エクササイズサイエンス全132問・正解と解説つき
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)基礎科学セクション・ 分量 55%
解剖学、運動生理学、バイオメカニクス、生体エネルギー論、神経内分泌生理学、トレーニングに対する適応。3分野のうち最も比重が大きい。
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- Q01#cb-es-001
骨格筋のサルコメア構造において、Z線の機能を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1サルコメアの中央に位置し、ミオシンフィラメントの一端を固定する骨組みとして働く
- 2隣接するサルコメアの境界に位置し、アクチンフィラメントの一端を固定する骨組みとして働く正解
- 3筋原線維全体の表面を覆う膜であり、興奮を内部へ伝える通路として働く
Answer
正解 2:隣接するサルコメアの境界に位置し、アクチンフィラメントの一端を固定する骨組みとして働く
正しいのは「隣接するサルコメアの境界に位置し、アクチンフィラメントの一端を固定する骨組みとして働く」である。Z線はサルコメアとサルコメアの境目にあり、アクチンフィラメントの一端をここに固定することでサルコメアの構造を保っている。「サルコメアの中央に位置し、ミオシンフィラメントの一端を固定する骨組みとして働く」は誤りで、サルコメアの中央にあるのはミオシンフィラメントが集まるA帯・H帯であり、それを固定する構造はM線であってZ線ではない。「筋原線維全体の表面を覆う膜であり、興奮を内部へ伝える通路として働く」も誤りで、これはT管の働きであり、Z線はサルコメア内部の骨組みであって膜構造ではない。
HINT Z線はサルコメアとサルコメアの境目にある。
- Q02#cb-es-002
骨格筋の収縮における、トロポニンとトロポミオシンの役割を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1カルシウムイオンがアクチンフィラメントに結合すると、ミオシン頭部が離れて弛緩を積極的に引き起こす
- 2アクチンとミオシンの間でATPを直接分解し、収縮のエネルギーを供給する
- 3カルシウムイオンがトロポニンに結合し、トロポミオシンを動かして結合部位を露出させる正解
Answer
正解 3:カルシウムイオンがトロポニンに結合し、トロポミオシンを動かして結合部位を露出させる
正しいのは「カルシウムイオンがトロポニンに結合し、トロポミオシンを動かして結合部位を露出させる」である。カルシウムがトロポニンに結合するとトロポミオシンの位置が変わり、アクチン上のミオシン結合部位が露出して両者が結合できるようになる。「カルシウムイオンがアクチンフィラメントに結合すると、ミオシン頭部が離れて弛緩を積極的に引き起こす」は誤りで、カルシウムが直接結合する相手はアクチンではなくトロポニンであり、その結合は弛緩ではなく収縮を引き起こす。「アクチンとミオシンの間でATPを直接分解し、収縮のエネルギーを供給する」も誤りで、ATPを分解するのはミオシン頭部自身の働きであり、トロポニンやトロポミオシンにそのような機能はない。
HINT カルシウムが最初に結合する相手はアクチンではない。
- Q03#cb-es-003
骨格筋における興奮収縮連関で、T管と筋小胞体の構造的な関わりを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1T管を伝わった活動電位が筋小胞体のカルシウムポンプを直接開き、細胞外からカルシウムを流入させる
- 2T管の興奮が筋小胞体からのカルシウム放出を引き起こし、筋原線維へ伝わる正解
- 3T管は筋小胞体と離れた位置にあり、両者の間はホルモンを介した情報伝達で結ばれている
Answer
正解 2:T管の興奮が筋小胞体からのカルシウム放出を引き起こし、筋原線維へ伝わる
正しいのは「T管の興奮が筋小胞体からのカルシウム放出を引き起こし、筋原線維へ伝わる」である。T管は筋小胞体に隣接して興奮を筋細胞の奥まで伝える構造であり、その興奮が筋小胞体からのカルシウム放出のきっかけとなる。「T管を伝わった活動電位が筋小胞体のカルシウムポンプを直接開き、細胞外からカルシウムを流入させる」は誤りで、収縮に使われるカルシウムは細胞外からではなく筋小胞体内に蓄えられたものが放出される。「T管は筋小胞体と離れた位置にあり、両者の間はホルモンを介した情報伝達で結ばれている」も誤りで、T管と筋小胞体はごく近接した位置関係にあり、ホルモンを介さず直接的に連関している。
HINT 収縮に使われるカルシウムはどこに蓄えられているか。
- Q04#cb-es-004
骨格筋を包む結合組織の階層構造(筋内膜・筋周膜・筋外膜)を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1筋外膜が個々の筋線維を包み、筋内膜が筋全体を外側から包む構造をもつ
- 2筋周膜が筋線維の束をまとめて包み、筋内膜はその外側を覆う
- 3個々の筋線維を筋内膜が包み、筋線維の束を筋周膜が包み、筋全体を筋外膜が包む構造をもつ正解
Answer
正解 3:個々の筋線維を筋内膜が包み、筋線維の束を筋周膜が包み、筋全体を筋外膜が包む構造をもつ
正しいのは「個々の筋線維を筋内膜が包み、筋線維の束を筋周膜が包み、筋全体を筋外膜が包む構造をもつ」である。骨格筋は個々の筋線維から筋束、筋全体という階層で構成され、それぞれを筋内膜・筋周膜・筋外膜が包んでいる。「筋外膜が個々の筋線維を包み、筋内膜が筋全体を外側から包む構造をもつ」は誤りで、筋外膜と筋内膜の役割が入れ替わっており、個々の筋線維を包むのは筋内膜、筋全体を外側から包むのは筋外膜である。「筋周膜が筋線維の束をまとめて包み、筋内膜はその外側を覆う」も誤りで、筋内膜は個々の筋線維を包む最も内側の膜であり、筋周膜の外側を覆う位置関係にはない。
HINT 包む対象の大きさの順に、内膜→周膜→外膜と並ぶ。
- Q05#cb-es-005
骨格筋のサルコメアにおけるタイチンの役割を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1Z線からミオシンフィラメントにかけて伸びる弾性タンパクで、筋の受動的な張力の維持に関わる正解
- 2アクチンフィラメントとともに実際に滑走し、筋の短縮そのものを引き起こす主収縮タンパクとして働く
- 3ミオシン頭部に結合してATPを分解し、収縮のエネルギーを供給する
Answer
正解 1:Z線からミオシンフィラメントにかけて伸びる弾性タンパクで、筋の受動的な張力の維持に関わる
正しいのは「Z線からミオシンフィラメントにかけて伸びる弾性タンパクで、筋の受動的な張力の維持に関わる」である。タイチンはZ線からM線にかけて伸びる巨大な弾性タンパクで、フィラメントの配列を保ちながら筋が伸張されたときの受動的な張力を生み出す。「アクチンフィラメントとともに実際に滑走し、筋の短縮そのものを引き起こす主収縮タンパクとして働く」は誤りで、筋の短縮を直接引き起こす主収縮タンパクはアクチンとミオシンであり、タイチンはそれらの配列を支える構造タンパクである。「ミオシン頭部に結合してATPを分解し、収縮のエネルギーを供給する」も誤りで、ATPを分解してエネルギーを取り出すのはミオシン頭部自身の働きであり、タイチンにその機能はない。
HINT 収縮そのものを担うタンパクと、構造を支えるタンパクは別である。
- Q06#cb-es-006
骨格筋の筋線維タイプのうち、IIx型(IIb型)線維の特性を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1遅筋線維と同程度のミトコンドリア密度をもち、酸化的な有酸素性の運動に適している
- 2他のどの線維タイプよりも先に動員され、低強度の運動で主体的に働く
- 3解糖系に依存し、大きな力を発揮するが短時間で疲労する正解
Answer
正解 3:解糖系に依存し、大きな力を発揮するが短時間で疲労する
正しいのは「解糖系に依存し、大きな力を発揮するが短時間で疲労する」である。IIx型線維はミトコンドリア密度・毛細血管密度が低く解糖系に依存する代わりに大きな力を発揮でき、砲丸投げや短距離走のような瞬発的な競技で重要になるが疲労しやすい。「遅筋線維と同程度のミトコンドリア密度をもち、酸化的な有酸素性の運動に適している」は誤りで、その特性はI型線維のものであり、IIx型のミトコンドリア密度はI型よりも低い。「他のどの線維タイプよりも先に動員され、低強度の運動で主体的に働く」も誤りで、サイズの原理によりIIx型は大きな力を必要とする場面で動員される線維であり、低強度の運動でまず動員されるのはI型線維である。
HINT 解糖系に依存する線維は、大きな力を出せるが長くは続かない。
- Q07#cb-es-007
レジスタンストレーニングによる筋線維タイプの適応のうち、IIa型線維の特性を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1I型線維よりも収縮速度が遅く、持久的な運動を中心として動員されやすい
- 2一度決まった性質を生涯にわたって保つ、固定された線維タイプである
- 3解糖的な性質と酸化的な性質をあわせもつ中間型で、トレーニングに応じてIIx型へ移行しうる正解
Answer
正解 3:解糖的な性質と酸化的な性質をあわせもつ中間型で、トレーニングに応じてIIx型へ移行しうる
正しいのは「解糖的な性質と酸化的な性質をあわせもつ中間型で、トレーニングに応じてIIx型へ移行しうる」である。IIa型線維は解糖能力と酸化能力をあわせもつ中間的な性質をもち、トレーニングの種類に応じてIIx型との間で性質が移行する可塑性が知られている。「I型線維よりも収縮速度が遅く、持久的な運動を中心として動員されやすい」は誤りで、IIa型はI型よりも収縮速度が速い速筋線維であり、持久的な運動だけを中心に動員されるわけではない。「一度決まった性質を生涯にわたって保つ、固定された線維タイプである」も誤りで、筋線維タイプの性質はトレーニングの内容によって変化しうるものであり、固定されたものではない。
HINT IIa型は速筋と遅筋の性質を両方もつ中間型である。
- Q08#cb-es-008
骨格筋の筋線維タイプのうち、I型線維の特性を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1ミトコンドリアと毛細血管が豊富で、酸化的な代謝により疲労に強い正解
- 2収縮速度が速く、瞬発的に大きな力を発揮するぶん疲労しやすい
- 3運動単位のサイズが大きく、強い力を要する場面で真っ先に動員される
Answer
正解 1:ミトコンドリアと毛細血管が豊富で、酸化的な代謝により疲労に強い
正しいのは「ミトコンドリアと毛細血管が豊富で、酸化的な代謝により疲労に強い」である。I型線維はミトコンドリアと毛細血管が豊富で酸化的な代謝を主なエネルギー供給とし、マラソンのような長時間の競技で重要な疲労耐性をもつ。「収縮速度が速く、瞬発的に大きな力を発揮するぶん疲労しやすい」は誤りで、収縮速度が速く瞬発的に力を発揮するのはII型線維の特性であり、I型線維の収縮速度は遅い。「運動単位のサイズが大きく、強い力を要する場面で真っ先に動員される」も誤りで、I型線維の運動単位はサイズが小さく、サイズの原理により低強度の場面でまず動員される。
HINT ミトコンドリアと毛細血管が豊富な線維は疲労に強い。
- Q09#cb-es-009
スクワットのような大腿四頭筋主体の種目で、ハムストリングスが同時に働く共収縮の意義を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1ハムストリングスが強く働くほど、大腿四頭筋の出力はそのまま大きく倍増する
- 2共収縮が起こると関節にかかる力の大部分が相殺され、負荷はゼロに近づく
- 3膝関節の前方への剪断力を抑え、関節を安定させる正解
Answer
正解 3:膝関節の前方への剪断力を抑え、関節を安定させる
正しいのは「膝関節の前方への剪断力を抑え、関節を安定させる」である。大腿四頭筋が主働筋として働く際、拮抗筋であるハムストリングスが同時に働く共収縮により脛骨の前方へのすべりが抑えられ、膝関節が安定する。「ハムストリングスが強く働くほど、大腿四頭筋の出力はそのまま大きく倍増する」は誤りで、拮抗筋の共収縮は主働筋の出力を安定化・調整する働きであり、出力を倍増させるものではない。「共収縮が起こると関節にかかる力の大部分が相殺され、負荷はゼロに近づく」も誤りで、共収縮は関節にかかる力をすべて打ち消すものではなく、方向をそろえて関節を安定させるために働く。
HINT 拮抗筋の共収縮は、関節の安定化のために働く。
- Q10#cb-es-010
大腿直筋が二関節筋として働くことに関する説明として、スプリントのキック動作を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1股関節屈曲と膝関節伸展を同時に強く行うほど、両端で生じた張力が足し合わされて出力はむしろ高まる
- 2股関節の動きを担う専門の筋であり、膝関節の伸展は別の単関節筋が単独で行う
- 3股関節屈曲と膝関節伸展を同時に強く行おうとすると、筋が両端で短縮しすぎて出力が低下しやすい正解
Answer
正解 3:股関節屈曲と膝関節伸展を同時に強く行おうとすると、筋が両端で短縮しすぎて出力が低下しやすい
正しいのは「股関節屈曲と膝関節伸展を同時に強く行おうとすると、筋が両端で短縮しすぎて出力が低下しやすい」である。大腿直筋は股関節屈曲と膝関節伸展の両方に作用する二関節筋であり、両方の動きを同時に強く行うと筋の両端がともに短縮し、いわゆる自己不十分性により発揮できる力が下がりやすい。「股関節屈曲と膝関節伸展を同時に強く行うほど、両端で生じた張力が足し合わされて出力はむしろ高まる」は誤りで、両端がともに短縮する状況では張力が足し合わされるどころか、筋節の長さが力を出しやすい範囲から外れて出力は下がる。「股関節の動きを担う専門の筋であり、膝関節の伸展は別の単関節筋が単独で行う」も誤りで、大腿直筋自身が股関節屈曲と膝関節伸展の両方に作用する二関節筋である。
HINT 二関節筋は、両端を同時に強く短縮させると出力が下がりやすい。
- Q11#cb-es-011
三角筋の前部・中部・後部の作用の違いを説明したものとして、オーバーヘッドプレスなどの動作を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1前部は肩関節の屈曲、中部は外転、後部は伸展や水平外転に主に関わる正解
- 2前部が肩関節の外転、中部が屈曲を担い、後部は肩甲骨を動かす働きに専念する
- 3後部が肩関節の動きの大部分を担い、前部と中部は補助的に働く
Answer
正解 1:前部は肩関節の屈曲、中部は外転、後部は伸展や水平外転に主に関わる
正しいのは「前部は肩関節の屈曲、中部は外転、後部は伸展や水平外転に主に関わる」である。三角筋は前部・中部・後部で走行方向が異なり、前部は肩関節の屈曲、中部は外転、後部は伸展や水平外転に主に関わるという役割分担をもつ。「前部が肩関節の外転、中部が屈曲を担い、後部は肩甲骨を動かす働きに専念する」は誤りで、外転を主に担うのは中部、屈曲を主に担うのは前部であり、役割が入れ替わっている。三角筋はいずれの部位も上腕骨に停止して肩関節を動かす筋であり、後部が肩甲骨の動きを担うわけでもない。「後部が肩関節の動きの大部分を担い、前部と中部は補助的に働く」も誤りで、三部位はそれぞれ異なる動きを主に担っており、後部だけが動きの大部分を担う関係にはない。
HINT 三角筋の三部位は、走行方向によって主に関わる動きが違う。
- Q12#cb-es-012
大胸筋の鎖骨部と胸肋部の動員の違いを説明したものとして、ベンチプレスの角度を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1鎖骨部はインクライン、胸肋部はデクラインでより強く動員されやすい正解
- 2鎖骨部と胸肋部の動員の差を決めるのは、ベンチの角度よりもバーを握る手幅である
- 3胸肋部はインクラインベンチプレスでより強く動員され、鎖骨部の関与は角度に関係なく一定である
Answer
正解 1:鎖骨部はインクライン、胸肋部はデクラインでより強く動員されやすい
正しいのは「鎖骨部はインクライン、胸肋部はデクラインでより強く動員されやすい」である。大胸筋の鎖骨部は上方への動きに関わりやすいためインクラインベンチプレスで、胸肋部は下方への動きに関わりやすいためデクラインベンチプレスでより強く動員される傾向がある。「鎖骨部と胸肋部の動員の差を決めるのは、ベンチの角度よりもバーを握る手幅である」は誤りで、手幅は肩関節の水平内転の範囲を変えるものであり、鎖骨部と胸肋部の動員の差を決めるのは上腕を押し上げる方向、すなわちベンチの角度である。「胸肋部はインクラインベンチプレスでより強く動員され、鎖骨部の関与は角度に関係なく一定である」も誤りで、インクラインでより強く動員されやすいのは胸肋部ではなく鎖骨部であり、鎖骨部の関与も角度によって変化する。
HINT 上方への動きに関わる部位ほど、インクラインで働きやすい。
- Q13#cb-es-013
上腕二頭筋の長頭と短頭の起始の違いに関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は烏口突起から起始し、ともに橈骨に付着する正解
- 2長頭は烏口突起から、短頭は関節上結節から起始し、ともに尺骨に付着する
- 3長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は上腕骨の前面から起始し、ともに橈骨に付着する
Answer
正解 1:長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は烏口突起から起始し、ともに橈骨に付着する
正しいのは「長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は烏口突起から起始し、ともに橈骨に付着する」である。上腕二頭筋の長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は肩甲骨の烏口突起からそれぞれ起始し、両頭とも合流して橈骨に付着することで前腕の回外と肘関節の屈曲に働く。「長頭は烏口突起から、短頭は関節上結節から起始し、ともに尺骨に付着する」は誤りで、長頭と短頭の起始が入れ替わっており、付着する骨も橈骨ではなく尺骨とされている点が誤りである。「長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は上腕骨の前面から起始し、ともに橈骨に付着する」も誤りで、長頭の起始は正しいが、短頭の起始は上腕骨ではなく肩甲骨の烏口突起である。
HINT 上腕二頭筋の二つの頭は、どちらも肩甲骨から起始する。
- Q14#cb-es-014
上腕三頭筋の長頭が肩関節と肘関節の両方に作用する二関節筋としての特性を説明したものとして、投球のフォロースルーを例にとると最も適切なものはどれか。
- 1長頭は肩甲骨から起始し、肩と肘をともに屈曲させる働きをもつ
- 2長頭は肩甲骨から起始し、肩関節の伸展と肘関節の伸展を同時に強める働きをもつ正解
- 3長頭は肩関節の動きに関わる一方で、肘関節の伸展は内側頭と外側頭が単独で担っている
Answer
正解 2:長頭は肩甲骨から起始し、肩関節の伸展と肘関節の伸展を同時に強める働きをもつ
正しいのは「長頭は肩甲骨から起始し、肩関節の伸展と肘関節の伸展を同時に強める働きをもつ」である。上腕三頭筋の長頭は肩甲骨から起始する唯一の頭であり、肩関節の伸展と肘関節の伸展の両方に作用する二関節筋として、投球のフォロースルーのような動作で両関節の伸展を同時に強める。「長頭は肩甲骨から起始し、肩と肘をともに屈曲させる働きをもつ」は誤りで、上腕三頭筋は伸展に働く筋であり、肩や肘を屈曲させる働きはもたない。「長頭は肩関節の動きに関わる一方で、肘関節の伸展は内側頭と外側頭が単独で担っている」も誤りで、長頭自身も肘関節の伸展に作用しており、肘関節の伸展を内側頭と外側頭だけが担っているわけではない。
HINT 上腕三頭筋の三つの頭のうち、肩甲骨から起始するのは長頭だけである。
- Q15#cb-es-015
菱形筋と肩甲挙筋の作用を説明したものとして、バーベル種目で肩甲骨を固定する場面を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1菱形筋は肩甲骨を外転させ、肩甲挙筋は肩甲骨を下方に引き下げる働きをもつ
- 2菱形筋は肩甲骨を内転させ、肩甲挙筋は肩甲骨を挙上させる正解
- 3菱形筋と肩甲挙筋はいずれも肩甲骨を上方回旋させる働きを専ら担う
Answer
正解 2:菱形筋は肩甲骨を内転させ、肩甲挙筋は肩甲骨を挙上させる
正しいのは「菱形筋は肩甲骨を内転させ、肩甲挙筋は肩甲骨を挙上させる」である。菱形筋は肩甲骨を脊柱側へ引き寄せる内転の働きをもち、肩甲挙筋は肩甲骨を上方へ引き上げる挙上の働きをもち、いずれもバーベル種目で肩甲骨を固定する際に重要になる。「菱形筋は肩甲骨を外転させ、肩甲挙筋は肩甲骨を下方に引き下げる働きをもつ」は誤りで、菱形筋の働きは外転ではなく内転であり、肩甲挙筋の働きも下制ではなく挙上である。「菱形筋と肩甲挙筋はいずれも肩甲骨を上方回旋させる働きを専ら担う」も誤りで、二つの筋の主な働きは内転と挙上であり、上方回旋を専ら担う筋ではない。
HINT 菱形筋は肩甲骨を脊柱側へ、肩甲挙筋は上方へ引く。
- Q16#cb-es-016
腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)の起始停止と働きを説明したものとして、スプリントの引き上げ相を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1大腰筋は腸骨から、腸骨筋は脊柱から起始し、大転子に付着して股関節を伸展させる
- 2大腰筋は脊柱から、腸骨筋は腸骨から起始し、ともに大腿骨に付着して股関節を屈曲させる正解
- 3大腰筋と腸骨筋はいずれも坐骨から起始し、腓骨に付着する
Answer
正解 2:大腰筋は脊柱から、腸骨筋は腸骨から起始し、ともに大腿骨に付着して股関節を屈曲させる
正しいのは「大腰筋は脊柱から、腸骨筋は腸骨から起始し、ともに大腿骨に付着して股関節を屈曲させる」である。大腰筋は腰椎から、腸骨筋は腸骨の内面からそれぞれ起始し、合流して大腿骨の小転子に付着することで股関節を屈曲させ、スプリントの引き上げ相で重要な働きをする。「大腰筋は腸骨から、腸骨筋は脊柱から起始し、大転子に付着して股関節を伸展させる」は誤りで、起始が入れ替わっているうえ、腸腰筋の働きは伸展ではなく屈曲である。「大腰筋と腸骨筋はいずれも坐骨から起始し、腓骨に付着する」も誤りで、起始は坐骨ではなく脊柱・腸骨であり、付着部も腓骨ではない。
HINT 腸腰筋は股関節を屈曲させる筋であり、伸展には働かない。
- Q17#cb-es-017
股関節の内転筋群の起始停止と働きを説明したものとして、カッティング動作を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1内転筋群はすべて腸骨から起始し、脛骨に付着して膝関節の伸展を主に担う
- 2内転筋群は仙骨から起始し、腓骨に付着する
- 3内転筋群の多くは恥骨から起始し、大腿骨に付着して股関節の内転を担う正解
Answer
正解 3:内転筋群の多くは恥骨から起始し、大腿骨に付着して股関節の内転を担う
正しいのは「内転筋群の多くは恥骨から起始し、大腿骨に付着して股関節の内転を担う」である。長内転筋や短内転筋など内転筋群の多くは恥骨から起始し大腿骨に付着して股関節の内転に働き、カッティング動作の切り返しで股関節を安定させる役割をもつ。「内転筋群はすべて腸骨から起始し、脛骨に付着して膝関節の伸展を主に担う」は誤りで、起始は腸骨ではなく恥骨であり、膝関節の伸展を主に担う筋でもない。「内転筋群は仙骨から起始し、腓骨に付着する」も誤りで、起始は仙骨ではなく恥骨であり、付着部も腓骨ではない。
HINT 内転筋群の多くは恥骨から起始する。
- Q18#cb-es-018
運動単位の神経支配比(1つの運動神経が支配する筋線維数)に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1速筋型の運動単位ほど神経支配比が大きく、大きな力を発揮できる正解
- 2神経支配比は筋全体の太さで決まり、太い筋ほどどの運動単位でも大きな値をとる
- 3遅筋型の運動単位ほど神経支配比が大きく、瞬発的で大きな力の発揮に適している
Answer
正解 1:速筋型の運動単位ほど神経支配比が大きく、大きな力を発揮できる
正しいのは「速筋型の運動単位ほど神経支配比が大きく、大きな力を発揮できる」である。速筋型の運動単位は1つの運動神経が支配する筋線維数(神経支配比)が大きく、多数の筋線維を一括して活動させることで大きな力を発揮できる。「神経支配比は筋全体の太さで決まり、太い筋ほどどの運動単位でも大きな値をとる」は誤りで、神経支配比を左右するのは筋の太さではなく運動単位の型であり、一つの筋の中にも支配比の小さい運動単位と大きい運動単位が混在している。「遅筋型の運動単位ほど神経支配比が大きく、瞬発的で大きな力の発揮に適している」も誤りで、神経支配比が大きく瞬発的な大きな力の発揮に適しているのは遅筋型ではなく速筋型の運動単位である。
HINT 神経支配比が大きいほど、一度に動かせる筋線維の数が多い。
- Q19#cb-es-019
関節包にあるルフィニ小体とパチニ小体の働きを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1ルフィニ小体は関節の位置や角度の変化をゆっくりと伝え、パチニ小体は関節の動き始めや振動を素早く伝える正解
- 2ルフィニ小体は筋の張力を、パチニ小体は筋の長さの変化を検出する受容器である
- 3ルフィニ小体とパチニ小体はいずれも腱の中にあり、筋の張力の変化を検出する
Answer
正解 1:ルフィニ小体は関節の位置や角度の変化をゆっくりと伝え、パチニ小体は関節の動き始めや振動を素早く伝える
正しいのは「ルフィニ小体は関節の位置や角度の変化をゆっくりと伝え、パチニ小体は関節の動き始めや振動を素早く伝える」である。ルフィニ小体は関節包内にあり関節の位置や角度をゆっくりと持続的に伝え、パチニ小体は同じ関節包内で動き始めや振動といった急な変化を素早く伝える固有受容器である。「ルフィニ小体は筋の張力を、パチニ小体は筋の長さの変化を検出する受容器である」は誤りで、筋の張力を検出するのは腱にあるゴルジ腱器官、筋の長さの変化を検出するのは筋にある筋紡錘であり、いずれも関節包内の受容器ではない。「ルフィニ小体とパチニ小体はいずれも腱の中にあり、筋の張力の変化を検出する」も誤りで、両者は腱の中ではなく関節包の中にある受容器である。
HINT ルフィニ小体とパチニ小体は、関節包の中にある固有受容器である。
- Q20#cb-es-020
恥骨結合の構造と、キック動作を繰り返す競技者にみられる負荷の関係を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1恥骨結合は滑膜性の関節であり、大きな可動域をもつため反復するキック動作の負荷が広く分散されやすい
- 2恥骨結合は骨どうしが直接癒合した構造で、成長とともに完全に一体化する
- 3恥骨結合は線維軟骨でつながる軟骨性の結合で、反復するキック動作により炎症を起こしやすい正解
Answer
正解 3:恥骨結合は線維軟骨でつながる軟骨性の結合で、反復するキック動作により炎症を起こしやすい
正しいのは「恥骨結合は線維軟骨でつながる軟骨性の結合で、反復するキック動作により炎症を起こしやすい」である。恥骨結合は左右の恥骨が線維軟骨でつながる軟骨性の結合であり、可動域はわずかだが、サッカーのキック動作のように反復して左右非対称な負荷が加わると炎症を起こしやすい部位として知られる。「恥骨結合は滑膜性の関節であり、大きな可動域をもつため反復するキック動作の負荷が広く分散されやすい」は誤りで、恥骨結合は滑膜性の関節ではなく軟骨性の結合であり、可動域も大きくはない。「恥骨結合は骨どうしが直接癒合した構造で、成長とともに完全に一体化する」も誤りで、恥骨結合は骨が直接癒合したものではなく、線維軟骨を介してつながる構造である。
HINT 恥骨結合は骨性ではなく軟骨性の結合である。
- Q21#cb-es-021
膝関節の半月板の構造と役割を説明したものとして、着地や方向転換の動作を例にとると最も適切なものはどれか。
- 1半月板は線維軟骨からなり、荷重を分散させて衝撃を吸収する正解
- 2半月板は硝子軟骨からなり、関節の動きを滑らかにする役割を担う
- 3半月板は関節包の内側を覆う滑膜が肥厚したもので、関節液を分泌して可動域を広げる働きを主に担う
Answer
正解 1:半月板は線維軟骨からなり、荷重を分散させて衝撃を吸収する
正しいのは「半月板は線維軟骨からなり、荷重を分散させて衝撃を吸収する」である。半月板は大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨性の組織で、着地や方向転換のように関節に荷重が集中する場面で荷重を広い面に分散させ、衝撃を吸収する役割をもつ。「半月板は硝子軟骨からなり、関節の動きを滑らかにする役割を担う」は誤りで、半月板の組織は硝子軟骨ではなく線維軟骨である。「半月板は関節包の内側を覆う滑膜が肥厚したもので、関節液を分泌して可動域を広げる働きを主に担う」も誤りで、関節液を分泌するのは滑膜であって半月板ではなく、半月板は線維軟骨性の組織として荷重の分散と衝撃吸収を主に担う。
HINT 半月板の組織は、靱帯や関節軟骨とは種類が異なる線維軟骨である。
- Q22#cb-es-022
骨のリモデリングと、競技で加わる荷重の違いが骨密度に及ぼす影響を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1骨芽細胞が骨を吸収し、破骨細胞が骨を形成することで決まり、荷重が少ない競技ほど骨密度が高まりやすい
- 2骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスで決まり、荷重の大きい競技の選手ほど骨密度が高まりやすい正解
- 3骨のリモデリングは幼少期に限られる現象であり、成人期には骨量が生涯にわたって一定に保たれる
Answer
正解 2:骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスで決まり、荷重の大きい競技の選手ほど骨密度が高まりやすい
正しいのは「骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスで決まり、荷重の大きい競技の選手ほど骨密度が高まりやすい」である。骨のリモデリングは骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスによって進み、大きな機械的な荷重が繰り返し加わる競技の選手は、水泳のような非荷重系の競技の選手よりも骨密度が高まりやすい。「骨芽細胞が骨を吸収し、破骨細胞が骨を形成することで決まり、荷重が少ない競技ほど骨密度が高まりやすい」は誤りで、骨芽細胞と破骨細胞の働きが入れ替わっているうえ、骨密度が高まりやすいのは荷重の大きい競技の選手である。「骨のリモデリングは幼少期に限られる現象であり、成人期には骨量が生涯にわたって一定に保たれる」も誤りで、骨のリモデリングは成人期以降も継続して起こり、骨量は生涯にわたって一定に保たれるものではない。
HINT 荷重の大きい競技の選手ほど、骨密度が高まりやすい。
- Q23#cb-es-023
高強度運動でクレアチンリン酸を使い切った後、休息中の回復について正しいものはどれか。
- 1クレアチンリン酸の再合成は休息開始後すぐに始まり、数十秒でおよそ半分、数分でほぼ完全な水準まで回復する正解
- 2クレアチンリン酸の水準は、セット間の短い休息中も運動直後の低い値のまま次の運動まで保たれる
- 3クレアチンリン酸は運動を止めた直後に分解が始まり、そこから消費量が徐々に増える
Answer
正解 1:クレアチンリン酸の再合成は休息開始後すぐに始まり、数十秒でおよそ半分、数分でほぼ完全な水準まで回復する
クレアチンリン酸(PCr)の再合成は運動を止めた直後から始まり、半分程度の回復には数十秒、ほぼ完全な回復には数分程度を要するとされる。高強度の反復を目的とするセット間の休息時間は、この回復の速さを前提に設定される。「セット間の短い休息中も運動直後の低い値のまま次の運動まで保たれる」は誤りで、実際には休息中に再合成が進み水準は回復する。「運動を止めた直後に分解が始まり、そこから消費量が徐々に増える」も誤りで、クレアチンリン酸の分解は高強度運動そのものの最中に進み、運動を止めた後は逆に再合成へ転じる。
HINT 半分の回復は数十秒、ほぼ完全な回復は数分。セット間の休息時間設計の根拠になる。
- Q24#cb-es-024
解糖系(乳酸性機構)による無酸素性のエネルギー供給が運動の主役になりやすい運動時間として最も適切なものはどれか。
- 15秒前後で終わる一瞬の全力運動でこそ解糖系の寄与がもっとも大きくなる
- 2全力に近い運動をおよそ30秒から2分程度続ける場面で解糖系の寄与が最も大きくなる正解
- 320分を超えて持続する低強度の運動でも解糖系の寄与が運動の終始で最大の割合を占める
Answer
正解 2:全力に近い運動をおよそ30秒から2分程度続ける場面で解糖系の寄与が最も大きくなる
解糖系はATP-CP系より供給速度は遅いが有酸素系より速く、おおむね30秒から2分程度続く全力に近い運動で寄与が最も大きくなるとされる。400m走や高強度のインターバルなど、競技者が経験する種目の多くがこの時間帯に該当する。「5秒前後で終わる一瞬の全力運動でこそ解糖系の寄与がもっとも大きくなる」は誤りで、この極めて短い時間帯はATP-CP系の寄与が最も大きい。「20分を超えて持続する低強度の運動でも解糖系の寄与が運動の終始で最大の割合を占める」も誤りで、長時間の低強度運動では有酸素系の寄与が終始優位になる。
HINT 400m走やタバタ的な高強度インターバルの時間帯。ATP-CP系と有酸素系の間を担う。
- Q25#cb-es-025
運動中に速筋線維で産生された乳酸の行方に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1産生された乳酸は速筋線維の内部に蓄積し、運動が終わるまでその場にとどまる
- 2乳酸の一部は血流を介して心筋や遅筋線維へ運ばれ、酸化されて利用される正解
- 3乳酸は肝臓でグルコースへ変換されて初めて、筋で使えるエネルギー源になる
Answer
正解 2:乳酸の一部は血流を介して心筋や遅筋線維へ運ばれ、酸化されて利用される
産生された乳酸の一部は血流に乗って心筋や遅筋線維など酸化能力の高い組織へ運ばれ、そこで酸化されてエネルギー源として利用される(乳酸シャトル)。「速筋線維の内部に蓄積し、運動が終わるまでその場にとどまる」は誤りで、乳酸は血流を介して他の組織へも運ばれていく。「肝臓でグルコースへ変換されて初めて、筋で使えるエネルギー源になる」も誤りで、肝臓での糖新生は乳酸の利用経路の一つにすぎず、心筋や遅筋線維での直接的な酸化利用を無視している。
HINT 乳酸シャトル:産生した場所だけでなく、心筋や遅筋線維でも燃料として使われる。
- Q26#cb-es-026
競技者の持久的トレーニングにおいて、血中乳酸濃度がおよそ4mmol/L前後まで上昇する運動強度(乳酸性作業閾値)を指標として用いる理由として最も適切なものはどれか。
- 1その強度を境に乳酸の産生が処理を上回り始め、長く維持できる運動強度の上限を競技者ごとに把握する指標になるため正解
- 2その強度は最大心拍数と一対一に対応しており、年齢から導いた式で競技者を測定せずに求められるため
- 3その強度を超えると乳酸は速やかに分解され、運動中の疲労感がむしろ軽くなるため
Answer
正解 1:その強度を境に乳酸の産生が処理を上回り始め、長く維持できる運動強度の上限を競技者ごとに把握する指標になるため
乳酸性作業閾値を境に乳酸の産生速度が処理速度を上回り始め、血中乳酸濃度が急激に上昇する。この強度は競技者によって異なり、長時間維持できる運動強度の実質的な上限を個別に把握する指標として使われる。「その強度は最大心拍数と一対一に対応しており、年齢から導いた式で競技者を測定せずに求められる」は誤りで、閾値が現れる強度はトレーニング状態によって大きく異なり、年齢から一律に推定できるものではない。「その強度を超えると乳酸は速やかに分解され、運動中の疲労感がむしろ軽くなる」も誤りで、閾値を超えると乳酸の蓄積が進み、運動の継続はむしろ難しくなっていく。
HINT 閾値は個人差が大きいからこそ指標になる。全員同じ値では測る意味がない。
- Q27#cb-es-027
漸増負荷運動中に、酸素摂取量の増加に対して換気量が不釣り合いに急激に増加し始める点(換気性閾値)を、乳酸性作業閾値の非侵襲的な目安として用いる根拠はどれか。
- 1換気量の増加は主に体温の上昇を感知した結果として起こる反応であるため
- 2換気性閾値は年齢や体力から性別ごとに一律の値として予測でき、安静時心拍数だけで正確に求まるため
- 3水素イオンを重炭酸で緩衝する際に増える二酸化炭素を換気中枢が感知し、換気量を強めるため正解
Answer
正解 3:水素イオンを重炭酸で緩衝する際に増える二酸化炭素を換気中枢が感知し、換気量を強めるため
乳酸性作業閾値を超えると血中の水素イオンが増え、これを重炭酸イオンで緩衝する過程で二酸化炭素が過剰に生じる。換気中枢はこの二酸化炭素の増加を感知して換気量を強めるため、採血をしなくても呼吸パターンの変化から閾値の目安をつかむことができる。「換気量の増加は主に体温の上昇を感知した結果として起こる反応である」は誤りで、換気性閾値の急激な変化は乳酸緩衝に伴う二酸化炭素産生と結びついている。「換気性閾値は年齢や体力から性別ごとに一律の値として予測でき、安静時心拍数だけで正確に求まる」も誤りで、閾値は漸増負荷運動中の呼吸ガスの実測によって個別に求める必要がある。
HINT 採血せずに閾値の目安をつかむ方法。呼吸が急に荒くなる点に注目する。
- Q28#cb-es-028
運動強度を高めていくと動静脈酸素差(a-vO2差)が拡大していく主な理由として最も適切なものはどれか。
- 1活動筋が組織から酸素を取り込む量が増え、静脈血の酸素含量が低下するため正解
- 2動脈血中の酸素分圧が運動強度に応じて大きく上昇し、酸素の含有量が増えるため
- 3心拍出量が増えることに伴って、動脈血と静脈血の酸素含量の差が自動的に大きくなるため
Answer
正解 1:活動筋が組織から酸素を取り込む量が増え、静脈血の酸素含量が低下するため
活動筋が組織で酸素を消費する量が増えるほど、静脈血に残る酸素の含量は低下する。動脈血の酸素含量は運動強度が上がってもほとんど変わらないため、この静脈側の低下が動静脈酸素差を広げる主な要因になる。「動脈血中の酸素分圧が運動強度に応じて大きく上昇し、酸素の含有量が増える」は誤りで、動脈血の酸素含量は運動中もほぼ一定に保たれる。「心拍出量が増えることに伴って、動脈血と静脈血の酸素含量の差が自動的に大きくなる」も誤りで、心拍出量の増加自体は酸素の運搬量を増やす働きであり、動静脈酸素差の拡大を直接もたらすものではない。
HINT 動脈側はほぼ一定。差が広がるのは静脈側が下がるから。
- Q29#cb-es-029
最大酸素摂取量(VO2max)を、心拍出量と動静脈酸素差の積として表す考え方(Fickの原理)の説明として最も適切なものはどれか。
- 1VO2maxは心拍出量の大きさだけで決まる値であり、動静脈酸素差は付随する参考値である
- 2VO2maxは心拍出量と動静脈酸素差の積として表され、いずれかが高まればVO2maxも高まる正解
- 3VO2maxは肺が一度に取り込める空気の量によって決まる値である
Answer
正解 2:VO2maxは心拍出量と動静脈酸素差の積として表され、いずれかが高まればVO2maxも高まる
VO2maxは、心臓が血液を送り出す能力である心拍出量と、組織が血液から酸素を取り込む効率である動静脈酸素差の積として表される(Fickの原理)。心拍出量と動静脈酸素差のいずれかが高まれば、VO2maxもそれに応じて高まる。「VO2maxは心拍出量の大きさだけで決まる値であり、動静脈酸素差は付随する参考値である」は誤りで、動静脈酸素差もVO2maxを規定する要素の一つである。「VO2maxは肺が一度に取り込める空気の量によって決まる値である」も誤りで、健常者では肺における空気の取り込み(換気)がVO2maxの主な制限要因になることは少ない。
HINT VO2max = 心拍出量 × 動静脈酸素差。どちらか一方だけの話ではない。
- Q30#cb-es-030
同じ内容の持久的トレーニングを行った複数の人の間で、最大酸素摂取量の増加幅に個人差が大きく生じる背景として最も適切なものはどれか。
- 1トレーニング開始前に測定しておいた安静時心拍数の高さだけで、増加幅の個人差はほぼ完全に説明できる
- 2トレーニングの記録方法(手書きか電子記録か)の違いによって、増加幅の個人差が生まれる
- 3トレーニングへの反応性(トレーナビリティ)には遺伝的な要因が関わり、増加幅に個人差が生じる正解
Answer
正解 3:トレーニングへの反応性(トレーナビリティ)には遺伝的な要因が関わり、増加幅に個人差が生じる
同じ内容のトレーニングを行っても、最大酸素摂取量の増加幅には個人差が大きいことが知られており、この反応性(トレーナビリティ)には遺伝的な要因が関わっているとされる。「トレーニング開始前に測定しておいた安静時心拍数の高さだけで、増加幅の個人差はほぼ完全に説明できる」は誤りで、安静時心拍数だけで増加幅の個人差を説明する根拠は乏しい。「トレーニングの記録方法(手書きか電子記録か)の違いによって、増加幅の個人差が生まれる」も誤りで、記録の方法は生理的な適応の大きさに影響しない。
HINT 同じ負荷でも伸び方が違う人がいるのは遺伝的な反応性の差。指導計画には個人差への配慮が要る。
- Q31#cb-es-031
持久系競技者と筋力・パワー系競技者に見られる心臓の構造的な適応の違いとして最も適切なものはどれか。
- 1持久系競技者も筋力・パワー系競技者も、心室の壁が厚くなる求心性の変化だけが共通して起こる
- 2筋力・パワー系競技者では心室内腔が広がる変化が主体で、持久系競技者では壁の厚みが増す変化が主体となる
- 3持久系競技者では心室内腔の拡張が、筋力・パワー系競技者では壁の肥厚が主体となる正解
Answer
正解 3:持久系競技者では心室内腔の拡張が、筋力・パワー系競技者では壁の肥厚が主体となる
持久的トレーニングでは心臓に対する容量負荷が主体となり、心室内腔が広がる遠心性の変化が起こりやすい。一方、高強度のレジスタンストレーニングでは血圧上昇による圧負荷が主体となり、心室の壁が厚くなる求心性の変化が起こりやすいとされる。「持久系競技者も筋力・パワー系競技者も、心室の壁が厚くなる求心性の変化だけが共通して起こる」は誤りで、持久系競技者では内腔の拡張が主体になる。「筋力・パワー系競技者では心室内腔が広がる変化が主体で、持久系競技者では壁の厚みが増す変化が主体となる」は両者の関係を取り違えている。
HINT 持久系は「広がる」、筋力・パワー系は「厚くなる」。負荷の種類(容量か圧か)で決まる。
- Q32#cb-es-032
よく鍛えられた持久系競技者に、安静時心拍数が一般成人より低い徐脈が見られやすい理由として最も適切なものはどれか。
- 1一回拍出量が増えているため、安静時に必要な心拍出量を少ない心拍数でも満たせるようになるため正解
- 2心臓の筋肉が弱まり、心拍数を下げることで一回拍出量の低下を補おうとするため
- 3安静時には心臓の電気的な興奮の伝わり方がやや遅くなり、心拍数が自然と下がるため
Answer
正解 1:一回拍出量が増えているため、安静時に必要な心拍出量を少ない心拍数でも満たせるようになるため
持久的トレーニングによって一回拍出量が増しているため、安静時に必要な心拍出量を少ない心拍数でも満たせるようになり、また副交感神経の働きが優位になりやすいことも相まって、安静時心拍数が低くなりやすい。「心臓の筋肉が弱まり、心拍数を下げることで一回拍出量の低下を補おうとする」は誤りで、トレーニングされた心臓では一回拍出量はむしろ増加している。「安静時には心臓の電気的な興奮の伝わり方がやや遅くなり、心拍数が自然と下がる」も誤りで、徐脈の主な理由は伝導の遅れではなく一回拍出量の増加と自律神経のバランスの変化である。
HINT 一回拍出量が大きいから、少ない拍数でも足りる。心臓が弱ったわけではない。
- Q33#cb-es-033
バーベルスクワットのような高強度のレジスタンス運動と、ジョギングのような有酸素性の動的運動を比べたとき、運動中の血圧反応の違いとして最も適切なものはどれか。
- 1動的な有酸素性運動のほうが、レジスタンス運動よりも収縮期血圧はより大きく上昇する
- 2バルサルバ手技を伴うレジスタンス運動では収縮期血圧が急激に大きく上昇しやすい正解
- 3血圧の上昇幅は運動の種類によらずほぼ一定に保たれる
Answer
正解 2:バルサルバ手技を伴うレジスタンス運動では収縮期血圧が急激に大きく上昇しやすい
高強度のレジスタンス運動では、息を止めて力むバルサルバ手技を伴うことが多く、胸腔内圧の上昇と血管の強い収縮が重なって収縮期血圧が急激かつ大きく上昇しやすい。一方、ジョギングのような動的な有酸素性運動では、活動筋の血管拡張によって血圧の上昇は比較的緩やかである。「動的な有酸素性運動のほうが、レジスタンス運動よりも収縮期血圧はより大きく上昇する」は両者の関係を取り違えている。「血圧の上昇幅は運動の種類によらずほぼ一定に保たれる」も誤りで、運動の様式によって血圧反応の大きさは明らかに異なる。
HINT 力んで息を止める動きほど血圧が跳ね上がる。高血圧のある競技者への指導で重要な違い。
- Q34#cb-es-034
高強度の運動中に血中のアドレナリン(エピネフリン)濃度が上昇することによる代謝への作用として最も適切なものはどれか。
- 1肝臓のグリコーゲン分解と脂肪組織の脂肪分解を促す正解
- 2膵臓からのインスリン分泌を強く刺激し、筋への糖の取り込みを速やかに増加させる
- 3副交感神経の働きを高め、消化器系の血流を優先的に増加させる
Answer
正解 1:肝臓のグリコーゲン分解と脂肪組織の脂肪分解を促す
アドレナリンは運動時に交感神経の興奮とともに副腎髄質から分泌が高まり、肝臓のグリコーゲン分解と脂肪組織の脂肪分解を促してエネルギー基質の動員を強める。「膵臓からのインスリン分泌を強く刺激し、筋への糖の取り込みを速やかに増加させる」は方向が逆で、運動中はインスリンの分泌はむしろ低下する。「副交感神経の働きを高め、消化器系の血流を優先的に増加させる」も誤りで、運動中は交感神経が優位になり消化器系への血流はむしろ低下する。
HINT 運動中はインスリンは下がる側、アドレナリンは基質を出す側。
- Q35#cb-es-035
レジスタンストレーニングの経験が浅い者と、長年トレーニングを積んだ競技者とで、同じ運動後の急性の成長ホルモン応答の大きさを比べた場合の一般的な傾向として最も適切なものはどれか。
- 1急性の成長ホルモン応答の大きさは、体重の重い競技者ほど大きく現れる
- 2トレーニング経験が浅い者のほうが、同じ運動に対して急性の成長ホルモン応答が大きく現れやすい傾向がある正解
- 3経験を積んだ競技者ほど、同じ運動に対する急性の成長ホルモン応答は大きく現れやすい
Answer
正解 2:トレーニング経験が浅い者のほうが、同じ運動に対して急性の成長ホルモン応答が大きく現れやすい傾向がある
同じ運動を行った場合、トレーニング経験が浅い者のほうが急性の成長ホルモン応答が大きく現れやすい傾向があり、経験を積んで刺激に慣れた競技者では同じ運動に対する反応が比較的小さくなりやすいとされる。「急性の成長ホルモン応答の大きさは、体重の重い競技者ほど大きく現れる」は誤りで、反応の大きさを左右するのは体重ではなくトレーニング経験の長さである。「経験を積んだ競技者ほど、同じ運動に対する急性の成長ホルモン応答は大きく現れやすい」も誤りで、実際には経験を積むほど同じ刺激に対する反応は小さくなりやすい。
HINT 初心者ほど同じ刺激で大きく反応する。経験者には新しい刺激の工夫が要る。
- Q36#cb-es-036
長期間にわたり過度なトレーニング負荷が回復力を上回り続けた競技者の、安静時テストステロン水準の変化として最も適切なものはどれか。
- 1安静時テストステロン水準は負荷の大きさや期間にかかわらず、常に一定に保たれる
- 2回復が追いつかない負荷が続くと、安静時テストステロン水準は低下する傾向がある正解
- 3安静時テストステロン水準は負荷が大きいほど右肩上がりに上昇する
Answer
正解 2:回復が追いつかない負荷が続くと、安静時テストステロン水準は低下する傾向がある
回復力を上回る過度なトレーニング負荷が長期間続くと、同化に関わるテストステロンの安静時水準は低下する傾向があり、過度なトレーニング負荷の兆候の一つとして扱われる。「安静時テストステロン水準は負荷の大きさや期間にかかわらず、常に一定に保たれる」は誤りで、負荷の蓄積に応じて水準は変化する。「安静時テストステロン水準は負荷が大きいほど右肩上がりに上昇する」も誤りで、過度な負荷はむしろ低下の方向に働く。
HINT 安静時テストステロンの低下はオーバートレーニングの手がかりの一つ。上がり続けるわけではない。
- Q37#cb-es-037
競技者のコンディション管理でコルチゾールの血中濃度を測定する際、採血の時刻をそろえておくことが重要とされる理由として最も適切なものはどれか。
- 1コルチゾールは測定機器の種類によって数値が大きく変わり、機器差の影響を強く受けるため
- 2コルチゾールは食事の直後だけ一時的に急上昇し、それ以外の時間帯ではほとんど検出できないため
- 3コルチゾールには明確な日内変動があり、早朝に高く夕方以降に低くなる傾向があるため正解
Answer
正解 3:コルチゾールには明確な日内変動があり、早朝に高く夕方以降に低くなる傾向があるため
コルチゾールには明確な日内変動があり、一般に早朝に高く、夕方以降にかけて低下していく傾向がある。採血の時刻をそろえないと、この日内変動の影響と実際のトレーニング負荷による変化とを区別できなくなるため、測定時刻を一定にすることが重要とされる。「コルチゾールは測定機器の種類によって数値が大きく変わり、機器差の影響を強く受ける」は誤りで、時刻をそろえる主な理由は日内変動への対処であり、機器差の問題とは別である。「コルチゾールは食事の直後だけ一時的に急上昇し、それ以外の時間帯ではほとんど検出できない」も誤りで、コルチゾールは食事の有無にかかわらず一日を通じて分泌され、安静時にも測定できる。
HINT 早朝が高く夕方以降は低い。採血時刻をそろえないと負荷の変化なのか時刻の違いなのか分からなくなる。
- Q38#cb-es-038
レジスタンストレーニングに対する同化作用に関わるインスリン様成長因子(IGF-1)の説明として最も適切なものはどれか。
- 1IGF-1は膵臓から分泌され、血糖を直接下げる作用のみを担うホルモンである
- 2IGF-1は運動をきっかけに分泌がほとんど完全に止まってしまう同化ホルモンである
- 3IGF-1は主に肝臓で成長ホルモンの刺激を受けて産生され、筋のたんぱく質合成を促す同化作用に関わる正解
Answer
正解 3:IGF-1は主に肝臓で成長ホルモンの刺激を受けて産生され、筋のたんぱく質合成を促す同化作用に関わる
IGF-1(インスリン様成長因子)は主に肝臓で成長ホルモンの刺激を受けて産生され、筋のたんぱく質合成を促す同化作用に関わるホルモンで、レジスタンストレーニング後の適応にも関与するとされる。「IGF-1は膵臓から分泌され、血糖を直接下げる作用のみを担うホルモンである」は誤りで、この説明はインスリンの特徴であり、IGF-1の産生部位や作用とは異なる。「IGF-1は運動をきっかけに分泌がほとんど完全に止まってしまう同化ホルモンである」も誤りで、IGF-1は成長ホルモンの分泌増加を受けて運動後にむしろ増える方向に動くことが知られている。
HINT 名前に『インスリン様』とあるが、産生元は肝臓。成長ホルモンの下流にある同化ホルモン。
- Q39#cb-es-039
一定の強度で行う最大下運動を開始したときの酸素摂取量の変化として最も適切なものはどれか。
- 1酸素摂取量は運動開始後数分かけて上昇し、その後は需要と供給が釣り合った一定の値を保つ正解
- 2酸素摂取量は運動開始と同時に瞬間的に最終的な定常状態の値まで到達し、その後は変化しない
- 3酸素摂取量は運動の開始直後に最も高くなり、その後は一貫して低下する
Answer
正解 1:酸素摂取量は運動開始後数分かけて上昇し、その後は需要と供給が釣り合った一定の値を保つ
一定の強度で行う最大下運動では、開始直後は酸素の需要に供給が追いつかず酸素摂取量が徐々に上昇するが、数分のうちに需要と供給が釣り合い、一定の値(定常状態)を保つようになる。「酸素摂取量は運動開始と同時に瞬間的に最終的な定常状態の値まで到達し、その後は変化しない」は誤りで、定常状態に至るまでには数分程度の時間を要する。「酸素摂取量は運動の開始直後に最も高くなり、その後は一貫して低下する」も誤りで、一定強度の最大下運動では開始直後が最大になることはなく、数分かけて上昇したのち定常状態を保つ。
HINT 立ち上がりに数分。そこから一定強度なら平らになるのが定常状態。
- Q40#cb-es-040
エリートの持久系競技者が非持久系の一般成人よりもはるかに高い最大心拍出量を示す主な理由として最も適切なものはどれか。
- 1最大心拍数がトレーニングによって大きく上昇し、非持久系の一般成人よりかなり高い値になっているため
- 2最大一回拍出量が非常に大きく、最大心拍数との積で心拍出量が高くなるため正解
- 3動静脈酸素差だけが著しく大きくなり、それだけで最大心拍出量の差を説明できるため
Answer
正解 2:最大一回拍出量が非常に大きく、最大心拍数との積で心拍出量が高くなるため
最大心拍出量は最大心拍数と最大一回拍出量の積で決まる。持久系トレーニングでは主に一回拍出量が大きく増加するため、最大心拍数自体はほとんど変わらなくても、エリート持久系競技者の最大心拍出量は一般成人よりはるかに高くなる。「最大心拍数がトレーニングによって大きく上昇し、非持久系の一般成人よりかなり高い値になっている」は誤りで、最大心拍数はトレーニングによってほとんど変化しない。「動静脈酸素差だけが著しく大きくなり、それだけで最大心拍出量の差を説明できる」も誤りで、動静脈酸素差は末梢での酸素利用に関わる値であり、心拍出量そのものを説明する要因ではない。
HINT 最大心拍数はほぼ不変。差をつけるのは一回拍出量。
- Q41#cb-es-041
運動中に血中インスリン濃度が低下する主な機序として最も適切なものはどれか。
- 1運動時には副交感神経の働きが強まり、膵臓のβ細胞の働きが抑えられてインスリンの分泌が減る
- 2運動時に高まる交感神経の活動とカテコールアミンの作用が膵臓のβ細胞を直接抑制し、インスリンの分泌を減らす正解
- 3運動中は血糖値が大きく上がるため、それに応じてインスリンの分泌も並行して増える
Answer
正解 2:運動時に高まる交感神経の活動とカテコールアミンの作用が膵臓のβ細胞を直接抑制し、インスリンの分泌を減らす
運動中は交感神経の活動とカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)の作用が膵臓のβ細胞を直接抑制し、インスリンの分泌を減らす。同時に筋収縮そのものによる糖の取り込みが進むため、インスリンが少ない状態でも血糖はエネルギー源として利用される。「運動時には副交感神経の働きが強まり、膵臓のβ細胞の働きが抑えられてインスリンの分泌が減る」は誤りで、運動中に優位になるのは交感神経であり、副交感神経ではない。「運動中は血糖値が大きく上がるため、それに応じてインスリンの分泌も並行して増える」も誤りで、運動中はインスリンの分泌はむしろ低下する方向に働く。
HINT 運動中に優位なのは交感神経。副交感神経が強まるという説明が出たら疑う。
- Q42#cb-es-042
運動中のATP-CP系・解糖系・有酸素系というエネルギー供給機構の働き方に関する説明として最も適切なものはどれか。
- 1運動の強度や時間に応じて、常に1つの機構だけが単独で働き、他の機構は完全に停止する
- 23つの機構は運動中つねに同時並行的に働き、強度や時間によって寄与の割合が変化する正解
- 3それぞれの寄与の割合を決めるのは運動の強度であり、運動を続ける時間の長さは割合に影響しない
Answer
正解 2:3つの機構は運動中つねに同時並行的に働き、強度や時間によって寄与の割合が変化する
ATP-CP系・解糖系・有酸素系の3つのエネルギー供給機構は、運動の種類にかかわらず常に同時並行的に働いており、運動の強度と継続時間によってそれぞれの寄与の割合が変化する。高強度で短時間の運動ではATP-CP系や解糖系の寄与が大きく、長時間の運動では有酸素系の寄与が大きくなる。「運動の強度や時間に応じて、常に1つの機構だけが単独で働き、他の機構は完全に停止する」は誤りで、どの運動でも3つの機構は並行して働いている。「それぞれの寄与の割合を決めるのは運動の強度であり、運動を続ける時間の長さは割合に影響しない」も誤りで、強度を保ったまま運動を続けても、時間の経過とともに有酸素系の寄与は増していく。
HINT 切り替わるのではなく、常に3つとも動いていて配分が変わる。
- Q43#cb-es-043
有酸素性運動を開始した直後、循環血液量(血漿量)に見られる急性の変化として最も適切なものはどれか。
- 1毛細血管を通じて水分が組織側へ移動し、血漿量が減少して血液が濃縮される正解
- 2赤血球の産生が運動開始直後から急激に増え、血漿量よりも赤血球の量が先に大きく増加する
- 3腎臓での水分の再吸収が急激に高まり、運動開始直後に血漿量がむしろ大きく増加する
Answer
正解 1:毛細血管を通じて水分が組織側へ移動し、血漿量が減少して血液が濃縮される
有酸素性運動を開始すると、血圧の上昇や毛細血管の静水圧の変化により、血漿中の水分の一部が毛細血管を通じて周囲の組織側へ移動し、血漿量が減少して血液が濃縮される急性の変化が起こる。「赤血球の産生が運動開始直後から急激に増え、血漿量よりも赤血球の量が先に大きく増加する」は誤りで、赤血球の産生が増えるのは高地トレーニングなど長期的な適応であり、運動開始直後に急増するものではない。「腎臓での水分の再吸収が急激に高まり、運動開始直後に血漿量がむしろ大きく増加する」も誤りで、運動開始直後の血漿量は増加ではなく減少する方向に変化する。
HINT 運動開始直後は血液が濃くなる方向。赤血球が増えるのは別の、もっと長い時間軸の話。
- Q44#cb-es-044
利用可能エネルギー不足(相対的エネルギー不足、RED-S)の状態が続く女性競技者に見られやすい、視床下部を起点としたホルモンの変化として最も適切なものはどれか。
- 1視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が抑えられ、月経周期が乱れやすくなる正解
- 2視床下部の働きは変化せず、卵巣ホルモンの分泌だけが直接大きく増加する
- 3甲状腺刺激ホルモンの分泌が急激に増加し、安静時の代謝が高まる
Answer
正解 1:視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が抑えられ、月経周期が乱れやすくなる
利用可能エネルギー不足の状態が続くと、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑えられ、それに続く下垂体・卵巣系のホルモンの分泌が低下して月経周期が乱れやすくなる。これは視床下部性の機能低下による適応で、骨の健康など他の側面にも影響しうる。「視床下部の働きは変化せず、卵巣ホルモンの分泌だけが直接大きく増加する」は誤りで、実際には視床下部の抑制を起点として卵巣ホルモンの分泌はむしろ低下する。「甲状腺刺激ホルモンの分泌が急激に増加し、安静時の代謝が高まる」も誤りで、利用可能エネルギー不足では代謝を落とす方向の変化がみられ、甲状腺機能もむしろ低下しやすい。
HINT 起点は視床下部。GnRHが抑えられて下流のホルモンが連鎖的に下がる。
- Q45#cb-es-045
野球のバットやテニスのラケットを、通常よりグリップの位置を短く(回転の軸に近づけて)持ち替えた場合に生じる力学的な変化として、最も適切なものはどれか。
- 1軸から打点までの距離が長くなるため、同じ力で生まれるトルクは大きくなり、振り回す動作は遅くなる
- 2軸から打点までの距離が短くなるため、同じ力で生まれるトルクは小さくなるが、振り回す動作は速く行いやすくなる正解
- 3軸から打点までの距離が短くなるため、同じ力で生まれるトルクも振り回す速さもともに小さくなる
Answer
正解 2:軸から打点までの距離が短くなるため、同じ力で生まれるトルクは小さくなるが、振り回す動作は速く行いやすくなる
グリップを短く持つと、回転の軸(グリップの端、あるいは身体の軸)から打点までの距離であるモーメントアームが短くなる。トルク(力のモーメント)は力とモーメントアームの積で決まるため、同じ力を加えてもトルクは小さくなるが、その分バットやラケットを速く振り回しやすくなり、操作性が高まる。「軸から打点までの距離が長くなるため、同じ力で生まれるトルクは大きくなり、振り回す動作は遅くなる」は変化の方向が逆である。「軸から打点までの距離が短くなるため、同じ力で生まれるトルクも振り回す速さもともに小さくなる」も誤りで、距離が短くなればトルクは小さくなるが、振り回す速さはむしろ上がる。
HINT 短く持つほど『テコが短くなる』。トルクは減るが振りやすくなる。
- Q46#cb-es-046
上腕三頭筋の収縮によって肘関節を伸展させる動作にみられるてこの種類として、最も適切なものはどれか。
- 1第3のてこであり、支点と荷重点の間に力点があるため運動の速度と範囲を稼ぎやすい
- 2第2のてこであり、力点と荷重点の位置が入れ替わっている
- 3第1のてこであり、支点である肘関節を挟んで力点と荷重点が反対側に位置する正解
Answer
正解 3:第1のてこであり、支点である肘関節を挟んで力点と荷重点が反対側に位置する
上腕三頭筋による肘関節伸展では、支点となる肘関節を挟んで、力点(三頭筋の付着部で肘の後方)と荷重点(前腕・手先で肘の前方)が反対側に位置する。このように支点が力点と荷重点の間にある配置は第1のてこにあたる。頭部の前後の動きを支える後頭下筋群の働きも同じ第1のてこの例として知られる。「第3のてこであり、支点と荷重点の間に力点があるため運動の速度と範囲を稼ぎやすい」は誤りで、これは上腕二頭筋による肘関節屈曲のような配置の説明であり、肘関節伸展の配置とは異なる。「第2のてこであり、力点と荷重点の位置が入れ替わっている」も誤りで、第2のてこは支点と力点の間に荷重点がある配置を指し、肘関節伸展の配置には当たらない。
HINT 肘を伸ばす三頭筋は肘の後ろ、荷重は前。支点を挟んで両側に分かれるのが第1のてこ。
- Q47#cb-es-047
つま先立ち(足関節の底屈)でかかとを持ち上げる動作にみられるてこの種類として、最も適切なものはどれか。
- 1第1のてこであり、支点である足関節を挟んで力点と荷重点が反対側に位置する
- 2第3のてこであり、支点と荷重点の間に力点であるふくらはぎの付着部が位置する
- 3第2のてこであり、支点と力点の間に荷重点が位置する正解
Answer
正解 3:第2のてこであり、支点と力点の間に荷重点が位置する
つま先立ちでは、支点がつま先の接地部、力点がふくらはぎ(下腿三頭筋)の腱がつくアキレス腱の付着部、荷重点が足関節を通じて伝わる体重にあたる。支点と力点の間に荷重点が位置するこの配置は第2のてこにあたり、力の面で有利になりやすい。「第1のてこであり、支点である足関節を挟んで力点と荷重点が反対側に位置する」は誤りで、この配置は支点を挟んで両側に分かれる第1のてこの説明であり、つま先立ちの配置とは異なる。「第3のてこであり、支点と荷重点の間に力点であるふくらはぎの付着部が位置する」も誤りで、これは肘関節屈曲などにみられる第3のてこの配置であり、つま先立ちの支点・力点・荷重点の並びとは一致しない。
HINT 支点(つま先)と力点(ふくらはぎ)の間に体重(荷重点)がある。力で有利な第2のてこ。
- Q48#cb-es-048
ハンマー投げで、同じ大きさの力を加えたまま腕を伸ばして回転軸からハンマーまでの距離を大きくした場合、回転軸に生じるトルクに起こる変化として最も適切なものはどれか。
- 1トルクは力とモーメントアームの積で決まるため、距離が大きくなればトルクも大きくなる正解
- 2トルクは力の大きさのみで決まり、距離が変わってもトルクの大きさは変化しない
- 3距離が大きくなるほど力が分散するため、トルクはかえって小さくなる
Answer
正解 1:トルクは力とモーメントアームの積で決まるため、距離が大きくなればトルクも大きくなる
トルク(力のモーメント)は、加わる力の大きさと、回転軸から力の作用点までの距離であるモーメントアームの積で決まる。ハンマー投げで力の大きさを変えずに腕を伸ばしてモーメントアームを大きくすれば、その分トルクも大きくなる。「トルクは力の大きさのみで決まり、距離が変わってもトルクの大きさは変化しない」は誤りで、モーメントアームという距離の要素を無視している。「距離が大きくなるほど力が分散するため、トルクはかえって小さくなる」も誤りで、加える力が同じならモーメントアームが長いほどトルクは大きくなる。
HINT トルク=力×距離。腕を伸ばすほど同じ力でも回転させる働きは大きくなる。
- Q49#cb-es-049
レスラーが相手を押さえ込んだまま姿勢を変えずに一定時間保持し続ける状況について、力学的な「仕事」の観点から最も適切な説明はどれか。
- 1力を発揮している時間がどれだけ長くても、そのぶん仕事の量は自動的に増える
- 2発揮している力が大きいほど、仕事の量もそれに比例して大きくなる
- 3物体が動いた距離がゼロであるため、力を発揮していても仕事の量はゼロになる正解
Answer
正解 3:物体が動いた距離がゼロであるため、力を発揮していても仕事の量はゼロになる
力学における仕事は、力とその力の向きに物体が動いた距離の積で表される。相手を押さえ込んだまま位置を変えずに保持する動作では、力を発揮していても物体(相手の身体)が動いた距離はゼロであるため、力学的な仕事の量はゼロになる。「力を発揮している時間がどれだけ長くても、そのぶん仕事の量は自動的に増える」は誤りで、仕事の定義には時間の長さではなく移動した距離が関わる。「発揮している力が大きいほど、仕事の量もそれに比例して大きくなる」も誤りで、距離がゼロである以上、力の大きさにかかわらず仕事の量はゼロのままである。
HINT 動かなければ仕事はゼロ。がんばって力を出していても、距離が伴わなければ力学的な仕事にはならない。
- Q50#cb-es-050
バーベルを用いた挙上運動における、扱う負荷の大きさと挙上できる速度の関係として最も適切なものはどれか。
- 1負荷が大きいほど挙上速度は遅くなる関係にある正解
- 2負荷が大きいほど速度は速くなり、負荷が小さいほど速度は遅くなる
- 3負荷が最大に近いときだけ速度が落ち、中等度までは速度は変わらない
Answer
正解 1:負荷が大きいほど挙上速度は遅くなる関係にある
筋が発揮する力と収縮速度の間には、負荷が大きくなるほど動作の速度は遅くなるという逆の関係がある。1RMに近い重い負荷では最大努力でも挙上速度は遅く、軽い負荷では速く挙上できる。「負荷が大きいほど速度は速くなり、負荷が小さいほど速度は遅くなる」は関係が逆である。「負荷が最大に近いときだけ速度が落ち、中等度までは速度は変わらない」も誤りで、力-速度関係は重い側だけでなく負荷の全域にわたって成り立つ。
HINT 重いほど遅く、軽いほど速く動く。力と速度は逆の関係。
- Q51#cb-es-051
筋が発揮するパワー(力と速度の積)が最大になる負荷の条件として、最も適切なものはどれか。
- 1力が最大になる重い負荷でも、速度が最大になる軽い負荷でもなく、中間の負荷でパワーは最大になる正解
- 2動作の速度が最大になる軽い負荷のときに、パワーも同時に最大になる
- 3発揮できる力が最大になる非常に重い負荷のときに、パワーも最大になる
Answer
正解 1:力が最大になる重い負荷でも、速度が最大になる軽い負荷でもなく、中間の負荷でパワーは最大になる
パワーは発揮した力と動作速度の積で表される。負荷が非常に重いと力は大きいが速度がほぼゼロに近づき、負荷が非常に軽いと速度は大きいが力は小さくなるため、いずれの極端な負荷でもパワーの値は小さくなる。力と速度がともにある程度大きい中間程度の負荷のときに、両者の積であるパワーは最大になる。「動作の速度が最大になる軽い負荷のときに、パワーも同時に最大になる」は誤りで、軽すぎる負荷では速度は大きいが力が小さく、パワーの積は最大にならない。「発揮できる力が最大になる非常に重い負荷のときに、パワーも最大になる」も誤りで、重すぎる負荷では力は大きいが速度がほとんどゼロになり、パワーの積は最大にならない。
HINT パワーは力と速度の掛け算。両方が極端だと積は小さい。ちょうどいい中間で最大になる。
- Q52#cb-es-052
走高跳の選手が踏み切り動作で得た力学的エネルギーが、バーを越えるまでの間にどのように変化するかについて、最も適切な説明はどれか。
- 1踏み切りで得た運動エネルギーは、跳躍の間ずっと運動エネルギーのまま保たれ、位置エネルギーには変換されない
- 2踏み切りで得た運動エネルギーは、上昇するにつれて位置エネルギーへと変換されていく正解
- 3踏み切りで得た位置エネルギーが、上昇するにつれて運動エネルギーへ変換される
Answer
正解 2:踏み切りで得た運動エネルギーは、上昇するにつれて位置エネルギーへと変換されていく
走高跳では、踏み切り動作によって選手の身体は上向きの速度、すなわち運動エネルギーを得る。その後、身体が上昇するにつれて速度は次第に小さくなり、運動エネルギーは高さに応じた位置エネルギーへと変換されていく。バーの上を通過する最高到達点付近では、上向きの速度がほぼゼロになり、得たエネルギーの多くが位置エネルギーに変わっている。「踏み切りで得た運動エネルギーは、跳躍の間ずっと運動エネルギーのまま保たれ、位置エネルギーには変換されない」は誤りで、上昇にともなって速度は小さくなり、運動エネルギーは減っていく。「踏み切りで得た位置エネルギーが、上昇するにつれて運動エネルギーへ変換される」も誤りで、踏み切りの瞬間に得ているのは主に運動エネルギーであり、変換の向きが逆である。
HINT 踏み切った瞬間はスピード(運動エネルギー)、バーの上では高さ(位置エネルギー)。上がるほど置き換わる。
- Q53#cb-es-053
筋の長さと発揮できる張力の関係(長さ-張力関係)についての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1筋が最も短くなる位置で発揮できる張力が最大になり、そこから伸びるにつれて低下する
- 2筋には最大の張力を発揮できる至適な長さがあり、それより短くても長くても張力は低下する正解
- 3筋の長さが伸びるほど発揮できる張力は大きくなり、短くなるほど一方的に小さくなる
Answer
正解 2:筋には最大の張力を発揮できる至適な長さがあり、それより短くても長くても張力は低下する
筋には、収縮に関わる構造(アクチンとミオシンの重なり)の点から最大の張力を発揮しやすい至適な長さがあり、そこから短くなっても長くなっても発揮できる張力は低下する。関節の角度によって筋の長さが変わることで、同じ筋でも姿勢によって発揮できる力が変わるのはこのためである。「筋が最も短くなる位置で発揮できる張力が最大になり、そこから伸びるにつれて低下する」は誤りで、至適な長さは筋が最も短くなる位置ではなく、そこより伸びたあたりにある。「筋の長さが伸びるほど発揮できる張力は大きくなり、短くなるほど一方的に小さくなる」も誤りで、こちらも伸び過ぎれば張力は低下し、一方的な関係にはならない。
HINT 短すぎても長すぎても力は出にくい。ちょうどいい長さ(至適長)がある。
- Q54#cb-es-054
伸張性収縮(エキセントリック収縮)における、筋が引き伸ばされる速度と発揮できる張力の関係として、最も適切なものはどれか。
- 1引き伸ばされる速度が増すほど発揮できる張力は小さくなり、速度が十分に速くなると張力はゼロに近づく
- 2短縮性収縮とは逆に、引き伸ばされる速度が増すほど発揮できる張力はむしろ大きくなる傾向がある正解
- 3引き伸ばされる速度が増すと張力は一度下がり、その後また大きくなる
Answer
正解 2:短縮性収縮とは逆に、引き伸ばされる速度が増すほど発揮できる張力はむしろ大きくなる傾向がある
短縮性収縮では収縮速度が増すほど発揮できる張力は小さくなるのに対し、伸張性収縮ではこれと逆の傾向がみられ、引き伸ばされる速度が増すほど発揮できる張力はむしろ大きくなる。急な切り返しやブレーキ動作で大きな張力が生じやすいのはこのためである。「引き伸ばされる速度が増すほど発揮できる張力は小さくなり、速度が十分に速くなると張力はゼロに近づく」は誤りで、張力がゼロに近づくのは短縮性収縮で収縮速度を上げていったときの話であり、伸張性収縮では速度を上げるほど張力は増す向きに働く。「引き伸ばされる速度が増すと張力は一度下がり、その後また大きくなる」も誤りで、伸張性収縮では速度が増すほど張力は大きくなる向きで、途中で下がる段階はない。
HINT 短縮性は速いほど力が落ちるが、伸張性は逆。速く引き伸ばされるほど力は増える。
- Q55#cb-es-055
同じ筋を用いた場合の、伸張性収縮・等尺性収縮・短縮性収縮における発揮できる最大の力の大きさの関係として、最も適切なものはどれか。
- 1短縮性収縮が最も大きく、等尺性収縮がこれに続き、伸張性収縮が最も小さくなる
- 2伸張性収縮が最も大きくなり、次に等尺性収縮、短縮性収縮が最も小さくなる正解
- 3等尺性収縮が最も大きく、伸張性収縮と短縮性収縮は同程度になる
Answer
正解 2:伸張性収縮が最も大きくなり、次に等尺性収縮、短縮性収縮が最も小さくなる
同じ筋であれば、最大努力で発揮できる力の大きさは伸張性収縮が最も大きく、次に等尺性収縮、最も小さいのが短縮性収縮になる。これは、通常のトレーニングで扱う1RMより大きな負荷でも伸張性収縮であれば制御しながら下ろせることや、伸張性オーバーロードという手法の根拠にもなっている。「短縮性収縮が最も大きく、等尺性収縮がこれに続き、伸張性収縮が最も小さくなる」は順序が逆である。「等尺性収縮が最も大きく、伸張性収縮と短縮性収縮は同程度になる」も誤りで、最も大きいのは伸張性収縮で、等尺性収縮はその次になる。
HINT 『下ろす力』が一番大きい。伸張性>等尺性>短縮性の順。
- Q56#cb-es-056
伸張性収縮で、短縮性収縮より大きな力を発揮できる仕組みについての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1伸張性収縮では動員される運動単位の数が短縮性収縮より多く、その分大きな力になる
- 2外力によって架橋が強制的に引き離され、少ない動員でも大きな力になる正解
- 3伸張性収縮では筋が疲労しにくく、長く力を発揮できるため大きな力になる
Answer
正解 2:外力によって架橋が強制的に引き離され、少ない動員でも大きな力になる
伸張性収縮では、筋が発揮する力より大きな外力によって筋全体が引き伸ばされ、アクチンとミオシンの架橋(クロスブリッジ)が能動的に外れる前に外力で強制的に引き離される。この仕組みにより、短縮性収縮より少ない運動単位の動員でも大きな力を発揮できる。「伸張性収縮では動員される運動単位の数が短縮性収縮より多く、その分大きな力になる」は誤りで、実際には動員される運動単位は少なくても大きな力を発揮できる点が特徴である。「伸張性収縮では筋が疲労しにくく、長く力を発揮できるため大きな力になる」も誤りで、疲労のしやすさは発揮できる最大の力の大きさを説明する仕組みではない。
HINT 架橋が外力で無理やり引き離されるから、少ない動員でも大きな力になる。
- Q57#cb-es-057
下り坂を走る動作の反復など、伸張性収縮を多く含む運動によって筋の微細な損傷が生じやすい仕組みについての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1筋の温度が上昇しすぎることで、筋線維そのものが熱によって損傷を受ける
- 2血流が完全に止まることで、筋に酸素が届かず損傷が生じる
- 3筋節ごとの伸展が不均一になり、弱い筋節が過度に伸ばされて微細な損傷が生じる正解
Answer
正解 3:筋節ごとの伸展が不均一になり、弱い筋節が過度に伸ばされて微細な損傷が生じる
伸張性収縮では、筋を構成する筋節(サルコメア)ごとの伸展の程度が均一にならず、相対的に弱い筋節が他より過度に引き伸ばされることがある。この不均一な伸展によって筋節の構造に微細な損傷が生じ、これが伸張性収縮の多い運動後に筋の損傷や痛みが生じやすい主な仕組みとされている。「筋の温度が上昇しすぎることで、筋線維そのものが熱によって損傷を受ける」は誤りで、運動による体温上昇の範囲でこのような熱損傷は生じない。「血流が完全に止まることで、筋に酸素が届かず損傷が生じる」も誤りで、伸張性収縮を含む運動中に血流が完全に止まるわけではなく、これが主な損傷機序でもない。
HINT 筋節ごとに伸び方がバラバラになり、弱い部分が伸びすぎて傷つく。
- Q58#cb-es-058
ジャンプの着地から跳び上がりまでの切り返し動作(アモチゼーション期)にかかる時間と、その後に発揮できるパワーの関係として、最も適切なものはどれか。
- 1切り返しの時間が短いほど弾性エネルギーの損失が少なく、パワーは大きくなりやすい正解
- 2切り返しの時間が長いほど弾性エネルギーを多く利用でき、発揮できるパワーは大きくなる
- 3切り返しの時間が短いほど筋紡錘の反射が働かず、パワーは小さくなる
Answer
正解 1:切り返しの時間が短いほど弾性エネルギーの損失が少なく、パワーは大きくなりやすい
着地の際に腱や結合組織に蓄えられた弾性エネルギーは、時間が経つほど熱として失われていく。そのため、着地から跳び上がりまでの切り返し(アモチゼーション期)にかける時間が短いほど、蓄えられた弾性エネルギーの損失が少なく、それを利用して発揮できるパワーは大きくなりやすい。「切り返しの時間が長いほど弾性エネルギーを多く利用でき、発揮できるパワーは大きくなる」は誤りで、時間をかけるほど弾性エネルギーは失われていく。「切り返しの時間が短いほど筋紡錘の反射が働かず、パワーは小さくなる」も誤りで、素早い切り返しでは伸張反射も弾性エネルギーの利用もかえって働きやすくなる。
HINT 止まらずに素早く切り返すほど、貯めた弾性エネルギーが逃げずに使える。
- Q59#cb-es-059
走動作の接地時に、腱などの結合組織が果たす力学的な役割についての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1腱はばねのように伸び、蓄えた弾性エネルギーの一部を力として使う正解
- 2腱は接地の瞬間に力学的なエネルギーのすべてを吸収し、熱として体外へ放出してしまう
- 3腱は接地のたびに引き伸ばされ、蓄えたエネルギーを収縮で相殺してしまう
Answer
正解 1:腱はばねのように伸び、蓄えた弾性エネルギーの一部を力として使う
走動作の接地時、腱などの結合組織はばねのように伸び、蓄えた弾性エネルギーの一部を離地の際の力として使う。この仕組みによって、筋自体が毎回ゼロから力を生み出すよりも少ない代謝コストで走ることができ、走の経済性に寄与している。「腱は接地の瞬間に力学的なエネルギーのすべてを吸収し、熱として体外へ放出してしまう」は誤りで、蓄えたエネルギーの一部は熱として失われるが、残りは力として回収される。「腱は接地のたびに引き伸ばされ、蓄えたエネルギーを収縮で相殺してしまう」も誤りで、腱が蓄えたエネルギーは筋の収縮によって打ち消されるのではなく、離地の力として活用される。
HINT 腱はばね。蓄えたエネルギーを離地のときに返してくれる。
- Q60#cb-es-060
ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)を用いた動作で、伸張反射が力の発揮に寄与する仕組みについての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1腱紡錘が張力の増大を感知し、反射的に同じ筋の興奮を抑えて力発揮を助ける
- 2急激に引き伸ばされたことを筋紡錘が感知し、反射的に同じ筋の興奮を高めて力発揮を助ける正解
- 3関節の受容器が角度の変化を感知し、拮抗筋の興奮を高める
Answer
正解 2:急激に引き伸ばされたことを筋紡錘が感知し、反射的に同じ筋の興奮を高めて力発揮を助ける
SSCの伸張局面で筋が急激に引き伸ばされると、筋の中にある筋紡錘がその変化を感知し、反射的に同じ筋の興奮を高める(伸張反射)。この反射による興奮の高まりが、続く短縮性収縮の局面での力発揮を後押しする。「腱紡錘が張力の増大を感知し、反射的に同じ筋の興奮を抑えて力発揮を助ける」は誤りで、腱紡錘による反射(自原抑制)は興奮を抑える働きであり、力発揮を助ける方向とは逆である。「関節の受容器が角度の変化を感知し、拮抗筋の興奮を高める」も誤りで、伸張反射は伸ばされた筋自身の興奮を高めるものであり、拮抗筋の興奮を高めるものではない。
HINT 急に伸ばされると筋紡錘が反応し、同じ筋の興奮を高めて次の収縮を後押しする。
- Q61#cb-es-061
相撲や柔道で相手を押し込む場面において、選手が重心を支持基底面の前方寄りに保ちながら前進する動きが持つ力学的な意味として、最も適切なものはどれか。
- 1重心を支持基底面の前方に保ち、転倒しない範囲で加速を生みやすくする正解
- 2重心を支持基底面の外に出したまま静止することで、押す力を最大限に発揮できる
- 3重心を支持基底面の後方へ移すほど安定し、前へ押す力も落ちない
Answer
正解 1:重心を支持基底面の前方に保ち、転倒しない範囲で加速を生みやすくする
重心が支持基底面の内側にある間は姿勢が保たれるが、支持基底面の前方寄りに重心を置くほど、前方へ倒れ込む方向への傾きが生まれやすくなる。相手を押し込む選手はこれを利用し、転倒しない範囲で重心を前方に保つことで、地面反力による前方への加速を生みやすくしている。「重心を支持基底面の外に出したまま静止することで、押す力を最大限に発揮できる」は誤りで、重心が支持基底面を完全に外れると姿勢を保てず転倒してしまう。「重心を支持基底面の後方へ移すほど安定し、前へ押す力も落ちない」も誤りで、後方へ置くほど姿勢は安定する一方、前方への加速は生まれにくくなる。
HINT 重心を前に置くほど前に加速しやすいが、支持基底面を外れると転ぶ。そのぎりぎりを使う。
- Q62#cb-es-062
両脚で立った姿勢から片脚立ちに変えた場合の、支持基底面とバランスの関係についての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1支持基底面はむしろ広くなり、両脚立ちよりも姿勢の動揺は小さくなりやすい
- 2支持基底面は狭くなるが、重心の位置が低く下がるため姿勢の動揺はかえって小さくなる
- 3支持基底面が狭くなり、姿勢の動揺を制御しにくくなる正解
Answer
正解 3:支持基底面が狭くなり、姿勢の動揺を制御しにくくなる
支持基底面は接地している足の面積とその間を結んだ範囲で決まるため、両脚で立つ姿勢から片脚立ちに変えると、支える面積が大きく狭くなる。その結果、重心の動揺を許容できる範囲が狭まり、姿勢の動揺を制御しにくくなる。バランス系のトレーニングで片脚立ちが用いられるのはこのためである。「支持基底面はむしろ広くなり、両脚立ちよりも姿勢の動揺は小さくなりやすい」は誤りで、片脚立ちでは接地面積は狭くなる。「支持基底面は狭くなるが、重心の位置が低く下がるため姿勢の動揺はかえって小さくなる」も誤りで、片脚立ちに変えても重心の高さはほとんど下がらず、支持基底面が狭まる分だけ動揺は大きくなる。
HINT 支える脚が減れば、支持基底面も狭くなる。バランス練習の理屈。
- Q63#cb-es-063
スクワットのバーベルにチェーンを吊るして負荷をかけるトレーニング法における、可動域に応じた負荷の変化の仕組みとして、最も適切なものはどれか。
- 1チェーンが伸びるにつれて抵抗が増し、可動域の終盤で負荷が大きくなる
- 2チェーンの負荷は、可動域を通じて常に一定に保たれる
- 3立ち上がるほど床から持ち上がるチェーンの輪が増え、バーにかかる負荷が大きくなる正解
Answer
正解 3:立ち上がるほど床から持ち上がるチェーンの輪が増え、バーにかかる負荷が大きくなる
床にたわんだ状態で置かれたチェーンは、バーが上がるにつれて床から持ち上がる輪の数が増えていき、床に接している分の重さがバーにかからなくなる。そのため、立ち上がるほど床から持ち上がるチェーンの輪が増え、バーにかかる負荷が大きくなる。関節が力を発揮しやすい可動域の終盤で負荷が高まるという点ではゴムチューブと似た効果を生むが、輪が持ち上がる仕組みによるものであり、ゴムチューブが伸びて抵抗が増す仕組みとは異なる。「チェーンが伸びるにつれて抵抗が増し、可動域の終盤で負荷が大きくなる」は誤りで、チェーンそのものは伸びる性質を持たず、これはゴムチューブの仕組みの説明である。「チェーンの負荷は、可動域を通じて常に一定に保たれる」も誤りで、床から持ち上がる輪の数の変化によって負荷は可動域を通じて変動する。
HINT チェーンは伸びない。床から浮く輪が増えるほど重くなる、という仕組み。
- Q64#cb-es-064
フリーウエイトを用いた挙上運動において、重力による負荷のかかり方についての説明として、最も適切なものはどれか。
- 1重力の向きと大きさは一定だが、関節に生じるトルクは姿勢によって変わる正解
- 2重力の向きと大きさは一定だが、関節が感じる負荷は可動域全体で一定である
- 3重力の向きと大きさは、姿勢に応じてそのつど変化する
Answer
正解 1:重力の向きと大きさは一定だが、関節に生じるトルクは姿勢によって変わる
フリーウエイトにはたらく重力は、大きさも下向きという向きも可動域を通じて変わらず一定である。しかし、関節から重量物までのモーメントアームは動作中の姿勢によって変わるため、力の大きさと距離の積で決まるトルクは可動域を通じて変動する。関節が「重い」と感じる局面が可動域の中で移り変わるのはこのためである。「重力の向きと大きさは一定だが、関節が感じる負荷は可動域全体で一定である」は誤りで、モーメントアームの変化によって関節に生じるトルクは可動域を通じて変動する。「重力の向きと大きさは、姿勢に応じてそのつど変化する」も誤りで、重力そのものの向きと大きさは姿勢にかかわらず一定である。
HINT 重力自体は変わらない。変わるのは関節までの距離(モーメントアーム)、その結果トルクが変わる。
- Q65#cb-es-065
バスケットボールやサッカーで急な方向転換(カッティング)を行う際に、選手が接地した足で地面へ力を加える方向として、最も適切なものはどれか。
- 1新しい進行方向と同じ向きに地面を押すことで、押した方向への力を直接得る
- 2地面を押す方向にかかわらず、方向転換の力は上半身の捻りだけで生まれる
- 3進みたい方向と反対側へ地面を押し、その反作用で力を得る正解
Answer
正解 3:進みたい方向と反対側へ地面を押し、その反作用で力を得る
作用・反作用の法則により、地面に加えた力と大きさが等しく向きが反対の力が地面から返ってくる。方向転換では、選手は進みたい新しい方向とは反対側へ地面を押すことで、その反作用として新しい方向への地面反力を得て切り返す。「新しい進行方向と同じ向きに地面を押すことで、押した方向への力を直接得る」は誤りで、地面を押した向きと同じ向きの力が直接得られるわけではなく、反作用として反対向きに返ってくる力を利用する。「地面を押す方向にかかわらず、方向転換の力は上半身の捻りだけで生まれる」も誤りで、方向転換に必要な水平方向の力の多くは接地した足が地面へ加える力とその反作用によって生まれ、上半身の捻りだけで説明できるものではない。
HINT 押した向きの逆に、反作用が返ってくる。行きたい方向と反対に地面を押す。
- Q66#cb-es-066
バレーボールのブロックジャンプの着地で、膝を大きく曲げて衝撃を受け止める時間を長くする動作が、地面から受ける力の大きさに与える影響として、最も適切なものはどれか。
- 1力を受け止める時間が長いほど瞬間ごとの力も比例して大きくなる
- 2受け止める力積は運動量で決まるため、時間を長くするほど瞬間の力は小さくなる正解
- 3力を受け止める時間の長さは瞬間の力に影響しない
Answer
正解 2:受け止める力積は運動量で決まるため、時間を長くするほど瞬間の力は小さくなる
着地の際に身体が受ける力積(力×時間)は、着地の直前に持っていた運動量の大きさによっておおむね決まる。膝を大きく曲げて力を受け止める時間を長くとれば、同じ大きさの力積を受け止めるのに必要な瞬間ごとの力の大きさは小さくなり、関節への衝撃を和らげられる。「力を受け止める時間が長いほど瞬間ごとの力も比例して大きくなる」は関係が逆である。「力を受け止める時間の長さは瞬間の力に影響しない」も誤りで、時間の長さは瞬間ごとに受ける力の大きさを左右する要素である。
HINT 同じ運動量を受け止めるなら、時間を長くとるほど一瞬の衝撃は小さくなる。膝を曲げて着地する理屈。
- Q67#cb-es-067
一側の腕だけにレジスタンストレーニングを行った競技者で、トレーニングしていない反対側の腕にも筋力向上がみられる現象(クロスエデュケーション)の主な説明として最も適切なものはどれか。
- 1トレーニングした側で増えた筋量が血流を介して対側の筋にそのまま移動して蓄積する
- 2対側の筋でも同時に筋線維の微細損傷が生じ、その修復によって筋量が増える
- 3対側の筋量そのものは変わらないまま、中枢神経系を介した神経系の適応によって筋力だけが向上する正解
Answer
正解 3:対側の筋量そのものは変わらないまま、中枢神経系を介した神経系の適応によって筋力だけが向上する
クロスエデュケーション効果は、一側のみに筋力トレーニングを行った際に、末梢の筋量が変化していない反対側の肢でも筋力向上が生じる現象であり、主に中枢神経系を介した神経系の適応(運動単位の動員や皮質からの出力パターンの変化など)によって説明される。「トレーニングした側で増えた筋量が血流を介して対側の筋にそのまま移動して蓄積する」は誤りで、筋量(筋タンパク)が血流を通じて他の部位へ物理的に移動することはない。「対側の筋でも同時に筋線維の微細損傷が生じ、その修復によって筋量が増える」も誤りで、対側の筋はトレーニング刺激自体を受けていないため、筋線維の損傷とその修復による筋量増加という経路では説明できない。
HINT 動かしていない側でも力が強くなるのは、筋そのものではなく神経の働き方が変わるから。
- Q68#cb-es-068
パワー系のアスリート(跳躍や投擲など)における神経系の適応のうち、力の立ち上がり速度(RFD)の向上に特に関わるとされる変化はどれか。
- 1運動単位の発火頻度が高まり、短時間で大きな力を発揮できるようになる正解
- 2発揮できる最大筋力の大きさそのものが増加し、それに伴って立ち上がりの速さも高まる
- 3筋線維の断面積が増えることで、立ち上がりが速くなる
Answer
正解 1:運動単位の発火頻度が高まり、短時間で大きな力を発揮できるようになる
運動単位の発火頻度が高まり、短時間で大きな力を発揮できるようになることは、レートコーディングと呼ばれる神経系の適応であり、力を立ち上げる速さ(RFD)の向上に特に関わるとされる。「発揮できる最大筋力の大きさそのものが増加し、それに伴って立ち上がりの速さも高まる」は誤りで、最大筋力の大きさとRFDは異なる能力であり、最大筋力が高くてもRFDが低い場合がある。「筋線維の断面積が増えることで、立ち上がりが速くなる」も誤りで、断面積の増加(筋肥大)は主に発揮できる力の大きさに関わり、立ち上がりの速さそのものを直接説明するものではない。
HINT 同じ最大筋力でも、発揮までの速さが違うのは神経の発火の仕方の差。
- Q69#cb-es-069
長時間または高強度の運動後にみられる疲労のうち、筋自体の代謝産物の蓄積など筋線維のレベルで生じる要因によるものを何と呼ぶか。
- 1末梢性疲労であり、筋線維そのものの収縮能力の低下による正解
- 2中枢性疲労であり、脳や脊髄からの運動指令そのものが弱まることによる
- 3オーバートレーニング症候群であり、慢性的な回復不足の結果として生じる
Answer
正解 1:末梢性疲労であり、筋線維そのものの収縮能力の低下による
筋線維そのものの代謝産物の蓄積などによって収縮能力が低下する疲労は末梢性疲労と呼ばれる。「中枢性疲労であり、脳や脊髄からの運動指令そのものが弱まることによる」は誤りで、これは中枢神経系からの出力低下による別の種類の疲労であり、筋線維レベルの現象ではない。「オーバートレーニング症候群であり、慢性的な回復不足の結果として生じる」も誤りで、これは単回の運動後にみられる急性の疲労ではなく、回復不足が長期間続いた結果生じる慢性的な状態を指す。
HINT 疲労には「指令を出す側」と「受け取る筋そのもの」、2つの起こり方がある。
- Q70#cb-es-070
レジスタンストレーニングによる腱の適応が、パワー系アスリートの力の立ち上がり速度(RFD)向上に関わるしくみとして最も適切なものはどれか。
- 1腱が長く伸びることで、力を発揮できる関節可動域そのものが広がる
- 2腱の剛性が高まることで、発揮した力がより短い時間で関節の動きに伝わりやすくなる正解
- 3腱の中の毛細血管が増えることで、腱への酸素供給が改善する
Answer
正解 2:腱の剛性が高まることで、発揮した力がより短い時間で関節の動きに伝わりやすくなる
腱の剛性(スティフネス)が高まることで、筋が発揮した力がより短い時間で関節の動きに伝わりやすくなり、これがパワー系アスリートにおける力の立ち上がり速度(RFD)の向上に関わるとされる。「腱が長く伸びることで、力を発揮できる関節可動域そのものが広がる」は誤りで、可動域の拡大は柔軟性に関わる別の要素であり、RFDの向上を直接説明しない。「腱の中の毛細血管が増えることで、腱への酸素供給が改善する」も誤りで、腱はもともと血流が少ない組織であり、酸素供給の改善はRFDの向上とは別の話である。
HINT 腱が硬くしっかりしていると、筋の力がロスなく速く関節に伝わる。
- Q71#cb-es-071
超回復の単純なモデルに対して、バニスター(Banister)のフィットネス-疲労モデルが示す視点として最も適切なものはどれか。
- 1体力の向上は刺激の大きさに応じて増減するが、疲労の蓄積は刺激の大きさによらず一律に生じるとみる
- 21回の刺激は体力の向上と疲労の蓄積を同時に起こし、消退の速さは両者で異なるとみる正解
- 3刺激の直後にのみ疲労が生じ、体力の向上は数週間後から始まるとみる
Answer
正解 2:1回の刺激は体力の向上と疲労の蓄積を同時に起こし、消退の速さは両者で異なるとみる
バニスターのフィットネス-疲労モデルでは、1回のトレーニング刺激は体力の向上と疲労の蓄積を同時に引き起こし、消退の速さは両者で異なるとみる。単純な超回復モデルより、両者が並行して進む点を重視する立場である。「体力の向上は刺激の大きさに応じて増減するが、疲労の蓄積は刺激の大きさによらず一律に生じるとみる」は誤りで、このモデルでは体力の向上も疲労の蓄積もどちらも刺激の大きさに応じて立ち上がり、両者を分けるのは生じ方ではなく消退の速さである。「刺激の直後にのみ疲労が生じ、体力の向上は数週間後から始まるとみる」も誤りで、体力の向上も疲労と同様に刺激の直後から始まると考えられている。
HINT 超回復モデルより一歩進んで、体力と疲労を別々の時間経過で捉える考え方。
- Q72#cb-es-072
持久的トレーニングを長期間続けたアスリートの心臓にみられる形態的な適応として最も適切なものはどれか。
- 1左心室の壁の厚さが増す求心性肥大がみられ、内腔の大きさは元のまま保たれる
- 2拡大するのは右心室であり、左心室の内腔の広さにも壁の厚さにも形態的な変化は生じない
- 3左心室の内腔が広がる遠心性肥大がみられるようになる正解
Answer
正解 3:左心室の内腔が広がる遠心性肥大がみられるようになる
持久的トレーニングを長期間続けると、心臓は主に左心室の内腔が広がる遠心性肥大という適応を示す。内腔の拡大は一回拍出量の増加につながり、最大酸素摂取量の向上を支える。「左心室の壁の厚さが増す求心性肥大がみられ、内腔の大きさは元のまま保たれる」は誤りで、求心性肥大は主にレジスタンストレーニングや高血圧など圧負荷が中心となる場合にみられる適応であり、持久的トレーニングの典型的な適応とは異なる。「拡大するのは右心室であり、左心室の内腔の広さにも壁の厚さにも形態的な変化は生じない」も誤りで、持久的トレーニングによる容量負荷は左右の心室にかかり、全身へ血液を送り出す左心室の内腔の拡大がとりわけ顕著に現れる。
HINT 持久系は心臓の「部屋」を広げる。パワー系(高血圧など)は「壁」を厚くする。
- Q73#cb-es-073
持久的トレーニングによって骨格筋に生じる適応のうち、ミオグロビン含有量の変化とその意味として最も適切なものはどれか。
- 1ミオグロビン含有量が減り、酸素を運ぶ役割はヘモグロビンだけが担うようになる
- 2ミオグロビン含有量が増え、筋線維内での酸素の受け渡しと一時的な貯蔵がしやすくなる正解
- 3ミオグロビン含有量は一定の水準に保たれたまま、赤血球の数が増加する
Answer
正解 2:ミオグロビン含有量が増え、筋線維内での酸素の受け渡しと一時的な貯蔵がしやすくなる
持久的トレーニングによって骨格筋のミオグロビン含有量が増え、筋線維内での酸素の受け渡しと一時的な貯蔵がしやすくなる。これにより酸素供給が不足しがちな瞬間でも有酸素性のエネルギー供給を続けやすくなる。「ミオグロビン含有量が減り、酸素を運ぶ役割はヘモグロビンだけが担うようになる」は誤りで、持久的トレーニングによってミオグロビン含有量は増加する方向に適応する。「ミオグロビン含有量は一定の水準に保たれたまま、赤血球の数が増加する」も誤りで、赤血球数の増加は主に高地順応などでみられる別の適応であり、ミオグロビン含有量自体も持久的トレーニングにより増加する。
HINT ミオグロビンは筋の中の「小さな酸素の貯金箱」。持久系トレーニングで増える。
- Q74#cb-es-074
持久的トレーニングを長期間継続した際に、速筋線維(タイプII)の性質にみられる変化として最も適切なものはどれか。
- 1遅筋線維(タイプI)がすべて速筋線維(タイプII)へ入れ替わり、瞬発力に特化した筋になる
- 2解糖能力の高いタイプIIx線維の一部が、より酸化的なタイプIIaの性質へと近づく正解
- 3速筋線維の数そのものが減り、筋全体が遅筋線維に置き換わる
Answer
正解 2:解糖能力の高いタイプIIx線維の一部が、より酸化的なタイプIIaの性質へと近づく
持久的トレーニングを長期間継続すると、解糖能力の高いタイプIIx線維の一部が、より酸化的なタイプIIaの性質へと近づくという線維タイプの可塑性がみられる。「遅筋線維(タイプI)がすべて速筋線維(タイプII)へ入れ替わり、瞬発力に特化した筋になる」は誤りで、持久的トレーニングでは逆に速筋線維がより酸化的な性質に近づく方向の変化が生じる。「速筋線維の数そのものが減り、筋全体が遅筋線維に置き換わる」も誤りで、線維の数そのものが入れ替わるのではなく、既存の速筋線維の代謝的な性質が変化するという点が可塑性の中身である。
HINT 線維の「数」が変わるのではなく、既にある速筋線維の「性質」が持久系に寄っていく。
- Q75#cb-es-075
持久的トレーニングによって骨格筋の酸化系酵素の活性が高まることが、同一強度での運動時にもたらす代謝的な利点として最も適切なものはどれか。
- 1解糖系の酵素活性が抑えられ、乳酸の産生量が運動開始直後から常に高い水準を保つ
- 2体内に蓄えられる脂質そのものの総量が増え、体脂肪率が徐々に低下する
- 3脂質をより多く利用し、筋グリコーゲンの消費が抑えられる正解
Answer
正解 3:脂質をより多く利用し、筋グリコーゲンの消費が抑えられる
持久的トレーニングによって骨格筋の酸化系酵素の活性が高まると、同一強度での運動時に脂質をより多く利用できるようになり、筋グリコーゲンの消費が抑えられる(グリコーゲン節約効果)。「解糖系の酵素活性が抑えられ、乳酸の産生量が運動開始直後から常に高い水準を保つ」は誤りで、酸化系酵素活性の上昇はむしろ同一強度での乳酸産生を抑える方向に働く。「体内に蓄えられる脂質そのものの総量が増え、体脂肪率が徐々に低下する」も誤りで、酸化系酵素の活性の変化そのものが体脂肪率の低下を直接もたらすわけではなく、これは別の観察結果である。
HINT 工場(酸化系酵素)が増えると、同じ仕事でも「もったいない」原料(グリコーゲン)を使わずに済む。
- Q76#cb-es-076
持久的トレーニングとレジスタンストレーニングを同時期に行う際に生じる干渉効果を、分子レベルの機序として説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1同時に行うと成長ホルモンの分泌量がつねに増え、両方の効果がともに高まる
- 2持久的トレーニングで活性化するAMPK経路が、筋肥大に関わるmTOR経路を弱めうる正解
- 3同時に行うと乳酸の産生だけが抑えられ、筋肥大の速度が単独より速くなる
Answer
正解 2:持久的トレーニングで活性化するAMPK経路が、筋肥大に関わるmTOR経路を弱めうる
コンカレントトレーニングでみられる干渉効果は、持久的トレーニングによって活性化するAMPKという酵素の経路が、筋肥大に関わるmTORという経路の働きを弱める方向に作用しうることが、分子レベルの機序の一つとして知られている。「同時に行うと成長ホルモンの分泌量がつねに増え、両方の効果がともに高まる」は誤りで、コンカレントトレーニングでは干渉によって一方または両方の適応が抑えられる方向に働くことが報告されている。「同時に行うと乳酸の産生だけが抑えられ、筋肥大の速度が単独より速くなる」も誤りで、実際には筋肥大の速度は単独で行う場合より抑えられる傾向がある。
HINT 持久系のスイッチ(AMPK)と筋肥大のスイッチ(mTOR)は、同時に強く入れると片方の働きが弱まりやすい。
- Q77#cb-es-077
同じトレーニングセッション内で持久的トレーニングとレジスタンストレーニングの両方を行う場合、干渉効果を小さくするための実務的な工夫として最も適切なものはどれか。
- 1持久的トレーニングとレジスタンストレーニングを、同じ日に全力で行うほど効果が高まる
- 2レジスタンストレーニングを先に行い、持久的トレーニングは後に行うようにする正解
- 3持久的トレーニングの実施時間だけを毎回大きく延ばして行うようにする
Answer
正解 2:レジスタンストレーニングを先に行い、持久的トレーニングは後に行うようにする
同一セッション内で両方を行う場合は、レジスタンストレーニングを先に行い持久的トレーニングを後に行う、あるいは両者を別の時間帯やセッションに分けるなどの工夫によって干渉効果を小さくできるとされる。「持久的トレーニングとレジスタンストレーニングを、同じ日に全力で行うほど効果が高まる」は誤りで、同じ日に続けて全力で行うことはむしろ干渉効果を強め、双方の適応を妨げやすい。「持久的トレーニングの実施時間だけを毎回大きく延ばして行うようにする」も誤りで、持久的トレーニングの時間を一方的に延ばすことは干渉を減らす工夫にはならず、むしろレジスタンストレーニングへの干渉を強めやすい。
HINT 順番と間隔を工夫するのが基本。同時に全力で両方やるのは逆効果。
- Q78#cb-es-078
計画的な高負荷期のあとに一時的な疲労とパフォーマンス低下が生じ、数日から数週間の回復で通常以上の水準まで高まる状態を何と呼ぶか。
- 1非機能的オーバーリーチングであり、回復には数か月を要し、その間パフォーマンスは戻らない
- 2オーバートレーニング症候群であり、回復には長期間を要し、競技への出場自体が難しくなる
- 3機能的オーバーリーチングであり、短期間の回復で高いパフォーマンスに至る正解
Answer
正解 3:機能的オーバーリーチングであり、短期間の回復で高いパフォーマンスに至る
計画的な高負荷期のあとに一時的な疲労とパフォーマンス低下が生じ、短期間の回復で通常以上の水準まで高まる状態は機能的オーバーリーチングと呼ばれる。「非機能的オーバーリーチングであり、回復には数か月を要し、その間パフォーマンスは戻らない」は誤りで、これは回復に要する期間がより長く、パフォーマンスの停滞や低下が長引く別の段階を指す。「オーバートレーニング症候群であり、回復には長期間を要し、競技への出場自体が難しくなる」も誤りで、これは慢性的な回復不足がさらに進んだ、より重篤な状態を指し、短期間の回復で高まる機能的オーバーリーチングとは区別される。
HINT 『少しやりすぎて、すぐ持ち直す』のが機能的。持ち直しに時間がかかるほど段階が重い。
- Q79#cb-es-079
オーバートレーニング症候群には複数の型があるとされ、そのうち安静時心拍数の上昇や落ち着きのなさ、睡眠障害などが目立つ型の特徴として最も適切なものはどれか。
- 1副交感神経型(アジソン型)と呼ばれ、興奮性の症状が目立ち、主に持久系の競技者にみられやすい
- 2交感神経型は副交感神経型が長期化した後の段階を指し、両者は重症度の違いによって区別される
- 3交感神経型(バセドウ型)と呼ばれ、主に短期間・高強度のトレーニングを積む競技者にみられやすい正解
Answer
正解 3:交感神経型(バセドウ型)と呼ばれ、主に短期間・高強度のトレーニングを積む競技者にみられやすい
オーバートレーニング症候群には交感神経型(バセドウ型)と副交感神経型(アジソン型)という二つの型が知られており、交感神経型は主に短期間・高強度のトレーニングを積む競技者にみられやすく、安静時心拍数の上昇や落ち着きのなさ、睡眠障害などの興奮性の症状が目立つ。「副交感神経型(アジソン型)と呼ばれ、興奮性の症状が目立ち、主に持久系の競技者にみられやすい」は誤りで、興奮性の症状が目立つのは交感神経型であり、副交感神経型はむしろ倦怠感や意欲低下といった抑制的な症状が目立つとされる。「交感神経型は副交感神経型が長期化した後の段階を指し、両者は重症度の違いによって区別される」も誤りで、二つの型を分けているのは重症度や前後関係ではなく、興奮性か抑制的かという症状の現れ方の違いである。
HINT 興奮気味で眠れないのが交感神経型。だるくて意欲が出ないのが副交感神経型。
- Q80#cb-es-080
試合に向けたテーパリングの方法のうち、指数関数的テーパー(急速な減少から始まり徐々に緩やかになる落とし方)の特徴として最も適切なものはどれか。
- 1トレーニング量を序盤で大きく落とし、その後は落とす速さを徐々に緩めていく正解
- 2トレーニング量を試合直前の1日だけ落とし、それ以外の期間は通常どおりの量を保つ
- 3トレーニング量を期間の前半は通常どおり続け、後半に入ってから一気に落とす
Answer
正解 1:トレーニング量を序盤で大きく落とし、その後は落とす速さを徐々に緩めていく
指数関数的テーパーは、トレーニング量を序盤で大きく落とし、その後は落とす速さを徐々に緩めていく(減少のペースが指数関数的に緩やかになっていく)方法である。「トレーニング量を試合直前の1日だけ落とし、それ以外の期間は通常どおりの量を保つ」は誤りで、これは十分な回復期間を確保できておらず、テーパリングというより単なる直前の調整にすぎない。「トレーニング量を期間の前半は通常どおり続け、後半に入ってから一気に落とす」も誤りで、落とし方の順序が逆になっており、指数関数的テーパーの特徴である「序盤に大きく、後半に緩やかに」という形とは合わない。
HINT 最初にガクッと落として、後半はゆっくり微調整。落とし方の速さが一定ではない。
- Q81#cb-es-081
持久系アスリートが2〜4週間のトレーニング完全休止を行った場合の最大酸素摂取量への影響として最も適切なものはどれか。
- 1休止中は疲労が抜けるため、最大酸素摂取量はむしろ向上する
- 2この短期間でもすでに有意な低下が始まる正解
- 3低下は半年以上経過してから初めてわずかに始まる
Answer
正解 2:この短期間でもすでに有意な低下が始まる
持久系アスリートが2〜4週間トレーニングを完全に休止すると、最大酸素摂取量はこの短期間でもすでに有意な低下が始まる。血漿量の減少や心臓の適応の一部が比較的早く失われ始めることが背景にある。「休止中は疲労が抜けるため、最大酸素摂取量はむしろ向上する」は誤りで、疲労が抜けることで向上が見込めるのは量を落としつつ刺激を残すテーパリングの場合であり、刺激を完全に断てば可逆性の原理により持久的な適応は早い時期から失われ始める。「低下は半年以上経過してから初めてわずかに始まる」も誤りで、実際には2〜4週間という短期間でも測定可能な低下がみられる。
HINT 持久力は「宵越しの金」に近い。休むとすぐに減り始める体力要素。
- Q82#cb-es-082
レジスタンストレーニングを中断した競技者において、最大筋力とパワー(ジャンプなど素早い動作で発揮する力)の低下の進み方の違いとして最も適切なものはどれか。
- 1パワーは神経筋の巧緻性の低下の影響を受けやすく、最大筋力そのものより早い時期から低下しやすい正解
- 2最大筋力はパワーより早く低下し、パワーは中断後も長く元の水準を保つ
- 3最大筋力もパワーも中断から一週間以内に半分程度まで落ち、その後は下げ止まる
Answer
正解 1:パワーは神経筋の巧緻性の低下の影響を受けやすく、最大筋力そのものより早い時期から低下しやすい
レジスタンストレーニングを中断すると、ジャンプなど素早い動作で発揮するパワーは神経筋の巧緻性(運動単位の動員や協調性)の低下の影響を受けやすく、最大筋力そのものより早い時期から低下しやすいとされる。「最大筋力はパワーより早く低下し、パワーは中断後も長く元の水準を保つ」は誤りで、関係が逆であり、パワーの方が先に低下しやすい。「最大筋力もパワーも中断から一週間以内に半分程度まで落ち、その後は下げ止まる」も誤りで、中断による低下はこれほど急激ではなく、また低下の進み方は最大筋力とパワーで異なる。
HINT 『速く力を出す』能力は、休むと『大きな力を出す』能力より先に鈍る。
- Q83#cb-es-083
思春期前(プレピューベサル)の若い競技者がレジスタンストレーニングを行った場合の筋力向上のしくみとして最も適切なものはどれか。
- 1筋肥大の程度は成人より小さく、神経系の適応が筋力向上の主体を占める正解
- 2筋力向上のほとんどは、骨の成長に伴って関節のてこが有利になることで説明される
- 3適応能力自体が乏しく、成人よりかなり遅れて向上が始まる
Answer
正解 1:筋肥大の程度は成人より小さく、神経系の適応が筋力向上の主体を占める
思春期前の若い競技者では、レジスタンストレーニングを行っても筋肥大の程度は成人より小さく、神経系の適応(運動単位の動員や協調性の向上など)が筋力向上の主体を占めるとされる。ホルモン環境の違いなどが背景にある。「筋力向上のほとんどは、骨の成長に伴って関節のてこが有利になることで説明される」は誤りで、骨の成長による変化はトレーニングの有無にかかわらず進むものであり、トレーニングによる筋力向上を説明するのは主に神経系の適応である。「適応能力自体が乏しく、成人よりかなり遅れて向上が始まる」も誤りで、思春期前の競技者でも適切なプログラムによって筋力向上そのものは十分に生じることが示されている。
HINT 子どもは筋肉が大きくなるより先に、使い方(神経の連携)が上手になる。
- Q84#cb-es-084
高齢の競技者(マスターズアスリート)における加齢に伴う体力の低下について、最大筋力とパワーのどちらが先行して低下しやすいかを問うと、最も適切なものはどれか。
- 1最大筋力の方がパワーより先に、より大きく低下しやすい
- 2パワーの方が先に、より大きく低下しやすい正解
- 3低下が先行するのは競技種目で決まり、持久系は筋力、瞬発系はパワーである
Answer
正解 2:パワーの方が先に、より大きく低下しやすい
高齢の競技者では、速筋線維(タイプII)がより優先的に萎縮・機能低下する傾向(サルコペニアにおける速筋優先の変化)があるため、パワーの方が最大筋力より先に、より大きく低下しやすいとされる。「最大筋力の方がパワーより先に、より大きく低下しやすい」は関係が逆であり、パワーの低下がより先行する。「低下が先行するのは競技種目で決まり、持久系は筋力、瞬発系はパワーである」も誤りで、速筋線維が優先的に萎縮するという加齢の変化は競技種目を問わず生じるため、パワーが先行して低下する傾向は種目によって入れ替わるものではない。
HINT 歳を重ねると『大きな力』より先に『速く力を出す』能力が落ちやすい。
- Q85#cb-es-085
女性競技者において、月経周期の各時期(卵胞期・黄体期など)とレジスタンストレーニングによる筋力向上(トレーナビリティ)との関係について、現時点で最も適切とされる説明はどれか。
- 1周期の時期による明確な差は確立されておらず、どの時期でも継続すれば筋力向上は概ね同様に得られるとされる正解
- 2卵胞期に行ったトレーニングだけが筋力向上として記録され、黄体期の分は無効になる
- 3黄体期に筋力向上が生じ、卵胞期に行ったトレーニングの効果はすべて失われる
Answer
正解 1:周期の時期による明確な差は確立されておらず、どの時期でも継続すれば筋力向上は概ね同様に得られるとされる
現在のところ、月経周期の時期(卵胞期・黄体期など)によるレジスタンストレーニングへのトレーナビリティの明確な差は確立されておらず、どの時期でも継続すればトレーニング全体としての筋力向上は概ね同様に得られるとされている。「卵胞期に行ったトレーニングだけが筋力向上として記録され、黄体期の分は無効になる」は誤りで、周期のどの時期に行ったトレーニングも無効になるわけではなく、蓄積した効果として現れる。「黄体期に筋力向上が生じ、卵胞期に行ったトレーニングの効果はすべて失われる」も誤りで、いずれの時期に行ったトレーニングも効果を失うわけではない。
HINT 『この時期だけ有効、他は無効』という極端な見方は支持されていない。
- Q86#cb-es-086
持久系アスリートが行う「Live High, Train Low」(高地に滞在し、平地に近い環境でトレーニングする)戦略の狙いとして最も適切なものはどれか。
- 1高地に滞在するだけで血液の適応が十分に得られ、トレーニングは高地の強度で行う
- 2高地に滞在したまま、すべてのトレーニングを高地の強度で行う
- 3高地滞在による血液の適応を得つつ、平地に近い強度でトレーニングの質を保つ正解
Answer
正解 3:高地滞在による血液の適応を得つつ、平地に近い強度でトレーニングの質を保つ
「Live High, Train Low」戦略は、高地滞在によって赤血球の増加などの血液面での適応を得つつ、実際のトレーニングは平地に近い強度で行うことで、トレーニングの質(スピードやパワーの出力)を落とさずに済むことをねらったものである。「高地に滞在するだけで血液の適応が十分に得られ、トレーニングは高地の強度で行う」は誤りで、高地の強度でトレーニングを行うと酸素供給の制約からトレーニングの質そのものが低下しやすく、この戦略の趣旨と異なる。「高地に滞在したまま、すべてのトレーニングを高地の強度で行う」も誤りで、この戦略の要点はトレーニング自体を平地に近い環境で行う点にある。
HINT 『住むのは高地、動くのは平地に近い環境』という組み合わせが狙い。
- Q87#cb-es-087
暑熱順化はどの程度の期間の暴露で獲得され、暴露をやめるとどのくらいの期間でその効果が薄れ始めるか、最も適切な組み合わせはどれか。
- 1獲得には半年ほどの長い期間を要するが、非暴露でも数年間はほぼ保たれる
- 2獲得は約10〜14日、非暴露では数週間で薄れ始める正解
- 3獲得は1日で十分であり、非暴露になっても効果は半永久的に保たれる
Answer
正解 2:獲得は約10〜14日、非暴露では数週間で薄れ始める
暑熱順化は、暑熱環境での運動を10〜14日程度繰り返すことで獲得され、発汗の開始が早まり発汗量が増えるなどの変化が生じる。暴露をやめると、この効果は数週間程度で徐々に薄れ始めるとされる。「獲得には半年ほどの長い期間を要するが、非暴露でも数年間はほぼ保たれる」は誤りで、暑熱順化は比較的短期間の暴露で獲得され、非暴露が続けば数週間程度で薄れ始める。「獲得は1日で十分であり、非暴露になっても効果は半永久的に保たれる」も誤りで、1日程度の暴露では十分な順化は得られず、効果も暴露をやめれば時間とともに薄れていく。
HINT 獲得は2週間弱、消えるのも数週間。長続きする適応ではない。
- Q88#cb-es-088
寒冷環境への繰り返しの暴露によって競技者に生じる寒冷順化の代表的な変化として最も適切なものはどれか。
- 1皮膚血管が寒冷にさらされるたびに拡張し、体表からの熱放散がいっそう増える
- 2発汗量が暴露を重ねるごとに増え、体温調節はふるえよりも発汗が中心になる
- 3同じ寒さでもふるえ(不随意な筋収縮による熱産生)が起こり始める体温の閾値が下がっていく正解
Answer
正解 3:同じ寒さでもふるえ(不随意な筋収縮による熱産生)が起こり始める体温の閾値が下がっていく
寒冷環境に繰り返しさらされる寒冷順化では、同じ寒さでもふるえ(不随意な筋収縮による熱産生)が起こり始める体温の閾値が下がっていくことが知られている。より早い段階からふるえによる熱産生が始まるようになる。「皮膚血管が寒冷にさらされるたびに拡張し、体表からの熱放散がいっそう増える」は誤りで、寒冷にさらされると皮膚血管は収縮して熱放散を抑える方向に働き、順化してもこの反応自体はなくならない。「発汗量が暴露を重ねるごとに増え、体温調節はふるえよりも発汗が中心になる」も誤りで、寒冷順化の中心はふるえの開始しやすさなど熱産生面の変化であり、発汗が体温調節の中心になるわけではない。
HINT 寒冷順化は『ふるえ』が早いタイミングで出るようになる変化。皮膚血管はむしろ収縮方向。
- Q89#cb-es-089
骨格筋の内部にある筋紡錘が感知する情報と、それが引き起こす反射として最も適切なものはどれか。
- 1筋の長さとその変化の速さを感知し、急な伸張に対して同じ筋を収縮させる反射を起こす正解
- 2筋が発揮している張力の大きさを感知し、張力が高まると同じ筋の収縮を抑える反射を起こす
- 3関節が動いた角度を感知し、運動の終わりに主働筋の収縮を強める反射を起こす
Answer
正解 1:筋の長さとその変化の速さを感知し、急な伸張に対して同じ筋を収縮させる反射を起こす
正しいのは「筋の長さとその変化の速さを感知し、急な伸張に対して同じ筋を収縮させる反射を起こす」である。筋紡錘は筋線維と並んで配置された受容器で、筋の長さと伸張速度に応じて求心性の信号を送り、伸張反射によって同じ筋の収縮を引き起こす。「筋が発揮している張力の大きさを感知し、張力が高まると同じ筋の収縮を抑える反射を起こす」は腱の中にあるゴルジ腱器官の働きであり、感知する対象と反射の向きがどちらも入れ替わっている。「関節が動いた角度を感知し、運動の終わりに主働筋の収縮を強める反射を起こす」も誤りで、関節角度を伝えるのは関節包の受容器であり、筋紡錘が感知するのは筋の長さの変化である。
HINT 筋紡錘は筋線維と並んでいる。測っているのは張力ではなく長さ。
- Q90#cb-es-090
腱の中にあるゴルジ腱器官(腱紡錘)が働くことで生じる反応として最も適切なものはどれか。
- 1筋が引き伸ばされた長さに応じて、同じ筋をさらに強く収縮させる方向に働きかける
- 2関節にかかる圧力の変化を伝え、関節周囲の筋の活動量を一定の水準に保つ方向に働く
- 3張力の高まりを伝え、その筋の活動を抑える方向に働く正解
Answer
正解 3:張力の高まりを伝え、その筋の活動を抑える方向に働く
正しいのは「張力の高まりを伝え、その筋の活動を抑える方向に働く」である。ゴルジ腱器官は筋と腱の境界に直列に配置され、筋が発揮している張力を感知して、その筋自身の活動を抑制する自原抑制を起こす。「筋が引き伸ばされた長さに応じて、同じ筋をさらに強く収縮させる方向に働きかける」は筋紡錘による伸張反射の説明であり、感知している量も反射の向きも別物である。「関節にかかる圧力の変化を伝え、関節周囲の筋の活動量を一定の水準に保つ方向に働く」も誤りで、関節の圧力を伝えるのは関節包の受容器であり、ゴルジ腱器官が感知するのは腱に加わる張力である。
HINT 腱に直列でつながっている受容器が測れるのは、長さではなく張力。
- Q91#cb-es-091
発揮する力の大きさを調節する仕組みとして、運動単位の動員と発火頻度の関わりを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1動員される運動単位の数が増えるにつれて、発火頻度は反対に低下していく
- 2小さい運動単位から順に動員され、動員が進んだ段階ではさらに発火頻度を高めて力を増やす正解
- 3発火頻度が上限に達した後に、はじめて小さい運動単位の動員が始まる
Answer
正解 2:小さい運動単位から順に動員され、動員が進んだ段階ではさらに発火頻度を高めて力を増やす
正しいのは「小さい運動単位から順に動員され、動員が進んだ段階ではさらに発火頻度を高めて力を増やす」である。力の調節は動員と発火頻度の2つで行われ、サイズの原理に従って小さい運動単位から動員が進み、動員できる運動単位を使い切った後は発火頻度を上げることで力が増していく。「動員される運動単位の数が増えるにつれて、発火頻度は反対に低下していく」は誤りで、両者は力の増加に向けて同じ方向に働く。「発火頻度が上限に達した後に、はじめて小さい運動単位の動員が始まる」も誤りで、順序が逆であり、動員は力の増加のはじめの段階から小さい運動単位で始まっている。
HINT 力を増やす手は2つあり、使う順番が決まっている。
- Q92#cb-es-092
運動神経の終末と筋線維が接する神経筋接合部で起こることを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1終末から放出されたアセチルコリンが筋線維側の受容体に結合し、筋線維に電位の変化を生む正解
- 2神経の終末と筋線維の膜が直接つながり、電気の流れがそのまま筋線維へ流れ込む
- 3カルシウムイオンが終末から筋線維へ直接移動し、収縮に使われる
Answer
正解 1:終末から放出されたアセチルコリンが筋線維側の受容体に結合し、筋線維に電位の変化を生む
正しいのは「終末から放出されたアセチルコリンが筋線維側の受容体に結合し、筋線維に電位の変化を生む」である。神経筋接合部では神経終末からアセチルコリンが放出され、筋線維側の受容体に結合することで終板電位が生じ、活動電位へとつながる。「神経の終末と筋線維の膜が直接つながり、電気の流れがそのまま筋線維へ流れ込む」は誤りで、両者の間にはシナプス間隙があり、伝達は電気ではなく化学物質を介して行われる。「カルシウムイオンが終末から筋線維へ直接移動し、収縮に使われる」も誤りで、終末でのカルシウム流入は伝達物質の放出を促す役目であり、収縮に使われるカルシウムは筋線維自身の筋小胞体から放出される。
HINT 神経から筋への橋渡しは、電気ではなく化学物質が担う。
- Q93#cb-es-093
レジスタンストレーニングによる筋の適応に関わる筋サテライト細胞(筋衛星細胞)の働きとして最も適切なものはどれか。
- 1運動後に脂肪細胞へと変化し、筋の周囲に貯えられるエネルギーの量を増やす
- 2活性化して筋線維に融合し、核を供給して筋線維の成長を支える正解
- 3毛細血管の内側に並んで血流を調節し、筋への酸素の受け渡しを速める
Answer
正解 2:活性化して筋線維に融合し、核を供給して筋線維の成長を支える
正しいのは「活性化して筋線維に融合し、核を供給して筋線維の成長を支える」である。筋サテライト細胞は筋線維の膜と基底膜の間に控えている細胞で、トレーニングや損傷の刺激で活性化し、増殖して既存の筋線維に融合することで核を供給し、筋線維が太くなる過程を支える。「運動後に脂肪細胞へと変化し、筋の周囲に貯えられるエネルギーの量を増やす」は誤りで、筋サテライト細胞は筋の系列の細胞であり、脂肪の貯蔵を担う働きとは別である。「毛細血管の内側に並んで血流を調節し、筋への酸素の受け渡しを速める」も誤りで、血管の内側を覆うのは血管内皮細胞であり、筋サテライト細胞の位置と役目とは異なる。
HINT 筋線維は核をあとから足せる。その供給元がどこかを考える。
- Q94#cb-es-094
筋線維が腱に対して斜めに並ぶ羽状筋の構造が、力の発揮に及ぼす影響として最も適切なものはどれか。
- 1線維が斜めに並ぶぶん、同じ体積でも並列に働く線維の数が減り、発揮できる力が小さくなる
- 2線維の並び方は力の発揮に関わり、短縮できる速さは線維の太さで決まる
- 3同じ体積により多くの線維を収められるため、発揮できる力の面で有利になる正解
Answer
正解 3:同じ体積により多くの線維を収められるため、発揮できる力の面で有利になる
正しいのは「同じ体積により多くの線維を収められるため、発揮できる力の面で有利になる」である。羽状の配列では短い線維を多数並列に詰め込めるため生理学的断面積が大きくなり、力の発揮に有利に働く。その代わり線維が斜めを向くぶん、線維の短縮が腱の動きへ伝わる効率はわずかに下がる。「線維が斜めに並ぶぶん、同じ体積でも並列に働く線維の数が減り、発揮できる力が小さくなる」は誤りで、並列に働く線維の数はむしろ増える。「線維の並び方は力の発揮に関わり、短縮できる速さは線維の太さで決まる」も誤りで、短縮できる速さに関わるのは直列に並ぶサルコメアの数、すなわち線維の長さである。
HINT 斜めに詰めると何が増えるのか、体積を一定にして考える。
- Q95#cb-es-095
筋が発揮できる最大の力と、筋の太さの指標として用いられる生理学的断面積の関係を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1筋線維の走行に直交する断面の総和に、おおむね比例する正解
- 2筋の長軸に沿って測った長さの合計によって決まる関係にある
- 3羽状筋では外見上の太さをそのまま測った解剖学的断面積と一致する値になる
Answer
正解 1:筋線維の走行に直交する断面の総和に、おおむね比例する
正しいのは「筋線維の走行に直交する断面の総和に、おおむね比例する」である。生理学的断面積は筋線維の走行に直交する面で測った断面の総和であり、並列に働く線維の数を反映するため最大筋力とおおむね比例する。「筋の長軸に沿って測った長さの合計によって決まる関係にある」は誤りで、筋の長さが関わるのは短縮できる距離や速さであって最大筋力ではない。「羽状筋では外見上の太さをそのまま測った解剖学的断面積と一致する値になる」も誤りで、線維が斜めに走る羽状筋では生理学的断面積が解剖学的断面積より大きくなり、両者は一致しない。
HINT 測る面の向きを、線維の走行に合わせるかどうかが分かれ目。
- Q96#cb-es-096
腕を頭上まで挙げる動作における、肩甲上腕リズム(上腕骨と肩甲骨の動きの連動)を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1挙げ始めから終わりまで、肩甲骨は胸郭に固定されたままで上腕骨が動いていく
- 2上腕骨の動きが終わった後に、肩甲骨の上方回旋が始まるという順で進む
- 3上腕骨の外転に対し、その半分ほどの角度の肩甲骨上方回旋が加わって挙上が完成する正解
Answer
正解 3:上腕骨の外転に対し、その半分ほどの角度の肩甲骨上方回旋が加わって挙上が完成する
正しいのは「上腕骨の外転に対し、その半分ほどの角度の肩甲骨上方回旋が加わって挙上が完成する」である。肩甲上腕リズムでは上腕骨の外転と肩甲骨の上方回旋がおよそ2対1の割合で同時に進み、両者の和として頭上までの挙上が成り立つ。「挙げ始めから終わりまで、肩甲骨は胸郭に固定されたままで上腕骨が動いていく」は誤りで、肩甲骨が胸郭上を動かなければ上腕骨だけでは頭上まで届かない。「上腕骨の動きが終わった後に、肩甲骨の上方回旋が始まるという順で進む」も誤りで、両者は順番に起こるのではなく一定の割合を保ちながら同時に進む。
HINT 上腕骨と肩甲骨は、順番にではなく割合を保って一緒に動く。
- Q97#cb-es-097
肩のインナーマッスルとして働く回旋筋腱板(ローテーターカフ)の役割を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1上腕骨を外転させる主働筋として、挙上に必要な大きな力の大部分を生み出す
- 2上腕骨頭を関節窩に引きつけて保ち、肩関節の動きの土台をつくる正解
- 3肩甲骨を胸郭に引き寄せる働きを担い、腕の重さを支える
Answer
正解 2:上腕骨頭を関節窩に引きつけて保ち、肩関節の動きの土台をつくる
正しいのは「上腕骨頭を関節窩に引きつけて保ち、肩関節の動きの土台をつくる」である。回旋筋腱板は上腕骨頭を浅い関節窩に引きつけて求心位に保つことで、大きな力を出す表層の筋が働ける土台をつくる。「上腕骨を外転させる主働筋として、挙上に必要な大きな力の大部分を生み出す」は誤りで、外転の大きな力を生み出す主働筋は三角筋であり、回旋筋腱板の断面積では担えない。「肩甲骨を胸郭に引き寄せる働きを担い、腕の重さを支える」も誤りで、肩甲骨を胸郭に引き寄せるのは僧帽筋や菱形筋など肩甲骨に付く筋の働きであり、回旋筋腱板が結んでいるのは肩甲骨と上腕骨である。
HINT 浅い受け皿に乗った骨頭を、ずらさずに保つ役目を担うのはどれか。
- Q98#cb-es-098
高重量のスクワットなどで腹腔内圧が高まることが、脊柱に及ぼす力学的な意味として最も適切なものはどれか。
- 1体幹の前方から支える圧の柱となり、脊柱の分節がずれる向きの力に抵抗しやすくする正解
- 2腹腔内の圧が高まるほど、脊柱に加わる圧縮力そのものが打ち消されて小さくなっていく
- 3腹筋群の収縮が脊柱を強く前屈させ、椎間板への負荷を逃がす
Answer
正解 1:体幹の前方から支える圧の柱となり、脊柱の分節がずれる向きの力に抵抗しやすくする
正しいのは「体幹の前方から支える圧の柱となり、脊柱の分節がずれる向きの力に抵抗しやすくする」である。腹腔内圧の上昇は体幹の前方に圧の柱をつくり、脊柱に加わる剪断やたわみに対する抵抗を高めて体幹の剛性を上げる。「腹腔内の圧が高まるほど、脊柱に加わる圧縮力そのものが打ち消されて小さくなっていく」は誤りで、体幹筋の強い収縮は脊柱への圧縮力をむしろ増やす方向にも働き、圧縮力が消えるわけではない。「腹筋群の収縮が脊柱を強く前屈させ、椎間板への負荷を逃がす」も誤りで、荷重下で脊柱を前屈させると椎間板の前方への負荷は増え、求められているのは中間位を保つ働きである。
HINT 増えるのは剛性。圧縮力が消えてなくなるわけではない。
- Q99#cb-es-099
下腿三頭筋を構成する腓腹筋とヒラメ筋について、膝を曲げた姿勢での底屈の力を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1どちらも大腿骨から起こるため、膝を深く曲げるほど両筋とも底屈の力を出しやすくなる
- 2どちらも下腿の骨から起こるため、膝の角度によらず底屈の力は保たれる
- 3腓腹筋は大腿骨から起こるため膝を曲げると緩み、下腿から起こるヒラメ筋が主役になる正解
Answer
正解 3:腓腹筋は大腿骨から起こるため膝を曲げると緩み、下腿から起こるヒラメ筋が主役になる
正しいのは「腓腹筋は大腿骨から起こるため膝を曲げると緩み、下腿から起こるヒラメ筋が主役になる」である。腓腹筋は大腿骨の後面から起こる二関節筋なので膝を曲げると起始と停止が近づいて張力を出しにくくなり、脛骨と腓骨から起こる単関節筋のヒラメ筋が底屈の主役になる。「どちらも大腿骨から起こるため、膝を深く曲げるほど両筋とも底屈の力を出しやすくなる」は誤りで、ヒラメ筋の起始は大腿骨ではなく下腿の骨であり、膝を曲げることで力を出しにくくなるのは大腿骨から起こる腓腹筋のほうである。「どちらも下腿の骨から起こるため、膝の角度によらず底屈の力は保たれる」も誤りで、腓腹筋が大腿骨から起こるために膝の角度が底屈の力に影響する。
HINT 2つの筋のうち、膝をまたいでいるのはどちらか。
- Q100#cb-es-100
膝関節の前十字靭帯が担う制動の働きを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1大腿骨に対して脛骨が後方へすべる動きを抑え、着地の衝撃を受け止める
- 2大腿骨に対して脛骨が前方へすべる動きを抑える正解
- 3脛骨が内側へ倒れる動きを抑え、膝の内側の支持を担っている
Answer
正解 2:大腿骨に対して脛骨が前方へすべる動きを抑える
正しいのは「大腿骨に対して脛骨が前方へすべる動きを抑える」である。前十字靭帯は大腿骨に対する脛骨の前方へのすべりと過度な回旋を制動し、着地や急な方向転換の場面で膝を守る。「大腿骨に対して脛骨が後方へすべる動きを抑え、着地の衝撃を受け止める」は誤りで、後方へのすべりを制動するのは後十字靭帯であり、制動する向きが逆になっている。「脛骨が内側へ倒れる動きを抑え、膝の内側の支持を担っている」も誤りで、膝が内側へ入る向きの力に抵抗するのは内側側副靭帯を中心とした側方の支持組織であり、前十字靭帯が担う制動とは別である。
HINT 靭帯の名前は走る向きを表している。前から後ろへ向かう構造が止めるのはどちらの動きか。
- Q101#cb-es-101
骨の構造における皮質骨(緻密骨)と海綿骨の違いを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1皮質骨は骨の内部に細かい網目として広がり、海綿骨が骨の外側の殻をつくっている
- 2皮質骨が外側の緻密な層をつくり、海綿骨が内部の網目をつくる正解
- 3海綿骨は骨の長軸の中央に多く、皮質骨は骨端に集まって荷重を受け止める
Answer
正解 2:皮質骨が外側の緻密な層をつくり、海綿骨が内部の網目をつくる
正しいのは「皮質骨が外側の緻密な層をつくり、海綿骨が内部の網目をつくる」である。皮質骨は骨の外側を覆う密度の高い層で曲げやねじれに抵抗し、海綿骨は骨の内部にある網目状の構造で、骨端部で荷重を分散する役目を担う。「皮質骨は骨の内部に細かい網目として広がり、海綿骨が骨の外側の殻をつくっている」は誤りで、両者の位置が入れ替わっている。「海綿骨は骨の長軸の中央に多く、皮質骨は骨端に集まって荷重を受け止める」も誤りで、海綿骨が多いのは骨端の側であり、骨の中央部では皮質骨が厚くなっている。
HINT 名前の「緻密」「海綿」が、そのまま構造の密度を表している。
- Q102#cb-es-102
腱と靭帯が結ぶ相手と、組織としての役目の違いを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1腱は筋と骨を結び、靭帯は骨と骨を結んで関節の動く範囲を抑える正解
- 2腱は骨と骨を結んで関節を安定させ、靭帯は筋と骨を結んで力を伝える側を担う
- 3腱は筋の中を走って筋線維どうしを結び、靭帯が筋と骨を結ぶ
Answer
正解 1:腱は筋と骨を結び、靭帯は骨と骨を結んで関節の動く範囲を抑える
正しいのは「腱は筋と骨を結び、靭帯は骨と骨を結んで関節の動く範囲を抑える」である。腱は筋が発揮した張力を骨へ伝える構造で、靭帯は骨と骨をつないで関節が動く範囲を制限し、過度な動きを抑える。「腱は骨と骨を結んで関節を安定させ、靭帯は筋と骨を結んで力を伝える側を担う」は誤りで、両者の結ぶ相手と役目が入れ替わっている。「腱は筋の中を走って筋線維どうしを結び、靭帯が筋と骨を結ぶ」も誤りで、腱が結ぶのは筋と骨であり、筋線維どうしをつないでいるのは筋内の結合組織である。
HINT 筋から骨へ力を伝える必要があるのはどちらか。
- Q103#cb-es-103
高強度の運動中にADPが蓄積した場面で働くミオキナーゼ(アデニレートキナーゼ)反応として最も適切なものはどれか。
- 1クレアチンリン酸からADPへリン酸を渡してATPを作る
- 2ADPをピルビン酸に変えてATPを作り、乳酸の蓄積を抑える
- 3二分子のADPを組み替えて、一分子のATPと一分子のAMPをつくり出す正解
Answer
正解 3:二分子のADPを組み替えて、一分子のATPと一分子のAMPをつくり出す
正しいのは「二分子のADPを組み替えて、一分子のATPと一分子のAMPをつくり出す」である。ミオキナーゼ反応は蓄積したADPどうしからATPとAMPをつくる反応で、ATPの再合成を少量ながら助けるとともに、生じたAMPが解糖系の酵素を活性化する合図にもなる。「クレアチンリン酸からADPへリン酸を渡してATPを作る」はクレアチンキナーゼが触媒する別の反応であり、リン酸の供給元が異なる。「ADPをピルビン酸に変えてATPを作り、乳酸の蓄積を抑える」も誤りで、ピルビン酸はグルコースが分解されて生じる中間産物であって、ADPが変化してできるものではない。
HINT 基質はADPだけ。外から別の高エネルギー化合物を借りてこない反応。
- Q104#cb-es-104
クレアチンキナーゼが触媒する反応について、運動中と回復期での進み方を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1運動中はクレアチンリン酸からADPへリン酸を渡し、回復期には逆向きに進む正解
- 2反応は不可逆であり、クレアチンリン酸を消費する向きにしか進まない
- 3運動中はクレアチンリン酸を合成する向きに進み、回復期には分解する向きに変わる
Answer
正解 1:運動中はクレアチンリン酸からADPへリン酸を渡し、回復期には逆向きに進む
正しいのは「運動中はクレアチンリン酸からADPへリン酸を渡し、回復期には逆向きに進む」である。クレアチンキナーゼ反応は可逆で、ATPの需要が高い運動中はクレアチンリン酸を使ってATPを再合成する向きに進み、休息中は有酸素性に作られたATPを使ってクレアチンリン酸を蓄え直す向きに進む。「反応は不可逆であり、クレアチンリン酸を消費する向きにしか進まない」は誤りで、一方向にしか進まないのであれば休息でクレアチンリン酸が回復する説明がつかない。「運動中はクレアチンリン酸を合成する向きに進み、回復期には分解する向きに変わる」も誤りで、2つの時期で進む向きが入れ替わっている。
HINT 休息でクレアチンリン酸が戻るのは、同じ酵素が逆向きにも働くため。
- Q105#cb-es-105
高強度の運動中にピルビン酸が乳酸へ変えられることが、解糖系の継続にとって持つ意味として最も適切なものはどれか。
- 1乳酸に変わる過程でATPが直接作られ、解糖系で得られる取り分を上回る
- 2NADHからNAD+が再生され、細胞質での解糖反応を進め続けられる正解
- 3乳酸そのものが水素イオンを中和し、筋内のpHを引き上げる
Answer
正解 2:NADHからNAD+が再生され、細胞質での解糖反応を進め続けられる
正しいのは「NADHからNAD+が再生され、細胞質での解糖反応を進め続けられる」である。解糖系はNAD+を必要とする反応を含むため、ピルビン酸を乳酸へ変える反応でNADHをNAD+に戻すことによって、酸素の供給が追いつかない場面でも解糖を続けられる。「乳酸に変わる過程でATPが直接作られ、解糖系で得られる取り分を上回る」は誤りで、この反応自体はATPを生み出さない。「乳酸そのものが水素イオンを中和し、筋内のpHを引き上げる」も誤りで、高強度運動での筋内pHの低下は水素イオンの蓄積によるものであり、乳酸がそれを中和して引き上げる働きをもつわけではない。
HINT 解糖を止めずに回すために、何を使い回す必要があるかを考える。
- Q106#cb-es-106
運動の強度を低いものから高いものへ上げていったときの、脂質と糖質の利用の移り変わりとして最も適切なものはどれか。
- 1強度が上がるにつれて脂質に頼る割合が増え、糖質に頼る割合は下がっていく
- 2どの強度でも脂質と糖質を半分ずつ使い、その割合は運動時間で決まる
- 3低強度では脂質に頼る割合が高く、強度が上がるにつれて糖質に頼る割合が増していく正解
Answer
正解 3:低強度では脂質に頼る割合が高く、強度が上がるにつれて糖質に頼る割合が増していく
正しいのは「低強度では脂質に頼る割合が高く、強度が上がるにつれて糖質に頼る割合が増していく」である。脂質の酸化は酸素の供給に余裕のある低い強度で割合が高く、強度が上がると速くATPを供給できる糖質への依存が強まっていく。「強度が上がるにつれて脂質に頼る割合が増え、糖質に頼る割合は下がっていく」は誤りで、移り変わる向きが逆になっている。「どの強度でも脂質と糖質を半分ずつ使い、その割合は運動時間で決まる」も誤りで、基質の割合を決める主な要因は運動時間だけではなく運動強度であり、強度によって割合は大きく動く。
HINT 速くATPを出せるのはどちらの基質か。急ぐ場面で選ばれるほうを考える。
- Q107#cb-es-107
ミトコンドリアの電子伝達系でATPが作られる仕組みを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1運ばれた電子により水素イオンが膜の外へ汲み出され、その勾配を利用してATPが作られる正解
- 2酸素が電子を受け取るのと同時に、基質の上のリン酸が直接ADPへ渡されてATPが作られる
- 3電子を運ぶ役目をNAD+が担い、クエン酸回路の内部でATPが作られる
Answer
正解 1:運ばれた電子により水素イオンが膜の外へ汲み出され、その勾配を利用してATPが作られる
正しいのは「運ばれた電子により水素イオンが膜の外へ汲み出され、その勾配を利用してATPが作られる」である。電子伝達系では電子の受け渡しに伴って水素イオンが内膜の外側へ運ばれ、生じた濃度勾配に従って水素イオンが戻る流れを使ってATPが合成される。「酸素が電子を受け取るのと同時に、基質の上のリン酸が直接ADPへ渡されてATPが作られる」は基質レベルのリン酸化の説明であり、解糖系やクエン酸回路で起こる別の仕組みである。「電子を運ぶ役目をNAD+が担い、クエン酸回路の内部でATPが作られる」も誤りで、電子を運ぶのは還元された形のNADHであり、ATPが合成される場はクエン酸回路の内部ではなく内膜上である。
HINT 膜をはさんだ水素イオンの濃度の差が、ATPを作る力の源になる。
- Q108#cb-es-108
運動中に筋から血中へ出た乳酸が肝臓で利用される経路(コリ回路)として最も適切なものはどれか。
- 1肝臓で乳酸が脂肪酸へ組み替えられ、皮下の脂肪として貯えられていく
- 2肝臓で糖へ作り直され、血糖として再び筋へ届く正解
- 3肝臓で尿素へ変えられ、尿として体の外へ運び出される
Answer
正解 2:肝臓で糖へ作り直され、血糖として再び筋へ届く
正しいのは「肝臓で糖へ作り直され、血糖として再び筋へ届く」である。コリ回路では筋で生じた乳酸が血中を経て肝臓へ運ばれ、糖新生によってグルコースへ作り直されたうえで血糖として再び筋へ供給される。「肝臓で乳酸が脂肪酸へ組み替えられ、皮下の脂肪として貯えられていく」は誤りで、乳酸は糖新生の材料として扱われ、コリ回路は脂肪の貯蔵を説明する経路ではない。「肝臓で尿素へ変えられ、尿として体の外へ運び出される」も誤りで、尿素へ変えられて排出されるのはアミノ酸の分解で生じるアンモニアであり、乳酸の行き先とは別である。
HINT 乳酸は捨てる物ではなく、作り直して使う材料として扱われる。
- Q109#cb-es-109
運動を終えた後も酸素摂取量が安静時の水準より高く保たれる現象(運動後過剰酸素消費)の説明として最も適切なものはどれか。
- 1運動を終えた時点で酸素摂取量は安静時の水準へ一気に戻り、その後に再び上がる
- 2運動の強度にかかわらず、終了後に高く保たれる時間はほぼ一定である
- 3クレアチンリン酸の回復や体温・循環の後始末に酸素が使われるため、しばらく高く保たれる正解
Answer
正解 3:クレアチンリン酸の回復や体温・循環の後始末に酸素が使われるため、しばらく高く保たれる
正しいのは「クレアチンリン酸の回復や体温・循環の後始末に酸素が使われるため、しばらく高く保たれる」である。運動後はクレアチンリン酸の再合成、上がった体温や心拍・呼吸を元に戻す働き、ホルモンの影響などに酸素が使われ続けるため、摂取量は安静時より高いまま推移する。「運動を終えた時点で酸素摂取量は安静時の水準へ一気に戻り、その後に再び上がる」は誤りで、終了直後に急な低下が起こり、その後はゆるやかに安静時へ近づいていく。「運動の強度にかかわらず、終了後に高く保たれる時間はほぼ一定である」も誤りで、高い強度の運動ほど高く保たれる時間は長くなる。
HINT 運動が終わっても、体の中では片づけの作業が続いている。
- Q110#cb-es-110
運動を始めた直後に酸素摂取量が必要な水準へ届くまでの間に生じる「酸素借」についての説明として最も適切なものはどれか。
- 1不足した分を無酸素性の供給で埋め合わせた量を指す正解
- 2運動を始めてすぐに必要な水準へ達するため、無酸素性の供給に頼る場面はまれである
- 3運動後に余分に消費された酸素の量を指し、回復の進み方を表す
Answer
正解 1:不足した分を無酸素性の供給で埋め合わせた量を指す
正しいのは「不足した分を無酸素性の供給で埋め合わせた量を指す」である。運動開始時は酸素の供給が需要に追いつかないため、その間のエネルギーはクレアチンリン酸系と解糖系が担い、その埋め合わせた量を酸素借と呼ぶ。「運動を始めてすぐに必要な水準へ達するため、無酸素性の供給に頼る場面はまれである」は誤りで、酸素摂取量が定常の水準へ達するには数分を要し、その立ち上がりの遅れを無酸素性の供給が埋めている。「運動後に余分に消費された酸素の量を指し、回復の進み方を表す」も誤りで、それは運動後過剰酸素消費の説明であり、酸素借は運動の開始時に生じる不足分を指す。
HINT 「借り」が生じるのは運動の始めか終わりか、言葉の向きで考える。
- Q111#cb-es-111
運動中の呼吸交換比(RER)の値から、主に使われているエネルギー基質を読み取る考え方として最も適切なものはどれか。
- 1値が1.0を上回るほど脂質の利用が進んでいると読む
- 2値は運動の強度が上がるにつれて小さくなり、脂質の利用が高まったことを示す
- 3値が0.7に近いほど脂質に、1.0に近いほど糖質に頼っていると読む正解
Answer
正解 3:値が0.7に近いほど脂質に、1.0に近いほど糖質に頼っていると読む
正しいのは「値が0.7に近いほど脂質に、1.0に近いほど糖質に頼っていると読む」である。呼吸交換比は二酸化炭素排出量を酸素摂取量で割った値で、脂質の酸化では約0.7、糖質の酸化では約1.0になるため、値の位置から主な基質を推し量れる。「値が1.0を上回るほど脂質の利用が進んでいると読む」は誤りで、値が1.0を上回るのは糖質への依存が強い高強度の場面であり、脂質の利用が進んだことを示すものではない。「値は運動の強度が上がるにつれて小さくなり、脂質の利用が高まったことを示す」も誤りで、強度が上がると値は糖質側の1.0へ近づいていくため、変化の向きが逆である。
HINT 脂質は酸素をより多く要する。その分だけ値は小さくなる。
- Q112#cb-es-112
解糖系の進む速さを決める主な調節点として、ホスホフルクトキナーゼの役割を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1解糖系の最後の段階でピルビン酸を乳酸へ変える反応を受け持ち、全体の速さを決めている
- 2解糖系の初期にあり、細胞内のエネルギー状態に応じて活性が変わる律速の酵素である正解
- 3ATPが増えるほど活性が高まり、エネルギーが余った場面で解糖を速める
Answer
正解 2:解糖系の初期にあり、細胞内のエネルギー状態に応じて活性が変わる律速の酵素である
正しいのは「解糖系の初期にあり、細胞内のエネルギー状態に応じて活性が変わる律速の酵素である」である。ホスホフルクトキナーゼは解糖系の初期に位置し、ATPが十分なときは活性が下がり、ADPやAMPが増えると活性が上がることで、経路全体の速さを決めている。「解糖系の最後の段階でピルビン酸を乳酸へ変える反応を受け持ち、全体の速さを決めている」は誤りで、その反応を受け持つのは乳酸脱水素酵素である。「ATPが増えるほど活性が高まり、エネルギーが余った場面で解糖を速める」も誤りで、ATPが十分なときはこの酵素の活性は下がり、解糖は抑えられる方向に調節される。
HINT 律速とは、需要に応じて開き具合が変わる蛇口のようなもの。
- Q113#cb-es-113
長時間の運動中に脂肪酸がエネルギー源として使われる過程を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1脂肪酸はカルニチンの助けでミトコンドリア内へ運ばれ、β酸化によってアセチルCoAになる正解
- 2脂肪酸は細胞質でβ酸化を受け、そのままピルビン酸へ変えられて回路に入る
- 3脂肪酸は分解される前に電子伝達系へ直接入り、酸素と結びついてATPになる
Answer
正解 1:脂肪酸はカルニチンの助けでミトコンドリア内へ運ばれ、β酸化によってアセチルCoAになる
正しいのは「脂肪酸はカルニチンの助けでミトコンドリア内へ運ばれ、β酸化によってアセチルCoAになる」である。長鎖脂肪酸はカルニチンを介した輸送でミトコンドリア内へ入り、β酸化で順に切り出されてアセチルCoAとなり、クエン酸回路へ入る。「脂肪酸は細胞質でβ酸化を受け、そのままピルビン酸へ変えられて回路に入る」は誤りで、β酸化の場はミトコンドリア内であり、生じるのはピルビン酸ではなくアセチルCoAである。「脂肪酸は分解される前に電子伝達系へ直接入り、酸素と結びついてATPになる」も誤りで、電子伝達系に渡されるのは分解の過程で生じた還元された補酵素が運ぶ電子であり、脂肪酸そのものが入るのではない。
HINT 脂肪酸は門をくぐる手助けが必要で、その運び手の名前が問われている。
- Q114#cb-es-114
レジスタンストレーニングの刺激とテストステロンの作用の関わりを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1血中から筋細胞へ入った後、細胞質にとどまったまま合成を進める
- 2細胞内の受容体と結びついて、筋タンパクの合成を促す正解
- 3肝臓で分解された後の代謝産物が、筋細胞の外側から合成の合図を送る
Answer
正解 2:細胞内の受容体と結びついて、筋タンパクの合成を促す
正しいのは「細胞内の受容体と結びついて、筋タンパクの合成を促す」である。テストステロンは細胞膜を通って細胞内のアンドロゲン受容体と結合し、その複合体が核へ移って筋タンパクの合成に関わる遺伝子の発現を高める。「血中から筋細胞へ入った後、細胞質にとどまったまま合成を進める」は誤りで、受容体と結合した複合体が核へ移って遺伝子の発現に働きかける段階が抜けている。「肝臓で分解された後の代謝産物が、筋細胞の外側から合成の合図を送る」も誤りで、作用を担うのは分解後の産物ではなくテストステロンそのものであり、働く場所も細胞の外側ではなく細胞内である。
HINT 受容体と結合したあと、どこまで入っていくかが分かれ目になる。
- Q115#cb-es-115
長時間の運動中に血糖の水準を保つうえで、グルカゴンが果たす働きとして最も適切なものはどれか。
- 1筋への糖の取り込みを促し、血糖を筋に移すことで水準を保つ
- 2膵臓から出て筋グリコーゲンを直接分解し、できた糖を血中へ送り出す
- 3肝臓のグリコーゲン分解と糖新生を促し、血中へ糖を送り出して水準を保つ正解
Answer
正解 3:肝臓のグリコーゲン分解と糖新生を促し、血中へ糖を送り出して水準を保つ
正しいのは「肝臓のグリコーゲン分解と糖新生を促し、血中へ糖を送り出して水準を保つ」である。グルカゴンは膵臓から分泌され、肝臓に働いてグリコーゲンの分解と糖新生を進め、血中へ糖を供給することで運動中の血糖を支える。「筋への糖の取り込みを促し、血糖を筋に移すことで水準を保つ」はインスリンの作用の向きであり、血糖を下げる働きと混同している。「膵臓から出て筋グリコーゲンを直接分解し、できた糖を血中へ送り出す」も誤りで、筋のグリコーゲンは分解されても糖として血中へ放出される仕組みを欠いており、血糖の供給源になるのは肝臓のグリコーゲンである。
HINT 血中へ糖を出せる臓器はどこか。筋の貯えは筋自身のために使われる。
- Q116#cb-es-116
骨格筋の量を調節する因子として知られるミオスタチンの働きとして最も適切なものはどれか。
- 1筋の成長を抑える方向に働き、その働きが弱いと筋量が増えやすくなる正解
- 2筋の成長を促す方向に働き、その量が多いほど筋量が増えやすくなるとされる
- 3筋から出て脂肪の分解を促し、体脂肪の量を調節する
Answer
正解 1:筋の成長を抑える方向に働き、その働きが弱いと筋量が増えやすくなる
正しいのは「筋の成長を抑える方向に働き、その働きが弱いと筋量が増えやすくなる」である。ミオスタチンは筋の成長に対して抑制的に働く因子で、その働きが遺伝的に弱い動物では著しい筋量の増加がみられることが知られている。「筋の成長を促す方向に働き、その量が多いほど筋量が増えやすくなるとされる」は誤りで、作用の向きが逆である。「筋から出て脂肪の分解を促し、体脂肪の量を調節する」も誤りで、ミオスタチンの主な作用の対象は骨格筋の成長であり、体脂肪量の調節を担う因子として位置づけられてはいない。
HINT ブレーキ役の因子。ブレーキが緩むと筋量はどちらへ動くか。
- Q117#cb-es-117
運動中に一回拍出量が増える仕組みのうち、心臓へ戻る血液量の増加が関わる機序として最も適切なものはどれか。
- 1心臓へ戻る血液量が増えると心室の容量に余裕が生まれ、拍出量はかえって小さくなる
- 2心室が多く満たされるほど心筋が強く収縮し、拍出量が増える正解
- 3心臓へ戻る血液量が増えると心拍数が下がり、その結果として拍出量が増える
Answer
正解 2:心室が多く満たされるほど心筋が強く収縮し、拍出量が増える
正しいのは「心室が多く満たされるほど心筋が強く収縮し、拍出量が増える」である。フランク・スターリングの機序により、静脈還流が増えて拡張期に心室が多く満たされると心筋が引き伸ばされ、収縮力が高まって一回拍出量が増える。「心臓へ戻る血液量が増えると心室の容量に余裕が生まれ、拍出量はかえって小さくなる」は誤りで、満たされる量が増えれば拍出量は増える方向に動く。「心臓へ戻る血液量が増えると心拍数が下がり、その結果として拍出量が増える」も誤りで、運動中は心拍数も一回拍出量もともに増えており、心拍数の低下を介した説明にはならない。
HINT 伸ばされた筋ほど強く縮む。心筋にも同じことが当てはまる。
- Q118#cb-es-118
運動中に換気量が増える調節において、血中の化学的な変化が果たす役割として最も適切なものはどれか。
- 1血中の酸素分圧が少し下がったことが、最も強い刺激として換気量を決めている
- 2血中の乳酸が直接呼吸中枢へ届き、換気量の増加を一手に担っている
- 3二酸化炭素の増加と水素イオンの増加が受容器を介して刺激となり、換気量を押し上げる正解
Answer
正解 3:二酸化炭素の増加と水素イオンの増加が受容器を介して刺激となり、換気量を押し上げる
正しいのは「二酸化炭素の増加と水素イオンの増加が受容器を介して刺激となり、換気量を押し上げる」である。換気の化学的な調節では、二酸化炭素分圧の上昇と水素イオン濃度の上昇が中枢および末梢の化学受容器を通じて強い刺激となる。「血中の酸素分圧が少し下がったことが、最も強い刺激として換気量を決めている」は誤りで、平地での運動では酸素分圧はおおむね保たれ、換気の主な刺激にはなりにくい。「血中の乳酸が直接呼吸中枢へ届き、換気量の増加を一手に担っている」も誤りで、換気の増加には運動開始時の神経性の調節や体温の上昇なども関わり、一つの要因で説明できるものではない。
HINT 呼吸の調節で優先されているのは、酸素を取り込むことよりも二酸化炭素の始末。
- Q119#cb-es-119
健康な人が行う最大の持久的運動において、酸素摂取量を制限する主な要因についての説明として最も適切なものはどれか。
- 1心拍出量と筋での酸素の取り込みが主な要因になる正解
- 2肺から血液への酸素の受け渡しが先に限界に達し、主な要因になる
- 3気道の太さが吸い込める空気の量を決め、それが主な要因になる
Answer
正解 1:心拍出量と筋での酸素の取り込みが主な要因になる
正しいのは「心拍出量と筋での酸素の取り込みが主な要因になる」である。健康な人では酸素を運ぶ側の能力、すなわち心拍出量と活動筋での酸素の取り込みが先に限界に達し、最大酸素摂取量を決める主な要因になる。「肺から血液への酸素の受け渡しが先に限界に達し、主な要因になる」は誤りで、健康な人の肺でのガス交換には余裕があり、最大運動時にも動脈血の酸素飽和度はおおむね保たれる。「気道の太さが吸い込める空気の量を決め、それが主な要因になる」も誤りで、健康な人では換気の能力にも余裕があり、最大運動時に先に行き詰まるのは酸素を運び使う側である。
HINT 空気を入れる側と、酸素を運んで使う側。先に行き詰まるのはどちらか。
- Q120#cb-es-120
運動中の筋で、ヘモグロビンから組織への酸素の受け渡しが進みやすくなる条件として最も適切なものはどれか。
- 1酸素解離曲線が左へずれることで、同じ酸素分圧でも多くの酸素が渡される
- 2筋の温度の上昇と水素イオンの増加により、曲線が右へずれて酸素が渡されやすくなる正解
- 3筋での二酸化炭素の産生が減ることにより、ヘモグロビンから酸素がしだいに離れやすくなる
Answer
正解 2:筋の温度の上昇と水素イオンの増加により、曲線が右へずれて酸素が渡されやすくなる
正しいのは「筋の温度の上昇と水素イオンの増加により、曲線が右へずれて酸素が渡されやすくなる」である。活動筋では温度が上がり、二酸化炭素と水素イオンが増えるため酸素解離曲線が右へずれ、同じ酸素分圧でもヘモグロビンから酸素が離れやすくなる。「酸素解離曲線が左へずれることで、同じ酸素分圧でも多くの酸素が渡される」は誤りで、左へのずれはヘモグロビンが酸素を手放しにくくなる方向の変化である。「筋での二酸化炭素の産生が減ることにより、ヘモグロビンから酸素がしだいに離れやすくなる」も誤りで、二酸化炭素の増加が酸素を手放しやすくする方向に働くため、変化の向きが逆になっている。
HINT 活動している筋の中は、温かく酸性に傾いている。その環境が受け渡しを助ける。
- Q121#cb-es-121
下肢の運動中に静脈還流が高まる仕組みとして、筋ポンプの働きを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1筋の収縮と弛緩が静脈を圧し、弁の働きと合わさって血液を心臓の方向へ送る正解
- 2筋の収縮が動脈を圧することで、心臓へ戻る血液の量が増えていく
- 3筋が収縮している間に静脈が広がり、その場に血液がたまって還流が増える
Answer
正解 1:筋の収縮と弛緩が静脈を圧し、弁の働きと合わさって血液を心臓の方向へ送る
正しいのは「筋の収縮と弛緩が静脈を圧し、弁の働きと合わさって血液を心臓の方向へ送る」である。下肢の筋が収縮と弛緩を繰り返すと静脈が外から圧され、静脈弁が逆流を止めるため血液は心臓の方向へ押し進められ、静脈還流が高まる。「筋の収縮が動脈を圧することで、心臓へ戻る血液の量が増えていく」は誤りで、筋ポンプが押し進める対象は心臓へ向かう静脈の血液であり、動脈は心臓から出ていく側の血管である。「筋が収縮している間に静脈が広がり、その場に血液がたまって還流が増える」も誤りで、血液がその場にとどまれば還流はむしろ減り、還流を増やすのは静脈が圧されることによる押し出しである。
HINT 心臓へ向かう血液が通るのはどちらの血管か。弁がある理由も合わせて考える。
- Q122#cb-es-122
最大に近い強度の運動中における血流の配分の変化として最も適切なものはどれか。
- 1活動筋への血流の割合が下がり、消化器への血流の割合が上がる
- 2心拍出量は増えず、血圧が上がることによって活動筋への血流が確保される
- 3活動筋への血流の割合が大きく上がり、消化器や腎臓への血流の割合は下がる正解
Answer
正解 3:活動筋への血流の割合が大きく上がり、消化器や腎臓への血流の割合は下がる
正しいのは「活動筋への血流の割合が大きく上がり、消化器や腎臓への血流の割合は下がる」である。運動中は交感神経の働きで内臓域の血管が収縮し、活動筋の血管が拡張するため、限られた心拍出量が活動筋へ優先して配分される。「活動筋への血流の割合が下がり、消化器への血流の割合が上がる」は誤りで、配分が動く向きが逆になっている。「心拍出量は増えず、血圧が上がることによって活動筋への血流が確保される」も誤りで、最大に近い強度の運動では心拍出量そのものが安静時の数倍まで増え、そのうえで配分を組み替えることで活動筋の需要に応えている。
HINT 心拍出量を増やしても足りないとき、どこから回してくるかを考える。
- Q123#cb-es-123
空中で回転している体操競技者が、体を小さく丸めることで回転の速さが増す仕組みとして最も適切なものはどれか。
- 1体を丸めることで角運動量そのものが増え、それに応じて回転の速さが増していく
- 2慣性モーメントが小さくなり、角運動量が保たれるため速さが増す正解
- 3空気の抵抗を受ける面積が小さくなることで、回転の速さが保たれる
Answer
正解 2:慣性モーメントが小さくなり、角運動量が保たれるため速さが増す
正しいのは「慣性モーメントが小さくなり、角運動量が保たれるため速さが増す」である。空中では外からトルクが加わらないため角運動量が保たれ、体を丸めて質量を回転軸へ近づけると慣性モーメントが小さくなり、その積を保つように角速度が増える。「体を丸めることで角運動量そのものが増え、それに応じて回転の速さが増していく」は誤りで、空中で角運動量そのものを増やすことはできず、保たれた角運動量の中で配分が変わるだけである。「空気の抵抗を受ける面積が小さくなることで、回転の速さが保たれる」も誤りで、この動作で速さが増すのは空気抵抗の差ではなく、質量の分布が変わって慣性モーメントが小さくなるためである。
HINT 空中では角運動量は変えられない。変えられるのは質量の分布のほう。
- Q124#cb-es-124
競技者がシューズと床の間で得られる摩擦力の大きさを決める要素として最も適切なものはどれか。
- 1接触面に垂直にかかる力と、二つの面の間の摩擦の係数によって決まる正解
- 2見かけの接触面積が大きいほど摩擦力も比例して大きくなり、接地の安定が増す
- 3床を押す力の向きが鉛直から離れるほど、摩擦力が大きくなる
Answer
正解 1:接触面に垂直にかかる力と、二つの面の間の摩擦の係数によって決まる
正しいのは「接触面に垂直にかかる力と、二つの面の間の摩擦の係数によって決まる」である。摩擦力の上限は接触面に垂直にかかる力と摩擦係数の積で表され、素材の組み合わせと押しつける力の大きさで決まる。「見かけの接触面積が大きいほど摩擦力も比例して大きくなり、接地の安定が増す」は誤りで、見かけの接触面積は摩擦力の大きさを決める要素には含まれない。「床を押す力の向きが鉛直から離れるほど、摩擦力が大きくなる」も誤りで、向きが鉛直から離れるほど接触面に垂直な成分は小さくなるため、得られる摩擦力の上限は下がる。
HINT 効くのは面の広さではなく、面を押しつける力と素材の組み合わせ。
- Q125#cb-es-125
ケーブルを斜めに引く動作で、加えた力のうち実際に物体を目的の方向へ動かすはたらきを説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1斜めに加えた力は、その全体がそのまま目的の方向へのはたらきになる
- 2斜めに加えた力は、目的の方向と直交する成分のほうが動きに大きく寄与する
- 3斜めに加えた力は目的の方向の成分と直交する成分に分けられ、前者が動きに寄与する正解
Answer
正解 3:斜めに加えた力は目的の方向の成分と直交する成分に分けられ、前者が動きに寄与する
正しいのは「斜めに加えた力は目的の方向の成分と直交する成分に分けられ、前者が動きに寄与する」である。力はベクトルなので、目的の方向に沿う成分とそれに直交する成分に分解でき、物体を目的の方向へ動かすはたらきを担うのは前者である。「斜めに加えた力は、その全体がそのまま目的の方向へのはたらきになる」は誤りで、斜めに加えた力のうち直交する成分は目的の方向への動きには寄与しない。「斜めに加えた力は、目的の方向と直交する成分のほうが動きに大きく寄与する」も誤りで、動きに寄与するのは目的の方向に沿う成分のほうである。
HINT 斜めの力は2つに分けられる。効くのはそのうち一方。
- Q126#cb-es-126
スプリントの加速の局面で、競技者が前方へ加速できる力の源を説明したものとして最も適切なものはどれか。
- 1腕の振りが生み出す前方への力が、体を前へ押し出す主な源になっている
- 2地面を後方へ押した反作用として、地面から前方への力を受けている正解
- 3体の内部で筋が生み出した力が、そのまま体全体を前方へ運ぶ源になる
Answer
正解 2:地面を後方へ押した反作用として、地面から前方への力を受けている
正しいのは「地面を後方へ押した反作用として、地面から前方への力を受けている」である。体を加速させるのは外から加わる力であり、スプリントではその外力が地面反力として与えられる。「腕の振りが生み出す前方への力が、体を前へ押し出す主な源になっている」は誤りで、腕の振りは体幹の回転を抑えて接地の力の発揮を助ける役目であり、加速の力の源そのものではない。「体の内部で筋が生み出した力が、そのまま体全体を前方へ運ぶ源になる」も誤りで、体の内部で生じた力だけでは全体の重心を動かせず、地面との間で力をやり取りすることが必要になる。
HINT 重心を動かすのは外から加わる力。その相手はどこにあるか。
- Q127#cb-es-127
レジスタンストレーニングを始めてからの数週間と、その後の期間における筋力向上の要因について、最も適切なものはどれか。
- 1はじめは神経系の適応の寄与が大きく、後から筋断面積の増加が加わってくる正解
- 2はじめから筋断面積の増加が主な要因となり、神経系の適応は後の時期に現れてくる
- 3期間を通じて筋断面積の増加が要因であり、神経系の適応は筋力には現れにくい
Answer
正解 1:はじめは神経系の適応の寄与が大きく、後から筋断面積の増加が加わってくる
正しいのは「はじめは神経系の適応の寄与が大きく、後から筋断面積の増加が加わってくる」である。トレーニング開始後の数週間の筋力向上は動員や発火頻度といった神経系の適応で説明される部分が大きく、筋断面積の増加が目に見えて寄与するのはその後の期間である。「はじめから筋断面積の増加が主な要因となり、神経系の適応は後の時期に現れてくる」は誤りで、2つの要因が現れる順序が入れ替わっている。「期間を通じて筋断面積の増加が要因であり、神経系の適応は筋力には現れにくい」も誤りで、初期の筋力向上は断面積の変化では説明しきれず、神経系の適応がそのまま筋力に現れている。
HINT 始めたばかりの時期は、太くなる前から挙がる重さが増える。
- Q128#cb-es-128
レジスタンストレーニングによって筋の横断面積が増える仕組みについて、ヒトで主と考えられているものはどれか。
- 1筋線維の数が増えることが主であり、既存の線維の太さは保たれる
- 2筋線維を包む結合組織が厚くなることが主であるとされる
- 3既存の筋線維が太くなることが主であり、線維の数の増加の寄与は小さいとされる正解
Answer
正解 3:既存の筋線維が太くなることが主であり、線維の数の増加の寄与は小さいとされる
正しいのは「既存の筋線維が太くなることが主であり、線維の数の増加の寄与は小さいとされる」である。ヒトのレジスタンストレーニングによる横断面積の増加は、既存の筋線維が収縮タンパクを増やして太くなる肥大で説明され、線維の数が増える過形成の寄与は小さいと考えられている。「筋線維の数が増えることが主であり、既存の線維の太さは保たれる」は誤りで、主な変化は既存の線維が太くなることである。「筋線維を包む結合組織が厚くなることが主であるとされる」も誤りで、結合組織もトレーニングに応じて変化するが、横断面積の増加の大部分を説明する要因ではない。
HINT 線維が増えるのか、もとからある線維が太くなるのか。
- Q129#cb-es-129
持久的トレーニングと著しい筋肥大をもたらすトレーニングについて、筋の毛細血管の密度に生じる変化として最も適切なものはどれか。
- 1どちらのトレーニングでも毛細血管の本数が同程度に増えるため、密度の変化も等しくなる
- 2持久的トレーニングでは密度が高まるが、著しい筋肥大では密度が薄まることがある正解
- 3持久的トレーニングでは毛細血管の本数が減り、血流の速さが増す
Answer
正解 2:持久的トレーニングでは密度が高まるが、著しい筋肥大では密度が薄まることがある
正しいのは「持久的トレーニングでは密度が高まるが、著しい筋肥大では密度が薄まることがある」である。持久的トレーニングは毛細血管の新生を促して単位面積あたりの本数を増やす一方、筋線維の肥大が大きく進む場合は血管の増加がそれに追いつかず、密度としては薄まることがある。「どちらのトレーニングでも毛細血管の本数が同程度に増えるため、密度の変化も等しくなる」は誤りで、刺激の種類によって血管の適応の大きさは異なる。「持久的トレーニングでは毛細血管の本数が減り、血流の速さが増す」も誤りで、持久的トレーニングは血管の本数を増やす方向に働く。
HINT 密度は本数と面積の割り算。分母が大きく増えれば値は下がる。
- Q130#cb-es-130
持久的トレーニングによってミトコンドリアが増える過程について、その引き金となる変化として最も適切なものはどれか。
- 1収縮の繰り返しで細胞内のカルシウムやAMPが増え、新生を促す調節因子が働き始める正解
- 2運動後に筋グリコーゲンが枯渇し、それを補充する過程でミトコンドリアの新生が始まる
- 3筋線維の中で核が分裂し、その数に応じてミトコンドリアも増えていく
Answer
正解 1:収縮の繰り返しで細胞内のカルシウムやAMPが増え、新生を促す調節因子が働き始める
正しいのは「収縮の繰り返しで細胞内のカルシウムやAMPが増え、新生を促す調節因子が働き始める」である。繰り返される収縮によって細胞内のカルシウム濃度やエネルギー状態が変化し、それを合図にPGC-1αなどの調節因子を介してミトコンドリアの新生が進む。「運動後に筋グリコーゲンが枯渇し、それを補充する過程でミトコンドリアの新生が始まる」は誤りで、グリコーゲンの枯渇は調節因子の働きを後押しする一因ではあるものの、新生を立ち上げる合図となるのは運動中の収縮によるカルシウムやAMPの増加である。「筋線維の中で核が分裂し、その数に応じてミトコンドリアも増えていく」も誤りで、筋線維の核はサテライト細胞の融合によって供給されるものであり、核の分裂がミトコンドリアの増加を決めるわけではない。
HINT 合図になるのは、収縮によって生じた細胞内の環境の変化。
- Q131#cb-es-131
高強度インターバルトレーニングを続けた競技者に生じる、無酸素性の能力に関わる適応として最も適切なものはどれか。
- 1筋内の緩衝能はそのままで、乳酸を作る酵素の活性が下がることで疲労が遅れる
- 2筋内の緩衝能が高まり、高強度運動中のpHの低下に耐えやすくなる正解
- 3筋内の緩衝能が高まるかわりに、高強度での解糖系の活性が下がって出力が落ちる
Answer
正解 2:筋内の緩衝能が高まり、高強度運動中のpHの低下に耐えやすくなる
正しいのは「筋内の緩衝能が高まり、高強度運動中のpHの低下に耐えやすくなる」である。高強度インターバルトレーニングでは筋内で水素イオンを受け止める働きが高まり、同時に解糖系の酵素の活性も上がるため、強度の高い運動を続けやすくなる。「筋内の緩衝能はそのままで、乳酸を作る酵素の活性が下がることで疲労が遅れる」は誤りで、適応の中身は緩衝能の向上であり、解糖系の酵素の活性は上がる方向に動く。「筋内の緩衝能が高まるかわりに、高強度での解糖系の活性が下がって出力が落ちる」も誤りで、2つの適応は一方を犠牲にする関係ではなく、ともに高まる方向に進む。
HINT きつい運動を繰り返すと、酸性に傾いた環境に耐える力が付く。
- Q132#cb-es-132
持久的トレーニングを積んだ競技者の血液検査で、ヘモグロビン濃度が一般成人より低く出ることがある理由として最も適切なものはどれか。
- 1赤血球が作られる量が減って酸素を運ぶ能力そのものが落ちており、回復には時間がかかる
- 2血液中の水分が減って濃縮が進み、見かけの濃度が下がるため
- 3赤血球の総量よりも血漿量が大きく増えるため、濃度としては薄まって見える正解
Answer
正解 3:赤血球の総量よりも血漿量が大きく増えるため、濃度としては薄まって見える
正しいのは「赤血球の総量よりも血漿量が大きく増えるため、濃度としては薄まって見える」である。持久的トレーニングは血漿量を大きく増やす適応をもたらすため、赤血球の総量が増えていても濃度としては薄まり、検査値が低く出ることがある。「赤血球が作られる量が減って酸素を運ぶ能力そのものが落ちており、回復には時間がかかる」は誤りで、この場合は総量が減っているわけではなく、酸素を運ぶ能力はむしろ高まっている。「血液中の水分が減って濃縮が進み、見かけの濃度が下がるため」も誤りで、水分が減って濃縮が進めば濃度は高く出るはずであり、説明の向きが合わない。
HINT 分子と分母のどちらが大きく増えたかで、濃度の見かけが変わる。
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