した姿勢の所見だけを根拠に計画を立て、動作の最中の姿勢は評価の対象から外す。
    • 3骨盤の前傾が強い場合には、股関節の前面の柔軟性と体幹の筋の働きを併せて整えていく。正解
    • 4胸椎の後弯が強く肩甲帯の位置が崩れている場合は、胸郭の可動性の改善と肩甲帯の筋の再教育を組み合わせる。正解
    • 5姿勢の崩れは症状の結果として生じるため、症状が落ち着けばアライメントは自然にそろう。

    Answer

    正解 3:骨盤の前傾が強い場合には、股関節の前面の柔軟性と体幹の筋の働きを併せて整えていく。 / 4:胸椎の後弯が強く肩甲帯の位置が崩れている場合は、胸郭の可動性の改善と肩甲帯の筋の再教育を組み合わせる。

    「骨盤の前傾が強い場合には、股関節の前面の柔軟性と体幹の筋の働きを併せて整えていく」が正しい。骨盤の前傾は腸腰筋や大腿直筋の緊張と腹部の筋の働きの低下が背景にあり、両方に手を入れる。「胸椎の後弯が強く肩甲帯の位置が崩れている場合は、胸郭の可動性の改善と肩甲帯の筋の再教育を組み合わせる」も正しく、肩甲帯の位置は土台である胸郭の形に左右されるため、局所の筋だけを鍛えても戻りにくい。「鏡の前で正しい姿勢を一日の大半のあいだ保たせることを課題の中心に置く」は誤りで、姿勢を保つには可動性と筋の働きという裏づけが要り、意識して保ち続けるだけでは疲労が重なる。「静止した姿勢の所見だけを根拠に計画を立て、動作の最中の姿勢は評価の対象から外す」も誤りで、静止した所見と動作中のアライメントは一致しないことがある。「症状が落ち着けばアライメントは自然にそろう」も因果が逆で、背景のアライメントを残したままでは症状が繰り返す。

    HINT 肩甲帯の位置は胸郭という土台に乗っている。局所だけ鍛えても戻る。

  26. 体幹の安定性の低下がみられる競技者へのリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1腹部の筋を強く締めた状態を保つよう求め、呼吸を止めた状態での実施を課題の中心に置く。
    • 2支持の面が狭い片脚立位での保持から始め、慣れてきた段階で四つ這いや背臥位の課題へ移していく。
    • 3四つ這いや背臥位など負担の軽い姿勢から始め、立位や片脚支持の課題へ進める。正解
    • 4上肢や下肢を動かす課題を加えると体幹への負担が減るため、保持の姿勢のままで進める。
    • 5保持の時間を毎回の実施で前回より延ばし、限界まで保てた時間を難度の指標として用いる。

    Answer

    正解 3:四つ這いや背臥位など負担の軽い姿勢から始め、立位や片脚支持の課題へ進める。

    「四つ這いや背臥位など負担の軽い姿勢から始め」が正しい。支持する面が広く重力の影響が小さい姿勢から始め、立位や片脚支持へと支持の条件を厳しくしていく順序が基本になる。「呼吸を止めた状態での実施を課題の中心に置く」は誤りで、呼吸を続けたまま体幹を保てることが競技の動作では求められる。「支持の面が狭い片脚立位での保持から始め」も誤りで、順序が逆であり、支持の面が広く重力の影響が小さい姿勢から始めて条件を厳しくしていく。「上肢や下肢を動かす課題を加えると体幹への負担が減る」も誤りで、四肢を動かせば体幹には保持の負担が増すため、難度を上げる手段として用いられる。「限界まで保てた時間を難度の指標として用いる」も誤りで、限界まで保たせると姿勢が崩れた状態での保持を覚えてしまうため、姿勢を保てる範囲で時間を区切る。

    HINT 支持の面を狭くする、重力に逆らう、四肢を動かす。この三つが難度を上げる手。

  27. リコンディショニングで遠心性収縮を用いるエクササイズについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1短縮性の収縮よりも大きな張力を発揮でき、筋の量と力を高める手段として用いられる。正解
    • 2腱の痛みを訴える競技者に対して、痛みの程度を確かめながら負荷と速度を段階的に上げていく。正解
    • 3導入の当初から高い速度と大きな負荷で行うほど、組織への適応の効果が高まる。
    • 4筋の張力は短縮性の収縮より小さいため、痛みの残る時期の運動として広く選ばれている。
    • 5遅発性の筋の痛みが起こりにくいため、頻度や量の管理は省いてよい。

    Answer

    正解 1:短縮性の収縮よりも大きな張力を発揮でき、筋の量と力を高める手段として用いられる。 / 2:腱の痛みを訴える競技者に対して、痛みの程度を確かめながら負荷と速度を段階的に上げていく。

    「短縮性の収縮よりも大きな張力を発揮でき」が正しい。同じ筋で比べると遠心性収縮は最も大きな張力を出せるため、筋の量と力を高める手段になる。「腱の痛みを訴える競技者に対して、痛みの程度を確かめながら負荷と速度を段階的に上げていく」も正しく、アキレス腱や膝蓋腱の障害に対して遠心性の課題が用いられるが、痛みを指標に少ない負荷から進める。「導入の当初から高い速度と大きな負荷で行うほど」効果が高まるというのは誤りで、遠心性の負荷は組織への負担が大きく、速度と負荷は段階を追って上げる。「筋の張力は短縮性の収縮より小さいため」も誤りで、張力は大きいほうであり、痛みの残る時期の第一の選択にはなりにくい。「遅発性の筋の痛みが起こりにくいため」も誤りで、遠心性収縮はむしろ遅発性の筋痛を起こしやすく、頻度と量の管理が要る。

    HINT 遠心性は「強いけれど荒い」。張力は最大、そのぶん筋痛も出る。

  28. コンタクトの多い競技の競技者における頚部のリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1頚椎の可動域と筋力が戻っていることを確かめ、痛みが残る段階からコンタクトの練習を再開させる。
    • 2頚部の筋力の課題は左右の回旋だけを対象とし、屈曲と伸展の課題は省いてよい。
    • 3慢性の時期に残る頚部の痛みには、受傷の直後と同じように冷却を用いて対応する。
    • 4等尺性の収縮から始め、胸椎や肩甲帯の状態も併せて評価する。正解
    • 5頚部の評価では胸椎と肩甲帯の可動域まで測り、値が基準に並んだ後に等尺性の課題へ移る。

    Answer

    正解 4:等尺性の収縮から始め、胸椎や肩甲帯の状態も併せて評価する。

    「等尺性の収縮から始め、胸椎や肩甲帯の状態も併せて評価する」が正しい。頚部は関節の動きを伴わない等尺性の収縮から始めるのが安全であり、頚椎の動きと負担は土台となる胸椎のアライメントと肩甲帯の働きに左右される。「痛みが残る段階からコンタクトの練習を再開させる」は誤りで、痛みが残るうちにコンタクトへ戻すのは重大な外傷につながる。「左右の回旋だけを対象とし」屈曲と伸展を省くのも誤りで、頚部には多方向から力が加わるため、屈曲・伸展・側屈も含めて課題を組む。「受傷の直後と同じように冷却を用いて対応する」も誤りで、慢性の時期の痛みの緩和には温熱が用いられる。「値が基準に並んだ後に等尺性の課題へ移る」も誤りで、胸椎と肩甲帯は評価に含めるが、その値がそろうのを待って頚部の課題を後ろへずらせば筋力の低下が進む。

    HINT 頚は「動かさずに固める」から。そして頚だけ見ても足りない、土台は胸椎。

  29. 肩関節の前方脱臼の後、コンタクトの再開までのリコンディショニングについて正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1再脱臼の危険は関節の可動域が広いほど下がるため、外旋の可動域を早期から広げていく。
    • 2装具を用いていれば危険な肢位を制御できるため、動作についての指導は復帰の後に行ってよい。
    • 3閉鎖性の運動連鎖の課題から始め、不安定な支持面での課題へ進める。正解
    • 4上腕を頭上まで挙げた肢位での抵抗の課題を導入の当初から加え、可動域と筋力を同時に仕上げる。
    • 5腱板と肩甲帯の筋の協調した働きを促す運動を、脱臼が起こりやすい肢位を避けて進める。正解

    Answer

    正解 3:閉鎖性の運動連鎖の課題から始め、不安定な支持面での課題へ進める。 / 5:腱板と肩甲帯の筋の協調した働きを促す運動を、脱臼が起こりやすい肢位を避けて進める。

    「腱板と肩甲帯の筋の協調した働きを促す運動を」が正しい。前方脱臼の後は、外旋と水平外転が組み合わさる肢位を避けながら、腱板と肩甲帯の筋が協調して働く状態をつくることが再脱臼の防止につながる。「閉鎖性の運動連鎖の課題から始め」も正しく、壁への腕立て伏せのように手を固定した課題から始め、不安定な支持面を用いた課題へ難度を上げていく。「関節の可動域が広いほど下がるため、外旋の可動域を早期から広げていく」は誤りで、外旋を早期に広げることは前方の支持組織への負担となり、危険を高める。「装具を用いていれば危険な肢位を制御できる」も誤りで、装具の制動には限りがあり、危険な肢位を避ける動作の習得が必要になる。「上腕を頭上まで挙げた肢位での抵抗の課題を導入の当初から加え」も誤りで、挙上した肢位は前方の支持組織に負担がかかるため、低い肢位から段階を追って上げていく。

    HINT 前方脱臼で避けるのは外旋と水平外転の組み合わせ。可動域は「急いで広げない」。

  30. 膝蓋大腿関節に痛みを訴える競技者へのリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1膝の伸展の運動を可動域の全体で高い負荷で行い、痛みが強まる角度でも継続させる。
    • 2膝蓋骨の位置に関わる要因は局所に限られるため、足部や股関節の評価は対象から外す。
    • 3痛みの強さは膝蓋骨の位置のずれの大きさで決まるため、画像で位置を確かめてから内容を組む。
    • 4外側広筋の緊張を高める運動を中心に置き、膝蓋骨を外側へ導く働きを強める。
    • 5大腿四頭筋の働きに加えて股関節の外転と外旋の筋力を高め、痛みが軽い範囲の角度から運動を進める。正解

    Answer

    正解 5:大腿四頭筋の働きに加えて股関節の外転と外旋の筋力を高め、痛みが軽い範囲の角度から運動を進める。

    「大腿四頭筋の働きに加えて股関節の外転と外旋の筋力を高め」が正しい。膝蓋骨にかかる圧は大腿骨の向きに左右され、股関節の外転と外旋の筋力が弱いと大腿が内旋して圧が偏る。運動は痛みが軽い角度の範囲から始める。「可動域の全体で高い負荷で行い、痛みが強まる角度でも継続させる」は誤りで、膝蓋大腿関節にかかる圧は角度によって変わるため、圧が高まる角度を避けて進める。「膝蓋骨の位置に関わる要因は局所に限られる」も誤りで、足部の接地の状態や股関節の向きが膝蓋骨の動きに影響する。「痛みの強さは膝蓋骨の位置のずれの大きさで決まる」も誤りで、画像で見える位置のずれと症状の強さは一致しないため、運動の内容は症状と動作の評価から決める。「外側広筋の緊張を高める運動を中心に置き」も誤りで、外側の緊張が強まると膝蓋骨は外側へ引かれ、圧の偏りが大きくなる。

    HINT 膝の痛みでも見るのは股関節。大腿が内旋すると膝蓋骨の圧が偏る。

  31. 体幹の伸展で痛みが強まる腰痛を有する競技者のリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1腰椎の後方の要素への負担を減らすため、腹部を強く引き込んだ姿勢を一日中保たせる。
    • 2腰椎の過度な伸展を抑えるため、股関節の前面と大腿の前面の柔軟性の改善を組み込んでいく。正解
    • 3腰痛の原因は腰部に限られるため、股関節や胸椎の可動性の評価は対象から外す。
    • 4体幹の筋力の課題は、腰椎を大きく伸展させる運動を用いて負荷を高めていく。
    • 5腰椎を中間位に保ったまま四肢をゆっくり動かす課題から進める。正解

    Answer

    正解 2:腰椎の過度な伸展を抑えるため、股関節の前面と大腿の前面の柔軟性の改善を組み込んでいく。 / 5:腰椎を中間位に保ったまま四肢をゆっくり動かす課題から進める。

    「腰椎の過度な伸展を抑えるため、股関節の前面と大腿の前面の柔軟性の改善を組み込んでいく」が正しい。腸腰筋や大腿直筋が硬いと骨盤が前傾し、腰椎の伸展が強まって後方の要素への負担が増える。「腰椎を中間位に保ったまま四肢をゆっくり動かす課題から進める」も正しく、痛みの出る方向を避けて腰椎を中間位に保つ能力をつくることが土台になる。「腹部を強く引き込んだ姿勢を一日中保たせる」のは誤りで、中間位を保つ能力は課題の中で身につけるものであり、終日の力みは呼吸や動作を妨げる。「腰痛の原因は腰部に限られるため」も誤りで、股関節の可動域の制限や胸椎の動きの低下が腰椎の代償を生む。「腰椎を大きく伸展させる運動を用いて負荷を高めていく」も誤りで、痛みの出る方向の運動で負荷を上げるのは避ける。

    HINT 伸展で痛むなら伸展を減らす。腰椎を伸展させている犯人は股関節の前面。

  32. 下腿の内側に運動時の痛みを訴える競技者へのリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1下腿の内側の痛みは靴の摩耗が原因であるため、靴を新しくすれば走る量は変えなくてよい。
    • 2足部の接地の状態と下腿の筋の柔軟性を確かめ、走る量と路面の条件を調整していく。正解
    • 3下腿の筋の硬さを確かめ、原因を筋の疲労と判断してストレッチングと休息で対応する。
    • 4痛みが出ている期間は走る量を増やして組織を慣らし、路面はより硬い条件へ変えていく。
    • 5足底板で土踏まずを限界まで持ち上げた状態に固定し、アーチを外から支える。

    Answer

    正解 2:足部の接地の状態と下腿の筋の柔軟性を確かめ、走る量と路面の条件を調整していく。

    「足部の接地の状態と下腿の筋の柔軟性を確かめ、走る量と路面の条件を調整していく」が正しい。下腿の内側の痛みは走る量の急な増加や硬い路面、足部の接地の崩れが背景にあるため、原因となる条件を調整する。「靴を新しくすれば走る量は変えなくてよい」は誤りで、靴は要因の一つにすぎず、走る量と路面の条件を調整しなければ下腿にかかる負担は減らない。「原因を筋の疲労と判断してストレッチングと休息で対応する」も誤りで、下腿の内側の痛みでは疲労骨折との区別が必要になる。「走る量を増やして組織を慣らし、路面はより硬い条件へ変えていく」も誤りで、走る量と路面の硬さはどちらも負担を増やす要素であり、痛みのある時期に強める方向へ動かすのは逆である。「足底板で土踏まずを限界まで持ち上げた状態に固定し」も誤りで、支えが過大だと足部の本来の動きを妨げ、負担が別の部位へ移る。

    HINT 下腿の内側の痛みは「量と地面と接地」。局所を揉んでも原因は残る。

  33. 大腿の前面に打撲を受けた競技者のリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1受傷の直後は膝を曲げた位置のまま圧迫と冷却を行い、患部の出血の広がりを抑えていく。正解
    • 2受傷の直後から患部を温めて血流を高める手技を加えることで、可動域の回復が早まっていく。
    • 3強い伸張や深い圧迫の手技は、骨化性筋炎の危険を高めるため慎重に取り扱う。正解
    • 4膝の屈曲の可動域が戻る前であっても、全力での走行や跳躍の課題を先に進める。
    • 5患部の腫れが残る時期に強い伸張を反復すると、可動域の改善が進む。

    Answer

    正解 1:受傷の直後は膝を曲げた位置のまま圧迫と冷却を行い、患部の出血の広がりを抑えていく。 / 3:強い伸張や深い圧迫の手技は、骨化性筋炎の危険を高めるため慎重に取り扱う。

    「受傷の直後は膝を曲げた位置のまま圧迫と冷却を行い」が正しい。大腿前面の打撲では、膝を屈曲させた位置で圧迫と冷却を行うことで出血の広がりを抑え、屈曲の可動域の制限を軽くできる。「強い伸張や深い圧迫の手技は、骨化性筋炎の危険を高めるため慎重に取り扱う」も正しく、打撲の後の強い刺激は筋内に骨が形成される病態の危険を高める。「受傷の直後から患部を温めて血流を高める手技を加えることで」は誤りで、直後の加温は出血と腫脹を増やす。「膝の屈曲の可動域が戻る前であっても、全力での走行や跳躍の課題を先に進める」も誤りで、可動域と筋力の回復が全力の課題の前提になる。「患部の腫れが残る時期に強い伸張を反復すると」も誤りで、腫れの残る時期の強い伸張は組織をさらに傷める。

    HINT 太ももの打撲は「曲げた位置で固めて冷やす」。揉む・伸ばす・温めるは骨化性筋炎。

  34. 下肢の疲労骨折の後に練習へ戻していく過程として、最も適切なものはどれか。

    • 1痛みが消えたことを確かめた時点で骨の癒合も完了しているとみて、受傷の前の練習の量へ戻す。
    • 2痛みが出ない範囲であれば、骨の修復は練習の量とは関わりなく進んでいく。
    • 3固定の期間が終われば衝撃の大きい跳躍の課題から始め、走行は後に回す。
    • 4医師の判断を確かめたうえで、衝撃の小さい運動から量と強度を段階的に増やす。正解
    • 5体重が受傷の前を上回るまで摂取の量を増やしてから、運動の再開へ移る。

    Answer

    正解 4:医師の判断を確かめたうえで、衝撃の小さい運動から量と強度を段階的に増やす。

    「医師の判断を確かめたうえで、衝撃の小さい運動から量と強度を段階的に増やす」が正しい。疲労骨折は骨の修復の状態を医師が判断し、水中での運動や自転車のように衝撃の小さいものから、走行、跳躍へと段階を追って戻す。「痛みが消えたことを確かめた時点で骨の癒合も完了しているとみて」は誤りで、痛みの消失と骨の修復は一致せず、量を一度に戻せば再発する。「骨の修復は練習の量とは関わりなく進んでいく」も誤りで、骨が作り替わるには負荷と負荷のあいだの休息が要り、量を落とさずに戻せば疲労骨折に至った経過をそのまま繰り返すことになる。再開にあたっては練習の量と動作の偏りも併せて見直す。「衝撃の大きい跳躍の課題から始め、走行は後に回す」も誤りで、衝撃の順序が逆になっている。「体重が受傷の前を上回るまで摂取の量を増やしてから」も誤りで、利用できるエネルギーの不足は確かめるべき要因だが、体重を受傷の前より増やすことが骨の修復の条件になるわけではない。

    HINT 戻す順は衝撃の小さいほうから。痛みが消えても骨は治り切っていない。

  35. 走る動作にみられる問題に対するリコンディショニングについて、適切なものはどれか。2つ選べ。

    • 1上肢の振りを大きくするほど推進の力が増すため、腕の振りの幅を限界まで広げる課題を先に置く。
    • 2接地のときに骨盤が支持脚と反対の側へ落ちる場合は、股関節の外転の筋力を高める。正解
    • 3歩幅を大きく取るよう指導すれば接地の衝撃が減るため、まず歩幅を広げる課題を置く。
    • 4動作の指導は疲労が軽い状態で行い、短い距離から反復する。正解
    • 5走る動作の問題は下肢の筋力で決まるため、体幹の評価は対象から外す。

    Answer

    正解 2:接地のときに骨盤が支持脚と反対の側へ落ちる場合は、股関節の外転の筋力を高める。 / 4:動作の指導は疲労が軽い状態で行い、短い距離から反復する。

    「接地のときに骨盤が支持脚と反対の側へ落ちる場合は、股関節の外転の筋力を高める」が正しい。支持脚の側の中殿筋の働きが足りないと骨盤が反対側へ落ち、下肢の並びが崩れて負担が増える。「動作の指導は疲労が軽い状態で行い、短い距離から反復する」も正しく、疲労した状態では正しい動作を再現できず、崩れた動作を覚えてしまう。「上肢の振りを大きくするほど推進の力が増すため」は誤りで、腕の振りは体幹の回旋と釣り合うことに意味があり、幅を広げるほど速く走れるわけではない。「歩幅を大きく取るよう指導すれば接地の衝撃が減る」も誤りで、歩幅を広げると接地の位置が身体の前方へ離れ、制動の力と衝撃はむしろ増える。「下肢の筋力で決まるため、体幹の評価は対象から外す」も誤りで、体幹が保てなければ下肢の力は地面へ伝わりにくい。

    HINT 骨盤が落ちる側の反対、つまり支持脚の中殿筋を疑う。歩幅を広げると衝撃は増える。

  36. 着地の動作に問題がみられる競技者への指導として、最も適切なものはどれか。

    • 1着地の音の大きさと膝の向きを外から確かめ、両脚の課題から片脚の課題へ進める。正解
    • 2膝を伸ばしたまま着地する動作を勧め、接地の時間を短くすることを課題の中心に置いていく。
    • 3着地のたびに映像を撮って本人と確かめ合い、指摘した点がそろった時点で次の試行へ移る。
    • 4音を大きく立てて着地するよう求め、勢いよく地面をとらえる感覚を優先して習得させる。
    • 5着地の課題は跳ぶ高さを段階的に上げることを優先し、姿勢の質の確認は後に回す。

    Answer

    正解 1:着地の音の大きさと膝の向きを外から確かめ、両脚の課題から片脚の課題へ進める。

    「着地の音の大きさと膝の向きを外から確かめ、両脚の課題から片脚の課題へ進める」が正しい。着地の音は衝撃の大きさを映し、膝の向きは下肢の並びの崩れを映すため、どちらも外からの観察で扱える手がかりになる。課題は両脚から片脚へと支持の条件を厳しくしていく。「膝を伸ばしたまま着地する動作を勧め、接地の時間を短くすることを課題の中心に置いていく」は誤りで、膝を伸ばした着地は関節への負担を大きくする。「着地のたびに映像を撮って本人と確かめ合い、指摘した点がそろった時点で次の試行へ移る」も誤りで、一度に扱う指摘を増やすと習得が進まず、試行の間隔が開いて動作の感覚もつかみにくくなる。「音を大きく立てて着地するよう求め」も誤りで、静かな着地を目標にする。「跳ぶ高さを段階的に上げることを優先し、姿勢の質の確認は後に回す」も誤りで、姿勢の質が保てる高さの範囲で課題を組む。

    HINT 静かな着地がよい着地。音と膝の向きは外から見える手がかり。

  37. 投球の動作に問題がみられる競技者へのリコンディショニングについて、適切なものはどれか。2つ選べ。

    • 1体幹の回旋をより早い段階で始めるよう指導すると、肩と肘への負担は軽くなっていく。
    • 2投球の動作の問題は上肢の局所に限られるため、下肢と体幹の評価は対象から外す。
    • 3投球の量は動作の質と疲労の状態を確かめて決め、痛みが軽い日は一日の球数を本人の感覚にまかせる。
    • 4ステップした脚の股関節の可動域や支持の働きを、投球の動作の評価に含める。正解
    • 5下肢から体幹を経て上肢へ力が伝わる順序を確かめ、不十分な部位の機能を高めてから投球の量を増やす。正解

    Answer

    正解 4:ステップした脚の股関節の可動域や支持の働きを、投球の動作の評価に含める。 / 5:下肢から体幹を経て上肢へ力が伝わる順序を確かめ、不十分な部位の機能を高めてから投球の量を増やす。

    「下肢から体幹を経て上肢へ力が伝わる順序を確かめ」が正しい。投球は下肢の踏み込みから骨盤と体幹の回旋を経て上肢へ力が伝わる連鎖であり、途中の部位の働きが足りていれば肩や肘への負担が減る。「ステップした脚の股関節の可動域や支持の働きを、投球の動作の評価に含める」も正しく、ステップ脚の股関節の可動域の制限は投球障害肩の発生要因になる。「体幹の回旋をより早い段階で始めるよう指導すると」は誤りで、体幹の回旋が早く始まると上肢が取り残され、肩と肘への負担がむしろ増える。「上肢の局所に限られるため、下肢と体幹の評価は対象から外す」も誤りで、上肢の負担は下肢と体幹の働きに左右される。「痛みが軽い日は一日の球数を本人の感覚にまかせる」も誤りで、痛みが軽い段階でも投球の量そのものが障害の要因になるため、球数と間隔には上限を定める。

    HINT 投げるのは腕だが、力は脚から来る。体幹が早く開くと腕が置いていかれる。

  38. 切り返しの動作を競技の場面へ戻していく段階づけとして、最も適切なものはどれか。

    • 1相手や球の動きに応じる課題を最初に置き、決められた方向への課題は後の段階に回す。
    • 2切り返しの角度と速度は復帰の初日から競技の場面と同じ条件にそろえて実施させる。
    • 3あらかじめ決めた方向への課題から、合図に応じて方向を変える課題へ進める。正解
    • 4切り返しの角度と速度の組み合わせを一つずつ確かめ、左右の差が消えた組み合わせから順に次へ進める。
    • 5切り返しの課題は疲労した状態から始め、休息した状態での実施は動作の形が固まった後に加える。

    Answer

    正解 3:あらかじめ決めた方向への課題から、合図に応じて方向を変える課題へ進める。

    「あらかじめ決めた方向への課題から、合図に応じて方向を変える課題へ進める」が正しい。方向と合図が決まった課題で動作の形を整えてから、相手や球に応じて判断を伴う課題へ進める順序が安全である。「相手や球の動きに応じる課題を最初に置き」は誤りで、判断を伴う課題を先に置くと動作の形が崩れたまま強い負荷がかかる。「復帰の初日から競技の場面と同じ条件にそろえて実施させる」も誤りで、角度と速度は段階を追って上げる。「切り返しの角度と速度の組み合わせを一つずつ確かめ、左右の差が消えた組み合わせから順に次へ進める」も誤りで、条件の組み合わせを網羅する作業に時間を費やすと不活動の期間が延び、機能の低下を招く。「切り返しの課題は疲労した状態から始め、休息した状態での実施は動作の形が固まった後に加える」も順序が逆で、動作の習得は疲労の軽い状態で行い、疲労した条件を後の段階で加える。

    HINT 決めた方向から、合図で決める方向へ。判断を足すのは形ができてから。

  39. 接触を伴う競技への復帰の段階で、コンタクトの動作を戻していく際の対応について適切なものはどれか。2つ選べ。

    • 1相手と組む前に自分の姿勢を保つ課題を行い、接触の強さと速さを段階的に上げる。正解
    • 2コンタクトは実際の練習のなかで身につくため、復帰の初日から通常の練習へ合流させる。
    • 3頭部と頚部を安全に保つ姿勢を確かめ、指導者と共有したうえで練習に組み込む。正解
    • 4防具が衝撃を吸収する力を確かめるため、復帰の前に最も強い接触から試して耐えられるかを見る。
    • 5復帰の判断は本人の希望に沿って決め、医師や指導者との共有は省く。

    Answer

    正解 1:相手と組む前に自分の姿勢を保つ課題を行い、接触の強さと速さを段階的に上げる。 / 3:頭部と頚部を安全に保つ姿勢を確かめ、指導者と共有したうえで練習に組み込む。

    「相手と組む前に自分の姿勢を保つ課題を行い、接触の強さと速さを段階的に上げる」が正しい。相手のいない状態で姿勢を保てることを確かめてから、弱い接触、決められた接触、実際の場面という順に上げる。「頭部と頚部を安全に保つ姿勢を確かめ、指導者と共有したうえで練習に組み込む」も正しく、コンタクトでは頭部と頚部の位置が重大な外傷を分けるため、姿勢の確認と指導者との共有が欠かせない。「実際の練習のなかで身につくため、復帰の初日から通常の練習へ合流させる」は誤りで、段階を踏まない合流は再受傷につながる。「防具が衝撃を吸収する力を確かめるため、復帰の前に最も強い接触から試して耐えられるかを見る」も誤りで、防具は衝撃を減らすが危険をなくすものではなく、接触の強さは弱いところから段階を追って上げる。「本人の希望に沿って決め、医師や指導者との共有は省く」も誤りで、復帰の判断は関係者で共有して行う。

    HINT 相手なし → 弱い接触 → 決めた接触 → 実戦。頭と頚の位置は毎段階で確認。

  40. リコンディショニングの過程で動作を指導する際の進め方として、最も適切なものはどれか。

    • 1指摘は一度に多く与えるほど習得が速く進むため、気づいた点はすべて同時に伝える。
    • 2言葉による指示で動作の形を伝え、映像や鏡は本人が自分の姿を確かめたいと求めたときに用いる。
    • 3動作の指導は条件を変えた練習から始め、同じ条件での反復は動作が安定した後に加える。
    • 4助言は実施の最中に絶えず与え、本人が自分で修正する機会は省く。
    • 5身体の部位への意識に加えて、動作の結果や目印など外に向けた手がかりも用いて指導する。正解

    Answer

    正解 5:身体の部位への意識に加えて、動作の結果や目印など外に向けた手がかりも用いて指導する。

    「身体の部位への意識に加えて、動作の結果や目印など外に向けた手がかりも用いて指導する」が正しい。身体の部位に注意を向ける手がかりだけでなく、目印や動作の結果といった外に向けた手がかりを用いると動作の習得が進みやすい。「一度に多く与えるほど習得が速く進むため」は誤りで、一度に扱う課題は絞ったほうが習得が進む。「映像や鏡は本人が自分の姿を確かめたいと求めたときに用いる」も誤りで、自覚と実際の動作はずれるため、映像や鏡による確認は指導の側から計画して組み込む。「条件を変えた練習から始め、同じ条件での反復は動作が安定した後に加える」も順序が逆で、同じ条件での反復で形を固めてから条件を変えた練習へ進める。「絶えず与え、本人が自分で修正する機会は省く」も誤りで、助言を絶えず与えると本人が自分で感じ取って直す過程が育たない。

    HINT 一度に直すのは一つ。助言を出しすぎると自分で直せなくなる。

  41. 軟部組織の損傷後にみられる治癒過程について、正しいのはどれか。

    • 1炎症期には線維芽細胞が増殖し、コラーゲン線維の産生が全過程のなかで最も盛んになる。
    • 2修復期には血管の透過性が急に高まり、好中球やマクロファージの浸潤が始まる時期になる。
    • 3再構築期には加わる張力の方向に沿って、コラーゲン線維が並び替えられていく。正解
    • 4再構築期は受傷の直後から始まり、修復期より早く終わる過程である。
    • 5炎症の徴候である熱感や腫脹は、修復期に入ってから現れる。

    Answer

    正解 3:再構築期には加わる張力の方向に沿って、コラーゲン線維が並び替えられていく。

    正しいのは「再構築期には加わる張力の方向に沿って」コラーゲン線維が並び替えられるという記述で、この時期に適度な力学的ストレスを加えることが機能的な治癒につながる。線維芽細胞の増殖とコラーゲン産生が盛んになるのは炎症期ではなく修復期であり、炎症期の特徴として述べているものは時期の取り違えである。血管透過性の亢進と好中球やマクロファージの浸潤は炎症期の反応であり、修復期の特徴ではない。再構築期は修復期の後に続く最も長い時期であり、修復期より早く終わるという記述は順序が逆である。熱感や腫脹は受傷直後の炎症期にみられる徴候であり、修復期に入ってから現れるものではない。

    HINT 炎症→修復→再構築の順。張力に沿った線維の並び替えは最後の再構築期。

  42. 関節の固定や免荷が続いたときに身体に生じる変化について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1関節軟骨は荷重と関節運動による刺激が減ることで軟化し、厚みの減少や変性が進んでいく。正解
    • 2腱や靱帯は固定によって単位面積あたりの引張強度が高まり、再損傷に耐える力を得る。
    • 3骨は固定の期間中にリモデリングが促進され、骨密度はむしろ上昇していく。
    • 4抗重力筋である下肢の筋では、固定の開始から早い時期に筋萎縮が始まる。正解
    • 5全身持久力は臥床でも保たれ、最大酸素摂取量は影響を受けにくい。

    Answer

    正解 1:関節軟骨は荷重と関節運動による刺激が減ることで軟化し、厚みの減少や変性が進んでいく。 / 4:抗重力筋である下肢の筋では、固定の開始から早い時期に筋萎縮が始まる。

    正しいのは「関節軟骨は荷重と関節運動による刺激が減ることで軟化し」という記述と、「抗重力筋である下肢の筋では」固定の開始から早い時期に筋萎縮が始まるという記述である。関節軟骨は関節液を介した栄養に依存するため運動と荷重の減少で変性が進み、姿勢を支える下肢の筋は不動の影響を最も早く受ける。腱や靱帯は固定によって強度が低下するため、引張強度が高まるという記述は逆である。骨も不動によって骨密度が低下するため、リモデリングが促進されて上昇するという記述は誤りである。全身持久力は臥床によって明らかに低下し、最大酸素摂取量も低下するため、影響を受けにくいという記述は成り立たない。

    HINT 不動で強くなる組織はない。軟骨・骨・腱・持久力はいずれも低下する。

  43. 前日のリコンディショニングの負荷が過大であったことを示す所見として、最も適切なものはどれか。

    • 1実施の途中で目的とする筋に軽い張りが出たが、休息をはさむとその感覚がもとに戻った。
    • 2終了の直後に心拍数が上がったが、数分間の休息で安静のときの水準まで戻った。
    • 3実施の当日に軽い筋の疲労感が出たが、その日のうちに感覚が落ち着いた。
    • 4翌朝の関節可動域は前日の測定で得た値と同じ程度まで戻っていた。
    • 5翌朝には患部の熱感と腫脹が強まり、可動域が狭まっていた。正解

    Answer

    正解 5:翌朝には患部の熱感と腫脹が強まり、可動域が狭まっていた。

    負荷が過大であったことを示すのは「翌朝には患部の熱感と腫脹が強まり」可動域が狭まっていたという所見である。翌日に持ち越す炎症徴候と可動域の悪化は、組織が負荷に耐えられていない合図であり、負荷量の見直しが必要になる。実施の途中で目的の筋に張りが出て休息で戻るものは狙った反応の範囲であり、過大の合図ではない。終了直後の心拍数の上昇が数分で戻ることは運動に対する正常な応答である。当日に軽い疲労感が出てその日のうちに落ち着くものも許容される反応である。翌朝の可動域が前日と同じ程度まで戻っていることは、負荷が適切であったことを示す所見である。

    HINT 判断は「翌日に持ち越すか」。熱感・腫脹・可動域の悪化が過負荷の合図。

  44. 組織ごとの修復のされやすさについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1関節軟骨の表層は血流に富むため、損傷しても瘢痕を残さずもとの構造に再生していく。
    • 2半月板は辺縁の部分に血流があるため、中央寄りの部分よりも修復が期待できる。正解
    • 3腱は瘢痕を介さずに元の線維配列へ戻るため、修復の後も強度は低下しない。
    • 4靱帯の修復は固定の期間が長いほど良好になり、瘢痕も強固になる。
    • 5筋は血流に富むため、損傷しても比較して良好な修復が進む。正解

    Answer

    正解 2:半月板は辺縁の部分に血流があるため、中央寄りの部分よりも修復が期待できる。 / 5:筋は血流に富むため、損傷しても比較して良好な修復が進む。

    正しいのは「半月板は辺縁の部分に血流があるため」中央寄りの部分より修復が期待できるという記述と、「筋は血流に富むため」比較して良好な修復が進むという記述である。修復のされやすさは血流の有無に大きく左右されるため、半月板でも血流のある辺縁部と無血管の中央部で予後が分かれる。関節軟骨は血管をもたないため、瘢痕を残さず再生するという記述は誤りである。腱の修復は瘢痕組織を介して進み、線維の配列も元どおりには戻らないため、修復の後も強度は低下しないという記述は成り立たない。靱帯の修復では過度に長い固定が瘢痕の質と関節機能を悪化させるため、固定の期間が長いほど良好という記述は成り立たない。

    HINT 修復の速さは血流で決まる。半月板は辺縁だけ血流あり。

  45. JSPO-ATの役割としてのリコンディショニングの位置づけについて、最も適切なものはどれか。

    • 1医師の診断と指示のもと、医療機関で始まった回復を競技復帰まで引き継ぐ役割をもつ。正解
    • 2医療機関での治療の内容をATが評価し直し、必要と判断した範囲で指示の内容を調整して進める。
    • 3患部の機能が戻った時点で役割は終わり、再発の予防は対象に含めない。
    • 4患部の治療が完了してから開始し、それまでは全身の活動を休止させる。
    • 5競技の特性に合わせた動作の課題を初日から組み込み、組織の修復の段階は動作の到達の程度から推定する。

    Answer

    正解 1:医師の診断と指示のもと、医療機関で始まった回復を競技復帰まで引き継ぐ役割をもつ。

    最も適切なのは「医師の診断と指示のもと」医療機関で始まった回復を競技復帰まで引き継ぐという記述である。JSPO-ATのリコンディショニングは医学的管理の延長線上にあり、医療とスポーツ現場をつなぐ位置にある。医療機関での治療の内容をATが評価し直して指示の内容を調整する進め方は、診断と治療の方針を医師が担うという前提を越える。患部の機能が戻った時点で役割が終わるという捉え方は、再発の予防までを含むリコンディショニングの範囲と合わない。患部の治療の完了を待って全身の活動を休止させると、患部外の機能低下を招いて復帰が遅れる。競技の特性に合わせた動作の課題を初日から組み込み、組織の修復の段階を動作の到達の程度から推定するやり方は順序が逆で、修復の段階は医学的な情報から把握する。

    HINT 医療とスポーツ現場の橋渡し。始まりは医師の診断と指示。

  46. リコンディショニングを進めるうえでの考え方について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1患部外の体力は受傷の前を上回るまで高める必要があるため、全身のトレーニングの量を積み増す。
    • 2患部の回復と並行して、患部外の体力を保つ内容を初期の段階から計画に組み込む。正解
    • 3受傷に至った動作や要因を明らかにし、その修正を再発予防の目標に含める。正解
    • 4復帰の可否は疼痛が消えたかどうかのみで決め、機能面の評価は省いてよいとされている。
    • 5段階を進める判断は選手の希望を第一に置き、客観的な指標より重視する。

    Answer

    正解 2:患部の回復と並行して、患部外の体力を保つ内容を初期の段階から計画に組み込む。 / 3:受傷に至った動作や要因を明らかにし、その修正を再発予防の目標に含める。

    正しいのは「患部の回復と並行して」患部外の体力を保つ内容を初期から組み込むという記述と、「受傷に至った動作や要因を明らかにし」その修正を再発予防の目標に含めるという記述である。リコンディショニングは患部の機能回復と全身のコンディション維持、そして再発予防を同時に狙う過程である。患部外の体力を受傷の前より高めようとして全身のトレーニングの量を積み増す進め方は、疲労が患部の回復を妨げる。疼痛の消失のみを基準にして機能面の評価を省くと、可動域や筋力の不足を残したまま復帰させることになる。段階を進める判断で選手の希望を客観的な指標より重視すると、再損傷の危険が高まる。

    HINT 同時に進めるのは三つ。患部の回復・患部外の維持・再発予防。

  47. 松葉杖を用いた免荷の歩行を指導する際の内容として、最も適切なものはどれか。

    • 1腋窩の部分で体重を支えるように伝え、脇当てを強く挟み込ませた状態で歩かせる。
    • 2階段を上るときは患側の脚と松葉杖を先に出し、健側の脚を後から運ばせる。
    • 3握りの高さが肩の高さと並ぶように、松葉杖の長さを調整して合わせる。
    • 4階段を下りるときは必ず松葉杖と患側を先に下ろし、健側を後から運ぶ。正解
    • 5歩幅は大きくとるほど安定するため、松葉杖を遠くに着かせる。

    Answer

    正解 4:階段を下りるときは必ず松葉杖と患側を先に下ろし、健側を後から運ぶ。

    最も適切なのは「階段を下りるときは必ず松葉杖と患側を先に下ろし」健側を後から運ぶという記述である。下りでは杖と患側が先、上りでは健側が先という順序が基本で、健側で体重を支える局面を確保する狙いがある。腋窩で体重を支えさせると腋窩の神経や血管を圧迫する危険があり、荷重は握りで受けさせるのが原則である。階段を上るときに患側と杖を先に出すと健側で体を持ち上げる動作ができず、順序として誤りである。松葉杖の長さを握りが肩の高さに並ぶまで上げると操作が困難になり、長さの目安として適切ではない。歩幅を大きくとって杖を遠くに着くと重心から離れて不安定になる。

    HINT 上りは健側が先、下りは杖と患側が先。荷重は腋窩ではなく握りで受ける。

  48. リコンディショニングの過程で用いる寒冷療法について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1組織の温度が下がることで末梢の神経伝導速度が遅くなり、疼痛を感じる閾値が上がっていく。正解
    • 2冷却の直後の筋では最大の筋力と巧緻性が高まるため、動作の練習の前に用いるとよい。
    • 3局所の血流と代謝を抑えることで、二次的に広がる組織の損傷を小さくとどめる。正解
    • 4冷却は受傷の直後より、腫脹の引いた再構築期に用いるのが原則である。
    • 5アイスバッグは患部から離して当て、冷気を自然に伝わらせる。

    Answer

    正解 1:組織の温度が下がることで末梢の神経伝導速度が遅くなり、疼痛を感じる閾値が上がっていく。 / 3:局所の血流と代謝を抑えることで、二次的に広がる組織の損傷を小さくとどめる。

    正しいのは「組織の温度が下がることで末梢の神経伝導速度が遅くなり」疼痛の閾値が上がるという記述と、「局所の血流と代謝を抑えることで」二次的な損傷の広がりを小さくとどめるという記述である。寒冷療法の主な狙いは鎮痛と二次的損傷の抑制にある。冷却の直後は筋力の発揮と巧緻性が一時的に低下するため、動作練習の直前に用いることは適切ではない。寒冷療法は炎症の徴候が強い受傷直後に有用であり、再構築期に用いるのが原則という記述は時期の取り違えである。アイスバッグは患部に密着させて当てるのが基本で、離して冷気を伝わらせる方法では組織の温度が十分に下がらない。

    HINT 冷却の狙いは鎮痛と二次的損傷の抑制。冷えた直後の筋は力を出しにくい。

  49. リコンディショニングにおける筋力エクササイズの進め方として、最も適切なものはどれか。

    • 1可動域に制限が残る時期から等張性の運動で始め、等尺性の課題は制限が取れてから加える。
    • 2等尺性の収縮から始め、可動域と疼痛の状態に応じて等張性の運動へ進める。正解
    • 3遠心性の収縮は筋への負担が小さいため、早い段階から高速で導入する。
    • 4等速性の運動は値を測るための手段であるから、訓練では自体重の課題に置き換える。
    • 5開運動連鎖の種目で可動域の全体にわたる筋力をそろえてから、閉運動連鎖の種目へ移る。

    Answer

    正解 2:等尺性の収縮から始め、可動域と疼痛の状態に応じて等張性の運動へ進める。

    最も適切なのは「等尺性の収縮から始め」可動域と疼痛の状態に応じて等張性の運動へ進めるという記述である。関節を動かさずに筋の活動を保てる等尺性収縮は、可動域や疼痛に制限がある時期でも実施しやすい。可動域に制限が残る時期に等張性の運動から始めると、動かせない範囲の手前で関節に負担が集中するため、等尺性を後に回す順序は逆である。遠心性の収縮は同じ負荷でも筋へのストレスが大きく筋の損傷を起こしやすいため、早い段階から高速で導入する対象ではない。等速性の運動は測定にも訓練にも用いられるため、値を測るための手段と決めて訓練から外す記述は誤りである。開運動連鎖と閉運動連鎖はいずれも時期と目的に応じて使い分けるものであり、開運動連鎖で可動域の全体の筋力をそろえることを閉運動連鎖の前提にする順序は成り立たない。

    HINT 等尺性→等張性→等速性。遠心性は負担が大きいので後の段階。

  50. 水中で行うリコンディショニングの特徴について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1水中では抵抗が一定に保たれるため、動作の速さを変えても筋にかかる負荷は変わらない。
    • 2静水圧は下肢の静脈の還流を妨げるため、腫脹のある部位への使用は避ける。
    • 3浮力によって関節にかかる荷重が減るため、免荷が必要な時期の歩行の練習に使える。正解
    • 4水温が高い環境では、循環系への負担が陸上より大きくなる場合がある。正解
    • 5水の粘性は無視できる程度であり、上肢の動作に抵抗は加わらない。

    Answer

    正解 3:浮力によって関節にかかる荷重が減るため、免荷が必要な時期の歩行の練習に使える。 / 4:水温が高い環境では、循環系への負担が陸上より大きくなる場合がある。

    正しいのは「浮力によって関節にかかる荷重が減るため」免荷が必要な時期の歩行練習に使えるという記述と、「水温が高い環境では」循環系への負担が陸上より大きくなる場合があるという記述である。水深に応じて荷重を調節できることが水中運動の利点であり、水温の管理は安全のうえで欠かせない。水中の抵抗は動作の速さの二乗に比例して増えるため、速さを変えても負荷が変わらないという記述は誤りである。静水圧は静脈の還流を助ける方向に働くため、還流を妨げるという理由で腫脹のある部位への使用を避けるという記述は逆である。水の粘性は抵抗として働き上肢の動作にも負荷が加わるため、無視できるという記述は成り立たない。

    HINT 浮力で荷重を減らし、粘性で抵抗をつくる。速く動かせば負荷は増える。

  51. リコンディショニングの期間中に用いる装具やテーピングについて、最も適切なものはどれか。

    • 1復帰の初期に限って、再損傷を防ぐ補助として期間を定めて用いる。正解
    • 2装着によって筋の機能は補われるため、筋力のトレーニングは最小限にとどめて進めていく。
    • 3関節を完全に固定する設定を選び、可動域を制限したままの状態で競技に復帰させていく。
    • 4テーピングは装具より支持する力が強いため、長い期間の固定が必要な場面で選ぶ。
    • 5皮膚の状態と循環は装着のたびに確かめ、わずかな赤みがあればその日のうちに使用をやめさせる。

    Answer

    正解 1:復帰の初期に限って、再損傷を防ぐ補助として期間を定めて用いる。

    最も適切なのは「復帰の初期に限って」再損傷を防ぐ補助として期間を定めて用いるという記述である。装具やテーピングは機能の回復を補う一時的な手段として位置づけ、依存が続かないように期間を決めて用いる。装着によって筋機能が補われるという理由で筋力トレーニングを最小限にすると、装具を外した後の機能が不足する。関節を完全に固定したまま競技に復帰させると必要な可動域が確保できず、他の部位への負担も増える。テーピングは装具に比べて支持する力が弱く時間とともに緩むため、長期の固定に向く手段ではない。皮膚の状態と循環はたしかに装着のたびに確かめるべきものだが、わずかな赤みで使用をやめさせると必要な保護が得られないため、圧の当たり方を直して使い続けられるようにする。

    HINT 装具は一時的な補助。期間を決めて外す前提で使う。

  52. 各種の物理的刺激や徒手的なアプローチを用いる際の考え方について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1超音波は周波数が高いほど深部に届くため、深部を狙うときは高い周波数を選ぶ。
    • 2経皮的電気刺激は疼痛の緩和を主な狙いとし、筋収縮を得る刺激とは設定が異なる。正解
    • 3関節モビライゼーションは自動の運動のみで構成される手技である。
    • 4マッサージは疲労の回復に確実な効果があるため、急性期の患部にも用いる。
    • 5必ず医療資格者と連携し、目的と適応を共有したうえで用いる。正解

    Answer

    正解 2:経皮的電気刺激は疼痛の緩和を主な狙いとし、筋収縮を得る刺激とは設定が異なる。 / 5:必ず医療資格者と連携し、目的と適応を共有したうえで用いる。

    正しいのは「経皮的電気刺激は疼痛の緩和を主な狙いとし」筋収縮を得る刺激とは設定が異なるという記述と、「必ず医療資格者と連携し」目的と適応を共有したうえで用いるという記述である。鎮痛を狙う刺激と筋収縮を誘発する刺激では強度や周波数の設定が異なり、物理的刺激や徒手的アプローチは医療資格者との連携のもとで用いる。超音波は周波数が低いほど深部に到達するため、深部を狙うときに高い周波数を選ぶという記述は逆である。関節モビライゼーションは術者が関節を動かす他動的な操作を含む手技であるから、自動の運動のみで構成されるという記述は誤りである。マッサージを急性期の患部に用いると炎症や出血を助長する危険がある。

    HINT 超音波は低い周波数が深部。鎮痛の電気刺激と筋収縮の電気刺激は別設定。

  53. リコンディショニングプログラムを立案する手順として、最も適切なものはどれか。

    • 1まず競技の特性に合わせた動作の練習を設定し、機能の評価は実施の後に回して確認する。
    • 2考えられる問題点を数多く挙げ、それらを同時に扱う課題を初回の計画から並べる。
    • 3目標は最終の復帰の時期のみを定め、途中の到達点の設定は省く。
    • 4段階ごとの目標は希望する復帰の日から等間隔に割り振り、機能の到達の程度は後から合わせていく。
    • 5医学的な情報と機能の評価から問題点を整理し、段階ごとの目標を定めていく。正解

    Answer

    正解 5:医学的な情報と機能の評価から問題点を整理し、段階ごとの目標を定めていく。

    最も適切なのは「医学的な情報と機能の評価から問題点を整理し」段階ごとの目標を定めるという記述である。診断や手術の内容といった医学的情報と、可動域や筋力などの評価結果を突き合わせて問題点を挙げ、そこから段階の目標を決めるのが立案の順序である。競技特性に合わせた動作の練習を先に設定して評価を後に回すと、選手の状態に見合わない負荷を課す危険がある。考えられる問題点を数多く挙げて同時に扱う課題を初回から並べると、一つあたりの時間と質が落ち、患部への負担も重なる。最終の復帰時期だけを定めて途中の到達点を置かないと、進み具合の判断ができなくなる。段階ごとの目標を復帰の日から等間隔に割り振ると、機能の到達の程度と段階の区切りがずれる。

    HINT 順番は、情報収集→評価→問題点の整理→段階ごとの目標→再評価。

  54. リコンディショニングの期間中に行う患部外のトレーニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1全身持久力の低下を抑える狙いで、患部への負担が少ない運動の様式を選んで実施する。正解
    • 2患部の固定が続く時期であっても、体幹や上肢の筋力を保つ内容を組み込んでいく。正解
    • 3患部外の筋力は受傷の影響を受けにくいため、復帰の前の数日でまとめて取り戻せるとされる。
    • 4患部外のトレーニングは患部の血流を増やして治癒を速めるため、量を増やすほど復帰が早まる。
    • 5患部外のトレーニングの狙いは体重の増加であり、体力の維持は副次的である。

    Answer

    正解 1:全身持久力の低下を抑える狙いで、患部への負担が少ない運動の様式を選んで実施する。 / 2:患部の固定が続く時期であっても、体幹や上肢の筋力を保つ内容を組み込んでいく。

    正しいのは「全身持久力の低下を抑える狙いで」患部への負担が少ない運動様式を選ぶという記述と、「患部の固定が続く時期であっても」体幹や上肢の筋力を保つ内容を組み込むという記述である。患部外トレーニングは復帰までの体力低下を最小限にとどめる目的で、受傷の直後から計画に含める。患部外の筋力も活動量の低下に伴って低下するため、復帰前の数日でまとめて取り戻せるという記述は成り立たない。患部外のトレーニングが患部の治癒そのものを速めるわけではないため、量を増やすほど復帰が早まるという記述は成り立たず、疲労が重なれば回復を妨げる。患部外トレーニングの主眼は体力の維持であり、体重の増加を狙いとする記述は誤りである。

    HINT 患部外トレーニングは受傷直後から始める。狙いは体力の低下を防ぐこと。

  55. リコンディショニングの段階を進める判断に用いる機能的なパフォーマンステストについて、最も適切なものはどれか。

    • 1疼痛が残っている状態であっても、左右の差が小さければ次の段階へ進めてよい。
    • 2左右の差は測定のたびに受傷の前の値と照らし、わずかでも下回っていれば段階を一つ戻す。
    • 3片脚のホップなどの成績を健側と比べ、左右の差が小さくなったことを次の段階へ進む目安とする。正解
    • 4テストは一度だけ実施し、動作の質よりも記録の値を重視する。
    • 5テストは疲労が強い状態で行うほど競技の場面に近い結果が得られるため、練習の終わりに実施する。

    Answer

    正解 3:片脚のホップなどの成績を健側と比べ、左右の差が小さくなったことを次の段階へ進む目安とする。

    最も適切なのは「片脚のホップなどの成績を健側と比べ」左右の差が小さくなったことを次の段階へ進む目安とするという記述である。健側との比較で左右の差を追うことは、時期の経過だけに頼らない客観的な判断材料になる。疼痛が残っている状態で左右差だけを根拠に進めると、再損傷や代償動作の定着を招く。受傷の前の値との比較は健側にも低下がある場合に重要な情報となるが、わずかな下回りで段階を一つ戻すと測定の揺れに振り回され、計画が進まなくなる。テストは動作の質もあわせて観察する必要があるため、記録の値のみを重視する進め方は適切ではない。疲労が強い状態では動作が崩れて本来の能力を測れないため、練習の終わりに実施するという進め方は適切ではない。

    HINT 健側との左右差で見る。記録だけでなく動作の質も一緒に見る。

  56. リコンディショニングにおける目標の設定と再評価について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1目標は達成できた時点ごとに期限を前へ繰り上げ、計画を書き換えていく。
    • 2再評価の結果が計画と異なる場合も、当初の日程のとおりに進めていく。
    • 3短期の目標と長期の目標を分けて示すことで、選手が自分の進み具合を実感しやすくなる。正解
    • 4目標はATの側だけで管理するものとし、達成の判断も単独で行う。
    • 5再評価で得た結果に応じて、負荷や種目の内容をその都度見直していく。正解

    Answer

    正解 3:短期の目標と長期の目標を分けて示すことで、選手が自分の進み具合を実感しやすくなる。 / 5:再評価で得た結果に応じて、負荷や種目の内容をその都度見直していく。

    正しいのは「短期の目標と長期の目標を分けて示すことで」選手が進み具合を実感しやすくなるという記述と、「再評価で得た結果に応じて」負荷や種目の内容を見直すという記述である。段階ごとの短期目標は動機づけと進捗の確認に役立ち、再評価の結果は計画の修正に反映させる。達成できた時点ごとに期限を前へ繰り上げる進め方は、組織の修復に必要な期間を無視して負荷を詰め込むことになるため適切ではない。再評価の結果が計画と異なるのに当初の日程どおり進めると、過大あるいは過小な負荷のまま進行する。目標をATの側だけで管理して達成を単独で判断するやり方は、選手の理解と主体的な取り組みを損なう。

    HINT 短期目標で進捗を見せ、再評価の結果で計画を書き換える。

  57. リコンディショニングの過程における情報の共有について、最も適切なものはどれか。

    • 1医師への報告は症状が悪くなったときだけでよく、順調な経過は伝えなくてよい。
    • 2経過と評価の記録を残し、医師やコーチとの間で必要な範囲に限って共有する。正解
    • 3選手の個人の情報はチームの全体に広く開示し、関係する者の理解を得るようにする。
    • 4練習の内容の調整はコーチの領分であるため、ATからの情報の提供は控える。
    • 5記録は測定した値に加えて会話の内容と所感まで書き起こし、量を厚くすることを優先する。

    Answer

    正解 2:経過と評価の記録を残し、医師やコーチとの間で必要な範囲に限って共有する。

    最も適切なのは「経過と評価の記録を残し」医師やコーチとの間で必要な範囲に限って共有するという記述である。記録の共有は判断の根拠を関係者の間でそろえるために必要であり、共有の範囲は目的に応じて必要な限りにとどめる。症状が悪くなったときだけ報告し、順調な経過は伝えないやり方では、医師が運動に関する指示を見直すための材料がそろわない。個人の情報をチーム全体に広く開示することは、守秘の観点から適切ではない。練習内容の調整はコーチの領分であっても、患部の状態に関する情報の提供はATの役割である。記録は測定した値を具体的に残すことが再評価の土台になるが、会話の内容まで書き起こして量を優先すると、判断に必要な情報が埋もれてしまう。

    HINT 共有は「必要な範囲で」。広く開示するのは守秘に反する。

  58. リコンディショニングの計画に先立って行う検査や測定の選び方について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1炎症の徴候が強い時期には、周囲長や疼痛の程度など患部への負担が少ない項目を選ぶ。正解
    • 2測定の項目は多いほど有用な情報が得られるため、時期を問わずすべての項目を実施していく。
    • 3等速性の筋力の測定は受傷の直後から実施し、得られた値を基準として採用する。
    • 4同じ項目を経過を追って繰り返し測り、値の変化を追跡していく。正解
    • 5測定は患側のみを対象として行い、健側の値は判断の材料から外してよい。

    Answer

    正解 1:炎症の徴候が強い時期には、周囲長や疼痛の程度など患部への負担が少ない項目を選ぶ。 / 4:同じ項目を経過を追って繰り返し測り、値の変化を追跡していく。

    正しいのは「炎症の徴候が強い時期には」患部への負担が少ない項目を選ぶという記述と、「同じ項目を経過を追って繰り返し測り」値の変化を追跡するという記述である。測定は時期に応じて安全に行える項目を選び、同一の方法を繰り返すことで変化を比較できるようにする。項目が多いほど有用という理由で時期を問わずすべてを実施すると、患部に過大な負担をかける。等速性の筋力測定を受傷の直後から行うことは、修復の途上にある組織にとって危険である。健側の値は左右差の判断に必要な情報であるから、判断の材料から外してよいという記述は誤りである。

    HINT 測定は時期で選ぶ。同じ項目を繰り返して変化を追う。

  59. リコンディショニングの場面で遭遇する関節可動域の制限について、最も適切なものはどれか。

    • 1骨性の制限に対しては、持続的な伸張の強さを高めることで可動域の改善が得られていく。
    • 2最終の域での抵抗感を確かめ、原因がどれであっても強い他動の運動を第一の手段として選ぶ。
    • 3関節包が原因の制限では、長い時間の筋の伸張で可動域の回復が得られる。
    • 4最終の域での抵抗感の質を手がかりに、筋が原因か関節が原因かを見分けて手法を選ぶ。正解
    • 5腫脹による制限は、腫脹の残るうちに強い伸張で改善させる。

    Answer

    正解 4:最終の域での抵抗感の質を手がかりに、筋が原因か関節が原因かを見分けて手法を選ぶ。

    最も適切なのは「最終の域での抵抗感の質を手がかりに」筋が原因か関節が原因かを見分けて手法を選ぶという記述である。可動域制限は原因によって対応が変わるため、最終域で感じる抵抗の性質から原因を推定することが手法の選択につながる。骨性の制限は伸張を強めても改善しないため、強さを高めれば改善するという記述は誤りである。最終の域での抵抗感を確かめても、原因によらず強い他動運動を加えれば組織の損傷や炎症の再燃を招く。関節包が原因の制限では長い時間の筋の伸張でも回復が得られないため、関節への働きかけが必要になる。腫脹が残る時期に強い伸張を加えると炎症を強め、制限をかえって長引かせる。

    HINT 最終域の抵抗感の質で原因を切り分ける。骨性の制限は伸張で改善しない。

  60. 膝関節の外傷の後にみられる筋の機能の問題について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1関節の内部の腫脹や疼痛によって、大腿四頭筋の随意的な収縮が抑えられる状態が生じる。正解
    • 2大腿四頭筋のうち外側広筋が選択して萎縮するため、内側広筋の筋量と機能は保たれやすい。
    • 3周囲長が受傷の前まで戻っていても、筋力の回復は遅れて進むことがある。正解
    • 4随意的な収縮が抑えられている段階では、腫脹を減らすより先に筋力を測って目標の値を定める。
    • 5等尺性の収縮では筋萎縮を抑えることが困難なため、可動域の訓練のみを優先する。

    Answer

    正解 1:関節の内部の腫脹や疼痛によって、大腿四頭筋の随意的な収縮が抑えられる状態が生じる。 / 3:周囲長が受傷の前まで戻っていても、筋力の回復は遅れて進むことがある。

    正しいのは「関節の内部の腫脹や疼痛によって」大腿四頭筋の随意的な収縮が抑えられるという記述と、「周囲長が受傷の前まで戻っていても」筋力の回復は遅れて進むことがあるという記述である。関節内の腫脹や疼痛は反射的に筋の活動を抑えるため、腫脹の管理が筋力回復の前提になる。大腿四頭筋では内側広筋が選択的に萎縮しやすいため、外側広筋が萎縮して内側広筋が保たれるという記述は逆である。随意的な収縮が抑えられている段階で測った筋力は腫脹と疼痛によって低く出るため、腫脹を減らすより先に測って目標の値を定めるという順序は成り立たない。等尺性の収縮は固定中でも筋萎縮の抑制に有効であるから、可動域の訓練のみを優先する理由にはならない。

    HINT 腫脹と疼痛は筋の収縮を抑える。太さが戻っても力は戻っていない。

  61. 足関節の機能的な不安定性について、最も適切なものはどれか。

    • 1靱帯の弛緩の程度が不安定感の強さをそのまま決めているため、画像の所見から判断できる。
    • 2靱帯の弛緩が軽い場合でも、不安定感を訴えることがある。正解
    • 3機能的な不安定性は捻挫を繰り返した競技者にのみ生じ、初回の受傷の後には現れない。
    • 4機能的な不安定性は筋力の低下によって説明でき、感覚の要素は関わらない。
    • 5腓骨筋の反応の遅れは、時間の経過とともに自然に消えていく。

    Answer

    正解 2:靱帯の弛緩が軽い場合でも、不安定感を訴えることがある。

    最も適切なのは「靱帯の弛緩が軽い場合でも」不安定感を訴えることがあるという記述である。機能的な不安定性は構造上の緩みの大きさと必ずしも対応せず、感覚の入力や筋の反応の遅れが関与する。弛緩の程度が不安定感の強さをそのまま決めるという記述は、両者が一致しない例が多いことと合わない。機能的な不安定性は初回の受傷の後にも現れるため、捻挫を繰り返した競技者にのみ生じるという記述は誤りである。機能的な不安定性には固有感覚の要素が関与するため、筋力の低下によって説明できるという記述は成り立たない。腓骨筋の反応の遅れは訓練によって改善を図る対象であり、時間の経過だけで自然に消えるものではない。

    HINT 構造の緩み(機械的)と訴え(機能的)は別物。感覚と筋の反応が鍵。

  62. バランス機能を高めるエクササイズの進め方について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1不安定な支持の面から始め、慣れてきた段階で安定した床の面へ移していく。
    • 2両脚での支持から片脚での支持へ、また開眼から閉眼へと段階を踏んで難度を上げる。正解
    • 3疼痛や可動域の制限が残る段階から、不安定板の上での片脚立位を課す。
    • 4上肢や頭部を動かす課題を加えることで、難度をさらに高められる。正解
    • 5疲労の影響は小さいため、練習の最後にまとめて実施する。

    Answer

    正解 2:両脚での支持から片脚での支持へ、また開眼から閉眼へと段階を踏んで難度を上げる。 / 4:上肢や頭部を動かす課題を加えることで、難度をさらに高められる。

    正しいのは「両脚での支持から片脚での支持へ」開眼から閉眼へと段階を踏んで難度を上げるという記述と、「上肢や頭部を動かす課題を加えることで」難度をさらに高められるという記述である。支持の基底面を狭め、視覚の情報を減らし、他の課題を重ねることが難度を上げる代表的な方法になる。安定した床の面から不安定な面へ進むのが原則であるから、不安定な面から始める記述は順序が逆である。疼痛や可動域の制限が残る段階で不安定板の上の片脚立位を課すと、代償の動作が定着しやすい。バランス機能は疲労の影響を受けやすいため、練習の最後にまとめて実施する進め方は適切ではない。

    HINT 難度の上げ方は、支持面を狭める・視覚を減らす・別の課題を重ねる。

  63. 片脚での着地や切り返しでみられる、膝が内側に入る姿勢について最も適切なものはどれか。

    • 1股関節の外転筋と外旋筋の機能を高めることが、修正の手がかりとなる。正解
    • 2足部の過度な内がえしと連動して生じるため、足部の外がえしを制限する装具を選ぶ。
    • 3大腿四頭筋の筋力を高めれば、この姿勢は自然に改善していく。
    • 4体幹の傾きを確かめたうえで、修正は下肢の局所に向けて進める。
    • 5動作の速さを上げた条件で反復すれば、姿勢は先に整う。

    Answer

    正解 1:股関節の外転筋と外旋筋の機能を高めることが、修正の手がかりとなる。

    最も適切なのは「股関節の外転筋と外旋筋の機能を高めることが」修正の手がかりとなるという記述である。膝が内側に入る姿勢は股関節の内転と内旋を伴うため、股関節の外転筋と外旋筋の機能が修正の要になる。足部の過度な外がえしと連動して下腿が内旋する経路が問題になるので、内がえしと連動するという記述は方向が逆である。大腿四頭筋の筋力を高めるだけでは前額面の制御は改善しないため、自然に改善するという記述は成り立たない。体幹の傾きは股関節にかかる負担を左右するため、確かめた後も修正を下肢の局所に向けて進める記述は誤りである。速さを上げた条件での反復は不良な姿勢を固定するため、先に整うという記述は適切ではない。

    HINT 膝は股関節と体幹に引っぱられる。まず股関節の外転筋と外旋筋を見る。

  64. 筋のタイトネスが動作に及ぼす影響について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1ハムストリングスの伸張性が低いと、前屈の動作で腰部の屈曲が大きくなる。正解
    • 2腸腰筋のタイトネスは骨盤を後傾させるため、腰椎の前弯を減らす方向に働いていく。
    • 3下腿三頭筋のタイトネスは足関節の背屈を広げ、深くしゃがめる。
    • 4大腿四頭筋のタイトネスは膝の屈曲を促し、着地の衝撃を吸収する。
    • 5肩関節の後方のタイトネスは、投球の動作で肩の負担を高める要因になる。正解

    Answer

    正解 1:ハムストリングスの伸張性が低いと、前屈の動作で腰部の屈曲が大きくなる。 / 5:肩関節の後方のタイトネスは、投球の動作で肩の負担を高める要因になる。

    正しいのは「ハムストリングスの伸張性が低いと」前屈の動作で腰部の屈曲が大きくなるという記述と、「肩関節の後方のタイトネスは」投球の動作で肩の負担を高める要因になるという記述である。骨盤の動きが制限されると腰部が代わりに大きく動き、肩の後方が硬いと投球で肩にかかるストレスが増す。腸腰筋のタイトネスは骨盤を前傾させて腰椎の前弯を強めるため、後傾させるという記述は逆である。下腿三頭筋のタイトネスは背屈を制限してしゃがみ込みを浅くするため、広げるという記述は逆である。大腿四頭筋のタイトネスは膝の屈曲を制限して衝撃の吸収を妨げるため、屈曲を促すという記述は成り立たない。

    HINT 硬い側の動きが止まると、隣の関節が代わりに大きく動く。

  65. 機能の不全を観察するための手法の選び方について、最も適切なものはどれか。

    • 1観察は競技の動作の全速度で行い、速度を落とした条件は情報が乏しいため用いない。
    • 2左右を比べる観察には主観が入るため、患側の動作を繰り返し見て変化を確かめる。
    • 3観察は矢状の面と前額の面で得た所見を平均して判断し、面ごとの違いは誤差として扱う。
    • 4単純な動作から課題の難度を上げていき、どの段階で代償の動作が現れるかを確かめる。正解
    • 5代償の動作が出た時点で観察を終え、原因の推定は次回に回す。

    Answer

    正解 4:単純な動作から課題の難度を上げていき、どの段階で代償の動作が現れるかを確かめる。

    最も適切なのは「単純な動作から課題の難度を上げていき」どの段階で代償の動作が現れるかを確かめるという記述である。難度を段階的に上げる観察は、機能が破綻する水準を特定できるためプログラムの入口を決めやすい。全速度でのみ観察し、速度を落とした条件を用いない進め方は、競技者の負担が大きいうえ、低速にすれば見分けられる代償の動作を取り逃がす。左右の比較は評価の基準として有用であるから、患側の動作を繰り返し見て変化を確かめるだけでは足りない。面ごとの所見の違いはそれぞれ別の問題を映すものであるから、平均して誤差として扱う記述は成り立たない。代償の動作が出た時点で観察を終えると原因の推定に必要な情報が集まらない。

    HINT 難度を上げて「どこで崩れるか」を探す。崩れた瞬間がプログラムの入口。

  66. 膝前十字靱帯の再建術後のリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1開運動連鎖での膝の伸展の運動を術後の早い時期から高い負荷で行い、筋力の回復を急ぐ。
    • 2移植した腱の強度は術直後が最も高く、時間の経過とともに単調に低下していく。
    • 3ハムストリングスの活動は、脛骨が前方へ移動する動きを抑える方向に働く。正解
    • 4膝の完全な伸展の獲得は復帰の直前の課題とする。
    • 5切り返しや着地では、膝が内側に入る姿勢の修正を課題に含める。正解

    Answer

    正解 3:ハムストリングスの活動は、脛骨が前方へ移動する動きを抑える方向に働く。 / 5:切り返しや着地では、膝が内側に入る姿勢の修正を課題に含める。

    正しいのは「ハムストリングスの活動は」脛骨が前方へ移動する動きを抑える方向に働くという記述と、「切り返しや着地では」膝が内側に入る姿勢の修正を課題に含めるという記述である。ハムストリングスは前十字靱帯と同じ方向に働く筋であり、前額面での膝の崩れの修正は再損傷の予防に直結する。開運動連鎖の膝伸展運動は脛骨を前方へ引く力を生むため、術後の早い時期に高負荷で行う対象ではない。移植した腱は再血管化と組織の置き換わりの過程で強度が一度低下し、その後に回復するため、単調に低下するという記述は誤りである。膝の完全な伸展は早い時期に獲得すべき課題であるから、復帰の直前に回す記述は成り立たない。

    HINT ハムストリングスはACLの味方。膝の伸展の獲得は早期の課題。

  67. 膝蓋腱の痛みを訴えるジャンプ競技者へのリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1痛みが強い時期から跳躍を反復させ、腱の強度を高めることを優先する。
    • 2大腿四頭筋の伸張性を確かめたうえで、硬さが残る間は他動の伸張を限界まで加えることを優先する。
    • 3痛みが残る間は遠心性の負荷を下げるかわりに、跳躍の回数を増やして腱への刺激を保つ。
    • 4足関節や股関節の可動域を確かめたうえで、制限が残っていても課題は膝の局所から段階を追って進める。
    • 5大腿四頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を、痛みの範囲内で漸増する。正解

    Answer

    正解 5:大腿四頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を、痛みの範囲内で漸増する。

    最も適切なのは「大腿四頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を」痛みの範囲内で漸増するという記述である。腱に生じる痛みに対しては、痛みの許す範囲で遠心性の負荷を段階的に高める進め方が広く用いられている。痛みが強い時期に跳躍を反復すると腱への負荷が過大になり、症状を悪化させる。大腿四頭筋の伸張性は膝蓋腱にかかる張力に関与するが、他動の伸張を限界まで加えると腱への負担が増すため、優先する手段にはならない。遠心性の負荷を下げるかわりに跳躍の回数を増やす進め方も誤りで、跳躍は腱にかかる負荷が大きい動作であるから、回数で補えば症状が強まる。足関節や股関節の可動域は膝への負担を左右するため、制限が残ったまま課題を膝の局所に向ける進め方は適切ではない。

    HINT 腱の痛みには遠心性。痛みの範囲内で少しずつ増やすのが原則。

  68. ハムストリングスの筋の損傷の後に、再発の予防を目的として行う内容について正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1筋が伸ばされた位置での遠心性の収縮を段階的に取り入れ、耐える力を高めていく。正解
    • 2体幹と股関節の機能も評価の対象に含めて計画する。正解
    • 3瘢痕の成熟を促すため、損傷した部位へ深い圧迫の手技を毎日加えてから走行の課題へ移る。
    • 4走行の速度は上げるほど伸ばされる局面に慣れるため、導入の初期から制限せずに行わせる。
    • 5大腿四頭筋の筋力のみを高めることで、再発の危険は十分に下がる。

    Answer

    正解 1:筋が伸ばされた位置での遠心性の収縮を段階的に取り入れ、耐える力を高めていく。 / 2:体幹と股関節の機能も評価の対象に含めて計画する。

    正しいのは「筋が伸ばされた位置での遠心性の収縮を段階的に取り入れ」耐える力を高めるという記述と、「体幹と股関節の機能も評価の対象に含めて計画する」という記述である。ハムストリングスの損傷は筋が伸ばされた局面で起こるため、その位置での遠心性の筋力が再発予防の要になり、骨盤の傾きや体幹の安定性も発生の要因として評価する。損傷した部位へ深い圧迫の手技を毎日加える進め方は、修復の途上にある組織をかえって傷める。速い走行は再発が最も起こりやすい局面であるから、慣れさせる目的で「導入の初期から制限せずに行わせる」進め方は危険である。大腿四頭筋の筋力のみを高める対応では、ハムストリングス自体の機能と体幹の関与が改善しない。

    HINT 伸ばされた位置での遠心性。骨盤と体幹も発生の要因として見る。

  69. 足関節の外側の捻挫の後にみられる背屈の制限への対応として、最も適切なものはどれか。

    • 1下腿三頭筋の伸張性と距骨の動きの両面を確かめながら、背屈の可動域を進める。正解
    • 2背屈の角度を毎日確かめ、前日より増えていなければ他動の伸張を限界まで加えて角度を取り戻す。
    • 3背屈の制限は距骨の動きとは関わらないため、下腿三頭筋の伸張だけで改善する。
    • 4背屈の制限は、しゃがみ込みや踏み込みの動作に影響しにくい。
    • 5背屈の制限は足趾の運動によって改善するため、課題は足趾の運動に向ける。

    Answer

    正解 1:下腿三頭筋の伸張性と距骨の動きの両面を確かめながら、背屈の可動域を進める。

    最も適切なのは「下腿三頭筋の伸張性と距骨の動きの両面を確かめながら」背屈の可動域を進めるという記述である。背屈の制限には筋の伸張性と関節内の動きの両方が関与するため、原因を切り分けながら進める。背屈の角度を毎日確かめることは有用だが、前日より増えていないことを理由に他動の伸張を限界まで加えると、関節と軟部組織をかえって傷める。背屈には距骨の後方への滑りが関与するため、距骨の動きとは関わらず下腿三頭筋の伸張だけで改善するという記述は成り立たない。背屈の制限はしゃがみ込みや踏み込みの深さを直接左右するため、影響しにくいという記述は誤りである。背屈の制限は足趾の運動によって改善するものではないから、課題を足趾に向ける理由づけは成り立たない。

    HINT 背屈の制限は筋の硬さと関節内の動きの両方を見る。放置すると残る。

  70. 腰痛を有する競技者のリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1腰椎分離症では、体幹を反らせる動作を早い時期から反復して可動性を高めていく。
    • 2腰椎椎間板ヘルニアでは、体幹を深く前屈させる負荷から始める。
    • 3痛みの出る方向の確認を省き、一律の体幹の運動を処方する。
    • 4股関節や胸椎の可動性を高めることで、腰椎に集まる負担を分散させる。正解
    • 5痛みの出る方向を確かめ、それを避けた姿勢に限って体幹の運動を始める。正解

    Answer

    正解 4:股関節や胸椎の可動性を高めることで、腰椎に集まる負担を分散させる。 / 5:痛みの出る方向を確かめ、それを避けた姿勢に限って体幹の運動を始める。

    正しいのは「股関節や胸椎の可動性を高めることで」腰椎に集まる負担を分散させるという記述と、「痛みの出る方向を確かめ」それを避けた姿勢に限って体幹の運動を始めるという記述である。隣り合う関節の可動性を確保することは腰椎への負担を減らし、痛みの出る方向を避けた姿勢から始めることは安全に運動量を確保する条件になる。腰椎分離症は体幹を反らせる動作で症状が出やすいため、早い時期から反復して可動性を高める進め方は適切ではない。腰椎椎間板ヘルニアは体幹の前屈で症状が出やすいため、深い前屈の負荷から始める記述は誤りである。痛みの出る方向の確認を省いて一律の体幹運動を処方すると、症状を悪化させる。

    HINT 分離症は反らすと痛い、ヘルニアは前屈で痛い。避けた方向から始める。

  71. 投球のときに肩の痛みを訴える競技者への対応として、最も適切なものはどれか。

    • 1肩関節の内旋の可動域を左右で評価し、投球する側で狭いことは望ましい適応と判断する。
    • 2腱板の訓練は肩を頭上まで挙げた肢位に限って効果があるため、低い肢位の課題は省く。
    • 3肩甲骨の位置と動きを評価し、周囲の筋の機能を高める。正解
    • 4下肢と体幹の所見を集めることを先に置き、肩の訓練は全身の評価が出そろった後に始める。
    • 5痛みが軽い段階では全力の投球を続けながら、訓練を並行する。

    Answer

    正解 3:肩甲骨の位置と動きを評価し、周囲の筋の機能を高める。

    最も適切なのは「肩甲骨の位置と動きを評価し」周囲の筋の機能を高めるという記述である。肩甲骨の位置と動きは上腕骨との位置関係を左右するため、投球で肩に生じるストレスの評価と改善の出発点になる。投球する側で内旋の可動域が狭くなることは後方の軟部組織の硬さを示す所見であり、望ましい適応と判断する対象ではない。腱板の訓練は肩を下ろした肢位から始めて挙上の角度を段階的に上げるものであるから、「頭上まで挙げた肢位に限って効果がある」という記述は誤りである。下肢と体幹は投球の力の源であるから評価は欠かせないが、全身の評価が出そろうのを待って肩の訓練を後ろへずらす進め方では、肩の機能の低下が進む。痛みが軽い段階でも全力の投球を続けると症状が進行するため、並行して訓練する進め方は適切ではない。

    HINT 肩は肩甲骨の上に乗っている。投球側の内旋の制限は要注意の所見。

  72. 肘の内側に痛みを訴える投球動作の競技者について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1肘の内側にかかる負担は投球の数では変わらないため、対策は前腕の筋力の強化だけでよい。
    • 2前腕の屈筋群と円回内筋の機能を高めることが、内側にかかる負担の軽減につながる。正解
    • 3投球の数と投球の間隔の管理を、再発の予防の内容に含める。正解
    • 4成長期では骨端の問題が起こりにくいため、痛みの原因は筋に限られる。
    • 5投球の動作の見直しは復帰の後の課題とし、この期間は扱わない。

    Answer

    正解 2:前腕の屈筋群と円回内筋の機能を高めることが、内側にかかる負担の軽減につながる。 / 3:投球の数と投球の間隔の管理を、再発の予防の内容に含める。

    正しいのは「前腕の屈筋群と円回内筋の機能を高めることが」内側にかかる負担の軽減につながるという記述と、「投球の数と投球の間隔の管理を」再発の予防の内容に含めるという記述である。肘の内側を通る筋群は靱帯にかかる張力を分担し、投球の量と間隔の管理は繰り返しの負荷を抑える基本の手立てになる。「肘の内側にかかる負担は投球の数では変わらない」という記述は誤りで、繰り返しの投球そのものが靱帯への負荷を積み上げるため、筋力の強化だけでは足りない。成長期は骨端の部分が弱く問題が生じやすいため、原因が筋に限られるという記述は成り立たない。投球の動作の見直しはリコンディショニングの期間に取り組む課題であるから、復帰の後に回す記述は適切ではない。

    HINT 内側の靱帯を助けるのは前腕の屈筋群と円回内筋。量と間隔の管理も対策。

  73. 鼠径部の周辺の痛みを訴える競技者のリコンディショニングとして、最も適切なものはどれか。

    • 1内転筋群へ強い伸張を段階的に強め、筋力への働きかけは復帰の後に回していく。
    • 2鼠径部の痛みは安静にしていれば治まるため、運動の課題は痛みが完全に消えてから始める。
    • 3腹部と体幹の機能を確かめたうえで、股関節の課題は体幹の左右の差が消えた後に始める。
    • 4股関節の周囲の筋力と体幹の安定性を、痛みの範囲内で段階的に高める。正解
    • 5可動域の左右の差の評価を省き、筋力の値のみを指標とする。

    Answer

    正解 4:股関節の周囲の筋力と体幹の安定性を、痛みの範囲内で段階的に高める。

    最も適切なのは「股関節の周囲の筋力と体幹の安定性を」痛みの範囲内で段階的に高めるという記述である。鼠径部の痛みは股関節周囲の筋力と体幹の安定性の不足が関与するため、両者を並行して高める進め方が基本になる。内転筋群へ強い伸張を段階的に強めると症状を悪化させることがあり、筋力への働きかけを復帰の後に回す進め方は適切ではない。鼠径部の痛みは安静だけでは再発しやすく、痛みが完全に消えるのを待つあいだに筋力と体幹の機能の低下が進む。腹部と体幹の機能を確かめることは必要だが、体幹の左右の差が消えるのを待って股関節の課題を後ろへずらすと、股関節の機能の回復が遅れる。可動域の左右差は股関節の問題を捉える重要な情報であるから、評価を省いて筋力の値のみを指標とする進め方は成り立たない。

    HINT 鼠径部は股関節と体幹の合わせ技。伸ばすだけでは良くならない。

  74. アキレス腱の痛みを訴える競技者のリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1腱の痛みが引いたことを確かめてから下腿の筋力の訓練を始め、段階を追って負荷を上げる。
    • 2足部のアライメントを整えるため、足底板で踵の傾きを限界まで補正した状態で練習を続ける。
    • 3下腿三頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を、痛みの程度に応じて漸増する。正解
    • 4跳躍や走行の量は、症状をみながら段階を追って戻していく。正解
    • 5腱の柔軟性を高めるため、痛みの強い時期に伸張を加える。

    Answer

    正解 3:下腿三頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を、痛みの程度に応じて漸増する。 / 4:跳躍や走行の量は、症状をみながら段階を追って戻していく。

    正しいのは「下腿三頭筋の遠心性の収縮を用いた訓練を」痛みの程度に応じて漸増するという記述と、「跳躍や走行の量は」段階を追って戻していくという記述である。腱の症状には遠心性の負荷を段階的に高める方法が用いられ、跳躍や走行の量も一度に戻さず段階を踏む。痛みが引いたことを確かめてから筋力の訓練を始めると、その間に下腿の筋力が低下して腱にかかる負担がかえって増える。足部のアライメントはアキレス腱にかかるストレスの方向を左右するため確かめるべきだが、踵の傾きを限界まで補正すると別の部位へ負担が移るため、補正は必要な範囲にとどめる。痛みの強い時期に伸張を加えると症状を悪化させるため、柔軟性を高める目的でも適切ではない。

    HINT 腱は休ませすぎても弱る。遠心性の負荷と量の管理が二本柱。

  75. スポーツ動作の観察と分析の進め方について、最も適切なものはどれか。

    • 1観察は矢状・前額・水平の三つの面を同時に撮影できる環境を整えてから始めるようにする。
    • 2撮影の条件は毎回変えたほうが、より多くの情報を得ることができる。
    • 3分析は選手が痛みを訴える局面だけを切り出し、そこに絞って原因を探す。
    • 4分析の結果は指導者の間だけで共有し、選手本人への説明は省く。
    • 5複数の面から観察し、動作の相ごとに問題の起こる場面を絞り込んでいくようにする。正解

    Answer

    正解 5:複数の面から観察し、動作の相ごとに問題の起こる場面を絞り込んでいくようにする。

    最も適切なのは「複数の面から観察し」動作の相ごとに問題の起こる場面を絞り込むという記述である。動作は三次元で行われるため複数の方向から観察し、相に分けて問題の場面を特定することが改善の手がかりになる。三つの面を同時に撮影できる環境を整えてから観察を始める進め方は適切ではなく、手元の条件で複数の方向から見るだけでも問題の場面は絞り込める。撮影の条件を毎回変えると前後の比較ができなくなるため、条件はそろえるのが原則である。痛みを訴える局面だけに絞って原因を探すと、その局面へ負担を集めている前の相の問題を取り逃がす。分析の結果は選手が自分の動作を理解する材料になるため、説明を省く進め方は適切ではない。

    HINT 観察は複数の面から、動作は相に分けて。撮影条件はそろえる。

  76. ジャンプの着地の動作の指導について、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1膝を伸ばしたままの姿勢で着地させることで、衝撃の吸収は大きくなっていく。
    • 2体幹を後方へ傾けた姿勢で着地させ、重心を後ろに残させる。
    • 3着地の音の大きさは衝撃と無関係であるため、確認を省く。
    • 4股関節から足関節までを協調して屈曲させ、衝撃を分散する形を習得させていく。正解
    • 5膝が内側に入る着地を避ける動作を、段階を追って練習させる。正解

    Answer

    正解 4:股関節から足関節までを協調して屈曲させ、衝撃を分散する形を習得させていく。 / 5:膝が内側に入る着地を避ける動作を、段階を追って練習させる。

    正しいのは「股関節から足関節までを協調して屈曲させ」衝撃を分散する形を習得させるという記述と、「膝が内側に入る着地を避ける動作を」段階を追って練習させるという記述である。複数の関節で衝撃を分担させることと前額面での崩れを抑えることが、着地の指導の要点になる。膝を伸ばしたままの着地では衝撃を吸収する余地がなくなるため、吸収が大きくなるという記述は逆である。体幹を後方へ傾けて重心を後ろに残す姿勢は、次の動作への移行を妨げ膝への負担も増す。着地の音の大きさは衝撃の目安として使える情報であるから、無関係として確認を省く記述は誤りである。

    HINT 衝撃は複数の関節で分担させる。前額面の崩れも同時に直す。

  77. 走る動作を再開する段階の進め方として、最も適切なものはどれか。

    • 1直線の低速の走行から始め、速度と方向転換の要素を順に加える。正解
    • 2最初から曲線の走行を取り入れ、競技に近い条件で慣らしていくのが原則である。
    • 3加速と減速の練習は復帰の直前にまとめて行い、それまでは一定の速度での走行だけを重ねる。
    • 4走行の量は一度に増やし、反応を見て翌日の量を調整する。
    • 5路面は柔らかいほど下肢への負担が小さいため、不整地での走行から再開する。

    Answer

    正解 1:直線の低速の走行から始め、速度と方向転換の要素を順に加える。

    最も適切なのは「直線の低速の走行から始め」速度と方向転換の要素を順に加えるという記述である。走行の再開は要素を一つずつ増やし、反応を確かめながら進めるのが原則になる。曲線の走行は内側の下肢と外側の下肢に異なるストレスが加わるため、最初から取り入れる対象ではない。加速と減速は下肢に大きな力が加わる局面であるから、復帰の直前にまとめて行うのでは組織が負荷に慣れる時間がなく、一定の速度での走行だけを重ねても備えにならない。走行の量を一度に大きく増やすと組織が負荷に適応できず、症状の再燃を招く。不整地は接地が安定せず足関節や下肢への負担がかえって大きくなるため、柔らかい路面から再開するという記述は誤りで、再開は平坦で安定した路面から始める。

    HINT 足す要素は一つずつ。直線→速度→方向転換→加減速の順。

  78. 投球の動作の問題に対するリコンディショニングについて、正しいのはどれか。2つ選べ。

    • 1上肢の筋力を高めることのみによって、投球の動作の問題は十分に改善していく。
    • 2ステップする脚の股関節の安定性を高めることが、体幹の回転を支える助けになる。正解
    • 3体幹の回旋の可動域を左右で確かめ、差が消えた後に投球の再開へ移る。
    • 4投球の再開は全力の投球から始め、距離を徐々に短くする。
    • 5軸となる脚の支持と骨盤の動きを、動作の見直しの対象に含める。正解

    Answer

    正解 2:ステップする脚の股関節の安定性を高めることが、体幹の回転を支える助けになる。 / 5:軸となる脚の支持と骨盤の動きを、動作の見直しの対象に含める。

    正しいのは「ステップする脚の股関節の安定性を高めることが」体幹の回転を支える助けになるという記述と、「軸となる脚の支持と骨盤の動きを」動作の見直しの対象に含めるという記述である。投球は下肢で生み出した力を体幹の回転を介して上肢へ伝える動作であるため、下肢と骨盤の機能が見直しの対象になる。上肢の筋力のみを高める対応では下肢と体幹に由来する問題が残る。体幹の回旋の可動域は投球の動作を規定する要素であるから確かめる意味はあるが、左右の差が消えるのを待って再開を後ろへずらすと、投球に必要な感覚と耐性が育たない。投球の再開は短い距離の軽い投球から始めて距離と強度を上げていくため、全力の投球から始めて距離を短くする順序は逆である。

    HINT 投球は下半身から上へ力を運ぶ。再開は短い距離の軽い投球から。

  79. 切り返しの動作の指導について、最も適切なものはどれか。

    • 1接地は膝を内側に入れた姿勢で行うほうが、方向を素早く変えることにつながる。
    • 2減速の局面は対象から外し、加速の局面だけを練習の対象とする。
    • 3減速して重心を低く保つ局面を、あらかじめ分けて練習させるようにする。正解
    • 4合図に反応する課題を先に導入し、決められた動作の練習は後に回す。
    • 5上半身を進む方向へ早く向けるよう求め、体幹の傾きは接地した後に整えさせる。

    Answer

    正解 3:減速して重心を低く保つ局面を、あらかじめ分けて練習させるようにする。

    最も適切なのは「減速して重心を低く保つ局面を」あらかじめ分けて練習させるという記述である。切り返しは減速の局面で下肢に大きな力が加わるため、その局面を切り出して練習させることが安全な習得につながる。膝を内側に入れた姿勢での接地は前十字靱帯などへの負担を高めるため、素早い方向の変換につながるという記述は誤りである。減速の局面は切り返しの成否と安全を左右するので、対象から外して加速だけを練習する進め方は適切ではない。合図に反応する課題は決められた動作を習得した後に導入する段階であるから、先に導入する順序は逆である。上半身を進む方向へ早く向けると接地のときに膝が内側へ入りやすくなるため、体幹の傾きは接地の前から整えておく。

    HINT 切り返しの要は減速。予測できる動作を先に、反応課題は後に。

  80. 競技や種目の特性を踏まえたリコンディショニングについて、最も適切なものはどれか。

    • 1競技で繰り返される動作を洗い出し、それらを復帰の前に同じ水準まで仕上げてから練習へ戻す。
    • 2競技で繰り返される動作と求められる能力を計画に反映させる。正解
    • 3用具や路面の条件は復帰の後に確かめればよいため、計画では扱いを省く。
    • 4ポジションによる動作の違いは度外視し、種目の単位で一律に計画する。
    • 5練習や試合の日程を基準にして段階を割り振り、機能の回復の程度は日程に合わせて判断する。

    Answer

    正解 2:競技で繰り返される動作と求められる能力を計画に反映させる。

    最も適切なのは「競技で繰り返される動作と求められる能力を計画に反映させる」という記述である。同じ部位の問題でも競技で要求される動作と能力は異なるため、復帰の段階で課す内容は種目に合わせて組み立てる。競技で繰り返される動作を復帰の前にそろって同じ水準まで仕上げる進め方は、復帰が不必要に遅れるうえ、競技のなかで高めていく要素まで抱え込むことになる。用具や路面の条件は復帰の段階で慣らしておく必要があるため、計画で扱いを省く記述は適切ではない。同じ種目でもポジションによって動作と負荷は異なるので、度外視して一律に計画する記述は誤りである。練習や試合の日程は復帰の段階を組む前提になる情報だが、日程を基準にして機能の回復の判断をそれに合わせると、到達していない段階で負荷を課すことになる。

    HINT 同じ部位でも種目とポジションで中身は変わる。日程も計画の材料。

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