救急対応全53問・正解と解説つき
JSPO公認アスレティックトレーナー 専門科目 応用科目・ 公式テキスト第5章・ 分量 17%
現場と救急対応、救急対応の考え方、スポーツ現場における救急体制構築の留意点と計画、現場での外傷・障害の評価とその手順、スポーツ外傷時の救急対応、内科的疾患に対する救急対応、各競技における救急対応の実際。
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- Q01#jaa-em-001
スポーツ現場でJSPO-ATが担う救急対応の範囲として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1医療資格をもつ者に引き継ぐまでの間、現場でできる最善の処置を続ける正解
- 2損傷している組織を特定し、確定した診断名を選手と保護者へ伝える
- 3骨折や脱臼が疑われれば、現場で整復して競技へ復帰させる
- 4生命を守り、外傷や疾病の悪化を防ぐことを最優先に判断する正解
- 5医師が到着した後も主導権を保ち、搬送先の医療機関を決定する
Answer
正解 1:医療資格をもつ者に引き継ぐまでの間、現場でできる最善の処置を続ける / 4:生命を守り、外傷や疾病の悪化を防ぐことを最優先に判断する
JSPO-ATの救急対応は、医療資格者へ引き継ぐまでの間に現場でできる最高水準の処置を行うことであり、「生命を守り」「悪化を防ぐ」ことが最優先の目的になる。「確定した診断名」を伝えるのは医師の業務であり、ATが行うことではない。「現場で整復して」復帰させるのも医行為にあたり、範囲を超える。「主導権を保ち」搬送先を決めるのも誤りで、医師が到着した時点で指揮は医師に移る。
HINT ATの救急対応は「引き継ぐまでの橋渡し」。診断・整復・搬送先の決定は外側。
- Q02#jaa-em-002
スポーツ現場で救急対応を行う際の法的・倫理的な留意点として最も適切なものはどれか。
- 1実施した処置の内容と時刻、傷病者の状態の変化を記録として残しておく正解
- 2保護者に連絡がつくまでは、本人への説明と処置をすべて保留する
- 3責任を問われないために、救急隊への情報提供は口頭だけで済ませる
- 4未成年の選手では、本人の意思より競技の継続可能性を優先する
- 5医師の指示を受けた範囲を超えて、投薬や縫合まで行ってよい
Answer
正解 1:実施した処置の内容と時刻、傷病者の状態の変化を記録として残しておく
何をいつ行い、傷病者がどう変化したかを「記録として残して」おくことは、引き継ぎの質を保ち、後の検証にも耐えるために必須である。「すべて保留する」のは誤りで、生命に関わる処置は連絡を待たずに始める。「口頭だけで済ませる」のも誤りで、伝えた内容は記録として残す。「競技の継続可能性を優先する」のは本人の安全より競技を上に置くことになり、倫理に反する。「投薬や縫合まで」行うのは業務の範囲を超える。
HINT 記録は自分を守る道具でもある。書かなかった処置は「行われなかった処置」。
- Q03#jaa-em-003
医療機関の中で行う救急対応と比べたときの、スポーツ現場の救急対応の特性として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1検査機器がそろっているため、現場で確定的な重症度の判定まで到達できる
- 2使用できる器材や人手が限られ、天候や路面の条件にも対応が左右される正解
- 3指導者や観客の要請に従い、競技を続けられるかどうかを最初に決める
- 4観客の目がある場所で、傷病者の尊厳を守る配慮が同時に求められる正解
- 5医師が常に近くにいるので、評価の手順を事前に決める意味は薄い
Answer
正解 2:使用できる器材や人手が限られ、天候や路面の条件にも対応が左右される / 4:観客の目がある場所で、傷病者の尊厳を守る配慮が同時に求められる
スポーツ現場は「使用できる器材や人手が限られ」、気象や路面といった環境条件にも左右される点が医療機関の中と大きく異なる。また多くの観客の前で処置を行うため、「傷病者の尊厳を守る配慮」も同時に必要になる。「検査機器がそろっている」は現場の実態と逆である。「競技を続けられるかどうかを最初に決める」のは順序が逆で、まず生命の危険の有無を見る。「評価の手順を事前に決める意味は薄い」のも誤りで、資源が限られるからこそ手順を事前に定める。
HINT 現場の特性は「資源が少ない・環境が変わる・人目がある」の三つ。
- Q04#jaa-em-004
スポーツ現場における救急対応の目的として最も適切なものはどれか。
- 1受傷した部位の組織損傷の程度を確定し、復帰までの期間を選手へ示す
- 2生命の維持と障害の悪化の防止を図り、医療へ速やかに引き継ぐ正解
- 3練習や試合の進行を止めずに、選手の訴えを軽くすることを優先する
- 4受傷の原因をつくった選手を特定し、責任の所在を確かめる
- 5傷病者の痛みを取り除き、その日のうちに競技へ戻せる状態にする
Answer
正解 2:生命の維持と障害の悪化の防止を図り、医療へ速やかに引き継ぐ
現場の救急対応の目的は「生命の維持と障害の悪化の防止」を図り、医療へ速やかにつなぐことである。「損傷の程度を確定し」復帰の期間を示すのは医師の評価を経て行うことで、現場の目的ではない。「進行を止めずに」訴えを軽くするのは競技優先の判断で、目的を取り違えている。「責任の所在」を明らかにするのは事後の検証で扱う事柄である。「その日のうちに競技へ戻せる状態」を目標にすると、悪化の防止という目的と矛盾する。
HINT 目的は「命を守る」「悪くしない」「早くつなぐ」の三つに集約される。
- Q05#jaa-em-005
救急対応におけるファーストレスポンダーに関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1事故の発生に最初に気づいて対応を始め、救急の体制を作動させる者を指す正解
- 2医師や救急隊員に限られる役割であり、現場のスタッフは含まれない
- 3傷病者の搬送先を決め、医療機関への引き継ぎ書類を作成する者を指す
- 4競技団体が選んだ責任者だけが名乗れる、公的な資格の名称である
- 5事故の記録を後からまとめ、再発の防止策を立案する役割の呼び名である
Answer
正解 1:事故の発生に最初に気づいて対応を始め、救急の体制を作動させる者を指す
ファーストレスポンダーは「最初に気づいて対応を始め」、通報や役割の分担といった救急の体制を動かし始める者を指す。ATに限らず、その場にいた指導者や選手も担いうる。「医師や救急隊員に限られる」のは誤りである。「搬送先を決め」書類を作るのは医療側の役割で、この語の意味ではない。「公的な資格の名称」でもなく、任命の有無とは関係しない。「記録を後からまとめ」防止策を立てるのは事後の活動であり、最初の対応という語義と合わない。
HINT 「最初に動く人」。資格ではなく、その場で担う役割の呼び名。
- Q06#jaa-em-006
スポーツ現場で救急対応を実施する者の心得として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1傷病者に近づく前に、周囲の危険と自分自身の安全をまず確かめておく正解
- 2処置の内容は傷病者に伝えず、終わってからまとめて説明するようにする
- 3判断に迷う場面では、重症度を軽いほうに見積もって経過を観察する
- 4自分の技術を高めるため、経験のない処置も現場で試して確かめる
- 5血液や体液に触れる場面では、使い捨ての手袋を着用して行う正解
Answer
正解 1:傷病者に近づく前に、周囲の危険と自分自身の安全をまず確かめておく / 5:血液や体液に触れる場面では、使い捨ての手袋を着用して行う
救助者が二次的な被害を受ければ対応そのものが止まるため、「周囲の危険と自分自身の安全」の確認が最初に来る。また血液や体液に触れる場面では「使い捨ての手袋」を用い、標準的な感染の予防策をとる。「終わってからまとめて説明する」のは誤りで、可能な範囲で処置の内容を伝えながら進める。「軽いほうに見積もって」観察するのは逆で、迷う場面では重いほうを想定して動く。「経験のない処置も現場で試して」確かめるのは、傷病者を危険にさらす行為である。
HINT 順番は「自分の安全→傷病者」。迷ったら重いほうに寄せる。
- Q07#jaa-em-007
スポーツ活動現場の救急対応がもつ特性と意義に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1受傷の直後の処置は選手の申告に任せ、訴えが強い場合にだけ介入を始める
- 2競技を続けたい選手や指導者の意向から独立して、安全を基準に判断する正解
- 3同じ競技であれば会場が変わっても、対応の手順は一律に固定してよい
- 4選手の身体を熟知した指導者の判断を、医学的な判断より上位に置く
- 5周囲の選手の動揺には触れずに、競技の進行を保つことを優先する
Answer
正解 2:競技を続けたい選手や指導者の意向から独立して、安全を基準に判断する
スポーツ現場では競技を続けたい圧力が常にかかるため、「意向から独立して、安全を基準に」判断できることが救急対応の意義になる。「選手の申告に任せ」るのは誤りで、本人が過小に訴える場面が多い。「一律に固定してよい」のも誤りで、会場ごとに搬入の経路や医療機関が変わる。「医学的な判断より上位に置く」のは判断の序列が逆である。「競技の進行を保つことを優先する」のは、安全を基準にするという原則と矛盾する。
HINT 現場の圧力に流されないための独立性が、この領域の肝。
- Q08#jaa-em-008
試合中に選手が出血した場面での感染の予防として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1手袋を着けていれば、処置の後に手指を洗浄したり消毒したりしなくてよい
- 2出血した選手は、創部を被覆して出血が止まるまで競技から離れさせる正解
- 3血液が付着した用具や床は、手袋を着けて決められた方法で処理する正解
- 4感染症の有無が分かっている選手にだけ、血液に触れる備えをする
- 5汗にも感染の危険が伴うため、接触した部位をそのたびに消毒して進める
Answer
正解 2:出血した選手は、創部を被覆して出血が止まるまで競技から離れさせる / 3:血液が付着した用具や床は、手袋を着けて決められた方法で処理する
出血した選手は「創部を被覆して」出血が止まるまで一度競技から離し、血液が付着した用具や床も手袋を着けて定められた方法で処理する。これが競技現場での標準的な扱いである。「しなくてよい」は誤りで、手袋を外した後にも手指の衛生を行う。「分かっている選手にだけ」備えるのは誤りで、すべての血液や体液を感染の可能性があるものとして扱う。「汗にも感染の危険が伴う」も誤りで、汗のみでは血液を介する感染の媒体とはみなされていない。
HINT 「誰の血液も同じように扱う」が標準予防策。汗は例外として扱われる。
- Q09#jaa-em-009
スポーツ現場の緊急時対応計画(EAP)に含めておく要素として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1救急車の進入の経路と会場の出入口、傷病者を搬出する動線を定めておく正解
- 2想定される傷病の種類ごとに、現場で用いる薬剤の投与量まで書き込む
- 3通報を担う者と処置を担う者の役割の分担を、氏名まで決めておく正解
- 4対象は選手に限り、観客や運営スタッフへの対応は計画から外す
- 5会場が変わっても使えるよう、場所に関する情報は書かずにまとめる
Answer
正解 1:救急車の進入の経路と会場の出入口、傷病者を搬出する動線を定めておく / 3:通報を担う者と処置を担う者の役割の分担を、氏名まで決めておく
EAPには「救急車の進入の経路」や搬出の動線といった会場ごとの情報と、通報や処置を「氏名まで」決めた役割の分担を具体的に書き込む。「薬剤の投与量まで」書き込むのは医行為の範囲で、ATの計画に含める事柄ではない。「対象は選手に限り」とするのは誤りで、観客やスタッフも対象に含める。「場所に関する情報は書かずに」まとめるのも誤りで、EAPは会場ごとに作成する点が要点である。
HINT EAPは「会場ごと・人ごと」に具体的に書く。汎用の文書にしたら機能しない。
- Q10#jaa-em-010
緊急時対応計画を立案する際の考え方として最も適切なものはどれか。
- 1計画は担当のATだけが把握しておき、運用のたびに口頭で指示を出す
- 2想定する傷病を競技ごとに細かく並べ、それぞれの処置の手順を書き尽くしてから運用を始める
- 3想定を細かくすると混乱するため、判断は現場の裁量に任せておく
- 4「緊急」に当たる状態を先に定義し、判断の基準をそろえておく正解
- 5受け入れ先は最も設備の整った医療機関を一つ選び、搬送する先はそこに固定しておく
Answer
正解 4:「緊急」に当たる状態を先に定義し、判断の基準をそろえておく
何をもって「緊急」とするかを先に定義しておかないと、通報や中断の判断が人によってぶれる。基準をそろえておくことが立案の出発点になる。「担当のATだけが把握して」おくのは誤りで、関係者が共有していなければ作動しない。「書き尽くしてから運用を始める」のも誤りで、完成を待つ間は計画のない状態が続く。「現場の裁量に任せておく」のは計画を持つ意味を失わせる。「搬送する先はそこに固定しておく」のも誤りで、受け入れ先は傷病の種類と当日の受け入れの可否で変わるため、複数を把握しておく。
HINT EAPの第一歩は「緊急の定義」。定義がなければ誰も動き出せない。
- Q11#jaa-em-011
緊急時対応計画を実際に機能させるための取り組みとして最も適切なものはどれか。
- 1関係するスタッフを集めて手順を確かめる訓練を、定期的に実施しておく正解
- 2計画の内容は、事故が起きた場面で初めて関係者へ知らせるようにする
- 3訓練は会場に居合わせる観客まで加えて行い、搬出の動線を全員で覚えてもらう
- 4作成した計画は訓練のたびに全面的に書き換え、最新の版へ入れ替え続ける
- 5会場ごとの差は当日に確かめられるため、下見の段階では扱わない
Answer
正解 1:関係するスタッフを集めて手順を確かめる訓練を、定期的に実施しておく
計画は文書として存在するだけでは働かないため、関係するスタッフを集めて手順を確かめる訓練を「定期的に実施して」おく必要がある。「事故が起きた場面で初めて」知らせるのでは役割が動かない。「観客まで加えて行い」全員で動線を覚えるのも誤りで、訓練の対象は役割を担う者であり、広げすぎれば手順が定まらない。「訓練のたびに全面的に書き換え」るのも誤りで、改訂は会場や体制の変化に合わせて必要な箇所に絞る。「下見の段階では扱わない」のも誤りで、会場の差は事前に把握する。
HINT 作った時点では半分。訓練と改訂で初めて動く計画になる。
- Q12#jaa-em-012
救急隊や医療資格者へ傷病者を引き継ぐ際に伝える情報として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1想定される損傷の部位の診断名と、復帰までに要する見込みの期間を伝える
- 2受傷した時刻と受傷した場面の状況、その後の意識の変化を伝える正解
- 3選手の競技成績と所属するチームでの立場を、判断の材料として伝える
- 4現場で実施した処置の内容と、処置に対する反応を続けて伝える正解
- 5当日の練習の内容は判断に関わらないので、省いて簡潔にする
Answer
正解 2:受傷した時刻と受傷した場面の状況、その後の意識の変化を伝える / 4:現場で実施した処置の内容と、処置に対する反応を続けて伝える
引き継ぎでは「受傷した時刻」と受傷の場面、意識の変化といった経過と、「現場で実施した処置」とその反応を伝える。これが医療側の判断を早める情報になる。「診断名」と復帰の期間を伝えるのはATの範囲を超える。「競技成績」や立場は医学的な判断の材料にならない。「省いて簡潔にする」のも誤りで、当日の活動の内容は受傷の機序や熱の負荷を推定する材料になる。
HINT 伝えるのは「いつ・どんな場面で・何をして・どう変わったか」。
- Q13#jaa-em-013
事故が発生した際の初期評価(一次評価)で確かめる項目として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1関節の可動域と筋力を左右で比べ、損傷した組織を確かめていく
- 2反応の有無と気道の状態、呼吸のしかたを続けて確かめる正解
- 3受傷した部位の圧痛の範囲を触診し、腫脹の程度を記録する
- 4過去の受傷と手術の経過を聞き取り、既往を整理する
- 5生命を脅かす大きな出血の有無を確かめる正解
Answer
正解 2:反応の有無と気道の状態、呼吸のしかたを続けて確かめる / 5:生命を脅かす大きな出血の有無を確かめる
一次評価では生命に直結する要素だけを順に見る。すなわち「反応の有無と気道の状態」、呼吸のしかた、そして「生命を脅かす大きな出血」の有無である。「可動域と筋力を左右で比べ」て損傷した組織を確かめるのは二次評価で行う。「圧痛の範囲を触診し」腫脹を記録するのも二次評価の内容である。「既往を整理する」のも重要だが、生命の確認を終えた後に行う。
HINT 一次評価は「反応・気道・呼吸・循環と大出血」。触診はまだ先。
- Q14#jaa-em-014
倒れている選手に対するグラウンド上での評価の進め方として最も適切なものはどれか。
- 1受傷した部位の確認を先に済ませ、意識と呼吸は搬送の直前に確認する
- 2競技を続けられるかは、選手本人の希望を最初の判断の材料として決める
- 3徒手の抵抗を用いた筋力の検査は、倒れている段階で必ず終えておく
- 4生命に関わる状態の確認を終えてから、外傷そのものの評価に移る正解
- 5評価の途中で異常に気づいた場合も、決めた順序を最後まで通す
Answer
正解 4:生命に関わる状態の確認を終えてから、外傷そのものの評価に移る
グラウンド上の評価は、まず生命に関わる状態を確かめ、その確認を終えてから「外傷そのものの評価に移る」という順序で進める。「搬送の直前に確認する」のは順序が逆で、意識と呼吸は最初に見る。「本人の希望を最初の判断の材料」とするのは誤りで、競技続行の可否は評価の結果から決める。「倒れている段階で必ず終えて」おく必要はなく、筋力の検査は状態が落ち着いてから行う。「決めた順序を最後まで通す」のも誤りで、異常に気づけば直ちに手順を切り替える。
HINT 命の確認が先、部位の評価は後。異常に気づいたら手順を中断して切り替える。
- Q15#jaa-em-015
傷病者の体位の管理として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1呼吸が苦しい傷病者は、水平に寝かせて下肢を高く上げた体位にする
- 2顔色が悪く脈が弱い傷病者は、上半身を起こした体位を保って待つ
- 3反応がなく呼吸がある傷病者は、回復体位にして気道を保つ正解
- 4腹部の痛みが強い傷病者は、膝を曲げた姿勢で楽な体位を探る正解
- 5意識のある傷病者には、決めた体位を保たせて動かさない
Answer
正解 3:反応がなく呼吸がある傷病者は、回復体位にして気道を保つ / 4:腹部の痛みが強い傷病者は、膝を曲げた姿勢で楽な体位を探る
反応がなく呼吸がある傷病者は「回復体位にして気道を保つ」のが原則である。また腹部の痛みが強い場合は膝を曲げて腹壁の緊張を緩める姿勢が楽になるため、本人が楽な体位を探る。「下肢を高く上げた体位」は呼吸が苦しい傷病者には適さず、上体を起こした体位のほうが楽になる。「上半身を起こした体位を保って」待つのは、顔色が悪く脈が弱い状態では逆で、水平に寝かせる。「決めた体位を保たせて」動かさないのも誤りで、意識があるなら本人が楽な体位を尊重する。
HINT 体位の原則は「本人が楽な姿勢」。反応がなく呼吸があるなら回復体位。
- Q16#jaa-em-016
頚椎の損傷が疑われる傷病者の運搬に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1担架へ移す作業は最も力のある一人が担当し、頭部は本人に支えさせる
- 2頭部と体幹の位置の関係を保ったまま、複数人で声を合わせて動かす正解
- 3早く搬出するために、上半身を起こしてから肩を抱えて移動させる
- 4運搬の途中で意識が戻れば、手足の動きを確かめたうえで固定を外して歩かせる
- 5背板に乗せる場合は、足側を進行の方向に向けて坂を下っていく
Answer
正解 2:頭部と体幹の位置の関係を保ったまま、複数人で声を合わせて動かす
頚椎の損傷が疑われる傷病者では「頭部と体幹の位置の関係を保ったまま」、号令をかけて複数人が同時に動かす。「最も力のある一人が担当し」本人に頭部を支えさせるのは、頚部に動きが生じるため誤りである。「上半身を起こしてから」肩を抱えるのも頚部を屈曲させる。「手足の動きを確かめたうえで固定を外して歩かせる」のも誤りで、手足が動いても頚椎の損傷は否定できないため固定は保つ。「足側を進行の方向に向けて坂を下って」いくのも誤りで、坂では頭側を高く保つ向きで進む。
HINT 頭と体幹を一体で動かす。意識が戻っても固定は外さない。
- Q17#jaa-em-017
競技中の接触で前歯が完全に抜け落ちた選手への現場での対応として最も適切なものはどれか。
- 1抜けた歯は水道水でよくこすって洗い、乾かしてから袋に入れて渡す
- 2抜けた歯は乾いた紙に包んで持たせ、翌日以降の受診でも間に合う
- 3抜けた歯は元の位置に戻せないため、そのまま処分して出血だけ抑える
- 4抜けた歯は歯根に触れないよう保存液か牛乳に入れ、歯科へ急ぐ正解
- 5抜けた歯は消毒液に浸して保管し、痛みが引いてから受診する
Answer
正解 4:抜けた歯は歯根に触れないよう保存液か牛乳に入れ、歯科へ急ぐ
完全に抜け落ちた歯は、歯根の表面の組織を守ることが再植の成否を左右する。したがって「歯根に触れないよう」に扱い、乾燥させずに保存液か牛乳に入れて、できるだけ早く歯科へ運ぶ。「よくこすって洗い」乾かすのは歯根の組織を損なう。「乾いた紙に包んで」翌日以降でよいとするのも、乾燥と時間の経過で再植が難しくなるため誤りである。「元の位置に戻せない」と決めつけて処分するのも誤りである。「消毒液に浸して」保管するのも組織を傷める。
HINT 抜けた歯は「歯根を持たない・乾かさない・急ぐ」。牛乳でも代用できる。
- Q18#jaa-em-018
競技中に頭部を打った選手で、直ちに救急搬送を要する徴候として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1打撲した部位に一致した頭皮の腫れと、軽い圧痛だけがみられる
- 2相手と接触した場面は思い出せるが、その続きの記憶があいまいである
- 3時間の経過とともに意識の状態が徐々に低下していく正解
- 4試合が終わってから、軽い頭痛と首の張りを本人が訴えている
- 5手足の脱力が現れ、左右で動きに差が生じている正解
Answer
正解 3:時間の経過とともに意識の状態が徐々に低下していく / 5:手足の脱力が現れ、左右で動きに差が生じている
頭部の打撲の後に「意識の状態が徐々に低下していく」ことや、「手足の脱力」と左右の差が現れることは、頭蓋内の損傷が進んでいる徴候であり、直ちに搬送する。「頭皮の腫れ」と軽い圧痛だけであれば、直ちに搬送する徴候にはあたらない。「記憶があいまいである」のは脳振盪を疑って競技から退かせる所見だが、それだけで緊急の搬送を要するとまではいえない。「軽い頭痛と首の張り」も経過の観察と受診の対象で、緊急の搬送の基準ではない。
HINT 搬送の基準は「進行する意識の低下」と「左右差のある麻痺」。軽い痛みは別。
- Q19#jaa-em-019
頭部・頚部・脊椎の重大な外傷が疑われる選手への現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1頭部を保持して頚部の動きを制限し、救急隊が到着するまで姿勢を保つ正解
- 2意識の有無を確かめるため、うつ伏せの選手をすぐに仰向けへ変える
- 3用具を着ける競技では、着けたまま搬送するかを事前に決めておく正解
- 4ヘルメットとショルダーパッドは、現場で必ず両方とも取り外す
- 5頚部の痛みが軽ければ、選手を立たせて自力で退場させてよい
Answer
正解 1:頭部を保持して頚部の動きを制限し、救急隊が到着するまで姿勢を保つ / 3:用具を着ける競技では、着けたまま搬送するかを事前に決めておく
重大な外傷が疑われる場面では「頚部の動きを制限し」、救急隊の到着まで姿勢を保つ。また用具を着ける競技では、着けたまま搬送するかどうかを競技ごとに「事前に決めておく」ことが要点になる。「すぐに仰向けへ変える」のは頚部に動きを与えるため誤りで、体位の変換は人数と手順をそろえて行う。「必ず両方とも取り外す」のも誤りで、両方を残すか同時に外すかを決めておく。「自力で退場させてよい」のも誤りで、痛みの程度だけで除外はできない。
HINT 用具は「両方残すか、両方外すか」。片方だけ外すと頚部の位置が崩れる。
- Q20#jaa-em-020
体幹に強い打撲を受けた選手で、腹腔内の臓器の損傷を疑う所見として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1打撲した部位の皮膚に、境界のはっきりした赤い発疹が広がっている
- 2顔色が青白く変わり、脈が速くなって冷汗が出ている正解
- 3打撲の直後から、腹壁の表面に限られた圧痛だけが続いている
- 4打撲した側の肩に痛みが広がり、腹部が硬く張っている正解
- 5深い呼吸をすると、肋骨の一点に鋭い痛みが現れる
Answer
正解 2:顔色が青白く変わり、脈が速くなって冷汗が出ている / 4:打撲した側の肩に痛みが広がり、腹部が硬く張っている
腹腔内の出血が進むと「顔色が青白く変わり」脈が速くなって冷汗が出るというショックの徴候が現れる。また横隔膜が刺激されると「打撲した側の肩に痛みが広がり」、腹部が硬く張る。「赤い発疹が広がっている」のは皮膚の反応で、臓器の損傷を示す所見ではない。「腹壁の表面に限られた圧痛だけ」であれば腹壁の打撲の所見にとどまる。「肋骨の一点に鋭い痛み」は肋骨そのものの損傷を示す所見である。
HINT 腹腔内は「ショックの徴候」と「肩へ広がる痛み」。表面に限る圧痛は別。
- Q21#jaa-em-021
競技中に突然倒れた選手で、心停止を疑って直ちに胸骨圧迫を始める判断として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1しゃくり上げるような不規則な呼吸は、心停止の徴候として扱って対応する正解
- 2脈の触知を十分な時間をかけて確かめてから、圧迫を始めるかを判断する
- 3名前を呼んで反応が乏しければ、まず回復体位にして経過を観察する
- 4全身のけいれんのような動きが起きていても、心停止の可能性を考える正解
- 5息をしているように見えれば、呼吸は保たれていると判断してよい
Answer
正解 1:しゃくり上げるような不規則な呼吸は、心停止の徴候として扱って対応する / 4:全身のけいれんのような動きが起きていても、心停止の可能性を考える
しゃくり上げるような不規則な呼吸は「心停止の徴候として扱って」直ちに圧迫を始める。心停止の直後には「全身のけいれんのような動き」が現れることがあり、これを見て心停止を除外してはならない。「十分な時間をかけて確かめてから」決めるのは誤りで、脈の確認に時間をかけない。「まず回復体位にして経過を観察する」のも誤りで、反応が乏しければ呼吸を確かめて圧迫の判断に進む。「保たれていると判断してよい」も誤りで、見た目の動きだけでは呼吸の有無は決められない。
HINT あえぐような呼吸とけいれん様の動きは、どちらも心停止を疑う側の所見。
- Q22#jaa-em-022
労作性熱射病が疑われる選手の身体の冷却に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1氷嚢を頚部と腋窩に当てる方法が、最も早く身体の深部の温度を下げる
- 2深部の温度は口腔で測った値をそのまま用いて、冷却の目標に据える
- 3冷却は搬送先の医療機関に到着してから開始するのが安全である
- 4身体の温度が下がるまで、経口で冷たい水を与え続けて様子をみる
- 5冷水に全身を浸ける方法で、速やかに身体の温度を下げる正解
Answer
正解 5:冷水に全身を浸ける方法で、速やかに身体の温度を下げる
労作性熱射病では、身体の深部の温度を下げるまでの時間が予後を決めるため、「冷水に全身を浸ける」方法が最も速い手段として用いられる。「氷嚢を頚部と腋窩に当てる」方法は簡便だが、浸ける方法に比べて低下の速度は劣る。「口腔で測った値」は深部の温度を正しく反映しないため、目標には使えない。「到着してから開始する」のも誤りで、現場で冷却を始めてから搬送する。「経口で冷たい水を与え続けて」も深部の温度は十分に下がらず、意識の状態が悪い場面では危険である。
HINT 冷却は「浸ける」が最速。口腔や腋窩の温度では深部を代表できない。
- Q23#jaa-em-023
長時間の持久系の競技でみられる運動時の低ナトリウム血症に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1発症した選手には、真水を多めに飲ませて回復を図るのが基本である
- 2体重が競技の前より減っている選手ほど、発症しやすいとされる
- 3熱中症と症状の重なりがないので頭痛や嘔気から区別ができる
- 4発症の背景は、発汗による塩分の喪失だけで説明することができる
- 5水分の過剰な摂取が発症に深く関わっている正解
Answer
正解 5:水分の過剰な摂取が発症に深く関わっている
運動時の低ナトリウム血症は、発汗で失う量を超えて水分を摂り続けることで血液が薄まって起こるため、「水分の過剰な摂取」が中心の要因である。「真水を多めに飲ませて」回復を図るのは血液をさらに薄めるため危険である。「体重が競技の前より減っている」のは脱水の側の所見で、この疾患では体重が増えている選手のほうが危険が高い。「症状の重なりがない」のも誤りで、頭痛や嘔気は熱中症と重なり区別が難しい。「塩分の喪失だけで説明する」のも誤りである。
HINT 飲みすぎで起こる。体重が「増えた」選手が危険側。真水の追加は禁物。
- Q24#jaa-em-024
会場や競技の特性を踏まえた緊急時対応計画として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1救急車が近づけない山間の会場でも、通報の手順だけそろえておけばよい
- 2会場が変わる大会では、全国の医療機関の一覧を計画に添えて持ち歩くようにする
- 3屋外の競技では、雷の接近を判断する基準と避難の場所を決めておく正解
- 4屋内の競技は環境の影響を受けないため、項目を省いてよい
- 5水中の競技では、水から引き上げる手順を事前に練習しておく正解
Answer
正解 3:屋外の競技では、雷の接近を判断する基準と避難の場所を決めておく / 5:水中の競技では、水から引き上げる手順を事前に練習しておく
屋外の競技では落雷が重大な事故につながるため、「雷の接近を判断する基準」と避難の場所を事前に決める。水中の競技では引き上げるまでに時間がかかるため、「引き上げる手順」を練習しておく。「通報の手順だけそろえておけばよい」のは誤りで、到着まで時間がかかる会場では搬出の方法や待機の場所まで決めておく。「全国の医療機関の一覧を計画に添えて持ち歩く」のも誤りで、必要なのは会場ごとに受け入れを確かめた数か所の情報である。「環境の影響を受けない」のも誤りで、屋内でも暑熱や換気の条件は変わる。
HINT 屋外は雷、水中は引き上げ、山間は搬出の時間。会場ごとに固有の項目が要る。
- Q25#jaa-em-025
スポーツ現場に備えておく救急対応用の器材に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1使用の期限がある品は大会ごとに新しい品へ入れ替え、期間が残る品も予備として積み増しておく
- 2副子は、骨折した部位の長さに合うものだけを用意しておく
- 3除細動器は会場の中央の一か所に置き、どの競技の区域からも同じ距離になるようにする
- 4器材は種類を多くそろえておき、使い方の確認は現場で行えば足りる
- 5器材は置き場所と使う者を定め、点検の記録を残しておく正解
Answer
正解 5:器材は置き場所と使う者を定め、点検の記録を残しておく
器材は「置き場所と使う者を定め」、点検の記録を残すことで、必要な場面に確実に使える状態が保たれる。「大会ごとに新しい品へ入れ替え」予備を積み増すのも誤りで、在庫を増やすほど置き場所と期限の管理がかえって行き届かなくなる。「長さに合うものだけを用意して」おくのも誤りで、副子は固定する関節をまたぐ長さが必要になる。「どの競技の区域からも同じ距離になるようにする」のも誤りで、距離をそろえることよりも、心停止が起こりやすい区域の近くへ置いて到達までの時間を短くすることが先に立つ。「使い方の確認は現場で行えば足りる」のも誤りで、事前の習熟が前提である。
HINT 器材は「置き場所・使う人・点検の記録」の三点がそろって初めて使える。
- Q26#jaa-em-026
競技の特性に応じて事前に備えておく救急対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1頭部や頚部の外傷が起きやすい競技では、固定と搬送の器材と人手を整える正解
- 2屋外の持久系の競技では、冷却の準備は気温が高い日だけに限って整える
- 3用具を身につける競技では、倒れた選手の用具を現場で必ず外してから評価を始める
- 4個人の競技では出場する選手ごとに救護の担当を一人ずつ配置し、人手をそろえてから開始する
- 5打球が身体に当たる競技では、除細動器を競技の区域の近くに置く正解
Answer
正解 1:頭部や頚部の外傷が起きやすい競技では、固定と搬送の器材と人手を整える / 5:打球が身体に当たる競技では、除細動器を競技の区域の近くに置く
頭部や頚部の外傷が起きやすい競技では「固定と搬送の器材と人手」を事前に整える。打球が胸に当たって心停止が起こりうる競技では、除細動器を「競技の区域の近く」に置いて到達までの時間を短くする。「気温が高い日だけに限って」整えるのは誤りで、湿度や日射の条件でも危険は高まる。「現場で必ず外してから評価を始める」のも誤りで、外すかどうかは競技と用具によって事前に決めておくものであり、外す作業そのものが頚部を動かす危険をもつ。「選手ごとに救護の担当を一人ずつ配置し」てから開始するのも誤りで、人数を並べることよりも、応援を呼ぶ手順を決めておくことが現実的である。
HINT 器材の配置は「到達までの時間」で決まる。打球の競技では除細動器を近くへ。
- Q27#jaa-em-027
インスリンを使っている糖尿病の選手が、練習の途中で冷汗を伴うふらつきと手の震えを訴えた。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1意識がはっきりして自分で飲み込めるなら、糖分を含む飲料や食品をすぐに摂らせる正解
- 2血糖の値を測る器具を探しに行き、数値を確かめてから糖分を摂らせる形にする
- 3汗で塩分も多く失うため、塩分を含む経口補水の飲料を選んで摂らせていく
- 4呼びかけへの反応が乏しければ、口から与えずに救急車を要請していく正解
- 5インスリンが効いていないと考え、指示どおりの注射を追加させる
Answer
正解 1:意識がはっきりして自分で飲み込めるなら、糖分を含む飲料や食品をすぐに摂らせる / 4:呼びかけへの反応が乏しければ、口から与えずに救急車を要請していく
低血糖が疑われる場面では、まだ自分で飲み込めるうちに糖分を入れることが最優先になる。したがって「糖分を含む飲料や食品をすぐに摂らせる」が正しい。反応が落ちて飲み込めない状態では誤って気道に入る危険があるため、「口から与えずに救急車を要請していく」が正しい。「数値を確かめてから」糖分を摂らせる形にすると、器具が手元にない現場では対応が遅れ、待つあいだに状態が悪くなる。「塩分を含む経口補水の飲料を選んで摂らせていく」のは補うものを取り違えており、塩分では血糖は上がらない。「指示どおりの注射を追加させる」のは血糖をさらに下げる方向の手で、高血糖と低血糖を取り違えた判断である。
HINT 低血糖は「飲み込めるか」で分かれる。飲み込めるなら糖分、飲み込めないなら口から入れない。
- Q28#jaa-em-028
競技中の接触で前腕を切り、傷口から勢いよく出血している選手への現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1傷口に残った布や砂を指で探ってすべて取り除き、そのうえで包帯を巻いて固定する
- 2使い捨ての手袋を着けて、清潔なガーゼを傷口に当てて手のひらで強く押さえる正解
- 3出血が多いので傷口に氷を直接当て、血管を縮めて出血を止めようとする
- 4ガーゼを一分ごとに取り替えて、出血の量が減っているかを確かめる
- 5血がにじんできたガーゼは当てたまま、上から重ねて押さえ続ける正解
Answer
正解 2:使い捨ての手袋を着けて、清潔なガーゼを傷口に当てて手のひらで強く押さえる / 5:血がにじんできたガーゼは当てたまま、上から重ねて押さえ続ける
外出血でまず行うのは直接圧迫である。「清潔なガーゼを傷口に当てて手のひらで強く押さえる」ことと、「上から重ねて押さえ続ける」ことが正しい。いちど当てたガーゼを外すと、固まりかけた血がはがれて出血がやり直しになる。「残った布や砂を指で探ってすべて取り除き」は、傷を深くして出血を増やすうえ、圧迫の開始を遅らせる。「出血が多いので傷口に氷を直接当て」るのは手段の取り違えで、氷では出血は止まらず創面も傷める。「ガーゼを一分ごとに取り替えて」出血の量を確かめるのは、確かめるたびに圧迫が外れて出血が続くことになる。
HINT 外出血は「手袋・直接圧迫・外さない」。確かめるために外すと、そのぶん出血が続く。
- Q29#jaa-em-029
土のグラウンドで転倒し、膝に深い切り傷をつくって傷の中に土が入り込んでいる選手への対応として最も適切なものはどれか。
- 1流水で洗って創の深さを確かめたうえで、創の縁をテープで強く寄せて閉じて受診させる
- 2強い消毒薬で傷の中まで消毒すれば菌は除けるため、包帯を厚めに巻いておく
- 3土で汚れた深い傷として受診につなげ、破傷風の予防接種の状況も確かめる正解
- 4感染の危険が高いので、本人の手持ちの抗菌の薬をその場で飲ませる
- 5破傷風は動物にかまれた傷で起こるため、通常の創の手当で終える
Answer
正解 3:土で汚れた深い傷として受診につなげ、破傷風の予防接種の状況も確かめる
土の中には破傷風の原因となる菌がいるため、土で汚れた深い傷は受診の対象になる。「破傷風の予防接種の状況も確かめる」ところまで含めて伝えるのが適切である。「創の縁をテープで強く寄せて閉じ」るのは、汚染された傷を閉じることになり、菌にとって都合のよい環境をつくる。「強い消毒薬で傷の中まで消毒すれば菌は除ける」という見立ても誤りで、消毒薬は傷の深部の菌を除けない。「本人の手持ちの抗菌の薬をその場で飲ませる」のは投薬にあたり、ATの業務の範囲を超える。「破傷風は動物にかまれた傷で起こる」も誤りで、土壌からの感染が中心である。
HINT 土の入った深い傷は破傷風。手当で終わらせず、受診と予防接種の確認まで。
- Q30#jaa-em-030
試合の直前に強い不安を訴えた選手が、速く浅い呼吸を続けて手足のしびれを起こした。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1騒がしい場所から離して座らせ、吐く息を長めにとるゆっくりした呼吸を一緒に続ける正解
- 2紙袋を口と鼻に当てて吐いた息を吸い直させ、呼吸が落ち着くまでその形を続ける
- 3胸の痛みや意識の変化が加わる場合は、別の疾患も想定して救急につなげる正解
- 4息を深く大きく吸い込む練習をさせて、肺に入る空気の量を増やしていく
- 5しびれが引くまで歩かせ続けて、血の巡りを促しながら回復を図る
Answer
正解 1:騒がしい場所から離して座らせ、吐く息を長めにとるゆっくりした呼吸を一緒に続ける / 3:胸の痛みや意識の変化が加わる場合は、別の疾患も想定して救急につなげる
速く浅い呼吸が続く状態では、吐く息を長くして呼吸の回数を落ち着かせることが基本になる。「吐く息を長めにとるゆっくりした呼吸を一緒に続ける」が正しい。また同じ症状は心臓や気道の疾患でも起こるため、「別の疾患も想定して救急につなげる」判断も必要になる。「紙袋を口と鼻に当てて吐いた息を吸い直させ」る方法は、袋の中の酸素が減って低酸素を招くおそれがあり、ほかの疾患を見落とす例も報告されているため用いない。「息を深く大きく吸い込む練習をさせて」は向きが逆で、吸う量を増やすと症状は強まる。「しびれが引くまで歩かせ続けて」も、呼吸の回数をさらに上げることになる。
HINT 狙いは「吐く息を長くする」。紙袋で吸い直させる方法は低酸素を招くので用いない。
- Q31#jaa-em-031
練習中に突然倒れて意識を失い、十数秒で意識が戻って本人は走れると話している選手への対応として最も適切なものはどれか。
- 1心停止の可能性があるため、意識が戻っていても胸骨圧迫を始めて除細動器を運ばせる
- 2脱水が原因と考えて塩分を含む飲料を摂らせ、体重を測って不足した量を補わせる
- 3起立によるものと判断し、下肢を高くした体位で休ませてから練習へ合流させる
- 4本人に走ってもらって症状が出るかを確かめ、受診の要否を決める
- 5その日は運動へ戻さず、心臓の疾患も想定して受診につなげる正解
Answer
正解 5:その日は運動へ戻さず、心臓の疾患も想定して受診につなげる
運動中に意識を失って倒れた場面は、心臓の疾患が背景にある可能性を外せない。意識が戻っていても「その日は運動へ戻さず」、受診につなげるのが適切である。「意識が戻っていても胸骨圧迫を始めて」除細動器を運ばせるのは行き過ぎで、反応と呼吸があるうちは圧迫を行わない。「下肢を高くした体位で休ませてから練習へ合流させる」のは、原因を軽い病態に見立てたうえで同じ負荷に戻すことになる。「脱水が原因と考えて塩分を含む飲料を摂らせ」るのも、原因を一つに決めつけて危険の高い可能性を外している。「本人に走ってもらって症状が出るかを確かめ」て受診の要否を決めるのは、命に関わる負荷をかけて確かめる行為である。
HINT 運動中の意識喪失は、戻っても「心臓かもしれない」。当日は戻さず受診へ。
- Q32#jaa-em-032
慣れない高い負荷の練習を続けた翌日に、強い筋の痛みと脱力を訴えた選手の尿が赤褐色になっていた。対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1筋の張りを取るため強めのマッサージと伸展の運動を加えてから、受診につなげていく
- 2強い筋の痛みと赤褐色の尿が重なる状態として、直ちに医療機関の受診につなげる正解
- 3痛みが引くまで市販の痛み止めを飲ませたうえで、翌日の受診を勧めていく
- 4腎臓への負担が進むため、運動を中止させて水分と電解質を補わせる正解
- 5尿の色は食事の色素によるものと見て、冷却で筋の痛みに対応する
Answer
正解 2:強い筋の痛みと赤褐色の尿が重なる状態として、直ちに医療機関の受診につなげる / 4:腎臓への負担が進むため、運動を中止させて水分と電解質を補わせる
強い筋の痛みと脱力に赤褐色の尿が重なるのは、筋の組織が壊れて腎臓に負担がかかっている状態を示す。したがって「直ちに医療機関の受診につなげる」ことと、「運動を中止させて水分と電解質を補わせる」ことが正しい。「強めのマッサージと伸展の運動を加えてから」受診につなげるのは、壊れている筋にさらに力を加えることになる。「市販の痛み止めを飲ませたうえで」は投薬にあたるうえ、薬の種類によっては腎臓への負担を重ねる。「尿の色は食事の色素によるものと見て」いるのは見立ての誤りで、強い筋の痛みと脱力が重なっている点を説明できない。
HINT 強い筋痛と脱力に赤褐色の尿が重なれば横紋筋融解症。もむ・薬を足すは逆。
- Q33#jaa-em-033
試合中にコート上で選手が倒れ、重大な外傷が疑われる場面でのJSPO-ATの動き方として最も適切なものはどれか。
- 1競技を止める権限は審判や運営のみにあるため、中断の必要を直ちに伝えて進入の許可を得る正解
- 2担架とスタッフを先に集めてから審判へ伝え、人員がそろった時点で中断を求める
- 3審判へ伝える前にコートへ走り入り、搬出まで終えてから中断の理由を説明する
- 4相手のチームの了解を先に取り、両チームが同意した時点で競技を止める
- 5指導者に中断を求めてもらい、自分は選手のそばを離れずに待機する
Answer
正解 1:競技を止める権限は審判や運営のみにあるため、中断の必要を直ちに伝えて進入の許可を得る
競技の中断と再開を決めるのは審判や運営であり、ATは「中断の必要を直ちに伝えて進入の許可を得る」という形で動く。重大な外傷が疑われる場面では、この連絡を最初に置く。「担架とスタッフを先に集めてから審判へ伝え」るのは、人をそろえるあいだ競技が続いて傷病者のそばで接触が起こりうる。「審判へ伝える前にコートへ走り入り」は、進行中の競技へ断りなく入ることになり、ほかの選手との接触の危険もある。「相手のチームの了解を先に取り」両チームの同意で止めるのも、権限の所在を取り違えている。「指導者に中断を求めてもらい」自分は待機するのも誤りで、現場で状態を見ている者が直接伝えるほうが速く正確である。
HINT 止める権限は審判と運営。ATは「止めてほしい」を自分で最初に伝えて入る。
- Q34#jaa-em-034
屋外の大会の最中に落雷があり、競技をしていた複数の選手が倒れた。雷は遠ざかり、その場の危険は収まっている。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1救助者が感電する危険があるため、安全を確かめてから一人ずつ順に近づいていく
- 2倒れた選手の身体に電気は残っていないため、直ちに近づいて反応と呼吸を確かめる正解
- 3熱傷の範囲と部位を図にして記録に残し、整えてから手当を始める
- 4皮膚に残る熱傷の手当よりも、心停止の有無を調べる手順を先に進める正解
- 5歩いて移動できる選手は、本人の申し出に任せて経過をみる
Answer
正解 2:倒れた選手の身体に電気は残っていないため、直ちに近づいて反応と呼吸を確かめる / 4:皮膚に残る熱傷の手当よりも、心停止の有無を調べる手順を先に進める
落雷を受けた人の身体に電気が残ることはなく、救助者が感電する危険もない。したがって「救助者が感電する危険があるため、安全を確かめてから一人ずつ順に近づいていく」のように待つ時間をつくるのは、救命の機会を減らすだけである。落雷では一瞬の電流が心臓や脳に及んで心停止に至ることがあるため、目を引く熱傷の手当より反応と呼吸の確認を先に置く。「熱傷の範囲と部位を図にして記録に残し、整えてから手当を始める」は記録を優先しており順序が逆。「歩いて移動できる選手は、本人の申し出に任せて経過をみる」は、落雷では意識が保たれていても不整脈や神経の症状が後から現れることがあるため不適切で、全員について状態を確かめる必要がある。
HINT 落雷の傷病者は帯電していない。待つ理由はなく、熱傷より心停止の確認が先。
- Q35#jaa-em-035
練習中に倒れてうつ伏せのまま反応がない選手がいる。呼吸の確認と心肺蘇生に移る必要があり、頚椎の損傷も疑われる。体位を変える手順として最も適切なものはどれか。
- 1いちばん力のある一人が肩と腰を抱えて、素早く向きを変える
- 2頭部を保持する者を決め、頭と体幹の向きをそろえたまま複数人で同時に仰向けへ返す正解
- 3うつ伏せのままでは呼吸の状態が分からないので、肩を引いて上半身を先に起こす
- 4頚部を支える器具を着けたうえで、本人に自分で向きを変えてもらう
- 5救急隊が到着するまで触れるのを控え、到着後に返す作業を頼む
Answer
正解 2:頭部を保持する者を決め、頭と体幹の向きをそろえたまま複数人で同時に仰向けへ返す
反応がなく呼吸の確認と胸骨圧迫が必要な場面では、頚椎を守ることを理由に仰向けへ返す作業を省くことはできない。頭部を支える者が声をかけて合図を出し、頭・頚部・体幹の位置の関係を崩さずに全員で同時に動かすのが原則である。「いちばん力のある一人が肩と腰を抱えて、素早く向きを変える」は人手が足りず頚部がねじれる。「うつ伏せのままでは呼吸の状態が分からないので、肩を引いて上半身を先に起こす」は体幹だけが動いて頚部に回旋が加わる。「頚部を支える器具を着けたうえで、本人に自分で向きを変えてもらう」は反応がない選手に自力の動作を求めており成り立たない。「救急隊が到着するまで触れるのを控え、到着後に返す作業を頼む」は、心停止が疑われる場面で蘇生の開始を遅らせてしまう。
HINT 命の確認が必要なら返す。頭を支える人を決めて、全員で同時に。
- Q36#jaa-em-036
頚椎の損傷が疑われる反応のない選手について、気道を広げるための現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1額を押さえてあご先を持ち上げる方法で、頭部を後ろへ十分に倒して気道を広げる
- 2頭部の位置を保ったまま、下顎の骨の部分を前方へ持ち上げて気道を広げる正解
- 3下顎の軟らかい部分を指で押し込み、舌の根が沈むのを押し戻す
- 4口の中に外せる物があれば取り出し、呼吸の通り道を確かめる正解
- 5あご先を引き下げて口を大きく開かせ、気道を広げる
Answer
正解 2:頭部の位置を保ったまま、下顎の骨の部分を前方へ持ち上げて気道を広げる / 4:口の中に外せる物があれば取り出し、呼吸の通り道を確かめる
頚椎の損傷が疑われる傷病者では頭部を後屈させられないため、頭の位置を保ったまま下顎の骨の部分を前方へ持ち上げて気道を広げる。あわせて、マウスガードのように口の中から外せる物は取り出し、呼吸の通り道を目で確かめる。「額を押さえてあご先を持ち上げる方法で、頭部を後ろへ十分に倒して気道を広げる」は頚部に大きな動きを加えるため、この場面では選べない。「下顎の軟らかい部分を指で押し込み、舌の根が沈むのを押し戻す」は軟部組織に圧が加わってかえって気道を狭める。「あご先を引き下げて口を大きく開かせ、気道を広げる」は、器具がそろうまで気道が閉じたままになり、待つ間に低酸素が進む。
HINT 頭を倒せないなら、下顎の骨を前へ。軟らかい部分を押すと逆に狭まる。
- Q37#jaa-em-037
出血した選手の処置を終えた後で、自分の手の傷口に選手の血液が触れていたことに気づいた。このときの対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1選手に感染症の検査を受けるよう求め、その結果が出てから自分の対応を考える
- 2選手が使っていたガーゼと手袋を保管し、感染の有無を調べる資料とする
- 3触れた部分を直ちに流水で十分に洗い流し、続けて石けんで洗う正解
- 4傷口の血を押し出してから洗い流し、そのうえで絆創膏で覆う
- 5起きた時刻と状況を責任者へ伝え、医療機関で相談しておく正解
Answer
正解 3:触れた部分を直ちに流水で十分に洗い流し、続けて石けんで洗う / 5:起きた時刻と状況を責任者へ伝え、医療機関で相談しておく
血液や体液に触れてしまったときの手順は、流水で洗うこと、起きた時刻と状況を責任者へ伝えること、医療機関で相談することの三つである。感染の危険を下げる手立ては時間の経過とともに効き目が落ちるため、受診までの時間が物を言う。「選手に感染症の検査を受けるよう求め、その結果が出てから自分の対応を考える」は相手に検査を強いるもので、自分の受診を遅らせる。「選手が使っていたガーゼと手袋を保管し、感染の有無を調べる資料とする」は流水での洗浄と報告を欠いている。「傷口の血を押し出してから洗い流し、そのうえで絆創膏で覆う」は、症状が現れてからでは手立ての時機を過ぎてしまう。
HINT 曝露は「洗う・報告する・受診する」。相手の検査を待つ話ではない。
- Q38#jaa-em-038
競技中の事故で腹部に深い切り傷を負い、創口から腸の一部が出ている選手への現場での対応として最も適切なものはどれか。
- 1手袋を着けて出ている腸を腹の中へ戻し、そのうえで創を布で覆って搬送する
- 2出ている腸はそのままにして、水で湿らせた清潔な布で覆ったまま搬送する正解
- 3出ている腸の位置を写真に残し、搬送先の医師へ送ってから運ぶ
- 4乾いたガーゼを創に詰め込んで出血を抑え、創の縁を寄せる
- 5腸の表面に消毒の粉をかけて乾かし、ガーゼで覆う
Answer
正解 2:出ている腸はそのままにして、水で湿らせた清潔な布で覆ったまま搬送する
腹腔内の臓器が創口から出ている場合、現場でできるのは触れずに覆うことだけである。乾けば組織が傷むので、水で湿らせた清潔な布をかけたまま搬送する。「手袋を着けて出ている腸を腹の中へ戻し、そのうえで創を布で覆って搬送する」は手袋を使っても戻す行為そのものが腹腔内を汚し、損傷を広げる。「出ている腸の位置を写真に残し、搬送先の医師へ送ってから運ぶ」は乾いた材料で臓器を傷め、創を閉じることで内部の状態も分からなくなる。「乾いたガーゼを創に詰め込んで出血を抑え、創の縁を寄せる」は露出した臓器に消毒液が触れ、乾かす時間が組織の障害を進める。「腸の表面に消毒の粉をかけて乾かし、ガーゼで覆う」は、腹腔内の損傷として直ちに搬送すべき状態を見誤っている。
HINT 出た臓器は戻さない・乾かさない。現場の仕事は湿らせて覆うまで。
- Q39#jaa-em-039
試合中に相手の肘が頚部の前面に当たった選手が、声のかすれと息苦しさを訴えている。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1時間とともに気道が狭くなることがあるため、楽に座れる姿勢をとらせて救急車を要請する正解
- 2声が出せている間は気道が通っているとみて、本人の希望どおり競技を続けさせる
- 3首の前面を氷で押さえつけたまま冷やし、腫れが引くまで横にして待つ
- 4水や食べ物を口にさせないまま、呼吸の音と声の変化を見続ける正解
- 5首にカラーを巻いて頚椎を固定し、そのまま搬送する
Answer
正解 1:時間とともに気道が狭くなることがあるため、楽に座れる姿勢をとらせて救急車を要請する / 4:水や食べ物を口にさせないまま、呼吸の音と声の変化を見続ける
頚部の前面への強い衝撃では、喉頭の軟骨が傷み、その後に生じる内部の腫れによって気道が徐々に狭くなることがある。声のかすれと息苦しさはその徴候なので、楽に座れる姿勢をとらせて救急車を要請し、気道が閉じる方向へ進まないかを呼吸の音と声の変化で追う。悪化した場合に備え、口から水や食べ物は入れない。「声が出せている間は気道が通っているとみて、本人の希望どおり競技を続けさせる」は、この損傷が時間をかけて進むという性質を見落としている。「首の前面を氷で押さえつけたまま冷やし、腫れが引くまで横にして待つ」は前頚部を圧迫して気道をさらに狭め、横にすることで呼吸も苦しくなる。「首にカラーを巻いて頚椎を固定し、そのまま搬送する」は、方向は合っているが対象を取り違えており、ここで守らなければならないのは頚椎ではなく気道である。
HINT のどを打った後の声のかすれは「これから狭くなる」合図。飲ませずに運ぶ。
- Q40#jaa-em-040
転倒して折れた用具の破片が大腿に深く刺さり、抜けないまま出血している選手への現場での対応として最も適切なものはどれか。
- 1刺さった破片を引き抜いたうえで、創口を手のひらで押さえ込んで出血を抑える
- 2刺さった破片はそのまま残し、周りを支えて固定したうえで搬送する正解
- 3破片の周りを消毒液で洗ったうえで、包帯を創口の真上から巻いて留める
- 4破片の露出した部分を切り落とし、残りは包帯で覆う
- 5破片を少しずつ動かして深さを調べ、浅ければ抜いて手当する
Answer
正解 2:刺さった破片はそのまま残し、周りを支えて固定したうえで搬送する
深く刺入した異物は、血管や神経を巻き込んでいることがあり、抜いた瞬間に押さえのきかない出血が始まる。現場では抜かずに残し、周りを支えて動かないようにしてから搬送する。「刺さった破片を引き抜いたうえで、創口を手のひらで押さえ込んで出血を抑える」はその出血を自ら招く。「破片の周りを消毒液で洗ったうえで、包帯を創口の真上から巻いて留める」は異物の真上を締めることで、破片がさらに奥へ押し込まれる。「破片の露出した部分を切り落とし、残りは包帯で覆う」は切る作業そのものが振動を与え、取り出す手がかりも失われる。「破片を少しずつ動かして深さを調べ、浅ければ抜いて手当する」は、深さを確かめる行為が損傷を広げるため現場では行わない。
HINT 刺さった物は抜かない・切らない・動かさない。支えて運ぶまでが現場の仕事。
- Q41#jaa-em-041
高所からの落下で骨盤と大腿の骨折が疑われる選手が、顔色が青白く脈が速くなっている。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1骨折した部位に副子を当て、本人が楽に座れる姿勢をとらせる
- 2骨盤の下に手を入れて持ち上げ、下肢を高く保って心臓へ戻る血液を増やす
- 3外からは見えない出血が体の中で続くため、動かさずに救急車を要請する正解
- 4顔色や脈、息の様子の変化を続けて見ておく正解
- 5打ったところを冷やして痛みを抑え、歩けるかどうかを試させる
Answer
正解 3:外からは見えない出血が体の中で続くため、動かさずに救急車を要請する / 4:顔色や脈、息の様子の変化を続けて見ておく
骨盤と大腿の骨折では、骨の周囲の太い血管から大量の血液が体の中へ流れ出し、外からは出血が見えないままショックに進む。顔色が青白く脈が速いのはその徴候なので、動かさずに救急車を要請し、顔色・脈・呼吸の変化を追い続ける。「骨盤の下に手を入れて持ち上げ、下肢を高く保って心臓へ戻る血液を増やす」は、骨折した骨盤を動かして出血をさらに増やすため行ってはならない。「骨折した部位に副子を当て、本人が楽に座れる姿勢をとらせる」は、座らせることで骨盤に体重が加わる。「打ったところを冷やして痛みを抑え、歩けるかどうかを試させる」は、荷重を試す行為が骨折部をずらし、失血を進める。
HINT 骨盤と大腿の骨折は「見えない出血」。持ち上げる・座らせる・歩かせるは全部逆。
- Q42#jaa-em-042
競技中の事故で指の先端が切り落とされ、切断された部分がその場に残っている。切断された部分の扱いとして最も適切なものはどれか。
- 1よく洗ってから乾いた紙に包み、常温のまま一緒に医療機関へ運んでもらう
- 2切断された部分を消毒液に浸して保管し、痛みが引いてから届ける
- 3湿らせた清潔な布で包んで袋に入れ、その袋を氷で冷やす正解
- 4氷の上に直接のせて冷やし、溶けた水に浸かった状態で運ぶ
- 5切断された部分を元の位置に押し当て、テープで留める
Answer
正解 3:湿らせた清潔な布で包んで袋に入れ、その袋を氷で冷やす
切断された部分は、接合できる見込みを残すために「乾かさない」「直接は冷やしすぎない」「急いで運ぶ」の三つで扱う。湿らせた清潔な布で包んで袋に入れ、その袋のほうを氷で冷やすと、組織の温度を下げながら水に浸かるのを避けられる。「よく洗ってから乾いた紙に包み、常温のまま一緒に医療機関へ運んでもらう」は乾燥と温度の両方で組織を傷める。「切断された部分を消毒液に浸して保管し、痛みが引いてから届ける」は消毒液が組織を傷め、届ける時機も遅い。「氷の上に直接のせて冷やし、溶けた水に浸かった状態で運ぶ」は凍結と水への浸漬で組織が使えなくなる。「切断された部分を元の位置に押し当て、テープで留める」は創部を汚し、固定にもならない。
HINT 切断片は「湿らせて包む→袋に入れる→袋を冷やす」。氷や水に直接触れさせない。
- Q43#jaa-em-043
暑い日の練習中に選手が倒れ、呼びかけへの応答があいまいである。現場での評価と対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1暑熱の環境で倒れた以上は熱中症であるため、冷却に人手を集中させる
- 2冷却を始めると同時に、本人の服薬や頭部の打撲など別の原因も見落とさないように聴き取る正解
- 3冷却と並行して血糖や血圧を測る器具を集め、測れた値がそろった段階で原因を決める
- 4体温計の値が低ければ、熱中症ではないと考えて冷却を見送る
- 5倒れるまでの経過を見ていた選手から、練習の様子を聞く正解
Answer
正解 2:冷却を始めると同時に、本人の服薬や頭部の打撲など別の原因も見落とさないように聴き取る / 5:倒れるまでの経過を見ていた選手から、練習の様子を聞く
暑熱の環境で意識の状態が落ちていれば労作性熱射病をまず疑うが、低血糖、頭部の外傷、心臓の疾患など別の原因でも同じ場面になりうる。冷却を始めることと、別の原因を探ることは同時に進められるので、目撃した選手から経過を聞き、打撲や服薬の有無を確かめる。「暑熱の環境で倒れた以上は熱中症であるため、冷却に人手を集中させる」は原因を一つに決めつけており、他の原因なら手当が届かない。「冷却と並行して血糖や血圧を測る器具を集め、測れた値がそろった段階で原因を決める」は、現場で原因を確定させようとするもので、搬送と医師への引き継ぎが遅れる。「体温計の値が低ければ、熱中症ではないと考えて冷却を見送る」は、現場で測れる体温が深部の温度を表さないことを見落としている。
HINT 冷やすのと原因を探るのは同時にできる。どちらかに決め打ちしない。
- Q44#jaa-em-044
救護所と大会ドクターが置かれている大会で、競技中に重大な外傷が疑われる選手が出た。連絡の進め方として最も適切なものはどれか。
- 1まず大会ドクターの診察を受けさせ、その結果が出てから救急車を要請するかを決める
- 2選手の所属するチームの指導者に伝え、その指導者から救護本部へ連絡してもらう
- 3救護本部と大会の運営、相手のチームへ同時に連絡を回し、全員の到着を待って搬送を始める
- 4救急車と大会ドクターの両方を呼んだうえで、どちらが先に着くかを見てから対応を決める
- 5救急車の要請を進めながら、救護本部へも伝えて医師を現場へ呼ぶ正解
Answer
正解 5:救急車の要請を進めながら、救護本部へも伝えて医師を現場へ呼ぶ
大会に医師がいる体制でも、現場で重大な外傷を疑った時点で救急車の要請を進めることと、救護本部に伝えて医師を現場へ呼ぶことは同時に行える。両方を並べて動かすのが最も早い。「まず大会ドクターの診察を受けさせ、その結果が出てから救急車を要請するかを決める」は診察の順番を待つ時間が加わる。「選手の所属するチームの指導者に伝え、その指導者から救護本部へ連絡してもらう」は連絡の経路を一段増やし、伝わる内容も薄くなる。「救護本部と大会の運営、相手のチームへ同時に連絡を回し、全員の到着を待って搬送を始める」は、連絡の範囲を広げたうえ、到着を待つことで搬送が遅れる。「どちらが先に着くかを見てから対応を決める」は、到着を待つ間に現場でできる処置と引き継ぎの準備を進めないまま時間を使う。
HINT 救急要請と救護本部への連絡は、どちらかではなく同時に。
- Q45#jaa-em-045
労作性熱射病が疑われる選手を冷水に浸けて冷やしている。冷却を続けている間に守ることとして正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1冷却に人手を集めることを優先し、救急車の要請は体温が下がってから行う
- 2頭部と気道が水面より上に保たれるよう、体を支える者を傍につける正解
- 3意識の状態と呼吸の様子を、冷却の間も続けて確かめる正解
- 4氷を足し続けて水温を下げ、浸けた時間を記録に残す
- 5震えが出た時点で冷却を終え、毛布で全身を覆う
Answer
正解 2:頭部と気道が水面より上に保たれるよう、体を支える者を傍につける / 3:意識の状態と呼吸の様子を、冷却の間も続けて確かめる
冷水に全身を浸ける冷却は最も早く深部の温度を下げるが、意識の状態が落ちている傷病者を水に入れる行為そのものに危険が伴う。頭部と気道が水面より上に保たれるよう体を支える者を傍につけ、意識と呼吸の様子を冷却の間も見続ける。「冷却に人手を集めることを優先し、救急車の要請は体温が下がってから行う」は、冷却と救急要請は並行して進められるため誤り。「氷を足し続けて水温を下げ、浸けた時間を記録に残す」は水温と時間の管理に目が向き、傷病者の状態の観察が抜けている。「震えが出た時点で冷却を終え、毛布で全身を覆う」は、熱射病の冷却を本人の訴えで打ち切ることになり、医療への引き渡しも遅れる。
HINT 浸ける冷却では「頭を水面上に保つ」「意識と呼吸を見続ける」が付き添いの仕事。
- Q46#jaa-em-046
練習中に起きた心停止の事故で救急対応に当たったスタッフが、数日たっても眠りが浅く、現場の場面が頭に浮かぶと話している。チームとしての受け止め方として最も適切なものはどれか。
- 1対応に当たった者にも強い反応が起こることを前提に、相談できる窓口と休む時間を用意する正解
- 2対応の経験は次に生かす材料なので、手順の振り返りの場で本人に詳しく語らせる
- 3判断に誤りがなかったのであれば、時間が解決する問題として様子をみる
- 4同じ場面に立たせないよう、今後の大会では本人に伝えず配置を替える
- 5本人の反応を毎日の面談で詳しく聴き取り、経過を記録として残し続ける
Answer
正解 1:対応に当たった者にも強い反応が起こることを前提に、相談できる窓口と休む時間を用意する
重大な事故の救急対応では、対応に当たった者自身にも睡眠の乱れや場面の想起といった反応が現れることがある。支援の仕組みを傷病者と目撃者だけに向けず、対応者も対象に含めて、相談できる窓口と休む時間を用意しておく。「対応の経験は次に生かす材料なので、手順の振り返りの場で本人に詳しく語らせる」は、手順の検討の場で体験を語らせることになり負担を強める。「判断に誤りがなかったのであれば、時間が解決する問題として様子をみる」は、反応の有無が判断の正しさとは別であることを見落としている。「同じ場面に立たせないよう、今後の大会では本人に伝えず配置を替える」は本人の意思を飛ばした扱いである。「本人の反応を毎日の面談で詳しく聴き取り、経過を記録として残し続ける」は、体験を繰り返し語らせることになり負担を強める。
HINT 事故の後に支援が要るのは傷病者と目撃者だけではない。対応した者も含める。
- Q47#jaa-em-047
練習中に足関節を強くひねった選手は、意識と呼吸に問題がなく、痛みはあるが支えがあれば立てる。受診のさせ方として最も適切なものはどれか。
- 1外傷が起きた場合は一律に救急車を要請する決まりにして、判断に迷う場面をつくらない
- 2付き添う者をつけて医療機関へ向かわせ、状態の変化があれば救急車に切り替える正解
- 3本人が歩けると話しているので、練習の終わりまで待たせてから受診させる
- 4受診の要否は指導者に決めてもらい、自分は残りの練習の支援に戻る
- 5受診の前に関節の可動域と筋力を測り直し、記録を整えておく
Answer
正解 2:付き添う者をつけて医療機関へ向かわせ、状態の変化があれば救急車に切り替える
救急車の要請は、意識・呼吸・循環に問題がある場合や、頭部・頚部・体幹の重い外傷が疑われる場合に行う。この選手はいずれにも当たらないので、付き添う者をつけて医療機関へ向かわせ、途中で状態が変われば救急車に切り替える。「外傷が起きた場合は一律に救急車を要請する決まりにして、判断に迷う場面をつくらない」は、重い傷病者のための資源を使ってしまい、現場で状態を見る力も育たない。「本人が歩けると話しているので、練習の終わりまで待たせてから受診させる」は受診を遅らせ、移動中に支える者もいない。「受診の要否は指導者に決めてもらい、自分は残りの練習の支援に戻る」は状態を見た者が判断を手放している。「受診の前に関節の可動域と筋力を測り直し、記録を整えておく」は、骨折の有無を確かめる機会を翌日まで遅らせる。
HINT 全部救急車でも、全部様子見でもない。付き添い受診+変化したら切り替えが中間の答え。
- Q48#jaa-em-048
重大な外傷が疑われる選手を救急車で搬送する場面で、送り出す側が整えることとして正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1搬送の手続きが早く進むよう、担当のATが同行して現場の指揮も電話で続ける
- 2同行する者は、選手の競技の成績と起用の予定を病院へ伝えられるようにする
- 3家族が到着するまで同行する者を決めず、救急隊に選手の情報を口頭で伝えてもらう
- 4救急車に同行する者を一人だけ決めて、現場に残る者と役割を分ける正解
- 5既往と服薬、連絡先の控えを救急隊と同行する者に渡す正解
Answer
正解 4:救急車に同行する者を一人だけ決めて、現場に残る者と役割を分ける / 5:既往と服薬、連絡先の控えを救急隊と同行する者に渡す
搬送が始まると、現場に残る対応と病院側への情報の受け渡しが同時に必要になる。同行する者を一人決めて現場に残る者と役割を分け、既往・服薬・連絡先の控えを救急隊とその者に渡しておくと、本人が答えられない場面でも情報が届く。「搬送の手続きが早く進むよう、担当のATが同行して現場の指揮も電話で続ける」は、一人が二つの持ち場を抱えてどちらも薄くなる。「同行する者は、選手の競技の成績と起用の予定を病院へ伝えられるようにする」は、治療の判断に関わらない情報を渡している。「家族が到着するまで同行する者を決めず、救急隊に選手の情報を口頭で伝えてもらう」は、救急隊に情報の保持まで負わせ、病院での確認の手がかりが残らない。
HINT 搬送のときは「同行する人を一人決める」「紙にした情報を持たせる」が現場の仕事。
- Q49#jaa-em-049
屋外のグラウンドで倒れた選手のために、居合わせた部員に119番通報を頼む。通報する者に伝えるよう指示する内容として最も適切なものはどれか。
- 1通報の電話は自分が代わって話すため、部員には番号を押すところまでを頼む
- 2学校の名称と住所だけを正確に伝えさせ、残りは救急隊が到着してから説明する
- 3疑われる傷病の名前と重さの見立てを、通報した時点で合わせて伝えさせる
- 4救急車が入れる門と目印、傷病者の状態、折り返しの番号を伝えさせる正解
- 5選手の氏名と学年、保護者の連絡先を先に伝えさせる
Answer
正解 4:救急車が入れる門と目印、傷病者の状態、折り返しの番号を伝えさせる
通報で救急車の到着を左右するのは、救急車が入れる門と目印がはっきり伝わるかである。あわせて傷病者の状態と折り返しの番号を伝えさせると、通信指令員から現場へ指示を返せる。「学校の名称と住所だけを正確に伝えさせ、残りは救急隊が到着してから説明する」は、広い敷地のどこへ向かえばよいかが伝わらない。「疑われる傷病の名前と重さの見立てを、通報した時点で合わせて伝えさせる」は、頼まれた部員に判断を負わせるもので、伝わる内容も不確かになる。「通報の電話は自分が代わって話すため、部員には番号を押すところまでを頼む」は、傷病者から離れる時間をつくる。「選手の氏名と学年、保護者の連絡先を先に伝えさせる」は、出動の判断に関わらない情報から始めている。
HINT 通報で効くのは「どこへ入るか」と「折り返せるか」。見立ては頼まれた人に負わせない。
- Q50#jaa-em-050
練習中の事故で選手を医療機関へ搬送した後、ATがその日のうちに行うこととして正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1同じ事故が起こらないよう、用具を入れ替えて練習の計画もその日のうちに書き直す
- 2原因が分かるまで会場の使用を止め、関係した用具はすべて廃棄して処理する
- 3事故が起きた場所と用具の状態について、片づける前に写真と文章で残す正解
- 4その場面を見ていた者から、その日のうちに別々に話を聞きとる正解
- 5資料は救急の報告に用いるので、搬送した選手の分だけとする
Answer
正解 3:事故が起きた場所と用具の状態について、片づける前に写真と文章で残す / 4:その場面を見ていた者から、その日のうちに別々に話を聞きとる
事故の状況は、片づけが進むほど再現できなくなる。場所と用具の状態を写真と文章で残し、その場面を見ていた者からその日のうちに別々に話を聞きとると、後からの検討に使える材料がそろう。別々に聞くのは、互いの記憶が混ざるのを避けるためである。「同じ事故が起こらないよう、用具を入れ替えて練習の計画もその日のうちに書き直す」は、原因が分かる前に現場を変えてしまい、検討の手がかりを失う。「原因が分かるまで会場の使用を止め、関係した用具はすべて廃棄して処理する」は活動全体を止めるうえ、廃棄で物証もなくなる。「資料は救急の報告に用いるので、搬送した選手の分だけとする」は、環境や用具の情報を落としてしまう。
HINT 片づける前に残す。見ていた人の話は、その日のうちに別々に。
- Q51#jaa-em-051
野球の試合で打球が胸に当たった直後に倒れ、呼びかけへの反応がない選手がいる。現場での対応として最も適切なものはどれか。
- 1打球が当たった場所の皮膚と肋骨の状態を確かめ、骨折の有無を調べてから動く
- 2胸骨や肋骨の骨折が疑われるため、胸骨圧迫は控えて救急隊の到着を待つ
- 3打球の衝撃で息が詰まった状態とみて、呼吸が戻るまで横にして様子をみる
- 4胸部の損傷が強く疑われるので、除細動器は使わずに胸骨圧迫を続ける
- 5胸の外傷よりも心停止を疑い、胸骨圧迫を始めて除細動器を運ばせる正解
Answer
正解 5:胸の外傷よりも心停止を疑い、胸骨圧迫を始めて除細動器を運ばせる
胸部への強い衝撃が心臓の電気的な活動を乱し、心停止に至ることがある。胸の外傷に目を奪われず、反応がない時点で心停止として胸骨圧迫を始め、除細動器を運ばせる。「胸骨や肋骨の骨折が疑われるため、胸骨圧迫は控えて救急隊の到着を待つ」は、骨折の心配を理由に蘇生を止めるもので、助かる見込みを下げる。「打球が当たった場所の皮膚と肋骨の状態を確かめ、骨折の有無を調べてから動く」は外傷の評価を先に置いており順序が逆。「打球の衝撃で息が詰まった状態とみて、呼吸が戻るまで横にして様子をみる」は心停止を見落としている。「胸部の損傷が強く疑われるので、除細動器は使わずに胸骨圧迫を続ける」は、この場面で最も効く電気ショックの機会を捨てている。
HINT 胸に打球が当たって倒れたら、外傷ではなく心停止を先に疑う。
- Q52#jaa-em-052
屋外の練習中に選手が蜂に刺され、刺された腕が赤く腫れて痛みを訴えている。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1刺された部位を流水で洗って冷やし、全身に広がる症状が現れないかを見続ける正解
- 2刺された部位を口で吸って毒を抜いたうえで、冷やして腫れの引き方をみる
- 3全身のじんましんや息苦しさが加わった場合は、直ちに救急車を要請する正解
- 4痛みが引くまでその場で座らせ、本人の申し出があれば練習に戻す
- 5刺されたのが初めてなら全身の症状は起こらないため、手当を終える
Answer
正解 1:刺された部位を流水で洗って冷やし、全身に広がる症状が現れないかを見続ける / 3:全身のじんましんや息苦しさが加わった場合は、直ちに救急車を要請する
蜂に刺された直後は刺された部位の痛みと腫れが目に入るが、現場で見張るべきは全身に広がる症状である。流水で洗って冷やしたうえで、じんましん・息苦しさ・顔色の変化が加わらないかを見続け、加わった場合は直ちに救急車を要請する。「刺された部位を口で吸って毒を抜いたうえで、冷やして腫れの引き方をみる」は口の粘膜から毒が入る危険があり、毒も抜けない。「痛みが引くまでその場で座らせ、本人の申し出があれば練習に戻す」は、全身の症状が現れる時間帯に練習へ戻すことになる。「刺されたのが初めてなら全身の症状は起こらないため、手当を終える」は、初めての刺傷でも全身の反応が起こりうることを見落としている。
HINT 蜂刺しで見るのは刺された腕ではなく全身。口で吸う方法は用いない。
- Q53#jaa-em-053
側胸部を強打した選手が、深い呼吸と咳で胸の一点に鋭い痛みを訴えている。意識と呼吸の状態は保たれている。現場での対応として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 1弾性の包帯を胸に一周させて強く巻き締め、痛みが出ないように固定する
- 2痛む側に手を添えて咳をさせ、本人が楽に呼吸できる姿勢をとらせる正解
- 3骨折の有無を調べるため、胸郭を両側から手で挟んで痛みの場所を探る
- 4痛みを和らげるため、深く大きく息を吸う練習を繰り返させる
- 5息苦しさや顔色の変化を見ながら受診につなげる正解
Answer
正解 2:痛む側に手を添えて咳をさせ、本人が楽に呼吸できる姿勢をとらせる / 5:息苦しさや顔色の変化を見ながら受診につなげる
肋骨の骨折が疑われる場面で胸を強く巻き締めると、胸郭の動きが制限されて呼吸が浅くなり、肺の合併症を招く。咳のときは痛む側に手を添えて支えさせ、本人が楽に呼吸できる姿勢をとらせると、深い呼吸を保ちながら痛みを抑えられる。そのうえで息苦しさや顔色の変化を見ながら受診につなげる。「弾性の包帯を胸に一周させて強く巻き締め、痛みが出ないように固定する」はまさにその呼吸の制限を生む。「骨折の有無を調べるため、胸郭を両側から手で挟んで痛みの場所を探る」は骨折部をずらし、肺や血管を傷める危険がある。「痛みを和らげるため、深く大きく息を吸う練習を繰り返させる」は、痛みを増やすうえ受診の判断も遅らせる。
HINT 肋骨は締めて固めない。楽な姿勢で、咳のときは手で支えさせる。
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