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資格のニガテ一問一答
JATI-ATI 専門科目科目模擬試験復習

測定と評価全60問・正解と解説つき

JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)専門科目・ 公式テキスト第2章・ 分量 25%

トレーニング効果の測定と評価、測定データの活用とフィードバック、測定の妥当性と信頼性。

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  1. 競技者に対してトレーニング効果の測定を実施するタイミングの考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1疲労が色濃く残る大会直後にまとめて実施し、値は翌年の計画と切り離して扱う
    • 2ピリオダイゼーションの区切りに合わせて実施し、その期に狙った体力要素の到達度を確認する正解
    • 3期の途中も含めて毎週測り直し、値が少しでも動いたらそのつど計画を組み替える
    • 4測定はプログラムの開始前に一度だけ行い、以降はそれきりにする

    Answer

    正解 2:ピリオダイゼーションの区切りに合わせて実施し、その期に狙った体力要素の到達度を確認する

    測定のタイミングは、ピリオダイゼーションの区切り(各期の終わりなど)に合わせて実施し、その期に狙った体力要素がどこまで到達しているかを確認することで、次の期の計画に反映できる。「疲労が色濃く残る大会直後にまとめて実施し、値は翌年の計画と切り離して扱う」は、疲労の影響を受けた値になるうえ活用もされない。「期の途中も含めて毎週測り直し、値が少しでも動いたらそのつど計画を組み替える」は、測定の負担が増えるうえ、誤差の範囲内の上下に計画が振り回される。「プログラムの開始前に一度だけ行い、以降はそれきりにする」も、経過を追えず次の期分けに使えない。

    HINT 『いつ測るか』も設計のうち。期分けの節目に合わせるから、次の期の計画に使える。

  2. 回数からの推定式を用いて1RMを求める方法の妥当性に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1トレーニング経験が浅いほど推定式はよく当てはまり、熟練者では外れやすい
    • 2推定値は実測の1RMより低めに出るため、一定の係数を足して補正する
    • 3反復回数が多く、疲労困憊に近いほど、誤差は少ないまま精度が高くなる
    • 4反復回数が少ないほど誤差は小さく、回数が増えるにつれ誤差は大きくなる正解

    Answer

    正解 4:反復回数が少ないほど誤差は小さく、回数が増えるにつれ誤差は大きくなる

    回数からの推定式は、反復回数が少ない試行のほうが誤差が小さく、反復回数が増えるにつれて疲労や技術の乱れが値に影響しやすくなり、誤差が大きくなりやすい。推定に使うなら、できるだけ少ない反復で限界に達する重量で測るほうがよい。「トレーニング経験が浅いほど推定式はよく当てはまり、熟練者では外れやすい」は誤りで、経験の浅い者ほど限界まで反復しきれず動作も乱れやすいため、推定の誤差はむしろ大きくなりやすい。「推定値は実測の1RMより低めに出るため、一定の係数を足して補正する」も誤りで、誤差の向きと大きさは式・種目・対象者によって変わり、決まった係数で補正できるものではない。「反復回数が多く、疲労困憊に近いほど、誤差は少ないまま精度が高くなる」も誤りで、回数が増えるほど誤差はむしろ大きくなりやすい。

    HINT 推定式は『何回でもOK』ではない。回数が増えるほど誤差も増えることを知っておく。

  3. トレーニング前後で測定を比較する際の条件として最も適切なものはどれか。

    • 1測定の条件がばらついたままでも、値の差を比較すればよい
    • 2条件をそろえた分だけ誤差は消えるため、前後の差はすべて効果として読む
    • 3前は測定者Aが、後は測定者Bが測ることで、客観性が高まる
    • 4測定の時間帯、前日の運動や食事、使用機器や測定者をそろえ、変えるのはトレーニングだけにする正解

    Answer

    正解 4:測定の時間帯、前日の運動や食事、使用機器や測定者をそろえ、変えるのはトレーニングだけにする

    前後の比較では、測定の時間帯、前日の運動や食事、使用機器、測定者といった条件をできるだけそろえることで、トレーニングによる変化と条件の違いによる変動を区別できる。「条件は問わず、値の差だけを比較すればよい」は、条件の違いによる差をトレーニングの効果と取り違える。「条件をそろえた分だけ誤差は消えるため、前後の差はすべて効果として読む」は、そろえる方向は正しいが、そろえても測定の誤差は残るため、差が誤差を超える大きさかの検討が要る。「前は測定者Aが、後は測定者Bが測ることで客観性が高まる」も誤りで、測定者が変わると差が測定者の違いによるものか区別できなくなる。

    HINT 「変えていいのはトレーニングだけ」。他が変わると何が効いたのか分からなくなる。

  4. 最大挙上重量(1RM)の測定に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1ウォームアップを省いて最初から最大重量に挑戦したほうが、疲労が少なく正確に測れる
    • 2試行間の休息は短いほど、筋の温まりが保たれて高い値が出る
    • 3十分なウォームアップと段階的な重量の増加を行い、試行間に十分な休息をとる正解
    • 4初心者にも必ず実測で行うべきであり、推定は用いてはならない

    Answer

    正解 3:十分なウォームアップと段階的な重量の増加を行い、試行間に十分な休息をとる

    1RMの測定では、十分なウォームアップを行ったうえで段階的に重量を上げ、試行間には数分の十分な休息をとる。これにより疲労の影響を抑えつつ安全に最大値へ近づける。「ウォームアップを省いて最初から最大重量に挑戦」は傷害のリスクが高く、力も発揮できない。「試行間の休息は短いほど高い値が出る」は誤りで、休息が不足するとクレアチンリン酸の再合成が進まず値は低くなる。「初心者にも必ず実測で行うべき」も誤りで、フォームが安定していない段階では、複数回の反復からの推定を用いるほうが安全である。

    HINT 初心者に1RM実測は危ない。反復回数からの推定で足りる場面が多い。

  5. 垂直跳びの測定で主に評価できる能力はどれか。

    • 1下肢の伸展方向のパワー正解
    • 2全身持久力
    • 3上肢の最大筋力
    • 4静的な柔軟性

    Answer

    正解 1:下肢の伸展方向のパワー

    垂直跳びは、短時間に大きな力を発揮して身体を上方へ加速させる動作であり、下肢の伸展方向のパワーを評価する種目として広く用いられる。「全身持久力」は長時間の運動を継続する能力で、数秒で終わる跳躍では評価できない。「上肢の最大筋力」も、腕振りの寄与はあるものの主に評価される能力ではない。「静的な柔軟性」は関節の可動域であり、別の測定で評価する。

    HINT 「何を測っているか」を言えることが妥当性の前提。測れないものを読み取らない。

  6. チームスポーツにおいて、体力測定の結果をチームの運営に活用する際の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1測定結果の順位をそのままチーム内に公開し、起用は数値だけで機械的に決定する
    • 2結果が本人に不利益にならないよう、個人の測定結果は本人にも一切伝えない
    • 3個人の結果は本人にだけ伝え、起用は他の情報も踏まえて総合的に判断する正解
    • 4監督だけが結果を保有し続け、選手には目的も内容もいっさい説明しない

    Answer

    正解 3:個人の結果は本人にだけ伝え、起用は他の情報も踏まえて総合的に判断する

    体力測定の結果はまず本人に伝えることが前提であり、ポジションや起用といったチームの判断は測定結果だけでなく、技術や試合での動き、コンディションなど他の情報も踏まえて総合的に行う。「測定結果の順位をそのままチーム内に公開し、起用は数値だけで機械的に決定する」は、個人情報の面でも問題があり、測定に含まれない要素を無視することになる。「個人の測定結果は本人にも一切伝えない」は、本人が自分の状態を把握する機会を奪う。「監督だけが結果を保有し続け、選手には目的も内容もいっさい説明しない」も、透明性を欠いた対応である。

    HINT 本人に伝えないのは論外だが、チームの起用は数値『だけ』で決めるものでもない。

  7. 測定結果に左右差が認められた場合の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1左右差は必ず異常であるため、見つけしだい左右を完全に等しくすることを目標にする
    • 2左右差は測定の誤差にすぎないため、解釈の対象としない
    • 3左右差は利き側の使用による適応なので、傷害の既往は確かめずに経過をみる
    • 4競技特性や利き側による差もあるため、傷害の既往や動作の質と併せて解釈する正解

    Answer

    正解 4:競技特性や利き側による差もあるため、傷害の既往や動作の質と併せて解釈する

    左右差は、競技特性や利き側の使用頻度によって生じることもあれば、傷害の既往や動作の代償によって生じることもある。したがって数値だけで判断せず、傷害の履歴や動作の質と併せて解釈する。「必ず異常であるため、左右を完全に等しくすることを目標にする」は、競技特性による差まで問題視することになる。「測定の誤差にすぎないため、解釈の対象としない」は、傷害のリスクの手がかりを捨てることになる。「左右差は利き側の使用による適応なので、傷害の既往は確かめずに経過をみる」も、原因を一つに決めつけており、かばった結果として生じた差を見落とす。

    HINT 左右差そのものより「なぜ生じたか」。競技由来か、かばった結果かで意味が変わる。

  8. フィールドテストと実験室での測定を比べたときの、フィールドテストの特徴として最も適切なものはどれか。

    • 1特別な機器を要さず多人数に実施でき、測定の精度も実験室での測定を上回る
    • 2実験室での測定より精度は高いが、実施に時間と費用がかかる
    • 3特別な機器を使わず多人数に実施できるが、精度は実験室での測定に劣る正解
    • 4屋外で行うため気温や路面の影響を受けるが、人数を絞れば実験室と同等の精度になる

    Answer

    正解 3:特別な機器を使わず多人数に実施できるが、精度は実験室での測定に劣る

    フィールドテストは特別な機器を要さず、現場で多人数に実施できる点が利点である一方、条件の統制が難しく測定の精度は実験室での測定に劣ることが多い。実施しやすさと精度は引き換えの関係にあるため、目的に応じて選ぶ。「精度も実験室での測定を上回る」は、この関係を取り違えている。「実験室での測定より精度は高いが、実施に時間と費用がかかる」は、利点と欠点の両方が逆になっている。「屋外で行うため気温や路面の影響を受けるが、人数を絞れば実験室と同等の精度になる」も誤りで、誤差の源は気温や路面、実施者による条件のばらつきにあるため、人数を減らしてもその条件を統制できないかぎり精度は実験室に並ばない。

    HINT 「手軽さと精度は引き換え」。現場で回す以上、精度の限界を知ったうえで使う。

  9. 測定の前に対象者へ説明すべき内容として最も適切なものはどれか。

    • 1目的、方法、リスク、結果の扱いを省略せずに伝えて同意を得る正解
    • 2測定の方法のみを伝え、目的と結果の取り扱いは省略する
    • 3起こりうるリスクを数多く挙げて念入りに伝える
    • 4目的と方法を書面で渡し、同意は測定を終えたあとにまとめて得る

    Answer

    正解 1:目的、方法、リスク、結果の扱いを省略せずに伝えて同意を得る

    測定の前には、何のために測るのか(目的)、どのように測るのか(方法)、どのようなリスクがありうるか、得られた結果をどう扱うのかを伝えて同意を得る。とくに最大努力を伴う測定ではリスクの説明が欠かせない。「方法のみを伝え、目的と結果の取り扱いは省略する」は、同意の前提となる情報が足りない。「起こりうるリスクを数多く挙げて念入りに伝える」は、リスクの説明の量は足りていても、目的・方法・結果の扱いという説明すべき項目が抜けている。「目的と方法を書面で渡し、同意は測定を終えたあとにまとめて得る」も、順序が逆で、実施前に同意を得るという前提を満たさない。

    HINT 「何のために・どう測り・どんな危険があり・結果をどう使うか」。4点セットで説明する。

  10. 四肢を部位別に測定できるタイプの生体電気抵抗法(セグメント法)を用いる利点として最も適切なものはどれか。

    • 1四肢ごとの除脂肪量を比較でき、左右差の把握に役立つ正解
    • 2全身を一括で測る方法に比べて水分状態の影響をほとんど受けない
    • 3X線を用いる方法に比べて、測定できる部位の種類がぐっと絞られる
    • 4部位ごとに測定する場合でも、測定前の条件をそろえる意味は薄れる

    Answer

    正解 1:四肢ごとの除脂肪量を比較でき、左右差の把握に役立つ

    セグメント法は四肢を部位別に測定できるため、四肢ごとの除脂肪量を比較でき、競技者における左右差の把握に役立つ。「全身を一括で測る方法に比べて水分状態の影響をほとんど受けない」は誤りで、セグメント法も生体電気抵抗法である以上、体内の水分状態の影響を受ける点は変わらない。「X線を用いる方法に比べて、測定できる部位の種類がぐっと絞られる」は、比較の対象がそもそも噛み合っていない。「部位ごとに測定する場合でも、測定前の条件をそろえる意味は薄れる」も誤りで、飲食や発汗などの条件をそろえる必要は残る。

    HINT セグメント法が効くのは『左右を見たいとき』。水分の影響を受けやすい点は変わらない。

  11. トレーニングの記録(トレーニングログ)を活用する意義として最も適切なものはどれか。

    • 1負荷と量の推移を追い、次の負荷設定と停滞原因の把握に使える正解
    • 2記録することが目的であり、内容を見返す必要はない
    • 3指導者が対象者を管理し、達成できなかった日を指摘するための材料になる
    • 4毎回の感想を文章で詳しく残し、扱った負荷と量は本人の記憶に任せる

    Answer

    正解 1:負荷と量の推移を追い、次の負荷設定と停滞原因の把握に使える

    トレーニングの記録は、扱った負荷と量の推移を追うことで、次の負荷設定の判断材料になり、停滞が生じたときに原因を探る手がかりにもなる。「記録することが目的であり、内容を見返す必要はない」は、活用という中心的な意義を落としている。「指導者が対象者を管理し、達成できなかった日を指摘するための材料」は、本人の主体性を損ない記録が続かなくなる。「毎回の感想を文章で詳しく残し、扱った負荷と量は本人の記憶に任せる」も誤りで、記録の量は多くても負荷と量の推移が残らず、次の設定や停滞の原因を探る手がかりにならない。

    HINT 「なぜ伸びたか/止まったか」は記録がないと再現も修正もできない。

  12. 測定項目を選ぶ際の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1測定できる項目はすべて実施し、情報量を最大にする
    • 2対象者が得意な項目のみを選び、良い結果が出るようにする
    • 3目的とプログラムの狙いに対応した項目だけを選ぶ正解
    • 4先に項目を決めておき、出た数値に合うようにあとから狙いを定める

    Answer

    正解 3:目的とプログラムの狙いに対応した項目だけを選ぶ

    測定項目は、対象者の目的とプログラムの狙いに対応したものを選ぶ。狙いに対応していない項目は、値が動いてもプログラムの評価に使えない。また実施の負担が大きすぎると継続できないため、実施可能な範囲にしぼることも欠かせない。「測定できる項目はすべて実施し、情報量を最大にする」は、対象者の負担が大きく継続しにくい。「得意な項目のみを選び、良い結果が出るようにする」は、評価としての意味を失う。「先に項目を決めておき、出た数値に合うようにあとから狙いを定める」も、順序が逆である。狙いが後づけになれば、どの項目を測っても説明がついてしまい、評価として働かない。

    HINT 「その値が動いたら何が言えるか」を先に決める。言えないなら測る意味が薄い。

  13. 測定値が前回から変化したときの解釈として最も適切なものはどれか。

    • 1わずかな変化でも必ずトレーニングの効果によるものと解釈する
    • 2その場で三度測り直し、最も良い値だけを変化の判断に用いる
    • 3変化の方向のみを見て、大きさは考慮しない
    • 4測定の誤差を踏まえ、誤差を超える変化だけを意味のある変化として扱う正解

    Answer

    正解 4:測定の誤差を踏まえ、誤差を超える変化だけを意味のある変化として扱う

    どの測定にも誤差が含まれるため、前回からの変化がその誤差の範囲を超えているか、つまり意味のある大きさかを検討したうえで解釈する。「わずかな変化でも必ずトレーニングの効果によるものと解釈する」は、誤差を効果と取り違えることになる。「その場で三度測り直し、最も良い値だけを変化の判断に用いる」は、繰り返す方向は合っているが、最も良い値だけを採ると試行ごとのばらつきの大きさが見えなくなる。「変化の方向のみを見て、大きさは考慮しない」も、誤差による上下を効果と読み違える。

    HINT 「誤差より大きいか」を先に問う。小さな変動に一喜一憂させないのも指導者の役割。

  14. 跳躍動作のフォームを複数の指導者で評価する場合、測定者間の一致を高める工夫として最も適切なものはどれか。

    • 1評価者ごとの感覚をそれぞれ尊重し、基準は各自の判断に委ねて自由に採点してもらう
    • 2評価者それぞれが別の基準表を作り込み、採点後に点の高いほうへそろえる
    • 3評価基準を具体的に定め、評価者間で事前にすり合わせてから採点する正解
    • 4採点項目を細かく増やして段階も多く刻み、解釈は評価者各自の経験に任せる

    Answer

    正解 3:評価基準を具体的に定め、評価者間で事前にすり合わせてから採点する

    客観性を高めるには、評価基準を具体的に定め、評価者間で事前にすり合わせを行うことが有効である。「評価者ごとの感覚をそれぞれ尊重し、基準は各自の判断に委ねて自由に採点してもらう」は基準が揃わずばらつきの原因になる。「評価者それぞれが別の基準表を作り込み、採点後に点の高いほうへそろえる」は、基準を作る方向は合っているが、事前に突き合わせていないため採点そのものの一致は高まらない。「採点項目を細かく増やして段階も多く刻み、解釈は評価者各自の経験に任せる」も、項目を増やすほど解釈の幅が広がり、基準をそろえないままでは一致率はかえって下がる。

    HINT 客観性は「基準をそろえる練習」でつくる。感覚に任せると評価者ごとにずれる。

  15. 測定の標準誤差(SEM)と最小可検変化量(MDC)の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1SEMは測った人数が増えるほど大きくなり、MDCは人数によらず定まる
    • 2SEMは測定のばらつきを表し、MDCはそこから求める意味のある変化の目安である正解
    • 3MDCを求めればSEMは不要になり、以後の判断はMDCだけで行える
    • 4SEMは変化量そのものを表し、MDCは測定のばらつきの大きさを表す

    Answer

    正解 2:SEMは測定のばらつきを表し、MDCはそこから求める意味のある変化の目安である

    SEM(測定の標準誤差)は繰り返し測定した際に生じるばらつきの大きさを表し、MDC(最小可検変化量)はSEMをもとに、誤差の範囲を超えて意味があるといえる変化の目安を求める指標である。「SEMは測った人数が増えるほど大きくなり、MDCは人数によらず定まる」は両者の関係が誤りで、SEMが表すのは一人の測定を繰り返したときのばらつきであり、MDCはそのSEMから計算して求める。「MDCを求めればSEMは不要になり、以後の判断はMDCだけで行える」も誤りで、MDCの算出そのものがSEMを前提にしている。「SEMは変化量そのものを表し、MDCは測定のばらつきの大きさを表す」は両者の役割が入れ替わっている。

    HINT SEMは「ばらつき」、MDCは「誤差より大きいと言える変化」。後者は前者から計算する。

  16. 階級制の競技における筋力の評価で、体重あたりの相対値を重視する理由として最も適切なものはどれか。

    • 1絶対値は体重が軽い者ほど高く出る傾向があり、軽量級に有利な評価になるから
    • 2相対値は測定の誤差が生じにくいとされ、体重を測定しなくても算出できるから
    • 3体重の異なる階級間で比較しても意味を持つよう、体格の影響を取り除いて評価できるから正解
    • 4階級制の競技では体重の増減に意味は乏しく、絶対値だけで実力を判断できるから

    Answer

    正解 3:体重の異なる階級間で比較しても意味を持つよう、体格の影響を取り除いて評価できるから

    体重あたりの相対値(1RM÷体重など)を用いると、体格や体重の異なる者どうしでも比較でき、同じ階級内での実力差や、階級をまたいだ比較にも意味を持たせられる。「絶対値は体重が軽い者ほど高く出る傾向があり、軽量級に有利な評価になる」は向きが逆で、絶対値はむしろ体重が重いほど有利になりやすく、体格の影響を強く受ける。「相対値は測定の誤差が生じにくいとされ、体重を測定しなくても算出できる」も誤りで、相対値は体重で除して求めるため体重の測定が前提であり、体重測定と筋力測定の両方の誤差を含む。「階級制の競技では体重の増減に意味は乏しく、絶対値だけで実力を判断できる」も誤りで、階級制では体重の管理そのものが競技力に関わる。

    HINT 体重の重い人が有利になりやすいのが絶対値。体格差を消したいときに相対値を使う。

  17. 短距離のスプリントタイムを正確に測定するための条件として最も適切なものはどれか。

    • 1毎回異なるスタート方法や計測開始位置で行い、対象者の対応力も含めて測る
    • 2スタート方法とタイミングゲートの設置位置をそろえ、風の影響が大きい日は実施しない正解
    • 3追い風の強い日ほど好記録が出やすいため、その日の記録をそのまま比較に用いる
    • 4計測は目視と手動のストップウォッチで行い、機器による誤差の管理は行わない

    Answer

    正解 2:スタート方法とタイミングゲートの設置位置をそろえ、風の影響が大きい日は実施しない

    スプリントタイムを前後で比較可能な形で測定するには、スタート方法(合図の出し方、静止からのスタートかどうか)とタイミングゲートの設置位置をそろえ、追い風など風の影響が大きい条件を避けることが必要になる。「毎回異なるスタート方法や計測開始位置で行い、対応力も含めて測る」は、条件がそろわず前後の比較ができなくなる。「追い風の強い日ほど好記録が出やすいため、その日の記録をそのまま比較に用いる」は、風の影響を効果と取り違える。「計測は目視と手動のストップウォッチで行い、機器による誤差の管理は行わない」も、反応時間による誤差を管理できていない。

    HINT 「変えていいのは対象者の走りだけ」。風・スタート・計測位置は条件としてそろえる。

  18. 方向転換を伴うアジリティテストの記録と、直線スプリントのタイムの関係に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1方向転換の能力と直線を走る速さは高く関連するため、直線スプリントの記録だけで両方を評価できる
    • 2方向転換を伴うテストの記録の差は、減速の技術ではなく主に下肢の最大筋力の大きさで決まる
    • 3方向転換の能力は走る距離や角度が変わっても同じ順位で現れるため、測定は一種類でよい
    • 4方向転換の能力は直線の速さと同じではなく、異なる要素を含むため別々に測定する必要がある正解

    Answer

    正解 4:方向転換の能力は直線の速さと同じではなく、異なる要素を含むため別々に測定する必要がある

    方向転換を伴うアジリティは、減速・切り返し・再加速といった直線スプリントとは異なる要素を含むため、両者の記録の関連は高くない。したがって直線スプリントだけでなく、方向転換を伴うテストも別に実施して評価する必要がある。「方向転換の能力と直線を走る速さは高く関連するため、直線スプリントの記録だけで両方を評価できる」は誤りで、この関連の低さを見落としている。「方向転換を伴うテストの記録の差は、減速の技術ではなく主に下肢の最大筋力の大きさで決まる」も誤りで、筋力は要素の一つにすぎず、減速してから向きを変え再加速するまでの技術が記録の差を大きく左右する。「方向転換の能力は走る距離や角度が変わっても同じ順位で現れるため、測定は一種類でよい」も誤りで、角度が鋭いほど、また助走が長いほど求められる減速の大きさが変わるため、課題が変われば記録の順位も入れ替わりうる。

    HINT 「速く走れる」と「素早く切り返せる」は別の能力。片方だけで両方は測れない。

  19. 球技系の競技者に対して、試合中の間欠的な運動を反映した持久力を評価するテストの特徴として最も適切なものはどれか。

    • 1一定の速度で走り続ける持続走のタイムを測り、その値を間欠的な持久力の指標に置き換える
    • 2音の間隔が一定時間ごとに徐々に短くなる往復走を用い、休息を挟まずに限界まで走らせ続ける
    • 3安静時の心拍数のみを測定し、そこから間欠的な運動への適性を推定する
    • 4短い高強度の走行と短い休息を繰り返す構成で、競技の運動様式に近づけて評価する正解

    Answer

    正解 4:短い高強度の走行と短い休息を繰り返す構成で、競技の運動様式に近づけて評価する

    球技のように高強度の走行と低強度の走行・休息を繰り返す競技特性を反映するには、短い高強度の走行と短い休息(または低強度の走行)を繰り返す構成のテスト(間欠性回復テストなど)を用いる。「一定の速度で走り続ける持続走のタイムを測り、その値を間欠的な持久力の指標に置き換える」は、高強度の走行を終えてから次の走行までに回復する能力が持続走の記録には表れないため、別の能力の値で置き換えたことになる。「音の間隔が一定時間ごとに徐々に短くなる往復走を用い、休息を挟まずに限界まで走らせ続ける」は、持続的な走行に近い一般的な全身持久力テストの説明であり、間欠的な構成とは異なる。「安静時の心拍数のみを測定し、そこから間欠的な運動への適性を推定する」も、実際の運動能力を反映していない。

    HINT 球技は「全力→休む」の繰り返し。それに近い構成で測るテストが別に用意されている。

  20. 短い休息を挟んで全力スプリントを複数回繰り返す反復スプリントアビリティ(RSA)テストで、疲労の程度を評価する考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1全試行の中で最も速かった1回のタイムを記録に残し、他の試行は参考程度にとどめる
    • 2全試行のタイムを合計し、その合計値の前回からの伸びを疲労の程度として読む
    • 3疲労はあくまで主観的な感覚であるため、タイムの変化とは切り離して別に聞き取る
    • 4初回のタイムと後半のタイムの差だけを取り出し、低下の程度を疲労指数として示す正解

    Answer

    正解 4:初回のタイムと後半のタイムの差だけを取り出し、低下の程度を疲労指数として示す

    RSAテストでは、初回付近の速いタイムと、反復にともなって遅くなる後半のタイムの低下の程度を比べることで、疲労による能力の低下を疲労指数として数値化する。「全試行の中で最も速かった1回のタイムを記録に残し、他の試行は参考程度にとどめる」は、疲労による低下という反復ならではの情報を捨てている。「全試行のタイムを合計し、その合計値の前回からの伸びを疲労の程度として読む」も、合計値は反復全体の能力を表すもので、試行が進むにつれての低下の程度は読み取れない。「疲労はあくまで主観的な感覚であるため、タイムの変化とは切り離して別に聞き取る」も誤りで、タイムの低下自体が疲労を反映する客観的な指標になる。

    HINT 「1回の速さ」ではなく「繰り返すと何%落ちるか」を見るのがこのテストの狙い。

  21. 屋外のグラウンドで持久力のフィールドテストを複数回にわたって比較する際に統制すべき条件として最も適切なものはどれか。

    • 1気温や風の条件は測定値への影響が乏しいと考え、天候にかかわらず予定通り実施する
    • 2路面が変わっても走る速さの感覚は対象者が調整するため、条件をそろえることは重要度が低い
    • 3測定日の気温と風速を記録しておけば、条件が違っても記録を補正して比較できる
    • 4気温や風の強さ、路面の状態をそろえ、著しく異なる日は実施しないで日を改める正解

    Answer

    正解 4:気温や風の強さ、路面の状態をそろえ、著しく異なる日は実施しないで日を改める

    屋外での持久力テストは、気温・風の強さ・路面の状態によって記録が変わりうるため、これらの条件をできるだけそろえ、著しく異なる場合には実施日を改めることが、前後の比較を成り立たせるうえで必要になる。「気温や風の条件は測定値への影響が乏しいと考え、天候にかかわらず予定通り実施する」は、屋外テストが受ける環境の影響を無視している。「路面が変わっても走る速さの感覚は対象者が調整するため、条件をそろえることは重要度が低い」も同様に誤りで、路面の硬さや状態は記録に直接影響する。「測定日の気温と風速を記録しておけば、条件が違っても記録を補正して比較できる」も成り立たず、屋外の記録から環境の影響だけを後から差し引く確かな手立てはない。条件を書き留めることと、条件を統制することは別である。

    HINT 屋内の測定と違い、屋外は天候そのものが変数になる。そろえられないなら日を改める判断も要る。

  22. 複数の測定期を通じて記録を可視化し、停滞(プラトー)が生じているかを判断する方法として最も適切なものはどれか。

    • 1直近2回の記録を比較し、その上下を根拠に停滞か向上かをただちに判断してしまう
    • 2記録を折れ線でつなぐことはせず、各期の数値を独立した一覧として並べる
    • 3測定誤差の範囲を示す帯とともに記録を時系列で示し、その帯を超える変化が続くかを見る正解
    • 4最も良かった記録とだけ比べ続け、それを更新できない期間を停滞と判定する

    Answer

    正解 3:測定誤差の範囲を示す帯とともに記録を時系列で示し、その帯を超える変化が続くかを見る

    測定にはつねに誤差が伴うため、誤差の範囲を示す帯とともに記録を時系列のグラフで示し、その帯を超える変化が続いているかどうかを見ることで、単発の上下動と本当の停滞を区別できる。「直近2回の記録を比較し、その上下を根拠に停滞か向上かをただちに判断してしまう」は、誤差による一時的な上下を停滞や向上と取り違えやすい。「記録を折れ線でつなぐことはせず、各期の数値を独立した一覧として並べる」は、経過としての傾向を読み取りにくくする。「最も良かった記録とだけ比べ続け、それを更新できない期間を停滞と判定する」も、誤差の範囲内の変動まで停滞とみなしてしまう。

    HINT 2点だけの比較は誤差に振り回される。誤差の帯を引いた上で、傾向として見る。

  23. 一般集団を対象に作成された体力測定の基準値を、競技者の評価にそのまま用いることの問題点として最も適切なものはどれか。

    • 1一般集団の基準値は測定方法が競技者向けと根本的に異なるため、比較の前提が違っている
    • 2基準値は年齢によってのみ区分されるとされ、性別による違いはまったく反映できない
    • 3競技者は基準値と比較される必要が本来なく、基準値の存在自体が指導の妨げになるといえる
    • 4一般集団の基準値は競技者の水準を下回ることが多く、判断を誤りやすい正解

    Answer

    正解 4:一般集団の基準値は競技者の水準を下回ることが多く、判断を誤りやすい

    一般集団を対象に作成された基準値は、健康の維持に必要な水準を想定して作られているため、競技者の水準を下回ることが多く、そのまま用いると判断を誤りやすい。競技種目やレベルに応じた基準値を別に用意することが望ましい。「一般集団の基準値は測定方法が競技者向けと根本的に異なるため、比較の前提が違っている」は、測定方法自体は共通することも多く、問題の所在を取り違えている。「基準値は年齢によってのみ区分されるとされ、性別による違いはまったく反映できない」は誤りで、多くの基準値は性別でも区分されている。「競技者は基準値と比較される必要が本来なく、基準値の存在自体が指導の妨げになるといえる」も、基準値の活用自体を否定しており適切でない。

    HINT 「一般の健康の基準」と「競技力の基準」は水準がそもそも違う。基準を間違えると評価も狂う。

  24. 自転車エルゴメーターを用いたウィンゲートテスト(全力ペダリングによる測定)で得られる指標の説明として最も適切なものはどれか。

    • 1最高心拍数とその回復の速さまで測定し、そこから最大酸素摂取量を推定する指標が得られる
    • 2関節角度ごとの発揮筋力を連続的に記録し、筋力の左右差を評価する指標が得られる
    • 3呼気ガスの経時変化を分析し、有酸素性の運動強度の上限を推定する指標が得られる
    • 4ピークパワーと、そこからのパワー低下率から求める無酸素性作業能力の指標が得られる正解

    Answer

    正解 4:ピークパワーと、そこからのパワー低下率から求める無酸素性作業能力の指標が得られる

    ウィンゲートテストは自転車エルゴメーターで全力ペダリングを一定時間行わせ、そのピークパワーと時間経過に伴うパワーの低下率から無酸素性作業能力を評価する測定である。「最高心拍数とその回復の速さまで測定し、そこから最大酸素摂取量を推定する指標が得られる」は有酸素性能力の評価であり異なる測定の説明である。「関節角度ごとの発揮筋力を連続的に記録し、筋力の左右差を評価する指標が得られる」は等速性筋力測定の説明にあたる。「呼気ガスの経時変化を分析し、有酸素性の運動強度の上限を推定する指標が得られる」も、無酸素性の全力運動とは異なる有酸素性能力の測定の説明である。

    HINT 全力でこいで、どれだけ出せてどれだけ落ちるか。それが無酸素性の作業能力を表す。

  25. アイソキネティック・ダイナモメーターを用いた等速性筋力測定の特徴として最も適切なものはどれか。

    • 1関節の角速度を一定に保った条件で、筋力を測定できる正解
    • 2自由重量を用いた測定であり、機器の価格や設置の負担がほとんどかからない
    • 3動作中の速度がつねに変化する多関節の複合動作を、そのままの形で再現して測定できる
    • 4測定にかかる時間が新体力テストの各種目よりも短く、大人数を短時間で測定できる

    Answer

    正解 1:関節の角速度を一定に保った条件で、筋力を測定できる

    アイソキネティック・ダイナモメーターは、関節の角速度を機器側で一定に保った条件で筋力を測定でき、角速度の設定を変えることで筋力の速度特性を比較できる点に特徴がある。一方で機器は高額で設置にも場所を要し、動きが単関節・単一平面に限られるため、多関節の複合動作をそのまま再現することはできない。「自由重量を用いた測定であり、機器の価格や設置の負担がほとんどかからない」は、実際には高額で大掛かりな機器である点と逆である。「動作中の速度がつねに変化する多関節の複合動作を、そのままの形で再現して測定できる」も誤りで、単関節・単一平面の動きしか測定できないため複合動作をそのまま再現することはできない。「測定にかかる時間が新体力テストの各種目よりも短く、大人数を短時間で測定できる」も誤りで、1人ずつ機器に座らせて測るため多人数向きではない。

    HINT 「角速度を一定に保つ」ための機器。だから高額・大掛かりで、多人数には向かない。

  26. 最大下の負荷を用いて反復回数を数える筋持久力の測定を行う目的として最も適切なものはどれか。

    • 1使用重量を毎回のように更新し、最大挙上重量そのものを直接に測定して求める
    • 2一定の負荷に対して、疲労困憊までの反復回数の変化から持久的な筋の機能を評価する正解
    • 3関節を他動的にゆっくりと動かし、筋をほとんど使わずに関節可動域だけを評価する
    • 4安静に横たわった状態の筋電図を記録し、筋の随意収縮とは無関係な活動を評価する

    Answer

    正解 2:一定の負荷に対して、疲労困憊までの反復回数の変化から持久的な筋の機能を評価する

    筋持久力の測定は、最大下の一定負荷に対して疲労困憊まで反復させ、その反復回数の変化を追うことで持久的な筋の機能を評価する。1RMのように最大挙上重量そのものを直接に求める測定とは目的が異なる。「使用重量を毎回のように更新し、最大挙上重量そのものを直接に測定して求める」は1RM測定の説明である。「関節を他動的にゆっくりと動かし、筋をほとんど使わずに関節可動域だけを評価する」は柔軟性の測定にあたる。「安静に横たわった状態の筋電図を記録し、筋の随意収縮とは無関係な活動を評価する」も、随意的な筋力発揮を評価する筋持久力測定とは異なる。

    HINT 「何回もつか」を見る測定。「どれだけ強いか」を見る1RMとは目的が違う。

  27. リニアポジショントランスデューサー(速度計)とフォースプレートを使い分ける考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1速度計は挙上の速度を、フォースプレートは筋の電気的な活動を測る機器である
    • 2速度計は挙上ごとの速度を記録できるが、ふだんより速度が落ちたことから疲労を読むことはできない
    • 3速度計はバーの速度から、フォースプレートは床反力から求める量がそれぞれ異なる正解
    • 4フォースプレートは接地している間の力しか記録できないため、跳び上がった高さは求められない

    Answer

    正解 3:速度計はバーの速度から、フォースプレートは床反力から求める量がそれぞれ異なる

    速度計(リニアポジショントランスデューサー)はバーや身体の移動速度から力の発揮を推定し、フォースプレートは接地面にかかる床反力を直接に測定するというように、それぞれが求める量とその原理が異なる。両者は測定できる情報が異なるため、目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせて用いる。「速度計は挙上の速度を、フォースプレートは筋の電気的な活動を測る機器である」は、フォースプレートで測るものを取り違えている。筋の電気的な活動を捉えるのは筋電計であり、フォースプレートが測るのは床反力である。「速度計は挙上ごとの速度を記録できるが、ふだんより速度が落ちたことから疲労を読むことはできない」も誤りで、いつもの重量を挙げたときの速度が落ちていることは、その日の疲労や調子を推し量る手がかりとして用いられている。「フォースプレートは接地している間の力しか記録できないため、跳び上がった高さは求められない」も誤りで、接地中に記録した力から離地の勢いや滞空の時間を求め、跳び上がった高さを算出できる。

    HINT 速度計は「速さ」、フォースプレートは「地面への力」。見ているものが違う。

  28. 反復回数から1RMを推定する複数の換算式(式の種類)に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1どの式を用いても、対象者の年齢や経験によらず常に同一の推定値が得られる
    • 2換算式は複関節種目にも単関節種目にも、熟練度が違ってもまったく同じ精度で当てはまるとされる
    • 3式の違いは実務上の誤差に影響せず、どれを選んでも指導の判断は変わらない
    • 4式によって算出される推定値が異なることがあり、対象者の特性によって誤差の出方も変わる正解

    Answer

    正解 4:式によって算出される推定値が異なることがあり、対象者の特性によって誤差の出方も変わる

    回数から1RMを推定する換算式にはいくつかの種類があり、同じ反復回数のデータを入れても式によって算出される推定値が異なることがある。トレーニング歴や種目、疲労困憊に至る速さなど対象者の特性によって誤差の出方も変わるため、単一の式の値をそのまま鵜呑みにしないことが求められる。「どの式を用いても、対象者の年齢や経験によらず常に同一の推定値が得られる」は式ごとの違いを無視している。「換算式は複関節種目にも単関節種目にも、熟練度が違ってもまったく同じ精度で当てはまるとされる」、「式の違いは実務上の誤差に影響せず、どれを選んでも指導の判断は変わらない」も同様に、式による誤差の違いを見落としている。

    HINT 同じ回数を入れても、式が違えば出てくる数字も違う。1つの式を信じすぎない。

  29. 反復横跳び型のジャンプ(連続ジャンプ)を用いて、接地時間とジャンプ高からリアクティブストレングス指数(RSI)を求める意義として最も適切なものはどれか。

    • 1跳んだ高さだけでは分からない、接地の短さを踏まえた伸張−短縮サイクルの効率を評価できる正解
    • 2接地時間を測ることで、下肢の関節可動域の広さを直接に評価できる
    • 3ジャンプ高だけを見る測定に比べて、全身持久力をより正確に評価できる
    • 4接地時間が長いほど数値が高くなる指標だとされ、ゆっくりした踏み切りの評価に向く

    Answer

    正解 1:跳んだ高さだけでは分からない、接地の短さを踏まえた伸張−短縮サイクルの効率を評価できる

    RSI(リアクティブストレングス指数)は、ジャンプ高を接地時間で割って求める指標で、短い接地時間でどれだけ高く跳べるかという、伸張−短縮サイクル(SSC)を素早く使う能力の効率を表す。ジャンプ高だけを見る測定では分からない、動作の速さの要素を加えて評価できる点に意義がある。「接地時間を測ることで、下肢の関節可動域の広さを直接に評価できる」は誤りで、RSIは可動域ではなく力発揮の速さに関する指標である。「ジャンプ高だけを見る測定に比べて、全身持久力をより正確に評価できる」も誤りで、数秒で終わる跳躍から持久力は評価できない。「接地時間が長いほど数値が高くなる指標だとされ、ゆっくりした踏み切りの評価に向く」は計算の向きが逆で、RSIは接地時間が短いほど高くなる指標である。

    HINT RSIは「ジャンプ高÷接地時間」。短い接地で高く跳ぶほど数値が上がる。

  30. 静的柔軟性(関節可動域)の測定にゴニオメーターを用いる際の注意点として最も適切なものはどれか。

    • 1関節の回転軸と支柱の軸をできるだけ一致させ、同一の測定者が同一の手順で繰り返し測る正解
    • 2測定のたびに軸を合わせる位置を変え、複数の角度から得た値の平均だけを記録する
    • 3反動をつけた勢いのある動きの可動域を測ることで、より実戦に近い値が得られる
    • 4毎回異なる測定者が測ることで、個人の癖に依存しない値が得られる

    Answer

    正解 1:関節の回転軸と支柱の軸をできるだけ一致させ、同一の測定者が同一の手順で繰り返し測る

    ゴニオメーターによる関節可動域の測定では、関節の回転軸と機器の支柱の軸をできるだけ一致させ、測定者・測定手順・対象者の姿勢をそろえて繰り返し測定することで、比較可能な値を得られる(「同一の測定者が同一の手順で繰り返し測る」の部分)。「測定のたびに軸を合わせる位置を変え、複数の角度から得た値の平均だけを記録する」は条件をそろえるという前提に反する。「反動をつけた勢いのある動きの可動域を測ることで、より実戦に近い値が得られる」は誤りで、静的柔軟性の測定は反動を使わずゆっくり動かした可動域を測る。「毎回異なる測定者が測ることで、個人の癖に依存しない値が得られる」も誤りで、測定者が変わると軸の合わせ方の癖によって値がぶれやすくなる。

    HINT 軸を合わせる・条件をそろえる・同じ人が測る。ここがずれると数字も揺れる。

  31. オーバーヘッドスクワットなどの動作を用いて姿勢・アライメントを評価する目的として最も適切なものはどれか。

    • 1動作中に現れた代償的な動きの数を点数にし、その合計だけで次の種目の重量を決める
    • 2静止した姿勢を一度確認しておけば十分だとし、動作を伴う評価は必要ないとみなす
    • 3動作中に生じる代償的な動きから傷害につながる癖を推測し、診断まではしない正解
    • 4評価の結果だけで、傷害の有無を確定的に診断できるものと位置づける

    Answer

    正解 3:動作中に生じる代償的な動きから傷害につながる癖を推測し、診断まではしない

    オーバーヘッドスクワットのような動作を用いた姿勢・アライメント評価は、動作中に足部や膝、体幹などに現れる代償的な動きから、傷害につながる動作の癖を推測する手がかりを得ることを目的とする。「動作中に現れた代償的な動きの数を点数にし、その合計だけで次の種目の重量を決める」は、点数を機械的に当てはめており、どの部位にどんな癖が出たかという評価の中身を使っていない。「静止した姿勢を一度確認しておけば十分だとし、動作を伴う評価は必要ないとみなす」は誤りで、静止姿勢では現れない癖が動作中に現れることがある。「評価の結果だけで、傷害の有無を確定的に診断できるものと位置づける」も誤りで、この評価は診断ではなくスクリーニングの位置づけにとどまる。

    HINT 動いたときに崩れる形を見る。診断ではなく「気をつけて見る部位」を絞る材料。

  32. 現場での動作分析における定性的評価と定量的評価の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1定量的評価にすべてを頼るならば、目視による定性的な観察という手順はまったく不要になるとされる
    • 2目視で気になる点が挙がるたびに機器での計測をすべて行い、絞り込みは計測後に進める
    • 3目視による定性的評価で気になる動作を絞り込み、必要に応じて機器を用いた定量的評価で確かめる正解
    • 4定性的評価で気になる動作を絞り込んだうえで、定量的評価は次の測定期にまとめて行う

    Answer

    正解 3:目視による定性的評価で気になる動作を絞り込み、必要に応じて機器を用いた定量的評価で確かめる

    現場ではまず目視による定性的評価で気になる動作のパターンを絞り込み、必要に応じて映像分析や機器を用いた定量的評価でその内容を数値として確かめるという段階的な使い分けが現実的である。「定量的評価にすべてを頼るならば、目視による定性的な観察という手順はまったく不要になるとされる」は、日々の指導で使える定性的評価の役割を見落としている。「目視で気になる点が挙がるたびに機器での計測をすべて行い、絞り込みは計測後に進める」も誤りで、先に絞り込むからこそ限られた機器と時間を要点に充てられる。「定性的評価で気になる動作を絞り込んだうえで、定量的評価は次の測定期にまとめて行う」も誤りで、絞り込みまでは正しいが、必要と判断した時点で確かめなければその場の指導の判断には使えない。

    HINT まず目で見て絞り込み、必要なところだけ機器で確かめる。上下関係ではなく役割分担。

  33. 体脂肪率がきわめて低い競技者に皮下脂肪厚法(キャリパー法)を用いる際の注意点として最も適切なものはどれか。

    • 1皮下脂肪が薄いと測定値の変動が相対的に大きくなりやすく、経時的な変化の解釈に注意を要する正解
    • 2皮下脂肪が薄い対象者では、測定する部位を増やすほど推定の誤差は打ち消し合って消えるとされる
    • 3体脂肪率が低い対象者では皮下脂肪の厚さが測れないため、体重の変化だけで体組成を評価する
    • 4皮下脂肪が厚い場合でも薄い場合でも、測定のたびに担当の測定者を変えたほうが値の信頼性は高まるとされる

    Answer

    正解 1:皮下脂肪が薄いと測定値の変動が相対的に大きくなりやすく、経時的な変化の解釈に注意を要する

    皮下脂肪厚法は皮膚をつまんで厚さを測る方法だが、体脂肪率がきわめて低い競技者では皮下脂肪が薄く、わずかな摘み方の違いや測定者の技術差が測定値に占める割合が相対的に大きくなり、経時的な変化を解釈する際には注意を要する。「皮下脂肪が薄い対象者では、測定する部位を増やすほど推定の誤差は打ち消し合って消えるとされる」は誤りで、つまみ方の癖はどの部位でも同じ向きに出るため、部位を増やしても打ち消し合わない。「体脂肪率が低い対象者では皮下脂肪の厚さが測れないため、体重の変化だけで体組成を評価する」も誤りで、薄くても測定自体は行えるうえ、体重の変化だけでは脂肪量と除脂肪量のどちらが動いたのかを区別できない。「皮下脂肪が厚い場合でも薄い場合でも、測定のたびに担当の測定者を変えたほうが値の信頼性は高まるとされる」も誤りで、測定者を固定するほうが値のばらつきを抑えられる。

    HINT 脂肪が薄いほど、測る側のわずかな癖が結果に占める割合は大きくなる。

  34. 空気置換法(BOD POD等)による身体組成の測定に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1皮膚をつまんで皮下脂肪の厚さを数か所で測り、式に当てはめて体脂肪率を推定する
    • 2微弱な電流を体内に流し、その通りやすさから体脂肪率を推定する
    • 3密閉した部屋の中で身体が排除する空気の体積から体密度を求め、そこから体脂肪率を推定する正解
    • 4X線を全身に照射し、骨と軟部組織を区別することで体脂肪率を推定する

    Answer

    正解 3:密閉した部屋の中で身体が排除する空気の体積から体密度を求め、そこから体脂肪率を推定する

    空気置換法は、密閉されたチャンバーの中で対象者の身体が押しのける空気の体積を測定し、そこから体密度を求めて体脂肪率を推定する方法で、水中体重秤量法に代わる非侵襲的な手法として競技者にも用いられる。「皮膚をつまんで皮下脂肪の厚さを数か所で測り、式に当てはめて体脂肪率を推定する」は皮下脂肪厚法の説明である。「微弱な電流を体内に流し、その通りやすさから体脂肪率を推定する」は生体電気抵抗法の説明である。「X線を全身に照射し、骨と軟部組織を区別することで体脂肪率を推定する」はDXA法の説明であり、いずれも空気置換法とは原理が異なる。

    HINT 押しのけた「空気の体積」から体の密度を出す方法。水の代わりに空気を使うイメージ。

  35. 強化拠点などでDXA法による身体組成測定が競技者のスクリーニングに用いられる理由として最も適切なものはどれか。

    • 1除脂肪量と骨密度を部位別に区分して評価でき、疲労骨折などのリスク把握にも役立つ正解
    • 2骨密度の値から疲労骨折が起きているかを判定できるため、画像診断に代えて用いられる
    • 3測定機器が安価で持ち運びやすく、遠征先でも手軽に実施できる
    • 4測定にかかる時間が皮下脂肪厚法よりもずっと短く、大人数を一度にまとめて測定できるとされる

    Answer

    正解 1:除脂肪量と骨密度を部位別に区分して評価でき、疲労骨折などのリスク把握にも役立つ

    DXA法はX線を用いて骨と軟部組織を区別し、全身だけでなく四肢や体幹といった部位別に除脂肪量・脂肪量・骨密度を評価できるため、左右差の把握や、疲労骨折につながりうる骨密度の低下といったリスクの把握にも役立つ。導入や運用のコストが高く、可搬性も低いため、強化拠点など限られた場所での利用が中心になる。「骨密度の値から疲労骨折が起きているかを判定できるため、画像診断に代えて用いられる」は誤りで、DXA法で分かるのは骨密度の低下というリスクであり、疲労骨折が起きているかどうかの判定は画像診断と医師の診察による。「測定機器が安価で持ち運びやすく、遠征先でも手軽に実施できる」も誤りで、実際には高額で大型の据え置き機器である。「測定にかかる時間が皮下脂肪厚法よりもずっと短く、大人数を一度にまとめて測定できるとされる」も誤りで、1人ずつ機器に横たわらせて測るため多人数を同時には測定できない。

    HINT X線で骨と軟部組織を分ける方法。部位ごとに見られるから、骨密度や左右差まで分かる。

  36. 競技者の日々のコンディションを、主観的疲労度・睡眠・体重の推移を通じてモニタリングする意義として最も適切なものはどれか。

    • 1体力測定さえ定期的に行っていれば、日々のコンディションを別に確認する必要はない
    • 2測定では捉えにくい疲労の蓄積を早期に察知し、負荷の調整や不調の相談につなげられる正解
    • 3主観的な指標であるため、記録をつけても客観的な判断には一切役立たない
    • 4体重の推移だけを見れば、疲労の蓄積や睡眠の状態のすべてを正しく把握できるとされている

    Answer

    正解 2:測定では捉えにくい疲労の蓄積を早期に察知し、負荷の調整や不調の相談につなげられる

    体力測定は数週間から数か月単位でしか行わないことが多く、その間に生じる疲労の蓄積は捉えにくい。主観的疲労度や睡眠、体重の推移を日々記録することで、測定では捉えにくい変化の兆候を早期に察知し、負荷の調整や医療者への相談につなげられる。「体力測定さえ定期的に行っていれば、日々のコンディションを別に確認する必要はない」は測定の頻度の限界を見落としている。「主観的な指標であるため、記録をつけても客観的な判断には一切役立たない」も誤りで、継続的に記録した主観的指標は変化の傾向を読み取る材料になる。「体重の推移だけを見れば、疲労の蓄積や睡眠の状態のすべてを正しく把握できるとされている」も、体重だけでは他の要素を代弁できない。

    HINT 測定は「点」、日々の記録は「線」。線で見るから早めに気づける。

  37. 最大努力を伴う体力測定を実施する際の安全管理として最も適切なものはどれか。

    • 1対象者が途中でやめたいと言っても、データを完成させるため測定を最後まで続けさせる
    • 2事前に中止の基準だけは定めておき、異変が見られた時点で止められる体制を整える正解
    • 3中止の判断は測定後にまとめて振り返れば足り、測定中に判断する必要はない
    • 4体調の確認は測定の前後どちらか一方だけで済ませ、測定中は行わない

    Answer

    正解 2:事前に中止の基準だけは定めておき、異変が見られた時点で止められる体制を整える

    最大努力を伴う測定では、事前に中止基準(胸痛やめまい、著しい顔色の変化など)を定め、測定中に異変が見られた時点で速やかに中止できる体制を整えておく必要がある。「対象者が途中でやめたいと言っても、データを完成させるため測定を最後まで続けさせる」は本人の意思よりデータを優先しており危険である。「中止の判断は測定後にまとめて振り返れば足り、測定中に判断する必要はない」も誤りで、事故は測定中に起きる。「体調の確認は測定の前後どちらか一方だけで済ませ、測定中は行わない」も、測定中に生じる異変を見逃す。

    HINT 基準は「測る前」に決めておく。異変に気づいてから決めるのでは遅い。

  38. 1回のセッションで複数のテスト項目を実施する際の順序の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1対象者が得意な種目から順に行い、疲労の影響は度外視して組み立てる
    • 2すべての種目を同時並行で行い、順序という考え方自体を用いない
    • 3疲労困憊に至る種目を最初に行い、それ以外の種目については順序を考えずに思いつくままに組む
    • 4疲労の影響を受けやすい種目を先に、疲労困憊に至る種目を後に配置する正解

    Answer

    正解 4:疲労の影響を受けやすい種目を先に、疲労困憊に至る種目を後に配置する

    1回のセッションで複数の項目を測定する場合、俊敏性やジャンプのように疲労の影響を受けやすい種目を先に行い、筋持久力テストのように疲労困憊に至る種目は後に配置することで、先に行う種目の値が後の疲労によって歪められることを防ぐ。「対象者が得意な種目から順に行い、疲労の影響は度外視して組み立てる」は順序の目的を欠いている。「すべての種目を同時並行で行い、順序という考え方自体を用いない」は、多くの項目が同時に実施できるものではなく現実的でない。「疲労困憊に至る種目を最初に行い、それ以外の種目については順序を考えずに思いつくままに組む」は、以降の測定値をすべて疲労の影響下に置いてしまう。

    HINT 疲れる種目は最後に。先にやると、後の種目まで疲労の影響を受けてしまう。

  39. 体力測定の前に行うウォームアップが測定値に与える影響として最も適切なものはどれか。

    • 1ウォームアップの有無は測定値への影響は乏しいと考え、省略してもそのまま比較してよい
    • 2筋温を高め神経系を賦活することで、ウォームアップの有無や内容が測定値に影響しうる正解
    • 3ウォームアップは持久力の測定にのみ影響し、瞬発的な種目の測定値とは無関係だとされる
    • 4ウォームアップを長く行うほど、疲労とは無関係に測定値はどこまでも高くなり続けるとされる

    Answer

    正解 2:筋温を高め神経系を賦活することで、ウォームアップの有無や内容が測定値に影響しうる

    ウォームアップは筋温を高め神経系の活動を賦活することで、ジャンプやスプリントなど瞬発的な種目を含む幅広い測定値に影響しうる。そのため前後の比較では、ウォームアップの有無や内容もできるだけそろえておく必要がある。「ウォームアップの有無は測定値への影響は乏しいと考え、省略してもそのまま比較してよい」は、この影響を無視している。「ウォームアップは持久力の測定にのみ影響し、瞬発的な種目の測定値とは無関係だとされる」も誤りで、瞬発的な種目こそ神経系の賦活の影響を受けやすい。「ウォームアップを長く行うほど、疲労とは無関係に測定値はどこまでも高くなり続けるとされる」も誤りで、行いすぎれば疲労によって測定値はかえって低下しうる。

    HINT ウォームアップも「測定の条件」の一つ。前後の比較ではここもそろえる。

  40. 体力測定の値にみられる日内変動(時間帯による違い)への対応として最も適切なものはどれか。

    • 1日内変動は測定誤差とは別の話であり、時間帯をそろえる必要は薄いとされる
    • 2日内変動は夕方にかけて小さくなるため、午後に測れば時間の指定は不要になる
    • 3筋出力が最も高く出るのは早朝とされるので、測定は必ず早朝の時間帯に行う
    • 4体温や覚醒度の時間帯変動を踏まえ、前後の測定は同じ時間帯に行う正解

    Answer

    正解 4:体温や覚醒度の時間帯変動を踏まえ、前後の測定は同じ時間帯に行う

    体温や覚醒度、関節や筋の状態は時間帯によって変動し、一般に日中から夕方にかけて筋出力が高まりやすいことが知られている。この日内変動の影響を受けないよう、前後で比較する測定はできるだけ同じ時間帯に行うことが望ましい。「日内変動は測定誤差とは別の話であり、時間帯をそろえる必要は薄いとされる」は、時間帯の違いが値を動かしうることを無視している。「日内変動は夕方にかけて小さくなるため、午後に測れば時間の指定は不要になる」も誤りで、日内変動とは時刻によって値そのものが動くという話であり、午後のどこで測ってもよいことにはならない。「筋出力が最も高く出るのは早朝とされるので、測定は必ず早朝の時間帯に行う」は向きが逆で、筋出力はむしろ日中から夕方にかけて高まりやすい。加えて、重要なのは特定の時刻そのものより前後をそろえることである。

    HINT 大事なのは「いつ測るか」より「前後で同じ時間帯にそろえること」。

  41. 測定者が同じ手順を繰り返し練習し、測定の手技に習熟することの意義として最も適切なものはどれか。

    • 1手順の練習を重ねるほど測定にかかる時間が短くなり、誤差もそれに応じて小さくなる
    • 2手技が安定するほど測りたい能力を言い当てられるようになり、妥当性も高まる
    • 3習熟した測定者であれば、事前に基準をすり合わせる工程を省いてもよい
    • 4測定者自身の技術のばらつきを減らし、対象者の変化を測定者側の誤差と混同しにくくする正解

    Answer

    正解 4:測定者自身の技術のばらつきを減らし、対象者の変化を測定者側の誤差と混同しにくくする

    測定者が同じ手順を繰り返し練習して手技に習熟すると、測定者自身の動作や判断のばらつきが減り、対象者本来の変化を、測定者側の技術差による誤差と混同しにくくなる。「手順の練習を重ねるほど測定にかかる時間が短くなり、誤差もそれに応じて小さくなる」は、短く済むことと誤差が小さいことを結びつけており、習熟が減らすのは手技のばらつきであって所要時間そのものではない。「手技が安定するほど測りたい能力を言い当てられるようになり、妥当性も高まる」も誤りで、手技の習熟が減らすのは値のばらつき(信頼性)であり、項目が測りたい能力を反映しているか(妥当性)は項目の選び方で決まる。「習熟した測定者であれば、事前に基準をすり合わせる工程を省いてもよい」も誤りで、複数の測定者が関わる場合はすり合わせが別に必要である。

    HINT 習熟して減らすのは「測定者側のばらつき」。手順を変えていい理由にはならない。

  42. 測定結果のデータをチーム内で保存・共有する際の対応として最も適切なものはどれか。

    • 1指導に役立つ情報であるため、関係者以外にも広く公開して活用を促す
    • 2個人が特定できる形のまま、保存の期間や管理方法を特に定めずに残しておく
    • 3紙の記録さえ処分すれば、電子データの保存状況は特に管理しなくてよい
    • 4アクセスできる範囲を定め、目的外の利用はしないよう管理する正解

    Answer

    正解 4:アクセスできる範囲を定め、目的外の利用はしないよう管理する

    測定結果は健康情報を含む個人情報にあたるため、閲覧や利用ができる範囲をあらかじめ定め、目的外の利用や関係のない第三者への流出を防ぐ体制(「アクセスできる範囲を定め、目的外の利用はしないよう管理する」)で保存・共有する必要がある。「指導に役立つ情報であるため、関係者以外にも広く公開して活用を促す」は誤りで、有用な情報であることと公開してよいことは別である。「個人が特定できる形のまま、保存の期間や管理方法を特に定めずに残しておく」も誤りで、保存期間や管理方法を定めないままの保管は適切でない。「紙の記録さえ処分すれば、電子データの保存状況は特に管理しなくてよい」も誤りで、電子データも同様に管理の対象である。

    HINT 「役に立つ情報」と「公開してよい情報」は別。範囲を決めてから共有する。

  43. あるトレーニング介入の効果を示す研究で「平均で有意な向上が見られた」という結果を、個々の対象者に当てはめる際の注意点として最も適切なものはどれか。

    • 1平均で有意な向上が見られた以上、対象となった全員が同じ量だけ確実に向上したことを意味するとされる
    • 2個人差は統計的な処理の過程ですべて解消されるため、個別に確認する必要はない
    • 3平均としての向上があっても、個人によっては変化に乏しい者や逆に低下する者が含まれうる正解
    • 4有意という判定は向上の大きさを表すので、有意であれば現場で意味のある差が出たといえる

    Answer

    正解 3:平均としての向上があっても、個人によっては変化に乏しい者や逆に低下する者が含まれうる

    研究における「平均で有意な向上」は、集団全体としての傾向を示すものであり、個々の対象者を見ると、大きく向上する者、ほとんど変化しない者、まれに低下する者まで幅がありうる。したがって研究結果をそのまま個人に当てはめず、対象者自身の測定値の推移で確認する視点が欠かせない。「平均で有意な向上が見られた以上、対象となった全員が同じ量だけ確実に向上したことを意味するとされる」は平均と個人差を混同している。「個人差は統計的な処理の過程ですべて解消されるため、個別に確認する必要はない」も同様に、集団の平均から個人を決めつける誤りである。「有意という判定は向上の大きさを表すので、有意であれば現場で意味のある差が出たといえる」は別の取り違えで、有意かどうかが示すのは差が偶然では説明しにくいことであり、その差が現場で意味を持つ大きさかどうかは別に判断する。

    HINT 「平均で伸びた」は「全員が伸びた」ではない。個人の実際の推移は別に見る。

  44. 年代別のベンチマーク(基準記録)を用いてタレント発掘のための測定を行う際の注意点として最も適切なものはどれか。

    • 1現時点のベンチマークを下回った者は、以後の測定対象からただちに除外してよい
    • 2早熟な発育による現時点の優位は成長とともに広がるため、現在の差は将来も縮まらない
    • 3現時点の記録だけでなく、発育の個人差や今後の伸びしろも踏まえて解釈する正解
    • 4年代別の基準記録は性別による違いを含んだ値なので、男女を分けずに比べられる

    Answer

    正解 3:現時点の記録だけでなく、発育の個人差や今後の伸びしろも踏まえて解釈する

    タレント発掘のための測定では、現時点の記録がベンチマークを上回るか下回るかだけでなく、発育のタイミングには個人差があること、今後の体格や能力の伸びしろが残っていることも踏まえて解釈する必要がある。「現時点のベンチマークを下回った者は、以後の測定対象からただちに除外してよい」は、発育が遅い時期にある者を早期に切り捨ててしまう。「早熟な発育による現時点の優位は成長とともに広がるため、現在の差は将来も縮まらない」は向きが逆で、早熟による優位は周囲の発育が追いつくにつれて縮まることがある。「年代別の基準記録は性別による違いを含んだ値なので、男女を分けずに比べられる」も誤りで、多くの基準記録は年代だけでなく性別によっても区分されている。

    HINT 「今の記録」より「これからの伸びしろ」。早熟・晩熟の差を早期に切り捨てない。

  45. 体力測定を実施する頻度を設計する際の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1測定は頻繁に行うほど良いため、可能な限り毎回のセッションで実施する
    • 2測定の負担と誤差を踏まえ、変化を検出できる間隔をおく正解
    • 3一度測定した項目は、以後まったく測り直す必要がない
    • 4頻度は指導者の都合で決め、測定誤差や対象者の負担は考慮しなくてよい

    Answer

    正解 2:測定の負担と誤差を踏まえ、変化を検出できる間隔をおく

    体力測定の頻度は、測定自体が対象者の時間や体力を消費すること、そして測定には誤差がありその範囲内では意味のある変化を検出できないことを踏まえ、変化を検出できるだけの間隔をおいて設計する。「測定は頻繁に行うほど良いため、可能な限り毎回のセッションで実施する」は誤りで、頻繁すぎる測定は誤差の範囲内の変動に振り回されやすく負担も大きい。「一度測定した項目は、以後まったく測り直す必要がない」も誤りで、経過を追うには繰り返しの測定が要る。「頻度は指導者の都合で決め、測定誤差や対象者の負担は考慮しなくてよい」も、測定を設計する際に欠かせない視点を欠いている。

    HINT 多すぎれば誤差に振り回され、少なすぎれば変化を追えない。ちょうどいい間隔を選ぶ。

  46. 反動を使うカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)と、反動を使わないスクワットジャンプ(SJ)を比べて測定する目的として最も適切なものはどれか。

    • 1どちらも同じ能力しか反映しないため、両方をあわせて測定する意味はほとんどないとされる
    • 2両者のジャンプ高の差だけから、伸張−短縮サイクルの利用効率を評価する正解
    • 3SJのほうが高く跳べるのが通常であり、優れていると判断する
    • 4CMJとSJの違いは反動の有無ではなく、踏切前の着地の仕方の違いによって生じるとされる

    Answer

    正解 2:両者のジャンプ高の差だけから、伸張−短縮サイクルの利用効率を評価する

    CMJは沈み込みの反動を使って跳ぶのに対し、SJは静止した姿勢から反動を使わずに跳ぶ。両者のジャンプ高の差は、沈み込みで蓄えた弾性エネルギーや伸張反射をどれだけ跳躍に利用できているか、すなわち伸張−短縮サイクル(SSC)の利用効率を反映する。「どちらも同じ能力しか反映しないため、両方をあわせて測定する意味はほとんどないとされる」は、両者を比べる意義そのものを否定している。「SJのほうが高く跳べるのが通常であり、優れていると判断する」は誤りで、通常は反動を使えるCMJのほうが高く跳べる。「CMJとSJの違いは反動の有無ではなく、踏切前の着地の仕方の違いによって生じるとされる」も誤りで、両者の違いは踏切前の反動の有無にある。

    HINT 跳ぶ前に沈み込むかどうかの違い。差が大きいほど、反動をうまく使えているといえる。

  47. 「測定」と「評価」という二つの言葉の関係として最も適切なものはどれか。

    • 1測定と評価はどちらも値を得る作業で、用いる機器の精度の高さによって呼び分ける
    • 2評価の基準は値が出たあとに決まるので、はじめは目的を定めずに値を集める
    • 3測定は決められた手順で値を得る作業、評価はその値を目的に照らして意味づける作業である正解
    • 4評価とは、得られた値を集団の平均と比べて順位を示す作業だけを指す

    Answer

    正解 3:測定は決められた手順で値を得る作業、評価はその値を目的に照らして意味づける作業である

    測定は手順を定めて対象の状態を数や記号に置き換えるところまでで、評価はその値を目的や基準に照らして「良いのか・足りないのか・次に何をするのか」を言う段階である。両者は作業の段階が違うのであって、「用いる機器の精度の高さによって呼び分ける」ものではない。「集団の平均と比べて順位を示す作業だけを指す」は言い過ぎで、順位づけは評価のやり方の一つにすぎず、到達基準に照らす評価もあるので、評価をそこに狭めてしまうと復帰判定などに使えなくなる。「評価の基準は値が出たあとに決まるので、はじめは目的を定めずに値を集める」は段階の順序が逆で、何を評価したいかが決まっていなければ測る項目も条件も選べない。

    HINT 値を手に入れるところまでが測定。その値が目的に照らしてどうかを言うのが評価。

  48. 測定の信頼性と妥当性の関係に関する説明として最も適切なものはどれか。

    • 1信頼性は値のそろい方、妥当性は測りたい能力を反映しているかを指し、前者は後者の前提になる正解
    • 2手順をそろえて繰り返し測った結果が安定していれば、その項目の妥当性も示されたことになる
    • 3測定者ごとの値のばらつきは、妥当性の高い項目を選べば抑えられていく
    • 4項目を増やせば信頼性が高まり、それにつれて妥当性も高まる

    Answer

    正解 1:信頼性は値のそろい方、妥当性は測りたい能力を反映しているかを指し、前者は後者の前提になる

    信頼性は「同じ条件で測れば同じ値が出るか」、妥当性は「測りたいものを測れているか」を指す。値が安定しなければ変化を読み取れないので信頼性は妥当性の前提になるが、安定して同じ値が出るだけでは目的の能力を測れている証拠にはならない。「手順をそろえて繰り返し測った結果が安定していれば、その項目の妥当性も示されたことになる」は二つを取り違えており、値が安定するのは信頼性の話で、その項目が狙った能力を反映している根拠にはならない。「測定者ごとのばらつきは妥当性の高い項目を選べば抑えられていく」は向きが逆で、ばらつきを抑えるのは手順の標準化と測定者の習熟の仕事である。「項目を増やせば信頼性が高まり、それにつれて妥当性も高まる」も誤りで、関係の薄い項目を足せば値はそろっても妥当性はむしろ下がる。

    HINT 値のそろい方が信頼性、狙ったものを測れているかが妥当性。前者は後者の土台になる。

  49. 基準関連妥当性のうち、併存的妥当性と予測的妥当性の使い分けとして最も適切なものはどれか。

    • 1実験室の機器で測った値どうしの一致を見るのが併存的、現場のテストどうしの一致を見るのが予測的である
    • 2対象者に日を変えて二度テストを行い、値の一致を見るのが予測的妥当性にあたる
    • 3同時期の信頼できる別の測定との一致が併存的、将来の成績との対応が予測的である正解
    • 4項目が範囲を覆っているかを専門家が判断するのが併存的妥当性である

    Answer

    正解 3:同時期の信頼できる別の測定との一致が併存的、将来の成績との対応が予測的である

    基準関連妥当性は「外にある基準とどれだけ対応するか」で測り、基準を同じ時期に取るか将来に取るかで併存的と予測的に分かれる。簡易なフィールドテストを同時期の精密な測定と突き合わせるのが併存的、シーズン前の記録が後の成績とどう対応したかを見るのが予測的である。「実験室の機器どうし」「現場のテストどうし」という分け方は測る場所の違いであって、時間軸の違いを捉えていない。「日を変えて二度テストを行い、値の一致を見る」のは再テスト法による信頼性の確認であり、妥当性ではない。「項目が範囲を覆っているかを専門家が判断する」のは内容妥当性の説明である。

    HINT 基準をいつ取るかで呼び名が変わる。同じ時期なら併存的、先の成績と突き合わせるなら予測的。

  50. 測定機器の較正(キャリブレーション)を定期的に行う目的として最も適切なものはどれか。

    • 1試行ごとにばらつく偶然の誤差を、機器の側でそろえて小さくすること
    • 2一定の向きに偏って出る系統的な誤差だけを取り除くこと正解
    • 3本人の体調による日ごとの変動を機器の設定で打ち消すこと
    • 4測定者が手順を思い出せるよう、機器の操作を点検しておくこと

    Answer

    正解 2:一定の向きに偏って出る系統的な誤差だけを取り除くこと

    較正は既知の基準に機器を合わせ直す作業で、狙いは「いつも同じ向きに何割か高く(低く)出る」ずれ、すなわち系統誤差を取り除くことにある。系統誤差は何回測っても同じ向きに出るので、試行を重ねても平均では消えない。一方「試行ごとにばらつく偶然の誤差」は較正では消えず、試行数を増やす、手順をそろえるといった別の手当てが要る。「本人の体調による日ごとの変動」は対象者側の変動であって機器の設定で打ち消せるものではなく、測定の時間帯や条件をそろえて扱う。「機器の操作を点検しておく」のは較正に付随する行為ではあるが、較正そのものの目的ではない。

    HINT 何回測っても同じ向きにずれる分を直す作業。ばらつきそのものは別の手当てで減らす。

  51. 体力測定の結果を、同年代の分布のなかでの位置として読む見方と、あらかじめ定めた到達基準を満たすかとして読む見方の使い分けとして最も適切なものはどれか。

    • 1分布での位置が上位であれば、到達基準も満たしていると読んでよい
    • 2到達基準との照合は競技者には向かず、一般の運動実施者に用いる見方である
    • 3分布での位置は測るたびに変わるので、年度をまたいで比べる場面に向く
    • 4分布での位置は選手の相対的な強みを示し、到達基準との照合は復帰や進級の可否の判断に用いる正解

    Answer

    正解 4:分布での位置は選手の相対的な強みを示し、到達基準との照合は復帰や進級の可否の判断に用いる

    分布のなかでの位置を読む見方は「同じ集団のなかでどのあたりか」を示すので、強みと弱みの把握や選抜の材料になる。到達基準に照らす見方は「必要な水準に届いたか」を示すので、復帰の可否や次の段階へ進めるかの判断に向く。したがって「分布での位置が上位であれば到達基準も満たしている」とは言えず、集団全体の水準が低ければ上位でも基準に届かない。「到達基準との照合は競技者には向かず」も誤りで、復帰判定のように競技現場でこそ基準型の読み方が要る。「分布での位置は測るたびに変わるので年度をまたいで比べる場面に向く」は逆で、比べる集団が変われば位置の意味も変わるため、年度をまたぐ比較には向かない。

    HINT 集団のなかの位置は強みを示し、定めた基準との照合は「通してよいか」を決める。

  52. トレーニング期間の途中で行う評価と、期間の終わりに行う評価の位置づけとして最も適切なものはどれか。

    • 1途中の評価は計画を手直しするために行い、終わりの評価はその期間の成果を判定するために行う正解
    • 2途中の評価は期の終わりの評価を前もって見積もるために行うもので、計画の組み替えは次の期から始める
    • 3途中の評価の結果は期の終わりに上書きされるので、残すのは期末の値である
    • 4終わりの評価で成果が出ていれば、途中の評価は省いてよいと考える

    Answer

    正解 1:途中の評価は計画を手直しするために行い、終わりの評価はその期間の成果を判定するために行う

    期間の途中で行う評価は、計画どおりに進んでいるかを見て、ずれていれば残りの期間の内容を組み替えるために行う。期間の終わりに行う評価は、その期間で狙った水準に届いたかを判定し、次の期の設計に渡すために行う。「期の終わりの評価を前もって見積もるために行い、計画の組み替えは次の期から始める」のでは、進行中の期を直す機会を自分で手放すことになる。「途中の評価の結果は期の終わりに上書きされるので残すのは期末の値である」も誤りで、途中の評価は軌道修正、終わりの評価は成果判定という別の仕事をしており、途中の記録がなければ何がいつ動いたのかを追えなくなる。「終わりの評価で成果が出ていれば途中の評価は省いてよい」は順序が逆で、成果が出たかどうかは期間が終わるまで分からない。

    HINT 途中で測るのは直すため、終わりに測るのは判定するため。仕事が違うので片方では代えられない。

  53. ある体力測定の項目と競技成績との間に強い関連が認められた場合の解釈として最も適切なものはどれか。

    • 1関連が強いほど、その項目を鍛えることが成績向上への近道だと判断してよい
    • 2その項目を高めれば成績も上がるとは限らず、関連と原因は分けて考える正解
    • 3関連が認められた項目は、競技成績の代わりの指標として置き換えて用いることができる
    • 4関連が強い項目であれば、個々の選手の成績もその値から言い当てられる

    Answer

    正解 2:その項目を高めれば成績も上がるとは限らず、関連と原因は分けて考える

    二つの値が一緒に動いていることと、一方が他方の原因であることは別の話である。背景に体格や競技歴といった共通の要因があるために関連が見えているだけのこともあり、その項目を高めても成績が動くとは限らない。したがって「鍛えることが成績向上への近道だと判断してよい」とは言えない。「競技成績の代わりの指標として置き換えて用いる」のも行き過ぎで、関連は競技成績の一部を説明しているにすぎず、置き換えれば他の要素を見落とす。「関連が強い項目であれば、個々の選手の成績もその値から言い当てられる」も誤りで、集団で見た関連の強さと、一人ひとりの成績を言い当てる精度は別であり、同じ値の選手でも成績には幅がある。

    HINT 一緒に動くことと、動かせば動くことは別。鍛えて成績が変わるかは介入して確かめるしかない。

  54. 初回の測定でチーム内の下位に大きく外れた記録を出した選手が、同じ条件で行った再測定では平均に近い記録を出した。この結果の読み方として最も適切なものはどれか。

    • 1初回の測定で課題を自覚したことによる、短期間での体力の向上を表している
    • 2測定者が二回目に手順を変えたために生じた、系統的な誤差だと判断できる
    • 3極端に外れた値は、再測定では平均に近づきやすい正解
    • 4一回目が本来の力で、二回目は他者の記録に引きずられた値だと読む

    Answer

    正解 3:極端に外れた値は、再測定では平均に近づきやすい

    一回の測定値には、その人の本来の水準に加えて体調・集中・手技のばらつきが乗る。初回に極端な値が出た選手はその偶然のぶれが大きく働いていた可能性が高く、もう一度測ればぶれが小さくなって平均側に寄る。この性質を知らずに「短期間での体力の向上を表している」と読むと、何もしていない期間の変化を成果として報告してしまう。「測定者が二回目に手順を変えたために生じた系統的な誤差」は、同じ条件で測った前提と合わず、また系統誤差ならチーム全員の値が同じ向きに動くはずである。「一回目が本来の力で、二回目は他者の記録に引きずられた」と読むのも根拠が薄く、どちらが本来の水準かは複数回の測定をならして判断する。

    HINT 一回だけ大きく外れた値は、次に測ると真ん中寄りに戻りやすい。伸びたと読む前にここを疑う。

  55. 指導者が自分の担当する対象者の動作を観察して採点する場合に生じやすい偏りへの対応として最も適切なものはどれか。

    • 1期待が採点を甘くするため、採点者を分けるか対象者を伏せる正解
    • 2同じ指導者が一貫して採点すれば、期待による偏りは回を重ねるうちに薄まる
    • 3採点の前に対象者の前回の点を見ておくと、変化を読み取りやすくなる
    • 4期待による偏りは採点者の経験年数に応じて大きくなるので、経験の浅い者に任せる

    Answer

    正解 1:期待が採点を甘くするため、採点者を分けるか対象者を伏せる

    自分が指導した対象を自分で採点すると、改善していてほしいという期待が採点に入り込み、同じ動作でも前より良い点を付けやすくなる。偏りの向きが決まっているため、回数を重ねても平均では消えない。だから「同じ指導者が一貫して採点すれば回を重ねるうちに薄まる」は成り立たない。「前回の点を見ておく」のは期待を補強する方向に働き、前回より良くしようとする採点を招く。「経験年数に応じて大きくなるので経験の浅い者に任せる」は因果の取り違えで、経験が浅いほど基準そのものがぶれる。採点者を替える、対象者が誰か分からない状態で映像を採点する、採点基準を文章と見本で固定する、といった手当てが要る。

    HINT 期待は一定の向きに採点を動かすので、回数では消えない。誰の記録か伏せるか、採点者を替える。

  56. 測定に用いる機器の目盛りの細かさ(分解能)を選ぶ際の考え方として最も適切なものはどれか。

    • 1目盛りが細かい機器ほど測定者の技量に左右されるため、粗い目盛りの機器のほうが値はそろう
    • 2目盛りの細かさは記録の見栄えに関わるので、現場では扱いやすさを優先して選ぶ
    • 3目盛りを細かくするほど、値のばらつきそのものが減っていく
    • 4読み取りたい変化よりも細かく刻める機器を選び、変化が同じ値に埋もれるのを防ぐ正解

    Answer

    正解 4:読み取りたい変化よりも細かく刻める機器を選び、変化が同じ値に埋もれるのを防ぐ

    分解能は機器が区別できる最小の差であり、読み取りたい変化がこれより小さいと、前後で同じ値が並んで変化そのものが見えなくなる。したがって追いたい変化の大きさを先に決め、それより細かく刻める機器を選ぶ。「粗い目盛りの機器のほうが値はそろう」は、値がそろって見えるのが区別できていないからであって、精度が上がったわけではない。「記録の見栄えに関わるので扱いやすさを優先して選ぶ」は分解能を見た目の問題と取り違えている。「細かくするほど値のばらつきそのものが減っていく」も誤りで、分解能を上げるとむしろ日ごとのばらつきまで見えるようになる。

    HINT 追いたい変化より粗い目盛りでは、前後に同じ値が並んで変化が見えない。先に追う幅を決める。

  57. 動作の質を三段階などの点で採点する観察評価について、点の扱い方として最も適切なものはどれか。

    • 1合計点を満点で割って百分率に直せば、項目数の違う評価どうしでも比較できる
    • 2点は数値なので、身長や体重と並べて平均と標準偏差を計算し、差を論じてよい
    • 3点の間隔が等しいとは言いきれないので、合計は大まかな目安にとどめる正解
    • 4三段階の点は、各項目の点を掛け合わせて一つの指標にまとめる

    Answer

    正解 3:点の間隔が等しいとは言いきれないので、合計は大まかな目安にとどめる

    三段階の採点は順序を表しているだけで、一点目と二点目の開きが二点目と三点目の開きと等しいとは決まっていない。合計や平均を出してもよいが、等間隔の量として細かく差を論じるのには向かないため、合計は大まかな目安として扱い、どの項目で点を落としたかを併せて読む。「合計点を満点で割って百分率に直せば、項目数の違う評価どうしでも比較できる」は誤りで、順序を表す点を足した合計は、割り算をしても等間隔の量にはならず、採点項目の中身が違えば百分率の意味も違ってくる。「身長や体重と並べて平均と標準偏差を計算し、差を論じてよい」は尺度の水準を取り違えている。「各項目の点を掛け合わせて一つの指標にまとめる」は、一つでも最低点があると全体が押しつぶされるため、順序の情報をかえって壊す。

    HINT 段階の点は順序を表すだけなので、合計は大まかな目安にとどめる。

  58. シーズンの開始前に、全選手の基礎的な体力データをそろえて保存しておく意義として最も適切なものはどれか。

    • 1チームの平均値を算出でき、平均に届かない選手を要強化者として選び出せる
    • 2開始前の値があれば、シーズン中の記録の変動もそこから説明できる
    • 3傷害が起きた後に、受傷前の本人の値と比べられる正解
    • 4他チームが公表している平均値と突き合わせ、自チームの順位づけができる

    Answer

    正解 3:傷害が起きた後に、受傷前の本人の値と比べられる

    傷害からの復帰を判断するとき、健側との比較だけでは「もともと左右差があった選手」を見誤る。開始前に本人の値を取っておけば、受傷前の自分と比べて戻り具合を読めるので、復帰の判断材料として最も確かな基準になる。「チームの平均値を算出でき、平均に届かない選手を要強化者として選び出せる」は、体格も役割も違う選手をチームの平均という一本の線で切ることになり、評価の使い方を誤っている。「開始前の値があればシーズン中の記録の変動もそこから説明できる」は、開始前の値から後の変動は読めないので成り立たない。「他チームが公表している平均値と突き合わせ、自チームの順位づけができる」は、測定条件がそろっていない値との比較になり、基礎データを取っておく主な意義ではない。

    HINT 復帰の判断で一番あてになるのは、受傷前のその人自身の値。取っていなければ後から作れない。

  59. 左右の記録の比のように、二つの測定値の比として求める指標を読む際の注意点として最も適切なものはどれか。

    • 1比は二つの値を割った形なので、それぞれの誤差が打ち消し合って安定する
    • 2比が前回と同じなら、もとの二つの値も同じ水準にあると読める
    • 3比は単位を持たないため、別の機器で測った値どうしでも同じ基準で比べられる
    • 4分子と分母それぞれの誤差が合わさって比に乗るので、比はもとの値よりぶれやすくなる正解

    Answer

    正解 4:分子と分母それぞれの誤差が合わさって比に乗るので、比はもとの値よりぶれやすくなる

    比は二つの測定値から作る二次的な指標なので、分子の誤差と分母の誤差が合わさって乗る。つまり、もとの値それぞれより比のほうがぶれやすい。そのため比だけを追わず、分子と分母の推移も並べて読む必要がある。「それぞれの誤差が打ち消し合って安定する」は逆向きの理解で、誤差が同じ向きにそろう保証はない。「比が前回と同じなら、もとの二つの値も同じ水準にある」は誤りで、両方が同じ割合で下がっても比は変わらないため、低下を見落とす。「単位を持たないため別の機器で測った値どうしでも同じ基準で比べられる」も誤りで、機器が違えば測っている量の性質も違い、比の意味まで変わる。

    HINT 分子と分母の誤差が合わさるので、比はもとの二つの値よりぶれやすい。

  60. トレーニング前後の記録の伸びを、差(変化量)で示す場合と割合(変化率)で示す場合の使い分けとして最も適切なものはどれか。

    • 1開始時の水準が異なる者どうしを並べるなら割合、同じ人の推移を追うなら差が読みやすい正解
    • 2割合で示せば開始時の水準による見え方の偏りが消えるため、集団でも個人でも割合に統一して示す
    • 3差で示すほうが実際の伸びをそのまま表すので、水準の異なる集団を並べる場合にも差を用いる
    • 4割合は開始時の値が低い者ほど控えめに出るため、初心者の評価に向く

    Answer

    正解 1:開始時の水準が異なる者どうしを並べるなら割合、同じ人の推移を追うなら差が読みやすい

    差は実際にどれだけ伸びたかをそのまま表すので、同じ人の推移を追うときに分かりやすい。一方、開始時の水準が大きく異なる者を並べると、同じ差でも意味が違ってくるため、水準の影響を薄めたい場面では割合が読みやすい。「開始時の水準による見え方の偏りが消えるため集団でも個人でも割合に統一する」は行き過ぎで、同じ人の推移では分母が動くぶん割合がかえって読みにくくなる。「差で示すほうが実際の伸びをそのまま表すので水準の異なる集団を並べる場合にも差を用いる」は、水準差を抱えたまま並べることになる。「割合は開始時の値が低い者ほど控えめに出る」は向きが逆で、分母が小さいほど割合は大きく出る。

    HINT 同じ人を追うなら差、出発点が違う人を並べるなら割合。分母が動くかどうかで決まる。

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